JP2010165609A - 車両用灯具の放熱構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で灯室内の温度分布を略均一にしてLEDの温度上昇を抑制することができる車両用灯具の放熱構造を提供すること。
【解決手段】ハウジング2とその開口部を覆うレンズ3によって密閉された灯室4内にLED10、11を光源とする光源ユニット5,6及びその熱を放射するヒートシンク7〜9を収容して成るヘッドランプ(車両用灯具)1の放熱構造において、前記ハウジング2の一部を可撓性を有する弾性シート18で構成し、走行風を導入するためのダクト17の一部を前記弾性シート18で構成するとともに、該弾性シート18に、前記ダクト17内に突出する突起板19a〜19cを取り付ける。又、前記ハウジング2の底面の一部を前記弾性シート18によって構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光源としてLEDを使用したヘッドランプ等の車両用灯具の放熱構造に関するものである。
光源としてLEDを使用したヘッドランプの従来例を図4に示す。
即ち、図4は従来のヘッドランプの側断面図であり、図示のヘッドランプ101は、
前面が開口した樹脂製のハウジング102と、その開口部を覆うアウタレンズ103と、これらのハウジング102とアウタレンズ103によって密閉された灯室104内の上下に配された光源ユニット105,106と、これらの光源ユニット105,106から発生する熱を放射するヒートシンク107,108,109を備えている。
上記光源ユニット105,1066は、光源としてLED110,111を使用するものであって、上方に配された一方の光源ユニット105においては、LED110と該LED110から出射される光を反射するリフレクタ112はアルミニウム等の熱伝導率の高い材質によって構成された伝熱部材113に取り付けられ、伝熱部材113には前記ヒートシンク107が密着状態で取り付けられている。尚、リフレクタ112の前面開口部はインナレンズ114によって覆われている。
又、下方に配された光源ユニット106には、LED111から出射される光を反射するリフレクタ115が設けられており、LED111とリフレクタ115は、L字状に屈曲した伝熱部材116に取り付けられており、この伝熱部材116には前記ヒートシンク108,109が密着状態で取り付けられている。
上記のように構成されたヘッドランプ101において、光源ユニット105,106に外部から給電がなされると、光源であるLED110,111がそれぞれ駆動されて発光し、上方の光源ユニット105のLED110から出射された光は、リフレクタ112によって反射され、インナレンズ114及びアウタレンズ103を通って車両前方に向かって照射される。又、下方の光源ユニット106のLED111から出射された光は、リフレクタ115によって反射され、アウタレンズ103を通って車両前方に向かって照射される。このとき、LED110,111の発光に伴って発生した熱は、リフレクタ112,115から伝熱部材113,116を経てヒートシンク107〜109へとそれぞれ伝導し、これらのヒートシンク107〜109によって灯室104内に放射されて灯室104内の空気を暖める。そして、暖められた空気は、対流によって灯室104の上部へと上昇するが、灯室104は密閉されているため、灯室104内の空気は自然対流のみでしか拡散されない。
従って、ヒートシンク107〜109による熱放射によって暖められた空気は灯室104の上部に集中してしまい、灯室104内においては、上部(図示のS1領域)に暖かい空気、下部(図示のS2領域)に冷たい空気がそれぞれ滞留するために温度分布が不均一となり、上部に配されたLED110の温度が上昇し、その発光効率が低下するという問題が発生する。
ところで、車両用灯具の冷却に関しては今までに種々の提案がなされており、例えば特許文献1には、走行風を導入するための通風路(ダクト)を設け、このダクトにヒートシンクを望ませ、このヒートシンクを走行風によって冷却することによって、LEDからの熱をヒートシンクによって効率良く放射してLEDの温度を下げる構成が提案されている。
又、特許文献2には、LEDからの熱が伝わるよう形成されたアウタレンズ加熱部を設け、このアウタレンズ加熱部が固定されたアウタハウジングの内側に通風路(ダクト)を形成し、この通風路に送風ファンを設けるとともに、前記アウタレンズ加熱部を通風路内に位置させる構成が提案されている。この構成によれば、LEDから熱は、アウタレンズ加熱部に伝わり、通風路で放熱されるため、LEDの温度が低下するとともに、アウタレンズ加熱部の放熱によってアウタレンズが加熱されるため、アウタレンズへの着雪や着氷が防がれる。
