JP2010155034A - 管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡 - Google Patents

管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡 Download PDF

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敏治 長町
Takeshi Ashida
毅 芦田
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Takayuki Iida
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Abstract

【課題】確実に管内移動体を進行方向の前方に移動させること。
【解決手段】本発明の管内移動体用アクチュエータは、管路内を移動する管内移動体に設けられ、一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を前記管路に与え収縮する時に前記管内移動体を進行方向の後方に移動させようとする後退力を前記管路に与える正進バルーンと、前記管内移動体に設けられ、一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記後退力を前記管路に与え収縮する時に前記推進力を前記管路に与える逆進バルーンと、を有し、前記正進バルーンと前記逆進バルーンは前記管内移動体の進行方向について前後に配置されていること、を特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡に係り、特に、管壁に推進力を伝えて管内を移動する技術に関する。
特許文献1には、管路内を移動する管内移動体用アクチュエータが開示されている。具体的には、電子内視鏡の挿入部にバルーンが取り付けられており、当該バルーンは、進行方向の後方の部分および円周方向の部分が、他の部分よりも膨張率が低く形成されている。そして、バルーンはエアーを供給することにより進行方向の後方に向かって膨張するので、管路の内壁面に接触したバルーンの表面が、内壁面に接触しながら進行方向の後方に内壁面を介して推進力を発生させ、この力によって挿入部が進行方向の前方に移動するとしている。
特開2008−43669号公報
しかしながら、特許文献1のものでは、バルーンの膨張後に排気をして収縮させる際に、進行方向の前方に向かって収縮するので、バルーンの膨張時の作用と逆の作用として、管路の内壁面に接触したバルーンの表面が内壁面に接触しながら進行方向の前方に内壁面を介して後退力を発生させ、この力によって管壁に不要な後退動作を伝えてしまい結果的に挿入部が進行方向の前方に移動できないおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、確実に管内移動体を進行方向の前方に移動させることができる管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明の管内移動体用アクチュエータは、管路内を移動する管内移動体に設けられ、一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を前記管路に与え収縮する時に前記管内移動体を進行方向の後方に移動させようとする後退力を前記管路に与える正進バルーンと、前記管内移動体に設けられ、一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記後退力を前記管路に与え収縮する時に前記推進力を前記管路に与える逆進バルーンと、を有し、前記正進バルーンと前記逆進バルーンは前記管内移動体の進行方向について前後に配置されていること、を特徴とする。
かかる態様によれば、管内移動体を進行方向の前方に移動させることができる。
本発明の一態様として、前記正進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記逆進バルーンが前記管内移動体を係止させる係止力を前記管路に与えるように制御し、前記逆進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記正進バルーンが前記係止力を前記管路に与えるように制御する制御部を有すること、を特徴とする。
かかる態様によれば、逆進バルーンが後退力を管路に与える時には正進バルーンが係止力を管路に与えるように制御するので、確実に管内移動体を進行方向の前方に移動させることができる。
本発明の一態様として、前記制御部は、前記逆進バルーンが膨張状態から収縮する時には前記正進バルーンを収縮させて前記管路に接触していないように制御すること、を特徴とする。
かかる態様によれば、制御部は逆進バルーンが膨張状態から収縮する時には正進バルーンが管路に接触していないように制御するので、逆進バルーンが管壁に与える推進力により、確実に管内移動体を進行方向の前方に移動させることができる。
本発明の一態様として、前記正進バルーンは、前記管内移動体の進行方向に沿った軸を中心とした周方向の全体に亘って形成されており、前記膨張率が異なる部分が前記管内移動体の基端部側の端部から前記管内移動体の先端部方向に放射状に形成されていること、を特徴とする。
かかる態様によれば、膨張率が異なる部分が管内移動体の基端部側の端部から管内移動体の先端部方向に放射状に形成されているので、より確実に管内移動体を進行方向の前方に移動させることができる。
本発明の一態様として、前記逆進バルーンは、前記管内移動体の進行方向に沿った軸を中心とした周方向の全体に亘って形成されており、前記膨張率が異なる部分が前記管内移動体の先端部側の端部から前記管内移動体の基端部方向に放射状に形成されていること、を特徴とする。
本発明の一態様として、前記正進バルーンおよび前記逆進バルーンは、前記膨張率が異なる部分が他の部分よりも肉厚が大きいこと、を特徴とする。
かかる態様によれば、膨張率が異なる部分の肉厚を他の部分よりも大きくして、バルーンに対し簡易な構造により膨張または収縮する時に変形する方向に指向性を備えさせることができる。
本発明の一態様として、前記正進バルーンおよび前記逆進バルーンは、前記膨張率が異なる部分に他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていること、を特徴とする。
かかる態様によれば、膨張率が異なる部分に他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えているので、バルーンに対し簡易な構造により膨張または収縮する時に変形する方向に指向性を備えさせることができる。
本発明の一態様として、前記低膨張材は、繊維からなること、を特徴とする。
本発明の一態様として、前記正進バルーンは、前記膨張率が異なる部分が少なくとも前記管内移動体の進行方向の後方部分に設けられていること、を特徴とする。
かかる態様によれば、正進バルーンは膨張率が異なる部分が少なくとも管内移動体の進行方向の後方部分に設けられているので、確実にバルーンは膨張する時に管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を管路に与えることができる。
本発明の一態様として、前記逆進バルーンは、前記膨張率が異なる部分が少なくとも前記管内移動体の進行方向の前方部分に設けられていること、を特徴とする。
かかる態様によれば、逆進バルーンは膨張率が異なる部分が少なくとも管内移動体の進行方向の前方部分に設けられているので、確実にバルーンは収縮する時に管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を管路に与えることができる。
本発明の一態様として、前記正進バルーンを前記管内移動体の進行方向の前方に配置し、逆進バルーンを前記管内移動体の進行方向の後方に配置すること、を特徴とする。
前記目的を達成するために本発明の内視鏡は、上記のいずれかの管内移動体用アクチュエータを有する。
前記目的を達成するために本発明の管内移動体用アクチュエータの制御方法は、管路内を移動する管内移動体に設けられ一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を前記管路に与え収縮する時に前記管内移動体を進行方向の後方に移動させようとする後退力を前記管路に与える正進バルーンと、前記管内移動体に設けられ一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記後退力を前記管路に与え収縮する時に前記推進力を前記管路に与える逆進バルーンと、を有し、前記正進バルーンと前記逆進バルーンは前記管内移動体の進行方向について前後に配置されている管内移動体用アクチュエータの制御方法であって、前記正進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記逆進バルーンが前記管内移動体を係止させる係止力を前記管路に与えるように制御し、前記逆進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記正進バルーンが前記係止力を前記管路に与えるように制御すること、を特徴とする。
本発明によれば、確実に管内移動体を進行方向の前方に移動させることができる。
