JP2010171346A - 電気二重層キャパシタ用電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の電気化学素子用電極よりも、さらに単位体積あたりの静電容量を大きく、かつ内部抵抗を小さくすることができる電気二重層キャパシタ用電極を製造する方法を提供する。
【解決手段】水蒸気で賦活した活性炭、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭、及び結着剤を含有してなる電極層組成物を、集電体上に塗布する工程を含み、前記組成物中の、水蒸気で賦活した活性炭の含有割合を固形分でA重量%、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭の含有割合を固形分でB重量%、結着剤の含有割合を固形分でC重量%としたとき、以下の(1)〜(4)式を全て満足することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
A≦49 (1)
B≦50 (2)
0<C≦8 (3)
76≦A+B≦99 (4)
【選択図】なし
【解決手段】水蒸気で賦活した活性炭、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭、及び結着剤を含有してなる電極層組成物を、集電体上に塗布する工程を含み、前記組成物中の、水蒸気で賦活した活性炭の含有割合を固形分でA重量%、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭の含有割合を固形分でB重量%、結着剤の含有割合を固形分でC重量%としたとき、以下の(1)〜(4)式を全て満足することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
A≦49 (1)
B≦50 (2)
0<C≦8 (3)
76≦A+B≦99 (4)
【選択図】なし
Description
本発明は、電気二重層キャパシタ電極の製造方法に関する。
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能な特性を活かして、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタおよびリチウムイオンキャパシタなどの電気化学素子は、その需要を急速に拡大している。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が比較的大きいことから、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータなどの分野で利用されている。また、電気二重層キャパシタは急速充放電が可能なので、パーソナルコンピュータ等のメモリーバックアップ小型電源として利用されている。さらに電気二重層キャパシタは電気自動車用の大型電源としての応用が期待されている。また、高いエネルギー密度と充放電速度の両立を目指し、正極、負極の2つの電極のうち、一方にファラデー反応電極、もう一方に非ファラデー反応電極を使用するハイブリッドキャパシタも開発が進められている。また、金属酸化物や導電性高分子の表面の酸化還元反応(疑似電気二重層容量)を利用するレドックスキャパシタもその容量の大きさから注目を集めている。これら電気化学素子には、用途の拡大や発展に伴い、低抵抗化、高容量化、機械的特性の向上など、より一層の特性の改善が求められている。そのようななかで、電気化学素子の性能を向上させるために電気二重層キャパシタ用電極を形成する材料についても様々な改善が行われている。
たとえば、特許文献1では、活性炭として水蒸気賦活活性炭と水蒸気賦活活性炭より粒子径の小さいアルカリ賦活活性炭、導電粒子、結着剤樹脂を特定の割合で使用する電気二重層キャパシタ用電極が紹介されている。
しかしながら、上記特許文献1の方法により得られる電極でも、単位体積あたりの静電容量の増加、内部抵抗の低減が不十分であり、さらに単位体積あたりの静電容量を大きく、かつ内部抵抗を小さくする必要がある。
したがって、本発明は、従来の電気二重層キャパシタ用電極よりも、さらに単位体積あたりの静電容量を大きく、かつ内部抵抗を小さくすることができる電気二重層キャパシタ用電極を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の活性炭2種類を、それぞれ特定量以下の量で、かつ、合計特定量の範囲で、特定量の結着剤と組み合わせた電極層組成物を集電体上に塗布して、電気二重層キャパシタ用電極を製造することにより静電容量が増加し、かつ内部抵抗が低減することを見出した。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、以下の事項を要旨として含む。
[1]水蒸気で賦活した活性炭、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭及び結着剤を含有してなる電極層組成物を、集電体上に塗布する工程を含み、
前記組成物中の、水蒸気で賦活した活性炭の含有割合を固形分でA重量%、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭の含有割合を固形分でB重量%、結着剤の含有割合を固形分でC重量%としたとき、以下の(1)〜(4)式を全て満足することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
A≦49 (1)
B≦50 (2)
0<C≦8 (3)
76≦A+B≦99 (4)
前記組成物中の、水蒸気で賦活した活性炭の含有割合を固形分でA重量%、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭の含有割合を固形分でB重量%、結着剤の含有割合を固形分でC重量%としたとき、以下の(1)〜(4)式を全て満足することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
A≦49 (1)
B≦50 (2)
0<C≦8 (3)
76≦A+B≦99 (4)
[2]前記結着剤が、フッ素を含まない重合体である電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
[3]前記結着剤が、(メタ)アクリレート系重合体又はジエン系重合体である電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
[4]前記結着剤のガラス転移温度が20℃以下である電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
[5]前記電極組成物が、さらに分散剤を含有するものである電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
