JP2010143032A - 記録装置および記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録媒体後端が搬送ローラを離脱するタイミングにおいても、安定した搬送を実現する。
【解決手段】 記録媒体の搬送に関与するローラの種類が切り替わる搬送領域に対し、切り替わり時のローラ速度比が所定の位相で行われるように、搬送ローラおよび排紙ローラの初期位相を調整する。
【選択図】 図18

Description

本発明は、記録装置および記録方法に関し、特にインクジェット記録装置で用いる記録媒体の搬送量誤差を補正する技術に関するものである。
インクジェット記録装置(記録装置)では、記録媒体を搬送する際に、記録媒体の浮きやたるみによって記録媒体が記録ヘッドに接触し、記録ヘッドの汚損、損傷が発生するおそれがある。このような問題を解決するために、搬送方向下流側で記録媒体を搬送する排紙ローラに対して、上流側の搬送ローラの周速を高く設定する技術が知られている(特許文献1)。
特開2005−194043号公報
排紙ローラに対して搬送ローラの周速が高く設定されていると、記録媒体の後端が搬送ローラの挟持部から離脱する際に、記録媒体が所定の搬送量よりも多く搬送されてしまうため、画像品位を著しく低下させてしまうおそれがある。そこで、記録媒体の後端が搬送ローラの挟持部から離脱するタイミングでは、搬送ローラと排紙ローラの周速を等しく、すなわち搬送ローラと排紙ローラの周速比を“1”とすることで、安定した搬送を実現しようとした。
さらに、本願発明者らが誠意検討を重ねた結果、搬送ローラと排紙ローラの周速比には、これらローラの偏心が強く影響を及ぼしていることを見出した。ローラの偏心とは、ローラの断面形状が真円でない、ローラの回転中心がずれている等の状態にあることである。ローラの偏心があると、周方向の長さ(弧の長さ)及び周速がローラの回転位置(回転位相)によって変動してしまう。
そこで、本発明は、搬送ローラおよび排紙ローラの偏心の程度に基づいて搬送ローラ及び排紙ローラの搬送量を制御することにより、記録媒体が搬送ローラから離脱するタイミングでの搬送量を安定化させ、記録品位の悪化を軽減することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、インクを吐出するための記録ヘッドと、前記記録ヘッドよりも記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体を搬送するための第1のローラと、前記搬送方向下流側に配置され、前記記録媒体を搬送するための第2のローラと、前記記録媒体が前記第1のローラを離れるときの前記第1、第2のローラの位相を所定の位相に補正する補正値に基づいて、前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体が搬送ローラから離脱するタイミングでの搬送量を安定化させ、記録品位の悪化を軽減することが可能となる。
図1〜9は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を説明する図である。以下に、図1〜9を用いて記録装置の各部の構成について詳細に説明を行う。
(A)給紙部(図1〜図4)
給紙部は、記録媒体を積載する圧板M2010、記録媒体を1枚ずつ給紙する給紙ローラM2080、記録媒体を分離する分離ローラM2041、記録媒体を積載位置に戻すための戻しレバーM2020等がベースM2000に取り付けられることで構成されている。
(B)用紙搬送部(図1〜図4)
図1〜図4を参照するに、用紙搬送部は、主に、曲げ起こした板金からなるシャーシM1010に、記録媒体を搬送する第1のローラである搬送ローラM3060とペーパエンドセンサ(PEセンサ)E0007が回動可能に取り付けられて構成されている。搬送ローラM3060は、金属軸の表面にセラミックの微小粒がコーティングされた構成となっている。また、両軸の金属部分を不図示の軸受けが受ける状態で、シャーシM1010に取り付けられている搬送ローラM3060を付勢することにより、回転時に適量の負荷を与えて安定した搬送が行えるようになっている。
搬送ローラM3060には、従動する複数のピンチローラM3070が当接して設けられている。ピンチローラM3070は、ピンチローラホルダM3000に保持されているが、不図示のピンチローラバネによって付勢されることで、搬送ローラM3060に圧接し、ここで記録媒体の搬送力を生み出している。この時、ピンチローラホルダM3000の回転軸は、シャーシM1010の軸受けに取り付けられ、この位置を中心に回転する。
記録媒体が搬送されてくる入口には、記録媒体をガイドするためのペーパガイドフラッパM3030およびプラテンM3040が配設されている。また、ピンチローラホルダM3000には、PEセンサレバーM3021が設けられており、PEセンサレバーM3021は、記録媒体の先端および後端の検出をPEセンサE0007に伝える役割を果たす。プラテンM3040は、シャーシM1010に取り付けられ、位置決めされている。ペーパガイドフラッパM3030は、不図示の軸受け部を中心に回転可能で、シャーシM1010に当接することで位置決めされる。搬送ローラM3060の記録媒体搬送方向における下流側には、記録ヘッド4(図13)が設けられている。
上記構成における搬送の過程を説明する。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000およびペーパガイドフラッパM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバ−M3021が、記録媒体の先端を検知して、これにより記録媒体に対する記録位置が求められている。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。プラテンM3040には、搬送基準面となるリブが形成されており、このリブにより、記録ヘッドH1001と記録媒体表面との間のギャップが管理されている。また同時に、当該リブが、後述する排紙部と合わせて、記録媒体の波打ちを抑制する役割も果たしている。
