JP2010159434A - 組成物、光学補償フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

組成物、光学補償フィルム及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】IPS型液晶表示装置の視野角の改善に寄与する光学補償フィルム、及び該光学補償フィルムの作製に有用な組成物を提供する。
【手段】フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物の少なくとも一種、オニウム塩の少なくとも一種、及び液晶性化合物の少なくとも一種を含有する組成物、及び該組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に水平方向に配向した液晶性化合物に横方向の電界を印加することにより表示を行う、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置に関する。また、本発明は、光学補償フィルム及びその作製に有用な組成物に関する。
液晶表示装置としては、二枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式,いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶性化合物による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での諧調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいても検討されている。例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板の間に配置することで、白表示又は中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(特許文献1参照)。また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコティック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(特許文献2、3、4参照)や光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせる方法(特許文献5参照)、レターデーションが二分の一波長の二軸性の光学補償シートを使用する方法(特許文献6参照)、偏光板の保護膜として負のレターデーションを有する膜を使い、この表面に正のレターデーションを有する光学補償層を設ける方式(特許文献7参照)が提案されている。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 特開平11−133408号公報 特開平11−305217号公報 特開平10−307291号公報
しかし、提案された方式の多くは、液晶セル中の液晶の複屈折の異方性を打ち消して視野角を改善する方式であるために、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れを十分に解決できないという問題がある。また、この光漏れを補償できるとされる方式でも、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。さらに、延伸複屈折ポリマーフィルムで光学補償を行うIPSモード液晶セル用光学補償シートでは、複数のフィルムを用いる必要があり、その結果、光学補償シートの厚さが増し、表示装置の薄形化に不利である。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがあった。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善されたIPS型液晶表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置の視野角の改善に寄与する光学補償フィルム、及び該光学補償フィルムの作製に有用な組成物を提供することを課題とする。
本願発明の目的は、下記の(1)〜(6)の組成物、(7)〜(8)の光学補償フィルム、及び(9)〜(15)の液晶表示装置により達成された。
(1) フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、スルファト基(−OSO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物の少なくとも一種、オニウム塩の少なくとも一種、及び液晶性化合物の少なくとも一種を含有する組成物。
(2) 前記フルオロ脂肪族基を含む化合物が、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である(1)の組成物。
Figure 2010159434
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基又は下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。)
(3) 前記フルオロ脂肪族基を含む化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である(1)の組成物。
一般式(2)
(R0m−L0−(W)n
(式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(m+n)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、nは1以上の整数を表す。)
(4) 前記オニウム塩が第4級アンモニウム塩である(1)〜(3)のいずれかの組成物。
(5) 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物である(1)〜(4)のいずれかの組成物。
(6) 前記ディスコティック液晶性化合物が、トリフェニレン液晶である(5)の組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれかの組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルム。
(8) (5)又は(6)の組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、前記ディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直配向している光学補償フィルム。
(9) 第1偏光膜と、該第1偏光膜に接する第1位相差領域及び該第1位相差領域に接する第2位相差領域からなる光学補償フィルムと、第1基板と、ネマチック液晶材料からなる液晶層と、第2基板とがこの順序で配置され、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶性化合物が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、
面内の屈折率nxとny(nx≧ny)、厚さ方向の屈折率nz、及びフィルムの厚さdを用いて
Re=(nx−ny)×d
で定義される第1位相差領域の面内のレターデーションReが20nm以下で、且つ
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
で定義される第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが20nm〜120nmであり、第2位相差領域が(5)又は(6)の組成物から形成され、且つディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直配向している光学異方性層から構成され、該第2位相差領域の遅相軸が第1偏光膜の透過軸と黒表示時の液晶性化合物の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
(10) 前記第2基板のより外側に、第2偏光膜を有する(9)の液晶表示装置。
なお、「第2基板のより外側」とは、前記第2基板を中心としてみた場合に、前記液晶層が位置していない側をいう。
(11) 前記第2位相差領域のReが50nm〜200nmである(9)または(10)に記載の液晶表示装置。
(12) 前記第1位相差領域が複数の層から構成されており、該複数の層のうち第2位相差領域に接する層が配向膜である(9)〜(11)のいずれかの液晶表示装置。
(13) 前記第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層側の保護膜の厚み方向の位相差Rthが20nm以下である(9)〜(12)のいずれかの液晶表示装置。
(14) 前記第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜のうち、液晶層側の保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムである(13)の液晶表示装置。
(15) 前記第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜のうち、液晶層側の保護膜がセルロースアシレートフィルムと垂直配向した棒状液晶性化合物を含む層とを有する(13)の液晶表示装置。
(16) 前記第1位相差領域が複数の層から構成されており、該複数の層のうち第1偏光膜に接する層が第1偏光膜の保護膜として機能する(9)〜(15)のいずれかの液晶表示装置。
(17) 透明支持体上に配向膜と光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、該光学異方性層が液晶性化合物と、液晶性化合物の空気界面における傾斜角を増加または減少させる化合物の少なくとも一種および液晶性化合物の配向膜界面における傾斜角を増加または減少させる化合物の少なくとも一種を含有する光学補償フィルム。
本発明の組成物を配向膜上に適用して、フルオロ脂肪族基含有化合物及びオニウム塩の存在下で、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の分子を配向させると、実質的に垂直配向させることができる。
