JP2010139717A - 現像ローラ、現像装置、画像形成装置及び現像ローラ製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー搬送量を確保しつつトナー帯電量を増加することが可能な現像ローラ、現像ローラの製造方法、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に互いに交差する軸方向及び周方向に傾斜した螺旋状に連続する第1傾斜溝と第2傾斜溝が形成され、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝深さが異なることを特徴とする。溝深さの異なる交差する溝を形成することにより、溝内に溝段差部が形成され、トナーが溝段差部を乗り越えることにより、凹凸形状との接触回数を増加させ、トナー搬送量を確保しつつ、帯電量を向上させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、現像ローラ、現像装置、画像形成装置及び現像ローラ製造方法に関する。
非磁性一成分トナーを用いた画像形成装置では、トナーは現像ローラ上で摩擦帯電によって電荷が付与される。効率的に摩擦帯電を発生させるため、特開2001−66876号公報には、現像ローラにブラスト処理を施し、現像ローラ表面に所定の表面粗さRzを付与し、トナーが現像ローラに良好に擦られる状態とする現像ローラが開示されている。
ところが、ブラストと処理により形成された凹部は、大きさ、深さ、形状、及び配列が不均一である。このため、深い凹部に入り込んだトナーは転動されないため良好に帯電されない恐れがある。このように、現像ローラ表面の凹凸部の不均一に起因してフィルミングが発生するおそれがある。また、トナーが良好に帯電されない場合、トナーが現像器からもれて画像形成装置内に飛散したり、画像に地かぶりが生じるおそれがあるという問題もある。
そこでトナーの帯電性改善のために、特開2007−121947号公報には、転造加工により現像ローラ上に規則的に格子状に配列した溝を形成した現像ローラとその製造方法が開示されている。このような溝が転造加工により形成された現像ローラは、ブラスト処理のように不規則な表面状態が施された現像ローラより、帯電性が改善することが報告されている。
特開2001−66876号公報 特開2007−121947号公報
一方、転造加工により規則的な格子状に配列した溝が形成された現像ローラは、表面に形成された溝部にトナーを蓄積する。トナーの飛翔性と密接に関係するパラメータであるトナー搬送量は、溝深さで制御している。また、トナーの帯電量の制御は、トナーが現像ローラの周方向に向かって移動する際の、一定距離での現像ローラ表面の凹凸形状との接触回数で行っている。溝が深いほどトナー搬送量は増加し、トナーと凹凸形状との接触回数が増えるほどトナー帯電量が増加する。
溝深さを大きくしてトナー搬送量を確保しようとした場合、トナーと凹凸との接触回数の減少によりトナー帯電量が低下してしまう。逆に、溝深さを小さくした場合は、トナー帯電量は上昇するが、当然のことながらトナー搬送量は減少する。このように、トナー搬送量とトナー帯電量はトレードオフの関係になっており、溝深さを大きくしてトナー搬送量を保ちつつ、トナーの凹凸形状との接触回数を増加してトナー帯電量を向上させる方法が求められている。
本発明は、前記従来技術の持つ課題を解決する、トナー搬送量を確保しつつトナー帯電量を増加することが可能な現像ローラ、現像装置、画像形成装置及び現像ローラ製造方法を提供することを目的とする。
本発明の現像ローラは、前記課題を解決するために、表面に互いに交差する軸方向及び周方向に傾斜した螺旋状に連続する第1傾斜溝と第2傾斜溝が形成され、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝深さが異なることを特徴とする。溝深さを保ちトナー搬送量を確保し、トナーと溝段差部での接触回数を増やすことにより高帯電性を得ることができる。
また、本発明の現像ローラは、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝深さを、トナーの体積平均粒径Rより大きくしたことを特徴とする。溝深さに応じて一定量のトナーを保持搬送することで確実にトナー搬送量を確保することができる。