(C)排紙部(図1〜4)
図1〜図4を参照するに、排紙部は、第2のローラとして機能する第1の排紙ローラM3100および第2の排紙ローラM3110、複数の拍車M3120およびギア列などから構成されている。第1の排紙ローラM3100は、金属軸に複数のゴム部を設けて構成されている。第1の排紙ローラM3100の駆動は、搬送ローラM3060の駆動が、アイドラギアを介して第1の排紙ローラM3100まで伝達されることによって行われている。
第2の排紙ローラM3110は、樹脂の軸にエラストマの弾性体M3111を複数取り付けた構成になっている。第2の排紙ローラM3110の駆動は、第1の排紙ローラM3100の駆動が、アイドラギアを介して伝達すること行われる。
拍車M3120は、周囲に凸形状を複数設けた例えばSUSでなる円形の薄板を樹脂部と一体としたもので、拍車ホルダM3130に複数取り付けられている。この取り付けは、コイルバネを棒状に設けた拍車バネによって行われているが、同時に拍車バネのばね力は、拍車M3120を排紙ローラM3100およびM3110に対し所定圧で当接させている。この構成によって拍車M3120は、2つの排紙ローラM3100およびM3110に従動して回転可能となっている。拍車M3120のいくつかは、第1の排紙ローラM3100のゴム部、あるいは第2の排紙ローラM3110の弾性体M3111の位置に設けられており、主に記録媒体の搬送力を生み出す役割を果たしている。また、その他のいくつかは、ゴム部あるいは弾性体M3111が無い位置に設けられ、主に記録時の記録媒体の浮き上がりを抑える役割を果たしている。
また、ギア列は、搬送ローラM3060の駆動を排紙ローラM3100およびM3110に伝達する役割を果たしている。
第1の排紙ローラM3100と第2の排紙ローラM3110の間には、不図示の紙端サポートが設けられている。紙端サポートは、記録媒体の両端を持ち上げて、第1の排紙ローラM3100の先で記録媒体を保持することにより、記録媒体に成された記録を、キャリッジの擦過などから守る役割を果たしている。具体的には、先端に不図示のコロが設けられた樹脂部材が、不図示の紙端サポートバネによって付勢されて、所定の圧力で記録媒体に押し付けることで、記録媒体の両端が持ち上げられ、こしを作り、所定の位置に保持できるように構成されている。
以上の構成によって、画像形成された記録媒体は、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。排紙トレイM3160は、複数に分割され、後述する下ケースM7080の下部に収納できる構成になっており、使用時には引出して使用する。
また、排紙トレイM3160は、先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高い位置に保持されるよう設計されており、排出された記録媒体の積載性を向上し、記録面の擦れなどを防止している。第1の排紙ローラM3100と第2の排紙ローラM3110のローラ径は同じものが使用されており、第1の排紙ローラ3100と第2の排紙ローラ3110で搬送された時の搬送誤差は両排紙ローラの周長を周期とした安定な周期関数の挙動を示すようになる。また、第1の排紙ローラM3100には位相を検出する不図示の光学センサが取り付けられている。突起上のフラグがセンサを通過するタイミングを原点としている。
第1の排紙ローラM3100と第2の排紙ローラM3110のローラ径は同じものが使用されており、第1の排紙ローラ3100と第2の排紙ローラ3110で搬送された時の搬送誤差は両排紙ローラの周長を周期とした安定な周期関数の挙動を示すようになる。また、第1の排紙ローラM3100には位相を検出する不図示の光学センサが取り付けられている。突起上のフラグがセンサを通過するタイミングを原点としている。
(D)記録ヘッド(図8)
給紙部、および用紙搬送部によって記録位置まで搬送された記録媒体には、キャリッジ7に取り付けられた記録ヘッド4よりインクが吐出されて、記録媒体上に画像記録が行われる。記録ヘッド4の形態としては、インク吐出のために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば発熱抵抗素子)を備え、その熱エネルギによりインクの状態変化(膜沸騰)を生起させる方式を用いたものとすることができる。また、エネルギ発生手段としてピエゾ素子などの機械的エネルギを発生する素子を備え、その機械的エネルギによりインクを吐出させる方式を用いたものとすることもできる。
本実施形態の記録装置は、10色の顔料インクによって画像を形成する。10色とはシアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)およびグレー(Gray)である。なお、Kのインクとは、上述した第1ブラックK1または第2ブラックK2のインクである。ここで、第1ブラックK1および第2ブラックK2のインクとは、それぞれ、光沢紙に対して光沢感の高い記録を実現するフォトブラックインクおよび光沢感のないマット紙に適したマットブラックインクとすることができる。
図8は、本実施形態で採用した記録ヘッド4をノズル形成面側から見た状態を模式的に示している。本例の記録ヘッド4は上記10色のうち5色ずつのノズル列を形成した2つの記録素子基板H3700および記録素子基板H3701を有している。H2700〜H3600は、それぞれ異なる10色のインクに対応するノズル列である。