電子内視鏡の構成図である。 挿入部の先端部と湾曲部の拡大図である(第1バルーンと第2バルーンが周方向に分割されて軸対称に対をなしている例)。 挿入部の先端部と湾曲部の拡大図である(第1バルーンと第2バルーンが全周にわたって形成されている例)。 実施例1のバルーン構成を示す図である。 実施例1のバルーン制御装置の構成図である。 正進バルーンの膨張の様子を示す図である。 正進バルーンの他の仕様例を示す図である。 図7に示す仕様の正進バルーンについて膨張の様子を示す図である。 正進バルーンの他の仕様例を示す図である。 正進バルーンの他の仕様例を示す図である。 実施例1の制御フローの各工程における正進バルーンと係止バルーンの膨張収縮の様子を示す図である。 実施例1の正進バルーンと係止バルーンの膨張収縮のタイムチャート図である。 実施例2のバルーン構成を示す図である。 実施例2のバルーン制御装置の構成図である。 逆進バルーンの膨張の様子を示す図である。 逆進バルーンの他の仕様例を示す図である。 図16に示す仕様の正進バルーンについて膨張の様子を示す図である。 逆進バルーンの他の仕様例を示す図である。 逆進バルーンの他の仕様例を示す図である。 実施例2の制御フローの各工程における正進バルーンと逆進バルーンの膨張収縮の様子を示す図である。 実施例2の正進バルーンと逆進バルーンの膨張収縮のタイムチャート図である。 実施例3のバルーン構成を示す図である。 実施例3のバルーン制御装置の構成図である。 実施例3の制御フローの各工程における第1正進バルーンと第2正進バルーンの膨張収縮の様子を示す図である。 実施例3の第1正進バルーンと第2正進バルーンの膨張収縮のタイムチャート図である。 実施例3の第1正進バルーンと第2正進バルーンの膨張収縮の様子として、他に考えられる例を示す図である。 挿入部の先端部と湾曲部の拡大図である。 実施例4のバルーン構成を示す図である。 実施例4の制御フローの各工程において挿入部の軸方向を見たときの正進バルーンと係止バルーンの膨張収縮の様子を示す図である。 実施例4の制御フローの各工程において、挿入部の先端部側から見たときの正進バルーンと係止バルーンの膨張収縮の様子および、内壁面の基準位置と挿入部の先端部の相対的な位置関係を示す簡略図である。 実施例5のバルーン構成を示す図である。 実施例5の制御フローの各工程において挿入部の軸方向を見たときの正進バルーンと逆進バルーンの膨張収縮の様子を示す図である。 実施例5の制御フローの各工程において挿入部の先端部側から見たときの正進バルーンと逆進バルーンの膨張収縮の様子および、内壁面の基準位置と挿入部の先端部の相対的な位置関係を示す簡略図である。 実施例6のバルーン構成を示す図である。 実施例6の制御フローの各工程において挿入部の軸方向を見たときの第1正進バルーンと第2正進バルーンの膨張収縮の様子を示す図である。 制御フローの各工程において挿入部の先端部側から見たときの第1正進バルーンと第2正進バルーンの膨張収縮の様子および、内壁面の基準位置と挿入部の先端部の相対的な位置関係を示す簡略図である。 内視鏡用移動装置への適用例を示す図である。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔電子内視鏡の説明〕
図1において、電子内視鏡1は、被検体内に挿入され管路内を移動する管内移動体である挿入部10と、挿入部10の基端部分に連設された操作部12とを備えている。挿入部10の先端に連設された先端部10a(例えば、外径12mmφ)には、被検体内の被観察部位の像光を取り込むための対物レンズと像光を撮像する撮像素子(いずれも図示せず)が内蔵されている。撮像素子により取得された被検体内の画像は、コード14に接続されたプロセッサ装置のモニタ(いずれも図示せず)に内視鏡画像として表示される。
また、先端部10aには、被観察部位に光源装置(図示せず)からの照明光を照射するための照明窓や、鉗子口16と連通した鉗子出口、送気・送水ボタン12aを操作することによって、対物レンズを保護する観察窓の汚れを落とすための洗浄水やエアーが噴射されるノズルなどが設けられている。
先端部10aの後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部10bが設けられている。湾曲部10bは、操作部12に設けられたアングルノブ12bが操作されて、挿入部10内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部10aが被検体内の所望の方向に向けられる。
湾曲部10bの後方には、可撓性を有する軟性部10cが設けられている。軟性部10cは、先端部10aが被観察部位に到達可能なように、且つ術者が操作部12を把持して操作する際に支障を来さない程度に患者との距離を保つために、1〜数mの長さを有する。
先端部10aや湾曲部10bには、後述する第1バルーン20と第2バルーン22が取り付けられている。第1バルーン20と第2バルーン22はおもに膨張収縮自在なラテックスゴムからなり、バルーン内の圧力を制御するバルーン制御装置18Aまたは18Bまたは18Cに接続されている。
上記のように構成された電子内視鏡1で、例えば、大腸や小腸のように複雑に屈曲した管路の内壁面を観察する場合には、第1バルーン20と第2バルーン22が収縮した状態で挿入部10を被検体内に挿入し、光源装置を点灯して被検体内を照明しながら、撮像素子により得られる内視鏡画像をモニタで観察する。
そして後述するように、挿入部10が管路の所定の位置に到達すると、バルーン制御装置18Aまたは18Bまたは18Cにより第1バルーン20と第2バルーン22の膨張・収縮を制御して、管路の内壁面を介して推進力を発生させ、この力によって挿入部10を進行方向の前方に移動させる。
なお、推進動作のフローの詳しい説明は後述する。
〔管内移動体用アクチュエータの説明〕
次に、管内移動体用アクチュエータについて説明する。本発明では、2つのバルーンを用いるが、バルーンの配置の仕方として、管内移動体の進行方向に前後に配置する前後配置の場合と、管内移動体の進行方向についてほぼ同じ位置に配置し外周方向に位相をずらして配置する平面配置の場合が考えられる。そこで、前後配置の場合と平面配置の場合について、場合を分けて説明する。
[前後配置の場合]
図2,図3は、挿入部10の先端部10aと湾曲部10bの拡大図であり、前後配置の場合の第1バルーン20と第2バルーン22の配置について示し、(a)は湾曲部10bと先端部10aを側面から見た図、(b)は先端部10a側から見た図である。図2では第1バルーン20と第2バルーン22が周方向に分割されて軸対称に対をなしている例であり、図3では第1バルーン20と第2バルーン22が挿入部10の進行方向に沿った軸を中心とした全周に亘って形成されている例である。
なお、第1バルーン20と第2バルーン22のうち、いずれか一方のバルーンを図2に示すような周方向に分割されて軸対称に対をなしているバルーンとし、他方のバルーンを図3に示すような挿入部10の進行方向に沿った軸を中心とした全周に亘って形成されているバルーンとしてもよい。
そこで、以下、第1バルーン20と第2バルーン22の構成例を説明する。
なお、以下おもに、図2に示すような第1バルーン20と第2バルーン22が周方向に分割されて軸対称に対をなしている例を用いて説明する。
(実施例1)
<管内移動体用アクチュエータの構成>
図4は、実施例1のバルーン構成を示す図である。図4に示すように、実施例1では、第1バルーン20として変形指向性バルーン(膨張する時に所定の向きに変形するものであって変形する方向に指向性を備えるバルーン)を膨張する時に進行方向の後方に向かって変形する向きに配置したバルーン(以下、正進バルーン30という)を採用し、第2バルーン22として変形指向性が無いバルーン(膨張時に全体に亘ってほぼ均一に変形するバルーン、以下、係止バルーン32という)を採用する。
図4に示すように、正進バルーン30の内腔には、挿入部10の外周面に開口した給排気口40を介して、給排気路42が連通されている。給排気路42は、挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Aに接続されている。
図5に示すように、バルーン制御装置18Aには、給排気路42(図4参照)を介して正進バルーン30にエアーを供給する給気ポンプ44と、正進バルーン30内のエアーを吸引する吸引ポンプ46とがそれぞれ二台ずつ設けられている。そして、給気ポンプ44と吸引ポンプ46の動作をコントローラ24Aで制御することにより、一対の正進バルーン30がそれぞれ個別に膨張収縮される。
また、不図示であるが、係止バルーン32の内腔には、正進バルーン30の内腔と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口を介して給排気路が連通され、給排気路は挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Aに接続されている。なお、係止バルーン32の内腔における給排気口は、挿入部10の周方向について、正進バルーン30の内腔における給排気口40と位相がずれた位置に配置されている。また、係止バルーン32の内腔における給排気路は、正進バルーン30の内腔における給排気路42とは別に平行に配置されている。
そして、図5に示すように、バルーン制御装置18Aには、給排気路(不図示)を介して係止バルーン32にエアーを供給する給気ポンプ48と、正進バルーン30内のエアーを吸引する吸引ポンプ50とがそれぞれ二台ずつ設けられている。そして、給気ポンプ48と吸引ポンプ50の動作をコントローラ24Aで制御することにより、一対の係止バルーン32がそれぞれ個別に膨張収縮される。
図4に示すように、正進バルーン30は、挿入部10の進行方向(挿入部10の基端部分から先端部10aに向かう方向)の後方の部分30a(斜線で示す。以下、単に後方部分という。)、および円周方向の部分30b(斜線で示す。以下、単に円周部分という。)が、他の部分よりも肉厚が厚く形成されている。
そのため、給気ポンプ44から給排気路42を介してエアーが供給されると、正進バルーン30は、図6に示すように膨張する。すなわち、後方部分30aおよび円周部分30bが他の部分よりも肉厚に形成されていることにより、後方部分30aおよび円周部分30bが他の部分よりも膨張率が低くなり、後方部分30aおよび円周部分30bよりも他の部分のほうが伸びて、点線で示すように挿入部10の進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張する。
なお、正進バルーン30は、後方部分30aおよび円周部分30bに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていることにより、後方部分30aおよび円周部分30bが他の部分よりも膨張率が低くなるとしてもよい。具体的には、後方部分30aおよび円周部分30bに、低膨張材として、例えば、PET繊維やアラミド繊維などを表面に接合、あるいは埋め込み、若しくは一体成形し、部分的に膨張率を異ならせてもよい。
一方、図4に示すように、係止バルーン32は、全体に亘ってほぼ均一な肉厚に形成されている。そのため、給気ポンプ48から給排気路(不図示)を介してエアーが供給されると、係止バルーン32は全体に亘って膨張率がほぼ同一となり、管路60の内壁面60aに向かっても膨張する。なお、係止バルーン32の代わりに、管路60の内壁面60aに向かって膨張しやすいように部分的に肉厚に形成したバルーンを用いてもよい。例えば、挿入部10との接合部分付近を他の部分よりも肉厚に形成したバルーンが考えられる。
なお、第1バルーン20を係止バルーン32とし、第2バルーン22を正進バルーン30として入れ替えてもよい。
また、前記の図3に示すような第1バルーン20と第2バルーン22として、全周に亘って形成されている例のものを用いる場合には、第1バルーン20として図7に示すような仕様の正進バルーン36が考えられる。
図7(a)は正進バルーン36と係止バルーン37を挿入部10の側面から見た図であり、図7(b)は正進バルーン36を挿入部10の基端部から先端部10aに向かって軸方向に見た図である。