また、本発明の現像ローラは、溝深さが異なる前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝との交差部に形成される溝段差部の高さを、トナーの体積平均粒径より小さくし、且つ、外添剤の最大粒径より大きくしたことを特徴とする。溝段差部の高さHをトナーの体積平均粒径より小さくすることで、トナーが溝段差部を乗り越える動作を可能とする。また、溝段差部の高さHを外添剤の最大粒径より大きくすることで、トナーと溝段差部との接触を確実なものにすることができる。
また、本発明の現像ローラは、前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の内、溝深さが小さい傾斜溝の前記現像ローラの周方向に対する角度θbを、溝深さが大きい傾斜溝の前記現像ローラの周方向に対する角度θaより小さくしたことを特徴とする。現像ローラの周方向に対する角度を小さくすることで供給ローラの回転に伴い供給されるトナーが溝深さが大きい溝から溝深さの小さい溝に優先的に溝段差部を乗り越え通過するようにする。トナーが段差を乗り越えることにより、溝内の凹凸形状との接触回数が増加し、トナー帯電量を効果的に向上することが可能になる。
また、本発明の現像ローラは、前記トナーを前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝部で搬送することを特徴する。現像ローラ上のトナー量を規制する規制ブレードによる帯電とともに、トナーの移動に伴う溝内の段差部との接触によりトナー帯電性の向上が可能となる。また、溝深さに応じたトナーを保持搬送することで確実にトナー搬送量を確保できる。
また、本発明の現像ローラは、前記トナーとして体積平均粒径5μm以下の小粒径トナーを用いることを特徴とする。画像の高画質化を実現でき、さらに、大粒径のトナーと比較し帯電性の高い小粒径トナーは、現像ローラが導電性の場合、鏡像力が作用し溝内での搬送に適している。
また、本発明の現像装置は、トナーを供給する供給ローラと、前記供給ローラからトナーが供給される現像ローラと、前記現像ローラと当接し、前記現像ローラ上のトナー層厚を規制する規制ブレードと、を備え、前記現像ローラとして請求項1ないし6のいずれか1項に記載の現像ローラを用いることを特徴とする。トナー搬送量を保持し、トナーと溝段差部での接触回数を増やすことにより高帯電性を得ることができる。
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される潜像担持体と、前記静電潜像をトナーにより現像して前記潜像担持体にトナー像を現像する現像装置と、前記潜像担持体のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、を備え、前記現像装置は請求項10に記載の現像装置であることを特徴とする。現像装置でトナー搬送量を保ちつつトナー帯電量を向上することができ、高画質の画像を得ることができる。
また、本発明の現像ローラ製造方法は、軸方向及び周方向に傾斜した第1傾斜刃を有する第1ダイスと、前記第1傾斜刃と逆方向の軸方向及び周方向に傾斜した第2傾斜刃を有する第2ダイスとを同方向に回転させ、未加工の現像ローラを前記第1ダイス及び前記第2ダイスの回転方向と逆方向に回転させて前記第1ダイスと前記第2ダイス間に加工圧を付与しつつ送る転造工程を有し、前記第1傾斜刃の表面からの突出高さが前記第2傾斜刃の表面からの突出高さと相違することを特徴とする。現像ローラ表面に溝形状、溝深さの精度が高い第1傾斜溝及び第2傾斜溝を形成することができる。
また、本発明の現像ローラ製造方法は、軸方向及び周方向に傾斜した刃が形成された第1ダイスと刃無しダイスを同方向に回転させ、未加工の現像ローラを前記第1ダイス及び前記刃無しダイスの回転方向と逆方向に回転させて前記第1ダイスと前記刃無しダイス間に第1加工圧を付与しつつ送り螺旋状に連続する第1傾斜溝を形成する第1転造工程と、前記第1ダイスと逆方向の軸方向及び周方向に傾斜した刃が形成された第2ダイスと前記刃無しダイスを前記第1転造工程と同方向に回転させ、第1傾斜溝が形成された前記現像ローラを、前記第1転造工程とは同方向に回転させて前記第2ダイスと前記刃無しダイス間に第2加工圧を付与しつつ送り前記第1傾斜溝と交差する螺旋状に連続する第2傾斜溝を形成する第2転造工程と、を有し、前記第1加工圧と前記第2加工圧の大きさを変えることを特徴とする。現像ローラ表面に溝形状、溝深さの精度が高い第1傾斜溝及び第2傾斜溝を形成することができる。
