JP2010171763A - 光送信装置、光通信システムおよび光送信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い消光比、長距離伝送、および装置の小型化が可能な光送信方法および光送信装置を提供する。
【解決手段】ベースバンド電気信号11に従って変調された送信光信号15を出力する光送信装置10は、ベースバンド電気信号11に従って直接変調されることで搬送波の周波数が変調された変調光信号17を出力する半導体レーザ13と、変調光信号17の周波数変調成分を振幅変調信号に変換することで送信光信号15を出力する非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14とを有する。半導体レーザ13の動作条件は、一定の範囲の値に設定される。
【選択図】 図1
【解決手段】ベースバンド電気信号11に従って変調された送信光信号15を出力する光送信装置10は、ベースバンド電気信号11に従って直接変調されることで搬送波の周波数が変調された変調光信号17を出力する半導体レーザ13と、変調光信号17の周波数変調成分を振幅変調信号に変換することで送信光信号15を出力する非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14とを有する。半導体レーザ13の動作条件は、一定の範囲の値に設定される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光通信技術に係り、特に高速大容量かつ長距離の光ファイバ通信を実現するための光送信装置、光通信システムおよび光送信方法に関するものである。
近年、ブロードバンド接続の普及に伴い、トラフィックの急速な増大とアクセス手段やサービスの多様化が進展しつつある。これに対応するため、光ファイバ通信網の整備、すなわち、大容量通信網へのアップグレードがすすめられている。このような光ファイバ通信網の整備において、光ファイバの敷設コストはその相当部分を占める。そのために敷設コストを抑制するには、既設の光ファイバ通信網をそのまま使用することが望ましい。また、大容量化のために伝送速度を上げた場合でも、高価な分散補償ファイバの使用は避けるべきである。
例えば、現在商用化されている都市間の光ファイバ通信網の大部分は、伝送速度が2.5Gb/sであり、標準シングルモ−ドファイバ(SMF:Single Mode Fiber )の伝送スパンが80km以下である。したがって、光ファイバ通信網の伝送速度を10Gb/sにアップグレードするためには、分散耐力があり、かつ、分散補償ファイバなしでSMF80kmの伝送が可能となる伝送速度10Gb/sの光送信装置を新たに実現する必要がある。
これまで、伝送速度10Gb/sの光伝送技術としていくつかの方式が開発されている。たとえばニオブ酸リチウム(LN)光変調器を用いたデュオバイナリ伝送方式は、分散耐力に優れた方式の一つであるが、LN光変調器のサイズが数cm以上と大きく、駆動電力も大きい。このために、LN光変調器をXFP(10Gbps (X) Form-factor Pluggable)等の小型モジュールに組み込むことができず、またLN光変調器が高価でもあることから、実用化が限られている。
小型かつ駆動電力が小さい光変調器として、半導体の電界光吸収効果を用いた半導体光変調器が開発されている。しかしながら、この半導体光変調器では、搬送波の周波数が時間的に変動するチャープ特性により、分散補償無しで伝送できる伝送距離はSMF40km程度が上限である。また、使用できる波長範囲が狭いことから、半導体光変調器を高密度波長多重(DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing)に使用すると、素子の選別・調整コストが高価になるといった問題がある。
一方、半導体レーザを直接変調すれば、上述の半導体光変調器よりも小型でかつ駆動電力を小さくすることができ、外部変調器も不要であることから、小型で低価格の光変調器を実現することができる。しかしながら、半導体レーザの直接変調においては、過渡的な周波数チャープが大きいという問題があり、ファイバ分散によりSMF10km程度の伝送が限界であった。この過渡的な周波数チャープは、半導体レーザを大振幅で直接変調した場合に半導体レーザ内部のキャリア密度と光子密度とが過渡的に変動することに起因する。
この問題を解消するためには、半導体レーザを直流電流の印加により閾値の数倍に高バイアスして小信号変調すればよいが、半導体レーザを小信号変調すると、出力光信号の消光比が小さくなるため、長距離の光ファイバ伝送には使用できないという新たな問題が生じてしまう。
そこで、半導体レーザから出力される変調光信号が周波数変調されていることを利用し、消光比を改善する方式が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3および非特許文献1参照)。
図15は光フィルタを用いた光送信装置の基本的構成を示すブロック図である。この光送信装置では、データ信号1に従った変調電流により半導体レーザ2を直接変調し、変調された光信号を光フィルタ3に通すことにより、光フィルタ3の透過特性のスロープを利用して消光比を改善する。
図15に示したような構成による消光比の改善方式では、同時に光信号のスペクトル幅も半減するため、デュオバイナリ変調方式と同等の分散耐力を得ることができ、分散補償無しでSMF80km以上の伝送が実証されている(非特許文献1参照)。
非特許文献1に開示されているように、この方式においては伝送速度10Gb/sにおける周波数変調量、すなわち、スペース(“0”)符号に対するマーク(“1”)符号の周波数シフトは、ファイバ分散との関係で4.5−5GHzが最適な値である。したがって、光信号として必要とされる消光比10dB以上を得るためには、光フィルタのスロープを2dB/GHz程度にしなければならない。非特許文献1では、誘電体多層膜によるエタロン共振型光フィルタにより光フィルタの透過特性を最適化し、透過特性の大きなスロープを得ている。