一方の記録素子基板H3700には、グレー、ライトシアン、第1ブラック、第2ブラックおよびライトマゼンタのインクが供給されて吐出動作を行う各ノズル列H3200、H3300、H3400、H3500およびH3600が形成されている。他方の記録素子基板H3701には、シアン、レッド、グリーン、マゼンタおよびイエローのインクが供給されて吐出動作を行うノズル列H2700、H2800、H2900、H3000およびH3100が形成されている。各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約3ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ100平方μmに設定されている。
係るヘッド構成では、記録媒体上の同一の領域に対する記録を1回の主走査によって完成させる、いわゆる1パス記録を実行することが可能である。しかしノズルのばらつきなどを低減し、記録品位を向上するために、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を複数回の主走査によって完成させる、いわゆるマルチパス記録を実行することも可能である。マルチパス記録時のパス数は記録モードその他の条件に応じて適宜定められる。
記録ヘッド4に対しては、使用するインクの色に対応して、複数の独立したインクタンクが着脱可能に装着される。あるいは、装置の固定部位に設けたインクタンクから液体供給チューブを介してインクが供給されるものでもよい。
記録ヘッド4の主走査方向の移動可能範囲内で、かつ、記録媒体Pないしはプラテン3の側端部外の領域である非記録領域には、記録ヘッド4の吐出面と対面可能に回復ユニット11が配置されている。回復ユニット11は、次に示すような公知の構成を備える。すなわち、記録ヘッド4の吐出面をキャッピングするキャップ部、吐出面をキャッピングした状態で記録ヘッド4から強制的にインクを吸引する吸引機構、およびインク吐出面の汚れを払拭するクリーニングブレード等である。
なお、キャリッジ7には不図示の読み取りセンサ(スキャナ)が搭載されており、後述する搬送量補正のためのテストパターンの濃度読み取りを行える。
(E)フラットパス部(図5〜7)
給紙部からの給紙は、図4に示したように記録媒体が通る経路がピンチローラに達するまで曲がっているため、記録媒体を曲げた状態で行われることになる。従って、例えば0.5mm程度以上の厚い記録媒体等を給紙部から給紙しようとすると、曲げられた記録媒体の反力が発生し、給紙抵抗が増えて給紙が行えない場合がある。また、給紙が可能であっても、排紙後の記録媒体が曲がったままとなったり、折れたりすることもある。
厚い記録媒体等、曲げたくない記録媒体や、CD−R等、曲げることのできない記録媒体に対して記録を行うのがフラットパス記録である。
ここで、フラットパス記録には本体背面のスリット上の開口部から(給紙装置の下)、手差し給紙の態様で記録媒体を本体のピンチローラにニップさせ、記録を行うタイプがある。しかし本実施形態のフラットパス記録は、記録媒体を本体手前の排紙口から記録位置まで給紙し、スイッチバックしてから記録を行う形態のものである。
フロントカバーM7010は、通常記録した記録媒体を数十枚程度積載しておくためのトレイを兼ねるために排紙部より下方にある(図1)。フラットパス記録時には、記録媒体を排紙口から水平に、通常の搬送方向とは反対方向に給紙するために、フロントトレイM7010を排紙口の位置まで上げる(図5)。フロントトレイM7010には不図示のフック等が設けられており、フラットパス給紙位置にフロントトレイを固定可能である。フロントトレイM7010がフラットパス記録位置にあることはセンサで検知可能であり、当該検知に応じてフラットパス記録モードと判断することができる。
フラットパス記録モードでは、記録媒体をフロントトレイM7010に載せて排紙口から記録媒体を挿入するために、まずフラットパスキーE3004を操作する。そして、想定している記録媒体の厚みより高い位置まで、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを不図示の機構により持ち上げる。またリアトレイボタンM7110を押すことによってリアトレイM7090を開き、さらにリアサブトレイM7091をV字に開くことも可能である(図6)。リアトレイM7090およびリアサブトレイM7091は、長い記録媒体を本体前面から挿入した場合は本体背面から突出するので、長い記録媒体を本体背面でも支えるためのトレイである。厚い記録媒体は記録中にフラットな姿勢を保たないとヘッドフェイス面と擦れたり、搬送負荷が変化したりすることから記録品位に影響を及ぼすおそれがあるので、これらのトレイの配設は有効である。しかし本体背面からはみ出ない程度の長さの記録媒体であれば、リアトレイM7090等を開く必要はない。
以上によって、記録媒体を排紙口から本体内に挿入可能となる。図7を用いて、プラットパスモードにおける、記録媒体の搬送手順を説明する。まず、記録媒体の後端部(ユーザに最も近く位置する手前側の端部)と右端部とをフロントトレイM7010のマーカ位置に揃えて、フロントトレイM7010に載せる。
ここで再度フラットパスキーE3004を操作すると、拍車ホルダ3130が降りて排紙ローラM3100およびM3110と拍車3120とで記録媒体をニップする。その後、排紙ローラM3100,M3110で記録媒体を所定量本体内に引き込む(通常記録時の搬送方向とは逆方向)。最初に記録媒体をセットした際に記録媒体の手前側の端部(後端部)を揃えているので、短い記録媒体の前端部(ユーザから見て最も奥側の端部)は搬送ローラM3060まで届いていないことがある。従って所定量とは、想定している一番短い記録媒体の後端が搬送ローラM3060に届くまでの距離とする。所定量送られた記録媒体は搬送ローラM3060に届いているので、その位置でピンチローラホルダM3000を降ろして、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とで記録媒体をニップさせる。これで記録媒体のフラットパス記録のための給紙が終了したことになる(記録待機位置)。