また、本発明の現像ローラ製造方法は、前記第1傾斜刃と前記第2傾斜刃の内、溝深さの大きい傾斜溝を形成する傾斜刃の前記現像ローラの周方向に対する角度を、他の傾斜刃の現像ローラの周方向に対する角度より大きくしたことを特徴とする。トナーが段差を有する溝(溝深さの小さい溝)を乗り越えて通過し、段差によるトナーとの接触回数の増加によりトナー帯電量を効果的に向上することが可能な現像ローラを形成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、4つの画像形成ステーション15(Y、M、C、K)、中間転写ベルト70、二次転写ユニット80を有し、さらに、定着ユニット90、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルからなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御し画像形成装置としての動作を司る制御ユニット100を有している。画像形成ステーション15(Y、M、C、K)は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーで画像を形成する機能を有している。画像形成ステーション15(Y、M、C、K)の構成は同様であるので、以下、画像形成ステーション15Yについて説明する。
画像形成ステーション15Yは、図1に示すように、像担持体の一例としての感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像ユニット50Y、一次転写ユニットを有している。
感光体20Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、矢印で示すように時計回りに回転する。
帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置である。露光ユニット40Yからは、レーザを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する。
露光ユニット40Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20Y上に照射する。
現像ユニット50Yは、感光体20Y上に形成された潜像を、イエロー(Y)のトナーを用いて現像するための装置である。現像ユニット50Yは、交換可能なトナーカートリッジからトナーが供給される現像室内に現像ローラ51Y、供給ローラ52Yが配置され、現像ローラ51Yには、規制ブレード53Yが当接し現像ローラ51Y上のトナーを薄層化する。
一次転写ユニットは、一次転写部B1で一次転写ローラ65Yにより一次転写バイアスが印加され、感光体20Yに形成されたイエロートナー像を中間転写ベルト70に転写する。各一次転写部B1、B2、B3、B4で4色のトナーが順次重ねて転写された場合には、中間転写ベルト70にフルカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト70は、ベルト駆動ローラ71a、従動ローラ71bに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体20(Y、M、C、K)と当接しながら回転駆動される。
二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の転写材に転写するための装置である。
定着ユニット90は、定着ローラ90aと加圧ローラ90bにより構成され、転写材上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を転写材に融着させて永久像とするための装置である。
次に、このように構成された画像形成装置10の動作について説明する。まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイスを介して画像形成装置のメインコントローラに入力されると、このメインコントローラからの指令に基づくユニットコントローラの制御により感光体20Y、現像ユニット50Yに備えられた現像ローラ51Y、及び、中間転写ベルト70等が回転する。感光体20Yは、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Yにより順次帯電される。
感光体20Yの帯電された領域は、感光体20Yの回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Yによって、イエローYの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。感光体20Y上に形成された潜像は、感光体20Yの回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50Yによって現像される。これにより、感光体20Y上にトナー像が形成される。