本発明によれば、水蒸気で賦活した活性炭とアルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭を特定範囲の組成で併用した電極層組成物を集電体上に塗布することにより、静電容量を増加させ、かつ内部抵抗を小さくすることが可能な電気二重層キャパシタ電極を製造できる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法は、水蒸気で賦活した活性炭、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭、及び結着剤を含有してなる電極層組成物を、集電体上に塗布する工程を含む。
<電極層組成物>
(活性炭)
本発明の電気二重層キャパシタ用電極に用いる活性炭材料としては、フェノール系、レーヨン系、アクリル系、ピッチ系、又はヤシガラ系等の活性炭を挙げることができる。
(活性炭)
本発明の電気二重層キャパシタ用電極に用いる活性炭材料としては、フェノール系、レーヨン系、アクリル系、ピッチ系、又はヤシガラ系等の活性炭を挙げることができる。
本発明に用いる水蒸気で賦活した活性炭(以下、「水蒸気賦活活性炭」と略記することがある。)は、前記活性炭材料と水蒸気ガスとを加熱処理後に、洗浄、ろ過及び乾燥を繰り返して得られるものである。
水蒸気賦活活性炭のBET比表面積は、50〜2000m2/g、好ましくは200〜1,700m2/g、より好ましくは1000〜1,700m2/gである。水蒸気賦活活性炭のBET比表面積を前記範囲とすることにより低抵抗化と高容量化のバランスをはかることができる。
水蒸気賦活活性炭の体積平均粒径は、0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは12〜20μmである。
本発明では、電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合A重量%(固形分)は、以下の(1)式を満たす。
A≦49 (1)
電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合が固形分で49重量%を超えると、静電容量が低下する。また、電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合は、好ましくは固形分で40重量%以上49重量%以下、より好ましくは固形分で40重量%以上45重量%以下である。電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合を前記範囲とすることにより、電気二重層キャパシタの静電容量をより増大させることができる。
A≦49 (1)
電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合が固形分で49重量%を超えると、静電容量が低下する。また、電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合は、好ましくは固形分で40重量%以上49重量%以下、より好ましくは固形分で40重量%以上45重量%以下である。電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭の含有割合を前記範囲とすることにより、電気二重層キャパシタの静電容量をより増大させることができる。
本発明に用いるアルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭(以下、「アルカリ賦活活性炭」と略記することがある。)は、上記活性炭材料と水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ性薬剤とを混和し、加熱処理後に、洗浄、ろ過及び乾燥を繰り返して得られるものである。
本発明に用いるアルカリ賦活活性炭のBET比表面積は、1,500〜5,000m2/g、好ましくは2,000〜4,000m2/g、より好ましくは2,000〜3,000m2/gである。上記範囲にすることにより低抵抗化と高容量化のバランスをはかることができる。
アルカリ賦活活性炭の体積平均粒径は、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。
本発明では、電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合B重量%(固形分)は、以下の式(2)を満たす。
B≦50 (2)
電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合が固形分で50重量%を超えると、内部抵抗が増加する。また、電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合は、好ましくは固形分で40重量%以上50重量%以下、より好ましくは固形分で40重量%以上45重量%以下である。電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合を前記範囲とすることにより、電気二重層キャパシタの内部抵抗をより低減させることができる。
B≦50 (2)
電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合が固形分で50重量%を超えると、内部抵抗が増加する。また、電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合は、好ましくは固形分で40重量%以上50重量%以下、より好ましくは固形分で40重量%以上45重量%以下である。電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭の含有割合を前記範囲とすることにより、電気二重層キャパシタの内部抵抗をより低減させることができる。
本発明では、電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭の含有割合(A+B)重量%(固形分)は、以下の式(4)を満たす。
76≦A+B≦99 (4)
電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭の含有割合が、固形分で76重量%未満であると、静電容量密度が低下する、逆に固形分で99重量%を超えると、電極強度が低下する。電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭の含有割合は、好ましくは固形分で80重量%以上95重量%以下、より好ましくは固形分で85重量%以上95重量%以下である。電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭及び水蒸気賦活活性炭の含有割合を前記範囲とすることにより、静電容量の増加が可能となり、また電極強度の低下も防ぐことができる。
76≦A+B≦99 (4)