アイ・トリプル・イー・フォトニクス・テクノロジー・レターズ誌、第18巻、385−387頁(IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 18, pp.385-387)
しかしながら、非特許文献1に開示されている誘電体多層膜によるエタロン共振型光フィルタは、サイズが大きいうえに、半導体レーザとの光軸合せが必要である。さらに、このエタロン共振型光フィルタを用いると、半導体レーザとの間に反射を防ぐための光アイソレータを挿入する必要がある。したがって、光送信装置の更なる小型化および低価格化には、より小型かつアイソレータ無しで半導体レーザとのハイブリッド集積化が可能な光フィルタが必要とされていた。
平面光導波路回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)上に構成された光フィルタは、小型であり、半導体レーザと導波路構造が類似することから、半導体レーザとのハイブリッド集積化により光軸合せが不要となる。さらに、誘電体多層膜によるエタロン共振型光フィルタと異なり反射光が無いため、半導体レーザと光フィルタとの間のアイソレータも不要である。
しかしながら、PLCでは、誘電体多層膜のように製造工程の工夫によるフィルタ透過特性の最適化を実現することはできない。また、PLCの大きさおよび制御の観点から、XFP(10Gbps Small Form Factor Pluggable)等の小型トランシーバ・モジュールに搭載可能な光フィルタは、単一のリング共振器あるいは非対称マッハツェンダ干渉計に限られる。
例えば、伝送速度10Gb/s用のリング共振型光フィルタにおけるドロップ・ポートの透過特性のスロープは約1dB/GHzと小さな値となる。すなわち、単一のリング共振型光フィルタのドロップ・ポートを用いて消光比10dB以上を得るためには、光信号の周波数変調量を10GHz程度としなければならない。光信号の周波数変調量を10GHz程度とする場合、周波数変調量が最適値の約2倍となり、スペース符号に対するマーク符号の周波数シフトが大きくなるために発生する周波数チャープがファイバ分散の影響を受け、分散補償ファイバなしで伝送可能な距離が著しく低減してしまうという問題が生ずる。
また、光信号のスペース符号に対するマーク符号の周波数シフトを5GHzとすると、消光比10dBを得るために振幅変調の効果を5dB分重畳する必要がある。そのためには、半導体レーザの直流バイアスを下げて、大信号変調に近い動作点で半導体レーザを直接変調する必要がある。このような大信号変調に近い直接変調では、上述したように過渡的な周波数チャープが大きくなってしまい、結果として長距離の光ファイバ伝送を実現することができなくなる。すなわち、単一のリング共振型光フィルタのドロップ・ポートを用いた方法では、消光比の改善と伝送距離の長距離化とを両立させることが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、半導体レーザの動作条件を一定の範囲内に設定してPLCからなる光フィルタと組み合わせることにより、消光比の向上および長距離伝送の両方を達成することができる光送信装置、光通信システムおよび光送信方法を提供することを目的とする。
本発明は、ベースバンド電気信号に従って変調された送信光信号を出力する光送信装置において、ベースバンド電気信号に従って直接変調されることで搬送波の周波数が変調された変調光信号を出力する半導体レーザと、前記変調光信号の周波数変調成分を振幅変調信号に変換して送信光信号を出力する光フィルタとを有し、前記半導体レーザの線幅増大係数をα、前記半導体レーザを直接変調する駆動電流の振幅をΔI、前記半導体レーザの直流バイアス電流をIb、前記半導体レーザの閾値電流をIth、前記変調光信号のマーク光信号とスペース光信号との周波数差をΔf、光送信装置から出力された前記送信光信号を伝送する光ファイバの分散長をLD、前記光ファイバの長さをL、前記光ファイバに入力される前の前記送信光信号の最小のパルス幅をT0、光ファイバ伝送後の前記送信光信号の最小のパルス幅をT1としたとき、前記半導体レーザの動作条件は、
を満たすことを特徴とするものである。
また、本発明の光通信システムは、前記光送信装置と、この光送信装置から出力された送信光信号を受信する光受信装置と、前記光送信装置と光受信装置とを光学的に接続する光伝送路とを有することを特徴とするものである。
また、本発明は、ベースバンド電気信号に従って変調された送信光信号を出力する光送信装置を用いる光送信方法において、ベースバンド電気信号に従って半導体レーザを直接変調することで搬送波の周波数が変調された変調光信号を生成する変調手順と、前記変調光信号を光フィルタへ入力させることで、前記変調光信号の周波数変調成分を振幅変調信号に変換して送信光信号を生成する変換手順とを備え、前記半導体レーザの線幅増大係数をα、前記半導体レーザを直接変調する駆動電流の振幅をΔI、前記半導体レーザの直流バイアス電流をIb、前記半導体レーザの閾値電流をIth、前記変調光信号のマーク光信号とスペース光信号との周波数差をΔf、光送信装置から出力された前記送信光信号を伝送する光ファイバの分散長をLD、前記光ファイバの長さをL、前記光ファイバに入力される前の前記送信光信号の最小のパルス幅をT0、光ファイバ伝送後の前記送信光信号の最小のパルス幅をT1としたとき、前記半導体レーザの動作条件は、
を満たすことを特徴とするものである。
本発明によれば、半導体レーザの動作条件を一定の範囲内に設定して光フィルタと組み合わせることにより、消光比の向上および高品質な長距離光ファイバ伝送の両方を同時に達成することができる。また、本発明では、光送信装置の小型化および低価格化が可能となる。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る光送信装置を用いた光通信システムの構成を示すブロック図である。