図7に示すように、正進バルーン36は、挿入部10の基端部側の端部から先端部10a方向に放射状に複数伸ばした部分36a(斜線で示す。以下、単に放射状部分という。)が、他の部分よりも肉厚が厚く形成されている。例えば、放射状部分36aにリブを設けることが考えられる。放射状部分36aは、挿入部10の基端部側の端部から先端部10a側の端部までは達しておらず、その途中の部分(例えば、正進バルーン36における挿入部10の軸方向の幅の略半分の部分)で止まっている。
なお、正進バルーン36は、放射状部分36aに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていることにより、放射状部分36aが他の部分よりも膨張率が低くなるとしてもよい。具体的には、放射状部分36aに、低膨張材として、伸びない繊維あるいは伸びにくい繊維として、例えば、PET繊維やアラミド繊維などを表面に接合、あるいは埋め込み、若しくは一体成形し、部分的に膨張率を異ならせてもよい。または、放射状部分36aに、セロハンテープなどのテープ類を貼り付けてもよい。
このように、放射状部分36aを他の部分よりも肉厚を厚く形成したり、放射状部分36aに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えることにより、正進バルーン36について挿入部10の進行方向とバルーンの円周方向の膨張率に差を持たせている。具体的には、挿入部10の進行方向の膨張率よりもバルーンの円周方向の膨張率を大きくしている。そのため、正進バルーン36について挿入部10の進行方向とバルーンの円周方向の剛性に差を持たせることができ、図8に示すように、正進バルーン36は膨張変形する。
図8に示すように、正進バルーン36が膨張することにより、その頂点部分36bはバルーンの径方向にそのまま移動するのではなく、挿入部10の進行方向の後方に斜めに移動することになる。したがって、正進バルーン36は、点線で示すように挿入部10の進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張する。
一方、第2バルーン22としては、図7に示すように、全体に亘ってほぼ均一な肉厚に形成されている係止バルーン37を使用する。
その他、第1バルーン20として図9に示すような仕様の正進バルーン38も考えられる。
図9に示すように、正進バルーン38は、後端部分38a(斜線部分)が、他の部分よりも肉厚が厚く形成されている。後端部分38aは、正進バルーン38において挿入部10の進行方向(挿入部10の基端部分から先端部10aに向かう方向)の後方の端部αに形成されている。
なお、正進バルーン38は、後端部分38aに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていることにより、後端部分38aが他の部分よりも膨張率が低くなるとしてもよい。具体的には、後端部分38aに、低膨張材として、例えば、PET繊維やアラミド繊維などを表面に接合、あるいは埋め込み、若しくは一体成形し、部分的に膨張率を異ならせてもよい。または、セロハンテープなどのテープ類を貼り付けて、部分的に膨張率を異ならせてもよい。
また、図10に示すような正進バルーン43も考えられる。図10に示すように、前端部分43a(斜線部分)の周方向全体の部分が他の部分よりも膨張率を低くしている一方で、後端部分(斜線部分)では挿入部10の基端部側の端部から先端部10a方向に放射状に複数伸ばした部分43b(斜線で示す放射状部分)が、他の部分よりも膨張率を低くしている。
<推進動作のフロー>
以上のような構成からなる管内移動体用アクチュエータについて、その推進動作のフローについて説明する。
図11は、制御フローの各工程における正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子を示す図である。また、図12は、正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮のタイムチャート図である。
まず、図11(a)に示すように、正進バルーン30と係止バルーン32を収縮させた状態で、挿入部10の先端部10aおよび湾曲部10bを管路60内の所定の位置に到達させる。
次に、給気ポンプ44(図5参照)から給排気路42(図4参照)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図11および図12に示す工程A)。これにより、前記の図6のように、正進バルーン30が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに正進バルーン30の表面が接触した後、さらに、図11(b)に示すように、進行方向の後方に向かって正進バルーン30が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
次に、給気ポンプ48(図5参照)から給排気路(不図示)を介して一対の係止バルーン32に同時にエアーを供給する(図11および図12に示す工程B)。これにより係止バルーン32が全体に亘って膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに係止バルーン32の表面が接触した後、さらに、図11(c)に示すように、係止バルーン32が膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した係止バルーン32の表面が、内壁面60aに接触しながら内壁面60aを介して係止力を発生させ、この係止力によって挿入部10が係止される。
次に、吸引ポンプ46(図5参照)によって、給排気路42(図4参照)を介して正進バルーン30内のエアーを吸引して、図11(d)に示すように、正進バルーン30を収縮させる(図11および図12に示す工程C)。
ここで、正進バルーン30を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、係止バルーン32により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は係止されており進行方向の後方には移動しない(後退はしない)。
次に、吸引ポンプ50(図5参照)によって、給排気路(不図示)を介して係止バルーン32内のエアーを吸引して、図11(e)に示すように、係止バルーン32を収縮させる(図11および図12に示す工程D)。
次に、給気ポンプ44(図5参照)から給排気路42(図4参照)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図11および図12に示す工程E)。これにより、再び図11(b)に示すように、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
その後、図11および図12に示す工程B〜工程Eを繰り返すことにより、正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮が繰り返され、これにより挿入部10が管路60に沿って進行方向の前方に確実に移動する。
(実施例2)
<管内移動体用アクチュエータの構成>
図13は、実施例2のバルーン構成を示す図である。図13に示すように、実施例2では、第1バルーン20として正進バルーン30を採用し、第2バルーン22として変形指向性バルーン(膨張する時に所定の向きに変形するものであって変形する方向に指向性を備えるバルーン)を膨張時に進行方向の前方に向かって変形する向きに配置したバルーン(以下、逆進バルーン34という)を採用する。
図13に示すように、正進バルーン30の内腔には、挿入部10の外周面に開口した給排気口40を介して、給排気路42が連通されている。給排気路42は、挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Bに接続されている。
図14に示すように、バルーン制御装置18Bには、給排気路42(図13参照)を介して正進バルーン30にエアーを供給する給気ポンプ44と、正進バルーン30内のエアーを吸引する吸引ポンプ46とがそれぞれ二台ずつ設けられている。そして、給気ポンプ44と吸引ポンプ46の動作をコントローラ24Bで制御することにより、一対の正進バルーン30がそれぞれ個別に膨張収縮される。
また、不図示であるが、逆進バルーン34の内腔には、正進バルーン30の内腔と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口を介して給排気路が連通され、給排気路は挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Bに接続されている。なお、逆進バルーン34の内腔における給排気口は、挿入部10の周方向について、正進バルーン30の内腔における給排気口40と位相がずれた位置に配置されている。また、逆進バルーン34の内腔における給排気路は、正進バルーン30の内腔における給排気路42とは別に平行に配置されている。
そして、図14に示すように、バルーン制御装置18Bには、給排気路(不図示)を介して逆進バルーン34にエアーを供給する給気ポンプ52と、逆進バルーン34内のエアーを吸引する吸引ポンプ54とがそれぞれ二台ずつ設けられている。そして、給気ポンプ52と吸引ポンプ54の動作をコントローラ24Bで制御することにより、一対の逆進バルーン34がそれぞれ個別に膨張収縮される。
正進バルーン30の構成、作用は、実施例1で説明したとおりである。
図13に示すように、逆進バルーン34は、挿入部10の進行方向(挿入部10の基端部分から先端部10aに向かう方向)の前方の部分34a(斜線で示す。以下、単に前方部分という。)、および円周方向の部分34b(斜線で示す。以下、単に円周部分という。)が、他の部分よりも肉厚が厚く形成されている。
そのため、給気ポンプ52(図14参照)から給排気路(不図示)を介してエアーが供給されると、逆進バルーン34は、図15に示すように膨張する。すなわち、前方部分34aおよび円周部分34bが他の部分よりも肉厚に形成されていることにより、前方部分34aおよび円周部分34bが他の部分よりも膨張率が低くなり、前方部分34aおよび円周部分34bよりも他の部分のほうが伸びて、点線で示すように挿入部10の進行方向の前方に向かって略扇形状に膨張する。
なお、逆進バルーン34は、前方部分34aおよび円周部分34bに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていることにより、前方部分34aおよび円周部分34bが他の部分よりも膨張率が低くなるとしてもよい。具体的には、前方部分34aおよび円周部分34bに、低膨張材として、例えば、PET繊維やアラミド繊維などを表面に接合、あるいは埋め込み、若しくは一体成形し、部分的に膨張率を異ならせてもよい。
なお、第1バルーン20を逆進バルーン34とし、第2バルーン22を正進バルーン30として入れ替えてもよい。
