以下に、本発明を詳細に説明する。
<生物試料について>
本発明の網膜組織染色組成物で染色可能な生物試料としては、特に限定されるものではないが、例えば、脊椎動物としては、トラフグ、クサフグ、ミドリフグ、メダカ、ゼブラフィッシュ等の硬骨魚類、アフリカツメガエル等の両生類、ニワトリ、ウズラ等の鳥類、ラット、マウス、ハムスター等の小動物、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ等の大動物、サル、チンパンジー、ヒト等が挙げられる。これら生物試料の個体、またはその一部を取り出した組織試料や組織ブロック、または組織切片等に含まれる網膜組織を染色することが出来る。生物試料としては、人を除外してもよい。
網膜組織のスクリーニングとして用いる場合には、ゼブラフィッシュを用いることが好都合である。ゼブラフィッシュは受精後6−7日で主要な臓器が形成され、眼球の組織学的形態もほぼ完成される。そのため、7日胚の使用は個体差の影響をほとんど受けずに試験を行う事が出来る。又、ゼブラフィッシュは1回の産卵で約200個以上の受精卵が得られるため同じ遺伝的背景持ったゼブラフィッシュが得られる。
<網膜組織について>
本発明の網膜組織染色組成物が染色できる網膜組織は、特に限定されるものではないが、網膜色素上皮層、視細胞層、外境界膜、外顆粒層、外網状層、内顆粒層、内網状層、神経節細胞層、神経線維層、および内境界膜等が挙げられる。これら網膜組織の疾患状態組織、疾患による新生組織や癌組織、生物種類・発生段階・発生異常等によって前記と異なる網膜組織が存在する場合は、それらの組織も本発明の網膜組織に含むことができる。
本発明の網膜組織に含まれる細胞としては、特に限定されるものではないが、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、インタープレキシフォルム細胞、錐体細胞、桿体細胞、線維芽細胞、ミューラーグリア細胞、およびこれらの腫瘍細胞、これらの未分化状態の細胞(幹細胞)等が挙げられる。また、錐体細胞は波長感度の異なる複数種の細胞からなる。本発明の網膜組織染色組成物は、これらの一種または複数種の細胞を好適に染色することが出来る。
さらに、本発明の網膜組織染色組成物は、視細胞層に存在する光受容細胞である桿体細胞と、波長領域に対する感度が異なる複数種類の錐体細胞から選ばれるひとつ以上の細胞とを染め分けることが出来る。これにより、視細胞層に存在する視細胞の種類ごとの分布を解析することが可能になる。
本発明において、網膜の細胞形態を染色するとは、網膜細胞を構成する少なくとも一種の細胞が染色され、細胞の種類毎に細胞形態を判別する事が可能な状態になる事である。
<暴露方法について>
本発明において、網膜組織染色剤を網膜組織に暴露するとは、生物試料の網膜組織や、その一部を取り出した組織試料や組織ブロック、または組織切片等について、その状態からさらに切開や網膜組織または網膜組織に連絡する組織への針刺し等、該当する組織に外科的な損傷を与える事なく染色する事である。
網膜組織に対して損傷を与える事なく染色する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、in vivoの場合は染色組成物を、生物個体の一部または全体に暴露する方法、経口接触による方法、経肺接触による方法、経鼻接触による方法、経消化管接触による方法、経粘膜接触による方法、経体液接触による方法、舌下接触による方法、静脈または動脈等の血管内接触による方法、腹腔内接触による方法、腹膣内、皮下、皮内、膀胱内、気管(気管支)内等への注入方法、噴霧または塗布等の手段による生体内への接触による方法等が挙げられる。一方、in vitroの場合は網膜組織や、その一部を取り出した組織試料や組織ブロック、または組織切片等について染色組成物を含む溶液に生物試料を浸漬させる、または生物試料に染色組成物を接触させる方法等が挙げられる。
<化合物について>
本発明の網膜組織染色組成物に含まれる化合物は、少なくとも網膜の視細胞層が染色可能であることを特徴とする。
本発明の網膜組織染色組成物に含まれる化合物は、染色の対象となる網膜組織に直接接触させることから、低分子化合物であることが好ましく、特に分子量が2,000以下であるものが選択される。好ましくは分子量が1,500以下の化合物、特に分子量が1,000以下の化合物である事が好ましい。
又、本発明の化合物は蛍光性を有する蛍光性化合物である事が好ましい。蛍光性の化合物であれば感度が高いため、低濃度で染色することができ、必要とする化合物の量を相対的に減らすことができる。また、染色部位が異なり、蛍光スペクトルの異なる化合物等の組み合わせを選択し、複数組織の多重染色が可能になるため、一度の観察で複数の情報を得ることが出来るようになる等有用性が高い。
本発明の眼内組織染色組成物で用いられる化合物は、一般式(I)または一般式(II)で表される構造を部分骨格にもつ色素化合物である事が好ましい。
一般式(I)中、R1〜R2は各々独立して水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R1とR2は互いに結合して環を形成しても良い。
R1〜R2におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、またはシクロペンチル基等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R1〜R2におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R1〜R2は、更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。R1とR2が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジニウム環等のヘテロ環、等が挙げられる。
Aは、下記一般式(III)〜(IX)で表わされる骨格構造を示す。
一般式(III)中、R6はアリール基を表す。R7〜R8、R10〜R11は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、またはハロゲン原子を表す。R9はカウンターアニオンを有するアンモニウム塩基を表す。
R6におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R6としては、フェニル基またはナフチル基が好ましく、特にカルボン酸基やスルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩等の水溶性の置換基またはそれらの塩を有するフェニル基の場合は、水溶性が向上する点からも好ましい。
R7〜R8及びR10〜R11におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R7〜R8及びR10〜R11におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R7〜R8及びR10〜R11におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
R7〜R8及びR10〜R11としては、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子が好ましく、化合物の安定性から水素原子が特に好ましい。