排紙ローラM3100およびM3110と拍車M3120とのニップ力は、通常記録時の排紙時に形成画像に影響を与えないよう、比較的低く設定されている。従って、フラットパス記録時には記録を行うまでに記録媒体の位置がずれてしまうおそれがある。しかし本実施形態では、ニップ力が比較的高い搬送ローラM3060とピンチローラM3070とによって記録媒体をニップさせるので、記録媒体のセット位置が確保されたことになる。また、記録媒体を上記所定量だけ本体内に送るとき、プラテンM3040と拍車ホルダM3130の間にあるフラットパス紙検知センサM3170で記録媒体の後端位置(記録時の前端位置となる)を検知することができる。
記録媒体が上記記録待機位置に設定されると、記録コマンドを実行する。すなわち、記録ヘッドH1001による記録位置まで搬送ローラM3060で記録媒体を搬送し、後は通常の記録動作と同じように記録を行い、記録後フロントトレイM7010に排紙することになる。
フラットパス記録をさらに行いたい場合は、記録した記録媒体をフロントトレイM7010から取り出し、次の記録媒体をセットして、後は前述した処理を繰り返せばよい。具体的には、フラットパスキーE3004を押すことによって、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを持ち上げて、記録媒体をセットすることから始まる。
一方、フラットパス記録を終了する場合は、フロントトレイM7010を通常記録位置に戻すことによって通常記録モードに戻すことができる。
(F)電気回路構成
図9は、記録装置の制御系の主要部の構成例を示す。ここで、100は記録装置の各駆動部の制御を行う制御部である。制御部100は、CPU101、ROM102、EEPROM103およびRAM104を備える。CPU101は、後述する処理手順を含め、記録動作等に関わる処理のための種々の演算および判別を行うほか、記録データなどについての処理を行う。ROM102は、CPU101が実行する処理手順に対応したプログラムや、その他の固定データなどを格納する。EEPROM103は不揮発性メモリであり、所定の情報を記録装置の電源オフ時にも保持しておくために用いられる。RAM104は、外部から供給された記録データや、これを装置構成にあわせて展開した記録データを一時的に格納するほか、CPU101による演算処理のワークエリアとして機能する。
インターフェース(I/F)105は、外部のホスト装置1000と接続する機能を有し、ホスト装置1000との間で所定のプロトコルに基づいて双方向の通信を行う。なお、ホスト装置1000はコンピュータその他の公知の形態を有し、本実施形態の記録装置に記録を行わせる記録データの供給源をなすとともに、その記録動作を行わせるためのプログラムであるプリンタドライバがインストールされている。すなわちプリンタドライバからは、記録データや、これを記録する記録媒体の種別情報といった記録設定情報、および記録装置の動作制御を行わせる制御コマンドが送られるようになっている。
リニアエンコーダ106は記録ヘッド4の主走査方向上の位置を検出するものである。シートセンサ107は記録媒体搬送経路上の適宜の位置に設けられる。このシートセンサ107を用いて記録媒体の先後端を検出することにより、記録媒体の搬送(副走査)位置を知ることができる。制御部100にはモータドライバ108,112とヘッド駆動回路109とが接続されている。モータドライバ108は、制御部100の制御のもとで、記録媒体の搬送駆動源をなす搬送モータ110の駆動を行う。搬送モータ110の駆動力はギヤ等の伝動機構を介して搬送ローラM3060、排紙ローラ3100および排紙ローラ3110に伝達される。モータドライバ112は、キャリッジ7の移動の駆動源をなすキャリッジモータ114の駆動を行う。キャリッジモータ114の駆動力は、タイミングベルト等の伝動機構を介してキャリッジ7に伝達される。ヘッド駆動回路109は、制御部100の制御のもとで、記録ヘッド4の駆動を行い、吐出動作を行わせる。ロータリエンコーダ116は、搬送ローラM3060の軸に取り付けられ、それぞれの回転位置や速度を検出することで、搬送モータの制御を行うために供される。
(本実施形態の特徴構成)
以下に、本実施形態の記録装置において特徴的な搬送制御の概要について述べる。本実施形態では、記録媒体が搬送ローラの挟持部を離脱したときに、搬送ローラと排紙ローラのローラ周速比が極値となるように搬送ローラと排紙ローラの初期位相を調整する補正値を取得する。
本実施形態では、上記補正値を用いて搬送量を制御することにより、記録媒体が搬送ローラから離脱するタイミングでの搬送量を安定化させ、記録品位の悪化を軽減することができる。
以下に、本実施形態の特徴である搬送量制御の詳細について説明を行っていく。
1.搬送量補正値の取得手順
本実施形態では、ローラの偏心に伴う、ローラの回転位相ごとの搬送量を補正するために、ローラ周長を110分割した各ブロックに対して、それぞれ搬送補正値を取得して搬送量補正を行っている。
図10は、搬送量正値を取得するための処理手順の概要を示すフローチャートである。本手順では、まず記録媒体のセットおよび送給を含む記録動作の開始準備を行い、記録媒体が所定の記録位置へ搬送されると、搬送領域Iでテストパターンを記録する(ステップS1001)。次に、記録媒体をさらに搬送して、搬送領域IIでテストパターンを記録する(ステップS1002)。
