JP2010173975A - タンパク質のリフォールディング組成物 - Google Patents

タンパク質のリフォールディング組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アルギニンの溶液中の実効濃度を増加させ、かつタンパク質の凝集を抑制させる相乗効果により、リフォールディング収率を向上させるリフォールディング組成物や、かかるリフォールディング組成物を用いた変性タンパク質のリフォールディング方法を提供すること。
【解決手段】タンパク質可溶化剤で変性させた変性タンパク質を、アルギニン類と、ヨウ化物塩やチオシアン酸塩などのカオトロープとを含むリフォールディング組成物、及び、リフォールディング緩衝液に希釈し、60℃以下で静置することにより変性タンパク質をリフォールディングする。上記リフォールディング組成物として、0.88M〜2.20Mアルギニン塩酸塩と0.77M〜2.65Mヨウ化アンモニウムとの混合物や0.95M〜1.89Mアルギニン塩酸塩と0.69M〜2.65Mチオシアン酸アンモニウムとの混合物がある。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質のリフォールディング組成物に関し、より詳しくは、アルギニン等とカオトロープとを含む、変性又は還元されたタンパク質のリフォールディング組成物やそれを用いたタンパク質のリフォールディング方法に関する。
近年の遺伝子工学の発展により、有用なタンパク質を大腸菌などから組換え体として大量に調製し利用できるようになっている。例えば医薬品製造の分野では、炎症反応、抗腫瘍作用等の免疫系の調製を行うサイトカインや、抗体医薬品としての一本鎖抗体等が組換え体として調製され用いられている。また食品加工の分野では、リパーゼは脂質を分解、脱脂をして香味を付け、アミラーゼは水飴やウイスキー、製パン加工に不可欠である糖分解をし、ペプチターゼは食品を柔らかくするなどの、組換え体タンパク質の応用が進められている。臨床診断の分野では、感染症の診断のための抗体や、病原菌、ウイルス等の外来物質の検査のためのタンパク質の利用が挙げられる。
組換えタンパク質の大量調製にはさまざまな技術が研究開発され産業に利用されてきた。中でも大腸菌を宿主とした発現系は、操作が簡便で得られるタンパク質量も多いことから広く用いられてきた。しかし、組換え体で発現させたタンパク質の多くは不活性な封入体と呼ばれる不溶性顆粒を形成することが多い。例えば医薬品に用いる抗体、一本鎖抗体、サイトカインは、大腸菌で発現させると必ず封入体を形成する。これらの封入体から機能を持ったタンパク質を得るためには、封入体を可溶化させた後、固有の立体構造をもつ天然状態タンパク質へと巻き戻す作業が必要である。
タンパク質のリフォールディングには、まずタンパク質を封入体から可溶化させる。可溶化剤には、ジチオトレイトールやβ−メルカプトエタノール等の還元試薬、及び高濃度の塩酸グアニジンや尿素などのタンパク質変性剤か、SDS(Sodium Dodecyl Sulfate:ドデシル硫酸ナトリウム)やTween(Tween20、Tween40、Tween60、Tween80、Tween85等)などの界面活性剤が含まれることが多い。タンパク質を可溶化剤によって還元変性させ活性のない構造として可溶化した後、これらを取り除くことで変性タンパク質は機能を持つ立体構造へと巻き戻ることができる。この可溶化させ、巻き戻す反応をリフォールディングと呼ぶ。しかしタンパク質を機能のある立体構造へと巻き戻す再生反応には、不活性な凝集を形成する副反応が競合する。不活性な凝集の生成を抑制することが、機能のある立体構造へと巻き戻す反応を促進させ、収率を上げる。
タンパク質可溶化剤を取り除くために、透析法か希釈法が用いられる。透析法とは、透析することでタンパク質可溶化剤を徐々に除去し、タンパク質を機能のある立体構造へとリフォールディングさせる方法である。しかし、透析法は、外液にタンパク質溶液の百倍以上の容積が通常必要になり、1日ほど掛けて可溶化剤を除去するために、その間にリフォールディング中間体が凝集して収率が低下することが多い。希釈法とは、緩衝液等で希釈することで、タンパク質可溶化剤によるタンパク質変性状態からタンパク質を機能のある立体構造へとリフォールディングさせる方法である。希釈法は、透析法と比べて短時間で終了し、かつ使用する緩衝液の容積も比較的少なくて済むという利点がある。希釈法はタンパク質を機能のある立体構造へとリフォールディングさせる最も簡便で低コストの方法であるが、リフォールディング収率が低いのが現状である(例えば、非特許文献1参照)。これらを解決する手段として、タンパク質可溶化剤濃度を徐々に減少させることで、機能のある立体構造へのリフォールディング収率を上げる段階的希釈法(例えば、非特許文献2参照)が知られているが、時間が透析法よりも掛ることから、コストとリフォールディング収率を両立させる決定的な方法はまだ確立されていない。