電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭の含有割合が、固形分で76重量%未満であると、静電容量密度が低下する、逆に固形分で99重量%を超えると、電極強度が低下する。電極層組成物中の水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭の含有割合は、好ましくは固形分で80重量%以上95重量%以下、より好ましくは固形分で85重量%以上95重量%以下である。電極層組成物中のアルカリ賦活活性炭及び水蒸気賦活活性炭の含有割合を前記範囲とすることにより、静電容量の増加が可能となり、また電極強度の低下も防ぐことができる。
(結着剤)
本発明に用いる結着剤としては、アルカリ賦活活性炭活性炭や水蒸気賦活活性炭、後述する導電剤などを結着させることができる重合体であれば、特に制限されないが、フッ素を含まない重合体であることが好ましい。結着剤が、フッ素を含まない重合体であることにより、フッ素を含む重合体より少ない使用量で結着が可能となるため、体積あたりの活性炭量を増やすことで静電容量密度の増加、また内部抵抗の低抵抗化が可能である。
本発明に用いる結着剤としては、アルカリ賦活活性炭活性炭や水蒸気賦活活性炭、後述する導電剤などを結着させることができる重合体であれば、特に制限されないが、フッ素を含まない重合体であることが好ましい。結着剤が、フッ素を含まない重合体であることにより、フッ素を含む重合体より少ない使用量で結着が可能となるため、体積あたりの活性炭量を増やすことで静電容量密度の増加、また内部抵抗の低抵抗化が可能である。
フッ素を含まない重合体としては、ジエン系重合体、(メタ)アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、中でも、ジエン系重合体やアクリレート系重合体が好ましい。結着剤として、ジエン系重合体や(メタ)アクリル系重合体を用いると、これらの結着剤は結着強度が大きいため、結着剤の使用量を低減することが可能で、さらなる高容量化、内部抵抗の低抵抗化が可能である。
ジエン系重合体は、共役ジエンの単独重合体もしくは共役ジエンを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体、またはそれらの水素添加物である。前記単量体混合物における共役ジエンの割合は通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;スチレン・ブタジエン・メタクリル酸共重合体や、スチレン・ブタジエン・イタコン酸共重合体などの芳香族ビニル・共役ジエン・カルボン酸基含有単量体の共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBRなどが挙げられる。
(メタ)アクリレート系重合体は、一般式(1):CH2=CR1−COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。)で表される化合物由来の単量体単位を含む重合体である。一般式(1)で表される化合物の具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどのアクリレート;メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、アクリレートが好ましく、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが、得られる電極の強度を向上できる点で、特に好ましい。アクリレート系重合体中の一般式(1)で表される化合物由来の単量体単位の割合は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。前記一般式(1)で表される化合物由来の単量体単位の割合が前記範囲である(メタ)アクリレート系重合体を用いると、耐熱性が高く、かつ得られる電気二重層キャパシタ用電極の内部抵抗を小さくできる。
前記(メタ)アクリレート系重合体は、一般式(1)で表される化合物の他に、共重合可能なカルボン酸基含有単量体を用いることができ、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基酸含有単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基酸含有単量体が挙げられる。なかでも、二塩基酸含有単量体が好ましく、集電体との結着性を高め、電極強度を向上できる点で、イタコン酸が特に好ましい。これらの一塩基酸含有単量体、二塩基酸含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。共重合の際のカルボン酸基含有単量体の量は、一般式(1)で表される化合物100重量部に対して、通常は0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部の範囲である。カルボン酸基含有単量体の量がこの範囲であると、集電体との結着性に優れ、得られる電極強度が高まる。
前記(メタ)アクリレート系重合体は、一般式(1)で表される化合物の他に、共重合可能なニトリル基含有単量体を用いることができる。ニトリル基含有単量体の具体例としては、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどが挙げられ、中でもアクリロニトリルが、集電体との結着性が高まり、電極強度が向上できる点で好ましい。アクリロニトリルの量は、一般式(1)で表される化合物100重量部に対して、通常は0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲である。アクリロニトリルの量がこの範囲であると、集電体との結着性に優れ、得られる電極強度が高まる。
結着剤は、その形状によって特に制限はないが、結着性が良く、また、作成した電極の静電容量の低下や充放電の繰り返しによる劣化を抑えることができるため、粒子状であることが好ましい。粒子状の結着剤としては、例えば、ラテックスのごとき分散型結着剤の粒子が水に分散した状態のものや、このような分散液を乾燥して得られる粉末状のものが挙げられる。
結着剤のガラス転移温度は、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることが特に好ましい。結着剤のガラス転移温度を前記範囲とすることにより、電極柔軟性が良好である。なお、結着剤のガラス転移温度の下限は、−50℃である。
粒子状の結着剤の数平均粒径は、格別な限定はないが、通常は0.0001〜100μm、好ましくは0.001〜10μm、より好ましくは0.01〜1μmである。結着剤の数平均粒径がこの範囲であるときは、少量の結着剤の使用でも優れた結着力を電極層に与えることができる。ここで、数平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだ結着剤粒子100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒径である。粒子の形状は球形、異形、どちらでもかまわない。