さらに、層面内の屈折率nxとny(nx≧ny)、厚さ方向の屈折率nz、及びフィルムの厚さdを用いてRe=(nx−ny)×dで定義される面内のレターデーションReが20nm以下で、且つRth=((nx+ny)/2−nz)×dで定義される厚み方向のレターデーションRthが20nm〜120nmの第1位相差領域と前記実質的に垂直配向したReが50nm〜200nmのディスコティック液晶性化合物から構成される第2位相差領域を、該第2位相差領域の遅相軸が第1偏光膜の透過軸と黒表示時の液晶層の液晶性化合物の遅相軸方向に平行で、かつ該第2位相差領域が該第1位相差領域よりも液晶層側になるように配置することによって、正面方向の特性を何ら変更させることなく、斜めの方位角方向から見た場合に2枚の偏光板の吸収軸が90度からずれることから生ずるコントラストの低下、特に45度の斜め方向からのコントラストの低下を改善することができる。さらに、第2偏光膜の保護膜のRthを20nm以下とすることによって更なるコントラスト向上を実現することができる。
本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
以下において、本発明の組成物、光学補償フィルム及び液晶表示装置の実施形態について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。図1は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図2は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
[組成物]
本発明の組成物は、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、スルファト基(−OSO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物の少なくとも一種、オニウム塩の少なくとも一種、及び液晶性化合物の少なくとも一種を含有する。前記フルオロ脂肪族基と1種以上の親水性基と有する化合物は、空気界面側において、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の分子を垂直配向させるのに寄与する。一方、前記オムニウム塩は、配向膜界面側において、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の分子を垂直配向させるのに寄与する。各々の成分は、空気界面側及び配向膜界面側にそれぞれ偏在して、その排除体積効果、静電気的効果、又は表面エネルギー効果によって液晶性化合物の分子を垂直配向させる作用を及ぼす。液晶性分子を垂直配向させる作用は、ディスコティック液晶性化合物の分子については、そのダイレクターの傾斜角度、すなわちダイレクターと塗布液晶空気側表面とがなす角度を減少させる作用に相当する。前記フルオロ脂肪族基と1種以上の親水性基と有する化合物は、排除体積効果を有する剛直性の構造単位を含有するポリマーであるのが好ましい。該化合物は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の空気界面側のダイレクターの傾斜角度を減少させるとともに、組成物の塗布性を改善させ、ムラ、ハジキの発生の軽減にも寄与する。
なお、前記フルオロ脂肪族基と親水性基の少なくとも一種とを有する化合物(高分子及び低分子化合物を含む)は、重合性基を有していてもよく、かかる場合は、併用される液晶性分子の配向の固定化にも寄与する。
(フルオロ脂肪族基と親水性基とを有する化合物:空気界面側垂直配向剤)
本発明に用いられるフルオロ脂肪族基と一種以上の親水性基とを有する化合物は、フルオロ脂肪族基と一種以上の親水性基を有するフッ素系ポリマー又は下記一般式(2)で表される含フッ素化合物であるのが好ましい。
まず、本発明の組成物に使用可能なフッ素系ポリマーについて説明する。
《フッ素系ポリマー》
本発明では、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを有するフッ素系ポリマーを用いることができる。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、PTFE類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。フルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。
Figure 2010159434
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Figure 2010159434
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの製造に利用可能なフルオロ脂肪族基含有モノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの一態様は、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体である。
Figure 2010159434
上記一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は下記の置換基群Yから選ばれる置換基を表す。
(置換基群Y)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、又は後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していても良い。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4及びR5がアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数の好ましい範囲は、「置換基群Y」中で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基又はアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいるのがより好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2010159434
Figure 2010159434
前記式(1)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましいのはカルボキシル基又はスルホ基である。
前記フッ素系ポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、前記フッ素系ポリマーは、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種又は2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレン及びその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;及び
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーにおいて、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の量は、該フッ素ポリマーの構成モノマー総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのがさらに好ましい。上記の質量百分率は使用するモノマーの分子量により好ましい範囲の数値が変動し易いため、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表す方が、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量を正確に規定できる。該表記を用いた場合、前記フッ素系ポリマー中に含有される親水性基(式(1)中のQ)の好ましい量は、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.2mmol/g〜8mmol/gである。
本発明に用いる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は1,000,000以下であるのが好ましく、500,000以下であるのがより好ましく、100,000以下であるのがさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記フッ素系ポリマーの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有するモノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、あるいは、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、通常は使用するモノマーの全モル数に対して0.01モル%〜50モル%程度であり、好ましくは0.05モル%〜30モル%、特に好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
なお前記した様に、前記フッ素系ポリマーは、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の分子の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPS換算の質量平均分子量である。
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
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組成物中における前記フッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量が0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼしたりする。
次に、一般式(2)で表される含フッ素化合物について説明する。
《一般式(2)で表される含フッ素化合物》
Figure 2010159434
式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(m+n)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、nは1以上の整数を表す。
