JP2010166584A - オーディオシステムの構成のためのシステムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車載オーディオシステムの構成を選択するのに好適な方法を提供する。
【解決手段】方法は、車両のラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、発生された音響信号に対する伝達関数を車両の複数の聴取場所で記録するステップと、車両のオーディオシステムの構成候補を決定するステップと、予測伝達関数を生成するために、構成候補に基づき伝達関数を修正するステップと、車両の複数の聴取場所における予測伝達関数を少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、この統計的解析に基づき、構成を選択するステップとを含む。
【選択図】図5

Description

2.発明の詳細な説明
発明の分野
(1.関連出願)
本願は、その全内容を本願明細書に引用したものとする、2003年10月9日出願の「室内の低周波の最適化」と題する、代理人参照番号第11336/643 P03059USV1号、米国仮出願第60/509,799号に優先することを主張する。
本願は、その全内容を本願明細書に引用したものとする、2003年10月l0日出願の「オーディオシステム構成候補の統計的解析」と題する、代理人参照番号第11336/433 P03060US号、米国特許出願第10/684,222号に優先することを主張する。
本願は、その全内容を本願明細書に引用したものとする、2003年10月10日出願の「オーディオシステム用の補正係数を選択するためのシステム」と題する、代理人参照番号第11336/434 P03060US号、米国特許出願第10/684,152号に優先することを主張する。
本願は、その全内容を本願明細書に引用したものとする、2003年10月l0日出願の「オーディオシステム内のスピーカ位置を選択するためのシステム」と題する、代理人参照番号第11336/435 P03061US号、米国特許出願第10/684,043号に優先することを主張する。
本願は、その全内容を本願明細書に引用したものとする、2003年10月10日出願の「オーディオシステムを構成するためのシステム」と題する、代理人参照番号第11336/545 P03121US号、米国特許出願第10/684,208号に優先することを主張する。
(2.技術分野)
本発明は、全般的に、所定空間内のサウンドシステム性能を向上することに関する。本発明は、特に、所定区域内の1つまたは複数の聴取場所に対する周波数応答性能を向上することによって、より楽しい聴取体験を提供することに関する。
発明の背景
(3.関連技術)
サウンドシステムは、一般に、電気信号を音響信号に変換するラウドスピーカを含む。これらのラウドスピーカは、高、中、および低周波の信号など、一定範囲の音響信号を発生させる変換器を1つまたは複数含んでもよい。ラウドスピーカの1つの種類はサブウーファであり、これは低周波信号を発生させるために低周波変換器を含むこともある。
サウンドシステムは、さまざまな聴取環境において音響信号を発生することがある。聴取環境の例として、家庭のリスニングルーム、ホームシアター、映画館、コンサートホール、車両内部、録音スタジオなどが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。一般に、聴取環境は、ラウドスピーカが発生した音響信号を1人または複数の人間が聞くための単一または複数の聴取場所を含む。聴取場所は、ホームシアター環境内の長椅子の一画など、座位であることも、コンサートホール内で指揮者が立つ場所など、立位であることもある。
聴取場所における低、中、および/または高周波信号を含む音響信号は、聴取環境によって影響されることもある。聴取者が室内のどこに位置しているかによって、音のラウドネスはそれぞれのトーンに応じて変化しうる。このことは、より小さい家庭用サイズの部屋における低周波数について特に当てはまるが、この理由は、特定のトーンまたは周波数のラウドネス(振幅で測定)が人工的に増加または低減されるからである。音楽、映画、およびその他大半の形式のオーディオエンタテインメントを楽しむには、低周波が重要になることがある。ホームシアターの例では、壁、カーテン、家具、調度品などを含む部屋境界は、ラウドスピーカから聴取場所に進行中の音響信号に影響することがある。
聴取場所で受聴される音響信号を測定してもよい。音響信号の1つの尺度は伝達関数であり、これによって単一周波数、離散数の周波数、または周波数範囲における振幅および/または位相を含む、音響信号の特性を測定してもよい。伝達関数によって、さまざまな範囲の周波数を測定してもよい。
伝達関数の振幅は、音のラウドネスを示す。一般に、単一周波数または周波数範囲の振幅は、デシベル(dB)で測定する。振幅偏差は、所定の目標値に対する正または負のデシベル値で表してもよい。複数の周波数で振幅偏差を考慮する場合は、目標曲線を平坦にしても、任意の形状にしてもよい。振幅応答は、1つまたは複数の周波数における目標値からの振幅偏差の大きさである。聴取場所で測定された振幅値が目標値に近いほど、振幅応答はよい。目標値からの偏差は、音響信号が部屋境界との相互作用によって音響信号に発生した変化を反映する。ピークは振幅偏差の目標値からの増加を表し、ディップは振幅偏差の目標値からの減少を表す。
振幅応答におけるこれらの偏差は、サブウーファによって再生された音響信号の周波数、サブウーファの位置、および聴取者の場所に応じて変わることもある。サウンドトラックまたは映画などの記録媒体上に記録された低周波は聴取者に聞こえないこともあるが、部屋境界によってゆがめられた低周波は聴取者に聞こえることがある。このように、部屋は、サブウーファによって再生された音響信号を変え、サウンドシステムの低域特性などの周波数応答性能に悪影響を及ぼしうる。
多くの技法によって、単一の聴取場所における振幅偏差を縮小または除去しようと試みられている。このような技法の1つとして、システム内のすべてのサブウーファに均一にフィルタをかける大域的な等化が含まれる。一般に、振幅は、室内の単一位置において複数の周波数で測定される。たとえば、振幅測定を25、45、65、および80Hzで行うことによって、測定した各周波数に対する振幅偏差を求めてもよい。大域的な等化として、65Hzにおける+10dBの偏差を減らすために、フィルタを各サブウーファにかけてもよい。このように、大域的な等化においては、目標値からの偏差が正である周波数範囲の振幅を減らすか、または目標値からの負の偏差が最大である周波数範囲においてサブウーファの出力を増やすことによって、振幅偏差を減らしてもよい。ただし、大域的な等化によって修正できるのは、単一の聴取場所における振幅偏差だけである。
振幅偏差を縮小または除去するための別の技法は、空間的平均化である。より高度な等化方法である空間的平均化では、複数の聴取場所に対する平均振幅応答を計算してから、システム内のすべてのサブウーファに対して均一に等化を実装する。ただし、空間的平均化では、実際には存在しない単一の「平均的聴取場所」に対する補正しか行えない。したがって、空間的平均化技法を使用しても、いくつかの聴取場所では低域特性が大きく向上するが、他の場所ではそれほど向上しない。さらに、等化を単一位置に対して行おうとすると、問題が発生する場合がある。平均的な聴取場所におけるピークは減るかもしれないが、ディップを減らそうとすると、サブウーファからの音響出力を大幅に増やす必要があるので、システムの最大音響出力が減り、その部屋の他の区域に大きなピークが発生する場合もある。
等化および空間的平均化のほかにも、従来の技法では、ラウドスピーカの配置によって特定の聴取場所における音質を向上しようと試みてきた。1つの技法では、室内のラウドスピーカの配置を最適化するために、定在波を解析する。定在波は、音響信号と部屋境界との相互作用によって発生することがあり、低周波応答における振幅偏差が大きいモードを発生させる。部屋の単一次元にのみ依存するモードは、軸モードと呼ばれる。部屋の2つの次元によって決まるモードは、正接モードと呼ばれ、また部屋の3つの次元すべてに基づくモードは、斜交モードと呼ばれる。
図1は、ある瞬間における部屋の単一次元に対する最初の4つの軸モードを表す図である。音圧の最大値は、部屋境界(つまり、図1の2つの端)に存在する。音圧がその最小値まで下がるポイントは、一般に「ヌル」と呼ばれる。モード減衰が全くない場合は、ヌルポイントでの音圧はゼロまで下がる。ただし、実際の大半の部屋においては、ヌルポイントでの応答ディップは−20dBの範囲内である。図1に示すように、部屋内のさまざまな場所で、定在波がピークおよびディップになることもあるので、聴取者がどこにいるかによって大きな振幅偏差が発生しうる。したがって、聴取者Cが30Hzピーク位置にいる場合は、サブウーファが発生するどの30Hz周波数も意図したよりはるかに大きく聞こえる。逆に、聴取者Dが30Hzディップ位置にいる場合は、サブウーファが発生するどの30Hz周波数も意図したよりはるかに柔らかく聞こえる。どちらの場合も、サブウーファによって再生された音響信号にも、記録媒体に事前に記録された音響信号にも一致しない。
所定のリスニングルームにおける定在波をラウドスピーカの配置によって減らす方法はいくつかある。1つの方法では、サブウーファを定在波のヌルポイントに配置する。具体的には、特定の聴取場所における伝達関数が比較的平滑化するように、部屋内のラウドスピーカと特定の聴取場所とを慎重に選択してもよい。最初の4つの軸モードが部屋の長手方向に沿っている場合の、ラウドスピーカの位置と聴取者の位置との組み合わせ候補を図2に示す。この特定の聴取場所を1次、2次、および4次モードの最大値およびヌル位置から離して配置する一方で、ラウドスピーカを3次モードのヌルポイントに配置してもよい。結果として、これらのモードだけがその部屋における共振モードである場合は、この特定の聴取場所における伝達関数は比較的平滑になるはずである。ただし、この方法は、聴取環境における定在波の影響を減らすために、単一の特定の聴取場所だけに的を絞っており、複数の聴取場所または聴取領域については考慮していない。実際に、この方法による予測は、部屋に他の軸モード、正接モード、および斜交モードが存在することによって信頼性がなくなる。
別の方法では、複数のサブウーファを「モードを打ち消す」構成に配置する。複数のラウドスピーカをリスニングルーム内に対称に設置することによって、弱め合う干渉と強め合う干渉とを利用して、定在波を減らしてもよい。ただし、「モードを打ち消す」対称的な構成は、理想的な部屋(すなわち、寸法的にも音響的にも対称的な部屋)を想定しており、部屋の形状や調度品の違いを含む実際の部屋の特性は考慮していない。さらに、ラウドスピーカの対称的配置は、特定の部屋の設定に対しては現実的な構成でも、望ましい構成でもないことがある。
振幅偏差を減らすための別のオーディオシステム構成技法として、数学的解析を用いる技法がある。このような数学的解析の1つでは、部屋のデータに基づき、その部屋内の定在波をシミュレートする。たとえば、部屋の長さ、幅、および高さなどの部屋寸法を入力し、入力データに基づき、さまざまなアルゴリズムによってサブウーファの配置位置を予測する。ただし、この数学的方法は、部屋の家具、調度品、構成などの音響特性を考慮しない。たとえば、内壁の表面が石積みの場合は、木造枠組壁に比べて、聴覚に対する作用が非常に異なることがある。さらに、この数学的方法は、部分的に囲われた部屋を効果的に補償することはできないので、部屋が長方形でない場合は、計算に手間取ることもある。
別の数学的方法は、各聴取場所で受聴した伝達関数を解析し、各聴取場所で受聴される等しい伝達関数を求める。図3は、室内に複数のサブウーファと複数のレシーバとを配置したシナリオの例を示す。参照符号Iは、システムに入力される信号である。ラウドスピーカ1とラウドスピーカ2とからこの部屋内の2つのレシーバ位置へのラウドスピーカ/部屋の伝達関数は、H11〜H22で示されており、R1およびR2は、2つのレシーバ位置における結果としての伝達関数を示す。音源ごとに各レシーバへの伝送経路があるので、この例における伝達関数の数は4つになる。各ラウドスピーカに送られる信号に対して、M1およびM2で表される電気的修正が可能であることを想定すると、修正された信号が追加されることもある。ここで、Mは、周波数に依存または独立の複素修正子である。この数学的解の複雑さを説明するために、この周波数領域における線形時不変系を次の等式によって解く。
(f)=1H11(f)M(f)+1H21(f)M(f) (1)
(f)=1H12(f)M(f)+1H22(f)M(f)
ここで、すべての伝達関数および修正子は、当然、複素伝達関数および複素修正子である。これは、連立一次方程式の集合として認識されるので、次のように行列形式でより簡潔に表すことができる。
または単に、
HM=R (3)
ここで、入力Iは1(unity)であると想定されている。
一般的な最適化目標は、Rを1に等しくすること、すなわち、すべてのレシーバ位置の信号を相互に等しくすることである。RlとR2の両方が1に等しい場合は、Rを目標関数と見なしてもよい。M(オーディオシステムのための修正子)に対する等式(3)を解くと、M=H−1、つまりHの逆になる。Hは周波数に依存するので、Mに対する解は、周波数ごとに計算する必要がある。ただし、Hの値は、逆が計算不能か、または実装するには非現実的なこともある(一部の周波数においてはいくつかのラウドスピーカに対するゲインが非現実に高くなるなど)。
正確な数学的解を必ずしも求められるとは限らないので、従来の取り組みでは、誤差が最小の解など、計算しうる最良の解を求めようと試みてきた。誤差関数は、いずれか特定の構成が所望の解にどれだけ近いかを定義し、最小の誤差が最良の解を表す。ただし、この数学的手法は、莫大な量の計算エネルギーを要する割には、2パラメータ解について解くだけである。より多くのパラメータを検証する音響問題を解くのは、さらに困難である。
したがって、所定空間内の1つまたは複数の聴取場所のオーディオパフォーマンスを向上するようなオーディオシステムの構成を正確に決定するためのシステムが求められている。
発明の概要
本発明は、次の項目を提供する。
1.車両内オーディオシステムの構成を選択する方法であって、
車両のラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、
発生された音響信号に対する伝達関数を車両の複数の聴取場所で記録するステップと、
車両のためのオーディオシステムの構成候補を決定するステップと、
予測伝達関数を生成するために、構成候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき構成を選択するステップと、
を含む方法。
2.選択した構成に基づき、車両内オーディオシステムを構成するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
3.項目1に記載の構成に基づき構成される、車両内オーディオシステム。
4.機械に方法を実行させるためのソフトウェアを有する機械可読媒体であって、
車両のラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するための命令と、
発生された音響信号に対する伝達関数を車両の複数の聴取場所で記録するための命令と、
車両のオーディオシステムの構成候補を決定するための命令と、
予測伝達関数を生成するために、構成候補に基づき伝達関数を修正するための命令と、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するための命令と、
を含む機械可読媒体。
5.車両内オーディオシステムの構成を選択する方法であって、
車両のためのオーディオシステム内の少なくとも1つの聴取場所において伝達関数を記録するステップと、
車両のためのオーディオシステムの構成候補を決定するステップと、
予測伝達関数を生成するために、構成候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
予測伝達関数を統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、車両のための構成を選択するステップと、
を含む方法に基づき選択される構成を含む、車両内オーディオシステム。
6.選択した構成に基づき、車両内オーディオシステムを構成するステップをさらに含む、項目5に記載の方法。
7.項目5に記載の構成に基づき構成される、車両内オーディオシステム。
8.車両のためのオーディオシステム内の少なくとも1つの聴取場所において伝達関数を記録するステップと、
車両のためのオーディオシステムの構成候補を決定するステップと、
予測伝達関数を生成するために、構成候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
予測伝達関数を統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、車両のための構成を選択するステップと、
を含む方法に基づき選択される構成を含む、車両内オーディオシステム。
9.機械に方法を実行させるためのソフトウェアを有する機械可読媒体であって、
車両のためのオーディオシステム内の少なくとも1つの聴取場所で記録された伝達関数を保存するための命令と、
車両内のオーディオシステムのための構成候補を決定するための命令と、
予測伝達関数を生成するために、構成候補に基づき伝達関数を修正するための命令と、
予測伝達関数を統計的に解析するための命令と、
を含む機械可読媒体。
10.車両内オーディオシステムのための補正係数を少なくとも1つ選択する方法であって、
車両のためのラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、
発生された音響信号に対する伝達関数を車両の複数の聴取場所で記録するステップと、
予測伝達関数を生成するために、補正係数候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき補正係数を選択するステップと、
を含む方法。
11.選択した補正係数を用いて車両内のオーディオシステムを構成するステップをさらに含む、項目10に記載の方法。
12.少なくとも1つの補正係数が遅延、ゲイン、および/またはフィルタリングを含む、項目10に記載の方法。
13.項目10に記載の構成に基づき構成される車両内オーディオシステム。
14.車両のためのラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、
発生された音響信号に対する伝達関数を車両の複数の聴取場所で記録するステップと、
予測伝達関数を生成するために、補正係数候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、オーディオシステムに対する補正係数を選択するステップと、
を含む方法に基づき選択される構成を備える車両内オーディオシステム。
15.少なくとも1つの補正係数が遅延、ゲイン、および/またはフィルタリングを含む、項目14に記載の方法。
16.コンピュータに方法を実行させるためのソフトウェアを有する機械可読媒体であって、
車両のためのラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するための命令と、
発生された音響信号に対する伝達関数を車両の複数の聴取場所で記録するための命令と、
予測伝達関数を生成するために、補正係数候補に基づき伝達関数を修正するための命令と、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するための命令と、
統計的解析に基づき、補正係数を選択するための命令と、
を含む機械可読媒体。
17.車両用オーディオシステム内のラウドスピーカ位置候補から少なくとも1つのラウドスピーカ位置を選択するための方法であって、
車両のラウドスピーカ位置候補を決定するステップと、
車両のラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、
発生された音響信号に対する伝達関数を複数の聴取場所で記録するステップと、
予測伝達関数を生成するために、ラウドスピーカ位置候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、車両のラウドスピーカ位置を少なくとも1つ選択するステップと、
を含む方法。
18.項目17で選択した少なくとも1つのラウドスピーカ位置に基づき、オーディオシステム内の少なくとも1つのラウドスピーカが構成される、車両内オーディオシステム。