リフォールディング収率が低下する主な原因は、副反応として起こる不溶性凝集体の形成である(例えば、非特許文献3参照)。リフォールディング中間体が蓄積して凝集体を形成することから、収率を改善するにはこの中間体の凝集を抑制すればよい。アルギニンやその誘導体は最もよく用いられるタンパク質凝集抑制剤であり、500mM程度のアルギニン存在下において複数のタンパク質(例えばサイトカインや一本鎖抗体、リゾチーム及び他の酵素)のリフォールディングに効果的であることがわかっている(例えば、特許文献1及び2参照)。
このような事情から、現在、タンパク質可溶化剤で変性させたタンパク質を比較的高濃度のアルギニンもしくはアルギニン塩酸塩を含む溶液で希釈してタンパク質をリフォールディングさせる希釈法が使用されることがある。アルギニンは安価で効果の高い小分子添加剤であり、アルギニンを用いた希釈法によるリフォールディングは短時間で行うことができかつコストも高くならない簡易な方法であるが、それでも収率の向上には限界がある。タンパク質によっては工業的な大量生産を行うには不十分なレベルのものもあり、まだ課題が残されているのが現状である。
米国特許第5,593,865号明細書(1997) 特開2007−332093号公報
J Immunol Methods. Vol.219 (1997) 119-129 J. Biol. Chem. Vol.278 (2003) 8979-8987 Fold Des. Vol. 3 (1998) 9-23
希釈法を用いてタンパク質をリフォールディングさせる、安価で簡便な低分子添加剤としてはアルギニンが用いられてきた。しかしながら、アルギニン単体を添加剤として用いた場合のリフォールディング収率の向上には限界があった。本発明の課題は、アルギニンの溶液中の実効濃度を増加させ、かつタンパク質の凝集を抑制させる相乗効果により、リフォールディング収率を向上させるリフォールディング組成物や、かかるリフォールディング組成物を用いた変性タンパク質のリフォールディング方法を提供することにある。
本発明者らは、アルギニン塩酸塩もしくはアルギニン(以下アルギニンと呼ぶ)にヨウ化物塩もしくはチオシアン酸塩(カオトロープ)を加えることで、アルギニンの水溶液中での実効的な濃度を増加させ、かつタンパク質の凝集を抑制することができ、リフォールディング収率が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、[1]アルギニン若しくはその誘導体又はそれらの塩と、カオトロープとを含有する、変性されたタンパク質のリフォールディング組成物や、[2]カオトロープが、ヨウ化物塩又はチオシアン酸塩であることを特徴とする上記[1]記載のリフォールディング組成物や、[3]0.88〜2.20Mアルギニン塩酸塩と0.77〜2.65Mヨウ化アンモニウムとを含有することを特徴とする上記[2]記載のリフォールディング組成物や、[4]0.95〜1.89Mアルギニン塩酸塩と0.69M〜2.65Mチオシアン酸アンモニウムとを含有することを特徴とする上記[2]記載のリフォールディング組成物に関する。
また本発明は、[5]タンパク質可溶化剤で変性させた変性タンパク質を、上記[1]〜[4]のいずれか記載のリフォールディング組成物、及び、酸化型グルタチオン又は還元型グルタチオンを含む緩衝液に希釈し、静置することを特徴とする変性タンパク質のリフォールディング方法や、[6]0〜60℃で所定時間静置することを特徴とする上記[5]記載の変性タンパク質のリフォールディング方法や、[7]タンパク質が、リゾチーム、カルボニックアンヒドラーゼ、α−アミラーゼ、セルラーゼ、又はリボヌクレアーゼAであることを特徴とする上記[5]又は[6]記載の変性タンパク質のリフォールディング方法に関する。