R9におけるカウンターアニオンを有するアンモニウム塩基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミノ基を4級塩化したアミノ基であり、カウンターアニオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、またはヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、またはヘキサフルオロリン酸イオン等の無機酸イオン;テトラクロロアルミニウムイオン等の含ルイス酸イオン;酢酸イオン、乳酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、またはテトラフェニルホウ酸イオンなどの有機酸イオン等が挙げられる。
前記一般式(III)で表される分子構造において、R6がオルト位にスルホン酸基、またはカルボン酸基を有する芳香環の時、下記一般式(III’)または(III’’)の互変異性体が存在する。本発明の色素化合物が有する一般式(III)で表わされる構造は、下記一般式(III’)または(III’’)等で表わされる構造も包含する。
[一般式(III’)及び(III’’)中のR7〜R11は、前記一般式(III)におけるR7〜R11と同意義を有する。]
一般式(IV)中、R12〜R13は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。R14〜R16は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、またはアミノ基を表す。
R12〜R13におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R12〜R13におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R12〜R13におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、例えば、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R12〜R13は、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が特に好ましい。
R14〜R16におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R14〜R16におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R14〜R16におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、例えば、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R14〜R16におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
R14〜R16におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基;N−メチルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−テトラデシルアミノ基、N−フェニルアミノ基、またはN−ナフチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、またはN,N−メチルプロピルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基、またはメトキシカルボニルアミノ基等のカルボニルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、またはiso−プロポキシスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基が挙げられる。
R14〜R16は、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(V)中、R17〜R18は各々独立してアルキル基またはアルコキシ基を表す。R19〜R20は各々独立してアルキル基、アルコキシ基、水酸基、シアノ基を表す。R21は、ヘテロ環基、−CH=C(R22)(R23)を表す。R22〜R23は各々独立して水素原子、シアノ基、ヘテロ環基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基を表す。R1とR17、R2とR18、R22とR23は各々独立して互いに結合して環を形成しても良い。
R17〜R20におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R17〜R20におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R17〜R20は、水素原子、またはアルコキシ基が好ましく、化合物の安定性から水素原子が特に好ましい。
R21〜R23におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、例えば、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R21〜R23におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R21〜R23は、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、またはピラゾリル基が好ましく、化合物の安定性から、オキサゾリル基、チアゾリル基、またはイミダゾリル基が特に好ましい。
一般式(V)中、R1とR17、R2とR18、またはR22とR23が、各々独立して互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数3〜10の芳香環、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロブタン環等の飽和環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等の部分飽和環、ピリジン環、テトラヒドロピリジン環、またはピリミジン環等のヘテロ環が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R1とR17、R2とR18、またはR22とR23が各々独立して互いに結合して形成する環として、ヘテロ環が好ましく、テトラヒドロピリジン環が特に好ましい。
一般式(VI)中、R24は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
R24におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R24におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R24におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、例えば、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R24は、アルキル基が好ましく、化合物の安定性から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基が特に好ましい。
一般式(VII)中、R25は酸素原子、硫黄原子、−N(R27)を表す。R26は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、スルホン酸基を表す。R27は水素原子、アルキル基、叉はアリール基を表す。
