JP2010161932A - 巨大クラゲの細断システム及び同システムを利用したシステム - Google Patents
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Abstract
【構成】海流に乗って遊泳してくる巨大クラゲを集めるガイド網と、前記ガイド網により集められた巨大クラゲを細断装置の入口に誘導する誘導網とを具備し、前記細断装置は回転体の外周部に巨大クラゲを切断する刃を設けた回転装置と、海流の流れエネルギーを利用して該回転体を回転駆動する水車とから構成される。
【選択図】 図1
Description
越前クラゲの発生、回遊の詳細については現在も定かではない。一説では、前年の10〜12月に東シナ海で発生し、対馬暖流に乗り急激に成長しながら日本海に出現すると言われている。日本海に漂着した越前クラゲは8月頃に島根県〜福井県沖に出現し、9月には山口県〜青森県まで広く分布し、10月には津軽海峡を抜け、三陸沿岸まで広く分布し、12月には房総沿岸まで達しています。
独立行政法人・水産総合試験センターのレポートまた、従来方法2として、例えば、定置網に入ったクラゲを切断して駆除する方法です。具体的には、約2メートル四方の枠内にステンレス製のカッターを格子状に取り付けてある器具を定置網の近くの海上に浮かべて設置し、定置網に入った越前クラゲを器具の上に落として越前クラゲを切断し、駆除する方法が提案されています。 福井県水産試験場のレポート
請求項1に記載の発明は、海流に乗って遊泳してくる巨大クラゲを集めるガイド網と、前記ガイド網により集められた巨大クラゲを細断装置の入口に誘導する誘導網と、該巨大クラゲを細断する細断装置とを具備し、前記細断装置は回転体に巨大クラゲを切断する刃を設けた回転刃と、海流の流れエネルギーを利用して該回転刃を回転駆動する水車とから構成されることを特徴としている。
図1は本願発明の実施形態1の全体斜視図を示し、図2は全体の上平面図(A)と正面図(B)を示す。図1,図2において、11は海中に張られたガイド網で、海流に乗って来遊してくる越前クラゲ等の巨大クラゲ(以下、越前クラゲという)を略中央に寄せ集めるガイド網である。ガイド網11は海流の流れ方向(図の矢印)と略直角に敷設するのが好ましい。また、海流の流れ方向が変化する場合は平均の最大流れ方向と略直角に敷設するのが好ましい。ガイド網11の上縁12はロープ12aに浮き子12bを設けて海面に浮かべ、ガイド網11の下縁13はロープ13aに沈み子13bを設けて海中に固定する。下縁13の深さは越前クラゲ10の遊泳深さに合わせて決定する。例えば、正常な越前クラゲの遊泳深さが0〜30m位であれば、下縁13の深さは略30mとする。また、上縁12の左右の両端は固定手段14によって固定し、海流によってガイド網11が流されないように堅固に固定する。固定手段14は、ロープ14a,浮き子14b及び沈み子14cによって固定する。堅固に固定するために海底から突起している岩などを利用してもよい。
以下に細断装置20の実施例1について説明する。
図3は細断装置20の実施例1の全体図を示す。図3(A)は正面図を示し、図3(B)は下から見た平面図を示し、図3(C)は側面図を示す。図3において、21は細断装置20のカバーである。カバー21は筒状体で、越前クラゲ10の入口22が正面に設けられており、背面下部に越前クラゲ10の細片を放出する放出口23が設けられる。入口22の開口縁は誘導網16の終端縁に接続されている。カバー21の内部に回転刃24が収納され、回転刃24の両側に接続された軸25がカバー21の両側に設けた軸受け26によって回転自在に支持されている。軸25(図3(A)参照)の右側には回転駆動装置27が接続され、軸25の左側には回転駆動装置28が接続されている。回転駆動装置27、28は同一構造、同一サイズに形成され、同一方向に回転するように構成される。回転は図3(C)の点線で示すように、入口22では刃が上から下へ降りて来るように回転する。越前クラゲの傘を先に切断するためである。
図7は細断装置40の別の実施例(実施例2)を示す。図7(A)は上から見た平面図で、図7(B)は正面図、図7(C)は側面図を示す。図8は回転刃44,45の詳細図を示す。図8(A)は上から見た平面図、図8(B)は正面図、図8(C)は下から見た断面平面図を示す。図7、図8において、ケース41は断面が略楕円状の筒体で、前面に越前クラゲが進入する入口42を設け、背面には越前クラゲの細片を放出する放出口43を設けた構成である。ケース41の内部には2個の回転刃44,45が配置され、垂直軸の回りに回転するように軸支されている。
以上に説明したように、実施例2の細断装置40では2個の回転刃44,45が噛み合う形で回転し、入口42から進入した巨大クラゲは回転刃44,45で細片に切断され、切断された細片が放出口43から放出される。
図9は実施形態1の巨大クラゲの細断装置を利用した実施形態2で、越前クラゲ等の巨大クラゲの細片を餌とする魚の魚礁を海底に創り、その魚礁に細片を供給し、魚を増殖するという利用例を示す全体斜視図です。図9において、細断装置20(40)の前方入口22(42)には誘導網16が接続されており、更に誘導網16の両側にはガイド網11が接続されている。細断装置20の放出口23には越前クラゲの細片を魚礁50の開口部51に導くガイドホース53が接続されている。従って、海流に乗って回遊してきた越前クラゲ等の巨大クラゲ10はガイド網11にガイドされて誘導網16に集まり、更に誘導網16によって細断装置20の入口22に誘導される。入口22に誘導された越前クラゲは細断装置20の回転刃によって細片に切断され、切断された細片が放出口23から放出される。