本発明によれば、上記リフォールディング組成物を用いて還元変性させたタンパク質をリフォールディングさせることにより、アルギニンを添加しない場合及びアルギニンのみを添加した場合に比べて高い収率が得られた。本発明により、これまでアルギニンで十分な収率が望めなかったタンパク質についても高いリフォールディング収率を得られる可能性がある。
実施例1におけるリフォールディング試薬1〜8を使用した場合の、ニワトリ卵白リゾチームのリフォールディング収率を示したグラフである。横軸を試薬番号、縦軸を天然状態ニワトリ卵白リゾチームの活性を100%としたときのリフォールディング収率とした。 実施例2におけるリフォールディング試薬1〜8を使用した場合の、カルボニックアンヒドラーゼのリフォールディング収率を示したグラフである。横軸を試薬番号、縦軸を天然状態カルボニックアンヒドラーゼの活性を100%としたときのリフォールディング収率とした。 実施例3におけるリフォールディング試薬1〜8を使用した場合の、α−アミラーゼのリフォールディング収率を示したグラフである。横軸を試薬番号、縦軸を天然状態α−アミラーゼの活性を100%としたときのリフォールディング収率とした。 実施例4におけるリフォールディング試薬1〜8を使用した場合の、セルラーゼのリフォールディング収率を示したグラフである。横軸を試薬番号、縦軸を天然状態セルラーゼの活性を100%としたときのリフォールディング収率とした。 実施例5におけるリフォールディング試薬1と試薬2、試薬4と試薬6を混合した溶液を使用した場合のニワトリ卵白リゾチームのリフォールディング収率を示したグラフである。横軸をリフォールディング試薬の混合比、縦軸を天然状態ニワトリ卵白リゾチームの活性を100%としたときのリフォールディング収率とした。図中、「No.1/No.2」は試薬2に対する試薬1の混合比を、「No.4/No.6」は試薬6に対する試薬4の混合比を意味する。
本発明のリフォールディング組成物としては、アルギニン若しくはその誘導体、又はそれらの塩と、カオトロープとを含有する、変性されたタンパク質をリフォールディングすることができる組成物であれば特に制限されず、対象となるタンパク質としては、リゾチーム、カルボニックアンヒドラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、グリコシダーゼ、リボヌクレアーゼ、リパーゼなどの酵素、抗体、一本鎖抗体、サイトカイン、アルブミン、ヘモグロビン等の非酵素タンパク質を生体から調製したものや大腸菌等の異種発現系を用いて遺伝子工学的に生産された組換え体等が対象となるが、これらに限定されるものではない。これらのタンパク質、特に、大腸菌等の異種発現系を用いて遺伝子工学的に生産された組換え体の場合にはしばしば不溶性で不活性の凝集体、いわゆる封入体として得られるため、リフォールディングが必要となる。
上記アルギニンの誘導体としては、アルギニンアミド、L−2−アミノ−3−グアニジノプロピオン酸、ホモアルギニン、アルギニンメチルエステル等を挙げることができる。アルギニンやこれら誘導体の構造式を以下に示す。
Figure 2010173975
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また、アルギニンやその誘導体の塩としては、無機酸や有機酸との塩であれば特に制限されず、無機酸の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等を挙げることができ、有機酸の塩としては、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩等を挙げることができる。また、アルギニン若しくはその誘導体、又はそれらの塩は、通常、リフォールディング緩衝液中で、0.2M〜2.5M、好ましくは0.8M〜2.3Mの範囲で使用され、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。さらに、他の凝集抑制剤との併用も可能である。