感光体20Y上に形成されたトナー像は、感光体20Yの回転に伴って一次転写部B1位置に至り、一次転写ユニットによって、中間転写ベルト70に転写される。この際、一次転写ユニットでは、一次転写ローラ65Yからトナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。この結果、各感光体20(Y、M、C、K)上に形成された4色のトナー像は、中間転写ベルト70に重なり合って転写され、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト70は、モータ等のベルト駆動手段からの駆動力がベルト駆動ローラ71aを介して伝達されることによって駆動される。
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ユニット80によって紙等の転写材に転写される。このような転写材は、給紙トレイから、給紙ローラ94a、レジストローラ94bを介して二次転写ユニット80へ搬送される。
転写材に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット90によって加熱加圧されて転写材に融着される。定着ユニット90の通過後、排紙ローラ94cにより排紙される。
一方、感光体20(Y、M、C、K)は一次転写部B1、B2、B3、B4位置を経過した後に、除電ユニット(図示せず)によって除電され、次の潜像を形成するための帯電に備える。
二次転写後の中間転写ベルト70の従動ローラ71b側に中間転写ベルトクリーニング装置(図示せず)が設置され、二次転写後の中間転写ベルト70をクリーニングする。
図2(a)は、本発明の現像ユニット50Yの一例を示す模式図であり、図2(b)は、この例の現像ユニット50Yの部分図である。
現像ユニット50Yは、感光体20YにトナーTを搬送する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに圧接されてトナーTを供給する供給ローラ52Y、現像ローラ51Yに圧接されて感光体20Yに搬送するトナーTを規制する規制ブレード53Y、トナーTを攪拌して搬送するトナー攪拌搬送部材54Y、トナー攪拌搬送部材54Yによって搬送されたトナーTを受けて供給ローラ52Yの方へ案内するトナー受け部材55Y、および現像ローラ51Yに現像後残ったトナーTを回収する方向に当接しながらトナー漏れを防止するためのシール部材56Y、トナーTを収容するケース57Yを備えている。
現像ローラ51Yは、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金などの導電性材料で円筒状に形成されている。供給ローラ52Yは、発泡ウレタンゴム、シリコンゴム等の弾性材料により円筒状に形成されるか、植毛されたシートを円筒形の芯金に巻き付けたブラシローラとして形成される。現像ローラ51Yと供給ローラ52Yが接触しながら回転することで、トナーTが現像ローラ51Y上に供給され、所定厚みのトナー層が現像ローラ51Y上に形成される。トナーTが供給された現像ローラ51Yに規制ブレード53Yが当接し、現像ローラ51Y上のトナー層厚を規制する。トナー粒子は現像ローラ51Y上を移動し、現像ローラ51Yの凹凸との接触による摩擦帯電により電荷が付与される。
現像ローラ51Yの両端部には、それぞれスペーサ58Yが固定されている。これらのスペーサ58Yが感光体20Yの像非担持面に圧接されることで、現像ローラ51Yのトナー搬送面とこのトナー搬送面に対向する感光体20Yの像担持面の間に、現像ギャップgが形成されている。
そして、この現像ギャップgは、スペーサ58Yの厚みを適宜選択することで所望の大きさに調節される。これにより、この現像置は非磁性一成分現像剤であるトナーTを用いた非磁性一成分現像剤非接触ジャンピング現像を行うようになっている。その場合、この例のでは、図2(b)に示すように感光体20Yが時計回りに回転するとともに、現像ローラ51Yおよび供給ローラ52Yがともに反時計回りに回転するように設定されている。そして、感光体20Yの周速と現像ローラ51Y上のスペーサ58Yの周速とが同一または略同一に設定されている。なお、本実施形態では、非接触式の現像方式で説明したが、接触式の現像方式を用いても良い。