次に、読み取りセンサ120を用いてテストパターンを読取り、その濃度情報を取得する(ステップS1003)。そして、この濃度情報に基き、累積搬送量誤差を検出、搬送補正値の取得(ステップS1004)を実行する。
なお、テストパターンの詳細、搬送領域等については後述する。
2.テストパターンの詳細
まず、図11を用いて、本実施形態において、搬送方向Yに沿って2つに分類される搬送領域について説明する。本実施形態では、搬送ローラのみで搬送されるときに記録が行われる領域、及び搬送ローラと排紙ローラの両方で搬送されているときに記録が行われる領域を”搬送領域I”とする。一方、排紙ローラのみで搬送される搬送領域を”搬送領域II”と定義する。なお、排紙ローラに較べて搬送ローラが記録媒体の搬送において支配的なローラであるため、本実施形態では、搬送ローラのみの搬送領域、搬送ローラと排紙ローラの両方のときの搬送領域をともに搬送領域Iとしている。
次に、本実施形態で用いるテストパターンを図12に示す。本実施形態のテストパターンは、搬送領域I、II毎に記録される。さらに、各ローラの回転軸方向X(記録ヘッドの主走査方向)には、搬送基準に近い位置と、搬送基準から離れた位置とで、各ローラの搬送誤差を検出するためのテストパターンが並んで形成される。
すなわち、図11において、FRは搬送領域Iで記録されるテストパターンであり、FR1は搬送基準に近い位置のテストパターン、FR2は搬送基準から遠い位置のテストパターンである。また、ERは搬送領域IIで記録されるテストパターンであり、ER1は搬送基準に近い位置のテストパターン、ER2は搬送基準から遠い位置のテストパターンである。
なお、テストパターンER1およびER2を記録するにあたっては、テストパターンFR1,FR2の記録後にピンチローラM3070をリリースし、排紙ローラのみで記録媒体を搬送する状態となるようにすることができる。これにより、テストパターンER1およびER2の記録できる領域を十分に確保することができる。
次に、記録媒体上に記録される4つのテストパターンのそれぞれについて説明する。
1つのテストパターンには、第2ブラック用ノズル列H3500を用いて、搬送方向Yに沿って30個、走査方向Xに沿って8個、合計240個のパッチが記録される。各パッチの記録では、768個のノズルが備えられたノズル列の中心640ノズルのうち上流側端部128ノズルを用いて1回目の記録走査が行われ、所定の画像が記録される。その後、1回あたり128ノズル相当の搬送を4回行い、上記640ノズルのうちの下流側端部128ノズルを用いて上記所定の画像に2回目の記録走査を行い、パッチが完成する。走査方向Xに並ぶ8個のパッチは、図中の左から右に向かって、2回目の走査でのノズルの使用範囲を1ノズルずつ搬送方向下流側にずらして記録されたものとなっている。ずらす範囲は、上流側にずらす場合を正とすると、−3〜+4となっている。
本実施形態では、ノズル列H3500は1200dpiのピッチでノズルが配列されており、128ノズル分の範囲に相当する距離(128/1200×25.4=2.709[mm])が理想的な1回の搬送量(記録ヘッドの走査間の搬送量)である。ここで、理想的な(設計通りの)搬送量で搬送が行われていれば、ずれ量“0”では、1回目の走査で記録された所定の画像に対し、4回の媒体搬送を経た5回目の主走査で記録される画像がちょうど重なるようになっている。また、正のずらし量はその距離よりも搬送量が大きく、負のずらし量は搬送量が小さくなっていることに対応する。また、本実施形態では、各主走査間の媒体搬送量(理想値)を2.709mmとし、30回の主走査を繰り返すことで、副走査方向(搬送方向)の範囲にわたって30個のパッチが形成されるようにする。このため、1つのテストパターンの副走査方向の長さは2.709×30=81.27mm(理想量)となり、公称37.19mmの外周をもつローラが用いられている場合、その2周分超に相当する。
また、走査方向に並ぶ8つのパッチを1つのパッチ群とすると、搬送方向Yに並ぶ30のパッチ群は1回目の記録走査と2回目の記録走査との間の媒体搬送に使用されるローラ領域をそれぞれ異ならせて形成されるものである。搬送方向に最上流のパッチ群の1回目の記録走査後の媒体搬送がローラの基準位置から行われたとすると、上記最上流のパッチ群を記録にあたっては、ローラの基準位置から4回の媒体搬送に相当する領域(0〜10.836mm)が使用されたことになる。また、上流側から2番目のパッチ群では、ローラの基準位置から2.709mm離れた位置から4回の媒体搬送に相当する領域(2.709〜13.545mm)が使用されたことになる。同様に、3番目のパッチ群ではローラの領域(5.418〜18.963mm)、4番目のパッチ群ではローラの領域(8.127〜21.672mm)が使用されたことになる。このように、各パッチ群では、1回目の走査から2回目の走査までに、それぞれ異なるローラの領域が使用される。
1回目の走査に供される上流側ノズル群で記録した画像と、2回目の走査に供される下流側ノズル群の画像とが重なっていれば、画像中にドットの記録されない部分が発生するようになっており、濃度(OD値)は低くなる。一方、搬送量に誤差があり、1回目の走査と2回目の走査で記録される画像がずれていれば、空白部分が埋められ、濃度は高くなる。
3.搬送誤差の取得
上述のようにして記録したテストパターンをスキャナで読み取り、全パッチの濃度を検出した後、主走査方向に複数記録された各パッチごとに濃度の比較を行う。そして、パッチ群の中で最も濃度の薄いパッチのずらし量を搬送誤差として取得することができる。ただし、上述の搬送誤差は、パターン記録の1回目の走査と2回目の走査の間の累積搬送誤差(4回の搬送動作の累積)として算出される。このような累積搬送誤差は、ある基準長に従って共通化されていることが好ましい。本実施形態では、4回の搬送動作における搬送誤差(640ノズル分累積)に768/640を掛ける演算を実施することで、ノズル列長(640ノズル分相当)での累積搬送誤差に換算する。