本実施の形態の光通信システムは、光送信装置10と、光受信装置20と、光ファイバ等の光伝送路30とから構成される。光送信装置10と光受信装置20とは、光伝送路30を通して通信可能である。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る光送信装置を用いた光通信システムの構成を示すブロック図である。
本実施の形態の光通信システムは、光送信装置10と、光受信装置20と、光ファイバ等の光伝送路30とから構成される。光送信装置10と光受信装置20とは、光伝送路30を通して通信可能である。
光送信装置10は、駆動回路12と、半導体レーザ13と、非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14とを機能的構成要素として有する。ベースバンド電気信号11は、駆動回路12に入力される。駆動回路12は、ベースバンド電気信号11に応じた変調電流16を生成する。半導体レーザ13は、発振閾値より大きい直流バイアス電流に重畳された変調電流16により直接変調される。このとき、半導体レーザ13から出力される変調光信号17は、半導体レーザ13の活性層の非線形利得およびプラズマ振動の効果により周波数変調される。
半導体レーザ13によって周波数変調された変調光信号17は、非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14へ入力される。光フィルタ14は、変調光信号17の周波数変調成分を振幅変調光信号へ変換し、変換された振幅変調光が送信光信号15として光伝送路30へ送出される。
光送信装置10から出力された送信光信号15は、光伝送路30を伝搬した後、光受信装置20へ入力される。光受信装置20は、光伝送路30から光信号を受信し電気信号に変換する受光素子(不図示)と、この受光素子から出力された受信信号の処理を行う電子回路(不図示)とを有する。
次に、上述した光送信装置10の構成による光送信方法について、図2乃至図4を用いて動作原理を説明する。
図2は半導体レーザ13の駆動電流と出力される光強度との関係を示したものである。半導体レーザ13の閾値電流の値はIthである。直流バイアス回路(不図示)から閾値電流Ithよりも十分高い直流のバイアス電流Ibを半導体レーザ13に印加し、さらにバイアス電流Ibに電流振幅ΔIの駆動電気信号131を重畳することにより、半導体レーザ13から光信号132が出力される。
図2は半導体レーザ13の駆動電流と出力される光強度との関係を示したものである。半導体レーザ13の閾値電流の値はIthである。直流バイアス回路(不図示)から閾値電流Ithよりも十分高い直流のバイアス電流Ibを半導体レーザ13に印加し、さらにバイアス電流Ibに電流振幅ΔIの駆動電気信号131を重畳することにより、半導体レーザ13から光信号132が出力される。
図2では光信号132の光強度信号成分のみを示しているが、光信号132の周波数変調信号成分を示したのが図3(A)、光信号132の強度変調信号成分を示したのが図3(B)である。図3(A)、図3(B)に示した波形は、半導体レーザ13の緩和振動周波数よりもベースバンド電気信号11のビットレートが十分に低い場合の波形である。光信号132の強度変調信号成分のtrはパルス立上り時間、tfは強度変調信号成分の立下り時間である。また、光信号132の周波数変調信号成分は、スペース信号からマーク信号への周波数シフトと、スペース信号からマーク信号へ偏移した時に過渡的に生ずる過渡的周波数チャープとから成る。
周波数チャープを含むガウス波形は、次式(1)のように表される。この式(1)は、文献「G.P.アグラワール著、“非線形ファイバ光学”、吉岡書店、物理学叢書、71−77頁」に開示されている。
式(1)において、Tは光強度が1/eになる光パルス全幅、Cはチャープ・パラメータである。また、送信光信号15を伝送する光ファイバ(光伝送路30)の分散長LDは次式(2)のように表すことができる。
式(2)において、βは伝搬定数を搬送波周波数のまわりでテーラー展開することにより得られる2次の分散である。式(1)について光ファイバ中の光パルスの伝搬方程式を解くことにより、パルス幅T0の光パルスが長さLの光ファイバの伝搬後にパルス幅T1以内に分散による拡がりを抑えるための条件式は、以下に示す式(3)のように計算される。
式(3)において、パルス幅T0およびパルス幅T1は、光パルスの半値全幅で定義されている。チャープパラメータCと半導体レーザの過渡的周波数チャープΔftrとは、次式(4)の関係がある。この式(4)は、文献「G.P.アグラワール著、“非線形ファイバ光学”、吉岡書店、物理学叢書、71−77頁」、文献「アイ・トリプル・イー・ジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー誌、第14巻、839−850頁(IEEE Journal of Lightwave Technology, vol.14, pp.839-850)」、文献「アプライド・オプティクス誌、第20巻、3573−3579頁(Applied Optics, vol.20, pp.3573-3579)」に開示されている。
式(4)において、Δfは変調光信号のマーク光信号とスペース光信号の周波数差、Δtは周波数がチャープする時間である。過渡的周波数チャープΔftrは、次式(5)で表される。この式(5)は、文献「アイ・トリプル・イー・ジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー誌、第14巻、839−850頁(IEEE Journal of Lightwave Technology, vol.14, pp.839-850)」に開示されている。
式(5)において、αは半導体レーザの線幅増大係数、Pは半導体レーザから出力される光信号の強度である。
本実施の形態は、光信号の強度変調と同時にかかる周波数変調と、光フィルタ透過特性のスロープとを利用し、スペース信号強度を抑圧してマーク信号のみを取り出す光変調方法に関するものである。
本実施の形態は、光信号の強度変調と同時にかかる周波数変調と、光フィルタ透過特性のスロープとを利用し、スペース信号強度を抑圧してマーク信号のみを取り出す光変調方法に関するものである。