本発明において、カオトロープとは、水の構造を不安定化させ、非極性溶質の溶解度を増加させる塩を意味し、カオトロピック性の強さは陰イオンでは、タンパク質の沈殿効果を示すホフマイスター系列(硝酸イオン>塩素酸イオン>ヨウ化物イオン>過塩素酸イオン>チオシアン酸イオン)とほぼ逆の関係にあり、これらの無機塩であるチオシアン酸塩、過塩素酸塩、ヨウ化物塩、塩素酸塩、硝酸塩等が、入手が容易で安価なカオトロープとして用いることができ、より具体的には、チオシアン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム等のナトリウム塩や、チオシアン酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、ヨウ化アンモニウム等のアンモニウム塩を挙げることができ、中でも、チオシアン酸アンモニウムやヨウ化アンモニウムを好適に例示することができる。これらカオトロープ類は、通常、リフォールディング緩衝液中で、0.5M〜3Mの範囲で使用され、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のリフォールディング組成物は、タンパク質のリフォールディング補助剤及び凝集抑制剤として作用する。かかる本発明のリフォールディング組成物として、例えば、0.5M〜2.5M、好ましくは0.88M〜2.20Mのアルギニン塩酸塩と、0.5M〜3M、好ましくは0.77M〜2.65Mのヨウ化アンモニウムとを含有する組成物や、0.5M〜2.5M、好ましくは0.95M〜1.89Mのアルギニン塩酸塩と、0.5M〜3M、好ましくは0.69M〜2.65Mのチオシアン酸アンモニウムとを含有する組成物を具体的に挙げることができる。
本発明の変性タンパク質のリフォールディング方法としては、タンパク質可溶化剤で変性させた変性タンパク質を、上記本発明のリフォールディング組成物、及び、リフォールディング緩衝液に希釈し、静置する方法、好ましくは0〜60℃、更に好ましくは20〜60℃で所定時間静置する方法であれば特に制限されず、上記リフォールディング用の緩衝液としては、タンパク質の機能を失わせるような濃度及び組成でなければ特に限定されないが、アミン系緩衝液が好ましく、例えばトリス緩衝液、MES緩衝液、トリシン緩衝液等を挙げることができる。アミン系緩衝液は、pH2〜12の溶液であることが好ましく、特にpH5〜9の範囲が好ましい。また、同緩衝液には、酸化型グルタチオン(GSSG)、還元型グルタチオン(GSH)を添加することができるほか、種々の添加物を添加することも可能である。添加物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の塩類、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の緩衝液、水酸化ナトリウム、塩酸、酢酸等の酸塩基類、メタノール、エタノール、プロパノール等の有機溶媒等を挙げることができる。
上記タンパク質可溶化剤としては、通常用いられる変性剤や界面活性剤であれば特に制限されず、タンパク質の可溶化は、通常、グアニジン塩酸、尿素等の変性剤、及び/又はSDS、Tween(Tween20、Tween40、Tween60、Tween80、Tween85等)、CHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸)等の界面活性剤にタンパク質を溶解させ、同時に、封入体中に存在する分子内及び分子間ジスルフィド結合をジチオトレイトールやβ−メルカプトエタノール等の還元剤により化学的に還元することにより行われる。変性剤や界面活性剤は、1種単独でも又は2種以上を混合して用いてもよく、また、変性剤と界面活性剤は、いずれか一方でもよいし、両方を用いてもよい。本発明において、リフォールディング対象となる可溶化したタンパク質とは、変性剤や界面活性剤によって本来の立体構造を有さない状態へとタンパク質を解きほぐした状態のタンパク質を意味すると共に、分子内又は分子間ジスルフィド結合をジチオトレイトール、β−メルカプトエタノール等の還元剤により開裂させ、チオールへと化学的に変換させたタンパク質も含まれる。この可溶化したタンパク質を、本発明のリフォールディング組成物、及び、リフォールディング緩衝液に希釈し、静置することでタンパク質をリフォールディングさせる。
本発明の方法でリフォールディングされるタンパク質の濃度は、特に制限はないが、例えば1〜10mg/mLの高濃度でもリフォールディングが可能である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
(試料等の調製)
緩衝液を加えたリフォールディング試薬の組成は次のとおり。
試薬1:2.65Mヨウ化アンモニウム、0.88Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)