式(2)中、R0は含フッ素化合物の疎水性基として機能する。R0で表されるアルキル基は置換もしくは無置換のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは4〜16のアルキル基であり、特に好ましくは6〜16のアルキル基である。該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。
0で表される末端にCF3基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、特に好ましくは4〜8である。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF2H基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、特に好ましくは4〜8である。前記末端にCF2H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上を置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH22
R5:n−C613−(CH22
R6:n−C49−(CH22
R7:H−(CF28
R8:H−(CF26
R9:H−(CF24
R10:H−(CF28−(CH2)−
R11:H−(CF26−(CH2)−
R12:H−(CF24−(CH2)−
式(2)において、L0で表される(m+n)価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、ヘテロ環基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−からなる群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた連結基であることが好ましい。
式(2)において、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Wの好ましい範囲は、一般式(1)におけるQと同一である。
前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の中でも、下記一般式(2a)又は後述する一般式(2b)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010159434
式(2a)中、R5及びR6は各々アルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表すが、R5及びR6が同時にアルキル基であることはない。W1及びW2は各々水素原子、カルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すが、W1及びW2が同時に水素原子であることはない。
5及びR6は前記一般式(2)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。W1及びW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩は前記一般式(2)におけるWと同義でありその好ましい範囲も同一である。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは1〜3のアルキル基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、更に好ましくは1〜8のアルコキシ基であり、特に好ましくは1〜4のアルコキシ基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基であり、更に好ましくは1〜8のアルキルアミノ基であり、特に好ましくは1〜4のアルキルアミノ基である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。
1及びW2は、特に好ましくはそれぞれ水素原子又は(CH2nSO3M(nは0又は1を表す。)である。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合はMはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
次に、下記一般式(2b)について説明する。
一般式(2b)
(R7−L1−)m2(Ar1)−W3
式(2b)中、R7はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、m2は1以上の整数を表し、複数個のR7は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L1は、アルキレン基、芳香族基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、複数個のL1は同一でも異なっていてもよい。Ar1は芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を表し、W3はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表す。
7は前記一般式(2)におけるR0と同義であり,その好ましい範囲も同一である。L1は、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12の芳香族基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜40の連結基を表し、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、フェニル基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜20の連結基を表す。Ar1は、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環を表し、特に好ましくはベンゼン環又はナフタレン環を表す。W3で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基は、前記一般式(2a)におけるW1及びW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基と同義でありその好ましい範囲も同一である。
3は、好ましくはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩又はスルホ基(−SO3H)もしくはその塩を有するアルキルアミノ基であり、特に好ましくはSO3M、又はCO2Mである。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合はMはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
本明細書において、置換基群Dには、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12アシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
なお前記した様に、前記含フッ素化合物は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の分子の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
本発明に使用可能な前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる含フッ素化合物はこれらに限定されるものではない。下記の具体例中、No.I−1〜42は一般式(2a)、No.I−43〜66は一般式(2b)で表される化合物の例である。
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
組成物中における前記含フッ素化合物の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
次に、本発明に用いられるオニウム塩について説明する。
(オニウム塩:配向膜界面側垂直配向剤)
本発明の組成物はオニウム塩を含有する。前記オニウム塩は、本発明の組成物において、配向膜界面側垂直配向剤として機能する。前記オニウム塩の例には、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が含まれる。好ましくは、4級オニウム塩であり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩である。
第4級アンモニウムは、一般に第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)あるいは含窒素複素環(ピリジン環、ピコリン環、2,2’−ビピリジル環、4,4’−ビピリジル環、1,10−フェナントロリン環、キノリン環、オキサゾール環、チアゾール環、N−メチルイミダゾール環、ピラジン環、テトラゾール環など)をアルキル化(メンシュトキン反応)、アルケニル化、アルキニル化あるいはアリール化して得られる。
第4級アンモニウム塩としては、含窒素複素環からなる第4級アンモニウム塩が好ましく、特に好ましくは第4級ピリジニウム塩である。
前記第4級アンモニウム塩は、下記一般式(3a)又は後述する一般式(3b)で表される第4級ピリジニウム塩から選ばれるのが好ましい。
Figure 2010159434
式(3a)中、R8は置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、Dは水素結合性基を表し、mは1〜3の整数を表し、X―はアニオンを表す。
まず、前記一般式(3a)について説明する。
上記R8で表されるアルキル基は、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜8の置換もしくは無置換のアルキル基である。これらは、直鎖状、分岐鎖状、あるいは環状であってもよい。これらの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル及びシクロプロピル等が挙げられる。