本実施の形態では、アップ・チャープとダウン・チャープの互いに反対方向のチャープのうち、光パルス立上りにおいてスペース信号からマーク信号へ偏移するアップ・チャープのみを考えればよい。その理由は、光パルス立下りのダウン・チャープは信号強度がゼロとなる方向へのチャープであり、伝送特性に支配的には効かないからである。
光ファイバの伝送特性は、ランダムに変調された光信号のうち最も周波数スペクトルが広い信号、すなわち、ベースバンド電気信号11のビットレートの逆数の時間を半値全幅とする光パルスの伝搬特性で決まる。高速変調用に電極の寄生容量が低減された半導体レーザの場合、変調帯域は通常の動作条件で10GHz程度となる。すなわち、ベースバンド電気信号11のビットレートが10Gb/sの場合、半導体レーザの変調帯域はほぼビットレートと等しくなる。したがって、ベースバンド電気信号11のビットレートと半導体レーザの変調帯域がほぼ等しい場合、周波数がチャープする時間と光パルス立上り時間はビットレートの逆数の時間で近似できる。
以上より、式(3)に式(4)および式(5)を代入して変形し、図2の関係を用いることにより、式(3)は次式(6)のようになる。
本実施の形態による光送信方法は、半導体レーザ13の動作条件を上記の式(6)とすることにより、光信号の波形劣化の少ない高品質な長距離ファイバ伝送を可能とするものである。変調光信号の周波数変調成分を振幅変調成分へ変換する光フィルタ14は、PLCで作ることができるリング共振器、あるいは非対称マッハツェンダ干渉計のいずれでもよい。
一方、伝送システムのITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication sector)等の規格を充足するためには、伝送距離に加えて光送信波形の消光比の改善が必要である。したがって、式(6)の条件に加えて、光フィルタ14として非対称マッハツェンダ干渉計を用い、その構成を最適に設計する必要がある。以下、その設計について説明する。
図4において、一点破線で示す140は、本実施の形態で用いる非対称マッハツェンダ干渉計から構成される光フィルタ14の透過特性である。図4の横軸は光周波数であり、縦軸は光強度を対数で表したものである。図4において、破線で示す170は変調光信号17の光周波数スペクトル、実線で示す150は送信光信号15の周波数スペクトルである。
図4に示した送信光信号15のスペクトル150は、変調光信号17のスペクトル170のうち低周波側の成分が光フィルタ14の透過特性により抑圧されることにより形成される。図4に示すように、送信光信号15のスペクトル150は、主信号151と残留側波帯152とから成る。主信号151は、ベースバンド電気信号11の光ファイバ伝送に寄与するが、残留側波帯152は、光ファイバの分散の効果により伝送信号品質の劣化をもたらす。
したがって、伝送信号品質の劣化を抑えるためには、送信光信号15の残留側波帯152を必要十分に抑圧する必要がある。図4中、抑圧比Sは残留側波帯152の光強度が最大となる光周波数における光フィルタ14の透過率で与えられる。
図4に示した変調光信号17の光周波数スペクトル170は、ベースバンド電気信号11で最も短時間に変化する信号成分のフーリエ変換に、半導体レーザ13のダイナミクスにより発生する周波数変調および周波数チャープの効果が重畳されたスペクトル形状となる。ここで、ベースバンド電気信号11で最も短時間に変化する近接する3ビットの信号パターンは、“010”又は“101”であり、これらの信号パターンは各々1/8の確率で現れる。
半導体レーザ13が小信号変調動作であり、半導体レーザ13の非線形利得や寄生容量の効果による変調帯域がベースバンド電気信号11のビットレートに近い場合、半導体レーザ13の緩和振動周波数の波形は、ベースバンド電気信号11のビットレートの逆数を半値幅とするガウス関数で近似することができる。例えばベースバンド電気信号11のビットレートが10Gb/sの場合、“010”の信号パターンに相当するパルス波形は、半値幅100ピコ秒のガウス波形で近似することができ、フーリエ変換限界の場合は周波数スペクトルの形状もガウス関数となり、そのガウス関数の半値幅は4.4GHzである(文献「G.P.アグラワール著、非線形ファイバ光学、吉岡書店、物理学叢書、71−77頁」参照)。
変調光信号17は周波数変調されるため、変調光信号17のスペクトル半値幅Wはフーリエ変換限界の値よりも大きくなる。図4中に示したスペース(“0”)、マーク(“1”)は、この周波数変調を受けた半導体レーザ13からの変調光信号17のスペース(“0”)、マーク(“1”)に対応する光周波数の平均値である。
また、図4におけるf0は変調光信号17のスペース(“0”)光信号の周波数と光フィルタ14の透過率が最小となる周波数との差(ディチューニング)であり、fcは変調光信号17のスペクトル中心周波数と光フィルタ14の透過率が最小となる周波数との差(ディチューニング)である。また、消光比ERは、変調光信号17のスペース(“0”)、マーク(“1”)に対応する光周波数の平均値における光フィルタ14の透過率で与えられる。
半導体レーザ13から出力される変調光信号17の周波数スペクトルI(f)は、その形状がガウス関数で近似できる場合、次式(7)で表される。
式(7)において、Wは変調光信号17のスペクトル半値幅である。また、非対称マッハツェンダ干渉計から構成される光フィルタ14の透過特性H(f)は、干渉計の損失が無視でき、干渉計を構成する分波器・合波器の分岐比が0.5の場合、次式(8)で表される。
式(8)において、FSRは非対称マッハツェンダ干渉計のフリー・スペクトラル・レンジであり、透過率が最小となる周波数を原点としている。
式(2)においてcosine関数をf=0近傍での冪乗展開で近似すると、光フィルタ14から出力される残留側波帯のスペクトルPs(f)は、次式(9)によって表される。
式(2)においてcosine関数をf=0近傍での冪乗展開で近似すると、光フィルタ14から出力される残留側波帯のスペクトルPs(f)は、次式(9)によって表される。