試薬2:1.49Mヨウ化アンモニウム、1.51Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)
試薬3:0.77Mヨウ化アンモニウム、2.20Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)
試薬4:2.65Mチオシアン酸アンモニウム、0.95Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)
試薬5:1.64Mチオシアン酸アンモニウム、1.70Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)
試薬6:0.69Mチオシアン酸アンモニウム、1.89Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)
試薬7:100mMトリス緩衝液(pH8.2)(ネガティブコントロール)
試薬8:1.5Mアルギニン塩酸塩、100mMトリス緩衝液(pH8.2)(ポジティブコントロール)
実施例1:ニワトリ卵白リゾチームのリフォールディング
(実験方法)
50.9mg/mLのニワトリ卵白リゾチームに6.2Mグアニジン塩酸塩、100mM ジチオトレイトール、100mMトリス緩衝液を共存させた溶液(pH8.2)を37℃で6時間保温してリゾチームを変性させた。その後、388.4μLの試薬1〜8に10μLの200mM酸化型グルタチオンを加えた溶液(pH8.2)に10.6μLの変性リゾチーム溶液を加えて希釈し、37℃で18時間保温してリフォールディングさせた。これを14000rpmで20分間遠心分離(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 himac CF15RXを使用)し、上清画分を取り分けた。リフォールディング後の最終的なリゾチーム濃度は1.57mg/mLだった。リゾチームの活性測定は、1590μLの基質液(600nmの吸光度が1.0になるよう64mMリン酸緩衝液(pH6.25)にミクロコッカス・リゾディクティクスを溶かした溶液)に10μLのリフォールディング液を加えて、600nmの吸光度の減少を測定した。変性させていないリゾチーム溶液を調製してその活性を100%とした。
(実験結果)
図1に、リフォールディング緩衝液として試薬1〜8を用いた場合におけるリフォールディング収率を、横軸を試薬番号、縦軸を天然状態ニワトリ卵白リゾチームの活性を100%としたときのリフォールディング収率としたグラフを示す。添加剤を加えない試薬7では10%以下、1.5Mアルギニンのみを添加した試薬8では45〜60%程度の収率だったのに対し、試薬2、試薬3、試薬5、及び試薬6では収率の増加が見られ、特に試薬2では80%程度まで収率が増加した。
実施例2:カルボニックアンヒドラーゼ(CA)のリフォールディング
(実験方法)
22.9mg/mLのCAに6.0M尿素、100mMトリス緩衝液を共存させた溶液(pH8.2)を37℃で6時間保温してCAを変性させた。その後、189.2μLの試薬1〜8(pH8.2)に10.8μLの変性CAを加えて希釈し、37℃で14時間保温してリフォールディングさせた。これを14000rpmで20分間遠心分離(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 himac CF15RXを使用)し、上清画分を取り分けた。リフォールディング後の最終的なCAの濃度は1.23mg/mLだった。CAの活性測定は、1520μLの100mMトリス緩衝液(pH7.8)に10μLのリフォールディング液を加えた後よく攪拌し、速やかに70μLの100mMパラニトロフェニルアセテートを加えてよく攪拌して、405nmの吸光度の増加を測定した。変性させていないCA溶液を調製してその活性を100%とした。
(実験結果)
図2に、リフォールディング緩衝液として試薬1〜8を用いた場合におけるリフォールディング収率を、横軸を試薬番号、縦軸を天然状態CAの活性を100%としたときのリフォールディング収率としたグラフを示す。添加剤を加えない試薬7では10%前後、1.5Mアルギニンのみを添加した試薬8では40〜50%程度の収率だったのに対し、試薬1〜6の全てにおいて収率の増加が見られ、特に試薬1では90%前後にまで収率が増加した。
実施例3:α−アミラーゼのリフォールディング
(実験方法)