アルキル基の置換基の例としては、以下のものを挙げることができる。炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例、ビニル);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例、エチニル);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例、フェニル、ナフチル);ハロゲン原子(例、F、Cl、Br等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例、フェノキシ、ビフェニルオキシ、p−メトキシフェノキシ);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例、フェニルチオ);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例、アセチル、プロピオニル);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基(例、メタンスルホニル、p−トルエンスルホニル);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例、アセトキシ、プロピオニルオキシ);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル);炭素数7〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例、ナフトキシカルボニル);無置換のアミノ基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ、メトキシフェニルアミノ、クロロフェニルアミノ、ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、エチルチオカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、アセチルアミノ、エチルカルボニルアミノ、エチルチオカルバモイルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、クロロアセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、モルホリノカルバモイル、ピロリジノカルバモイル);無置換のスルファモイル基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル);シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;水酸基;ヘテロ環基(例、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、クマリン環)。アルキル基の置換基としては、特に好ましくは、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基である。
上記R8で表されるアルケニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、1,3−ブタジエニル等が挙げられる。アルケニル基の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアルキニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルキニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、2−プロピニル等が挙げられる。アルキニル基の置換基は、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアラルキル基は、炭素数7〜18の置換もしくは無置換のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル、メチルベンジル、ビフェニルメチル、ナフチルメチル等が好ましい。アラルキル基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが挙げられる。
上記R8で表されるアリール基は、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル等が挙げられる。アリール基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。またこれらの他に、アルキル基(例えば、メチル、エチル等)、アルキニル基、ベンゾイル基も好ましい。
上記R8で表される複素環基は、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環であり、これらの例としては、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、及びクマリン環が挙げられる。複素環基は置換されていてもよく、その場合の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。R8で表される複素環基としては、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が特に好ましい。
上記R8は好ましくは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基である。
Dは水素結合性基を表す。水素結合は、電気的に陰性な原子(例えば、O,N,F,Cl)と、同じように電気的に陰性な原子に共有結合した水素原子間に存在する。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H. Uneyama and K.Morokuma、Jounal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
好ましい水素結合性基としては、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。更に好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、ピリジル基を挙げることができ、特に好ましくは、アミノ基、カルバモイル基、ピリジル基を挙げることができる。
-で表されるアニオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例え、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。X-は、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。なおX-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:1である必要はなく、適宜決定される。
前記一般式(3a)中、mは好ましくは1である。
次に、前記一般式(3b)について説明する。
Figure 2010159434
式(3b)中、R9及びR10は各々置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、X―はアニオンを表す。
9及びR10で各々表される置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基は、前記一般式(3a)中、R8で表される基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。X-で表されるアニオンは、前記一般式(3a)中、X-で表されるアニオンと同義であり、その好ましい範囲も同一である。前記した様に、X-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:2である必要はなく、適宜決定される。
本発明に使用可能なオニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるオニウム塩はこれらに限定されるものではない。下記の具体例中、No.II−1〜12は一般式(3b)、No.II−13〜32は一般式(3a)で表される化合物の例である。
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
Figure 2010159434
組成物中における前記オニウム塩の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、光学異方性層の形成に用いる場合は、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
(液晶性化合物)
本発明の組成物が含有する液晶性化合物は、ディスコティック液晶性化合物であるのが好ましく、中でも、トリフェニレン液晶がより好ましい。ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
なお、液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
(重合開始剤)
垂直配向させたディスコティック液晶性化合物は、配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾル化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
(光学異方性層の他の添加物)
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特願2003−295212号公報明細書中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
[光学異方性層の形成] 本発明の組成物は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の垂直配向によって発現された光学異方性を有する層の形成材料として用いることができる。本発明の組成物を用いて形成された光学異方性層は、種々の用途に供することができ、液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置の部材として用いた場合に、視野角の改善に寄与する。光学異方性層は、本発明の組成物を、配向膜の上に塗布することで形成することができる。塗布の便宜上、塗布液の形態とするのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
(配向膜)