更に、特許文献3には、車両前方に向かって開口するダクト内にヒートシンクを臨ませるとともに、ダクト内の空気流に乱流を付与する乱流板をダクト内に配置し、通風路を流れる空気流によってヒートシンクの放熱を促進させて光源であるLEDの温度を下げる構成が提案されている。
又、特許文献4には、車両前方に向かって開口するダクトを設けるとともに、車両用灯具の筐体(ハウジング)に回転軸を回転可能に貫通し、灯室内に収容された風車ファンとダクト内に臨む風車ファンを前記回転軸の両端に取り付け、ダクト内に配置された風車ファンによって灯室内の風車ファンを回して灯室内のヒートシンクに空気を送り、この空気によって該ヒートシンクの放熱を促して光源であるLEDの温度上昇を抑える構成が提案されている。
特開2006−286395号公報 特開2006−294263号公報 特開2007−128728号公報 特開2007−035335号公報
しかしながら、特許文献1〜3において提案された構成は、車両用灯具の灯室内の空気を拡散させて温度分布を均一にするという技術思想は開示されておらず、特許文献4において提案された構成では、2つの風車ファンが必要であるために部品点数が増加する他、回転軸がハウジングを貫通するため、その貫通部のシール性が問題になる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成で灯室内の温度分布を略均一にしてLEDの温度上昇を抑制することができる車両用灯具の放熱構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングとその開口部を覆うレンズによって密閉された灯室内にLEDを光源とする光源ユニット及びその熱を放射するヒートシンクを収容して成る車両用灯具の放熱構造において、前記ハウジングの一部を可撓性を有する弾性シートで構成し、走行風を導入するためのダクトの一部を前記弾性シートで構成するとともに、該弾性シートに、前記ダクト内に突出する突起板を取り付けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ハウジングの底面の一部を前記弾性シートによって構成したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記突起板を前記ダクト内での走行風の流れ方向に複数配置し、その高さを走行風の流れ方向に沿って高く設定したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記弾性シートと前記突起板をゴムシートで構成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、車両の走行時にダクトを流れる走行風が突起板に衝突して弾性シートを振動させるため、この弾性シートの振動によるポンピング作用によって灯室内の空気が強制対流を起こし、この空気の強制対流によって灯室内の温度分布が略均一となり、光源であるLEDの温度上昇が抑えられて高い発光効率が確保される。そして、このような効果はファン等の機械的手段を要することなく簡単な構成で得られるため、構造単純化とコストダウンが図られる。
請求項2記載の発明によれば、ハウジングの底面の一部を構成する弾性シートの振動によるポンピング作用によって灯室内下部の温度の低い空気が強制対流によって灯室上部への送られるため、灯室内上部に配置された光源ユニットのLEDが効果的に冷却されてその温度上昇が抑えられる。
請求項3記載の発明によれば、突起板をダクト内での走行風の流れ方向に複数配置し、その高さを走行風の流れ方向に沿って高く設定したため、全ての突起板に走行風が当たって弾性シートが効果的に振動し、この弾性シートの振動によるポンピング作用によって灯室内の空気が強制対流して灯室内の温度分布が略均等に保たれる。
請求項4記載の発明によれば、弾性シートと突起板を撓み変形し易いゴムシートで構成したため、突起板への走行風の衝突によってゴムシートが大きく振動し、このゴムシートの振動によるポンピング作用によって灯室内の空気の強制対流が促進される。