また、前記の図3に示すような第1バルーン20と第2バルーン22として、全周に亘って形成されている例のバルーンを用いる場合には、第1バルーン20として前記の図7に示すような仕様の正進バルーン36や前記の図9に示すような仕様の正進バルーン38や前記の図10に示すような仕様の正進バルーン43が考えられる。
一方、第2バルーン22として図16に示すような仕様の逆進バルーン39が考えられる。
図16(a)は正進バルーン36と逆進バルーン39を挿入部10の側面から見た図であり、図16(b)は逆進バルーン39を挿入部10の基端部から先端部10aに向かって軸方向に見た図である。
図16に示すように、逆進バルーン39は、挿入部10の先端部10a側の端部から基端部方向に放射状に複数伸ばした部分39a(斜線で示す。以下、単に放射状部分という。)が、他の部分よりも肉厚が厚く形成されている。例えば、放射状部分39aにリブを設けることが考えられる。放射状部分39aは、先端部10a側の端部から基端部側の端部までは達しておらず、その途中の部分(例えば、逆進バルーン39における挿入部10の軸方向の幅の略半分の部分)で止まっている。
なお、逆進バルーン39は、放射状部分39aに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていることにより、放射状部分39aが他の部分よりも膨張率が低くなるとしてもよい。具体的には、放射状部分39aに、低膨張材として、伸びない繊維あるいは伸びにくい繊維として、例えば、PET繊維やアラミド繊維などを表面に接合、あるいは埋め込み、若しくは一体成形し、部分的に膨張率を異ならせてもよい。または、放射状部分39aに、セロハンテープなどのテープ類を貼り付けてもよい。
このように、放射状部分39aを他の部分よりも肉厚を厚く形成したり、放射状部分39aに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えることにより、逆進バルーン39について挿入部10の進行方向とバルーンの円周方向の膨張率に差を持たせている。具体的には、挿入部10の進行方向の膨張率よりもバルーンの円周方向の膨張率を大きくしている。そのため、逆進バルーン39について挿入部10の進行方向とバルーンの円周方向の剛性に差を持たせることができ、図17に示すように、逆進バルーン39は膨張変形する。
図17に示すように、逆進バルーン39が膨張することにより、その頂点部分39bはバルーンの径方向にそのまま移動するのではなく、挿入部10の進行方向の前方に斜めに移動することになる。したがって、逆進バルーン39は、点線で示すように挿入部10の進行方向の前方に向かって略扇形状に膨張する。
その他、第2バルーン22として図18に示すような仕様の逆進バルーン41も考えられる。
図18に示すように、逆進バルーン41は、前端部分41a(斜線部分)が、他の部分よりも肉厚が厚く形成されている。前端部分41aは、逆進バルーン41において挿入部10の進行方向(挿入部10の基端部分から先端部10aに向かう方向)の前方の端部βに形成されている。
なお、逆進バルーン41は、前端部分41aに他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていることにより、前端部分41aが他の部分よりも膨張率が低くなるとしてもよい。具体的には、前端部分41aに、低膨張材として、例えば、PET繊維やアラミド繊維などを表面に接合、あるいは埋め込み、若しくは一体成形し、部分的に膨張率を異ならせてもよい。または、セロハンテープなどのテープ類を貼り付けて、部分的に膨張率を異ならせてもよい。
なお、図19に示すような逆進バルーン45も考えられる。図19に示すように、前端部分では挿入部10の先端部10a側の端部から基端部方向に放射状に複数伸ばした部分45a(斜線で示す放射状部分)が他の部分よりも膨張率を低くしている一方で、後端部分45b(斜線部分)の周方向全体の部分が他の部分よりも膨張率を低くしている。
<推進動作のフロー>
以上のような構成からなる管内移動体用アクチュエータについて、その推進動作のフローについて説明する。
図20は、制御フローの各工程における正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子を示す図である。また、図21は、正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮のタイムチャート図である。
まず、図20(a)に示すように、正進バルーン30と逆進バルーン34を収縮させた状態で、挿入部10の先端部10aおよび湾曲部10bを管路60内の所定の位置に到達させる。
次に、給気ポンプ44(図14参照)から給排気路42(図13参照)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図20および図21に示す工程A)。これにより、前記の図6のように、挿入部10の進行方向の後方に向かって正進バルーン30が略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに正進バルーン30の表面が接触した後、さらに、図20(b)に示すように、進行方向の後方に向かって正進バルーン30が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
次に、給気ポンプ52(図14参照)から給排気路(不図示)を介して一対の逆進バルーン34に同時にエアーを供給する(図20および図21に示す工程B)。これにより、前記の図15のように、逆進バルーン34が進行方向の前方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに逆進バルーン34の表面が接触した後、さらに、図20(c)に示すように、進行方向の前方に向かって逆進バルーン34が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した逆進バルーン34の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、正進バルーン30が膨張してその表面が内壁面60aに接触したままの状態であり、正進バルーン30により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は進行方向の後方に移動せず、正進バルーン30と逆進バルーン34の間にある内壁面60a(図20(c)におけるδで示す部分)が進行方向の前方に手繰り寄せられる。
次に、吸引ポンプ46(図14参照)によって、給排気路42(図13参照)を介して正進バルーン30内のエアーを吸引して、図20(d)に示すように、正進バルーン30を収縮させる(図20および図21に示す工程C)。
ここで、正進バルーン30を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。そのため、一旦、図20(d)に示すように、前記の工程Bにおいて正進バルーン30と逆進バルーン34の間にある内壁面60aが進行方向の前方に手繰り寄せられた量(図20(c)参照)、挿入部10が進行方向の後方に移動する。
なお、この時、逆進バルーン34が膨張してその表面が内壁面60aに接触したままの状態であり、逆進バルーン34により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10の進行方向の後方の移動量は、前記の工程Bにおいて正進バルーン30と逆進バルーン34の間にある内壁面60aが進行方向の前方に手繰り寄せられた量(図20(c)参照)よりも大きくはならない。
次に、吸引ポンプ54(図14参照)によって、給排気路(不図示)を介して逆進バルーン34内のエアーを吸引して、図20(e)に示すように、逆進バルーン34を収縮させる(図20および図21に示す工程D)。
ここで、逆進バルーン34が収縮する時には、進行方向の後方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した逆進バルーン34の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
次に、給気ポンプ44(図14参照)から給排気路42(図13参照)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図20および図21に示す工程E)。これにより、再び図20(b)に示すように、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
その後、図20および図21に示す工程B〜工程Eを繰り返すことにより、正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮が繰り返され、これにより挿入部10が管路60に沿って進行方向の前方に確実に移動する。
(実施例3)
<管内移動体用アクチュエータの構成>
図22は、実施例3のバルーン構成を示す図である。図22に示すように、実施例3では、第1バルーン20および第2バルーン22として、ともに正進バルーン30を採用している。なお、説明の便宜上、それぞれ第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2として説明する。
図22に示すように、第1正進バルーン30−1の内腔には、挿入部10の外周面に開口した給排気口40を介して、給排気路42が連通されている。給排気路42は、挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Cに接続されている。
図23に示すように、バルーン制御装置18Cには、給排気路42(図22参照)を介して第1正進バルーン30−1にエアーを供給する給気ポンプ44と、第1正進バルーン30−1内のエアーを吸引する吸引ポンプ46とがそれぞれ二台ずつ設けられている。そして、給気ポンプ44と吸引ポンプ46の動作をコントローラ24Cで制御することにより、一対の第1正進バルーン30−1がそれぞれ個別に膨張収縮される。
また、不図示であるが、第2正進バルーン30−2の内腔にも、第1正進バルーン30−1の内腔と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口を介して給排気路が連通され、給排気路は挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Cに接続されている。なお、第2正進バルーン30−2の内腔における給排気口は、挿入部10の周方向について、第1正進バルーン30−1の内腔における給排気口40と位相がずれた位置に配置されている。また、第2正進バルーン30−2の内腔における給排気路は、第1正進バルーン30−1の内腔における給排気路42とは別に平行に配置されている。