配向膜は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有するため、本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写する等、使用時に配向膜が存在することは要しない。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリール酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、ディスコティック液晶性化合物を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖が主鎖に結合したポリマー、又は液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に有するポリマーが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマー又は架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
配向膜の形成に用いられるポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオル基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償フィルムの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上に設けられることが好ましい。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋した後、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層のディスコティック液晶性化合物を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、又は架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
(支持体)
本発明では透明支持体を用いてもよい。透明支持体としては、波長分散が小さいポリマーフイルムを用いることが好ましい。透明支持体は、光学異方性が小さいことも好ましい。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[光学補償フィルム]
本発明の光学補償フィルムは、液晶性化合物の空気界面における傾斜角を増加または減少させる化合物の少なくとも一種および液晶性化合物の配向膜界面における傾斜角を増加または減少させる化合物の少なくとも一種を含有する光学異方性層を有する。本発明において、液晶性化合物の空気界面における傾斜角を増加または減少させる化合物とは、併用することによって、ディスコティック液晶性化合物(例えば、本願の実施例1で使用の化合物)の空気界面近傍の傾斜角を10〜40度変化させることができる化合物である。また、液晶性化合物の配向膜界面における傾斜角を増加または減少させる化合物とは、併用することによって、ディスコティック液晶性化合物(例えば、本願の実施例1で使用の化合物)の配向膜近傍の傾斜角を10〜90度変化させることができる化合物である。傾斜角は、ディスコティック液晶性化合物(例えば、本願の実施例1で使用の化合物)を含む溶液を、本願実施例1に記載の方法と同様に透明支持体上に形成された配向膜上に塗布し、乾燥し、次いで液晶相形成温度まで加熱し、その後配向状態を維持して冷却したのち重合することによって光学補償フィルムを作製し、エリプソメーター(APE-100、島津製作所(株)製)を用いて観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST に記載されている手法で算出する。傾斜角の変化は、前記傾斜角を増加または減少させる化合物を併用する場合としない場合の傾斜角をそれぞれ求め、その差で評価する。測定波長は632.8nmである。傾斜角を増加または減少させる化合物の濃度は、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、特に好ましくは、本発明の組成物から形成された光学異方性層を有する。本発明の光学補償フィルムは、前記光学異方性層一層のみからなっていてもよいし、二層以上の積層体であってもよい。他の液晶組成物からなる光学異方性層及び/又はポリマーフィルムとの積層体であってもよい。
なお、上記した様に、前記光学異方性層の形成時に利用した配向膜及び支持体は、本発明の光学補償フィルムにおいては必須構成部材ではない。
本発明の光学補償フィルムをIPS型液晶表示装置に適用する場合は、ディスコティック液晶性化合物(好ましくはトリフェニレン液晶)、前記フルオロ脂肪族基と親水性基とを有する化合物、及びオニウム塩を少なくとも含有する組成物から形成され、且つ前記ディスコティック液晶性分子が実質的に垂直配向してなる光学異方性層からなる位相差領域と、Re(定義は後述する)が20nm以下で且つRth(定義は後述する)が20nm〜150nmの位相差領域とからなる態様が好ましい。
次に、本発明の組成物から形成した光学異方性層を有するIPS型液晶表示装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図2は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
[液晶表示装置]
図2に示す液晶表示装置は、第1偏光膜8と、光学補償フィルム10と、第1基板14と、液晶層16と、第2基板18と、第2偏光膜21とを有する。第1偏光膜8及び第2偏光膜21は、それぞれ保護膜7aと7b及び20aと20bによって挟持されている。光学補償フィルム10は、第1偏光膜8に接する保護膜7bを含む第1位相差領域11と、第1位相領域11に接する第2位相差領域12とから構成されている。
図2の液晶表示装置では、液晶セルは、第1基板14及び第2基板17と、これらに挟持される液晶層16からなる。液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。基板14及び18の液晶層16に接触する表面には、配向膜(不図示)が形成されていて、液晶分子を基板の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理方向15及び19等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子配向方向が制御されている。また、基板14若しくは17の内面には、液晶分子に電圧印加可能な電極(図2中不図示)が形成されている。
図1に、液晶層16の1画素領域中の液晶分子の配向を模式的に示す。図1は、液晶層16の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶分子の配向を、基板14及び18の内面に形成された配向膜のラビング方向4、及び基板14及び18の内面に形成された液晶分子に電圧印加可能な電極2及び3とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶分子配向方向は5a及び5bであり、この時に黒表示が得られる。電極2及び3間に印加されると、電圧に応じて液晶分子は6a及び6b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示を行なう。
再び図2において、第1偏光膜8の透過軸9と、第2偏光膜21の透過軸22は直交して配置されている。光学補償フィルム10は、第1位相差領域11と第2位相差領域12の2つの領域から構成されている。また、第2位相差領域12の遅相軸13は、第1偏光膜8の透過軸9及び黒表示時の液晶層16中の液晶分子の遅相軸方向17に平行であり、且つ第2位相差領域12は、第1位相差領域11よりも液晶層16に近い側に配置されている。第2位相差領域は、ディスコティック液晶性化合物と、前記フルオロ脂肪族基と親水性基とを有する化合物と、オニウム塩とを少なくとも含有する本発明の組成物から形成された光学異方性層からなる。前記光学異方性層において、ディスコティック液晶性化合物の分子は、実質的に垂直配向した状態に固定され、所定の光学異方性が発現されている。光学補償フィルムを構成している2つの領域の光学特性については後述する。
図2に示す液晶表示装置では、第1偏光膜8が二枚の保護膜7a及び7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。保護膜7bを配置する場合は、本発明では保護膜7bは第1位相差領域11を構成する層の1つとなる。図2に示す液晶表示装置では、第2偏光膜21も二枚の保護膜20a及び20bに挟持されている。液晶層16に近い側の保護膜20aの厚み方向の位相差Rthは、20nm以下であることが好ましい。
なお、図2には、上側偏光板及び下側偏光板を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一の偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよく、かかる場合は、液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。
本発明の液晶表示装置は、図1、図2に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、偏光膜の保護膜の表面に反射防止処理やハードコートを施しても良い。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を配置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
(光学補償フィルムの第1位相差領域)
第1位相差領域の光学特性は、面内の屈折率nxとny(nx≧ny)、厚さ方向の屈折率nz、及びフィルムの厚さdを用いてRe=(nx−ny)×dで定義される面内のレターデーションReが20nm以下であり、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。またRth=((nx+ny)/2−nz)×dで定義される厚み方向のレターデーションRthが20nm〜120nmであり、40nm〜100nmの範囲であることがより好ましい。なお、第1偏光膜8を保護する保護膜7bに光学的な異方性がある場合、保護膜7bは第1位相差領域11を構成する層であることから、当該保護膜のRthと他の層のRthの合計が40nm〜100nmであることが必要とされる。