19.機械に方法を実行させるための命令を有する機械可読媒体であって、
車両用のオーディオシステム内のラウドスピーカ位置候補を決定するための命令と、
車両のラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するための命令と、
発生された音響信号に対する伝達関数を複数の聴取場所で記録するための命令と、
予測伝達関数を生成するために、ラウドスピーカ位置候補に基づき伝達関数を修正するための命令と、
車両の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するための命令と、
を含む機械可読媒体。
20.車両内オーディオシステムのためのスピーカを選択する方法であって、
車両の少なくとも1つの聴取場所で伝達関数を記録するステップと、
スピーカ数候補を少なくとも1つ決定するステップと、
予測伝達関数を生成するために、スピーカ数候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
予測伝達関数を統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、スピーカ数候補から車両用のスピーカ数を選択するステップと、を含む方法。
21.コンピュータに方法を実行させるためのソフトウェアを有する機械可読媒体であって、
車両用スピーカ数候補を少なくとも1つ記録するための命令と
車両の少なくとも1つの聴取場所で伝達関数を記録するための命令と、
予測伝達関数を生成するために、スピーカ数候補に基づき伝達関数を修正するための命令と、
予測伝達関数を統計的に解析するための命令と、
を含む機械可読媒体。
22.複数のスピーカと少なくとも1つの聴取場所とを含む車両用オーディオシステムのためのスピーカ種別を少なくとも1つ選択する方法であって、
車両用のスピーカ種別候補を決定するステップと、
スピーカ種別候補を複数のスピーカ位置候補に配置して、車両の聴取場所で伝達関数を記録するステップと、
予測伝達関数を生成するために、スピーカ種別候補とスピーカ位置候補とに基づき伝達関数を修正するステップと、
予測伝達関数を統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、車両に対して少なくとも1つのスピーカ種別を選択するステップと、
を含む方法。
23.コンピュータに方法を実行させるためのソフトウェアを有する機械可読媒体であって、
車両内のスピーカ種別候補を決定するため命令と
スピーカ種別候補を複数のスピーカ位置候補に配置して、車両の聴取場所で伝達関数を記録するための命令と、
予測伝達関数を生成するために、スピーカ種別候補とスピーカ位置候補とに基づき伝達関数を修正するための命令と、
予測伝達関数を統計的に解析するための命令と、
を含む機械可読媒体。
24.クロスオーバフィルタを少なくとも1つ備えるオーディオシステムであって、
ラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、
発生された音響信号に対する伝達関数を複数の聴取場所で記録するステップと、
予測伝達関数を生成するために、クロスオーバフィルタ候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
車両用の複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、オーディオシステムのためのクロスオーバフィルタを選択するステップと、
を含む方法に基づき選択されるクロスオーバフィルタを備えるオーディオシステム。
25.オーディオシステムが車両内にある、項目24に記載のオーディオシステム。
26.複数のスピーカを備え、各スピーカに対応付けられるクロスオーバフィルタが上記方法に基づき選択される、項目25に記載のオーディオシステム。
27.クロスオーバフィルタ候補がフィルタの次数と3dBダウンポイントとに基づき変わる、項目24に記載のオーディオシステム。
28.オーディオシステム用のクロスオーバフィルタを選択する方法であって、
ラウドスピーカ位置候補に配置された少なくとも1つのラウドスピーカから音響信号を発生するステップと、
発生された音響信号に対する伝達関数を複数の聴取場所で記録するステップと、
予測伝達関数を生成するために、クロスオーバフィルタ候補に基づき伝達関数を修正するステップと、
車両のための複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも1つの周波数にわたって統計的に解析するステップと、
統計的解析に基づき、オーディオシステムのためのクロスオーバフィルタを選択するステップと、
を含む方法。
本発明は、部屋または車両内部などの所定空間のためのオーディオシステムを構成するためのシステムである。本システムでは、単一の聴取場所または複数の聴取場所における伝達関数に影響する、オーディオシステム構成のどのような変数またはパラメータでも解析してもよい。パラメータの例として、ラウドスピーカの位置、ラウドスピーカの数、ラウドスピーカの種類、聴取場所、補正係数(たとえば、フィルタリング(一例はパラメトリック等化)、周波数に依存しないゲイン、および遅延)、およびクロスオーバフィルタが挙げられる。
本システムは、予測伝達関数の統計的解析を提供する。この統計的解析を使用して、単一の聴取者または複数の聴取者を対象としたオーディオシステムを構成してもよく、たとえばオーディオシステム内の単一パラメータに対する単一の値または複数のパラメータに対する複数の値を選択してもよい。振幅と位相とを含む伝達関数の測定は、単一の聴取場所で行っても、複数の聴取場所で行ってもよい。伝達関数は、ラウドスピーカをラウドスピーカ位置候補に配置し、聴取場所でマイクロフォンまたは他の音響測定装置を用いて伝達関数を記録することによって測定した生データを含んでもよい。次に、パラメータ値候補などの、オーディオシステムの構成候補に基づき、この伝達関数を修正してもよい。パラメータ値候補の例として、ラウドスピーカ位置候補、ラウドスピーカ数候補、ラウドスピーカ種別候補、補正係数値候補、および/またはクロスオーバフィルタ値候補が挙げられる。修正された伝達関数は、構成候補に対する予測伝達関数を表してもよい。次に、単一の聴取場所または複数の聴取場所に対する予測伝達関数の少なくとも一部、たとえば振幅や特定の周波数帯内の振幅などを統計的に解析してもよい。この統計的解析は、予測伝達関数の平坦度、一致度、効率、平滑度などの特定のメトリックを表してもよい。この統計的解析に基づき、オーディオシステムを構成してもよい。たとえば、この統計的解析に基づき、特定のメトリックを最大化または最小化する予測伝達関数内のパラメータなど、単一または複数のパラメータの値を選択してもよい。この方法によって、オーディオシステムの構成を各聴取場所に対して改善または最適化してもよい。空間が車両内部の場合は、この統計的解析に基づき選択した単一または複数のパラメータを用いて、その車両用のオーディオシステムを構成してもよい。空間が部屋の場合は、この統計的解析に基づき選択した単一または複数のパラメータを用いて、その部屋用のオーディオシステムを構成してもよい。
予測伝達関数を用いて実施しうる統計的解析の種類は多数ある。第1の種類の統計的解析によって、複数の聴取場所にわたる予測伝達関数の一致度を示してもよい。システムを等化する場合は、第1の種類の例として、平均空間変動、平均空間標準偏差、平均空間包絡線(すなわち、最小および最大)、および平均空間最大平均が挙げられる。第2の種類の統計的解析によって、予測伝達関数の平坦度を測定してもよい。第2の種類の例として、空間平均の変動、空間平均の標準偏差、空間平均の包絡線、および空間最小値の変動が挙げられる。第3の種類の統計的解析によって、予測伝達関数に対する総合音圧レベルの座席間の差を測定してもよい。第3の種類の例として、平均レベルの変動、平均レベルの標準偏差、平均レベルの包絡線、および平均レベルの最大平均が挙げられる。統計的解析によって、メトリックが最小または最大になる(たとえば、平坦度が上がる)構成を選択できるように、一致度、平坦度、または音圧レベルの差など、差のメトリックを提供してもよい。
第4の種類の統計的解析では、単一の聴取場所または複数の聴取場所における予測伝達関数の効率を調べる。実際に、この統計的解析を、単一の聴取場所または複数の聴取場所における特定の周波数、周波数群、または周波数範囲に対するサウンドシステムの効率の尺度としてもよい。第4の種類の例として、音響効率が挙げられる。単一の聴取場所を有するオーディオシステムの場合は、各ラウドスピーカに対する総ドライブレベルで割った平均レベルを音響効率によって測定してもよい。複数の聴取場所を有するオーディオシステムの場合は、各ラウドスピーカに対する総ドライブレベルで割った平均総合レベルを音響効率によって測定してもよい。予測伝達関数に対する音響効率を調べて、予測伝達関数に対する音響効率がより高いか、または最も高い構成を選択してもよい。
第5の種類の統計的解析では、単一の聴取場所または複数の聴取場所における予測伝達関数の出力を調べる。この統計的解析は、単一の聴取場所または複数の聴取場所における特定の周波数、周波数群、または周波数範囲に対するサウンドシステムの生出力の尺度にしてもよい。単一の聴取場所を有するオーディオシステムの場合は、出力を調べる統計的解析の例として、平均レベルが挙げられる。複数の聴取場所を有するオーディオシステムの場合は、出力を調べる統計的解析の例として、平均総合レベルが挙げられる。第6の種類の統計的解析では、単一の聴取場所における予測伝達関数の平坦度を調べる。この統計的解析によって、単一の聴取場所における予測伝達関数の変動、たとえば振幅変動や振幅標準偏差など、を解析してもよい。
本システムは、単一の聴取場所または複数の聴取場所を有するオーディオシステムにおけるラウドスピーカの位置、ラウドスピーカの数、ラウドスピーカの種類、補正係数、聴取場所、クロスオーバフィルタ、またはこれらの体系の組み合わせを選択する手法も提供する。たとえば、ラウドスピーカを所定空間内の多数の位置候補に配置してもよい。本発明は、所定空間のためのラウドスピーカ位置を選択するためのシステムを含む。ラウドスピーカをラウドスピーカ位置候補に配置し、単一の聴取場所または複数の聴取場所において伝達関数を記録することによって、単一の聴取場所または複数の聴取場所における伝達関数を測定してもよい。次に、予測伝達関数を生成するために、ラウドスピーカ位置候補に基づき、この伝達関数を修正してもよい。たとえば、予測伝達関数を生成するために、ラウドスピーカ位置候補のさまざまな組み合わせに基づき、伝達関数を組み合わせてもよい。予測伝達関数の平坦度、一致度、効率などの特定の様相を示すために、この予測伝達関数を統計的に解析してもよい。ラウドスピーカ位置の選択は、所望の様相または様相集合を示す予測伝達関数に基づいてもよい。
別の例として、所定の空間は、オーディオシステムのためにさまざまな数のラウドスピーカを配置しうる空間であってもよい。本発明は、所定空間内のオーディオシステム用ラウドスピーカの数を選択するためのシステムを含む。オーディオシステム内の単一の聴取場所または複数の聴取場所に対する伝達関数は、ラウドスピーカ数候補に基づき修正してもよい。たとえば、ラウドスピーカ数候補の1つに等しい数のラウドスピーカの組み合わせ候補を解析するには、伝達関数を組み合わせることによって、予測伝達関数を生成してもよい。予測伝達関数の平坦度、一致度、効率などの特定の様相を示すために、予測伝達関数を統計的に解析してもよい。ラウドスピーカ数の選択は、所望の様相または様相集合を示す予測伝達関数に基づいてもよい。次に、選択した数のラウドスピーカを車両内オーディオシステムなどの特定のオーディオシステムに実装してもよい。
さらに別の例として、ラウドスピーカは、品質または品質群によってそれぞれ異なることがある。たとえば、ラウドスピーカは、放射パターン(たとえば、単極か双極か)によって異なることがある。別の例として、ラウドスピーカは、極性の切り替えによって異なることがある。本発明は、単一の聴取場所または複数の聴取場所を有するオーディオシステムのためのラウドスピーカの種類または種類群を選択するためのシステムを含む。さまざまな種類のラウドスピーカをラウドスピーカ位置候補に配置し、伝達関数を記録することによって、伝達関数を測定してもよい。たとえば、各種のラウドスピーカを各ラウドスピーカ位置候補に配置し、伝達関数を各聴取場所で記録してもよい。ラウドスピーカの種類に基づき、この伝達関数を修正してもよい。たとえば、伝達関数を組み合わせて予測伝達関数を生成することによって、さまざまな種類のラウドスピーカの組み合わせ候補を解析してもよい。これらの予測伝達関数を統計的に解析することによって、予測伝達関数の平坦度、一致度、効率などの特定の様相を示してもよい。ラウドスピーカの種類または種類群の選択は、目的の様相または様相集合を示す予測伝達関数に基づいてもよい。次に、この種類または種類群のラウドスピーカを車載オーディオシステムなどの特定のオーディオシステムに実装してもよい。
補正係数をこのオーディオシステムに適用してもよい。補正係数として、遅延、ゲイン、振幅、またはフィルタリングを含んでもよいが、これだけに限定されるものではない。これらの補正係数は、特定の周波数範囲(低、中、または高周波など)に適用してもよく、またオーディオシステム内の1つまたは複数のスピーカに対する信号に適用してもよい。さらに、これらの補正係数は、一時的(位相を変更するだけのフィルタリングまたは遅延など)であっても、非一時的であってもよい。本システムは、所定空間内のオーディオシステムに対する単一または複数の補正係数の選択を含む。聴取場所に対する伝達関数を補正係数候補によって修正することによって、予測伝達関数を生成してもよい。予測伝達関数の平坦度、一致度、効率などの特定の様相を示すために、予測伝達関数を統計的に解析してもよい。補正係数の選択は、目的の様相または様相集合を示す予測伝達関数に基づいてもよい。次にこれらの補正係数を、車載オーディオシステムなどの特定のオーディオシステムに実装してもよい。
オーディオシステムは、複数の聴取場所候補を含むことがある。本システムは、複数の聴取場所候補からの1つまたは複数の聴取場所の選択を含む。聴取場所候補に対する伝達関数を記録してもよい。ラウドスピーカ位置候補、スピーカ種別候補、補正係数候補、および/またはクロスオーバフィルタなどの、オーディオシステムのパラメータ候補によってこれらの伝達関数を修正することによって、予測伝達関数を生成してもよい。予測伝達関数の平坦度、一致度、効率などの特定の様相を示すために、予測伝達関数を統計的に解析してもよい。単一または複数の聴取場所の選択は、目的の様相または様相集合を示す予測伝達関数に基づいてもよい。
クロスオーバフィルタをこのオーディオシステムに適用してもよい。クロスオーバフィルタを1つまたは複数のスピーカに対応付けてもよい。たとえば、スピーカを特定の周波数範囲で動作させる場合は、このスピーカが所期の範囲で動作するように、フィルタを選択してもよい。フィルタにはさまざまな特性があり、たとえば、フィルタの種類(たとえば、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、ノッチフィルタ、帯域通過フィルタ、またはこのようなフィルタの組み合わせ)、3dBダウンポイント、フィルタの次数などがある。本発明は、車両などの所定空間を対象としたクロスオーバフィルタの特性の選択を含む。クロスオーバフィルタの候補値に基づき、オーディオシステム内の単一または複数の聴取場所に対する伝達関数を修正してもよい。予測伝達関数の平坦度、一致度、効率などの特定の様相を示すために、予測伝達関数を統計的に解析してもよい。クロスオーバフィルタの3dBポイント、フィルタ次数などの特性の選択は、目的の様相または様相集合を示す予測伝達関数に基づいてもよい。次に、選択したクロスオーバフィルタを車両用オーディオシステムなどのオーディオシステム内で使用してもよい。
本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、当業者には明らかであろうし、または以下の図および詳細説明を検討することによって明らかになるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴、および利点はすべて本明細書に含まれ、また本発明の範囲に含まれ、さらに以下の請求項によって保護されるものとする。
図1は、ある瞬間における部屋の単一次元に対する最初の4つの軸モードを表す図である。 図2は、図1に示す第1の4軸モードと、ラウドスピーカの位置、および聴取者(ニコニコバッジ)と2つの追加の聴取場所1および2の位置とを表す図である。 図3は、室内に複数のサブウーファと複数のレシーバがあるシナリオの例である。 図4は、複数のサブウーファ位置候補、複数の聴取場所、およびサウンドシステムがある部屋を示す。 図5は、サウンドシステム例500、測定装置520、および計算装置570を示す。 図6は、サウンドシステムの低域特性を向上する方式のフローチャートである。 図7は、サウンドシステムパラメータの選択を示す図6のブロック602を展開したブロック図である。 図8は、伝達関数の入力を示す図6のブロック604を展開したブロック図である。 図9は、伝達関数の修正を示す図6のブロック606を展開したブロック図である。 図10は、図6のブロック608で実施しうるさまざまな統計的解析を説明するための伝達関数および計算の表である。 図11は、音響効率および平均空間変動の統計的解析を示す図6のブロック608を展開したブロック図である。 図12は、音響効率および空間平均の変動の統計的解析を示す図6のブロック608を展開したブロック図である。 図13は、統計的解析に応じて生成される、選択したパラメータに対する解を説明するための表である。 図14は、選択した解の値をサウンドシステムに実装する図6のブロック612を展開したブロック図である。 図15は、例1のリスニングルームの配置例である。 図16は、低周波の最適化を行っていない、例1のリスニングルームの低域特性を示すグラフである。 図17は、低周波の最適化を行った、例1のリスニングルーム予測低域特性を示すグラフである。 図18は、例2の専用ホームシアターシステムの配置例である。 図19は、低周波の最適化を行っていない、例2の専用ホームシアターシステムの低域特性を示すグラフである。 図20は、低周波の最適化を行った、例2の専用ホームシアターシステムの予測低域特性を示すグラフである。 図21は、例3のファミリールームホームシアターシステムの配置例である。 図22は、低周波の最適化を行っておらず、前面の2つサブウーファ(図21に示すサブウーファ1および2)のみをアクティブにした、例3のファミリールームホームシアターシステムの低域特性を示すグラフである。 図23は、低周波の最適化を前面の2つサブウーファ(図21に示すサブウーファ1および2)に適用した、例3のファミリールームホームシアターシステムの予測低域特性を示すグラフである。 図24は、低周波の最適化をシステム内の4つのサブウーファ(図21に示すサブウーファ1、2、3、および4)に適用した、例3のファミリールームホームシアターシステムの予測低域特性を示すグラフである。 図25は、例4の仕切りのない部屋のホームシアターシステムの配置例である。 図26は、低周波の最適化を行っておらず、図25に示すサブウーファ1のみをアクティブにした、例4の仕切りのない部屋のホームシアターシステムの低域特性を示すグラフである。 図27は、図25に示すサブウーファ位置1、2、4、および5が最適であることを判定するために低周波の最適化を行った、例4の仕切りのない部屋のホームシアターシステムの予測低域特性を示すグラフである。 図28は、例5のエンジニアリングリスニングルームの配置例である。 