結着剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、電極層組成物中の結着剤の含有割合C重量%(固形分)は、以下の式(3)を満たす。
0<C≦8 (3)
電極層組成物中の結着剤の含有割合C重量%が、固形分で8重量%を超えると、静電容量密度が低下及び内部抵抗が増加する。電極組成物中の結着剤の含有割合は、好ましくは固形分で0.5重量%以上6重量%以下、より好ましくは固形分で1重量%以上5重量%以下である。電極層組成物中の結着剤の含有割合を前記範囲とすることにより、電極の機械的特性と電気特性のバランスを良好にすることができる。
本発明では、電極層組成物中の結着剤の含有割合C重量%(固形分)は、以下の式(3)を満たす。
0<C≦8 (3)
電極層組成物中の結着剤の含有割合C重量%が、固形分で8重量%を超えると、静電容量密度が低下及び内部抵抗が増加する。電極組成物中の結着剤の含有割合は、好ましくは固形分で0.5重量%以上6重量%以下、より好ましくは固形分で1重量%以上5重量%以下である。電極層組成物中の結着剤の含有割合を前記範囲とすることにより、電極の機械的特性と電気特性のバランスを良好にすることができる。
電極層組成物には、水蒸気賦活活性炭、アルカリ賦活活性炭、結着剤以外の他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、導電剤、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
(導電剤)
導電剤とは、導電性を有し、電気二重層を形成し得る細孔を有さない粒子状の炭素の同素体からなり、電気二重層キャパシタの導電性を向上させるものである。導電剤の具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベルケミカルズベスローテンフェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;が挙げられる。これらの中でも、導電性カーボンブラックが好ましく、アセチレンブラックおよびファーネスブラックがより好ましい。
導電剤とは、導電性を有し、電気二重層を形成し得る細孔を有さない粒子状の炭素の同素体からなり、電気二重層キャパシタの導電性を向上させるものである。導電剤の具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベルケミカルズベスローテンフェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;が挙げられる。これらの中でも、導電性カーボンブラックが好ましく、アセチレンブラックおよびファーネスブラックがより好ましい。
導電剤の体積平均粒径は、アルカリ賦活活性炭の体積平均粒径よりも小さいことが好ましく、具体的には0.001〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.01〜1μmの範囲である。導電剤の粒径がこの範囲にあると、より少ない使用量で高い導電性が得られる。
これらの導電剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。導電剤の量は、活性炭(水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭)100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部の範囲である。導電剤の量がこの範囲にある電極を使用すると電気二重層キャパシタの静電容量を高く且つ内部抵抗を低くすることができる。
(分散剤)
分散剤は、後述する溶媒に溶解させて用いられ、活性炭、結着剤、導電剤等を溶媒に均一に分散させる作用をさらに有するものである。例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリアクリル酸(またはメタクリル酸)ナトリウムなどのポリアクリル酸(またはメタクリル酸)塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。また複合粒子表面の表面平均空隙率を上げるためには、重量平均分子量が30万以上のものが好ましい。
分散剤は、後述する溶媒に溶解させて用いられ、活性炭、結着剤、導電剤等を溶媒に均一に分散させる作用をさらに有するものである。例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリアクリル酸(またはメタクリル酸)ナトリウムなどのポリアクリル酸(またはメタクリル酸)塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。また複合粒子表面の表面平均空隙率を上げるためには、重量平均分子量が30万以上のものが好ましい。
これら分散剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の使用量は、格別な限定はないが、活性炭(水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭)100重量部に対して、格別な限定はないが、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。分散剤を用いることで、スラリー中の固形分の沈降や凝集を抑制できる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、ノニオニックアニオンなどの両性の界面活性剤が挙げられるが、中でもアニオン性若しくはノニオン性の界面活性剤で熱分解しやすいものが好ましい。これら添加剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、ノニオニックアニオンなどの両性の界面活性剤が挙げられるが、中でもアニオン性若しくはノニオン性の界面活性剤で熱分解しやすいものが好ましい。これら添加剤は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の量は、格別な限定はないが、活性炭(水蒸気賦活活性炭及びアルカリ賦活活性炭)100重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは1〜5重量部の範囲である。
本発明に用いる電極層組成物は、通常、活性炭、結着剤、その他の成分が、水又は有機中に分散されたスラリー状のものである。
電極層組成物の製造方法としては、活性炭及び結着剤の必須成分と、必要に応じ添加される導電剤や分散剤や界面活性剤などの任意成分とを、水または有機溶媒中で混練することにより得られる。
電極層組成物の製造方法としては、活性炭及び結着剤の必須成分と、必要に応じ添加される導電剤や分散剤や界面活性剤などの任意成分とを、水または有機溶媒中で混練することにより得られる。