4.補正値の取得
まず、図13を用いて、補正値の取得のための一連の手順について説明する。
ステップS2001において、搬送領域I、II間(媒体後端が搬送ローラを離脱するタイミング)で搬送量を補正すべきかを判断し、必要であれば、ステップS2002において、搬送領域I、IIの累積搬送誤差Xnを取得する。さらに、この累積搬送誤差Xnをローラに割り付けられたブロック毎に分類し(S2003)、ステップS2004で調整値の取得が必要であると判断されれば、ステップS2005、S2006に進む。この調整値によって、搬送領域I、IIの間の、記録媒体が搬送ローラを離脱するときの搬送量を制御することが可能になる。ステップS2005でブロック毎に調整値を取得し、これをステップS2006でEEPROMに書き込む。次に、ステップS2007において第1の補正値の分布を元に補正値を取得し、これをEEPROMに書き込む(S2007)。ステップS2008で、さらに補正値の取得が必要な領域があるかを判断して、フローを終了する。
搬送誤差の取得の段落で説明した処理により、テストパターンの各パッチ群に対応して、ノズル長相当の累積搬送誤差が取得される。先に説明したとおり、本実施形態においては、理想的な1回の搬送量が2.709mmであることから、2.709mm間隔で30個の累積搬送誤差量が取得されることになる。また、テストパターン記録開始時には、媒体搬送に関与するローラの初期位相を取得している。本実施形態では、ローラの位相を検出するセンサは、搬送ローラM3060のみに付いているが、搬送ローラと第1の排紙ローラはローラ径が若干異なるが、両ローラを駆動させるギアは同じ歯数のため両ローラは同期した状態で駆動される。また、第1の排紙ローラと第2の排紙ローラは同じ径のローラが用いられているため両排紙ローラも同期した状態で駆動される。このことから、搬送ローラM3060の位相から第1及び第2の排紙ローラの位相が推定できる構成となっている。ローラ径が同じ搬送ローラ、両排紙ローラの構成でも、全ローラが同期した状態で駆動するため、いずれかの1つのローラに位相検出手段があればよい。全ローラのうち同期しているローラが1つもない系では、各ローラに位相検出手段を付与させる必要がある。
本実施形態の搬送量補正では、各ローラを110の領域に分割して、各領域ごとに搬送量を補正する形態を採用している。また、搬送ローラM3060に取り付けられたロータリエンコーダ116は1回転あたり14080パルスを出力するものを用いている。そこで、14080パルスを110の領域に合わせて128パルスずつに分割し、ロ−タリエンコ−ダ116の出力パルスに応じて現在のローラの位置を検出できるような構成としている。
図14は、搬送領域Iの2つのテストパターンから検出された各パッチ群ごとの累積搬送誤差Xnをプロットしたものであり、搬送方向上流側のパッチ群からn=1,2,・・・と番号付けをしてプロットしている。なお、累積搬送誤差の算出にあたっては、搬送基準側と非基準側でそれぞれの累積搬送誤差XnH、XnAの平均値として算出している。しかし、ローラの左右差(回転軸方向の影響)やたわみ等の影響を加味した重み付けをして算出させた数値でも構わないとする。
同図において、横軸はそれぞれパッチ群の番号nを示しており、これは初期位相からの累積の搬送量に相当する。つまり、nはローラの基準位置からの搬送量に相当しており、n=1であれば2.709mm、n=2であれば5.419mmに相当する。
図15は、各パッチ群に対応する累積搬送量、位相ブロックの振り分けを表した表である。累積搬送量とはローラの基準位置からの搬送量であり、n=1であれば2.709mm、n=14でローラ1周分の搬送量となる。そこで、搬送領域Iのテストパターン記録時の初期位相は110のうち基準位置から数えて”17ブロック”、搬送領域IIのテストパターン記録時の初期位相は”73ブロック”であるとする。さらに、各パッチ群の累積搬送量は8ブロックずつ、1周期の最後のパッチ群は6ブロックに振り分けると、図15のように振り分けることができる。具体的には、n=1のパッチ群は17〜24ブロック、n=2のパッチ群は25〜32ブロック、・・・n=14のパッチ群は11〜16ブロックの構成となる。
前述のように、本テストパターンはローラ周長2周超であるため、n=15以降は繰り返しとなる。なお、ブロックの振り分けが重複しているパッチ群nはそれぞれの搬送誤差の平均値を算出し、一義的に搬送誤差を設定する。搬送領域IIにおいては、初期位相が搬送領域Iと異なるだけで振り分け作業は同じである。
本実施形態では、図16に示すように、17〜24ブロックをブロック群A、25〜32ブロックをブロック群B、・・・11〜16をブロック群Nとして説明する。なお、テストパターンの構成上ローラ一周以上の搬送誤差が一度に取得できない場合は、テストパターンを複数の記録媒体に分割して、それぞれ異なる初期位相でテストパターンを記録することで、ローラ一周分の搬送誤差を得ることができる。また、一周分の搬送誤差の分布を予測する手段を用いてもよい。
本実施形態では、搬送領域I、IIのブロック群(ローラの回転位相)の組み合わせごとに、ローラ周速比を“1”とする調整値を算出しておく。これにより、記録媒体が搬送ローラの挟持部を離脱するときの搬送ローラおよび排紙ローラの回転位相がどの位置であっても、安定した搬送が得られる。
具体的には、ローラ周速Vは、16ノズル幅の搬送あたりの搬送誤差を含んだ搬送量とするため、式1に表されるように、768ノズル長で換算した搬送誤差Xnを48で割った値を理想的な搬送量から引くことで求められる。