図29は、低周波の最適化を行っておらず、図28に示すサブウーファ1のみをアクティブにした、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図30は、1つのアクティブなサブウーファに対して低周波の最適化を行った、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図31は、低周波の最適化を行っておらず、前面2隅のサブウーファ(図28に示すサブウーファ1および3)をアクティブにした、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図32は、2つのアクティブなサブウーファに対して低周波の最適化を行った、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図33は、低周波の最適化を行っておらず、4隅にサブウーファを設置した構成(図28に示すサブウーファ1、3、5、および7)による、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図34は、低周波の最適化を行った、4隅にサブウーファを設置した構成(図28に示すサブウーファ1、3、5、および7)による、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図35は、4つの中間点にサブウーファを設置した構成(図28に示すサブウーファ2、4、6、および8)の、低周波の最適化を行っていない、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図36は、4つの中間点にサブウーファを設置した構成(図28に示すサブウーファ2、4、6、および8)の、低周波の最適化を行った、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図37は、順位付け係数として空間変動を用いて最適な4サブウーファ構成(図28に示すサブウーファ2、5、6、および7)を決定し、低周波の最適化を行った、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図38は、順位付け係数として空間変動と空間平均の変動とを用いてに最適な4サブウーファ構成(図28に示すサブウーファ1、5、6、および7)を決定し、低周波の最適化を行った、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図39は、順位付け係数として空間変動と音響効率とを用いて最適な4サブウーファ構成(図28に示すサブウーファ1、5、6、および7)を決定し、低周波の最適化を行った、例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図40は、図29〜39の低域特性に対する空間変動を基準に解を順位付けたグラフである。 図41は、ゲインと遅延とを最適化した、4隅にサブウーファを配置した構成(図28に示すサブウーファ1、3、5、および7)の例5のエンジニアリングリスニングルームの予測低域特性を示すグラフである。 図42は、ゲインと遅延とを最適化した、4隅にサブウーファを配置した構成(図28に示すサブウーファ1、3、5、および7)の例5のエンジニアリングリスニングルームの実測低域特性を示すグラフである。 図43は、フロントドア内とリアデッキ上とにあるスピーカを「均一」に駆動したときの、代表的なセダン型自動車内の予測低周波応答を示すグラフである。 図44は、音場管理を用いて最適化した、スピーカがフロントドア内とリアデッキ上とにある代表的なセダン型自動車内の予測低周波応答を示すグラフである。 図45は、4つのすべてのドア内とリアデッキ上にあるスピーカを「均一」に駆動したときの、代表的なセダン型自動車内の予測低周波応答を示すグラフである。 図46は、音場管理を用いて最適化した、スピーカが4つのすべてのドア内とリアデッキ上とにある代表的なセダン内の予測低周波応答を示すグラフである。 図47は、スポーツユーティリティビークル(SUV)の「ベンチマーク」セットアップの予測低周波応答を示すグラフである。 図48は、音場管理を用いて最適化した後のSUVの予測低周波応答を示すグラフである。 図49は、図47のSUVの各座席で単一のマイクロフォンを用いた実測周波数応答を示すグラフである。 図50は、図47のSUVの各座席でマイクロフォン配列を用いた実測周波数応答を示すグラフである。 図51は、向上または最適化しうる7チャネルサウンドシステム構成のブロック図である。 図52は、向上または最適化しうる7チャネルサウンドシステム構成の別のブロック図である。
発明の詳細な説明
所定の空間のためのオーディオシステムを構成するためのシステムを提供する。オーディオシステムを構成するために、本システムによってオーディオシステムの構成候補を統計的に解析してもよい。構成候補として、ラウドスピーカの位置、ラウドスピーカの数、ラウドスピーカの種類、聴取場所、補正係数、フィルタ、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。統計的解析によって、予測伝達関数の一致度、予測伝達関数の平坦度、予測伝達関数に対する座席間の総合音圧レベルの差、予測伝達関数の効率、または予測伝達関数の出力を含む、構成候補の少なくとも1つのメトリックを示してもよい。本システムは、単一または複数の聴取場所を有するオーディオシステム内のラウドスピーカの位置、ラウドスピーカの数、ラウドスピーカの種類、補正係数、聴取場所、クロスオーバフィルタ、またはこれらの体系の組み合わせを選択する手法も提供する。
図4は、低域特性などのオーディオ性能を本願明細書に記載の方法によって向上しうる、部屋境界壁402によって画定された部屋400を示す。部屋400は、ラウドスピーカを配置するどのような種類の空間を含んでいてもよい。この空間は、ドアを閉めた部屋や車両(自動車やトラックなど)内部など、境界によって完全に包囲されていてもよいし、または玄関につながっている部屋、ドアを開けた部屋、仕切りがない部屋、またはサンルーフを開けた車両など、境界によって部分的に包囲されていてもよい。空間内の低域特性は、部屋に関しては本願明細書および添付請求項において記載するが、車両内部、録音スタジオ、家庭の居住空間、コンサートホール、映画館、部分的に囲まれた空間などが含まれることは言うまでもない。部屋の境界壁402などの部屋境界は、部屋を部分的または全面的に囲む間仕切りを含む。部屋の境界は、石膏、木、コンクリート、ガラス、レザー、織物、およびプラスチックなど、どのような材料で作られていてもよい。家庭においては、部屋の境界は石膏、築壁、または織物で作られていることが多い。境界は、壁、掛け布、家具、備品などを含んでもよい。車両においては、部屋の境界はプラスチック、レザー、ビニール、ガラスなどで作られていることが多い。部屋の境界は、音を反射、拡散、および吸収する能力がそれぞれ異なる。部屋の境界の音響特性が音響信号に影響することもある。
部屋400はサウンドシステム470を含むが、サウンドシステム470はCDプレーヤ、チューナ、DVDプレーヤなどの音源412、オプションのプロセッサ404、アンプ410、およびラウドスピーカ414を含んでもよい。点線470は、音源412、オプションのプロセッサ404、アンプ410、およびラウドスピーカ414がサウンドシステムに含まれうることを示す。
ラウドスピーカ414は、変換器を囲む箱状の構成を一般に有するラウドスピーカ筐体を含んでもよい。このラウドスピーカ筐体は、ラウドスピーカ位置の壁または車両内などの環境条件に適合する他の形状および構成を有していてもよい。また、このラウドスピーカは、その筐体の全体または一部として、壁または車両の一部を利用してもよい。
このラウドスピーカは、低域から高域までの音響周波数の全範囲を提供してもよい。多くのラウドスピーカは、筐体内に複数の変換器を有する。ラウドスピーカ筐体内に複数の変換器を使用すると、一般に個々の変換器はそれぞれ異なる周波数帯でより効果的に動作する。低周波など、音響周波数の特定の範囲を提供するために、ラウドスピーカまたはラウドスピーカの一部を最適化してもよい。ラウドスピーカは、専用のアンプ、ゲインコントロール、イコライザなどを含んでもよい。ラウドスピーカは他の構成でもよく、たとえば構成要素の数をこれより減らしても、増やしてもよい。
低周波を発生させるために最適化した変換器を含むラウドスピーカまたはラウドスピーカの一部は、一般にサブウーファと呼ばれる。サブウーファは、低周波を発生させることが可能な任意の変換器を含んでもよい。特に断り書きがない限り、本願明細書および添付明細書においては、低周波を発生させることが可能なラウドスピーカをサブウーファという用語で呼ぶが、ただし、低周波を発生させ、共通の電気信号に応答できるラウドスピーカまたはラウドスピーカの一部はどのようなものでもサブウーファに含まれる。
この部屋は、8つのラウドスピーカ位置候補440〜447を含んでおり、1つまたは複数のラウドスピーカを配置してもよい。ラウドスピーカ位置候補の数はこれより少なくても多くてもよい。ラウドスピーカの位置または「位置」は、サブウーファなどのラウドスピーカを配置しうる空間内の物理的な場所である。位置として、家の中の部屋の隅、壁、または天井、あるいは車両の内部パネルを含んでもよい。
部屋は、聴取者が座りうる6つの聴取場所450〜455も含む。聴取場所の数も同様に、これより少なくても多くてもよい。聴取場所または「場所」は、聴取者が座位または立位を取りうる空間内の物理的区域である。場所として、屋内の長椅子または椅子、あるいは車両内の運転手またはパイロットの座席を挙げてもよい。聴取場所は部屋の中のどこでもよいが、一般に美的および人間工学的観点から選択される。また、聴取場所は、高域および中域周波数の音響性能の良さに基づき選択してもよい。
ラウドスピーカ位置候補440〜447のそれぞれにラウドスピーカ414を配置し、聴取場所450〜455のそれぞれで測定することによって、ラウドスピーカ位置候補440〜447のそれぞれについて、聴取場所450〜455のそれぞれにおいて伝達関数を求めてもよい。伝達関数によって、約120ヘルツ(Hz)未満、約100Hz未満、約80Hz未満、約60Hz未満、約50Hz未満、約40Hz未満、または20Hzと80Hzとの間など、さまざまな範囲の周波数を測定してもよい。たとえば、第1のラウドスピーカ位置候補440に対する周波数応答などの伝達関数を第1の聴取場所450で求めてもよい。その後、残りのラウドスピーカ位置候補441〜447のそれぞれについて、第1の聴取場所450で伝達関数を求める作業を繰り返してもよい。複数の聴取場所を考慮する場合は、ラウドスピーカ位置候補440〜447のそれぞれについて第2の聴取場所451で伝達関数を求める作業を繰り返し、最後の聴取場所455に達するまでこの作業を繰り返してもよい。図4に示す構成においては、聴取場所450〜455のそれぞれに対して8つの伝達関数を求めうるので、部屋400に対して合計で48の伝達関数を求めることが可能である。
種類Aのラウドスピーカと種類Bのラウドスピーカとを使用するなど、複数の種類のラウドスピーカを使用する場合は、各位置候補について2つの伝達関数を求めてもよい。種類Aのラウドスピーカと種類Bのラウドスピーカとは、品質がそれぞれ違ってもよい。単なる一例であるが、種類Aのラウドスピーカが双極のラウドスピーカであって、種類Bのラウドスピーカが従来型(単極)のラウドスピーカであってもよい。位置440などの位置候補のそれぞれに対して8つのラウドスピーカ位置候補がある例では、聴取場所450〜455のそれぞれに対して140A伝達関数と140B伝達関数とを求めてもよい。簡単にするために、位置という用語の以降の使用においては、1種類のラウドスピーカの使用に限定するが、複数の種類のラウドスピーカを考慮してもよい。
求める伝達関数によって、どのような音響的様相を測定してもよい。たとえば、求める伝達関数は、振幅または音量成分、および位相成分を含んでもよい。振幅値と位相値とが必要であれば、これらを得られるどのような方法によって伝達関数を求めてもよい。伝達関数の振幅成分と位相成分とは、ベクトルとして表してもよい。伝達関数は、1つの周波数またはトーンで求めてもよいし、あるいは2Hz刻みで20Hzから20,000Hzまでというように、複数の周波数またはトーンで求めてもよい。考慮される周波数間隔を周波数分解能と呼ぶこともある。
音響信号がラウドスピーカ414を出て、部屋境界402と作用し合い、聴取場所450〜455に達するときに音響信号に発生する振幅および/または位相の偏差を伝達関数に反映させてもよい。不規則な非平行四辺形の部屋および完全には囲まれていない部屋によって導入される偏差を伝達関数に反映させてもよい。伝達関数を求めるために、部屋の寸法、部屋境界402の音響効果などを測定する必要はない。むしろ、音響信号を位置候補440〜447のうちの1つに配置されたラウドスピーカ414から出力し、聴取場所450〜455のうちの1つに置かれたマイクロフォンまたは他の音響測定装置によって録音してよい。
図5において、本発明を実装するためのシステムは、サウンドシステム500、測定装置520、および計算装置570を含んでもよい。このサウンドシステムは、サウンドプロセッサ502、外付け構成要素512、およびラウドスピーカ1〜N(図中514、5
16、および518)を有する汎用サウンドシステムを備えてもよい。サウンドシステムは他の構成でもよく、構成要素がこれより多くても少なくてもよい。
サウンドプロセッサ502は、レシーバ、プリアンプ、サラウンドサウンドプロセッサなどを備えてもよい。サウンドプロセッサ502は、デジタルドメイン、アナログドメイン、またはこの両方の組み合わせで動作させてもよい。サウンドプロセッサ502は、プロセッサ504とメモリ506とを含んでもよい。プロセッサ504は、システムメモリ506にアクセスすることによって、算術演算、論理演算、および/または制御動作を行ってもよい。サウンドプロセッサ502は、入出力装置(I/O)508をさらに含んでもよい。以下に説明するように、入出力装置508は入力を受け取り、出力を測定装置520と外付け構成要素512とに送る。
サウンドプロセッサ502は、プロセッサ504とつながっているアンプ510をさらに含んでもよい。アンプ510は、デジタルドメイン、アナログドメイン、またはこの両方の組み合わせで動作させてもよい。ラウドスピーカのオーディオ出力を制御するために、アンプ510は、制御情報(電流など)を1つまたは複数のラウドスピーカに送ってもよい。ラウドスピーカの例として、ラウドスピーカ1〜N(図中514、516、および
518)が挙げられる。あるいは、ラウドスピーカ1〜N(図中514、516、および
518)は、アンプおよび/または他の制御回路を含んでもよい。ラウドスピーカ1〜N(図中514、516、および518)は、効率(所定のパワー入力に対する音響出力)
と設計とが同一のラウドスピーカでもよい。あるいは、ラウドスピーカ1〜N(図中51
4、516、および518)は、効率と設計とがそれぞれ異なっていてもよい。サウンドプロセッサ502は、外付け構成要素512から入力を受信し、出力を外付け構成要素512に送ってもよい。外付け構成要素512の例として、ターンテーブル、CDプレーヤ、チューナ、およびDVDプレーヤが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。構成によっては、外付け構成要素512、プロセッサ504、またはアンプ510の後に、1つまたは複数のデジタル/アナログ変換器(DAC)(図示せず)を実装してもよい。
測定装置520は、サウンドシステム500から出力される音響信号の測定を可能にし、たとえば(l)1つ、いくつか、または一定範囲の周波数で出力された音響信号の振幅、および/または(2)1つ、いくつか、または一定範囲の周波数で出力された音響信号の振幅と位相、を測定できる。測定装置の一例は、音圧レベルメータであり、これによって音響信号の振幅を求めてもよい。測定装置の別の例は、伝達関数解析器であり、これによって音響信号の振幅と位相とを求めてもよい。以下に説明するように、伝達関数解析器によってデータをプロットして出力ファイルを生成し、これを計算装置570に送って処理してもよい。
測定装置520は、音響信号の測定能力を含む汎用計算器を備えてもよい。たとえば、オーディオ測定機能を提供するために、伝達関数解析器PCIカード562を測定装置520に含めてもよい。あるいは、測定装置520は、伝達関数解析器専用の機能を有する装置を備えてもよい。
測定装置520は、処理装置532と、システムメモリ522と、システムメモリ522を含むさまざまなシステム構成要素を処理装置532に結合するシステムバス538とを含んでもよい。処理装置532は、システムメモリ522にアクセスすることによって、算術演算、論理演算、および/または制御動作を行ってもよい。システムメモリ522は、処理装置532との組み合わせで使用される情報および/または命令を格納してもよい。システムメモリ522は、ランダムアクセスメモリ(RAM)524および読み出し専用メモリ(ROM)530などの揮発性および非揮発性メモリを含んでもよい。ROM530には、基本入出力システム(BIOS)を格納してもよい。BIOSは、スタートアップ時などに測定装置520内の要素間での情報転送を助ける基本ルーチンを含んでもよい。システムバス538は、メモリバスまたはメモリコントローラと、周辺バスと、さまざまなバスアーキテクチャのいずれかを使用するローカルバスとを含むさまざまな種類のバス構造のいずれかでよい。
測定装置520は、ハードディスク(図示せず)に対して読み出しと書き込みとを行うためのハードディスクドライブ542、および取り外し可能な外付けディスク548に対して読み出しまたは書き込みを行うための外付けディスクドライブ546をさらに含んでもよい。取り外し可能ディスクは、磁気ディスクドライブ用の磁気ディスク、または光ディスクドライブ用のCDROMなどの光ディスクでもよい。上記の伝達関数装置によって生成される出力ファイルは、取り外し可能な外付けディスク548に保存し、計算装置570に転送してさらに処理してもよい。測定装置は他の構成でもよく、たとえば構成要素を減らしても追加してもよい。
ハードディスクドライブ542および外付けディスクドライブ546は、それぞれハードディスクドライブインタフェース540および外付けディスクドライブインタフェース544によって、システムバス538に接続してもよい。ドライブとそのコンピュータ可読媒体は、測定装置520のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの非揮発性記憶を提供してもよい。図4に示す典型的環境においては、ハードディスクと外付けディスク548とが使われているが、この典型的な動作環境では、磁気カセット、フラッシュメモリカード、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリなど、データを保存でき、このデータにコンピュータがアクセス可能な他の種類のコンピュータ可読媒体も使用しうる。
ハードディスク、外付けディスク548、ROM530、またはRAM524には、オペレーティングシステム(図示せず)、1つまたは複数のアプリケーションプログラム526、他のプログラムモジュール(図示せず)、およびプログラムデータ528を含む多数のプログラムモジュールを格納してもよい。このようなアプリケーションプログラムの1つとして、伝達関数PCIカード562からダウンロード可能な伝達関数解析器の機能を含んでもよい。
ユーザは、コマンドおよび/または情報をキーボード558などの入力装置を介して測定装置520に入力してもよい。マイクロフォン560を使用して、オーディオ出力を測定してもよい。他の入力装置(図示せず)として、マウスまたは他のポインティングデバイス、マイクロフォン560以外のセンサ、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナなどを含んでもよい。上記および他の入力装置は、システムバス538に結合されるシリアルポートインタフェース554を介して処理装置532に接続してもよいし、あるいはパラレルポートインタフェース550、ゲームポート、またはユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインタフェースによってまとめてもよい。さらに、プリンタ552を使用して情報を印刷してもよい。プリンタ552および他のパラレル入出力装置は、パラレルポートインタフェース550を介して処理装置532に接続してもよい。モニタ537または他の種類の表示装置も、ビデオ入出力装置536などのインタフェースを介して、システムバス538に接続される。測定装置520は、モニタ537のほか、ラウドスピーカまたは他の可聴出力装置など他の周辺出力装置(図示せず)を含んでもよい。
以下により詳しく説明するように、音響信号を部屋のさまざまな区域で測定するために、測定装置520は、サウンドシステム500など他の電子装置と交信してもよい。ラウドスピーカ514、516、および518のうちの1つをラウドスピーカ位置候補440〜447のうちの1つ、いくつか、またはすべてに配置してもよい。マイクロフォン560または他の種類の音響信号センサを聴取場所候補450〜455のうちの1つ、いくつか、またはすべてに配置してもよい。所定の音響信号を放出するために、サウンドシステム500によってラウドスピーカを制御してもよい。次に、ラウドスピーカから出力される音響信号を聴取場所でマイクロフォン560によって検知してもよい。次に、出力された音響信号の振幅や位相などのさまざまな様相を測定装置520によって記録してもよい。