本発明に係る車両用灯具の放熱構造を示す側断面図である。 (a)は弾性シート上の突起板の配列構造を示す側面図、(b)は同正面図((a)の矢視A方向の図)、(c)は同底面図((a)の矢視B方向の図)である。 (a)〜(h)は弾性シートと突起板の挙動を説明する図である。 従来の車両用灯具の放熱構造を示す側断面図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る車両用灯具の放熱構造を示す側断面図、図2(a)は弾性シート上の突起板の配列構造を示す側面図、図2(b)は同正面図(図2(a)の矢視A方向の図)、図2(c)は同底面図(図2(a)の矢視B方向の図)、図3(a)〜(h)は弾性シートと突起板の挙動を説明する図である。
図1に示す車両用灯具1はヘッドランプであって、該ヘッドランプ1は、前面が開口した樹脂製のハウジング2と、その開口部を覆うアウタレンズ3と、これらのハウジング2とアウタレンズ3によって密閉された灯室4内の上下に配された光源ユニット5,6と、これらの光源ユニット5,6から発生する熱を放射するヒートシンク7,8,9を備えている。
上記光源ユニット5,6は、光源としてLED10,11を使用するものであって、上方に配された一方の光源ユニット5においては、LED10と該LED10から出射される光を反射するリフレクタ12はアルミニウム等の熱伝導率の高い材質によって構成された伝熱部材13に取り付けられ、伝熱部材13には前記ヒートシンク7が密着状態で取り付けられている。尚、リフレクタ12の前面開口部はインナレンズ14によって覆われている。
又、下方に配された光源ユニット6には、LED11から出射される光を反射するリフレクタ15が設けられており、LED11とリフレクタ15は、L字状に屈曲した伝熱部材16に取り付けられており、この伝熱部材16には前記ヒートシンク8,9が密着状態で取り付けられている。
而して、本実施の形態においては、車両用灯具1の下面と後端面を囲むようにダクト17が形成されており、このダクト17の一部を構成するハウジング2の底面の一部には、可撓性を有する弾性シート18が設けられている。そして、弾性シート18の底面には、高さの異なる3種類の突起板19a,19b,19cがダクト17内に突出するよう垂直下方に向かって垂直に取り付けられている。尚、本実施の形態では、弾性シート18と突起板19a〜19cは、厚さ1mm程度のゴムシートによって構成されている。又、前記ダクト17の車両前方(図1の左方)に向かって開口する開口部17aには、走行風を整流するためのルーバー20が設けられている。弾性シート18は、ハウジング2の下面に形成された開口部に所定のシール材(不図示)によって密着して取り付けられている。このため、ハウジング2の下面に形成された開口部から外気は灯室4内に導入されず、灯室4は外部に対して密封を維持している。
ところで、前記突起板19a〜19cは、図2(a)に示すように、ダクト17内での走行風の流れ方向(図1の矢印方向)に沿って高さが低い順(車両後方に向かって高さが高くなるよう)に適当な間隔で3列配置されており、このような車両前後方向に3列に配置された突起板19a〜19cが図2(b),(c)に示すように車幅方向に3列に亘って配列されている。従って、弾性シート18には計9枚の突起板19a〜19cが取り付けられている。
以上のように構成されたヘッドランプ1において、光源ユニット5,6に外部から給電がなされると、光源であるLED10,11がそれぞれ駆動されて発光し、上方の光源ユニット5のLED10から出射された光は、リフレクタ12によって反射され、インナレンズ14及びアウタレンズ3を通って車両前方に向かって照射される。又、下方の光源ユニット6のLED11から出射された光は、リフレクタ15によって反射され、アウタレンズ3を通って車両前方に向かって照射される。このとき、LED10,11の発光に伴って発生した熱は、リフレクタ12,15から伝熱部材13,16を経てヒートシンク7〜9へとそれぞれ伝導し、これらのヒートシンク7〜9によって灯室4内に放射されて灯室4内の空気を暖める。
而して、本実施の形態においては、車両の走行時に走行風がダクト17の開口部17aからダクト17内へと導入され、この走行風はルーバー20によって整流されてダクト17内を図1の矢印方向へと流れるが、その過程において該走行風が突起板19a〜19cに衝突して弾性シート18を振動させる。このように弾性シート18が振動すると、この弾性シート18の振動によるポンピング作用によって灯室4内の空気が強制対流を起こし、この空気の強制対流によって灯室4内の温度分布が略均一となる。この結果、光源であるLED10,11の温度上昇が抑えられて高い発光効率が確保される。