上記混練方法は、具体的にはボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、およびホバートミキサーなどを用いることができる。
電極層組成物の固形分濃度は、塗布法にもよるが、通常10〜60%、好ましくは15〜50%、特に好ましくは20〜40%である。固形分濃度がこの範囲にあると、得られる電極層が高充填化され、電気二重層キャパシタのエネルギー密度と出力密度が高まる。
本発明に用いる電極層組成物の粘度は、塗布法にもよるが、通常50〜10,000mPa・s、好ましくは100〜5,000mPa・s、特に好ましくは200〜2,000mPa・sである。電極層組成物の粘度がこの範囲にあると、集電体上へ均一な電極層を形成することができる。
本発明では、水蒸気で賦活した活性炭、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭、及び結着剤を含有してなる電極層組成物を、集電体上に塗布する。
集電体とは、集電機能を有する電極基体である。材料としては、例えば、金属、炭素、導電性高分子などを用いることができ、好適には金属が用いられる。金属としては、通常、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、銅、その他の合金等が使用される。これらの中で導電性、耐電圧性の面からアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用するのが好ましい。
本発明に用いる集電体の厚さは、通常5〜100μmで、好ましくは10〜70μm、特に好ましくは20〜50μmである。
電極層組成物の塗布方法としては、特に制限されず、例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗りなどの公知の方法が挙げられる。
本発明では、電極層組成物を集電体上に塗布した後、乾燥する工程を有することが好ましい。集電体上に塗布した電極層組成物の乾燥方法としては、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、集電体上に塗布した電極層組成物の溶媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度は通常50〜300℃、好ましくは80〜250℃である。乾燥時間は、通常2時間以下、好ましくは5秒〜30分である。
本発明により得られる電極層の厚さは、特に制限されないが、通常は5〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜300μmである。
電極層の密度は、特に制限されないが、通常は0.30〜10g/cm3、好ましくは0.35〜5.0g/cm3、より好ましくは0.40〜3.0g/cm3である。
(導電性接着剤層)
本発明においては、集電体と電極層の間に、導電性接着剤層を有していてもよい。導電性接着剤層を有することにより、電極層と集電体との結着強度を高めることができる。
本発明においては、集電体と電極層の間に、導電性接着剤層を有していてもよい。導電性接着剤層を有することにより、電極層と集電体との結着強度を高めることができる。
導電性接着剤層は、必須成分として炭素粒子を含む。
導電性接着剤層に用いる炭素粒子としては、非局在化したπ電子の存在によって高い導電性を有する黒鉛(具体的には天然黒鉛、人造黒鉛など);黒鉛質の炭素微結晶が数層集まって乱層構造を形成した球状集合体であるカーボンブラック(具体的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、その他のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなど);炭素繊維やカーボンウィスカーなどが挙げられ、これらの中でも、導電性接着剤層の炭素粒子が高密度に充填し、電子移動抵抗を低減でき、さらに電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減できる点で、黒鉛又はカーボンブラックが、特に好ましい。
導電性接着剤層に用いる炭素粒子としては、非局在化したπ電子の存在によって高い導電性を有する黒鉛(具体的には天然黒鉛、人造黒鉛など);黒鉛質の炭素微結晶が数層集まって乱層構造を形成した球状集合体であるカーボンブラック(具体的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、その他のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなど);炭素繊維やカーボンウィスカーなどが挙げられ、これらの中でも、導電性接着剤層の炭素粒子が高密度に充填し、電子移動抵抗を低減でき、さらに電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減できる点で、黒鉛又はカーボンブラックが、特に好ましい。
本発明において、導電性接着剤層に用いる炭素粒子は、上記で挙げたものを単独で用いてもよく、二種類を組み合わせて用いてもよい。具体的には、黒鉛とカーボンブラック、黒鉛と炭素繊維、黒鉛とカーボンウィスカー、カーボンブラックと炭素繊維、カーボンブラックとカーボンウィスカーなどが挙げられ、好ましくは黒鉛とカーボンブラック、黒鉛と炭素繊維、カーボンブラックと炭素繊維、特に好ましくは黒鉛とカーボンブラック、黒鉛と炭素繊維である。炭素粒子がこの組み合わせであると、導電性接着剤層の炭素粒子が高密度に充填するため、電子移動抵抗が低減され、電気二重層キャパシタの内部抵抗が低減する。
本発明において、導電性接着剤層に用いる炭素粒子の電気抵抗率は、好ましくは0.0001〜1Ω・cmであり、より好ましくは0.0005〜0.5Ω・cm、特に好ましくは0.001〜0.1Ω・cmである。炭素粒子の電気抵抗率がこの範囲にあると、導電性接着剤層の電子移動抵抗を低減し、電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減することができる。ここで、電気抵抗率は、粉体抵抗測定システム(MCP−PD51型;ダイアインスツルメンツ社製)を用いて、炭素粒子に圧力をかけ続けながら抵抗値を測定し、圧力に対して収束した抵抗値R(Ω)と、圧縮された炭素粒子層の面積S(cm2)と厚みd(cm)から電気抵抗率ρ(Ω・cm)=R×(S/d)を算出する。
本発明において、導電性接着剤層に用いる炭素粒子の体積平均粒子径は、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.05〜15μm、特に好ましくは0.1〜10μmである。炭素粒子の体積平均粒子径がこの範囲であると、導電性接着剤層の炭素粒子が高密度に充填するため、電子移動抵抗が低減され、電気二重層キャパシタの内部抵抗が低減する。ここで体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−3100;島津製作所製)にて測定し、算出される体積平均粒子径である。