18.54mg/mLのα−アミラーゼに5.0Mグアニジン塩酸塩、100mMジチオトレイトール、100mMトリス緩衝液を共存させた溶液(pH8.2)を25℃で16時間保温してα−アミラーゼを変性させた。その後、180μlの試薬1〜8に10μLの100mM酸化型グルタチオンを加えた溶液(pH8.2)に10μLの変性α−アミラーゼ溶液を加えて希釈し、50℃で2時間保温してリフォールディングさせた。これを14000rpmで20分間遠心分離(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 himac CF15RXを使用)し、上清画分を取り分けた。リフォールディング後の最終的なα−アミラーゼ濃度は0.93mg/mLだった。α−アミラーゼの活性測定は、0.9%デンプン溶液に50mM酢酸緩衝液を共存させた基質(pH5.5)に10μLのリフォールディング液を加えた後よく攪拌して37℃で6時間保温したのち、煮沸によって酵素反応を停止させた。この溶液400μLに1200μLの3, 5−ジニトロサリチル酸(3,5-Dinitro Salicylic Acid, DNS)試薬を加えて再度5分間煮沸した。常温に冷却後、500nmの吸光度の値からリフォールディング収率を決定した。変性させていないα−アミラーゼ溶液を調製してその活性を100%とした。
(実験結果)
図3に、リフォールディング緩衝液として試薬1〜8を用いた場合におけるリフォールディング収率を、横軸を試薬番号、縦軸を天然状態α−アミラーゼの活性を100%としたときのリフォールディング収率としたグラフを示す。添加剤を加えない試薬7では10%前後、1.5Mアルギニンのみを添加した試薬8では70%程度の収率だったのに対し、試薬1〜6の全てにおいて90%前後にまで収率の増加が見られた。
実施例4:セルラーゼのリフォールディング
(実験方法)
33.16mg/mLのセルラーゼに6.0Mグアニジン塩酸塩、100mMジチオトレイトール、100mMトリス緩衝液を共存させた溶液(pH8.2)を25℃で16時間保温してセルラーゼを変性させた。その後、180μLの溶液1〜8に10μLの100mM酸化型グルタチオンを加えた溶液(pH8.2)に10μLの変性セルラーゼ溶液を加えて希釈し、50℃で6時間保温してリフォールディングさせた。これを14000rpmで20分間遠心分離(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 himac CF15RXを使用)し、上清画分を取り分けた。リフォールディング後の最終的なセルラーゼ濃度は1.66mg/mLだった。セルラーゼの活性測定は、1.0%カルボキシメチルセルロース溶液に50mM酢酸緩衝液を共存させた基質(pH5.5)に10μLのリフォールディング液を加えた後よく攪拌して37℃で6時間保温し、煮沸によって酵素反応を停止した。この溶液400μLに1200μLの3,5−ジニトロサリチル酸(3,5-Dinitro Salicylic Acid, DNS)試薬を加えて再度5分間煮沸した。常温に冷却後、500nmの吸光度の値からリフォールディング収率を決定した。変性させていないセルラーゼ溶液を調製してその活性を100%とした。
(実験結果)
図4に、リフォールディング緩衝液として試薬1〜8を用いた場合におけるリフォールディング収率を、横軸を試薬番号、縦軸を天然状態セルラーゼの活性を100%としたときのリフォールディング収率としたグラフで示す。添加剤を加えない試薬7では30%前後、1.5Mアルギニンのみを添加した試薬8では40%弱程度の収率であったが、試薬1〜6では試薬8をさらに上回る収率の増加が見られ、特に試薬4では80%弱程度にまで収率が増加した。
実施例5:牛膵臓リボヌクレアーゼAのリフォールディング
(実験方法)
29.2mg/mLの牛膵臓リボヌクレアーゼAに5Mグアニジン塩酸塩、100mM ジチオトレイトール、100mMトリス緩衝液を共存させた溶液(pH8.2)を50℃で1時間保温してリボヌクレアーゼAを変性させた。その後、174μLの試薬1、7及び8に16μLの100mM酸化型グルタチオンを加えた溶液(pH8.2)に10μLの変性リボヌクレアーゼA溶液を加えて希釈し、50℃で24時間保温してリフォールディングさせた。これを14000rpmで20分間遠心分離(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 himac CF15RXを使用)し、上清画分を取り分けた。リフォールディング後の最終的なリボヌクレアーゼA濃度は1.46mg/mLだった。リボヌクレアーゼAの活性測定は0.1mg/mlシチジン2’:3’リン酸に100mMMOPS緩衝液を共存させた基質溶液(pH7.0)1490μLに10μLのリフォールディング液を加えて、284nmの吸光度の増加を測定した。変性させていないリボヌクレアーゼA溶液を調製してその活性を100%とした。