実施形態3は実施形態1を利用した別の利用方法(又は、システム)である。図10、図11はこの利用システムを説明するための図である。ズワイガニ(産地により、越前ガニ又はマツバガニとも言う)は越前クラゲを餌として食べることが報告されている。また、越前クラゲは時期(誕生から1年位)が来ると死んでしまい、海底に沈んでしまう。海底に沈んだ越前クラゲは分解に10日以上の時間がかかるため、流されて深海に運ばれるものもある。深海に運ばれた越前クラゲは深海に住む生物(蟹など)に食べられ、分解されてしまう。しかし、このような自然の流れに任せていたのでは越前クラゲをズワイガニの餌として十分な量を供給することはできない。又、ズワイガニは成長段階、雌雄によって住む海域が異なる。資源保護の観点から雌の保護が重要であり、雌は水深250mの海域に集団で生息しているという生態的特徴から、その海域の一部をコンクリートブロックで囲い、物理的に底引き網の操業ができない保護海域80が設けられている。例えば、福井県の保護海域80は水深250mの線に沿って所定の位置に設けられている。そこで、実施形態3では、越前クラゲの細片を保護海域に生息しているズワイガニに餌として供給する方法又はシステムについて説明する。
14 ガイド網両端固定手段
16 誘導網
17、18 固定板
20 細断装置(実施例1)
21、41 カバー
22、42 入口
23、43 放出口
24 回転刃(実施例1)
25 回転軸
27、28 回転駆動装置
30 回転刃(実施例2)
33 羽根
34 固定板
40 細断装置(実施例2)
44,45 回転刃
46、47 回転駆動装置
50 魚礁
53 ガイドホース
54 隠れ孔
60 籠(巨大クラゲの細片を容れる容器)
62 浮標
63 接続ホース
64 接続手段
65、66 係止手段
70 漁船
71 ウインチ
72 ロープ
73 受信器
75 受信アンテナ
77 超音波送受信機
78 超音波反射板
79 コントローラ
80 保護海域
Claims (14)
- 海流に乗って遊泳してくる巨大クラゲを集めるガイド網と、前記ガイド網により集められた巨大クラゲを細断装置の入口に誘導する誘導網と、該巨大クラゲを細断する細断装置とを具備し、前記細断装置は回転体に巨大クラゲを切断する刃を設けた回転刃と、海流の流れエネルギーを利用して該回転刃を回転駆動する水車とから構成されることを特徴とする巨大クラゲ細断システム。
- 前記回転刃は、同一半径の回転円筒面上に1又は複数枚の刃の刃先を回転方向に向けて配置し、前記刃の両端を2枚の側板で固定したことを特徴とする請求項1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記回転刃は、1又は複数枚の刃の刃先を同一回転方向に向けて、前記刃を回転軸の半径方向に刃を配置した組を更に軸方向にも並べて配置し、該回転軸に固定したことを特徴とする請求項1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記細断装置は、前記回転刃を水平軸の回りに回転可能に支持し、上流側の刃先が下向きに回転するように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記細断装置は、1対の前記回転刃で構成し、前記各回転刃は垂直軸の回りに回転可能に支持し、前記各回転刃の刃先は相互に逆向き方向に回転し、上流側の刃先が内向き方向に回転するように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記細断装置は、前記回転刃の回転方向と同じ向きに回転駆動力が生じるように前記水車を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記水車はサボニウス型水車、パドル型水車又は風杯型水車で構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記細断装置は、前記回転刃の外周速度を毎秒0.5〜3.0メートルの速度としたことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記細断装置は海面からの深さが5〜30メートルの位置で水平に固定したことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記ガイド網は、浮き子、沈み子及びロープ等の固定手段によって海中に固定したことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システム。
- 前記細断装置の下流側に魚礁を設けて、該魚礁に集まった魚に、請求項1〜請求項9の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システムを利用した巨大クラゲの細片を餌として供給することを特徴とする魚礁システム。
- 前記細断装置の下流側にネットを設けて、該ネットの下流に巨大クラゲの細片が拡散するのを防止して、該ネットの下流に敷設された定置網の中に巨大クラゲ並びに前記巨大クラゲの細片が入網するのを防止したことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システムを利用した定置網。
- 請求項1〜請求項9の何れか1に記載の巨大クラゲ細断システムを利用して細断した巨大クラゲの細片を蟹の生息する海底に供給する給餌システムにおいて、前記給餌システムは前記巨大クラゲの細片を容れる容器と、前記細断装置の放出口又は該放出口に接続された接続ホースの開放口と該容器の開口とを接続・分離自在な接続手段と、該容器を海中の所定の位置、所定の水深の場所に運搬する運搬手段と、該容器中の巨大クラゲの細片を蟹の生息領域に向けて放出する放出手段を具備したことを特徴とする給餌システム。
- 前記蟹の生息領域は、成長した雌ガニの生息域としたことを特徴とする請求項13に記載の給餌システム。
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