R26におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R26におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R26は、水素原子またはスルホン酸基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
R27におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R27におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
一般式(VIII)中、R28は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
R28におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R28におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
一般式(IX)中、R29は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
R29におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R29におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
Aが下記一般式(X)で表わされる骨格構造の場合、一般式(I)中、R1とR2の2つが合わさり、1つの置換基:=N−R30を表わす。R30はアリール基、またはヘテロ環基を表す。
一般式(X)中、R31〜R32はスルホン酸基、またはそれらの塩類を表わす。R33〜R34は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
R33〜R34におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R33〜R34におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R33〜R34におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
R33〜R34は、水素原子、アルコキシ基、またはハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
R30におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R30は、アリール基が好ましく、ナフチル基が特に好ましい。
さらに、
一般式(II)中、R3〜R4は各々独立して水素原子、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、アシル基またはヘテロ環基を表す。R3とR4は互いに結合して環を形成しても良い。R5は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
前記一般式(II)中のR3及びR4におけるアルケニル基としては、特に制限されるものではないが、例えば、ビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、3−ブテニル基、またはシクロヘキセニル基等の炭素数2〜20個のアルケニル基が挙げられる。
R3及びR4におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R3及びR4におけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、または2−ナフトイル基等が挙げられる。
R3及びR4におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、例えば、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R3及びR4は、化合物の合成の容易さからR3もしくはR4のどちらか一方が、シアノ基、またはカルボン酸基、ヘテロ環基が好ましく、R3もしくはR4のどちらか一方はシアノ基が特に好ましい。
R3及びR4は、一方が水素原子であり、他方が一般式(XI)のヘテロ環基であることもまた好ましい。
一般式(XI)中、R35はアルキル基、またはアリール基を表す。R36〜R39は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基、アミノ基、またはハロゲン原子を表す。R36とR37、R37とR38、またはR38とR39は互いに結合して環を形成しても良い。X-は陰イオン性基を表す。Q1は硫黄原子、酸素原子、−C(R40)(R41)−、−CH=CH−、または−N(R42)−を表す。R40〜R42は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
R35におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R35におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R35は、更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R35は、アルキル基が好ましく、さらに該アルキル基にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸の塩、またはスルホン酸の塩等の置換基を有すると化合物の水溶性が増し、蛍光強度も増すので好ましい。
R36〜R39におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R36〜R39におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R36〜R39におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R36〜R39におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R36〜R39におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基;N−メチルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−テトラデシルアミノ基、N−フェニルアミノ基、またはN−ナフチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、またはN,N−メチルプロピルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基、またはメトキシカルボニルアミノ基等のカルボニルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、またはiso−プロポキシスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基が挙げられる。
R36〜R39におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
R36〜R39は、水素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、スルホン酸基の場合は化合物の水溶性があがるため特に好ましい。