所定の音響信号を放出するためのサウンドシステム500の制御は、さまざまな方法で実施してよい。サウンドシステム500を制御するために、測定装置520は入出力装置(I/O)534からのコマンドを、ライン564を介して、入出力装置508に提供してもよい。次に、サウンドシステムは、測定装置からのコマンドに基づき、所定の音響信号を放出してもよい。サウンドシステムはまた、測定装置からコマンドを受信せずに、所定の信号を配置されているラウドスピーカに送ってもよい。たとえば、外付け構成要素212は、CDプレーヤを含んでもよい。このCDプレーヤに特定のCDを挿入し、再生してもよい。再生中、ラウドスピーカから出力された音響信号を聴取場所でマイクロフォン560によって検知してもよい。
さまざまな聴取場所に対してさまざまなラウドスピーカ位置から出力され、測定された音響信号を外付けディスク548などに保存してもよい。外付けディスク548を計算装置570への入力としてもよい。計算装置570は別のコンピューティング環境でもよく、測定装置520に関して上に記載した要素の多くまたはすべてを含んでもよい。計算装置570は、下記の数的に集中的な統計的解析を実施するために、処理装置532より高機能の処理装置を含んでもよい。
以下にさらに説明するように、サウンドプロセッサ502、プロセッサ504、アンプ510、ラウドスピーカ1〜N(図中514、516、および518)、またはサウンドシステム500内の複数の位置に補正を実装してもよい。サウンドプロセッサ502は、デジタルからアナログへの変換の前に時間遅延を実装してもよい。サウンドプロセッサ502は、ゲインの補正および/または等化をアナログドメインまたはデジタルドメインに実装してもよい。ラウドスピーカ514に対する6dBの振幅低減など補正の設定は、ユーザがサウンドプロセッサ502に入力してもよい。これらの設定の実装は、サウンドシステム500によって自動化してもよい。
図5に示すように、測定装置520は、サウンドシステム500から分離している。あるいは、測定装置520の機能をサウンドシステム500に組み込んでもよい。さらに、図5に示すように、測定装置520は、計算装置570から分離している。測定装置520が十分な計算能力を有している場合は、計算装置570を使用する必要はなく、測定装置520によって測定と下記の計算とを行ってもよい。サウンドシステム500、測定装置520、および計算装置570は、他の構成でもよく、たとえば構成要素がこれより少なくても多くてもよい。
図6は、サウンドシステムの低域特性などの性能を向上させるために構成を選択する手法を概略的に示すフローチャート600である。サウンドシステムの構成は、サウンドシステムのためのパラメータまたはパラメータ集合を含んでもよい。パラメータは、聴取場所における伝達関数に影響する様相であれば何を含んでもよく、たとえば(1)ラウドスピーカの位置、(2)ラウドスピーカの数、(3)ラウドスピーカの種類、(4)補正設定、(5)聴取場所、および/または(6)クロスオーバフィルタなどを含んでもよい。
オーディオシステムの構成候補を解析するために、ブロック602に示すように、パラメータ値候補を選択してもよい。たとえば、ラウドスピーカ位置候補を選択してもよい。位置候補として、ラウドスピーカを配置しうる所定空間内の任意の位置を含んでもよい。たとえば、位置候補は、図4に示す8つのラウドスピーカ位置候補440〜447など、ユーザによって入力される複数の離散的な位置候補を含んでもよい。車両などの空間においては、ラウドスピーカの位置候補が事前に決まっていることもある。別の例として、ラウドスピーカ数候補を選択してもよい。ラウドスピーカ数候補は、所定空間内のラウドスピーカ数としてありうる数であればどのような数を含んでもよい。この数は、上限、下限、または上下限を含んでもよい。たとえば、ラウドスピーカ数候補として、ラウドスピーカの最小数および最大数を含んでもよい。さらに別の例として、ラウドスピーカ種別候補を選択してもよい。ラウドスピーカの種類として、ラウドスピーカのさまざまな品質を含んでもよい。たとえば、ラウドスピーカの種類として、双極ラウドスピーカおよび単極ラウドスピーカを含んでもよい。さらに別の例では、空間は、離散数の聴取場所候補を含んでもよい。一般に、聴取場所は、事前に決められ、変更される可能性はない。ただし、柔軟な空間構成によって、複数の聴取場所候補から1つまたは複数の聴取場所を選択できるようにしてもよい。
補正設定値候補をさらに選択してもよい。補正設定として、サウンドシステム500への実装時に、ラウドスピーカの配置に依存せずに低域特性を向上させるための調整を含んでもよい。この補正は、1つまたは複数のラウドスピーカに適用してもよい。低域特性を含む周波数性能を向上するために、補正とラウドスピーカの最適数および最適位置とを組み合わせてもよいし、あるいはそれぞれ別個に考慮してもよい。補正設定の例として、ゲイン、遅延、およびフィルタリングに対する補正が挙げられる。フィルタリングの例として、バンドカットつまりノッチ、帯域通過、低域通過、高域通過、全域通過(振幅ではなく位相の変更)、およびFIR(有限インパルス応答)を挙げてもよい。フィルタリングの補正設定は、さまざまな聴取場所に対する周波数応答を等化するために使用してもよいので、イコライザ補正設定と呼んでもよい。サウンドシステムパラメータの選択については、図7に関してより詳しく説明する。
ブロック604に示すように、ラウドスピーカ位置候補に対する伝達関数を単一または複数の聴取場所において入力してもよい。決定された伝達関数に対する測定は、MLSSA音響測定システムを用いて2Hz分解能で実施してもよい。伝達関数決定のフローチャートについては、図8に関して以下により詳細に説明する。
ブロック606に示すように、サウンドシステムパラメータ値候補に基づき、伝達関数を修正してもよい。サウンドシステムパラメータ値候補を組み合わせて、オーディオシステムの構成候補を表してもよい。たとえば、サウンドシステムパラメータ値候補は、スピーカの組み合わせ候補、補正係数候補、クロスオーバフィルタ候補、ラウドスピーカ種別候補、聴取場所候補、またはスピーカと補正係数候補との組み合わせ候補など、パラメータ候補の任意の組み合わせを表してもよい。システムの構成候補に基づき、以前記録した伝達関数を組み合わせてもよいし、さらに/または調整してもよい。このように、修正された伝達関数は、サウンドシステムの構成候補に対して予測される伝達関数を表してもよい。伝達関数の修正については、図9に関してより詳細に説明する。
次に、ブロック608に示すように、統計的解析技法などの解析技法の1つまたは複数を予測伝達関数に適用してもよい。統計的解析を使用して、1つまたは複数のパラメータ値候補を含む、オーディオシステムのさまざまな構成を評価してもよい。具体的には、統計的解析によって、複数のサウンドシステムパラメータのそれぞれ個別の効果、またはこれらのパラメータを組み合わせた連携効果を考慮することによって、低域特性の向上など、サウンドシステムの周波数性能を向上するための合理的取り組みを提供してもよい。この統計的解析では、予測伝達関数について単一の様相またはメトリック、あるいは複数の様相またはメトリックを測定してもよい。たとえば、この統計的解析によって、平坦度、一致度、効率など、予測伝達関数の特定の一様相または様相群を示してもよい。具体的には、単一の聴取場所を有するオーディオシステムについて調べる場合は、統計的解析によって、単一の聴取場所に対する予測伝達関数の効率または平坦度を解析してもよい。複数の聴取場所を有するオーディオシステムについて調べる場合は、統計的解析によって、それぞれの聴取場所における予測伝達関数の効率、平坦度、または聴取場所間の変動を解析してもよい。統計的解析の例については、図10〜12に関して説明する。
ブロック610に示すように、統計的解析に基づき、パラメータの値を選択してもよい。統計的解析は、予測伝達関数のさまざまな様相を測定しうるので、予測伝達関数を相互に比較するために使用してもよい。比較の一方法は、決定された振幅または変動などの値に基づく、構成候補の順位付けである。たとえば、各解候補についての平均空間変動、空間平均の変動、および音響効率を計算した後に、結果を順位付けし、最良の構成を選択してもよい。すべてのカテゴリ(たとえば、最低平均空間変動、空間平均の最低変動、および最高の音響効率係数)で最高位に順位付けされた構成がない場合を想定して、これらのメトリックに優先順位付けまたは重み付けを行ってもよい。次に、他の構成候補と比べてより良いか、または最良の構成候補に対するパラメータを選択してもよい。
次に、ブロック612の説明および図14の詳細説明に示すように、選択した解に対応する値をサウンドシステムに実装してもよい。この解の値を実装した後で、低域特性をさらに向上するために、ブロック614に示すように、低域特性を向上する大域的補正方法をシステム500内のすべてのラウドスピーカに均一に、またはほぼ均一に適用してもよい。次に、性能の向上を確認するために、サウンドシステムの伝達関数を測定し直してもよい。さらに、選択した解に対応する値と大域補正係数とを実装してもよい。たとえば、車両の場合は、車両にオーディオシステムを据え付ける前、車両にオーディオシステムを据え付けている間、または車両にオーディオシステムを据え付けた後(たとえば車両の販売時点)など、さまざまな時点において、選択した解および/または大域補正係数に対応する値によって、車両用オーディオシステムを構成してもよい。フローチャート600は、図6よりステップ数が少なくてもよいし、あるいは図6に示されていないステップを追加してもよい。
大域的等化は、低域特性を向上するための一種の大域的補正方法である。サウンドシステム500内のすべてのラウドスピーカに均一に、またはほぼ均一に、大域的な等化を適用してもよい。統計的解析によって、振幅応答におけるディップよりピークに有利に働く解を決めうるので、この結果のピークの振幅を減らすために、大域的等化を適用してもよい。このように、ブロック610およびブロック612における解の選択および実装の後に、低域特性をさらに向上させてもよい。ブロック614に示すように、追加のパラメトリック等化または他の種類の等化を利用して、大域的等化を実装してもよい。統計的解析によって最適化された大域等化パラメータを求めるために、すべてのラウドスピーカについて前に修正した振幅値をほぼ均一な方法によって修正してもよい。
(パラメータ候補の選択)
図7は、図6のブロック602を展開したブロック図であり、オーディオシステムのパラメータ候補の選択方法を示す。この方法は、ブロック702に示すように、周波数性能が向上する聴取場所を1つまたは複数選択するステップを含んでもよい。たとえば、聴取場所を複数の聴取場所候補から選択してもよい(たとえば、5つの聴取場所候補から2つの聴取場所を選択する)場合は、聴取場所候補を入力してもよい。この方法は、ブロック704に示すように、ラウドスピーカを配置できる位置候補を選択するステップをさらに含んでもよい。この選択は、美的観点または他の観点に基づいてもよい。さらに、この解析時にラウドスピーカの種類を複数考慮する場合は、ラウドスピーカの種類を選択してもよい。ブロック706に示すように、周波数分解能も選択してよい。周波数分解能の選択は、所望の分解能レベルと計算装置570の計算能力とに基づいてもよい。ユーザは、ブロック708および710に示すように、位置候補に配置するラウドスピーカの最小数および最大数をさらに選択してもよい。たとえば、4つのラウドスピーカ位置候補に対して、最少で1つのラウドスピーカおよび最大で3つのラウドスピーカを考慮してもよい。
ブロック712、714、および716は、補正設定の選択、つまり特定のラウドスピーカ位置における以降の実装のために考慮しうる「補正」の選択を示す。上記のように、補正は、サウンドシステムへの実装時に、ラウドスピーカの配置に依存しない低域特性などの周波数性能を向上させうる調整を含む。補正は、各ラウドスピーカ位置候補の統計的解析時にそれぞれ個別に決定し、配置される各ラウドスピーカに対してそれぞれ個別に実装してもよい。
ブロック712に示すように、各ラウドスピーカ位置候補において考慮すべきゲイン設定の数および値を選択してもよい。下記の等化レベルと異なり、ゲイン設定は、ラウドスピーカによって再生されるすべての周波数に影響しうるので、つまり周波数には依存しないので、ラウドネスまたは音量の設定と一般に呼ばれる。各ラウドスピーカ位置候補において考慮すべきゲイン設定の数と値とは任意に選択してもよいが、3つのゲイン設定0、−6、および−12dBを選択してもよい。これらの値は、音響出力のベースラインである0dBつまり1からのdB低減として表されるが、ただし、dB値は相対的であるので、増加も使用しうる。
ブロック714に示すように、各ラウドスピーカ位置候補において考慮すべき遅延設定の数および値を選択してもよい。遅延をラウドスピーカに導入することによって、再生される音響信号の位相を変えてもよい。各ラウドスピーカ位置候補において考慮すべき遅延設定の数および値は任意に選択してもよい。たとえば、3つの遅延設定0、5、および10ミリ秒を選択してよい。
1つ、いくつか、またはすべてのラウドスピーカ位置候補にフィルタリングを適用してもよい。フィルタリングの一例として、等化が挙げられる。ブロック716に示すように、各ラウドスピーカ位置候補に適用する等化設定の数と値とを選択してもよい。等化は、パラメトリック、グラフィック、パラグラフィック、シェルビング、FIR(有限インパルス応答)、およびトランスバーサル等化を含む、さまざまな種類のアナログまたはデジタル等化を含んでもよい。等化設定は、周波数設定(たとえば、中心周波数)、帯域幅設定(たとえば、等化フィルタを適用するための中心周波数を囲む帯域幅)、レベル設定(たとえば、振幅が信号を低減または増加する量)などを含んでもよい。このように、1つのラウドスピーカ位置候補に対して、第1の中心周波数における第1の等化設定、および第2の中心周波数における第2の等化設定、またはさまざまな種類の等化など、複数の等化設定を適用してもよい。さらに、等化をすべての当該周波数に適用してもよい。たとえば、20〜80Hzに的を絞った低周波解析においては、すべての当該周波数に等化を適用してもよい。処理時間を減らすために、図11のブロック1106に関してさらに説明するように、変動が最大の周波数を選択してもよい。このように周波数の選択を限定する場合は、3つの帯域幅パラメータと3つのレベルパラメータとを選択してもよい。便宜上、帯域幅をフィルタQ(Q)と表してもよい。Qは、中心周波数のヘルツ値を、レベル調整を適用する周波数範囲のヘルツ値で割った値として定義してもよい。たとえば、中心周波数50Hzが選択されている場合は、Qが2の場合の帯域幅は25Hzになる。適切なQパラメータとして、1、4、および16が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。適切なレベルパラメータとして、0、−6、および−12dBが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
ブロック718に示すように、702〜716で行った選択に基づき、統計的解析時に考慮すべき伝達関数の数を決めてもよい。これらの伝達関数は、1つまたは複数の補正設定によって修正された伝達関数、単一のラウドスピーカ位置に対する伝達関数、および複数のラウドスピーカ位置を表すために組み合わされた伝達関数を含んでもよい。ラウドスピーカ位置、ラウドスピーカ数、ゲイン設定、遅延設定、および等化設定などのありうる組み合わせ候補をすべて調査することが不可能な場合もある。不可能な場合は、解候補の部分集合を調べてもよい。この部分集合として、十分な分解能を持つ部分集合、つまり最良の解を見逃すほど粗すぎず、また調査に時間がかかりすぎるほど精細すぎない部分集合、を選択してもよい。パラメータの調査ステップサイズの変更は、計算時間に大きく影響する。調査パラメータの変更は、次の式(4)を用いて見積もってもよい。
ここで、Tは、算出時間の見積値である。
refは、ラウドスピーカ位置、ラウドスピーカ数、ゲイン設定、遅延設定、等化設定などの一意な組み合わせを1つ調査するために要する時間である。
Nは、ラウドスピーカ位置候補の数である。
Kは、実際に使用するラウドスピーカの数である。
Aは、調査するラウドスピーカ振幅レベルの数である。
Tは、調査する信号遅延値の数である。
は、調査するフィルタカットレベルの数である。
は、調査するフィルタQ値の数である。
Sは、最適化される聴取場所の数である。
は、次の場合に、ラウドスピーカ位置候補数NからKを一度に選択しうる選択方法の数である。
perm(K)は、K個のラウドスピーカの順列数であり、perm(K)=K!である。
ブロック606においては、統計的解析時に任意の数の伝達関数を考慮してもよいが、算出時間を短縮するために、ブロック722に示すように、たとえば選択する周波数分解能、選択するラウドスピーカ数、選択する補正数、および/または補正設定を減らしてもよい。ブロック720に示すように、統計的解析のために許容しうる数の伝達関数を決定したら、これらの伝達関数を入力してもよい。ブロック602のステップ数は、図7より少なくてもよいし、図7に示されていないステップを追加してもよい。
(伝達関数の記録)
図8は、各聴取場所に対する特定のラウドスピーカ位置に対応する伝達関数の入力を示す図6のブロック604を展開したブロック図である。ブロック802に示すように、ラウドスピーカは、図4の位置440など第1の位置候補に配置してもよい。次に、ブロック804に示すように、マイクロフォン(または他の音響センサ)を、図4の場所450など第1の聴取場所に配置してもよい。次に、ブロック806に示すように、サウンドシステム500によって発生された音響信号に対応して、第1のラウドスピーカ位置候補に対する伝達関数を第1の聴取場所で測定装置520を用いて記録してもよい。この手順については、図4および図5に関してより詳細に説明する。
ブロック808に示すように聴取場所(聴取場所候補を含む)がさらにある場合は、ブロック810に示すようにマイクロフォンを次の聴取場所に移動してもよい。たとえば、マイクロフォンを図4の場所451に移動してもよい。次にブロック806に示すように、測定を繰り返してもよい。ブロック812に示すようにラウドスピーカ位置候補がさらにある場合は、ブロック814に示すようにラウドスピーカを次の位置候補に移動してもよい。たとえば、ラウドスピーカを図4の位置441に移動してもよい。次にブロック806に示すように、測定を繰り返してもよい。すべてのラウドスピーカ位置候補に対する伝達関数を各聴取場所で記録するまで、この手順を繰り返してもよい。ブロック604は、図8のステップ数より少なくてもよいし、あるいは図8に示されていないステップを追加してもよい。
(伝達関数の修正)
予測伝達関数を決めるために、オーディオシステムの構成候補に基づき、記録した伝達関数を修正してもよい。構成候補は、オーディオシステムにおけるいずれか1つのパラメータ値候補、パラメータ値候補の任意の組み合わせ、または任意の部分的組み合わせ、およびこれらのさまざまな順列を含んでもよい。たとえば、構成候補は、さまざまなラウドスピーカ位置、さまざまなラウドスピーカ種別、さまざまな補正係数、さまざまなクロスオーバフィルタ、あるいはラウドスピーカ位置、ラウドスピーカ種別、補正係数、またはクロスオーバフィルタの任意の組み合わせまたは部分的組み合わせを含んでもよい。伝達関数の修正は、伝達関数の組み合わせ、および/または伝達関数の調整を含んでもよい。修正された伝達関数は、パラメータ値候補(すなわち、ラウドスピーカ位置候補、ラウドスピーカ種別候補、補正設定候補、クロスオーバフィルタ候補など)に対する単一の聴取場所における予測伝達関数を表してもよい。
伝達関数の組み合わせの一例として、構成候補は、場所440および442へのラウドスピーカの配置、および当該聴取場所451を含んでもよい。2ラウドスピーカ構成を予測するために、メモリ内の2つの伝達関数(ラウドスピーカが場所440にあるときに場所451で記録される第1の伝達関数、およびラウドスピーカが場所442にあるときに場所451で記録される第2の伝達関数)にアクセスして、組み合わせてもよい。以下に説明するように、重ね合わせによって伝達関数を組み合わせてもよい。このように組み合わされた伝達関数は、ある聴取場所における、場所440および442の複数のラウドスピーカによって発生された音響信号を示す。伝達関数の別の組み合わせ例として、特定の種類のラウドスピーカに対する伝達関数にアクセスしてもよい。ラウドスピーカの解候補の1つが、場所440への種類Aのラウドスピーカの配置と場所442への種類Bのラウドスピーカの配置とを含み、当該聴取場所が451である場合は、メモリ内の2つの伝達関数(種類Aのラウドスピーカが場所440にあるときに場所451で記録された第1の伝達関数、および種類Bのラウドスピーカが場所442にあるときに場所451で記録された第2の伝達関数)にアクセスして組み合わせることによって、構成を予測してもよい。