(実験結果)
その結果、添加剤を加えない試薬7では18%程度、1.5Mアルギニンのみを添加した試薬8では5〜12%程度の収率だったのに対し、試薬1では25%程度まで収率が増加した。
実施例6:リフォールディング試薬中の添加剤濃度の最適化
(実験方法)
44.2mg/mLのニワトリ卵白リゾチームに6.2Mグアニジン塩酸塩、100mMジチオトレイトール、100mMトリス緩衝液を共存させた溶液(pH8.2)を37℃で6時間保温してリゾチームを変性させた。その後、試薬1及び試薬2、試薬4及び試薬6の混合比をそれぞれ20%ずつ変えた溶液390μLに10μLの200mM酸化型グルタチオンを加えた溶液(pH8.2)に10μLの変性リゾチーム溶液を加えて希釈し、37℃で18時間保温してリフォールディングさせた。これを14000rpmで20分間遠心分離(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 himac CF15RXを使用)し、上清画分を取り分けた。リフォールディング後の最終的なリゾチーム濃度は1.20mg/mLだった。リゾチームの活性測定は、1590μLの基質液(600nmの吸光度が1.0になるよう64mMリン酸緩衝液(pH6.25)にミクロコッカス・リゾディクティクスを溶かした溶液)に10μLのリフォールディング液を加えて、600nmの吸光度の減少からリゾチームのリフォールディング収率を決定した。変性させていないリゾチーム溶液を調製してその活性を100%とした。
(実験結果)
図5に、リフォールディング希釈液として試薬1及び試薬2、試薬4及び試薬6を混合した溶液を用いた場合におけるリフォールディング収率を、横軸を試薬2に対する試薬1と試薬6に対する試薬4のそれぞれの混合比、縦軸を天然状態ニワトリ卵白リゾチームの活性を100%としたときのリフォールディング収率としたグラフを示す。図5から明らかなように、試薬1と試薬2の濃度比を60%まで変えても高い収率を示した。このことからカオトロープ試薬に含まれる添加剤濃度の最適な組成は、0.88M〜2.20Mアルギニン塩酸塩と0.77M〜2.65Mヨウ化アンモニウムや、0.95M〜1.89Mアルギニン塩酸塩と0.69M〜2.65Mチオシアン酸アンモニウムという広範囲の濃度に渡る。
本発明により、リフォールディング時におけるタンパク質の凝集を抑制し、リフォールディング収率を向上させることで、効率よく目的のタンパク質を生産できるという点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. アルギニン若しくはその誘導体又はそれらの塩と、カオトロープとを含有する、変性されたタンパク質のリフォールディング組成物。
  2. カオトロープが、ヨウ化物塩又はチオシアン酸塩であることを特徴とする請求項1記載のリフォールディング組成物。
  3. 0.88M〜2.20Mアルギニン塩酸塩と0.77M〜2.65Mヨウ化アンモニウムとを含有することを特徴とする請求項2記載のリフォールディング組成物。
  4. 0.95M〜1.89Mアルギニン塩酸塩と0.69M〜2.65Mチオシアン酸アンモニウムとを含有することを特徴とする請求項2記載のリフォールディング組成物。
  5. タンパク質可溶化剤で変性させた変性タンパク質を、請求項1〜4のいずれか記載のリフォールディング組成物、及び、リフォールディング緩衝液に希釈し、静置することを特徴とする変性タンパク質のリフォールディング方法。
  6. 0〜60℃で所定時間静置することを特徴とする請求項5記載の変性タンパク質のリフォールディング方法。
  7. タンパク質が、リゾチーム、カルボニックアンヒドラーゼ、α−アミラーゼ、セルラーゼ、又はリボヌクレアーゼAであることを特徴とする請求項5又は6記載の変性タンパク質のリフォールディング方法。
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