R36とR37、R37とR38、またはR38とR39が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数3〜10の芳香環、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロブタン環等の飽和環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等の部分飽和環、ピリジン環、またはピリミジン環等のヘテロ環が挙げられる。更に該環には、更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
又、R36とR37、R37とR38、またはR38とR39が互いに結合して形成する環として、化合物の保存安定性が向上するため、ベンゼン環の場合が好ましい。
X-は陰イオン性基を表す。ここで陰イオン性基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、またはヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、またはヘキサフルオロリン酸イオン等の無機酸イオン;テトラクロロアルミニウムイオン等の含ルイス酸イオン;酢酸イオン、乳酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、またはテトラフェニルホウ酸イオンなどの有機酸イオン等を表す。
X-の陰イオン性基としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、メタンスルホン酸イオン等が好ましく、より好ましくは化合物合成の容易さからも臭化物イオン、ヨウ化物イオンの場合である。
Q1は硫黄原子、酸素原子、−C(R40)(R41)−、−CH=CH−、または−N(R42)−を表す。
Q1中、R40〜R42におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R40〜R42におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
Q1は、酸素原子、硫黄原子、または−C(CH3)(CH3)−が、化合物の保存安定性が良いため特に好ましい。
一般式(II)中で表されるR3とR4が互いに結合して形成される環は、下記一般式(XII)〜(XV)で表される。
一般式(XII)中、R43は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R44はアルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ヒドロキシル基、またはアミノ基を表す。
R43及びR44におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R43及びR44におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R43におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、または酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R43として好ましくは、化合物の安定性からアリール基の場合である。更に該アリール基にカルボン酸のような水溶性の置換基を有していると水溶性が向上するため好ましい。
R44におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R44におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基;N−メチルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−テトラデシルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、またはN,N−メチルプロピルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基、またはメトキシカルボニルアミノ基等のカルボニルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、またはiso−プロポキシスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基が挙げられる
R44は、化合物の合成の容易さからアルキル基、アリール基、カルボン酸基、またはアミノ基が好ましく、アルキル基、またはカルボン酸基が特に好ましい。
一般式(XIII)中、Q2は、酸素原子、硫黄原子、または−N(R52)−を表す。R45は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、R46は硫黄原子、酸素原子、=NR53、ヘテロ環、またはジシアノメチレン基である。R52及びR53は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である。
R45及びR52〜R53におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R45及びR52〜R53におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R45及びR52〜R53におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、または酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R45は、アルキル基が好ましく、更に該アルキル基にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸の塩、またはスルホン酸の塩等カルボン酸基、またはスルホン酸基等の置換基を有すると化合物の水溶性が増し、蛍光強度も増すので好ましい。
R46は、硫黄原子、酸素原子、またはヘテロ環が好ましい。
R46が硫黄原子の場合は染色性が良くなる傾向があり、3位に置換基を有する2−チオキソチアゾリジン−4−オンの場合は、最大蛍光波長の検出が近赤外波長の領域に長波長化するものが多いため、近赤外での応用に用いる事が出来るためより好ましい。
一般式(XIV)中、R47は硫黄原子、酸素原子、3位に置換基を有する2−チオキソチアゾリジン−4−オン、R48は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
R47としては硫黄原子、3位に置換基を有する2−チオキソチアゾリジン−4−オンが好ましく、3位に置換基を有する2−チオキソチアゾリジン−4−オンの場合は、最大蛍光波長の検出が近赤外波長の領域に長波長化するものが多いため、近赤外での応用に用いる事が出来るためより好ましい。
R48におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R48におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R48におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、または酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R48は、アルキル基が好ましく、更に該アルキル基にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸の塩、またはスルホン酸の塩等の置換基を有すると化合物の水溶性が増し、蛍光強度も増すので好ましい。