用いるトナーとしては、体積平均粒径が5μm以下で、平均円形度を0.95以上の小粒径/高円径度トナーを用い、シリカ、チタニウム等の外添剤を外添したものである。
図3は、本発明の現像ローラおよびその表面の部分拡大図の一例を示す図であり、図3の部分拡大図(点線円内)は、この例の現像ローラ51Yの表面部拡大図である。
トナーの搬送性とトナーの帯電性を向上するために、現像ローラ51Yの表面に、軸方向及び周方向に対して所定角で傾斜した螺旋状に連続した第1傾斜溝51aと、第1傾斜溝51aと軸方向及び周方向に対して逆方向に傾斜した螺旋状に連続した第2傾斜溝51bとが交差して形成される。また、第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bに囲まれ、傾斜側面51dを有する4角形の凸部51cが形成される。本発明の現像ローラ51Yでは、その表面に形成された第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bの主に溝部でトナーを搬送する規制方式を採用する。現像ローラ51Yは、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金などの導電性材料で形成されているため、溝内で搬送される帯電したトナーとの間に鏡像力が作用し安定してトナーを現像ニップまで搬送する。また、トナーとして、体積平均粒径が5μm以下の小粒径トナーを用いると、画像を高画質化することができ、小粒径トナーは大粒径トナーに比較して帯電性が高いためトナーを主に溝内で搬送する規制方式に適している。なお、現像ローラ51Yの表面には、必要に応じて、ニッケルメッキ、クロムメッキ等が施されていてもよい。また、トナーの平均円形度が0.95〜 0.99、好ましくは0.972〜 0.983のトナーを用いるとよい。これにより、帯電量が安定するとともに、搬送性も優れたものとすることができる。トナーの円形度の調節法としては、乳化重合法では2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜 1.00とできる。懸濁重合法では、真球のトナーの作成が可能であり、円形度は0.98〜 1.00の範囲とできる。平均円形度を0.95〜 0.99とするには、トナーのTg温度以上で加熱変形させることで適宜調節できる。
この現像ローラでは、第1傾斜溝51aの溝深さを、第2傾斜溝51bの溝深さより大きく形成してある。逆に、第2傾斜溝51bの溝深さを第1傾斜溝51aの溝深さより大きく形成しても良い。第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bの溝深さは、トナーの体積平均粒径Rより大きくされ、トナーを溝内で搬送できるようにしてトナー搬送量を確保する。本実施例の現像ローラ51Yは、規制ブレードによりトナーを帯電するとともに、供給ローラ52Yから供給されたトナーが現像ローラ51Yの凹凸形状と接触して摩擦帯電することにより電荷を付与される。そのため、トナーが溝内の凹凸形状と接触する回数を増やすことが帯電性の向上にとって重要である。
第1傾斜溝51aと第2傾斜溝の溝深さを同じにした場合、トナーの搬送量を確保するために、溝深さはある程度深くしなければならない。その結果、溝を乗り越えて移動するトナーの量が少なくなり、トナーと凹凸形状との接触回数が減少し、トナー帯電量が減少する。
本発明の現像ローラ51Yにおいては、溝深さが大きい第1傾斜溝51aと溝深さが小さい第2傾斜溝51bが交差して形成されているため、トナー搬送量は確保される。さらに、溝深さの異なる第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bが交差することにより溝内に溝段差部が形成される。トナーが溝段差部を乗り越えることで、トナーと凹凸形状との接触回数が増加し、帯電量が向上する。
図4(a)(b)(c)は、溝深さの異なる第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bが交差することにより形成される溝段差部の作用を説明するための図である。
図4(a)に示すように、溝深さが大きい第1傾斜溝51a(図では溝Aとする)の底面と、溝深さが小さい第2傾斜溝51b(図では溝Bとする)の底面との間に高さHの溝段差部が形成される。溝段差部の高さHを、トナーの体積平均粒径Rよりも小さくすると、トナーは溝段差部を乗り越えやすくなり、溝内での凹凸形状とトナーの接触回数が増加し、帯電量が増加する。