Ps(f)が最大となる周波数を計算し、この周波数を冪乗展開で近似した非対称マッハツェンダ干渉計の透過特性H(f)に代入することにより、非対称マッハツェンダ干渉計による残留側波帯の抑圧量が高品質な光信号のファイバ伝送に必要な抑圧比Sより大きくなる条件は、次式(10)で表される。
一方、図4から、変調光信号17のスペース(“0”)光信号の周波数f0とマーク(“1”)の変調光信号17の周波数f1について式(2)を計算することにより、消光比ERと光出力Pを満たすための条件は次式(11)で表される。
ここで、光出力Pは、送信光信号15の主信号151の光強度を、光フィルタ14に入力した変調光信号17の光強度で規格化した値である。
式(10)および式(11)より、高い光出力および消光比を得つつ残留側波帯を十分に抑えて高品質な光ファイバ伝送を実現するために光フィルタ14が満たすべきFSRの条件は、次式(12)で表される。
式(10)および式(11)より、高い光出力および消光比を得つつ残留側波帯を十分に抑えて高品質な光ファイバ伝送を実現するために光フィルタ14が満たすべきFSRの条件は、次式(12)で表される。
以上により、本実施の形態では、半導体レーザ13の動作条件を一定の範囲内に設定して光フィルタ14と組み合わせることにより、消光比の向上および高品質な長距離光ファイバ伝送の両方を達成することができる。また、本実施の形態では、光送信装置10の小型化および低価格化が可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の構成および効果をより具体的に説明するものである。本実施の形態の光送信装置を用いた光通信システムの構成は、図1に示したとおりである。ここでは、ビットレート10Gb/sの2値のベースバンド電気信号11によりコード化された送信光信号17が、マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14から出力される。ベースバンド電気信号11は、2値のNRZ(Non Return Zero)信号である。本実施の形態においては、波長1.5ミクロン帯で伝送容量10Gb/sの信号を光ファイバ伝送することができる。また、光伝送路30には分散値16psec/nm/kmの標準シングルモード・ファイバを用い、長さは80kmで分散の補償は行っていない。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の構成および効果をより具体的に説明するものである。本実施の形態の光送信装置を用いた光通信システムの構成は、図1に示したとおりである。ここでは、ビットレート10Gb/sの2値のベースバンド電気信号11によりコード化された送信光信号17が、マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14から出力される。ベースバンド電気信号11は、2値のNRZ(Non Return Zero)信号である。本実施の形態においては、波長1.5ミクロン帯で伝送容量10Gb/sの信号を光ファイバ伝送することができる。また、光伝送路30には分散値16psec/nm/kmの標準シングルモード・ファイバを用い、長さは80kmで分散の補償は行っていない。
ビットレート10Gb/sの2値のベースバンド電気信号11は、駆動回路12に入力される。駆動回路12から出力される変調電流16により、半導体レーザ13は直接変調される。
半導体レーザ13から出力される変調光信号17の周波数変調成分は、マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14により振幅変調光へ変換され、送信光信号15として出力される。このようにして送信光信号15は、ビットレート10Gb/sの2値のベースバンド電気信号11によりコード化された信号となる。
半導体レーザ13から出力される変調光信号17の周波数変調成分は、マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14により振幅変調光へ変換され、送信光信号15として出力される。このようにして送信光信号15は、ビットレート10Gb/sの2値のベースバンド電気信号11によりコード化された信号となる。
半導体レーザ13には、直流バイアス回路(不図示)により発振閾値より大きい直流電流が加えられている。この直流電流に重畳して印加される変調電流16により、半導体レーザ13は直接変調される。半導体レーザ13としては、市販の分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)、たとえば両端面が無反射コート処理されたλ/4シフト分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)を使用することができる。このλ/4シフト分布帰還型半導体レーザ13の共振器長は300ミクロン、グレーティング結合定数κは7000m-1、活性層幅は2ミクロン、活性層厚は0.05ミクロン、光閉じ込め係数は0.1、αパラメータは4、微分利得係数は6.5×10-20m2、非線形利得係数は4.5×10-23m3、共振器内部損失は3000m-1、閾値電流は10ミリアンペアである。
ただし、半導体レーザ13のこれらのパラメータ値は設計例の一つである。通常の多層の量子井戸あるいは歪量子井戸構造を活性層とした分布帰還型半導体レーザとして実現することのできる範囲内において、本実施の形態に示した値以外にも、光通信システムの仕様や光送信装置10の特性に合わせて最適に設計することができる。なお、本実施の形態では、駆動回路12の帯域は遮断周波数を10GHzとしている。
図5は本実施の形態において使用される非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14の概略的構造を示す模式的な平面図である。非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14は、シリコン基板上に形成された酸化・窒化シリコン(SiON)層をコアとし、酸化シリコン(SiO2)をクラッド層とした平面光導波路回路(PLC)である。