そして、図23に示すように、バルーン制御装置18Cには、給排気路(不図示)を介して第2正進バルーン30−2にエアーを供給する給気ポンプ56と、第2正進バルーン30−2内のエアーを吸引する吸引ポンプ58とがそれぞれ二台ずつ設けられている。そして、給気ポンプ56と吸引ポンプ58の動作をコントローラ24Cで制御することにより、一対の第2正進バルーン30−2がそれぞれ個別に膨張収縮される。
第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の構成、作用は、実施例1の正進バルーン30と同じである。
また、前記の図3に示すような第1バルーン20と第2バルーン22として、全周に亘って形成されている例のバルーンを用いる場合には、第1バルーン20と第2バルーン22として、図7に示すような仕様の正進バルーン36や、図9に示すような仕様の正進バルーン38や、図10に示すような仕様の正進バルーン43が考えられる。
<推進動作のフロー>
以上のような構成からなる管内移動体用アクチュエータについて、その推進動作のフローについて説明する。
図24は、制御フローの各工程における第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子を示す図である。また、図25は、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮のタイムチャート図である。
まず、図24(a)に示すように、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2を収縮させた状態で、挿入部10の先端部10aおよび湾曲部10bを管路60内の所定の位置に到達させる。
次に、給気ポンプ44(図23参照)から給排気路42(図22参照)を介して一対の第1正進バルーン30−1に同時にエアーを供給する(図24および図25に示す工程A)。これにより、前記の図6で示した正進バルーン30のように、第1正進バルーン30−1が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに第1正進バルーン30−1の表面が接触した後、さらに、図24(b)に示すように、進行方向の後方に向かって第1正進バルーン30−1が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
次に、給気ポンプ56(図23参照)から給排気路(不図示)を介して一対の第2正進バルーン30−2に同時にエアーを供給する(図24および図25に示す工程B)。これにより、前記の図6で示した正進バルーン30のように、第2正進バルーン30−2が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに第2正進バルーン30−2の表面が接触した後、さらに、図24(c)に示すように、進行方向の後方に向かって第2正進バルーン30−2が略扇形状に膨張していく。
ここで、第1正進バルーン30−1が膨張してその表面が内壁面60aに接触したままの状態であり、第1正進バルーン30−1により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、第2正進バルーン30−2はその表面が内壁面60aを滑りながら膨張する。あるいは、内壁面60aの弛み具合によっては、図26(a)に示すように、第2正進バルーン30−2の膨張により内壁面60aが先端部10aの進行方向の後方に手繰り寄せられる。
次に、吸引ポンプ46(図23参照)によって、給排気路42(図22参照)を介して第1正進バルーン30−1内のエアーを吸引して、図24(d)に示すように、第1正進バルーン30−1を収縮させる(図24および図25に示す工程C)。
ここで、第1正進バルーン30−1を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、第2正進バルーン30−2により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は係止されており進行方向の後方には移動しない(後退はしない)。
また、あるいは、内壁面60aの弛み具合によっては、図26(b)に示すように、図前記の22(a)のように第2正進バルーン30−2の膨張により内壁面60aが先端部10aの進行方向の後方に手繰り寄せられた分だけ、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
次に、給気ポンプ44(図23参照)から給排気路42(図22参照)を介して一対の第1正進バルーン30−1に同時にエアーを供給する(図24および図25に示す工程D)。これにより、前記の図6で示した正進バルーン30のように、第1正進バルーン30−1が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに第1正進バルーン30−1の表面が接触した後、さらに、図24(e)に示すように、進行方向の後方に向かって第1正進バルーン30−1が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この時、第2正進バルーン30−2により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の間の内壁面60a(図24(e)のδで示す部分)が進行方向の後方に手繰り寄せられる。
次に、吸引ポンプ58(図23参照)によって、給排気路(不図示)を介して第2正進バルーン30−2内のエアーを吸引して、図24(b)に示すように、第2正進バルーン30−2を収縮させる(図24および図25に示す工程E)。
ここで、第2正進バルーン30−2を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、第1正進バルーン30−1により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は係止されており進行方向の後方には移動しない(後退はしない)。
その一方で、前記の工程Dにおいて第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の間にある内壁面60aが進行方向の後方に手繰り寄せられた量(図24(e)参照)、挿入部10は進行方向の前方に移動する。
その後、図24および図25に示す工程B〜工程Eを繰り返すことにより、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮が繰り返され、これにより挿入部10が管路60に沿って進行方向の前方に確実に移動する。
[平面配置の場合]
図27は、挿入部10の先端部10aと湾曲部10bの拡大図であり、平面配置の場合の第1バルーン20と第2バルーン22の配置について示し、(a)は湾曲部10bと先端部10aを側面から見た図、(b)は先端部10a側から見た図である。第1バルーン20と第2バルーン22は、挿入部10の周方向に互いに位相をずらして軸対称に対をなして配置される1対のバルーンである。
そこで、以下、第1バルーン20と第2バルーン22の構成例を説明する。
(実施例4)
<管内移動体用アクチュエータの構成>
図28は、実施例4のバルーン構成を示す図である。図28に示すように、実施例4では、第1バルーン20として正進バルーン30を採用し、第2バルーン22として係止バルーン32を採用する。
なお、正進バルーン30の内腔には、実施例1の図4と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口(不図示)を介して、給排気路(不図示)が連通されている。給排気路は、挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Aに接続されている。
また、係止バルーン32の内腔には、正進バルーン30の内腔と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口(不図示)を介して給排気路(不図示)が連通され、給排気路は挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Aに接続されている。なお、係止バルーン32の内腔における給排気口は、挿入部10の周方向について、正進バルーン30の内腔における給排気口40と位相がずれた位置に配置されている。また、係止バルーン32の内腔における給排気路は、正進バルーン30の内腔における給排気路42とは別に平行に配置されている。
また、バルーン制御装置18Aの構成は、実施例1の図5と同様である。その他、正進バルーン30の構造と作用、係止バルーン32の構造と作用は実施例1と同様である。
なお、第1バルーン20を係止バルーン32とし、第2バルーン22を正進バルーン30として入れ替えてもよい。
<推進動作のフロー>
以上のような構成からなる管内移動体用アクチュエータについて、その推進動作のフローについて説明する。
図29は、制御フローの各工程において挿入部10の軸方向を見たときの正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子を示す図である。図29は、左図が図28のA−A断面図、図28のB−B断面図に相当する。
また、図30は、制御フローの各工程において、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子および、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係を示す簡略図である。図30では、説明の便宜上、上段に正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子を簡略化した図を示し、下段に内壁面60aの所定の基準位置Oからの挿入部10の相対的な移動量を簡略化した図を示している。なお、図30の下段について、図面の右方向が挿入部10の進行方向の前方に相当し、図面の左方向が挿入部10の進行方向の後方に相当する。
なお、正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮のタイムチャート図は、実施例1の図12と同様である。
まず、図29(a)と図30(a)に示すように、正進バルーン30と係止バルーン32を収縮させた状態で、挿入部10の先端部10aおよび湾曲部10bを管路60内の所定の位置に到達させる。このとき、挿入部10の先端部10aは、図30(a)の下段において基準位置Oに到達しているとする。