(式1)
=(16/1200×25.4)−(−Xn/48)
また、ローラ周速比(Zn)の計算は、以下の式2により求められる
(式2)
ローラ周速比(Zn)={(搬送領域IIの周速V(II))/(搬送領域Iの周速(I))−1}*100
図18は、ローラ周速度比(Zn)と離脱時の搬送量の関係を示しており、周速度比(Zn)に対応した装置固有の補正値fが決定される。この補正値fにROMに格納された全本体共通の補正値αを加算したのものを、媒体後端がローラを離れるときの補正値として用いる。
周速比(Zn)の分布を示しており、その分布は周期的な関数となり、極大値と極小値をもつ。
そこで、ローラ周速比が極大もしくは極小となるときの搬送ローラおよび排紙ローラの回転位相において、記録媒体が搬送ローラの挟持部を離脱するように搬送ローラと排紙ローラの初期位相を調整する補正値を算出する。このような、補正値を用いて搬送制御することにより、搬送量にばらつきが発生した場合でも搬送量の変動幅が最小限に抑えられる。本実施形態では、補正値はローラ周速比が極小となるブロック群のときに記録媒体が搬送ローラの挟持部を離脱するように、記録媒体の副走査方向の大きさに応じてローラ初期位相を調整する。
5.第1の搬送制御
本実施形態では、搬送ローラと排紙ローラとが1:1の回転比の関係にあり、図18のような周速比の分布をもっている。本実施形態で所望のローラ周速比は等速であるため、Ztarget=0を目標とする速度比となる。所望の周速比は、記録装置のローラの長さや材質、軸受の位置、記録媒体の通過部分などに依存するため、必ずしもZn=0ではない。本発明の特徴は、ローラ周速比が極値をとる少なくとも1つの回転位相から、媒体後端が離脱する時の最適な位相を算出することである。つまり、本実施形態では、図18の極小値または極大値の一方で、目標とする速度比Ztargetとの差の絶対値|Ztarget−Zn|が小さい方の位相を最適位相(補正の目標とする位相)とする。
ここで、周速比の分布で極値をとる位相を最適位相と設定するのは、搬送ローラと排紙ローラの周速比が図19のような相関となるためである。これは、記録媒体の搬送時のすべりや紙端検出センサの検出誤差によって、記録媒体の後端が搬送ローラM3060とピンチローラM3070のニップから離脱するタイミングがずれて実際の周速比が“1”から外れる可能性がある。
本発明のように、ローラ周速比がピークとなる位相を最適位相とすることで、例え突発的な誤差が発生した場合にも、最適な速度比からのずれを他の位相よりも最小限に抑えることができ、後端離脱時の記録の高品位化を維持できる。
本実施形態の図20では、ブロック群“I”で後端離脱領域を記録するように搬送ローラの初期位相を調整する。記録媒体のサイズおよび記録モードによる搬送補正値を紙したパルス数のオフセット値を各記録媒体、記録モード毎にEEPROM103に持つ。ブロック群“C”の中心ブロック“85”分、つまり原点に対して37×128=10880パルスの位置から該オフセット値をローラ逆転方向に加算し、初期位相のパルス値が決まる。このパルス値に調整されたことを位相検出用センサで検出すると、給紙動作が開始され記録媒体の後端がPEセンサE0007を通過するまで記録動作が実施される。
記録媒体の後端がPEセンサE0007を通過したタイミングで、通過時のローラを検出する。本実施形態では、PEセンサE0007を通過するタイミングで後端離脱時を予測したが、給紙前の初期位相調整時点で予測してもかまわないものとする。PEセンサE0007から搬送ローラM3060とピンチローラM3070のニップまでの距離が14.16mmであるため、ロータリエンコーダ116のパルス数に換算すると5361パルスとなる。PEセンサE0007を通過した時点の搬送ローラM3060の位相が“10”である場合、パルス数に換算すると1280パルスとなるので、後端離脱までの搬送に伴う正転で6641パルスとなる。これを位相ブロックに換算すると“52”となり、図20中のブロック群にあてはまる速度比に対応している補正値が適用される。
記録媒体の先端は排紙ローラと拍車のニップへの噛み込み時に本制御を適用する場合、前記ニップへの噛み込み時の位相が、搬送領域I、II間の速度比が極値を取り、かつ所望の速度比に近い速度比となるように給紙前にローラの初期化が行われる。搬送ローラに対して排紙ローラの回転比が1:1ではないが、整数倍もしくは整数分の1である場合は、搬送ローラの排紙ローラとの速度比は図20のように複数の極値をもつ。本実施形態では、複数ある極値から所望の速度比に最も近い位相を最適位相とする。
(その他)
上述の説明では、ローラの速度比の極値が所望の速度比に最も近い位相を最適位相としたが、先に述べた記録媒体の搬送時のすべりや紙端検出センサの検出誤差によるずれに対応するために半値幅の最も大きいピークの位相の最適位相としてもよい。
また、搬送精度のばらつきによって、図21のような速度比の分布になることもある。このような場合、ローラの偏心による搬送誤差分が耐久や使用環境変化によって変化することによってもたらされる。特に搬送ローラで、金属のシャフトに砥石をコーティングしたローラではなく、ゴムなどの弾性体でできたローラを用いている系では比較的起こりやすいと考えられる。
そこで、搬送ローラと排紙ローラの速度比の分布のピーク位置ではなく、隣接するピークの中間点が速度比の変動が少なく安定しているため、隣接する極値の中間点の位相を最適位相としてもよい。図21では、ピークの中間点の位相ブロック群“F”が最適位相となる。この場合も、極値をとる複数の位相を用いて最適位相を算出することを特徴とする。