さらに、伝達関数の調整例として、補正設定に基づく伝達関数の修正を挙げてもよい。所望の伝達関数の選択後、選択した伝達関数のうちの1つまたは複数を、ゲイン設定、遅延設定、または等化設定などの補正設定候補の1つまたは複数によって修正してもよい。修正された伝達関数は、補正設定候補に対する予測伝達関数を表してもよい。
図9は、伝達関数の修正を示す図6のブロック606を展開したブロック図である。ブロック902に示すように、計算装置570で実行されるプログラムまたはユーザが特定の聴取場所を選択してもよい。たとえば、2つの聴取場所(たとえば、図4の451および452)を含む部屋環境の場合は、どちらの聴取場所を選択してもよい。次にブロック904に示すように、計算装置570で実行されるプログラムまたはユーザが単一のラウドスピーカ位置候補、またはラウドスピーカ位置候補の組み合わせを選択してもよい。たとえば、2つのラウドスピーカ位置候補(たとえば、図4の440および442)を含む部屋環境の場合は、単一のラウドスピーカ位置、またはラウドスピーカ位置の任意の組み合わせ(たとえば、440または442、あるいは440と442)を選択してもよい。次にブロック906に示すように、計算装置570で実行されるプログラムまたはユーザは、選択したラウドスピーカ位置またはラウドスピーカ位置の組み合わせに対応する、選択された聴取場所に対する伝達関数を選択してもよい。たとえば、聴取場所が451であり、ラウドスピーカ位置候補が440と442とである場合は、ラウドスピーカが場所440にあるときの場所451における伝達関数と、ラウドスピーカが場所442にあるときの場所451における伝達関数とを選択してもよい。
これらの伝達関数が位相成分を含む場合は、ブロック908に示すように、計算装置570で実行されるプログラムは、測定されてメモリに保存されている伝達関数の位相成分を、ブロック714で選択したいずれかの遅延設定によって修正してもよい。たとえば、オプションの遅延設定の1つが2つのラウドスピーカ間の差分遅延10ミリ秒を含む場合は、10ミリ秒の時間遅延係数の導入を反映させるために、どちらか一方の伝達関数の位相成分を修正してもよい。上記の例で、ラウドスピーカ位置候補が440および442である場合は、位置442にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数に対して、位置440にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数を10ミリ秒遅らせてもよい。たとえば、位置440にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数を10ミリ秒遅らせてもよい。または、位置442にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数を10ミリ秒進めてもよい。または、両伝達関数の修正を組み合わせることによって、この伝達関数間の相対遅延を10ミリ秒にしてもよい。このように、1つまたは複数の遅延設定を適用することによって、各ラウドスピーカ位置で記録された伝達関数を修正してよい。
計算装置570で実行されるプログラムは、ブロック910に示すように、測定されてメモリに保存されている伝達関数の振幅成分を、ブロック712で選択したいずれかのゲイン設定によって修正してもよい。このように、数値振幅成分を6dBなどの一定量だけ増加または減少することができる。具体的には、伝達関数の振幅の1つ、いくつか、またはすべてを修正してもよい。上記の例では、位置440にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数の振幅に対して、位置442にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数の振幅を増加または減少してもよい。たとえば、位置442にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数を6dB減らしてもよい。または、位置440にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数を6dB増やしてもよい。または、両伝達関数の修正を組み合わせることによって、これらの伝達関数間の相対振幅差を6dBにしてもよい。このように、各聴取場所で記録された伝達関数を修正するために、複数のゲイン設定のうちの1つを各サブウーファに適用してもよい。
図9には示されていないが、ブロック912での組み合わせの前に、図5に示す計算装置570で実行されるプログラムは、保存されている伝達関数をブロック716で選択した等化設定などの任意の等化設定によって修正してもよい。上記のように、中心周波数、帯域幅、および振幅調整を含む等化設定によって伝達関数を修正してもよい。計算が複雑になるのを防ぐために、中心周波数、帯域幅、および振幅調整の選択を制限してもよい。具体的には、ブロック912での組み合わせの前に等化修正を行う場合は、ブースト/カットレベルおよびQ値が複数でありうるすべての周波数において等化フィルタを計算して適用すると、計算時間が極めて長くなる。計算時間を短縮するために、図11に関して以下により詳しく説明するように、空間変動が最大である周波数の決定後、等化設定の修正をブロック1108で行ってもよい。たとえば、変動が最大の解の周波数に等しい中心周波数の等化フィルタを適用することによって、空間変動を減らしてもよい。この結果、各フィルタ/ラウドスピーカに対して計算される周波数が1つだけになるので、計算時間が大幅に短縮される。または、最大変動の決定前に等化設定を実装してもよい。
計算装置570で実行されるプログラムは、ブロック912に示すように、記録または修正された(たとえば、遅延、ゲイン、および/または等化などの補正係数によって修正された)伝達関数を組み合わせることによって、選択されたラウドスピーカ位置の組み合わせに対する聴取場所での振幅応答の組み合わせを与えてもよい。たとえば、位置440にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数は修正せず(補正係数を適用しない)、位置440にあるラウドスピーカに対する場所451における伝達関数を修正することによって、遅延および振幅変更を導入してもよい。組み合わせ応答を求めるために、これらの伝達関数の少なくとも一部を組み合わせてもよい。たとえば、これらの伝達関数の振幅成分を組み合わせてもよい。たとえば、これらの伝達関数の振幅と位相成分とを組み合わせてもよい。
これらの伝達関数を組み合わせる1つの方法として、重ね合わせを含んでもよい。ラウドスピーカ、部屋、および信号処理が線形システムを含む場合は、重ね合わせの原理を適用してもよい。重ね合わせは、伝達関数ベクトルの線形加算を含む。伝達関数の個々の周波数について、ベクトルを加算つまり合計してもよい。たとえば、伝達関数のベクトルをラウドスピーカ位置440、441、および442に対する聴取場所451で測定する場合は、各周波数のベクトルを加算することによって、各周波数における3つのラウドスピーカ位置を組み合わせた振幅応答を与えてもよい。また、ゲイン、等化、または遅延設定などの補正設定の少なくとも1つによって修正した伝達関数または伝達関数値を組み合わせてもよい。
ブロック902で選択した聴取場所に対するラウドスピーカ位置の組み合わせのうち、まだ調べていない組み合わせが残っている場合は、ブロック914に示すように、ブロック904〜912を繰り返してもよい。追加の遅延設定をブロック714で選択した場合は、ブロック916に示すように、ブロック908〜914を繰り返してもよい。追加のゲイン設定をブロック712で選択した場合は、ブロック918に示すように、ブロック910〜916を繰り返してもよい、追加の聴取場所をブロック702で選択した場合は、ブロック920に示すように、ブロック902〜918を繰り返してもよい。すべての聴取場所、ラウドスピーカ位置候補、遅延設定候補、およびゲイン設定候補を考慮し終えたら、修正および/または組み合わせ後の伝達関数、つまり予測伝達関数を表しうる伝達関数、を各聴取場所922に対して記録する。ブロック606に含まれるステップは、図9より少なくてもよいし、あるいは図9に示されていないステップを追加してもよい。
(統計的解析)
予測伝達関数を解析するために、さまざまな統計的解析を実施してよい。図10は、さまざまな周波数(2Hz刻みの20〜80Hz)に対するさまざまな聴取場所(座席1〜5)の生データ、および実施しうる統計的解析の例を示す表である。上記のように、1つまたは複数のパラメータ値候補に基づき、生データを修正してもよい。たとえば、補正のための候補値が中心周波数30Hz、帯域幅10Hz、およびレベル設定−6dBのフィルタを含む場合は、周波数26〜34の生データを相応に調整することによって予測伝達関数を生成してもよい。
複数の聴取場所を有するオーディオシステムの場合は、統計的解析は、たとえば座席間の平均、標準偏差、空間標準偏差、空間包絡線、または空間最大平均を取り、予測伝達関数を評価する任意の数値計算ツールに基づいてもよい。たとえば、20Hzにおける空間平均は−15.94dBであるが、これは20Hzにおける座席1〜5に対する振幅読み取り値の平均を求めることによって計算される。20Hzにおける空間変動は−4.72dBであるが、これは、20Hzにおける座席1〜5に対する振幅読み取り値の変動を取って計算される。空間標準偏差は、20Hzに対して2.17dBであり、これは空間変動の平方根として算出してもよい。空間包絡線は、読み取り値の最大値と最小値との間の差としてもよい。20Hzにおける読み取り値の最大は−12.99dB、最小は−18.13dBであるので、空間包絡線は5.14dBである。空間最大マイナス平均は、最大値を選択し、平均値を引くことによって計算してもよい。20Hzにおける最大値は−12.99dB、平均は15.94dBであるので、空間最大−平均は2.96である。
この空間平均に基づき、平均総合レベルを算出してもよい。他の計算は、空間平均の変動、空間平均の標準偏差、空間平均の包絡線、および空間平均最大−平均などの空間平均に基づいてもよい。たとえば、図10において、空間平均の最大−平均は、6.42−(−8.97、平均総合レベル)、つまり15.39である。図10に示すように、平均空間変動、平均空間標準偏差、平均空間包絡線、および平均空間最大−平均も同様に、空間変動、空間標準偏差、空間包絡線、および空間最大−平均に基づき計算してもよい。平均空間変動の等式例を以下に示す。
ここで、var(R(s,f))は、いずれか1つの周波数fにおいて計算された、すべての聴取場所間の伝達関数の変動の大きさ(dB単位)である。
統計的解析は、平均レベルなどの、座席ごとの周波数の平均に基づいてもよい。たとえば、座席1におけるすべての周波数の平均を求めることによって、平均レベル−10.16dBを算出してもよい。図10に示すように、各座席における平均レベルを用いて、平均総合レベル、平均レベルの変動、平均レベルの標準偏差、平均レベルの包絡線、および平均レベルの最大−平均を算出してもよい。
空間平均の変動は、次のように定義してもよい。
ここで、var(R(k))は、いずれか1つの聴取場所で計算された、すべての周波数にわたる伝達関数の変動の大きさ(dB単位)である。
Sは、聴取場所の合計数である。
音響効率は、総効率を総合出力対アクティブなラウドスピーカ数に換算して定量化してもよい。音響効率は次のように定義してもよい。
ここで、aは、いずれか所与の構成におけるラウドスピーカkの振幅である。
統計的解析によって、予測伝達関数のさまざまなメトリックまたは様相を測定してもよい。第1の種類の統計的解析によって、複数の聴取場所にわたる予測伝達関数の一致度を示してもよい。システムを等化する場合は、上記の第1の種類の例として、平均空間変動、平均空間標準偏差、平均空間包絡線(すなわち、最小および最大)、および平均空間最大平均が挙げられる。たとえば、平均空間変動値が低い場合は、伝達関数が各座席において一致する傾向がある(すなわち、すべての座席における値が空間平均に近い)ことを示す。
第2の種類の統計的解析によって、予測伝達関数に対する等化の必要度を測定してもよい。具体的には、第2の種類の統計的解析を平坦度の尺度にしてもよい。第2の種類の例として、空間平均の変動、空間平均の標準偏差、空間平均の包絡線、および空間最小値の変動が挙げられる。空間平均の変動を調べるこの解析によって、座席間の平均的一致度の尺度が提供される。
第3の種類の統計的解析によって、予測伝達関数に対する座席間の総合音圧レベル(SPL)の差を測定してもよい。第3の種類の例として、平均レベルの変動、平均レベルの標準偏差、平均レベルの包絡線、および平均レベルの最大平均が挙げられる。
第4の種類の統計的解析によって、単一の聴取場所または複数の聴取場所における予測伝達関数の効率を調べてもよい。実際に、この統計的解析を、単一の聴取場所または複数の聴取場所における特定の周波数、周波数群、または周波数範囲に対するサウンドシステムの効率の尺度にしてもよい。第4の種類の例として、音響効率が挙げられる。音響効率によって、各ラウドスピーカに対する総ドライブレベルで割った平均総合レベルを測定してもよい。予測伝達関数に対する音響効率を調べ、音響効率がより高いか、または最も高いパラメータまたはパラメータ群を予測伝達関数に対して選択してもよい。
第5の種類の統計的解析によって、単一の聴取場所または複数の聴取場所における予測伝達関数の出力を調べてもよい。この統計的解析は、特定の周波数、周波数群、または周波数範囲に対するサウンドシステムの生出力の尺度にしてもよい。単一の聴取場所を有するシステムの場合は、出力を調べる統計的解析の例として、平均レベルが挙げられる。複数の聴取場所を有するシステムの場合は、出力を調べる統計的解析の例として、平均総合レベルが挙げられる。平均総合レベルによって、オーディオシステムが特定の聴取場所または複数の聴取場所においてどれだけの音量を再生できるかを示してもよい。第6の種類の統計的解析では、単一の聴取場所における予測伝達関数の平坦度を調べる。この統計的解析によって、単一の聴取場所における振幅変動および振幅標準偏差などの予測伝達関数の変動を解析してもよい。
上記のどの統計的解析においても、帯域制限を行ってよい。たとえば、特定の周波数または周波数集合における出力量を求めるために、40Hz未満の周波数など特定の周波数帯における平均総合レベルを測定してもよい。一般に、サブウーファの最大出力は、40Hz超の周波数に対して、40Hz未満に制限される。したがって、平均総合レベルを40Hz未満に最適化すると都合がよいこともある。次に、20〜40Hz範囲においてこれらの聴取場所での平均総合出力が最も高いか、またはより高いパラメータ候補をオーディオシステムに使用してもよい。単一の場所を有するオーディオシステムの場合も同様に、平均レベルを40Hz未満に最適化すると都合がよいこともある。上記のように、さまざまな統計的解析を実施してもよい。図11は、音響効率および平均空間変動を調べる統計的解析を示す図6のブロック608を展開したブロック図の一例である。図5に示す計算装置570で実行されるプログラムによって、この比較を行ってもよい。ブロック1102に示すように、伝達関数を周波数の関数として聴取場所間で比較することによって、空間平均を出してもよい。たとえば、予測伝達関数を周波数の関数として比較してもよい。
空間平均は、場所の平均振幅を含んでもよく、単一のラウドスピーカ位置またはラウドスピーカ位置の組み合わせから出力され、図4の450〜455などの複数の聴取場所で検知される音響出力の数値表現として見てもよい。空間平均を求めるには、単一のラウドスピーカ位置から出力された伝達関数の修正後または修正前の振幅成分を周波数の関数として、場所間で比較してもよいし、または複数のラウドスピーカ位置から出力された伝達関数の組み合わせの修正後または修正前を比較してもよい。この比較は任意の方法で行ってよいが、1つの方法では、図10に示すように、すべての聴取場所からの振幅成分のdB値を平均することによって、各周波数に対する空間平均を与える。各聴取場所に対する振幅成分が空間平均からどれだけ変動するかは、場所変動などの変動として表してもよい。このように、振幅3dBの空間平均を与えるために、振幅値4dBと2dBとを平均化によって比較すると、空間変動値は2になりうる。
図10に示すように、振幅値間の変動性は、サンプル変動、標準偏差(STD)、空間包絡線、空間最大−平均、または数値間の変動性を表す他のいずれかの方法によって表してもよい。たとえば、位置440にあるラウドスピーカに対する60Hzの伝達関数が場所450において+1dB、場所451において+1dB、場所452において−2dB、場所453において+2dB、場所454において+3dB、および場所455において+3dBである場合、空間平均振幅は+1.33dBとなり、空間変動は3.47となる。
ブロック1104に示すように、空間平均および空間変動を記録してもよい。計算装置570で実行されるプログラムは、ブロック1106に示すように、各ラウドスピーカ位置候補およびラウドスピーカ位置候補の各組み合わせに対するすべての聴取場所間で空間変動が最大になる周波数を求めてもよい。この周波数を、等化を適用する際の中心周波数として決定してもよい。さらに、複数の等化を実装する場合は、空間変動が最大の3つの中心周波数など、複数の中心周波数を決定してもよい。
次にブロック1108に示すように、計算装置570で実行されるプログラムは、決定された中心周波数の振幅を、ブロック716で選択した等化帯域幅およびレベル設定によって修正してもよい。このように、決定された(または、ブロック912での組み合わせの前に等化修正を実施した場合は、選択された)周波数の選択された帯域幅に対して、特定の周波数に対する数値振幅成分を増加または低減させてもよい。たとえば、12dBの振幅低減を60HzでQ=4によって適用することもできる。周波数に依存しないゲイン設定と異なり、さまざまな周波数における数値振幅成分は、さまざまな等化レベル設定によって修正しうる。このように、複数の等化設定のうちの1つを、ラウドスピーカ位置候補の1つまたは組み合わせに対する空間平均に適用してもよい。
ブロック1110に示すように、修正した空間平均を記録してもよい。716で追加の等化設定を選択した場合は、ブロック1112に示すように、ブロック1108〜1110を繰り返してもよい。選択したすべての等化設定によって空間平均を修正したときは、ブロック1114に示すように、修正後または修正前の空間平均を比較してもよい。この比較は、計算装置570で実行されるプログラムで行ってもよい。
ブロック1114に示すように、すべての空間平均を比較することによって、各ラウドスピーカ位置候補およびラウドスピーカ位置候補の各組み合わせに対する音響効率と平均空間変動とを含む解に、すべての聴取場所に対して選択した補正を加えてもよい。図10は、音響効率と平均空間変動とを決定するために使用しうる平均総合レベルの例を示す。
上記のように、決定された音響効率は、解を実装した場合に、所定のサウンドシステムが同じパワー入力から1つまたは複数の聴取場所でより高いサウンドレベルを生成しうる能力を数値的に示す。このように、音響効率は、サウンドシステムの総低周波電気入力に対する1つまたは複数の聴取場所における音圧レベルの比である。たとえば、音響効率は、すべてのアクティブなラウドスピーカに対する総ドライブで割った平均総合レベルを含んでもよい。決定された空間変動は、解を実装した場合に各聴取場所で検知される低周波音響信号の相似性を数値的に示す。
図12は、音響効率と空間平均の変動とを求める統計的解析を示す図6のブロック608を展開したブロック図の別の例である。ブロック1202に示すように、振幅応答を聴取場所の関数としてすべての当該周波数にわたって比較することによって、各聴取場所における平均レベルを求めてもよい。図10は、1つの聴取場所における周波数群の振幅を平均することによって平均総合レベルを算出する、平均レベルの計算例を示す。具体的には、周波数20〜80の振幅を平均することによって、図1に示す座席1に対する平均レベルを計算してもよい。図10に示すように、これらの平均レベルを平均することによって、平均総合レベルを計算してもよい。さらに、図10に示すように、これらの平均レベルを解析することによって、平均レベルの変動、平均レベルの標準偏差、平均レベルの包絡線、および平均レベルの最大−平均を求めてもよい。平均レベルに加え、振幅変動または振幅標準偏差を計算してもよい。振幅変動は、特定の聴取場所に対する振幅の変動を含んでもよい。図10に示す例のように、振幅変動は、座席1に対する振幅値の変動(−177.71,−16.60...−5.65)の計算を含んでもよい。振幅変動は、特定