光入力部141に入力された光信号は、第一の方向性結合器142により2分岐され、短い導波路143と長い導波路144に導かれる。短い導波路143と長い導波路144を各々導波した光信号は、第二の方向性結合器145により合波され、光出力部146より出力される。ここで、非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14のフリー・スペクトラル・レンジFSRは、短い導波路143と長い導波路144の光信号の伝播時間差の逆数で与えられる。
非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14は、誘電体多層膜から成る面入射型の光フィルタと異なり、原理的に反射光は光入力部141に戻ることがない。このため、半導体レーザ13と光フィルタ14との間の光アイソレータが不要となり、光送信装置の小型化および低価格化が可能となる。また、フリップ・チップ実装等の、シリコン基板上のPLCと半導体レーザとの自動組立技術により、半導体レーザ13とリング共振型光フィルタ14のハイブリッド集積も可能である。
本実施の形態においては、光フィルタ14のFSRは15乃至50GHz、第一の方向性結合器142および第二の方向性結合器145のパワー分岐比は0.5とし、導波路の伝播損失は無視している。
以下、具体的な計算結果に基づき本実施の形態の動作について説明する。ここでは、分布帰還型半導体レーザの動作を単一モードのレート方程式で近似し、スプリット・ステップ・フーリエ法により光ファイバ伝送特性を解析した計算結果を示す。また、本実施の形態により実現する光送信装置10の仕様は、送信光信号15の消光比を10dB、SMF伝送距離を80kmとする。
半導体レーザ13は、消光比10dBを得るためにスペース符号時の搬送波周波数を光フィルタ14の透過が最小となる周波数より1〜3GHz程度高周波数側になるように直流バイアスされる。したがって、マーク符号時の搬送波周波数は、スペース符号時の搬送波周波数よりもマーク/スペースの周波数差Δfの分だけ高周波側に位置することになるから、非対称マッハツェンダ干渉計から成る光フィルタ14による分散補償の効果はほとんど無い。
まず、半導体レーザ13の動作条件が式(6)を満たしていない場合について説明する。変調電流16の電流振幅を25ミリアンペア、直流バイアスをスペース符号時の電流値として35ミリアンペアとした場合の変調光信号17の振幅変調波形を図6(A)に示し、変調光信号17の周波数変調波形を図6(B)に示す。図6(A)、図6(B)より、この場合の波形は緩和振動および過渡的周波数チャープを含む波形であることがわかる。また図6(B)より、マーク/スペースの周波数差Δfは約7GHzであることがわかる。
これらの条件を用いて式(6)の左辺を計算すると、左辺の値は1.6となる。また、光ファイバの分散長LDは、上記の式(2)より180kmと計算される。アイ開口が狭くなることによるペナルティを1−2dB程度として伝送によるパルス幅の拡がりを30%まで許容すると、式(6)の右辺の値は0.841となる。すなわち、この動作条件では、式(13)の不等式で与えられる条件は満たさない。
図7(A)は光フィルタとして非対称マッハツェンダ干渉計を用いた場合の送信光信号15のバック・トゥー・バック(B2B)アイパターンを示す図、図7(B)は80km伝送後のアイパターンを示す図である。図7(A)、図7(B)によると、半導体レーザ13の動作条件が式(6)を満たしていない場合、ファイバ伝送により光信号の波形が著しく劣化し、80km伝送は困難であることがわかる。
一方、本実施の形態においては、半導体レーザ13の変調電流16の電流振幅を16ミリアンペアとし、半導体レーザ13の直流バイアスをスペース符号時の電流値が80ミリアンペアになるようにして、式(6)の条件を満たすように設定している。
図8(A)は本実施の形態の変調光信号17の振幅変調波形を示す図、図8(B)は同じく変調光信号17の周波数変調波形を示す図である。図8(A)、図8(B)より、非線形利得および駆動回路12の帯域制限の効果により、緩和振動および過渡的周波数チャープがほとんど無い波形であることがわかる。また図8(B)より、マーク/スペースの周波数差Δfは約4.4GHzであることがわかる。
これらの条件を用いて式(6)の左辺を計算すると、左辺の値は0.805となる。上述のように、式(6)の右辺の値は0.841であるから、本実施の形態における半導体レーザ13の動作条件は式(6)の不等式で与えられる条件を充足している。
図9(A)は本実施の形態において非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを50GHzとした場合の送信光信号15のバック・トゥー・バック(B2B)アイパターンを示す図、図9(B)は80km伝送後のアイパターンを示す図である。
また、図10(A)は本実施の形態において非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを50GHzとした場合の変調光信号17のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図、図10(B)は送信光信号15のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図である。
また、図10(A)は本実施の形態において非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを50GHzとした場合の変調光信号17のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図、図10(B)は送信光信号15のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図である。