本発明においては、導電性接着剤層に、結着剤を含むことが好ましい。導電性接着剤層に、結着剤を含むことにより、集電体と電極層との接着性を高め、電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減し、出力密度を高めることができる。
本発明において、導電性接着剤層に好適に用いる結着剤は、上記の電極層組成物の部分で説明したものが使用でき、好適な結着剤は溶媒に分散する性質のある分散型結着剤である。分散型結着剤として、例えば、フッ素系重合体、ジエン系重合体、(メタ)アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン系重合体等の高分子化合物が挙げられ、フッ素系重合体、ジエン系重合体又は(メタ)アクリレート系重合体が好ましく、ジエン系重合体又は(メタ)アクリレート系重合体が、耐電圧を高くでき、かつ電気二重層キャパシタのエネルギー密度を高くすることができる点でより好ましい。
本発明において、導電性接着剤層中の結着剤の含有量は、炭素粒子100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは2〜10重量部である。
本発明において、導電性接着剤層中の結着剤の含有量は、炭素粒子100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは2〜10重量部である。
本発明において、導電性接着剤層に含有されていてもよい結着剤以外の成分としては、分散剤、界面活性剤等が挙げられる。
分散剤としては、電極層組成物の部分で説明したものが使用できる。分散剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、格別な限定はないが、炭素粒子100重量部に対して、通常は0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは0.8〜10重量部の範囲である。
分散剤としては、電極層組成物の部分で説明したものが使用できる。分散剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、格別な限定はないが、炭素粒子100重量部に対して、通常は0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは0.8〜10重量部の範囲である。
界面活性剤としては、電極層組成物の部分で説明したものが使用できる。界面活性剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、炭素粒子100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲であり、1.0〜15重量部が好ましく、2.0〜10重量部が特に好ましい。界面活性剤の配合量がこの範囲であると、電気二重層キャパシタの耐久性に優れる。
本発明において、集電体と電極層との間に、導電性接着剤層を有する場合は、電極層を形成する前に、結着剤や炭素粒子などの導電性接着剤層を構成する材料を、水または有機溶媒などの分散媒中で混練することにより得られる導電性接着剤スラリー組成物を、集電体に塗布、乾燥することにより導電性接着剤層を形成すればよい。
分散媒として、有機溶媒を用いるときの有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のアルキルケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類;ジメチルスルホキサイド、スルホラン等のイオウ系溶剤;等が挙げられる。
導電性接着剤スラリー組成物の製造方法は、具体的にはボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、およびホバートミキサーなどを用いることができる。
導電性接着剤層の形成方法は、特に制限されない。例えば、上記導電性接着剤スラリー組成物をドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗りなどによって、集電体上に形成される。
導電性接着剤スラリー組成物の固形分濃度は、塗布法にもよるが、通常10〜60%、好ましくは15〜50%、特に好ましくは20〜40%である。固形分濃度がこの範囲にあると、得られる導電性接着剤層が高充填化され、電気二重層キャパシタのエネルギー密度と出力密度が高まる。
塗布した導電性接着剤スラリー組成物の乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、集電体に塗布した導電性接着剤スラリー組成物中の溶媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度は通常50〜300℃、好ましくは80〜250℃である。乾燥時間は、通常2時間以下、好ましくは5秒〜30分である。
導電性接着剤層の厚さは、通常は0.01〜20μm、好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。導電性接着剤層の厚みが前記範囲であることにより、良好な接着性が得られ、かつ電子移動抵抗を低減することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定する。
(活性炭の比表面積の測定)
活性炭の比表面積は、比表面積測定装置(ジェミニ2310:島津製作所社製)を用いて、活性炭に窒素ガスを吸着させ、BET測定法で測定する。
活性炭の比表面積は、比表面積測定装置(ジェミニ2310:島津製作所社製)を用いて、活性炭に窒素ガスを吸着させ、BET測定法で測定する。
(体積平均粒子径の測定)
活性炭の体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000:島津製作所社製)を用いて測定する。
活性炭の体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000:島津製作所社製)を用いて測定する。
(電極層の厚さの測定)
電極層の厚さは、集電体の両面に電極層を形成した後に、渦電流式変位センサ(センサヘッド部EX−110V、アンプユニット部EX−V02:キーエンス社製)を用いて測定する。長手方向に10cm間隔、幅方向に2cm間隔で各電極層の厚さを測定し、それらの平均値を電極層の厚さとする。
電極層の厚さは、集電体の両面に電極層を形成した後に、渦電流式変位センサ(センサヘッド部EX−110V、アンプユニット部EX−V02:キーエンス社製)を用いて測定する。長手方向に10cm間隔、幅方向に2cm間隔で各電極層の厚さを測定し、それらの平均値を電極層の厚さとする。
(内部抵抗の測定)