一般式(XV)中、R49〜R50は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R51は酸素原子、または硫黄原子を表わす。
R49〜R50におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R49〜R50におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
Bは、下記一般式(XVI)〜(XVIII)で表わされる骨格構造を示す。
一般式(XVI)中、R54は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、またはアシル基を表す。R55〜R58は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはアシル基を表し、R55とR57が互いに結合して環を形成しても良い。R59は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
R54におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R54におけるアラルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジル基、またはフェネチル基等が挙げられる。
R54におけるアルケニル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、3−ブテニル基、またはシクロヘキセニル基等の炭素数2〜20個のアルケニル基が挙げられる。
R54におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R54におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、例えば、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R54におけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、または2−ナフトイル基等が挙げられる。
R54は、更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R54は、上記に列挙した置換基から、それぞれ独立に且つ任意に選択できるが、好ましい形態としてはアラルキル基、アルケニル基、またはアリール基等の場合が蛍光の強度が強いため好ましく、具体的には、フェニル基、ブロモフェニル基、ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルチオフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシナフチル基、ベンジルフェニル基、2,2−ジフェニルビニル基、または2,2−ジフェニルビニルフェニル基等が好ましい。更に好ましくは、フェニル基、ブロモフェニル基、ベンジル基、メチルチオフェニル基、メトキシフェニル基、またはメトキシナフチル基が好ましく、特に、メチルチオフェニル基の場合はストークスシフト(最大励起波長と最大蛍光波長の差)が飛躍的に大きくなる傾向が認められるため好ましい。
R55〜R58におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R55〜R58におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R55〜R58におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R55〜R58におけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、または2−ナフトイル基等が挙げられる。R55〜R58は更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
R55とR57が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、またはシクロブタン環等の飽和脂肪族環、シクロペンテン環、またはシクロヘキセン環等の部分飽和脂肪族環等が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。R55〜R58は、各々独立して水素原子、アルキル基、またはアリール基、R55とR57が互いに結合して環を形成していることが好ましく、R55とR57が互いに結合して環を形成している場合が化学構造上安定であるのでより好ましい。具体的には、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、またはシクロブタン環が挙げられる。より好ましくはシクロペンタン環が保存安定性の上からも好ましい。
R59におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R59におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R59におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
R59は、水素原子、ハロゲン原子、またはアルコキシ基が好ましく、水素原子、またはハロゲン原子がより好ましい。
一般式(XVII)中、R60は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R61〜R64は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基、アミノ基、またはハロゲン原子を表す。又、R61とR62、R62とR63、またはR63とR64は互いに結合して環を形成しても良い。
R60におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R60におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R60は、更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。R60は、アルキル基が好ましく、更に該アルキル基にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸の塩等の置換基を有すると化合物の水溶性が増し、蛍光強度も増すので好ましい。
R61〜R64におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R61〜R64におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R61〜R64におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R61〜R64におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R61〜R64におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基;N−メチルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−テトラデシルアミノ基、N−フェニルアミノ基、またはN−ナフチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、またはN,N−メチルプロピルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基、またはメトキシカルボニルアミノ基等のカルボニルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、またはiso−プロポキシスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基が挙げられる。