次に、給気ポンプ44(図5参照)から給排気路(不図示)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図29および図30に示す工程A)。これにより、前記の図6のように、正進バルーン30が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに正進バルーン30の表面が接触した後、さらに、図29(b)の左図に示すように、進行方向の後方に向かって正進バルーン30が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子は、図30(b)の上段のように表わされる。図30(b)の上段に表すように、正進バルーン30は膨張状態であり、係止バルーン32は収縮状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図30(b)の下段のように表わされる。図30(b)の下段に表すように、挿入部10の先端部10aは内壁面60aの基準位置Oに対し、進行方向の前方に移動している。
次に、給気ポンプ48(図5参照)から給排気路(不図示)を介して一対の係止バルーン32に同時にエアーを供給する(図29および図30に示す工程B)。これにより係止バルーン32が全体に亘って膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに係止バルーン32の表面が接触した後、さらに、図29(c)の右図に示すように、係止バルーン32がさらに膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した係止バルーン32の表面が、内壁面60aに接触しながら内壁面60aを介して係止力を発生させ、この係止力によって挿入部10が係止される。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子は図30(c)の上段のように表わされる。図30(c)の上段に表すように、正進バルーン30と係止バルーン32はともに膨張した状態になっている。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図30(c)の下段のように表わされる。図30(c)の下段に表すように、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係に変化はない。
次に、吸引ポンプ46(図5参照)によって、給排気路(不図示)を介して正進バルーン30内のエアーを吸引して、図29(d)の左図に示すように、正進バルーン30を収縮させる(図29および図30に示す工程C)。
ここで、正進バルーン30を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、係止バルーン32により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は係止されており進行方向の後方には移動しない(後退はしない)。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子は図30(d)の上段のように表わされる。図30(d)の上段に表すように、正進バルーン30は収縮状態であり、係止バルーン32は膨張状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図30(d)の下段のように表わされる。図30(d)の下段に表すように、正進バルーン30が収縮することにより、正進バルーン30が接触する内壁面60aの部分が一旦進行方向の後方に後退する。しかし、係止バルーン32により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので挿入部10は係止されており、正進バルーン30が接触する内壁面60aの部分が進行方向の前方に戻って、結果的に、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係に変化はない。
次に、吸引ポンプ50(図5参照)によって、給排気路(不図示)を介して係止バルーン32内のエアーを吸引して、図29(e)の右図に示すように、係止バルーン32を収縮させる(図29および図30に示す工程D)。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮の様子は図30(e)の上段のように表わされる。図30(e)の上段に表すように、正進バルーン30と係止バルーン32はともに収縮状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図30(e)の下段のように表わされる。図30(e)の下段に表すように、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係に変化はない。
次に、給気ポンプ44(図5参照)から給排気路42(図4参照)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図29および図30に示す工程E)。これにより、再び図29(b)の左図に示すように、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
その後、図29および図30に示す工程B〜工程Eを繰り返すことにより、正進バルーン30と係止バルーン32の膨張収縮が繰り返され、これにより挿入部10が管路60に沿って進行方向の前方に確実に移動する。
(実施例5)
<管内移動体用アクチュエータの構成>
図31は、実施例5のバルーン構成を示す図である。図31に示すように、実施例5では、第1バルーン20として正進バルーン30を採用し、第2バルーン22として逆進バルーン34を採用する。
なお、正進バルーン30の内腔には、実施例2の図13と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口(不図示)を介して、給排気路(不図示)が連通されている。給排気路は、挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Bに接続されている。
また、逆進バルーン34の内腔には、正進バルーン30の内腔と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口(不図示)を介して給排気路(不図示)が連通され、給排気路は挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Bに接続されている。なお、逆進バルーン34の内腔における給排気口は、挿入部10の周方向について、正進バルーン30の内腔における給排気口と位相がずれた位置に配置されている。また、逆進バルーン34の内腔における給排気路は、正進バルーン30の内腔における給排気路とは別に平行に配置されている。
また、バルーン制御装置18Bの構成は、実施例2の図14と同様である。その他、正進バルーン30の構造と作用、逆進バルーン34の構造と作用は実施例2と同様である。
なお、第1バルーン20を逆進バルーン34とし、第2バルーン22を正進バルーン30として入れ替えてもよい。
<推進動作のフロー>
以上のような構成からなる管内移動体用アクチュエータについて、その推進動作のフローについて説明する。
図32は、制御フローの各工程において挿入部10の軸方向を見たときの正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子を示す図である。図32は、左図が図31のA−A断面図、右図が図31のB−B断面図に相当する。
また、図33は、制御フローの各工程において挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子および、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係を示す簡略図である。図33では、説明の便宜上、上段に正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子を簡略化した図を示し、下段に内壁面60aの所定の基準位置Oからの挿入部10の相対的な移動量を簡略化した図を示している。なお、図33の下段について、図面の右方向が挿入部10の進行方向の前方に相当し、図面の左方向が挿入部10の進行方向の後方に相当する。
なお、正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮のタイムチャート図は、実施例2の図21と同様である。
まず、図32(a)と図33(a)に示すように、正進バルーン30と逆進バルーン34を収縮させた状態で、挿入部10の先端部10aおよび湾曲部10bを管路60内の所定の位置に到達させる。このとき、挿入部10の先端部10aは、図33(a)の下段において基準位置Oに到達しているとする。
次に、給気ポンプ44(図14参照)から給排気路(不図示)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図32および図33に示す工程A)。これにより、前記の図6のように、正進バルーン30が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに正進バルーン30の表面が接触した後、さらに、図32(b)の左図に示すように、進行方向の後方に向かって正進バルーン30が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子は図33(b)の上段のように表わされる。図33(b)の上段に表すように、正進バルーン30は膨張状態であり、逆進バルーン34は収縮状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図33(b)の下段のように表わされる。図33(b)の下段に表すように、挿入部10の先端部10aは内壁面60aの基準位置Oに対し、進行方向の前方に移動している。
次に、給気ポンプ52(図14参照)から給排気路(不図示)を介して一対の逆進バルーン34に同時にエアーを供給する(図32および図33に示す工程B)。これにより、前記の図15のように、逆進バルーン34が進行方向の前方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに逆進バルーン34の表面が接触した後、さらに、図32(c)に示すように、進行方向の前方に向かって逆進バルーン34が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した逆進バルーン34の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、正進バルーン30が膨張してその表面が内壁面60aに接触したままの状態であり、正進バルーン30により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、逆進バルーン34の表面が接触する部分の内壁面60aが進行方向の前方に手繰り寄せられる。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子は図33(c)の上段のように表わされる。図33(d)の上段に表すように、正進バルーン30と逆進バルーン34はともに膨張した状態になっている。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図33(c)の下段のように表わされる。図33(c)の下段に表すように、逆進バルーン34が膨張することにより、逆進バルーン34が接触する内壁面60aの部分が一旦進行方向の後方に移動する。