この光学特性を有する位相差膜としては、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写形成された光学異方性層を有する位相差膜などがあるが、本発明ではいずれも使用することができる。
上記光学特性を有する複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜は、高分子フィルムを二軸延伸することでも容易に形成できる。また、延伸することなしに流延するだけでこの光学特性を発現するセルロースアシレート類を好適に用いることができる。かかるセルロースアシレートとして、特開2002−90541号公報に記載されているものを用いることができる。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、セルロースアシレート)が用いられる。
塗布もしくは転写で透明支持体上に形成した位相差膜として、キラル構造単位を含んだ棒状コレステリック液晶性組成物を、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させたのち、固定化したものや、固有複屈折が負のディスコティック液晶性化合物を水平配向(ダイレクターは基板に垂直)させたもの、ポリイミド高分子を基板上に流延固定したものなどを例示することができる。
(光学補償フィルムの第2位相差領域)
第2位相差領域は、ディスコティック液晶性化合物と、フルオロ脂肪族基と親水性基とを有するフッ素化合物と、オニウム塩とを少なくとも含有する本発明の組成物から形成された光学異方性層からなる。前記光学異方性層において、ディスコティック液晶性化合物の分子は、実質的に垂直配向した状態に固定され、所定の光学特性を発現している。光学補償フィルムは、第2位相差領域の遅相軸が、第1偏光膜の透過軸及び黒表示時の液晶層中の液晶性化合物の遅相軸方向に平行になる様に配置される。この第2位相差領域のReは50nm〜200nmであるのが好ましく、80nm〜160nmであるのがさらに好ましい。このReの調整は塗布形成するディスコティック液晶層の厚みを制御することによって行なわれる。さらに、ディスコティック液晶性分子は、フィルム面に対して実質的に垂直(70〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向させることが必要である。平均傾斜角がこれよりも小さくなると光漏れの分布が非対称になる。実質的に垂直とは、円盤面と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が70°〜90°の範囲内であることを意味する。これらのディスコティック液晶性分子は斜め配向させても良いし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、75°〜90°がより好ましく、80°〜90°が最も好ましい。前述した様に、フルオロ脂肪族基を有する化合物及びオニウム塩が、ディスコティック液晶性化合物(好ましくはトリフェニレン液晶)の分子をかかる垂直配向状態とするのに寄与する。
第2位相差領域は、本発明の組成物から形成された光学異方性層のみからなるものであってもよいし、前記光学異方性層と、その他の層からなるものであってもよい。後者の場合は、延伸したポリスチレン膜との積層体やシクロオレフィン系などの光学的に等方性のフィルムとの積層体が好適に使用できる。
(第2偏光板用保護膜)
第2偏光板用保護膜としては、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が最も好ましい。さらに、厚み方向のレターデーションRthは20nm以下であることが好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。この特性を有するフィルムであれば好適に用いることができるが、偏光膜の耐久性の観点からはセルロースアシレートやノルボルネン系のフィルムがより好ましい。セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、液晶性の化合物をフィルムに混合することが有効である。
(棒状液晶性化合物)
本発明の液晶表示装置は、棒状液晶性化合物を含む組成物から形成された位相差層を有していてもよい。後述する様に、第2偏光膜の保護膜が、ポリマーフィルム、好ましくはセルロースアシレートのポリマーフィルムと棒状液晶性化合物を含む組成物から形成された位相差層とからなっているのが好ましい。前記光学異方性層の形成に用いられる棒状液晶性化合としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
本発明の液晶表示装置では、棒状液晶性化合物が実質的に垂直配向してなる光学異方性層を用いるのが好ましい。実質的に垂直とは、棒状液晶性化合物の場合は、フィルム面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。棒状液晶性化合物は斜め配向させても良いし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させても良い。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、75°〜90°がより好ましく、80°〜90°が最も好ましい。
(垂直配向膜)
棒状液晶性化合物を配向膜側で垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより棒状液晶性化合物を立てた状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる官能基としては、フッ素原子及び炭素原子数が10以上の炭化水素基が有効である。フッ素原子又は炭化水素基を配向膜の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖よりも側鎖にフッ素原子又は炭化水素基を導入することが好ましい。含フッ素ポリマーは、フッ素原子を0.05〜80重量%の割合で含むことが好ましく、0.1〜70重量%の割合で含むことがより好ましく、0.5〜65重量%の割合で含むことがさらに好ましく、1〜60重量%の割合で含むことが最も好ましい。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基又はそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)又はアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、10〜100であることが好ましく、10〜60であることがさらに好ましく、10〜40であることが最も好ましい。ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造又はポリビニルアルコール構造を有することが好ましい。
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸とジアミンとの縮合反応により合成する。二種類以上のテトラカルボン酸あるいは二種類以上のジアミンを用いて、コポリマーに相当するポリイミドを合成してもよい。フッ素原子又は炭化水素基は、テトラカルボン酸起源の繰り返し単位に存在していても、ジアミン起源の繰り返し単位に存在していても、両方の繰り返し単位に存在していてもよい。ポリイミドに炭化水素基を導入する場合、ポリイミドの主鎖又は側鎖にステロイド構造を形成することが特に好ましい。側鎖に存在するステロイド構造は、炭素原子数が10以上の炭化水素基に相当し、液晶性化合物を垂直に配向させる機能を有する。本明細書においてステロイド構造とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環構造又はその環の結合の一部が脂肪族環の範囲(芳香族環を形成しない範囲)で二重結合となっている環構造を意味する。
さらに棒状液晶性化合物を垂直に配向させる手段として、ポリビニルアルコールやポリイミドの高分子に有機酸を混合する方法を好適に用いることができる。混合する酸としてはカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸が好適に用いられる。後述の空気界面配向剤の内、酸性を示すものを使用してもよい。その混合量は高分子に対して、0.1重量%から20重量%であることが好ましく、0.5重量%から10重量%であることがさらに好ましい。
[空気界面側垂直配向剤]
通常の棒状液晶性化合物は空気界面側では傾斜して配向する性質を有するので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側においても棒状液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。棒状液晶性化合物の空気界面側垂直配向剤は、前記ディスコティック液晶性化合物の空気界面側垂直配向剤と同一の化合物を用いることができ、使用量の好ましい範囲も同一である。また、それ以外にも特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を空気界面側垂直配向剤として用いることができる。また、特願2002−212100号明細書の段落番号0072〜0075、特願2002−243600号明細書の段落番号0038〜0040と0048〜0049、特願2002−262239号明細書の段落番号0037〜0039、特願2003−91752号明細書の段落番号0071〜0078に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<IPSモード液晶セル1の作製>
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように、図1に示す電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。ラビング処理は、図1に示す方向に行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士が対向し、かつ基板の間隔(ギャップ;d)が3.9μmで、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマティック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は、300nmであった。
<光学補償フィルム1の作製>