電気二重層キャパシタについて、600mAの定電流で充電を開始し、所定の充電電圧に達したらその電圧を保って定電圧充電とし、5分間定電圧充電を行った時点で充電を完了する。次いで、充電終了直後に定電流15mAで0Vに達するまで放電を行う。この充放電操作を3サイクル行い、3サイクル目の放電終了後、0.1秒後の電圧値からR=ΔV/Iの関係により内部抵抗を算出する。
電気二重層キャパシタについて、600mAの定電流で充電を開始し、所定の充電電圧に達したらその電圧を保って定電圧充電とし、5分間定電圧充電を行った時点で充電を完了する。次いで、充電終了直後に定電流15mAで0Vに達するまで放電を行う。この充放電操作を3サイクル行い、3サイクル目の放電終了後、0.1秒後の電圧値からR=ΔV/Iの関係により内部抵抗を算出する。
(静電容量密度の測定)
電気二重層キャパシタについて、600mAの定電流で充電を開始し、所定の充電電圧に達したらその電圧を保って定電圧充電とし、5分間定電圧充電を行った時点で充電を完了する。次いで、充電終了直後に定電流15mAで0Vに達するまで放電を行う。この充放電操作を3サイクル行い、3サイクル目の放電エネルギーE=1/2CV2の関係から静電容量Cを求める。この静電容量Cから静電容量密度を算出する。
電気二重層キャパシタについて、600mAの定電流で充電を開始し、所定の充電電圧に達したらその電圧を保って定電圧充電とし、5分間定電圧充電を行った時点で充電を完了する。次いで、充電終了直後に定電流15mAで0Vに達するまで放電を行う。この充放電操作を3サイクル行い、3サイクル目の放電エネルギーE=1/2CV2の関係から静電容量Cを求める。この静電容量Cから静電容量密度を算出する。
(実施例1)
(電極層組成物の作製)
活性炭として、比表面積500m2/g及び体積平均粒径17μmの水蒸気活性炭を43部、比表面積1800m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を43部、導電剤(アセチレンブラック「デンカブラック粉状」:電気化学工業(株)製)を4部、分散型結着剤(数平均粒径0.15μm、ガラス転移温度−40℃の架橋型アクリレート系重合体の40%水分散体:「AD211」;日本ゼオン(株)製)を固形分相当量で3部、分散剤(カルボキシメチルセルロースの1%水溶液「DN−800H」:ダイセル化学工業(株)製)を固形分相当量で2部、及びイオン交換水を固形分濃度20%になるよう加え、T.K.ハイビスミックス(プライミクス(株)社製)で攪拌混合してスラリー状の電極層組成物を得た。
(電極層組成物の作製)
活性炭として、比表面積500m2/g及び体積平均粒径17μmの水蒸気活性炭を43部、比表面積1800m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を43部、導電剤(アセチレンブラック「デンカブラック粉状」:電気化学工業(株)製)を4部、分散型結着剤(数平均粒径0.15μm、ガラス転移温度−40℃の架橋型アクリレート系重合体の40%水分散体:「AD211」;日本ゼオン(株)製)を固形分相当量で3部、分散剤(カルボキシメチルセルロースの1%水溶液「DN−800H」:ダイセル化学工業(株)製)を固形分相当量で2部、及びイオン交換水を固形分濃度20%になるよう加え、T.K.ハイビスミックス(プライミクス(株)社製)で攪拌混合してスラリー状の電極層組成物を得た。
垂直方向に走行する(集電体の走行方向は下方から上方)厚さ20μmのアルミ集電体を挟むように、一対のダイを集電体の走行方向に対して下流側に配置し、一対のダイより前記スラリー状の電極層組成物を吐出し、30m/分の成形速度で集電体の表裏両面に塗布し、120℃で5分間乾燥して、平均片面厚さ100μm、平均片面密度0.52g/cm3の電極層を有する電気二重層キャパシタ用電極を得た。
(測定用セルの作製)
上記で作製した電極を、電極層が形成されていない集電体シート部を縦2cm×横2cm残るように、かつ電極層が形成されている部分が縦5cm×横5cmになるように切り抜く(電極層が形成されていない集電体シート部は電極層が形成されている5cm×5cmの正方形の一辺をそのまま延長するように形成される。)。このように切り抜いた正極10組、負極11組を用意し、それぞれ未塗工部を超音波溶接する。さらに、正極はアルミ、負極はニッケルからなる、縦7cm×横1cm×厚み0.01cmのタブ材を、それぞれ積層溶接した電極層が形成されていない集電体シート部を超音波溶接して測定用電極を作製する。測定用電極は、200℃で24時間真空乾燥する。セパレータとして厚さ35μmのセルロース/レーヨン混合不織布を用いて、正極集電体、負極集電体の端子溶接部がそれぞれ反対側になるよう配置し、正極、負極が交互になるように、また積層した電極の最外部の電極がいずれも負極となるようにすべて積層する。最上部と最下部はセパレータを配置させて4辺をテープ留めした。
上記で作製した電極を、電極層が形成されていない集電体シート部を縦2cm×横2cm残るように、かつ電極層が形成されている部分が縦5cm×横5cmになるように切り抜く(電極層が形成されていない集電体シート部は電極層が形成されている5cm×5cmの正方形の一辺をそのまま延長するように形成される。)。このように切り抜いた正極10組、負極11組を用意し、それぞれ未塗工部を超音波溶接する。さらに、正極はアルミ、負極はニッケルからなる、縦7cm×横1cm×厚み0.01cmのタブ材を、それぞれ積層溶接した電極層が形成されていない集電体シート部を超音波溶接して測定用電極を作製する。測定用電極は、200℃で24時間真空乾燥する。セパレータとして厚さ35μmのセルロース/レーヨン混合不織布を用いて、正極集電体、負極集電体の端子溶接部がそれぞれ反対側になるよう配置し、正極、負極が交互になるように、また積層した電極の最外部の電極がいずれも負極となるようにすべて積層する。最上部と最下部はセパレータを配置させて4辺をテープ留めした。
上記積層電極を外装ラミネートフィルムで覆い三辺を融着後、電解液としてプロピレンカーボネートにホウフッ化テトラエチルアンモニウムを1.4モル/Lの濃度に溶解した溶液を真空含浸させた後、残り一辺を融着させ、フィルム型キャパシタ(電気二重層キャパシタ)を作製した。