R61〜R64におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
R61〜R64は、水素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、スルホン酸基の場合は化合物の水溶性があがるためより好ましい。
R61とR62、R62とR63、またはR63とR64が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数3〜10の芳香環、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロブタン環等の飽和環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等の部分飽和環、ピリジン環、またはピリミジン環等のヘテロ環が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
又、R61とR62、R62とR63、またはR63とR64が互いに結合して形成する環として、化合物の保存安定性が向上するため、ベンゼン環の場合が好ましい。
一般式(XVII)中、Q3は硫黄原子、酸素原子、−C(R65)(R66)−、−CH=CH−、または−N(R67)−を表す。R65〜R67は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
Q3中、R65〜R67におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R65〜R67におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
Q3は、硫黄原子、酸素原子、または−C(R65)(R66)−が好ましく、酸素原子、硫黄原子、または−C(CH3)(CH3)−が特に好ましい。
一般式(XVIII)中、R68〜R69は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R70は酸素原子、または硫黄原子を表わす。
R68〜R69におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R68〜R69におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる
R68〜R69は、更に置換基を有していてもよく、色素化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、またはナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基;メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基;スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基;ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子;ポリエチレングリコール基;4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
前記、一般式(I)〜(XVIII)から構成される化合物中にカルボン酸基、スルホン酸基、またはポリエチレングリコール基を少なくとも1つ以上有すると水溶性が向上するため好ましい。又、カルボン酸基もしくはスルホン酸基の塩類も本発明の範疇である。具体的にカルボン酸基もしくはスルホン酸基の塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、またはカリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、またはカルシウム塩等のようなアルカリ土類塩;アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ピペリジニウム塩、またはトリエチルアンモニウム塩等のアミン塩;トリプトファン塩、リジン塩、ロイシン塩、フェニルアラニン塩、バリン塩、またはアルギニン塩等のアミノ酸塩が挙げられる。好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、またはピペリジニウム塩等である。
<合成例>
本発明にかかる一般式(I)〜(XVIII)から構成される色素化合物は、市販品を容易に入手する事が可能である。また、各々公知の方法により容易に合成する事も出来る。例えば、一般式(I)中、Aが一般式(III)で表わされる色素化合物の場合は、例えば、特開2008−94897号公報等を参考にして容易に合成することが出来る。また、一般式(I)中、Aが一般式(V)及び(VII)で表わされる色素化合物の場合は、例えば、特開2001−315437号公報に記載の方法で合成することが出来る。一方、一般式(II)中、Bが一般式(XVI)で表される色素化合物は、例えば、Chem.Comm.,24巻,3036−3037頁(2003)等により容易に合成することができる。
次に、本発明の一般式(I)中、Aが一般式(III)で表される色素化合物の製造方法についての一態様を示すが、合成方法がこれに限定されるわけではない。以下に合成スキームの一例を示す。
上記式中のR1〜R2及びR6〜R11は、前記R1〜R2及びR6〜R11と同義である。
先ず、縮合(1)工程では、化合物(A)とアミン誘導体とを、有機溶剤中(または溶剤の非存在下)、縮合剤の存在下(または縮合剤の非存在下)で加熱し縮合させ化合物(B)を得る。次に、化合物(B)を、上記に示したアミン誘導体と再び加熱縮合させる。この結果、本発明にかかる色素化合物(III)が得られる。
上記に例示した合成スキームの縮合反応において使用することができる好ましい有機溶剤としては、縮合(1)工程では、反応に関与しなければ、特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びn−ブタノール等を、単独で、若しくは混合して使用することができる。縮合(2)工程において使用することができる好ましい有機溶剤としては、反応に関与しなければ、特に制限はないが、例えば、エチレングリコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン及びニトロベンゼン等が挙げられる。
縮合(1)工程における反応温度は、0℃〜200℃の範囲内で行われ、好ましくは、10〜150℃、より好ましくは、20℃〜100℃の範囲内であることが好ましい。又、縮合(2)工程における反応温度は、50〜250℃の範囲内で行われ、好ましくは、100〜230℃、より好ましくは150℃〜220℃である。
反応させるアミン誘導体の置換基におけるR1とR2とが同一の置換基であって、且つ、R1'とR2'とが同一の置換基である化合物の場合には、同一のアミン誘導体を使用する事が出来るため、化合物(A)より一段階の縮合工程で一般式(III)の色素化合物を得ることができる。その際における反応温度は、縮合(2)工程に準ずる。