(第1位相差領域の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、下記の組成を有するセルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液の組成
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液487質量部にレターデーション上昇剤溶液7質量部を混合し、十分に攪拌してドープを調製した。
Figure 2010159434
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、60℃の温風で1分間乾燥し、フィルムをバンドから剥ぎ取った。次にフィルムを140℃の乾燥風で10分間乾燥し、厚さ80μmのセルロースアセテートフィルム1を製作した。
このフィルムの光学特性は自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することにより求め、Re=8nm、Rth=82nmであった。
(第2位相差領域の作製)
上記セルロースアセテートフィルム1の表面をケン化後、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
Figure 2010159434
次に、配向膜上に、下記のディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、空気界面側垂直配向剤(フッ素系ポリマー、例示化合物P−15)0.0072g、配向膜界面側垂直配向剤(オニウム塩、例示化合物II−23)0.009gを3.9gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、#3.4のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋して、光学異方性層を形成した。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学補償フィルム1を製作した。
Figure 2010159434
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、光学補償フィルム1のReの光入射角度依存性を測定し、予め測定したセルロースアセテートフィルムの寄与分を差し引くことによって、ディスコティック光学異方性層のみの光学特性を算出したところ、Reが130nm、Rthが−65nm、液晶の平均傾斜角は89.9°であり、ディスコティック液晶がフィルム面に対して垂直に配向していることが確認できた。なお遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であった。
<空気界面および配向膜近傍の傾斜角の測定>
エリプソメーター(APE-100、島津製作所(株)製)を用いて観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST に記載されている手法で算出した。測定波長は632.8nmである。空気界面近傍の傾斜角は89.9°、配向膜近傍の傾斜角は89.9°であった。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作した。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した光学補償フィルム1を、セルロースアセテートフィルムが偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補償フィルムの遅相軸(第2位相差領域の遅相軸もこれに一致する)とは平行になるように配置した。市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の一方に、光学補償フィルム1の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第2位相差領域の遅相軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向と平行になるように)、且つディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、IPSモード液晶セル1のもう一方の側に市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は0.12%であった。
[実施例2]
<光学補償フィルム2の作製>
第1位相差領域として、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)を用いて、その表面のケン化処理を行い、このフィルム上に実施例1と同じ配向膜の塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、フィルムの遅相軸方向と平行の方向に、形成した膜にラビング処理を施し、配向膜を形成した。
続いて、配向膜上に、実施例1で使用したディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、空気界面側垂直配向剤(含フッ素化合物、I−48)0.0036g、配向膜界面側垂直配向剤(オニウム塩、II−23)0.009gを3.9gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射しディスコティック液晶化合物を架橋し、光学異方性層を形成した。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学補償フィルム2を製作した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、光学補償フィルム2のReの光入射角度依存性を測定し、予め測定したセルロースアセテートフィルムの寄与分を差し引くことによって、ディスコティック液晶位相差層のみの光学特性を算出したところ、Reが115nm、Rthが−57nm、液晶の平均傾斜角は89.9°であり、ディスコティック液晶がフィルム面に対して垂直に配向していることが確認できた。なお遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であった。
<空気界面および配向膜近傍の傾斜角の測定>
エリプソメーター(APE-100、島津製作所(株)製)を用いて観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST に記載されている手法で算出した。測定波長は632.8nmである。空気界面近傍の傾斜角は89.9°、配向膜近傍の傾斜角は89.9°であった。
前記で作製したIPSモード液晶セル1の一方に、前記で作製した光学補償フィルム2をその遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第2位相差領域の遅相軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向と平行になるように)、且つディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、この光学補償フィルム2上に透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を貼り付け、さらにIPSモード液晶セル1のもう一方の側に同じ偏光板を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。
(作製した液晶表示装置の漏れ光の測定)
このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は0.13%であった。
[実施例3]
<第2偏光板1の作製>
市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)を用いて、その表面のケン化処理を行い、このフィルム上に市販の垂直配向膜(JALS−204R、日本合成ゴム(株)製)をメチルエチルケトンで1:1に希釈したのち、ワイヤーバーコーターで2.4ml/m2塗布した。直ちに、120℃の温風で120秒乾燥した。
(垂直配向した棒状液晶化合物層の形成)
配向膜上に、下記の棒状液晶化合物1.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記の空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、#2のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。このようにして、第2偏光板の保護膜1を製作した。
Figure 2010159434
Figure 2010159434
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、保護膜1のReの光入射角度依存性を測定したところ、Reが3nm、Rthが5nmであった。
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した保護膜1を、セルロースアセテートフィルムが偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。続いて、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、この偏光膜の反対側に貼り付け第2偏光板を形成した。さらに実施例1と同様にして光学補償フィルム1を、セルロースアセテートフィルムが偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付け、市販のセルロースアセテートフィルムを偏光膜の反対側に貼り付け形成した第1偏光板を、実施例1で作製したIPSモード液晶セル1の一方に、光学補償フィルム1の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第2位相差領域の遅相軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向と平行になるように)、且つディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付けた。この偏光板の透過軸と液晶セルのラビング方向とは平行になっている。さらに、この液晶セルのもう一方に、第2偏光板をその透過軸を液晶セルのラビング方向と直交となるように、且つ保護膜1面側が液晶セル側になるように貼り、液晶表示装置を作製した。