次に、吸引ポンプ46(図14参照)によって、給排気路(不図示)を介して正進バルーン30内のエアーを吸引して、図32(d)の左図に示すように、正進バルーン30を収縮させる(図32および図33に示す工程C)。
ここで、正進バルーン30を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した正進バルーン30の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。そのため、一旦、図32(d)に示すように、前記の工程Bにおいて内壁面60aが進行方向の前方に手繰り寄せられた量(図32(c)の右図参照)、挿入部10が進行方向の後方に移動する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子は図33(d)の上段のように表わされる。図33(d)の上段に表すように、正進バルーン30は収縮状態であり、逆進バルーン34は膨張状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図33(d)の下段のように表わされる。図33(d)の下段に表すように、正進バルーン30が収縮することにより、先端部10aは基準位置Oの付近まで後退する。
次に、吸引ポンプ54(図14参照)によって、給排気路(不図示)を介して逆進バルーン34内のエアーを吸引して、図32(e)の右図に示すように、逆進バルーン34を収縮させる(図32および図33に示す工程D)。
ここで、逆進バルーン34が収縮する時には、進行方向の後方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した逆進バルーン34の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮の様子は図33(e)の上段のように表わされる。図33(e)の上段に表すように、正進バルーン30と逆進バルーン34はともに収縮状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図33(e)の下段のように表わされる。図33(e)の下段に表すように、挿入部10の先端部10aは内壁面60aの基準位置Oに対し、進行方向の前方に移動している。
次に、給気ポンプ44(図14参照)から給排気路(不図示)を介して一対の正進バルーン30に同時にエアーを供給する(図32および図33に示す工程E)。これにより、再び図32(b)の左図に示すように、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
その後、図32および図33に示す工程B〜工程Eを繰り返すことにより、正進バルーン30と逆進バルーン34の膨張収縮が繰り返され、これにより挿入部10が管路60に沿って進行方向の前方に確実に移動する。
(実施例6)
<管内移動体用アクチュエータの構成>
図34は、実施例6のバルーン構成を示す図である。図34に示すように、実施例6では、第1バルーン20および第2バルーン22として、ともに正進バルーン30を採用している。なお、説明の便宜上、それぞれ第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2として説明する。
なお、第1正進バルーン30−1の内腔には、実施例3の図22と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口(不図示)を介して、給排気路(不図示)が連通されている。給排気路は、挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Cに接続されている。
また、第2正進バルーン30−2の内腔には、第1正進バルーン30−1の内腔と同様に、挿入部10の外周面に開口した給排気口(不図示)を介して給排気路(不図示)が連通され、給排気路は挿入部10の軸方向に亘って設けられ、図1に示す操作部12、コード14内を通ってバルーン制御装置18Cに接続されている。なお、第2正進バルーン30−2の内腔における給排気口は、挿入部10の周方向について、第1正進バルーン30−1の内腔における給排気口と位相がずれた位置に配置されている。また、第2正進バルーン30−2の内腔における給排気路は、第1正進バルーン30−1の内腔における給排気路とは別に平行に配置されている。
また、バルーン制御装置18Cの構成は、実施例3の図23と同様である。その他、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の構造と作用は、実施例3と同様である。
<推進動作のフロー>
以上のような構成からなる管内移動体用アクチュエータについて、その推進動作のフローについて説明する。
図35は、制御フローの各工程において挿入部10の軸方向を見たときの第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子を示す図である。図35は、左図が図34のA−A断面図、図34のB−B断面図に相当する。
また、図36は、制御フローの各工程において挿入部10の先端部10a側から見たときの第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子および、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係を示す簡略図である。図36では、説明の便宜上、上段に第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子を簡略化した図を示し、下段に内壁面60aの所定の基準位置Oからの挿入部10の相対的な移動量を簡略化した図を示している。なお、図36の下段について、図面の右方向が挿入部10の進行方向の前方に相当し、図面の左方向が挿入部10の進行方向の後方に相当する。
なお、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮のタイムチャート図は、実施例3の図25と同様である。
まず、図35(a)と図36(a)に示すように、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2を収縮させた状態で、挿入部10の先端部10aおよび湾曲部10bを管路60内の所定の位置に到達させる。このとき、挿入部10の先端部10aは、図36(a)の下段において基準位置Oに到達しているとする。
次に、給気ポンプ44(図23参照)から給排気路(不図示)を介して一対の第1正進バルーン30−1に同時にエアーを供給する(図35および図36に示す工程A)。これにより、前記の図6で示した正進バルーン30のように、第1正進バルーン30−1が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに第1正進バルーン30−1の表面が接触した後、さらに、図35(b)の左図に示すように、進行方向の後方に向かって第1正進バルーン30−1が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この力は、挿入部10を進行方向の前方に移動させようとする(挿入部10を前進動作させようとする)推進力となり、挿入部10が進行方向の前方に移動する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子は、図36(b)の上段のように表わされる。図36(b)の上段に表すように、第1正進バルーン30−1は膨張状態であり、第2正進バルーン30−2は収縮状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図36(b)の下段のように表わされる。図36(b)の下段に表すように、挿入部10の先端部10aは内壁面60aの基準位置Oに対し、進行方向の前方に移動している。
次に、給気ポンプ56(図23参照)から給排気路(不図示)を介して一対の第2正進バルーン30−2に同時にエアーを供給する(図35および図36に示す工程B)。これにより、前記の図6で示した正進バルーン30のように、第2正進バルーン30−2が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに第2正進バルーン30−2の表面が接触した後、さらに、図35(c)の右図に示すように、進行方向の後方に向かって第2正進バルーン30−2が略扇形状に膨張していく。ここで、第1正進バルーン30−1が膨張した状態で内壁面60aに係止したままであるので、第2正進バルーン30−2はその表面が内壁面60aを進行方向の後方に手繰り寄せながら膨張する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子は図36(c)の上段のように表わされる。図36(c)の上段に表すように、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2はともに膨張した状態になっている。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図36(c)の下段のように表わされる。図36(c)の下段に表すように、第2正進バルーン30−2が膨張することにより、第2正進バルーン30−2が接触する内壁面60aの部分が進行方向の前方に移動する。
次に、吸引ポンプ46(図23参照)によって、給排気路(不図示)を介して第1正進バルーン30−1内のエアーを吸引して、図35(d)の左図に示すように、第1正進バルーン30−1を収縮させる(図35および図36に示す工程C)。
ここで、第1正進バルーン30−1を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、第2正進バルーン30−2により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は後退しない。その一方で、前記の工程Bにおいて第2正進バルーン30−2により手繰り寄せられた内壁面60aの部分が開放されて、その分だけ先端部10aは進行方向の前方に移動する。