図4(b)に示すように、溝段差部の高さHが、トナーの体積平均粒径Rよりも大きいと、溝段差部を乗り越えるトナーが減少し、トナーと溝内の凹凸形状の接触回数が減少し、帯電量が低下する。
図4(c)は、溝段差部の高さHをトナーに付着する外添剤の最大粒径rよりも大きくした状態を示す図である。外添剤が付着したトナーは溝段差部の高さHより大きく、溝段差部を乗り越える回数が増え、溝内の凹凸形状との接触回数が増加することで帯電量が増加する。
図5は、現像ローラ51Yの表面に形成される溝深さが大きい傾斜溝51a(図では溝Aとする)と、溝深さが小さい傾斜溝51b(図では溝Bとする)の現像ローラ51Yの周方向に対する角度を変えて形成した実施例を示す図である。溝深さが小さい溝Bの現像ローラ51Yの周方向に対する角度θbを溝深さが大きい溝Aの現像ローラ51Yの周方向に対する角度θaよりも小さくなるように形成する。溝深さが小さい溝Bの現像ローラ51Yの周方向に対する角度を小さくすることで、供給ローラ52Yの回転に伴い供給されるトナーが溝深さが大きい溝Aから溝深さの小さい溝Bに優先的に溝段差部を乗り越えて移動する。トナーが溝段差部を乗り越えて移動するので凹凸形状との接触回数が増加し、トナー帯電量を効果的に向上することが可能になる。
図6は、転造加工で互いに交差する軸方向及び周方向に傾斜した螺旋状の傾斜溝が形成された現像ローラにおいて、本発明のように溝段差部を有する現像ローラと、溝段差部の無い現像ローラのトナー搬送量とトナー帯電量を比較した実験の結果を示すグラフである。
実験は、トナーとして体積平均粒径が5μm以下の小粒径トナーを用い、外添剤の最大粒径を100numのものを用いた。傾斜溝の溝深さを平均10μmとし、溝段差部を有する現像ローラの溝段差部の高さH(溝深さが大きい溝の底面と溝深さが小さい溝の底面間の距離)を1〜2μmとして実験した。
実験の結果、図6のグラフに示すように、溝段差無しの現像ローラと溝段差有りの現像ローラとでは、トナー搬送量を同一とした場合、トナー帯電量は、溝段差部有りの現像ローラの方がトナー帯電量が増加している。これは、トナーが溝段差部を乗り越え移動する際、溝内の凸凹形状との接触回数が増加し、摩擦による帯電量が増加するためと考えられる。
図7は、現像ローラ51Yの表面に溝深さが異なる第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bを形成するための実施例1の転造加工工程を示す図である。
転造加工に用いる転造装置200は、現像ローラ51Yに第1傾斜溝51aを形成するための軸方向及び周方向に傾斜した第1傾斜刃201aを備えた第1ダイス201と、現像ローラ51Yに第2傾斜溝51bを形成するための第1傾斜刃201aと逆方向の軸方向及び周方向に傾斜した第2傾斜刃202aを備えた第2ダイス202と、第1ダイス201と第2ダイス202の下部に配置されたガイド台203を備えている。第1傾斜刃201aの表面からの突出高さを、第2傾斜刃202aの表面からの突出高さより大きくしている。
転造装置200は、対向する位置に配置され矢印のように時計方向に回転している第1ダイス201及び第2ダイス202とガイド台203との間に、ワーク(ここでは、未転造加工現像ローラ51Y)を搬送し転造加工する。転造加工時、第1ダイス201と第2ダイス202は、未加工の現像ローラ51Yを押圧する方向の加工圧が付与される。未加工の現像ローラ51Yは、第1ダイス201,第2ダイス202の回転方向と逆の反時計方向に回転させて転造加工する。
第1ダイス201及び第2ダイス201には、上述した第1傾斜溝51a及び第2傾斜溝51bを形成するための第1傾斜刃201a、第2傾斜刃202aが、各々設けられている。第1傾斜刃201a、第2傾斜刃202aは、未転造加工現像ローラ51Yの表面に交差し、溝深さの異なる軸方向及び周方向に対して傾斜する第1傾斜溝51a、第2傾斜溝51b及び傾斜側面51dを有する載頭4角錐台形状の凸部51cを形成する。
載頭4角錐台形状の凸部51cの形状は、第1および第2傾斜溝51a、51bの軸方向の傾斜角が45°でかつそれらのピッチが互いに同じに設定された場合には正方形状を呈し、第1および第2傾斜溝51a、51bの軸方向の傾斜角が45°以外の角度でかつそれらのピッチが互いに同じに設定された場合には菱形状を呈する。また、4角形の凸部51cの形状は、第1および第2傾斜溝51a、51bの軸方向の傾斜角が45°でかつそれらのピッチが互いに異なるように設定された場合には長方形状を呈し、第1および第2傾斜溝51a、51bbの軸方向の傾斜角が45°以外の角度でかつそれらのピッチが互いに異なるように設定された場合には平行四辺形状を呈する。