の聴取場所に対する伝達関数(予測伝達関数または修正前の伝達関数)の平滑度の尺度にしてもよい。複数の聴取場所を有するオーディオシステムにおいては、各聴取場所に対する振幅変動の平均を求めることによって、平均振幅変動を求めてもよい。単一の聴取場所を有するオーディオシステムにおいては、振幅変動または振幅標準偏差を用いて、予測構成を統計的に評価してもよい。
ブロック1204に示すように、記録されたすべての平均レベルの平均を求めることによって、平均総合レベルを求めてもよい。ブロック1206に示すように、平均総合レベルを用いて、音響効率を計算してもよい。平均総合レベルを各ラウドスピーカに対する総ドライブレベルで割ることによって、音響効率を求めてもよい。音響効率は、所定のサウンドシステムが同じパワー入力から、1つまたは複数の聴取場所におけるサウンドレベル、帯域を制限した解析の場合は低周波サウンドレベル、を上げうる能力を数値的に示す。ブロック1208に示すように、最初に各聴取場所における空間平均を計算し、次にこれらの空間平均の変動を計算することによって、空間平均の変動を計算してもよい。決定された空間平均の変動は、解を実装した場合に、振幅値が目標値にどれだけ一致するかを数値的に示す。ブロック1210に示すように、この音響効率および/または空間平均の変動を用いて、予測伝達関数を比較してもよい。
図13は、オーディオシステムの構成候補の表であり、構成候補は平均空間変動(MSV)に基づき順位が付けられている。これらの構成候補は、ラウドスピーカ位置、ラウドスピーカ数、およびゲインと、遅延と、等化とを含む補正設定のオーディオシステムパラメータのさまざまな組み合わせに対応する値を含む。最初の4つの構成と別の構成(解10,000など)とが示されている。さらに、図14には、例示を目的として、音響効率(AE)の値、および空間平均の変動(VSA)の値が示されている。他の種類の統計的解析を使用してもよい。
図13の各構成候補に対して、6つの聴取場所、最少2つのラウドスピーカ、最大3つのラウドスピーカ、および4つのラウドスピーカ位置候補が考慮されている。3つのゲイン設定候補値として0dB、−6dB、および−12dBが考慮されている。遅延設定として0ms、5ms、および10msが考慮されている。パラメトリック等化を実装するための中心周波数は、図11のブロック1106で求めたように、変動が最大の周波数を含んでもよい。帯域幅設定として1、4、および16が考慮されている。等化レベル設定として0dB、−6dB、および−12dBが考慮されている。
この手法によって、統計的解析に基づき、少なくとも1つの構成候補を推奨してもよい。この推奨は、1つまたは複数の統計的解析に基づいてもよい。図13に示すように、構成候補は、平均空間変動(MSV)に基づき順位付けされる。あるいは、音響効率(AE)および/または空間平均の変動(VSA)に基づき、解を順位付けしてもよい。または、さまざまな統計的解析の重み付けに基づく順位付けなど、複数の統計的解析に基づき、これらの解を順位付けしてもよい。たとえば、さまざまな重みを平均空間変動、音響効率、および/または空間平均の変動に割り当ててもよい。
計算装置570で実行されるプログラムまたはユーザは、図13に示す説明のための解から、統計的解析に応じたパラメータの解を手動で選択してもよい。図13に示す解1は、平均空間変動が最小であるので、各システムパラメータに対して示されている補正設定を位置候補1および2のラウドスピーカに実装すると、各聴取者に聞こえる低周波信号の類似性が最大になる。解5の場合は、音響効率は最大になるが、平均空間変動が他の解より高くなる。このように、ユーザは、平均空間変動が最小ではなく、また音響効率が最大でもないが、平均空間変動と音響効率の両方のバランスがよい解2の実装を希望してもよい。解3は、各聴取場所における空間平均の変動は最小であるが、解2に比べ、平均空間変動が大きく、音響効率が低い。このように、空間平均の変動を考慮する場合もまた、空間変動と、音響効率と、空間平均の変動との組み合わせがよい解2が所望の選択肢となりうる。
部屋およびサウンドシステムによっては、特定の解によって、音響効率と、平均空間変動と、空間平均の変動とが同時に向上する場合もあるが、トレードオフが必要になる場合もある。低周波が向上する所望の組み合わせを用意するために、ユーザが順位付け結果を見直し、選択した解に対応する値を実装してもよい。たとえば、一部の音響効率を犠牲にして空間変動を減らすか、またはこの逆のトレードオフを行うかをユーザが決定してもよい。
ユーザに加えて、計算装置570で実行されるプログラムが統計的解析からの解を重み付けすることによって、サウンドシステムに実装する解を選択してもよい。具体的には、平均空間変動が最小になる解が音響効率を大きく下げる場合は、ユーザが選択した重み付け係数に基づき、プログラムが所望の解を選択してもよい。たとえば、ユーザが音響効率の向上を必要とする程度が平均空間変動の低減の2倍であるとする。このように、低域特性のトレードオフを伴う場合は、計算装置570で実行されるプログラムは、ユーザが優先させる重み付けに基づき、解を選択してもよい。上記のように、他の種類の統計的解析を使用して構成候補を評価してもよい。たとえば、振幅変動または平均振幅変動を用いて構成候補を評価してもよい。
図13のS列は、ラウドスピーカの数と各ラウドスピーカの位置とを4つの位置候補によって示す。各解は、その解を実装するためにラウドスピーカを配置すべき位置候補に対応する値を提供する。同様に、解を実装するために必要なラウドスピーカの数も提供する。たとえば、解1の場合は、2つのラウドスピーカを位置候補1および2に配置する。解5の場合は、3つのラウドスピーカを位置1、3、および4に配置する。
このように、それぞれの解は、使用するラウドスピーカの数を減らした場合、または増やした場合の効果を示してもよい。具体的には、それぞれの解は、使用するラウドスピーカの数を増やすと効果があるか否かを明らかにしてもよい(たとえば、選択したラウドスピーカの数が3つでも2つでも、低周波音性能には影響しない、つまり選択した聴取場所における低周波音の性能は低下しないなど)。それぞれの解では、低域特性を向上するために追加するラウドスピーカおよび補正のコストの重み付けをユーザが行える。たとえば、ラウドスピーカを2つ追加するより、パラメトリック等化を一対のラウドスピーカの一方に加えた方が空間変動がより向上することもある。
図13の「ゲイン」列は、低域特性の所望の向上をもたらすために、各ラウドスピーカに実装するゲイン設定を示す。上記のように、統計的解析によって、各ラウドスピーカ位置候補に実装するゲイン設定をそれぞれ独立に決めてもよい。たとえば、解3においては、位置候補2のラウドスピーカに対して6dBのゲイン低減を実装するが、位置候補3に配置されるラウドスピーカに対してはゲイン補正を実装しない。
一般に受け入れられている音響理論では、対面する垂直な部屋境界から等しい位置にある2つラウドスピーカのゲイン設定を等しくしてルームモードを打ち消すと、低域特性が向上すると予測される。ラウドスピーカの配置が正確であり、空間が対称的であり、空間境界の音響特性が同じであれば、この予測が当てはまるかもしれないが、空間境界の音響特性は一般に非常に異なる。したがって、ラウドスピーカの配置位置が部屋境界から等距離でない場合は、統計的解析によって、低域特性が向上するゲイン設定値を持つ解を決定してもよい。また、空間境界の音響特性が一様でなく、相互に垂直でなく、ドアなどの開口部がある場合も、低域特性が向上するゲイン設定値を持つ解を決定してもよい。
1つまたは複数の聴取場所で聞かれる低周波のサウンドレベルを上げるには、ラウドスピーカ位置候補におけるゲイン設定を下げる解を統計的解析によって求めてもよい。これは解1と解3とを比較するとわかるように、両ラウドスピーカの単位ゲインが0であるとき、ラウドスピーカ2に対する6dBのゲイン低減によってもたらされる解3の音響効率は、解1から得られる音響効率より高いことを示している。これは、音量を下げるとサウンドレベルが下がるという、一般に受け入れられている音響理論とは直観的に反する。
図13の「遅延」列は、各解の各ラウドスピーカ位置に実装される遅延設定を示す。上記のように、統計的解析によって、各ラウドスピーカ位置候補に実装する遅延設定をそれぞれ独立に決定してもよい。このように、解3の場合は、位置候補2のラウドスピーカに対して10msの遅延を実装し、位置候補3に配置されるラウドスピーカに対しては遅延を実装しない。遅延設定もまた、音響効率に対して良い影響を及ぼすことがある。
図13の「中心」列、「帯域幅」列、および「レベル」列は、各解の1つ、いくつか、またはすべてのラウドスピーカに実装するパラメトリック等化設定候補などのフィルタ候補を示す。上記のように、パラメトリック、グラフィック、パラグラフィック、シェルビング、FIR、およびトランスバーサルを含む、さまざまな種類の等化を調査してもよい。統計的解析によって、各候補ラウドスピーカに実装する等化設定をそれぞれ独立に決めてもよい。パラメトリック等化では、調整を適用する周波数、たとえば60Hz、は、中心周波数によって決まる。振幅調整の幅は、帯域幅によって決まる。たとえばQ=4であると、帯域幅=15Hzになる。適用する振幅調整の量、たとえば−12dB、は、レベルによって決まる。振幅の増加または低減のどちらを適用してもよいが、一般には振幅の低減を適用する。したがって、解3の場合は、位置候補2のラウドスピーカに対しては、中心周波数27HzのQ16にわたって6dBのレベル低減を適用し、位置候補3のラウドスピーカに対しては、中心周波数41HzのQ1にわたって0dBのレベル低減を適用する。周波数に依存するゲイン(等化レベル)は別の種類のゲイン低減であるので、1つまたは複数のラウドスピーカに対する、1つまたは複数の周波数における等化レベル設定を下げることによって、1つまたは複数の座席における低周波の音響効率を上げてもよい。
注目すべきことに、周波数独立または周波数依存のゲインおよび/または遅延の低減によって、特定の周波数帯(50Hz未満の周波数など)における音響効率と平均総合レベルとを上がることがある。たとえば、1つまたは複数のラウドスピーカの音量を下げることによって、音響効率と平均総合レベルとを上がることがある。振幅ディップより振幅ピークがカバーする部屋の物理的容積の方が一般に大きいので、このように音響効率と平均総合レベルとが上がることがある。たとえば、ピークがカバーしうる聴取場所はは2つから3つであるが、ディップがカバーしうる聴取場所は1つである。統計的解析によって平均空間変動および/または空間平均の変動が減る解を求めるときは、振幅応答におけるディップ(弱め合う干渉)を犠牲にして、ピーク(強め合う干渉)を増加しうる解の値をサウンドシステムに実装してもよい。聴取場所におけるディップに対するピークのこのような増加は、音響信号の音波間の弱め合う干渉の低減によることもある。したがって、補正の実装前は波の打ち消しによって減衰した音響エネルギーが聞かれることもあるので、低周波の音響効率の向上を実感することが可能になりうる。
図14は、選択した解に対応する値のサウンドシステムへの実装を示す図6のブロック612を展開したブロック図である。ラウドスピーカの数と位置とに対応する解の値を実装するには、ブロック1402に示すように、1つまたは複数のラウドスピーカを決定された位置に配置する。したがって、図13の解2を実装するには、ラウドスピーカを位置候補1、2、および3に配置する。同様に、空間変動が最小の解1を実装するには、ラウドスピーカを位置候補1および2に配置する。
補正設定は、サウンドシステム500のアナログドメイン(たとえば、ゲインまたは等化)またはデジタルドメイン(たとえば、ゲイン、等化、または遅延)、および信号経路内の都合のよい任意の地点に実装してもよい。ブロック1404に示すように、ゲイン調整(一般にラウドネスまたは音量制御と呼ばれる)を各ラウドスピーカ位置でそれぞれ独立に下げるか上げることによって、ゲイン設定をサウンドシステム500に実装してもよい。したがって、図14の解2を実装するには、位置候補1のラウドスピーカに対するゲインを1から6dB下げ、位置候補2のラウドスピーカのゲインを1つまり0のままとし、位置候補3のラウドスピーカのゲインを1から12dB下げる。ゲイン補正を実装するには、変換器によって音響信号に変換される電気信号を減衰または増加させる方法が一般的であるが、共通の電気信号に反応する複数のラウドスピーカを単一の位置に配置するなどの方法によって行ってもよい。または、ラウドスピーカの配線を変更することによって、補正設定を実装してもよい。
ブロック1406に示すように、10ミリ秒(ms)などの遅延設定を各ラウドスピーカ位置でサウンドシステム500のデジタルドメインに実装してもよい。遅延設定の実装は、サラウンドサウンドまたは他のプロセッサが入力から低周波出力を生成した後でもよい。たとえば、DOLBY DIGITAL 5.1(R)またはDTS(R)デジタル信号がデジタルサラウンドサウンドデコーダに入力される場合は、LFE(低周波効果)信号が出力される。この出力を増幅のためにアナログドメインに変換する前に、遅延設定を導入してもよい。遅延設定は、プロセッサ504がアナログ信号を出力できる場合は、プロセッサ504に実装してもよいが、ラウドスピーカの電子装置がデジタル入力を受け付ける場合は、ラウドスピーカに実装してもよい。したがって、図13の解2を実装するには、位置候補1のラウドスピーカに対して遅延0ms(遅延なし)を適用し、位置候補2のラウドスピーカによって再生される信号に遅延10msを適用し、位置候補3のラウドスピーカには遅延を何も適用しない。
ブロック1408に示すように、等化を各ラウドスピーカにそれぞれ独立に適用することによって、等化設定をサウンドシステム500に適用してもよい。パラメトリック等化は、各ラウドスピーカに等化を実装するために都合のよい方法である。パラメトリック等化では、適用する中心周波数、帯域幅、および振幅増加量または低減量(レベル)を選択するための設定を実装できる。中心周波数、帯域幅、およびレベルの設定は、各ラウドスピーカによって再生される信号に対してそれぞれ独立に適用してもよい。したがって、図14の解2を実装するには、ラウドスピーカlに対しては中心周波数、Q、およびレベル設定をそれぞれ22Hz、1、および−6dBに設定し、ラウドスピーカ3に対してはそれぞれ85Hz、1、および−12dBに設定する。位置候補2のラウドスピーカはレベル設定が0dBつまり1であるので、このラウドスピーカに対しては等化を実装しない。ブロック612のステップ数は図14より少なくてもよいし、図14に示されていないステップを追加してもよい。
(例)
7つのオーディオシステムを調べた。最初の5つは、上記の解析を用いてホームシアターシステムを調べた例である。この5つのホームシアターシステムのうち、3つは実際の既存ホームシアターシステムであり、残りの2つはリスニングルーム内の実験システムであった。各ホームシアター例において、最適化されたシステムを該当するベースラインと比較する。さらに、各ホームシアター例において、実測データを用いて結果を予測する。最後の2つは、上記の解析を用いて車両を調べた例である。
(例1)
調査した第1のシステムは、専用のホームシアターではない。したがって、既存のサブウーファ位置は、低域特性と美的観点との間の妥協点である。図15は、例1の部屋の配置であり、この縮尺比は約100:1である。正方形のボックスは、2つサブウーファ位置を表し、円は3つの聴取場所を表す。図15に示す部屋は約27′×13′であり、壁の1つは45°の角度が付いており、天井の高さは9′である。壁と天井とは、乾式壁と2″×6″の埋め込みボルトとで構成されている。床はコンクリートスラブ製であり、陶磁器製タイルで覆われている。床のかなりの部分が部分敷き絨毯で覆われている。
図16は、低周波解析を適用する前のシステムの低域特性を示す。図16の中央部にある太い実線の曲線は、3つの聴取場所の平均振幅応答である。中央部にある細い曲線は、各聴取場所における応答であり、上部の破線の曲線は、周波数の関数としての平均空間変動であり、明確にするために10dBでべき乗されている。左下のテキストは、この構成のメトリックであり、平均空間変動は21.4173dB、空間平均の変動は23.6992dB、および音響効率は−12.6886dBである。図16の右下のテキストは、補正係数に修正を加えていない、この構成のパラメータである。図17は、低周波解析の適用後の予測性能を示すグラフである。表1は、低周波解析前と低周波解析後のシステムの性能およびパラメータの比較である。
1つの壁の角度が45°である例1は、長方形以外の部屋など、どのような部屋構成にも低周波解析を適用しうることを示す。さらに、例1のシステムは、サブウーファの数と場所とが予め決められている。例1の低周波解析は、システムの低周波応答を向上するための補正係数に的を絞っている。たとえば、ゲイン、遅延、および等化に対する補正係数が例1の少なくとも一部のラウドスピーカに適用されている。図16、図17、および表1に示すように、この低周波解析の結果は、この解析によって、平均空間変動および空間平均の変動が劇的に減少したこと、つまり効果があったこと、および音響効率がわずかに増加したこと、つまりこれも効果があったことを示す。
(例2)
例2で調査した第2のシステムは、$300,000+の専用ホームシアターである。図18に、例2の部屋の配置を示す。本システムの特徴は、部屋の各隅に1つずつあるサブウーファ、フロントプロジェクション種類のビデオシステム、および2列目の座席のための蹴込みである。部屋の寸法は約26′×17′であり、天井の高さは9′である。2つの壁はコンクリートブロック製であり、2つの壁は乾式壁と2″×4″の埋め込みボルトとで構成されている。床は、コンクリートスラブ上にカーペットが敷かれている。2列目の座席は、ベニヤ板と2″×4″の埋め込みボルトとで構成された8″の蹴込み上にある。この部屋の特徴は、すべての壁に広範囲に施されているダンピングである。図19および図20は、低周波解析前および低周波解析後の低域特性を示す。表2は、低周波解析前と低周波解析後のシステム性能の比較である。
例2のシステムは、サブウーファの数と場所とが予め決まっており、4つのサブウーファが部屋の各隅にある。この低周波解析は、システムの低周波応答を向上するための補正係数に的を絞っている。たとえば、ゲイン、遅延、および等化に対する補正係数が例2のラウドスピーカの少なくとも一部に適用されている。図19、図20、および表2に示すように、この低周波解析の結果は、この解析によって、平均空間変動および空間平均の変動が向上し、音響効率がわずかに下がったことを示している。
(例3)
例3の第3のシステムは、ファミリールーム内のホームシアターセットアップを含む。図21は、例3の部屋の配置を示す。部屋の寸法は約22′×21′であり、勾配付きの天井が特徴である。壁と天井とは、乾式壁と2″×4″の埋め込みボルトとで構成されている。床はコンクリートスラブ製であり、周囲がタイルで覆われ、中央部はカーペット敷きである。左側面の壁には、厚手のカーテンで覆うことができる(また覆われていた)窓がいくつかある。本システムは、本来2つのサブウーファが部屋の前面にあった。図22は、低周波解析を適用する前の、部屋の前面のサブウーファ1と2とを使用していたシステムの本来の構成における低域特性を示す。図23は、サブウーファ1と2とを使用したシステムの低周波解析の適用後の低域特性を示す。2つの追加サブウーファを部屋の後部に配置し、低周波解析を適用した結果を図24に示す。表3は、改善前と改善後のシステムの性能比較である。
例3は、サブウーファの数、サブウーファの配置、および適用した補正係数に基づく、複数の異なる解候補を強調している。図23は、図22と同じ構成で配置されているサブウーファに対する解を示す。低周波解析を用いると、図23に示すように、同じ構成でも、平均空間変動が劇的に減少し、空間平均の変動が減少し、音響効率も減少する。図24は、部屋の各隅に配置されているサブウーファに対する解を示す。この低周波解析を用いると、図24に示すように、平均空間変動、空間平均の変動、および音響効率が大きく向上する。
(例4)