本実施の形態では、ハウジング2の底面の一部を構成する弾性シート18の振動によるポンピング作用によって灯室4内下部の温度の低い空気が強制対流によって灯室4の上部への送られるため、灯室4内の上部に配置された光源ユニット5のLED10も効果的に冷却されてその温度上昇が抑えられる。そして、本実施の形態では、高さの異なる3種の突起板19a〜19cをダクト17内での走行風の流れ方向に3列に亘って配置し、その高さを走行風の流れ方向に沿って高く設定したため、全ての突起板19a〜19cに走行風が当たって弾性シート18が効果的に振動し、この弾性シート18の振動によるポンピング作用によって灯室4内の空気が強制対流して灯室4内の温度分布が略均一に保たれる。
又、本実施の形態では、弾性シート18と突起板19a〜19cを撓み変形し易いゴムシートで構成したため、突起板19a〜19cへの走行風の衝突によって弾性シート18が大きく振動し、この弾性シート18の振動によるポンピング作用によって灯室4内の空気の強制対流が促進される。
而して、以上の効果はファン等の機械的手段を要することなく簡単な構成で得られるため、構造単純化とコストダウンが図られる。
次に、走行風による突起板19a〜19cと弾性シート18の挙動を図3(a)〜(h)に従って以下に説明する。尚、以下においては、突起板19a〜19cのうちの1枚の突起板19aの挙動について説明するが、他の突起板19b,19cの挙動も同様であるため、これについての図示及び説明は省略する。
図3(a)に示すようにダクト17内に導入された走行風は、図3(b)に示すように突起板19aに当たり、該突起板17aをその流れ方向と同方向に撓ませる。そして、突起板19aを撓ませた走行風は、図3(c)に示すように乱流となって突起板19aの後方へと流れる。
図3(b)に示すように走行風の流れ方向(後方)へと撓んだ突起板19aは、図3(d)に示すように、走行風の乱流によって逆号方向(前方)へと撓み、突起板19aは、図3(b)〜図3(d)に示す動作を繰り返すことによって羽ばたき、図3(e)に示すように前後に振動する。このように突起板19aが振動することによって、ハウジング2の底面の一部を覆っている弾性シート18は、図3(f)に示すように、突起板19aの走行風の流れ方向(後方)の振動によって上下方向に歪みを生ずる。
上述のように上下方向に歪みを生じた弾性シート18は、図3(g)に示すように、突起板19aの走行風の流れ方向とは逆方向(前方)の振動とそれ自体の反発力によって元の状態に戻る。
以後は図3(f)と図3(g)に示す動作が繰り返されることによって、弾性シート18は、図3(h)に示すように上下に連続的に振動して所要のポンピング作用を行う。
尚、以上は本発明をヘッドライトに対して適用した形態について説明したが、本発明は、光源としてLEDを使用したヘッドライト以外の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
1 ヘッドライト(車両用灯具)
2 ハウジング
3 アウタレンズ(レンズ)
4 灯室
5,6 光源ユニット
7〜9 ヒートシンク
10,11 LED
12 リフレクタ
13 伝熱部材
14 インナレンズ
15 リフレクタ
16 伝熱部材
17 ダクト
17a ダクトの開口部
18 弾性シート
19a〜19c 突起板
20 ルーバー

Claims (4)

  1. ハウジングとその開口部を覆うレンズによって密閉された灯室内にLEDを光源とする光源ユニット及びその熱を放射するヒートシンクを収容して成る車両用灯具の放熱構造において、
    前記ハウジングの一部を可撓性を有する弾性シートで構成し、走行風を導入するためのダクトの一部を前記弾性シートで構成するとともに、該弾性シートに、前記ダクト内に突出する突起板を取り付けたことを特徴とする車両用灯具の放熱構造。
  2. 前記ハウジングの底面の一部を前記弾性シートによって構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の放熱構造。
  3. 前記突起板を前記ダクト内での走行風の流れ方向に複数配置し、その高さを走行風の流れ方向に沿って高く設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具の放熱構造。
  4. 前記弾性シートと前記突起板をゴムシートで構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用灯具の放熱構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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