図10(A)、図10(B)において、100は光フィルタ14の透過特性、101は変調光信号17のスペクトル、102は送信光信号15のスペクトルである。
図10(A)からわかるように、本実施の形態の動作条件では変調光信号17のスペクトル101は半値幅5GHzのガウス関数で近似することができる。この半値幅Wは、半導体レーザ13が緩和振動や過渡的チャープが無い条件で動作している場合、ビットレートBとマーク/スペースの周波数差Δfとの間で、式(13)の範囲の値となる。
図10(A)からわかるように、本実施の形態の動作条件では変調光信号17のスペクトル101は半値幅5GHzのガウス関数で近似することができる。この半値幅Wは、半導体レーザ13が緩和振動や過渡的チャープが無い条件で動作している場合、ビットレートBとマーク/スペースの周波数差Δfとの間で、式(13)の範囲の値となる。
半値幅Wの上限はマーク/スペースの周波数差Δfがガウス関数の時間応答として与えられた場合の値であり、半値幅Wの下限はフーリエ変換限界である。本実施の形態の動作条件は式(13)を満たしている。
また、本実施の形態では、50GHz程度のFSRの値を用いれば、図10(B)に示すように送信光信号15のスペクトルの残留側波帯152を25dB(抑圧比320に相当)以上低減することができる。その結果、図9(A)、図9(B)からわかるようにバック・トゥー・バック(B2B)での消光比10dBを確保しつつ、80kmまでほぼペナルティのない高品質なファイバ伝送が可能である。
しかしながら、FSRを50GHzとした場合、図10(A)からわかるように主信号151の成分も減衰を受ける。本実施の形態では、送信光信号15の平均光パワーは約1.7mWとなり、トランシーバ・モジュール等に組み立てた時の光学損失を考慮すると、実用上不十分である。送信光信号15を高出力化するためには、FSRを小さくする必要があるが、FSRを小さくすると、同時に送信光信号15のスペクトルの残留側波帯152の抑圧比も低下する。したがって、最適設計が必要である。
上述の式(12)に、本実施の形態に対応するf0=2.5GHz、fc=5GHz、ER=10、P=0.5、S=32、W=5GHzを代入すると、次式(14)が得られる。
50GHz>FSR>25GHz ・・・(14)
50GHz>FSR>25GHz ・・・(14)
ここで、変調光信号のスペクトル中心周波数の光周波数ディチューニングfcは、変調光信号17のスペクトル半値幅Wとの関係より、式(15)で与えられる。
式(14)から、高出力化のためにFSRは25GHzまで小さくすることができることがわかる。図11(A)は上述の設計指針に従って非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを25GHzとした場合の送信光信号15のバック・トゥー・バック(B2B)アイパターンを示す図、図11(B)は80km伝送後のアイパターンを示す図である。図12(A)は非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを25GHzとした場合の変調光信号17のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図、図12(B)は送信光信号15のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図である。
この場合、図12(A)、図12(B)からわかるように送信光信号15のスペクトルの残留側波帯の抑圧比Sとして59(18dB)を得つつ、光フィルタ14の透過損失を大幅に低減することができる。すなわち、送信光信号15のバック・トゥー・バック(B2B)の消光比として10dBを実現することができ、送信光信号15の平均光パワーとして5.5mWを実現することができ、そして80kmまでほぼペナルティのない高品質なファイバ伝送を実現することができる。
一方、図13(A)は式(14)の条件を満たさず非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを15GHzとした場合の送信光信号15のバック・トゥー・バック(B2B)アイパターンを示す図、図13(B)は80km伝送後のアイパターンを示す図である。図14(A)は非対称マッハツェンダ干渉計のFSRを15GHzとした場合の変調光信号17のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図、図14(B)は送信光信号15のスペクトルと非対称マッハツェンダ干渉計からなる光フィルタ14の透過特性との関係を示す図である。
式(14)の条件を満たさない場合は、送信光信号15のスペクトルの残留側波帯の抑圧が不十分となる。この場合、図14(A)、図14(B)からわかるように残留側波帯の抑圧比Sは9.5(9.8dB)しか得られない。すなわち、送信光信号15の平均光パワーを約8.9mWまで改善することができるが、残留側波帯の抑圧が不十分であるため、伝送距離80kmにおいても著しい波形劣化を生じ、高品質な光信号のファイバ伝送は困難となる。
以上より、抑圧比Sとして40(16dB)以上としておけば、残留側波帯による信号品質の劣化の無い光ファイバ伝送が可能であると結論される。
なお、本実施の形態においてはベースバンド信号のビットレートを10Gb/sとしたが、2.5Gb/sや40Gb/s等の他のビットレートの場合も本発明を適用可能である。
なお、本実施の形態においてはベースバンド信号のビットレートを10Gb/sとしたが、2.5Gb/sや40Gb/s等の他のビットレートの場合も本発明を適用可能である。
本発明は、半導体レーザと非対称マッハツェンダ干渉計型光フィルタとを組み合わせた光送信装置一般に提供可能である。
10…光送信装置、11…ベースバンド電気信号、12…駆動回路、13…半導体レーザ、14…光フィルタ、20…光受信装置、30…光伝送路、141…光入力部、142…第一の方向性結合器、143…短い導波路、144…長い導波路、145…第二の方向性結合器、146…光出力部、151…主信号、152…残留側波帯。
Claims (23)