(作製した液晶表示装置の漏れ光の測定)
このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は0.03%であった。
[比較例1]
前記作製したIPSモード液晶セル1の両側に市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。光学補償フィルムは用いなかった。上記液晶表示装置では、実施例1と同様に、上側の偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように偏光板を貼り付けた。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は0.55%であった。
[比較例2]
実施例1で製作したIPSモード液晶セル1に対して、実施例2で作製した光学補償フィルム2をその遅相軸が液晶セルのラビング方向と直交するように、且つディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、この光学補償フィルム2上に透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を貼り付け、さらにIPSモード液晶セル1のもう一方の側に同じ偏光板を、クロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は1.52%で極めて大きいものであった。
[比較例3]
実施例1におけるディスコティック液晶塗布液組成物から空気界面側垂直配向剤(P−15)を除いたこと以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製し漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は1.2%で極めて大きいものであった。
[比較例4]
実施例1におけるディスコティック液晶塗布液組成物から配向膜界面側垂直配向剤(II−23)を除いたこと以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製し漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は0.50%と大きいものであった。
<空気界面および配向膜近傍の傾斜角の測定>
エリプソメーター(APE-100、島津製作所(株)製)を用いて観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST に記載されている手法で算出した。測定波長は632.8nmである。配向膜近傍の傾斜角は6.4°、空気界面近傍の傾斜角は85.4°であった。
[比較例5]
実施例2におけるディスコティック液晶塗布液組成物から空気界面側垂直配向剤(I−48)および配向膜界面側垂直配向剤(II−23)を除いたこと以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製し漏れ光を測定した。左斜め方向70°から観察した際の漏れ光は0.51%と大きいものであった。
<空気界面および配向膜近傍の傾斜角の測定>
エリプソメーター(APE-100、島津製作所(株)製)を用いて観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、Designing Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST に記載されている手法で算出した。測定波長は632.8nmである。配向膜近傍の傾斜角は6.4°、空気界面近傍の傾斜角は46.0°であった。
1 液晶素子画素領域
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶化合物のダイレクター
7a,7b 第1偏光膜用保護膜
8 第1偏光膜
9 第1偏光膜の偏光透過軸
10 光学補償フィルム
11 第1位相差領域
12 第2位相差領域
13 第2位相差領域の遅相軸
14 第1基板
15 第1基板ラビング方向
16 液晶層
17 液晶性化合物の遅相軸方向
18 第2基板
19 第2基板ラビング方向
20a、20b 第2偏光膜用保護膜
21 第2偏光膜
22 第2偏光膜偏光透過軸

Claims (17)

  1. フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、スルファト基(−OSO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物の少なくとも一種、オニウム塩の少なくとも一種、及び液晶性化合物の少なくとも一種を含有する組成物。
  2. 前記フルオロ脂肪族基を含む化合物が、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である請求項1に記載の組成物。
    Figure 2010159434
    (式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基又は下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
    (連結基群)
    単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
    Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。)
  3. 前記フルオロ脂肪族基を含む化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の組成物。
    一般式(2)
    (R0m−L0−(W)n
    (式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(m+n)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、nは1以上の整数を表す。)
  4. 前記オニウム塩が第4級アンモニウム塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記液晶性化合物が、ディスコティック液晶性化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記ディスコティック液晶性化合物が、トリフェニレン液晶である請求項5に記載の組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルム。
  8. 請求項5又は6に記載の組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、前記ディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直配向している光学補償フィルム。
  9. 第1偏光膜と、該第1偏光膜に接する第1位相差領域及び該第1位相差領域に接する第2位相差領域からなる光学補償フィルムと、第1基板と、ネマチック液晶材料からなる液晶層と、第2基板とがこの順序で配置され、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶性化合物が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、
    面内の屈折率nxとny(nx≧ny)、厚さ方向の屈折率nz、及びフィルムの厚さdを用いて
    Re=(nx−ny)×d
    で定義される第1位相差領域の面内のレターデーションReが20nm以下で、且つ
    Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
    で定義される第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが20nm〜120nmであり、第2位相差領域が請求項5又は6に記載の組成物から形成され、且つディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直配向している光学異方性層から構成され、該第2位相差領域の遅相軸が第1偏光膜の透過軸と黒表示時の液晶性化合物の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
  10. 前記第2基板のより外側に、第2偏光膜を有する請求項9に記載の液晶表示装置。
  11. 前記第2位相差領域のReが50nm〜200nmである請求項9又は10に記載の液晶表示装置。
  12. 前記第1位相差領域が複数の層から構成されており、該複数の層のうち第2位相差領域に接する層が配向膜である請求項9〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 前記第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層側の保護膜の厚み方向の位相差Rthが20nm以下である請求項9〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜のうち、液晶層側の保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムである請求項13に記載の液晶表示装置。
  15. 前記第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜のうち、液晶層側の保護膜が、セルロースアシレートフィルムと垂直配向した棒状液晶性化合物を含む層とを有する請求項13に記載の液晶表示装置。
  16. 前記第1位相差領域が複数の層から構成されており、該複数の層のうち第1偏光膜に接する層が第1偏光膜の保護膜として機能する請求項9〜15のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  17. 透明支持体上に配向膜と光学異方性層を有する光学補償フィルムであって、該光学異方性層が液晶性化合物と、液晶性化合物の空気界面における傾斜角を増加または減少させる化合物の少なくとも一種および液晶性化合物の配向膜界面における傾斜角を増加または減少させる化合物の少なくとも一種を含有する光学補償フィルム。
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