得られるフィルム型キャパシタについて各特性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、アルカリ賦活活性炭として、比表面積2400m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を使用する他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、アルカリ賦活活性炭として、比表面積2400m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を使用する他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、水蒸気賦活活性炭として、比表面積1200m2/g及び体積平均粒径8μmの水蒸気賦活活性炭を使用する他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、水蒸気賦活活性炭として、比表面積1200m2/g及び体積平均粒径8μmの水蒸気賦活活性炭を使用する他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3において、アルカリ賦活活性炭として、比表面積2400m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を使用する他は、実施例3と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3において、アルカリ賦活活性炭として、比表面積2400m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を使用する他は、実施例3と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例4において、活性炭の使用量を、水蒸気賦活活性炭を35部、アルカリ賦活活性炭を35部とする他は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例4において、活性炭の使用量を、水蒸気賦活活性炭を35部、アルカリ賦活活性炭を35部とする他は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
活性炭として、比表面積1200m2/g及び体積平均粒径17μmの水蒸気活性炭を43部、比表面積2400m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を43部、導電剤(アセチレンブラック「デンカブラック粉状」:電気化学工業(株)製)を6部、分散型結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(「D−210C」;PTFEの60%水分散体、ダイキン工業(株)製)を固形分相当量で10部とからなる混合物にエタノールを加えて混錬し、その後ロール圧延を実施することにより、厚さ100μmの電極シートを得た。
活性炭として、比表面積1200m2/g及び体積平均粒径17μmの水蒸気活性炭を43部、比表面積2400m2/g及び体積平均粒径8μmのアルカリ賦活活性炭を43部、導電剤(アセチレンブラック「デンカブラック粉状」:電気化学工業(株)製)を6部、分散型結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(「D−210C」;PTFEの60%水分散体、ダイキン工業(株)製)を固形分相当量で10部とからなる混合物にエタノールを加えて混錬し、その後ロール圧延を実施することにより、厚さ100μmの電極シートを得た。
導電性接着剤(バニーハイト:日本黒鉛(株)社製)を塗布したアルミ集電体上に、上記電極シートを重ね、これを圧縮ロールに通して圧着し、接触界面同士を確実に貼り合わせた積層シートを得た。この積層シートを、温度150℃に設定した連続熱風乾燥機に通し、導電性接着剤液層から分散媒を蒸発除去することにより分極性電極を得た。実施例1において、電気二重層キャパシタ用電極として、前記分極性電極を用いた他は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例2において、活性炭の使用量を、水蒸気賦活活性炭を43部、アルカリ賦活活性炭を43部とし、分散型結着剤を固形分相当量で3部とする他は、比較例2と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2において、活性炭の使用量を、水蒸気賦活活性炭を43部、アルカリ賦活活性炭を43部とし、分散型結着剤を固形分相当量で3部とする他は、比較例2と同様にして電気二重層キャパシタ用電極、電気二重層キャパシタを作製した。この電気二重層キャパシタの各特性を測定した。結果を表1に示す。
以上から、本発明の製造方法によれば、従来の電気化学素子用電極よりも、さらに単位体積あたりの静電容量を大きく、かつ内部抵抗を小さくすることができる電気二重層キャパシタ用電極を製造することができる。
Claims (5)
- 水蒸気で賦活した活性炭、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭及び結着剤を含有してなる電極層組成物を、集電体上に塗布する工程を含み、
前記組成物中の、水蒸気で賦活した活性炭の含有割合を固形分でA重量%、アルカリ金属水酸化物で賦活した活性炭の含有割合を固形分でB重量%、結着剤の含有割合を固形分でC重量%としたとき、以下の(1)〜(4)式を全て満足することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
A≦49 (1)
B≦50 (2)
0<C≦8 (3)
76≦A+B≦99 (4) - 前記結着剤が、フッ素を含まない重合体である請求項1記載の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
- 前記結着剤が、(メタ)アクリレート系重合体又はジエン系重合体である請求項1又は2記載の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
- 前記結着剤のガラス転移温度が20℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
- 前記電極層組成物が、さらに分散剤を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
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JP (1) | JP2010171346A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8885325B2 (en) | 2011-11-11 | 2014-11-11 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Lithium ion capacitor |
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2009
- 2009-01-26 JP JP2009014729A patent/JP2010171346A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8885325B2 (en) | 2011-11-11 | 2014-11-11 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Lithium ion capacitor |
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