例4のシステムは、隣室との間に仕切りがない部屋にある。図25は、例4の部屋の配置である。主室の寸法は20′×15′であり、寸法17′×13′の別の部屋との間に仕切りがない。両方の部屋は、天井が8′の「下垂天井」であり、床がカーペットで覆われたスラブコンクリート製である。すべての壁は、乾式壁と2″×4″の埋め込みボルトとで構成されている。本来の構成では、1つのサブウーファを使用していた。図26は、本来の構成のシステムの性能を示すグラフである。図26のグラフで明らかなように、これは例外的に良いリスニングルームであることに注目されたい。6つのサブウーファ位置候補を測定し、低周波解析によって最良の4つのサブウーファ位置を決定した。図27は、低周波解析によって最良の4つのサブウーファ位置(サブウーファ1、2、4、および5)を選択し、各サブウーファのパラメータを最適化した後のシステムの性能を示すグラフである。表4は、最適化前と最適化後のセットアップの比較である。
例3と同様に、例4は、サウンドシステムのサブウーファの数、サブウーファの配置、および適用する補正係数などのさまざまな様相に基づくさまざまな解候補を強調している。低周波解析を通じて、サブウーファの数、サブウーファ位置候補に基づくサブウーファの配置、および/または補正係数を決定してもよい。具体的には、例4のシステムには、サブウーファ候補を6つまで含めることも可能であった。低周波解析によって、サブウーファの最適数は4つと決定された。さらに、6つのサブウーファ位置候補のうち、場所1、2、4、および5が選択された。低周波解析を用いることによって、図27に示すように、平均空間変動が減少し、空間平均の変動が増加し、音響効率が増加する。
(例5)
例5の部屋は、エンジニアリングリスニングルームである。図28は、例5のエンジニアリングリスニングルームの配置を示す。部屋の寸法は約21′×24′であり、天井の高さは9′である。壁と天井とは、乾式壁と2″×6″の埋め込みボルトとで構成された2層構造である。床は、コンクリートスラブ製であり、壁から壁までカーペット敷きである。すべての部屋境界が比較的硬いので、この部屋は低周波における減衰がほとんどない。この点に関して、例5の部屋は、低周波での減衰が大きい例2の部屋とは音響特性が非常に異なる。
合計で8つのサブウーファ位置候補と5つの聴取場所とを測定した結果、伝達関数の数は40になった。次に、図29〜39に詳細に示すように、いくつかの構成をシミュレートした。この例におけるすべての結果は、実測データを用いて40個の伝達関数から予測されている。
図29は、共通のシナリオにおける前面隅の単一のサブウーファ(図28のサブウーファ1)の低域特性を示すグラフである。これは、図30の低周波解析によって見つけた単一の最良サブウーファ構成に対比される。図31は、サブウーファ1と3とを用いた共通の「ステレオサブウーファ」構成の低域特性を示すグラフである。図32は、一対のサブウーファに対する最良の解を見つけることに限定した低周波解析を用いた2サブウーファ構成のシステムの性能を示すグラフである。図32に示すように、最良対の解は、図28に示すサブウーファ6と7とを使用する。
図33は、4隅のサブウーファ1、3、5、および7を用いた構成の低域特性を示すグラフである。図34は、低周波解析の適用後の同じ4つのサブウーファの性能を示すグラフである。図35は、4つの中間点にあるサブウーファ2、4、6、および8を用いた構成の低域特性を示すグラフである。図36は、低周波解析の適用後の同じ4つのサブウーファの低域特性を示すグラフである。
図37は、4つのサブウーファの「最適」構成の低域特性を示すグラフである。「最適」構成は、唯一の順位付け係数として空間変動を用いた解析の順位付け結果に基づいている。図37に示すように、4つのサブウーファによる「最適」構成は、場所2、5、6、および7に配置されたサブウーファを含む。さらに、図37に示す「最適」構成は、各サブウーファに対する補正係数を含む。同様に、図38および図39は、他の「最適」な4サブウーファ構成の低域特性を示す。図38および図39の「最適」構成は、それぞれ平均空間変動と空間平均の変動とを用いた解析、および平均空間変動と音響効率とを用いた解析の順位付け結果に基づく。
図40は、例5のエンジニアリングルームについて調査したすべてのシミュレーション構成の平均空間変動を示す。図40では、代表的な「ステレオサブウーファ」構成および「4隅」構成に相当するポイントがプロット上で強調されている。
表5は、例5でシミュレートしたすべての構成の低域特性の比較である。
表5の結果を調べると、サブウーファの場所パラメータおよび/または補正係数を用いた低周波解析によって、サウンドシステムの低域特性を向上しうる。サブウーファの数を1つに限定した図29と図30とを比較すると、低周波解析を用いることによって低域特性が向上している。この解析は、平均空間変動と空間平均の変動とが減少し、音響効率が増大するサブウーファ位置(位置7)を示唆している。
サブウーファの数を2つに限定した図31と図32とを比較すると、低周波解析を用いることによって、ここでも低域特性が向上している。この解析は、平均空間変動と空間平均の変動とが減少し、音響効率がわずかに下がるサブウーファ位置(位置6と7)と補正係数とを示唆している。
サブウーファの数と場所を限定した(すなわち、部屋の各隅にサブウーファを1つずつ配置した)図33と図34とを比較すると、低周波解析を用いることによって低域特性が向上している。この解析は、平均空間変動と空間平均の変動を減少させ、音響効率を増大させる補正係数を示唆している。サブウーファの数と場所を限定した(すなわち、部屋の4つの中間地点にサブウーファを1つずつ配置した)図35と図36とを比較すると、低周波解析を用いることによって、低域特性が向上している。この解析は、平均空間変動と空間平均の変動とを減少させ、音響効率を増加させる補正係数を示唆している。
低周波解析によって求められた解を順位付けするための基準はいくつかある。順位付けは、空間変動、空間平均の変動、音響効率、またはこれらの任意の組み合わせに基づいてもよい。サブウーファの数を4つに限定した図36〜38は、さまざまな順位付け基準に基づき、サブウーファの場所と補正係数とを選択する例を示す。図36は、空間変動にのみ基づいて解を順位付けしており、この場合の好適な解は空間変動が最小の解である。図37は、空間変動と空間平均の変動との組み合わせに基づき解を順位付けしているので、好適な解によって選択されるサブウーファ位置は、図36の好適な解とは異なり、図36の好適な解より空間変動が大きく、空間平均の変動が小さい。図38は、空間変動と音響効率との組み合わせに基づき解を順位付けしているので、好適な解によって選択されるサブウーファ位置は図36の好適な解とは異なり、図36の好適な解より空間変動が大きく、音響効率が高い。
図41は、振幅および遅延の補正係数の最適化に的を絞った低周波解析に基づく、サブウーファを4隅に配置する代表的構成の予測低域特性を示す。図42は、最適化後の実際の低域特性である。図41と図42とを比較すると、70Hz未満の予測低域特性と実際の低域特性との間の一致は優れている。したがって、低周波解析によって予測された低域特性と実際の低域特性とはほぼ一致する。
(例6)
上記のように、本願明細書内の教示内容は、車両を含むどのような種類の空間におけるサウンドシステムに適用してもよい。車両の例として、自動車とトラックとが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。自動車などの車両を「調整」するときの問題点の1つは、前列の座席と後列の座席とで低音域を一致させることである。この解析の第6の適用例では、セダン型自動車を用いている。図43は、自動車のフロントドア内の下部とリアデッキ上とにあるスピーカからの20〜200Hzに対する周波数応答のグラフを示す。曲線4302および4304は、前部の2つ座席についての周波数応答である。曲線4310および4312は、2つの後部座席についての周波数応答である。太い黒色の曲線4306は、4つの座席のすべてにおける平均応答であり、細い黒色の曲線4308は、空間変動である。図43に示すように、後列は、75Hzを中心としたオクターブ全体に対して低音が約7dB少ない。
図44は、周波数応答のグラフを示す。図44では、リアデッキスピーカに対するドライブレベルを6dB減らした(図44の「レベル」行に−6と示されている)。曲線4402および4404は、前部の2つ座席についての周波数応答である。曲線4410および4412は、2つの後部座席についての周波数応答である。太い黒色の曲線4406は、4つの座席すべてにおける平均応答であり、細い黒色の曲線4408は空間変動である。図44に示すように、低音域における周波数応答が図43より一致している。車両の前列と後列との差の最大値は、約5dBであり、その範囲はわずか2分の1オクターブである。これは、図43に示す「均一ドライブ」で達成した値に比べ著しい向上である。空間変動も向上している(9.0769から3.5033へ)。低周波における平均総合レベルは約0.2dB下がったが、これはドライブレベルを約2.5dB下げたことによる。各聴取位置における効率は、ほぼ2.3dB向上しており、これは大きな向上である。また、平均周波数応答も向上している。これは、上記のホームシアターセットアップを対象とした開示内容と一致する。具体的には、座席間の変動が減るにつれて、周波数応答および効率が向上する傾向がある。図44は、レベル(dB単位)、遅延(ミリ秒単位)、および等化(フィルタ周波数(Hz単位)、フィルタゲイン(dB単位)およびフィルタQを含む)などのパラメータを示す。図44に示すように、このスピーカ配置では、個々のスピーカの遅延および等化を最適化しても、座席間の変動は大きく改善されなかった。
図43および図44に用いた車は、スピーカがフロントドア内の低部とリアデッキ上にある。ただし、4つのドア内とリアデッキ上にスピーカを設けたシステムは、安価な自動車においてさえも一般的になってきている。このシステム構成を使用して、一対の追加スピーカを後部ドア内の低部に設置し、最適化ルーチンを再度実行した。図45は、最適化前のシステムの性能を示す。図45に示すように、曲線4502および4504は、前部の2つ座席についての周波数応答であり、曲線4510および4512は、2つ後部座席についての周波数応答であり、太い黒色の曲線4506は、4つの座席すべてについての平均応答であり、細い黒色の曲線4508は、空間変動である。図46は、最適化後のシステムの性能を示す。図46に示すように、曲線4602および4604は、前部の2つの座席についての周波数応答であり、曲線4610および4612は、2つの後部座席についての周波数応答であり、太い黒色の曲線4606は、4つの座席すべてにおける平均応答であり、細い黒色の曲線4608は、空間変動である。座席間の変動が劇的に減り(図46の空間変動は、図45に比べ、より平坦になっている)、各座席における周波数応答もより平坦になっている。低周波における総合出力は1dB減ったが、これは総合ドライブレベルを約6dB下げたことによる。すなわち、システム効率は約5dB向上している。
(例7)
セダン型車両内のサウンドシステムに加え、スポーツユーティリティビークル(SUV)など、他種の車両内のサウンドシステムに最適化ルーチンを使用してもよい。解析の第7の適用例では、SUVが使用されている。このSUV内のオーディオシステムは、4つのメインスピーカと、単一のサブウーファとを有する。「ベンチマーク」を作成するために、メインスピーカに対して約50Hzで高域通過フィルタを使用した。低周波信号を低減するために高域通過フィルタを使用してもよく、その目的は(1)ドアのラトル音の発生を減らし(メインスピーカがドアに搭載されているため)、さらに(2)可聴ひずみまたはスピーカの損傷の原因となりうるスピーカの好適な動作範囲外での動作の可能性を減らすことにある。また、ベンチマークを作成するために、低域通過フィルタをサブウーファに対して250Hzで使用した。各チャネルの電気ゲインは同一値に設定した。このベンチマークの性能を図47に詳細に示す。図47に示すように、曲線4702および4704は、前部の2つの座席についての周波数応答であり、曲線4710および4712は、2つの後部座席についての周波数応答であり、太い黒色の曲線4706は、4つの座席すべてにおける平均応答であり、細い黒色の曲線4708は、空間変動である。
次のパラメータで最適化ルーチンを実行した。
これらのパラメータによる性能を図48に示す。図48に示すように、曲線4802および4804は、前部の2つの座席についての周波数応答であり、曲線4810および4812は、2つの後部座席についての周波数応答であり、太い黒色の曲線4806は、4つの座席すべてにおける平均応答であり、細い黒色の曲線4808は、空間変動である。図48は、サブウーファ1(左前部(LF))、サブウーファ2(右前部(RF))、サブウーファ3(左後部(LR))、およびサブウーファ4(右後部(RR))に対するパラメータを示す。サブウーファに対するパラメータは、図48には示されていないが、上の表に示されている。図47および図48に示すように、座席間の変動が6分の1になり(平均空間変動が28.2033から4.5895へと約6分の1に減っている)、周波数応答の平坦化が著しい。さらに、効率が約3.5dB向上している。
図49は、各聴取場所において単一のマイクロフォンを使用した場合の実際の周波数応答を示す。上記のように、聴取場所で聴取する音響信号(周波数応答など)は、1つ、いくつか、またはすべての聴取場所候補で単一のマイクロフォンを用いて測定してもよい。(図48は、測定した生データからの予測応答である。)図50は、車両内の各聴取場所に配置された(図49で使用したような単一のマイクロフォンではなく)代表的なマイクロフォン配列の応答を示すグラフである。図49および図50に示す結果は、ホームシアターに関する上記の開示内容に一致する。具体的には、本手法によって、離散した各マイクロフォン位置におけるシステム性能ばかりでなく、聴取エリア全体にわたるシステム性能を向上または最適化してもよい。
上記のように、システムの周波数応答を向上するための取り組みの1つは、(1)さまざまな聴取場所について、少なくとも1つのメトリック(平坦度、一致度、効率、平滑度など)に基づく周波数応答が向上するように、1つ、いくつか、またはすべてのチャネルの構成を修正し、さらに(2)さまざまな聴取場所に対する周波数応答を大域的に向上することである。たとえば、1つの取り組みでは、(1)オーディオシステムの構成を選択することによって(たとえば、補正係数(ゲイン、遅延、等化)、スピーカの場所、スピーカの種類、スピーカの数などの選択によって)、複数の聴取場所にわたって周波数応答の変動を減らし(たとえば空間変動を減らし)、さらに(2)複数の聴取場所にわたって周波数応答がより一致するようになったら、全体としてのシステム性能の向上(複数の聴取場所に対する周波数応答の平坦化など)のために、大域的補正(大域的な等化など)をシステムに適用する。複数の聴取場所にわたる周波数応答の変動を減らさずに、システム全体としての大域的補正を行おうとすると、各離散地点(特定の聴取場所など)におけるシステムの応答は向上しても、他の地点における周波数応答が向上しないこともある(または悪化することもある)。
両面からの補正手法(個々のチャネルレベルでの補正と大域レベルでの補正)によって、聴取エリア全体にわたる応答をより向上することが可能である。さらに、個々のチャネルレベルでの補正係数の使用によって、さまざまな聴取場所における応答が向上したが(たとえば、これらの聴取場所の空間変動の縮小)、周波数応答はそれほど向上しなかった(たとえば、これらの聴取場所の周波数応答は、山と谷が依然としてある)場合でも、これらの聴取場所における周波数応答はより一致しているので、大域的補正によって聴取エリアの周波数応答を全体的に向上してもよい。
図51は、本願明細書に開示されている手法を用いて向上または最適化しうるサウンドシステム構成のブロック図を示す。図51は、左前部、前中央部、右前部、左側面、右側面、左後部、および右後部にチャネルがある7チャネルシステムを示す。入力5102を用いて、7つのチャネルを複数の2ウェイクロスオーバ5104に入力してもよい。クロスオーバは、広域通過フィルタと低域通過フィルタとを含んでもよく、この場合のクロスオーバの出力は、広域通過フィルタの出力と低域通過フィルタの出力とを含むことになる。たとえば、2ウェイクロスオーバ5104のOut1は、広域通過フィルタの出力を含んでもよく、2ウェイクロスオーバ5104のOut2は、低域通過フィルタの出力を含んでもよい。低周波数範囲における座席間の総変動に対して、補正係数を含む音場管理の概念によって対応できるように、2ウェイクロスオーバを設定してもよい。しがたって、中域などの周波数範囲における音色および空間性能が補正係数(たとえば、ゲイン、遅延、および等化など)によって劣化しないように、クロスオーバを選択することができる。すべてのチャネルからの低音域を表すこともある低域通過フィルタの出力(Out2)は、ミキサ5106に送ってもよい。次に、ミキサ5106によってこれらの出力を加算して、単一のチャネルに入力してもよい。加算後の出力を向上または最適化してから、さまざまなチャネルに再分配してもよい。
図51は、オーディオシステムが少なくとも1つの個別チャネルの補正と大域補正とを含む、両面からの取り組みの一例を示す。図51に示すように、ミキサ5106の出力は、6バンドのパラメトリック等化5108を使用して大域等化される。6バンドのイコライザを図示したが、使用するイコライザのバンド数はこれより少なくても多くてもよい。さらに、他種のイコライザを使用してもよい。6バンドのパラメトリック等化5108の出力を個々のチャネルに入力してもよい。図51に示すように、各チャネルは、ゲインブロック5110、遅延ブロック5112、およびパラメトリック等化ブロック5114などの補正係数を有してよい。単一バンドの等化ブロックを用いてもよい。あるいは、複数バンドの等化ブロックを用いてもよい。図51では、ゲインブロック5110、遅延ブロック5112、パラメトリック等化ブロック5114の順序になっているが、これらのブロックは単なる一構成例である。これらのブロックの順序は任意である。さらに、1つ、いくつか、またはすべてのチャネルが補正係数を含んでもよい。図51に示すように、前中央部のチャネルは補正係数を何も含まない。一部のオーディオ構成では、前中央部のスピーカは前面ダッシュボードにあるので、(ダッシュボードが振動しないように)低音機能がない。このような場合、低周波をチャネルからフィルタリングしてもよい。さらに、チャネルがこれらの補正係数のうちの1つ、いくつか、またはすべてを含んでもよい。
図51に示すように、補正係数の出力をミキサ5116に入力してもよい。ミキサ5116は、さまざまなチャネルの高周波と低周波とを加算し、これらをさまざまなチャネルの出力5118に送ってもよい。図51に示すように、本オーディオシステムはサブウーファを含むが、これは低周波出力も受信する。他のチャネルと同様に、サブウーファの低周波信号を補正係数によって最適化してもよい。
音場管理パラメータ(補正係数を含む)を用いると、オーディオシステムの総合出力が下がることもあるが、総効率は下がらないこともある。実際に、音場管理パラメータを使用して効率を向上してもよい。低音域の再生には、アンプパワーとスピーカエクスカーションの大半を要するので、音場管理パラメータによって減衰されるチャネルのアンプを小型化し、さらに/またはボイスコイルを短縮することもできる。6つ(または7つ)の均一アンプによって6つ(または7つ)のメインスピーカ(それぞれの合計コーンエクスカーションはほぼ同じ)を駆動するというのは効率の点から最適ではないので、たとえば、所定量の総アンプパワーとコーンエクスカーションとに対して再生音量がより大きいトータルオーディオシステムを作ることができる。
さらに、車両の前部座席と後部座席との一致度を向上させてから、前部座席の周波数応答を大域的に等化し、これによって後部座席の周波数応答も向上すると想定してもよい。実際に、1つの取り組みでは、前部座席の応答の向上に的を絞っており、後部座席が「追随する」こともある。この結果、後部の全体的な問題を解決するために前部座席の性能を犠牲にする必要は全くないので、前部と後部の両方のサウンドが向上する。
図52は、本願明細書に開示されている手法を用いて向上または最適化しうるサウンドシステム構成のブロック図を示す。1つのオーディオシステムのパラメータを選択したら、これらのパラメータに基づき、他のオーディオシステムを構成してもよい。たとえば、車両の場合は、特定モデルなどの特定の車両に対するパラメータを選択したら、その特定の車両に設置するさまざまなオーディオシステムを同じパラメータで構成(たとえば、プログラミング)してもよく、この場合はその車両を再テストする必要がない。具体的には、生産ラインの車両は必ずしも再テストする必要はなく、むしろテスト中に先に決定されたオーディオシステムのパラメータによってプログラミングすることができる。