さらに、テストパターンが記録ヘッドの走査方向に複数個記録し、それぞれのテストパターンから算出された搬送ローラと排紙ローラとの速度比のピーク位置が異なる場合には、次のようにして最適位相を求めてもよい。すなわち、テストパターン毎に所望の速度比に近い方のピークを算出し、その複数ピークを取る位相の平均値もしくは重み付けをした数値を最適位相としてもよい。
本実施形態におけるインクジェット記録装置の斜視図であり、使用時における前面から見た状態を示している。 本実施形態におけるインクジェット記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、左上部からの斜視図である。 本実施形態におけるインクジェット記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、右上部からの斜視図である。 本実施形態におけるインクジェット記録装置本体の内部機構を説明するための側断面図である。 本実施形態におけるインクジェット記録装置の斜視図であり、フラットパス記録時における前面から見た状態を示している。 本実施形態におけるインクジェット記録装置の斜視図であり、フラットパス記録時における背面から見た状態を示している。 本実施形態で行われるフラットパス記録を説明するための模式的側断面図である。 本実施形態で採用した記録ヘッドをノズル形成面側から見た状態を模式的に示巣説明図である。 本実施形態におけるインクジェット記録装置の制御系の主要部の構成例を示すブロック図である。 本実施形態のテストパターン記録および搬送誤差取得の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態における搬送領域を説明する図である。 本実施形態で用いるテストパターンの一例を示す説明図である。 本実施形態の補正値取得の処理手順の一例を示すフローチャートである。 1つのテストパターンから得た濃度情報に基づいて数値化した搬送誤差をグラフ化して示す説明図である。 1つのテストパターンのパッチ行および累積搬送誤差に対応する位相ブロックの割り振りの一例を示す表である。 1つのテストパターンにおける位相ブロックに対応するブロック群を示す表である。 隣接領域I、IIのテストパターンにおけるそれぞれのブロック群に対応するローラ周速の一例を示す表である。 隣接領域I、II間におけるブロック群毎の速度比の分布をグラフ化して示す説明図である。 隣接領域I、II間におけるブロック群毎の、速度比の分布の繰り返し精度でX方向のずれが支配的な例を示す説明図である。 複数の極値を持つ系における最適位相の算出方法の一例を示した説明図である。 隣接領域I、II間におけるブロック群毎の、速度比の分布の繰り返し精度で搬送手段各々の偏心の変動が支配的な例を示す説明図である。
符号の説明
M3060 搬送ローラ
M3100 第1の排紙ローラ
M3110 第2の排紙ローラ
M4000 キャリッジ
101 CPU
110 搬送モータ
P 記録媒体

Claims (8)

  1. インクを吐出するための記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドよりも記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体を搬送するための第1のローラと、
    前記搬送方向下流側に配置され、前記記録媒体を搬送するための第2のローラと、
    前記記録媒体が前記第1のローラを離れるときの前記第1、第2のローラの位相を所定の位相に補正する補正値に基づいて、前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段とを備えることを特徴とする記録装置。
  2. 前記搬送制御手段は、前記第1、第2のローラの初期位相を調整することにより前記離れるときの前記第1、第2のローラの位相を所定の位相に補正することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記所定の位相は、前記第1のローラと第2のローラの周速比が極値となるときの位相であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  4. 前記所定の位相は、前記第1のローラと第2のローラの周速比が極値の中間となるときの位相であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  5. 前記搬送制御手段は、前記記録媒体の長さ情報に応じて前記第2のローラの回転位相を制御することを特徴とする請求項2ないし4に記載の記録装置。
  6. 前記第1のローラと第2のローラの回転比が1:1であることを特徴とする請求項1ないし5に記載の記録装置。
  7. 前記記録媒体の位置を検知する検知手段を有し、
    前記搬送制御手段は、該検知手段が検知した前記位置に応じた前記補正値に基づき前記記録媒体の搬送を制御することを特徴とする請求項1ないし6に記載の記録装置。
  8. インクを吐出するための記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドよりも記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体を搬送するための第1のローラと、
    前記搬送方向下流側に配置され、前記記録媒体を搬送するための第2のローラとを用いて記録を行う記録方法であって、
    前記記録媒体が前記第1のローラを離れるときの前記第1、第2のローラの位相を所定の位相に補正する補正値に基づいて、前記記録媒体の搬送を制御することを特徴とする記録方法。
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