縮合工程で用いられる縮合剤としては、反応に関与しなければ、特に制限はされないが、例えば、酸化マグネシウム、塩化亜鉛及び塩化アルミニウム等から選択して用いることができる。
得られた色素化合物(III)は、通常の有機化合物の単離・精製方法を用いる事ができる。例えば、反応液を塩酸等で酸性にして、酸析する事によって固体をろ別し、水酸化ナトリウム等で中和し、濃縮すれば、粗成物が得られる。更に、粗成物をアセトン、メタノール等を用いた再結晶、シリカゲルを用いたカラム精製等により精製する。これらの方法は、単独または2つ以上組み合わせて精製を行う事により高純度で得る事が可能である。
また、本発明にかかる一般式(V)および、(VII)で表される色素化合物は、例えば特開2001−315437号公報に記載の方法で合成することが出来る。
以下に、本発明の具体例(1)〜(95)を示すが、下記例に限定されるものではない。
<放射線標識>
本発明の網膜組織染色組成物は放射性核種で標識されたプローブとして用いることも可能である。
標識に用いる放射性核種の種類は、特に制限されるものではないが、使用の態様によって適宜選択する事が出来る。
放射性核種で標識した網膜組織用プローブは、例えば、オートラジオグラフィー、陽電子(ポジトロン)放出核種を用いる放射断層撮影法(PET)、様々なガンマ線放出核種を用いる単一光子放射断層撮影法(SPECT)等によって画像化を行う事が出来る。又、フッ素原子核に由来するMR信号や13Cを利用した核磁気共鳴法(MRI)で検出してもよい。更に、次世代分子イメージング装置として複数分子同時イメージングが可能なコンプトンカメラ(GREI)等によって画像化する事も可能である。また、例えば、液体シンチレーションカウンター、X線フィルム、イメージングプレート等を用いて網膜組織用プローブの定量をする事も可能である。
また、14C等の放射性同位元素で標識した眼内組織用染色組成物は、加速器質量分析法(AMS)等によって、血液中(または、尿中もしくは糞中)の濃度を測定して、標識化した物質の未変化体や代謝物の薬物動態学的情報(薬物血中濃度−時間曲線下面積(AUC)、血中濃度半減期(T1/2)、最高血中濃度(Cmax)、最高血中濃度到達時間(Tmax)、分布容積、初回通過効果、生物学的利用率、糞尿中排泄率等)を得る事が可能である。
放射性核種としては、特に限定されるものではないが、使用の態様によって適宜選択する事が出来る。
PETによる測定の場合は、例えば、11C、14C、13N、15O、18F、19F、62Cu、68Ga、または78Br等の陽電子放出核種を用いる事が出来る。好ましくは、11C、13N、15O、または18F等であり、特に好ましくは、11C、または18F等である。
SPECTによる測定の場合は、例えば、99mTc、111In、67Ga、201Tl、123I、または133Xe等のγ線放射核種を用いる事が出来る。好ましくは、99mTc、または123I等である。
ヒト以外の動物を測定する場合には、例えば、125Iのようなより半減期の長い放射線核種を用いる事が出来る。
GREIによる測定の場合は、例えば、131I、85Sr、65Zn等を用いる事が出来る。
放射線核種は、一般式(I)〜(XVIII)で表わされる化合物に含まれる形でも、結合する形でもよい。
放射線核種の標識の方法は、特に限定されるものではなく、一般的に用いられている方法で良い。又、一般式(I)〜(XVIII)で表わされる化合物を構成する元素の少なくとも一部を放射性核種で置換する形でも、結合する形でも良い。
一般式(I)〜(XVIII)で表わされる化合物を放射性核種で標識した場合、1mMあたり、1〜100μCi程度の放射性を有することが好ましい。
この時、用いる網膜組織染料組成物の投与量は、影響がなければ特に制限はされず、化合物の種類及び標識に用いた放射性核種の種類により適宜選択される。
<眼内組織用染色組成物の調整>
本発明の眼内組織用染色組成物に含まれる化合物の濃度は、網膜組織を検出する事が出来れば特に限定されるものではないが、標的とする部位や使用される化合物によって適宜調節される。通常は0.001ng/mL以上、100μg/mL以下の濃度で用いられ、より好ましくは0.001ng/mL以上、10μg/mL以下、より好ましくは0.001ng/mL以上、5μg/mL以下の濃度で用いられる。
本発明の網膜組織染色組成物は、前記一般式(I)〜(XVIII)で表される色素化合物の少なくとも1種を適当な溶媒に溶解させて用いる。生体に影響がなければ特に限定されるものではないが、例えば、生体との親和性が高い水性の液体が好ましい。具体的には、水;生理食塩水;リン酸緩衝液(PBS)、Tris等の緩衝液;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する)等の有機溶媒;D−MEM、HBSS等の細胞培養用培地、または乳酸リンゲル液等の輸液が挙げられる。特に水を50%以上含む事が好ましい。又、これらの溶媒を2種以上混合して用いる事も出来る。
本発明の網膜組織染色組成物の作製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記のような溶媒に溶解させた化合物の濃厚溶液を希釈して作成しても良い。化合物の水溶性が低い場合には、適当な溶媒に溶解させてから精製水に希釈させて用いる事が出来る。特に好ましくは、メタノール、エタノール、DMSOである。
本発明の網膜組織染色組成物には、生体に適した塩濃度やpH等を制御する事が必要であれば、添加剤を一種類または複数種組み合わせて添加する事が出来る。本発明に用いられる添加剤としては、網膜組織染色組成物に影響がなければ特に限定されるものではないが、例えば、保湿剤、表面張力調製剤、増粘剤、塩化ナトリウムのような塩類、各種pH調製剤、pH緩衝剤、防腐剤、抗菌剤、甘味剤、または香料等が挙げられる。
pH調製剤としては、pHを5〜9に調製する事が好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、水酸化ナトリウム、または炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
<試験方法について>
本発明における網膜組織染色組成物に含まれる化合物は、下記に示す試験方法を行って、最大輝度値の比(La/Lb)が3以上である事が好ましい。本発明に用いられる化合物を選択するための試験方法の詳細を以下に示す。
3個体のゼブラフィッシュ7日胚を4%パラホルムアルデヒド溶液で固定し、ゼブラフィッシュの片眼球の固定化切片a1〜a3、及びb1〜b3を作製する。固定化切片a1〜a3は、試験化合物を溶解した1μg/mLの水溶液に1時間暴露した後、精製水で2回洗浄する。本試験方法では、少なくとも硝子体と網膜の層構造が全て含まれる固定化切片を使用する。
固定化切片a1〜a3を用いて、眼球の網膜切片が観察可能な倍率に調製し、網膜組織内の蛍光強度が最大となる励起波長及び蛍光波長を設定する。網膜切片が観察可能な倍率としては、硝子体と網膜の層構造が確認できれば厳密に調整する必要は無いが、好ましくは眼の組織切片の全体が含まれる倍率であることが好ましく、具体的には、10倍から400倍、より好ましくは40倍から200倍に設定することで、網膜組織の構造を可視化できる。一方、固定化切片b1〜b3の網膜色素上皮と硝子体に挟まれた任意の大きさの網膜領域における最大輝度値の平均値をLbとし、値が2〜6の範囲になるように励起光強度及び撮影感度を設定する。
各設定した観察条件で固定化切片a1〜a3の網膜色素上皮と硝子体に挟まれた任意の大きさの網膜領域における最大輝度値の平均値をLaとし、La/Lb値を計算する。