第1ダイス201と第2ダイス202が未転造加工現像ローラ51Yの表面に当接される部位を第1傾斜刃201a、第2傾斜刃202aとしているが、第1傾斜刃201aと第2傾斜刃202aは、転造加工においてはワークを積極的に切削するものではなく、押圧力によりワークを押し潰して窪みを形成するように作用する。
また、この転造加工の際には、未転造加工現像ローラ51Yの両端部に第1ダイス201、第2ダイス202が当接されないようにして、両端部には凹凸のない滑らかな面を残しておく。すなわち、現像ローラ51Yの中央部で第1ダイス201及び第2ダイス202が接触しなかった凸部51cと、転造加工による加工対象とされない両端部とは、非加工面とされる。
図8(a)(b」は、現像ローラ51Yの表面に溝深さが異なる第1傾斜溝51aと第2傾斜溝51bを形成するための実施例2の転造加工工程を示す図である。
実施例2の第1転造工程は、ガイド台203に第1傾斜刃201aを備えた第1ダイス201と、刃無しダイス204が対向配置された転造装置200により行われる。本実施形態では、現像ローラ51Yに形成する溝間隔を等ピッチとした。第1転造工程では、第1ダイス201と刃無しダイス204は、図8(a)の矢印のように反時計方向に回転する。未加工の現像ローラ51Yを、両端部A、Bの内、端部Aの方から第1ダイス201と刃無しダイス204の回転方向と逆方向の時計方向に回転させ、転造装置200の一方の側から、第1ダイス201、刃無しダイス204及びガイド台203の間に搬送する。転造加工時、第1ダイス201と刃無しダイス204は、未加工の現像ローラ51Yに第1加工圧を付与して転造加工する。第1転造工程の結果、螺旋状に連続した第1傾斜溝51aが現像ローラ51Y上に形成される。
実施例2の第2転造工程は、第1転造工程で用いた転造装置200の第1ダイス201を、第1傾斜刃201aと逆方向に傾斜した第2傾斜刃202aを備えた第2ダイス202に取り替えたものを使用する。本実施形態では、第2傾斜刃202aにより現像ローラ51Yに形成する溝間隔を等ピッチとした。第2転造工程では、第2ダイス202と刃無しダイス204は、図8(b)の矢印のように第1転造工程と同じ反時計方向に回転する。第1傾斜溝51aが形成された現像ローラ51Yは、第2ダイス202と刃無しダイス204の回転方向と逆方向の時計方向に回転させる。転造加工時、第2ダイス202と刃無しダイス204は、現像ローラ51Yを押圧する方向の第1加工圧より小さい第2加工圧を付与する。
第2転造工程の結果、螺旋状に連続した第1傾斜溝51aと交差する第2傾斜溝51bが現像ローラ51Y上に形成される。第1傾斜溝51aの形成の際の第1加工圧が、第2傾斜溝51bの形成の際の第2加工圧より大きいため、第1傾斜溝51aの溝深さは、第2傾斜溝51bの溝深さより大きく形成される。
本発明の画像形成装置の実施形態の全体を示す図である。 (a)(b)本発明の現像装置の実施形態を示す図である。 本発明の現像ローラおよびその表面の部分拡大図の一例を示す図である。 (a)(b)(c)溝段差部の作用を説明するための図である。 交差する2つ傾斜溝の周方向に対する角度を変えた実施例を示す図である。 溝段差部を有する現像ローラと溝段差部の無い現像ローラのトナー搬送量とトナー帯電量を比較した実験の結果を示す図である。 現像ローラ上に交差する溝深さが異なる傾斜溝を形成するための転造加工の実施例1を示す図である。 (a)(b)現像ローラ上に交差する溝深さが異なる傾斜溝を形成するための転造加工の実施例2を示す図である。
符号の説明
10:画像形成装置、15(Y、M、C、K):画像形成ステーション、20(Y、M、C、K):感光体、30(Y、M、C、K):帯電ユニット、40(Y、M、C、K):露光ユニット、50(Y、M、C、K):現像ユニット、51Y:現像ローラ、51a:第1傾斜溝、51b:第2傾斜溝、51c:凸部、51d:傾斜側面、52Y:供給ローラ、53Y:規制ブレード、54Y:トナー攪拌搬送部材、55Y:トナー受部材、56Y:シール部材、57Y:ケース、58Y:スペーサ、70:中間転写ベルト、80:二次転写ユニット、90:定着ユニット、100:制御ユニット、200:転造装置、201:第1ダイス、201a:第1傾斜刃、202:第2ダイス、202a:第2傾斜刃、203:ガイド台、204:刃無しダイス

Claims (11)

  1. 表面に互いに交差する軸方向及び周方向に傾斜した螺旋状に連続する第1傾斜溝と第2傾斜溝が形成され、