図52は、7チャネルオーディオシステムを示す。ただし、使用するオーディオチャネルの数はこれより少なくても多くてもよい。この7つのチャネルは、左前部、前中央部、右前部、左側面、右側面、左後部、および右後部でもよい。この7つのチャネルへの入力をブロック5202に示す。この7つのチャネルを高域通過フィルタ5204および低域通過フィルタ5206に送ってもよい。図51の2ウェイクロスオーバと同様に、高域通過フィルタ5204および低域通過フィルタ5206は、入力信号をフィルタリングして、2つの異なる周波数帯に分離してもよい。各チャネルに対して高域通過フィルタおよび低域通過フィルタのみが図示されているが、実装するフィルタを2つより多くし、周波数帯を2つより増やしてもよい。低域通過フィルタ5206の出力を、加算ブロック5208に送ってもよい。図51に示すように、加算ブロックの一例にミキサを含んでもよい。加算ブロック5208の出力をイコライザ5210に送ってもよい。イコライザ5210は、加算された低周波信号の大域的等化を含んでもよい。上記のように、大域的等化は、1つまたは複数のフィルタの適用を含んでもよい。イコライザ5210の出力をさまざまなチャネルに対する補正係数に送ってもよい。
図52に示すように、補正係数は、遅延ブロック5212、ゲインブロック5214、および等化ブロック5216を含んでもよい。上記のように、これらのブロックの順序は単に例示を目的としたものである。上記のように、開示された手法を用いて、周波数応答の座席間の変動を減らすなど、オーディオシステムの少なくとも1つのメトリックを向上するために、個々のチャネルに対する補正係数を選択してもよい。さらに、等化ブロック5218に示すように、等化をより高い周波数帯に適用してもよい。たとえば、等化ブロック5218は、中域周波数など特定の周波数範囲の等化に的を絞ってもよい。高域周波数および低周波の出力を加算ブロック5220に送ることによって、これらの周波数を組み合わせてもよい。加算ブロック5220の出力をフィルタに送ってもよい。図52に示すように、7つのチャネルに対するフィルタは高域通過フィルタ5222である。図52に示すように、7つのスピーカに対して、この高域通過フィルタが含まれている。ただし、使用する高域通過フィルタはこれより少なくてもかまわないし、他のフィルタを使用してもよい。上記のように、可聴歪みまたはスピーカの損傷の原因となりうるドアのラトル音とスピーカがその好適な動作範囲を外れて動作する可能性とを減らすための高域通過フィルタを車載オーディオシステムなどのオーディオシステムに使用してもよい。同様に、サブウーファへの信号に対する低域通過フィルタ5224を含んでもよい。高域通過フィルタの場合のように、サブウーファがその好適な範囲を外れて、高すぎる周波数範囲などで動作する可能性を低域通過フィルタによって減らしてもよい。このように、一般的な問題として、フィルタ付きのスピーカの性能が向上するように、フィルタを選択してもよい。さらに、図52は、7つのメインスピーカと1つのサブウーファとを備えたオーディオシステムを示す。使用するメインスピーカの数はこれより少なくても多くてもよい。さらに、使用するサブウーファの数はゼロでも1つより多くてもよい。
上記のように、改善または最適化されたオーディオ構成を選択するために、いくつかのパラメータを変更してもよい。パラメータの例として、ラウドスピーカの場所、ラウドスピーカの数、ラウドスピーカの種類、聴取場所、補正係数(たとえば、遅延、パラメトリック等化、周波数に依存しないゲイン)などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。一般に、車両内のラウドスピーカの場所は決められている。ただし、ラウドスピーカの位置を変えてもよい場合もある(たとえば、ドア内、リアデッキ上などのスピーカ位置の微細な変更)。
これらのパラメータに加え、高域通過フィルタ、低域通過フィルタ、ノッチフィルタ、またはこのようなフィルタの組み合わせなどのクロスオーバフィルタによって、1つ、いくつか、またはすべてのスピーカに対する信号をフィルタリングしてもよい。具体的には、クロスオーバフィルタ5222、5224によって、オーディオシステムの少なくとも1つのメトリックの性能を向上しうる自由度を追加してもよい。たとえば、座席間の変動を重視する場合は、フィルタ(低域通過、高域通過、ノッチ、または他種フィルタなど)を座席間の変動を改善するためのもう1つのパラメータとしてもよい。上記のように、1つ、いくつか、またはすべての聴取場所について伝達関数を測定してもよい。次に、フィルタ値候補など、システムのパラメータ値候補を用いて統計的解析を実施することによって、予測伝達関数を生成してもよい。この統計的解析によって、どのフィルタ値候補がメトリックを向上するかを示してもよい。(1)複数の聴取場所の間での予測伝達関数(たとえば、平均空間変動、平均空間標準偏差、平均空間包絡線(すなわち最小および最大)、および平均空間最大平均)の一致度と、(2)予測伝達関数(たとえば、空間平均の変動、空間平均の標準偏差、空間平均の包絡線、および空間最小値の変動)の平坦度と、(3)予測伝達関数(たとえば、平均レベルの変動、平均レベルの標準偏差、平均レベルの包絡線、および平均レベルの最大平均)に対する総合音圧レベルの座席間の差と、(4)単一の聴取場所または複数の聴取場所における予測伝達関数の効率(たとえば、音響効率)、(5)単一の聴取場所または複数の聴取場所における予測伝達関数の出力と、を含む、本願明細書に記載のどの統計的解析を用いてもよいが、これだけに限定されるものではない。たとえば、1つの統計的解析では、座席間の変動を調べる。次に、クロスオーバフィルタに対する実際の値を、メトリックの向上を示すフィルタ値候補から直接選択してもよいし、あるいはこれらのフィルタ値候補から導き出してもよい。次に、クロスオーバフィルタに対して選択したこれらの値を車載オーディオシステムなどのオーディオシステムで使用してもよい。
高域通過フィルタ値候補として、単に説明のための値であるが、3dBポイント(たとえば、50Hz、70Hz、または100Hz)および/またはフィルタの次数(1次、2次、または3次)に対する値を含んでもよい。フィルタに対して他の候補値を使用してもよい。上の説明のための例では、統計的解析のために9つのフィルタ候補を解析してもよい。同様に、3dBポイント(たとえば、100Hz、140Hz、または200Hz)および/またはフィルタの次数(2次、3次、または4次)に基づき、低域通過フィルタ値候補を変えてもよい。これらのフィルタ値候補もまた単に説明のための値である。フィルタに対して使用する候補値は上記以外でもよく、または他の種類のフィルタを使用してもよい。
統計的解析では、少なくとも1つのメトリック(座席間の変動など)に基づき、高域通過フィルタ候補および低域通過フィルタ候補などフィルタ候補を解析することによって、どのフィルタ候補を選択するかを決めてもよい。
フィルタ5222および5224の出力は、アンプ5226に送られる。次に、これらのアンプの出力は、左前部、前中央部、右前部、左側面、右側面、左後部、右後部、およびサブウーファを含むそれぞれのスピーカ5228に送られる。
上の例では、低周波解析を用いて空間変動を大幅に改善した。空間変動は、1.5倍から5倍改善された。空間変動の改善は、通常、空間平均の変動の改善および音響効率の向上を伴う。これを理解するための1つの方法は、部屋のモード応答におけるピークとディップとの間の差を調べることである。ディップは、位置への依存度がピークより高い傾向がある。つまり、ディップは、空間的により広いピークに比べ、座席間の変動が大きくなり、空間変動が大きくなる傾向がある。このように、最適解はディップをなくす傾向にあるので、空間平均の変動が改善され、効率係数が向上する。
低周波解析は、2つおよび4つのサブウーファを含む、さまざまなサブウーファシステムに利用してもよい。サブウーファ位置とサブウーファ数が予め決められている場合(たとえば、例1および例2などのセットアップ済みのホームシアターシステム)、低周波解析によって性能を向上してもよい。例5に記載したケースなど、サブウーファ位置、サブウーファ数、および/または補正を自由に選択できる場合は、低周波解析の効果が一般に高い。
低周波解析では、サブウーファの場所、サブウーファの数、サブウーファの種類、補正係数、またはこれらの任意の組み合わせを含む、上記のパラメータの1つ、いくつか、またはすべての調整に的を絞ってもよい。さらに、低周波解析では、ゲインと、遅延と、フィルタリングとの同時調整など、補正係数の1つ、いくつか、またはすべての調整に的を絞ってもよい。ただし、システム性能を向上するために、これらの3つの補正係数をすべて最適化する必要はない。最後に、本解析は低域特性に的を絞っているが、どの周波数範囲を最適化してもよい。
図4〜12および図14のフローチャートは、ハードウェアで実施しても、ソフトウェアで実施してもよい。このプロセスをソフトウェアで実施する場合は、ソフトウェアを、測定装置520のハードディスク、外付けディスク548、ROM530、またはRAM524、あるいは計算装置570のハードディスク、外付けディスク、ROM、またはRAMのいずれか1つに常駐させてもよいし、あるいはこれらのいずれかの組み合わせに常駐させてもよい。ソフトウェアは、論理機能(すなわち、デジタル回路やソースコードなどのデジタル形式で、あるいはアナログ電気信号、アナログサウンド信号、またはアナログビデオ信号などのアナログ音源やアナログ回路などのアナログ形式で実装しうる「論理」)を実装するための実行可能命令が順番に並べられたリストを含んでもよく、コンピュータを用いたシステム、プロセッサを含むシステム、あるいは命令実行システム、装置、またはデバイスから命令を選択的に取り出し、この命令を実行しうる他のシステムなどの命令実行システム、装置、またはデバイスで使用される、またはこれらのシステム、装置、またはデバイスに接続されて使用される、いずれかのコンピュータ可読(または信号担持)媒体に選択的に組み込んでもよい。本文書の文脈において、「コンピュータ可読媒体」、「機械可読媒体」、「伝搬信号」媒体、および/または「信号担持媒体」は、これらの命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用される、またはこれらのシステム、装置、またはデバイスに接続されて使用される、プログラムを収容、保存、伝達、伝搬、または転送しうるいずれかの手段である。機械可読媒体は、これだけに限定されるものではなく、たとえば、電子、磁気、光、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、デバイス、または伝搬媒体から選択してもよい。機械可読媒体として、1つまたは複数のワイアを有する電気接続(電子)、携帯用コンピュータディスケット(磁気)、RAM(電子)、ROM(電子)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)(電子)、光ファイバ(光)、および携帯用コンパクトディスク読み出し専用メモリ「CDROM」(光)が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。機械可読媒体は、プログラムをその上に印刷できる紙または別の適切な媒体も含むが、この理由は、紙または他の媒体をたとえば光学的に走査することによってプログラムを電子的にキャプチャし、次にコンパイルし、解釈し、または、必要であれば他の適切な方法で処理し、次にコンピュータおよび/または機械のメモリに保存しうるからである。
本発明のさまざまな実施形態について説明してきたが、本発明の範囲内でさらに多くの実施形態および実装が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付請求項およびその対応請求項の観点以外によっては制限されるべきではない。
本発明は、以下の図面および説明を参照することによってより深く理解することができる。図中の構成要素は必ずしも正確な縮尺ではなく、本発明の原理を説明することに重点をおいている。さらに、同じ参照数字はそれぞれの図を通じてそれぞれの対応する部分を示す。

Claims (20)

  1. オーディオシステムのための構成を選択する方法であって、
    前記方法は、
    前記オーディオシステム内の少なくとも1つの聴取位置における伝達関数を記録することと、
    前記オーディオシステムの構成候補を決定することと、
    予測伝達関数を生成するために、前記構成候補に基づいて前記伝達関数を修正することと、
    前記予測伝達関数を統計的に解析することと、
    前記統計的解析に基づいて構成を選択することと
    を含む、方法。
  2. 前記構成は、前記オーディオシステムの音響性能に影響する少なくとも1つのパラメータを含み、
    構成候補を決定することは、前記パラメータに対する値候補を決定することを含み、
    前記伝達関数を修正することは、前記パラメータに対する前記値候補に基づいて前記伝達関数を修正することを含み、
    構成を選択することは、前記パラメータに対する値を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記パラメータは、ラウドスピーカの位置、ラウドスピーカの数、ラウドスピーカの種類および補正係数からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記伝達関数は、単一の周波数または複数の周波数において振幅および位相を測定する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ラウドスピーカは、サブウーファである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記構成は、ラウドスピーカ場所候補を含み、
    伝達関数を記録することは、前記ラウドスピーカ場所候補のそれぞれに配置された前記ラウドスピーカから音響信号を生成することと、前記生成された音響信号に対して、前記聴取位置に対する前記伝達関数を記録することとを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ラウドスピーカ場所候補のそれぞれに配置された前記ラウドスピーカから音響信号を生成することは、前記ラウドスピーカを第1の位置候補に配置することと、音響信号を生成するように前記オーディオシステムを制御することとを含み、
    複数の聴取位置における伝達関数を記録することは、マイクロフォンを第1の聴取位置に配置することと、前記音響信号を記録することと、前記マイクロフォンを第2の聴取位置に配置することと、前記音響信号を記録することとを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 伝達関数を記録することは、複数の聴取位置に対する伝達関数を記録することを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記パラメータに対する値候補を決定することは、離散数の構成候補を選択することを含む、請求項2に記載の方法。
  10. 前記パラメータに対する値候補を決定することは、値候補の範囲を選択することを含む、請求項2に記載の方法。
  11. 前記パラメータは、複数のラウドスピーカ場所を含み、
    伝達関数を記録することは、複数のラウドスピーカ場所候補のそれぞれにある前記ラウドスピーカを用いて、前記聴取位置における伝達関数を記録することを含み、
    構成候補を決定することは、複数のラウドスピーカ場所候補を入力することと、前記ラウドスピーカ場所候補の組み合わせ候補を決定することとを含み、
    前記伝達関数を修正することは、前記ラウドスピーカ場所の組み合わせ候補のそれぞれに対して、前記聴取位置に対する前記伝達関数を組み合わせることにより、前記予測伝達関数を生成することを含む、請求項2に記載の方法。
  12. 前記複数のラウドスピーカ場所は、第1のラウドスピーカ場所候補および第2のラウドスピーカ場所候補を含み、
    伝達関数を記録することは、
    前記第1のラウドスピーカ場所候補にある前記ラウドスピーカを用いて、第1の聴取位置における第1の伝達関数を記録することと、
    前記第2のラウドスピーカ場所候補にある前記ラウドスピーカを用いて、前記第1の聴取位置における第2の伝達関数を記録することと、
    前記第1のラウドスピーカ場所候補にある前記ラウドスピーカを用いて、第2の聴取位置における第3の伝達関数を記録することと、
    前記第2のラウドスピーカ場所候補にある前記ラウドスピーカを用いて、前記第2の聴取位置における第4の伝達関数を記録することと
    を含み、
    前記伝達関数を組み合わせることは、
    前記第1の伝達関数および前記第2の伝達関数を組み合わせることと、
    前記第3の伝達関数および前記第4の伝達関数を組み合わせることと
    を含み、
    前記予測伝達関数を統計的に解析することは、前記第1の伝達関数と、前記第2の伝達関数と、前記第3の伝達関数と、前記第4の伝達関数と、前記組み合わされた第1の伝達関数および第2の伝達関数と、前記組み合わされた第3の伝達関数および第4の伝達関数とに基づく、請求項11に記載の方法。
  13. 前記第1の伝達関数および前記第2の伝達関数を組み合わせることは、前記第2の伝達関数を用いた前記第1の伝達関数の重ね合わせを実行することを含み、
    前記第3の伝達関数および前記第4の伝達関数を組み合わせることは、前記第3の伝達関数を用いた前記第4の伝達関数の重ね合わせを実行することを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記構成は、ラウドスピーカの数を含み、
    構成候補は、ラウドスピーカの数候補を含み、
    前記構成候補に基づいて前記伝達関数を修正することは、
    ラウドスピーカ場所候補におけるラウドスピーカの組み合わせ候補を決定することであって、前記組み合わせ候補は、前記ラウドスピーカの数候補のうちの少なくとも1つに等しい、ことと、
    前記組み合わせ候補のそれぞれに対する前記伝達関数を組み合わせることにより、前記組み合わせ候補のそれぞれに対する予測伝達関数を生成することと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記パラメータは、ラウドスピーカの種類を含み、
    構成候補を決定することは、ラウドスピーカ場所候補におけるラウドスピーカの種類候補の組み合わせを決定することを含み、
    伝達関数を記録することは、複数のラウドスピーカ場所候補のそれぞれにある各種類候補のラウドスピーカを用いて、前記聴取位置における伝達関数を記録することを含み、
    前記構成候補に基づいて前記伝達関数を修正することは、前記組み合わせのそれぞれに対して、前記聴取位置に対する前記伝達関数を組み合わせることにより、予測伝達関数を生成することを含む、請求項2に記載の方法。
  16. 前記ラウドスピーカの種類候補は、双極ラウドスピーカおよび単極ラウドスピーカを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記構成は、補正係数を含み、
    前記構成候補は、前記補正係数に対する値候補を含み、
    前記構成候補に基づいて前記伝達関数を修正することは、前記補正係数に対して、値候補に対する前記伝達関数を修正することにより、前記値候補のそれぞれに対する予測伝達関数を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記補正係数は、ゲイン、遅延および等化を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記構成は、複数のパラメータを含み、
    構成候補を決定することは、前記複数のパラメータに対する値候補を決定することと、前記パラメータの値候補の組み合わせ候補を決定することとを含み、
    伝達関数を記録することは、複数のラウドスピーカ場所候補のそれぞれにある各種類のラウドスピーカ候補を用いて、前記聴取位置における伝達関数を記録することを含み、
    前記構成候補に基づいて前記伝達関数を修正することは、前記組み合わせ候補に基づいて前記伝達関数を修正することにより、予測伝達関数を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記予測伝達関数を統計的に解析することは、約120ヘルツ未満の前記予測伝達関数の周波数を解析することを含む、請求項1に記載の方法。
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