本試験方法において用いられるゼブラフィッシュの系統は特に限定されるものではないが、例えば、遺伝子変異を持たない野生型や、特に、目に関連する遺伝子変異を持たない系統が好ましく用いられる。具体的には、RIKEN WT(RW)、AB strain、TU strain等が好適に用いられる。
ゼブラフィッシュの眼球における固定化切片の作製は、特に限定されるものではないが、例えば、低温融解アガロースゲルにゼブラフィッシュを包埋して市販の切片作製装置で切片化する事が出来る。
市販の切片作製装置としては、切片が作製されるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビブラトームやリニアスライサー等が挙げられる。特に、リニアスライサーを用いると切片がより良好に作製されるので好ましい。このように切片作製装置で作製した固定化切片をスライドガラスへ乗せ、観察を行う。
又、凍結組織切片用コンパウンドにゼブラフィッシュを包埋して液体窒素等で急速凍結させてから凍結切片作製装置等で切片化する事も出来る。凍結切片作製装置としては、特に制限されるものではないが、市販のクライオスタットを好適に使用することが出来る。このようにして作製した凍結切片をスライドガラスに乗せ、乾燥させた後、観察を行う。
切片を作製する際の切片の厚みは、試験時に一定であれば特に限定されるものではないが、例えば、5μm以上の厚みがあるとスライドへ移す際に形態を保ちやすいので好ましい。
切片の染色は、スライドガラス上の切片を試験溶液に接触させて行うことが出来る。染色後は洗浄することにより、非特異的な染色部位を排除した観察を行うことが出来る。
網膜組織内の蛍光強度が最大となる励起波長及び蛍光波長への調整は、例えば次に示す方法が挙げられる。試験化合物を含む水溶液に暴露した切片試料を観察し、任意の波長の励起波長を照射したときに、励起波長よりも少なくとも10nm以上、より好ましくは20nm以上長波長の蛍光を検出したときに、励起光の映り込みが少なく、最も蛍光強度が高くなるように蛍光フィルターセットを切り替える。これにより調整を行なうことができる。
網膜組織を含む領域の最大輝度値の測定は、用いる試験化合物に応じて、観察装置の励起波長と蛍光波長を設定する必要がある。
用いる観察装置としては、蛍光観察が出来る装置であれば特に限定されるものではないが、例えば、実体蛍光顕微鏡、蛍光顕微鏡、または共焦点レーザー蛍光顕微鏡等が挙げられる。
本試験方法では、固定化切片b1〜b3の網膜領域が含まれる画像を取得し、取得画像の任意の領域が最大輝度値を示す値を測定する。
最大輝度値の測定は、ソフトウェア等を用いて測定するが、取得した画像をグレースケールに変換して測定することが好ましい。最大輝度値の測定に用いるソフトは任意の領域内の最大輝度値が求められるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、NIH Image、Scion Image、またはImage J等を挙げる事が出来る。
これらのソフトウェアを使用して、固定化切片b1〜b3の最大輝度値が2〜6の範囲になるように励起光強度及び撮影感度を調節し、固定化切片b1〜b3の最大輝度値の平均値Lbを得る。
次に、上記で設定した条件で固定化切片a1〜a3の網膜領域を含む画像を取得し、上記と同様に固定化切片a1〜a3の最大輝度値の平均値Laを取得する。
本発明の網膜組織染色組成物に含まれる化合物は、前記の試験方法で得られたLaとLbの比(La/Lb)が3以上であることが好ましい。La/Lbが3以上の化合物は眼内組織を眼組織や眼組織に連絡する神経組織を傷つけることなく明瞭に染色することが出来る。La/Lbが5以上が好ましく、La/Lbが10以上であると、化合物濃度が低くても眼内組織を明瞭に識別可能な状態に染色されるためより好ましい。
<染色方法>
本発明の網膜組織の染色方法は、前記一般式(I)〜(XVIII)で表される色素化合物を少なくとも1種類含む網膜組織用染色剤を用いて行うことが出来る。生きた生物個体の眼内組織を染色するとは、染色組成物が眼組織の切開や、眼組織または眼組織に連絡する組織への針刺し等の外科的損傷なく染色することである。
外科的損傷なく染色する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、網膜組織染色組成物を生物個体の一部または全体に暴露する方法、経口接触による方法、経肺接触による方法、経鼻接触による方法、経消化管接触による方法、経粘膜接触による方法、経体液接触による方法、舌下接触による方法、静脈または動脈等の血管内接触による方法、腹腔内接触による方法、腹膣内、皮下、皮内、膀胱内、気管(気管支)内等への注入方法、噴霧または塗布等の手段による生体内への接触による方法等が挙げられる。また、眼球、または眼球の一部を単離した試料、または眼球を含む組織切片を生物試料として用いてもよい。
本発明の染色方法で用いることが出来る生物試料の組織切片は、スライドガラスに生物試料の組織切片を貼り付けたものを好適に用いることが出来る。切片試料は、自分で組織切片を作成してもよいし、市販の組織切片スライドを使用することが出来る。市販の組織切片スライドはヒトやマウスなどの様々な動物種の組織切片をスライドに貼り付けたものであり、必要に応じて眼球組織が含まれた組織切片を使用することが出来る。これらの組織切片試料を眼組織染色組成物の溶液に浸漬してもよいし、試料に眼組織染色組成物の溶液をマウントしてもよい。
<観察方法>
本発明の観察方法は、本発明の網膜組織染色組成物を用いる事を特徴とする。その測定及び検出方法は当業者には公知の方法を用いて行われる。
本発明で用いられる観察方法は、眼組織と網膜組織染色組成物に影響を与えなければ特に限定されるものではないが、生物試料の状態及び変化を画像とし捉える方法である。例えば、眼組織に可視光、近赤外光、または赤外光を照射してカメラやCCD等で観察する可視光観察、近赤外光観察、赤外光観察、レーザー顕微鏡観察、または蛍光内視鏡等のように生物試料に対して励起光光源から励起光を照射して、発光している生物試料の蛍光を観察する蛍光観察、蛍光顕微鏡観察、蛍光内視鏡観察、共焦点顕微鏡観察、多光子励起蛍光顕微鏡観察、狭帯域光観察、または共光干渉断層画像観察(OCT)、更に、軟エックス線顕微鏡による観察等が挙げられる。
本発明で用いられる励起するための波長は、生物試料に影響を与えなければ特に限定されるものではないが、使用する前記一般式(I)〜(XVIII)で表される色素化合物によって異なり、本発明の前記一般式(I)〜(XVIII)で表される色素化合物が効率よく蛍光を発すれば特に限定されるものではない。通常、200〜1010nm、好ましくは400〜900nm、より好ましくは480〜800nmである。近赤外領域の光を用いる場合は、通常600〜1000nmで、好ましくは生体透過性に優れている680〜900nmの波長が用いられる。
本発明で用いられる蛍光励起光源としては、特に限定されるものではないが、各種レーザー光源を用いることが出来る。例えば、色素レーザー、半導体レーザー、イオンレーザー、ファイバーレーザー、ハロゲンランプ、キセノンランプ、またはタングステンランプ等が挙げられる。又、各種光学フィルターを用いて、好ましい励起波長を得たり、蛍光のみを検出したりする事が出来る。
このように生物個体に励起光を照射する事により、眼組織の内部において発光させた状態で眼内組織を撮像すれば発光部位を容易に検出する事が出来る。又、可視光を照射して得られた明視野画像と励起光を照射して得られた蛍光画像を画像処理手段で組み合わせる事で、より詳細に眼内組織を観察する事も出来る。
組織切片の観察には、スライドガラススキャナや、自動XYステージつきの顕微鏡などを用いることが出来る。これらの装置を使用することで、切片上の染色性を簡便に確認することが出来る。