- ベースバンド電気信号に従って変調された送信光信号を出力する光送信装置において、
ベースバンド電気信号に従って直接変調されることで搬送波の周波数が変調された変調光信号を出力する半導体レーザと、
前記変調光信号の周波数変調成分を振幅変調信号に変換して送信光信号を出力する光フィルタとを有し、
前記半導体レーザの線幅増大係数をα、前記半導体レーザを直接変調する駆動電流の振幅をΔI、前記半導体レーザの直流バイアス電流をIb、前記半導体レーザの閾値電流をIth、前記変調光信号のマーク光信号とスペース光信号との周波数差をΔf、光送信装置から出力された前記送信光信号を伝送する光ファイバの分散長をLD、前記光ファイバの長さをL、前記光ファイバに入力される前の前記送信光信号の最小のパルス幅をT0、光ファイバ伝送後の前記送信光信号の最小のパルス幅をT1としたとき、前記半導体レーザの動作条件は、
- 請求項1に記載の光送信装置において、
前記光フィルタは、非対称マッハツェンダ干渉計であることを特徴とする光送信装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光送信装置において、
前記送信光信号に含まれる残留側波帯の抑圧比Sは、40以上の値であることを特徴とする光送信装置。 - 請求項2乃至7のいずれか1項に記載の光送信装置において、
前記光フィルタを構成する非対称マッハツェンダ干渉計は、前記半導体レーザから出力された変調光信号を2分岐する第一の方向性結合器と、前記2分岐された光信号を導く互いに長さが異なる2本の光導波路と、この2本の光導波路によって導かれた各々の光信号を合波する第二の方向性結合器とから成ることを特徴とする光送信装置。 - 請求項8に記載の光送信装置において
前記非対称マッハツェンダ干渉計の透過特性のダイナミックレンジが20dB以上となるように前記第一、第二の方向性結合器の分岐比が与えられていることを特徴とする光送信装置。 - 請求項8に記載の光送信装置において、
前記非対称マッハツェンダ干渉計のフリー・スペクトラル・レンジFSRが前記2本の光導波路の長さの差で与えられていることを特徴とする光送信装置。 - 請求項2乃至10のいずれか1項に記載の光送信装置において、
前記光フィルタを構成する非対称マッハツェンダ干渉計は、平面光導波路回路により構成されていることを特徴とする光送信装置。 - 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光送信装置において、
前記光フィルタは、前記半導体レーザとハイブリッド集積されていることを特徴とする光送信装置。 - 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光送信装置と、
この光送信装置から出力された送信光信号を受信する光受信装置と、
前記光送信装置と光受信装置とを光学的に接続する光伝送路とを有することを特徴とする光通信システム。 - ベースバンド電気信号に従って変調された送信光信号を出力する光送信装置を用いる光送信方法において、
ベースバンド電気信号に従って半導体レーザを直接変調することで搬送波の周波数が変調された変調光信号を生成する変調手順と、
前記変調光信号を光フィルタへ入力させることで、前記変調光信号の周波数変調成分を振幅変調信号に変換して送信光信号を生成する変換手順とを備え、
前記半導体レーザの線幅増大係数をα、前記半導体レーザを直接変調する駆動電流の振幅をΔI、前記半導体レーザの直流バイアス電流をIb、前記半導体レーザの閾値電流をIth、前記変調光信号のマーク光信号とスペース光信号との周波数差をΔf、光送信装置から出力された前記送信光信号を伝送する光ファイバの分散長をLD、前記光ファイバの長さをL、前記光ファイバに入力される前の前記送信光信号の最小のパルス幅をT0、光ファイバ伝送後の前記送信光信号の最小のパルス幅をT1としたとき、前記半導体レーザの動作条件は、
- 請求項14に記載の光送信方法において、
前記光フィルタは、非対称マッハツェンダ干渉計であることを特徴とする光送信方法。 - 請求項14乃至19のいずれか1項に記載の光送信方法において、
前記送信光信号に含まれる残留側波帯の抑圧比Sは、40以上の値であることを特徴とする光送信方法。 - 請求項15乃至20のいずれか1項に記載の光送信方法において、
前記光フィルタを構成する非対称マッハツェンダ干渉計は、前記半導体レーザから出力された変調光信号を2分岐する第一の方向性結合器と、前記2分岐された光信号を導く互いに長さが異なる2本の光導波路と、この2本の光導波路によって導かれた各々の光信号を合波する第二の方向性結合器とから成ることを特徴とする光送信方法。 - 請求項21に記載の光送信方法において、
前記非対称マッハツェンダ干渉計の透過特性のダイナミックレンジが20dB以上となるように前記第一、第二の方向性結合器の分岐比が与えられていることを特徴とする光送信方法。 - 請求項21に記載の光送信方法において、
前記非対称マッハツェンダ干渉計のフリー・スペクトラル・レンジFSRが前記2本の光導波路の長さの差で与えられていることを特徴とする光送信方法。
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JP2009012697A JP2010171763A (ja) | 2009-01-23 | 2009-01-23 | 光送信装置、光通信システムおよび光送信方法 |
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JP2014103446A (ja) * | 2012-11-16 | 2014-06-05 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 光受信器および光送受信システム |
-
2009
- 2009-01-23 JP JP2009012697A patent/JP2010171763A/ja active Pending
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