    前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝深さが異なることを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝深さを、トナーの体積平均粒径より大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  3. 溝深さが異なる前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝との交差部に形成される溝段差部の高さを、トナーの体積平均粒径より小さくし、且つ、外添剤の最大粒径より大きくしたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像ローラ。
  4. 前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の内、溝深さが小さい傾斜溝の前記現像ローラの周方向に対する角度θbを、溝深さが大きい傾斜溝の前記現像ローラの周方向に対する角度θaより小さくしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
  5. 前記トナーを前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝の溝部で搬送することを特徴する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の現像ローラ。
  6. 前記トナーとして体積平均粒径5μm以下の小粒径トナーを用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の現像ローラ。
  7. トナーを供給する供給ローラと、
    前記供給ローラからトナーが供給される現像ローラと、
    前記現像ローラと当接し、前記現像ローラ上のトナー層厚を規制する規制ブレードと、
    を備え、
    前記現像ローラとして請求項1ないし6のいずれか1項に記載の現像ローラを用いることを特徴とする現像装置。
  8. 静電潜像が形成される潜像担持体と、
    前記静電潜像をトナーにより現像して前記潜像担持体にトナー像を現像する現像装置と、
    前記潜像担持体のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、
    を備え、
    前記現像装置は請求項7に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 軸方向及び周方向に傾斜した第1傾斜刃を有する第1ダイスと、
    前記第1傾斜刃と逆方向の軸方向及び周方向に傾斜した第2傾斜刃を有する第2ダイスとを同方向に回転させ、
    未加工の現像ローラを前記第1ダイス及び前記第2ダイスの回転方向と逆方向に回転させて前記第1ダイスと前記第2ダイス間に加工圧を付与しつつ送り交差する螺旋状に連続する第1傾斜溝及び第2傾斜溝を形成する転造工程を有し、
    前記第1傾斜刃の表面からの突出高さと前記第2傾斜刃の表面からの突出高さとを相違させたことを特徴とする現像ローラ製造方法。
  10. 軸方向及び周方向に傾斜した刃が形成された第1ダイスと刃無しダイスを同方向に回転させ、未加工の現像ローラを前記第1ダイス及び前記刃無しダイスの回転方向と逆方向に回転させて前記第1ダイスと前記刃無しダイス間に第1加工圧を付与しつつ送り螺旋状に連続する第1傾斜溝を形成する第1転造工程と、
    前記第1ダイスと逆方向の軸方向及び周方向に傾斜した刃が形成された第2ダイスと前記刃無しダイスを前記第1転造工程と同方向に回転させ、第1傾斜溝が形成された前記現像ローラを、前記第1転造工程とは同方向に回転させて前記第2ダイスと前記刃無しダイス間に第2加工圧を付与しつつ送り前記第1傾斜溝と交差する螺旋状に連続する第2傾斜溝を形成する第2転造工程と、を有し、
    前記第1加工圧と前記第2加工圧の大きさを変えることを特徴とする現像ローラ製造方法。
  11. 前記第1傾斜刃と前記第2傾斜刃の内、溝深さの大きい傾斜溝を形成する傾斜刃の前記現像ローラの周方向に対する角度を、他の傾斜刃の前記現像ローラの周方向に対する角度より大きくしたことを特徴とする請求項9または10に記載の現像ローラ製造方法。
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