このとき、挿入部10の先端部10a側から見たときの第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮の様子は図36(d)の上段のように表わされる。図36(d)の上段に表すように、第1正進バルーン30−1は収縮状態であり、第2正進バルーン30−2は膨張状態である。
また、内壁面60aの基準位置Oと挿入部10の先端部10aの相対的な位置関係は図36(d)の下段のように表わされる。図36(d)の下段に表すように、第1正進バルーン30−1が収縮することにより、第1正進バルーン30−1が接触する内壁面60aの部分に進行方向の前方に向かって力が生じる。しかし、第2正進バルーン30−2により挿入部10が係止されているので、先端部10aは後退しない。その一方で、第2正進バルーン30−2により手繰り寄せられた内壁面60aの部分が開放されて、その分だけ先端部10aは進行方向の前方に移動する。
次に、給気ポンプ44(図23参照)から給排気路(不図示)を介して一対の第1正進バルーン30−1に同時にエアーを供給する(図35および図36に示す工程D)。これにより、前記の図6で示した正進バルーン30のように、第1正進バルーン30−1が進行方向の後方に向かって略扇形状に膨張し始める。
そして、管路60の内壁面60aに第1正進バルーン30−1の表面が接触した後、さらに、図36(e)に示すように、進行方向の後方に向かって第1正進バルーン30−1が略扇形状に膨張していく。これにより、管路60の内壁面60aに接触した第1正進バルーン30−1の表面が、内壁面60aに接触しながら進行方向の後方に内壁面60aを介して力を発生させる。この時、第2正進バルーン30−2により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、第1正進バルーン30−1の表面に接触する部分の内壁面60aが進行方向の後方に手繰り寄せられる。
次に、吸引ポンプ58(図23参照)によって、給排気路(不図示)を介して第2正進バルーン30−2内のエアーを吸引して、図36(b)に示すように、第2正進バルーン30−2を収縮させる(図35および図36に示す工程E)。
ここで、第2正進バルーン30−2を収縮させる時には、進行方向の前方に向かって収縮するので、管路60の内壁面60aに接触した第2正進バルーン30−2の表面が内壁面60aに接触しながら進行方向の前方に内壁面60aを介して力を発生させ、挿入部10を進行方向の後方に移動させようとする(挿入部10の後退動作をさせようとする)後退力を管路60の内壁面60aに与えてしまう。しかし、第1正進バルーン30−1により係止力を管路60の内壁面60aに与えているので、挿入部10は後退しない。その一方で、前記の工程Dにおいて第1正進バルーン30−1により手繰り寄せられた内壁面60aの部分が開放されて、その分だけ先端部10aは進行方向の前方に移動する。
その後、図35および図36に示す工程B〜工程Eを繰り返すことにより、第1正進バルーン30−1と第2正進バルーン30−2の膨張収縮が繰り返され、これにより挿入部10が管路60に沿って確実に移動する。
(変形例)
また、前記の実施形態では、電子内視鏡1の挿入部10に直接バルーンを取り付けた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、図37に示す内視鏡用移動装置70に適用することも可能である。
内視鏡用移動装置70は、挿入部10が挿入固定される筒体72と、筒体72の先端に取り付けられた前記の第1バルーン20および第2バルーン22と、筒体72から延びたコード74が接続される、筒体72の先端に取り付けられたバルーンの仕様に対応した前記のバルーン制御装置18Aまたは18Bまたは18Cと同様の構成を有するバルーン制御装置76とから構成される。なお、各バルーンは前後配置に限らず、平面配置であってもよい。
そして、挿入部10を被検体内に挿入する際には、筒体72を挿入部10に挿入して固定し、バルーン制御装置76で上記実施形態と同様の制御を行って挿入部10を移動させる。
以上のように、本発明の管内移動体用アクチュエータは、膨張する時に推進力を管路60に与え収縮する時に後退力を管路60に与える正進バルーン30と、膨張する時に後退力を管路60に与え収縮する時に推進力を管路60に与える逆進バルーン34と、を有し、正進バルーン30と逆進バルーン34は挿入部10の進行方向について前後に配置され、正進バルーン30が後退力を管路60に与える時には逆進バルーン34が係止力を管路60に与えるように制御し、逆進バルーン34が後退力を管路60に与える時には正進バルーン30が係止力を管路60に与えるように制御するバルーン制御装置18Bを有するので、確実に挿入部10を進行方向の前方に移動させることができる。
また、バルーン制御装置18Bは、逆進バルーン34が膨張状態から収縮する時には正進バルーン30が管路60に接触していないように制御するので、逆進バルーン34が管路60に与える推進力により、確実に挿入部10を進行方向の前方に移動させることができる。
以上、本発明の管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
1…電子内視鏡、10…挿入部、10a…先端部、10b…湾曲部、10c…軟性部、12…操作部、14…コード、18A,18B,18C,76…バルーン制御装置、20…第1バルーン、22…第2バルーン、24A,24B,24C…コントローラ、30…正進バルーン、30−1…第1正進バルーン、30−2…第2正進バルーン、32…係止バルーン、34…逆進バルーン、40…給排気口、42…給排気路、44…給気ポンプ、46…吸引ポンプ、60…管路、60a…内壁面

Claims (13)

  1. 管路内を移動する管内移動体に設けられ、一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を前記管路に与え収縮する時に前記管内移動体を進行方向の後方に移動させようとする後退力を前記管路に与える正進バルーンと、
    前記管内移動体に設けられ、一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記後退力を前記管路に与え収縮する時に前記推進力を前記管路に与える逆進バルーンと、を有し、
    前記正進バルーンと前記逆進バルーンは前記管内移動体の進行方向について前後に配置されていること、
    を特徴とする管内移動体用アクチュエータ。
  2. 前記正進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記逆進バルーンが前記管内移動体を係止させる係止力を前記管路に与えるように制御し、前記逆進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記正進バルーンが前記係止力を前記管路に与えるように制御する制御部を有すること、
    を特徴とする請求項1の管内移動体用アクチュエータ。
  3. 前記制御部は、前記逆進バルーンが膨張状態から収縮する時には前記正進バルーンを収縮させて前記管路に接触していないように制御すること、
    を特徴とする請求項2の管内移動体用アクチュエータ。
  4. 前記正進バルーンは、前記管内移動体の進行方向に沿った軸を中心とした周方向の全体に亘って形成されており、前記膨張率が異なる部分が前記管内移動体の基端部側の端部から前記管内移動体の先端部方向に放射状に形成されていること、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  5. 前記逆進バルーンは、前記管内移動体の進行方向に沿った軸を中心とした周方向の全体に亘って形成されており、前記膨張率が異なる部分が前記管内移動体の先端部側の端部から前記管内移動体の基端部方向に放射状に形成されていること、
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  6. 前記正進バルーンおよび前記逆進バルーンは、前記膨張率が異なる部分が他の部分よりも肉厚が大きいこと、
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  7. 前記正進バルーンおよび前記逆進バルーンは、前記膨張率が異なる部分に他の部分よりも膨張率が低い低膨張材を備えていること、
    を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  8. 前記低膨張材は、繊維からなること、
    を特徴とする請求項7の管内移動体用アクチュエータ。
  9. 前記正進バルーンは、前記膨張率が異なる部分が少なくとも前記管内移動体の進行方向の後方部分に設けられていること、
    を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  10. 前記逆進バルーンは、前記膨張率が異なる部分が少なくとも前記管内移動体の進行方向の前方部分に設けられていること、
    を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  11. 前記正進バルーンを前記管内移動体の進行方向の前方に配置し、前記逆進バルーンを前記管内移動体の進行方向の後方に配置すること、
    を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータ。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータを有すること、
    を特徴とする内視鏡。
  13. 管路内を移動する管内移動体に設けられ一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記管内移動体を進行方向の前方に移動させようとする推進力を前記管路に与え収縮する時に前記管内移動体を進行方向の後方に移動させようとする後退力を前記管路に与える正進バルーンと、前記管内移動体に設けられ一部に膨張率が異なる部分を備えることにより膨張する時に前記後退力を前記管路に与え収縮する時に前記推進力を前記管路に与える逆進バルーンと、を有し、前記正進バルーンと前記逆進バルーンは前記管内移動体の進行方向について前後に配置されている管内移動体用アクチュエータの制御方法であって、
    前記正進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記逆進バルーンが前記管内移動体を係止させる係止力を前記管路に与えるように制御し、前記逆進バルーンが前記後退力を前記管路に与える時には前記正進バルーンが前記係止力を前記管路に与えるように制御すること、
    を特徴とする管内移動体用アクチュエータの制御方法。
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