JP2010138053A - 製鋼スラグ製品のフッ素溶出量の低減方法 - Google Patents

製鋼スラグ製品のフッ素溶出量の低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 フッ素含有量やフッ素溶出量の高いスラグを含む製鋼スラグを路盤材や土木材料として利用するためスラグ混合物中のフッ素溶出量を環境に配慮して低減する方法を提供する。
【解決手段】 フッ素含有量およびフッ素溶出量の異なる複数の製鋼スラグが混在したスラグ混合物の塩基度(CaO/SiO2)を2.0以下になるように、製鋼スラグ混合物の混合状態を調整することによって、これらの製鋼スラグからのフッ素溶出量を低減する方法である。
【選択図】 図4

Description

本願の発明は、製鋼スラグの塩基度(CaO/SiO2)を調整することにより、フッ素含有量やフッ素溶出量の高い還元スラグが混入していても、フッ素溶出量規格を満足するスラグ製品の製造方法に関する。ここで、フッ素溶出量は、JIS K 0058「スラグ類の化学物質試験方法」により測定するものとする。
先ず、製鋼スラグについて説明すると、鉄鋼の生産の際、同時に生成される非金属製の滓を、総じて「鉄鋼スラグ」という。鉄鋼スラグは高炉で銑鉄を製造する際に副精製される「高炉スラグ」と、溶銑、スクラップなどを精錬して鋼を製造する際に、同時に生成される「製鋼スラグ」に分類される。この製鋼スラグは、精錬炉の種類によって転炉スラグ、電気炉スラグに分類される。
この製鋼スラグは金属酸化物を含有するため、高比重かつ高強度である。このために、製鋼スラグは緩冷凝固により鉱物状に凝固させた後、破砕して粒度を調整し、路盤材やアスファルト骨材などの道路用材料や、埋め戻し材、基礎工事用などの土木用材料などのリサイクル材料として有効利用されている。
次いで、製鋼スラグの成分について説明すると、製鋼工程で鋼を精錬するために、石灰や酸化アルミ系の造滓材と呼ばれる副原料を溶鋼上で溶融させ、製鋼スラグを生成する。これらの副原料及び酸化鉄が製鋼スラグの主成分となっている。製造する鋼の種類のよっては、スラグの滓化性(すなわち溶融性や、流動性)を担保するために、蛍石(CaF2)を造滓材として使用している。この蛍石を使用したスラグはフッ素含有量やフッ素溶出量が高くなるため、以下に説明する規制により道路用途や土木用途への利用が困難になる。
さらに、製鋼スラグのフッ素含有量やフッ素溶出量の規制について説明すると、製鋼スラグの主用途である道路用鉄鋼スラグの規格として、JIS A 5015「道路用鉄鋼スラグ」が制定されている。近年の環境意識の高まりを受け、2008年現在、このJISはフッ素を含む重金属類の含有量および溶出量の規制を追加した改訂が検討されている。また、類似の用途であるが、JIS規格が制定されていない土木工事用途のうち、仮設道路及び整地に使用される製鋼スラグに関して、財団法人建材試験センター規格である、JSTM H 8001「土工用製鋼スラグ砕石」が制定された。当該規格には、化学物質の溶出量及び含有量として、製鋼プロセスを勘案して、製鋼スラグへの混入の可能性がある重金属類として、鉛、六価クロム、セレン、フッ素、ホウ素の5物質を管理項目としている。改訂後の道路用鉄鋼スラグは、JISでも、これら5元素が規制の対象となる可能性が高く、特にフッ素に関しては、精錬上蛍石(CaF2)を使用した場合、土壌汚染対策法に準じた溶出量規格値(案):0.8mg/L、含有量規格値(案):4000mg/kgを満足できない可能性がある。また、フッ素は活性の高い物質であるため、含有量が規格値(案)を満足していても、溶出量規格値(案)を満足できない場合が多い。また、近年の環境意識の高まりにより、JISの規格が制定されていない現在においても、規格満足度を要求する需要先が多いため、フッ素含有量やフッ素溶出量規格値(案)を満足する重要性は極めて高い。
ここで、フッ素溶出抑制対策の従来技術について以下に説明する。
(1)蛍石低減操業
フッ素含有量やフッ素溶出量規格値(案)を満足する方法として、最も多く用いられている方法が、螢石使用量を削減或いは蛍石を使用しない精錬である。蛍石低減操業は、多量の石灰にて精錬を行う方法や、スラグの成分系を融点の低い高Al23系に調整する方法や、あるいはナトリウムなどの活性の高いアルカリを用いる方法などが案出されているが、軸受鋼などの鋼種では蛍石を低減或いは蛍石を使用せずに操業することが困難である。これら鋼種を製造している製鋼所では、一部の鋼種においてのみ蛍石低減操業が実施あるいは検討されているのが実状である。ところで、この製鋼スラグは、通常、スラグ鍋と呼ばれる容器に溶融状態で排出され、スラグの冷却・凝固ヤードに溶融状態にて搬送された後、緩冷却で凝固される。しかし、敷地面積の関係上、冷却・凝固ヤードを多面保有することが困難な場合は、蛍レス操業を行ったスラグと蛍石を使用したスラグを完全分離して冷却することが難しく、このために両者が混合する要因となるなど、フッ素含有量・溶出量の対策が困難な事業所が多い。
(2)フッ素溶出抑制の対策
フッ素含有量は、螢石の使用量を削減することで低減可能であるが、フッ素は極めて活性の高い元素であるため、フッ素含有量が規格値以下であってもフッ素溶出量が規格を満足しない場合がある。フッ素規制に関しては、フッ素溶出抑制が主要な課題となるため、様々なフッ素溶出抑制技術が開発されている。以下、これらについて概説する。
イ.Ca2+イオンを供給する物質を添加することで、水溶液中のフッ素をCaF2の形態で安定化する方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
ロ.燐酸成分を含有する水溶液を散布し、このリン酸成分とスラグ中のフッ素及びカルシウムにより、アパタイト系の難溶性化合物を生成させる、あるいはスラグに直接燐を添加した後にエージングを行うことで、スラグからのフッ素及びカルシウムの溶出を抑制する方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
ハ.小塊〜粉状のカルシウムアルミネートや、カルシウムアルミニウムシリケ−トなどのフッ素固定能を有する混合物を、スラグと混合することによりフッ素を安定化する方法(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10参照。)。
ニ.セメントや石膏と混合後、固化させる方法(例えば、特許文献11、特許文献12参照。)。
ホ.水熱反応を利用し、トバモライトを生成する方法(例えば、特許文献13参照。)。
ヘ.溶融状態のスラグに改質材あるいは改質作用を有する多種類のスラグ類を添加し、フッ素が溶出し難い組成にする方法などが考案されている(例えば、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18参照。)。
これらの手法には、有効性の高いものも数多いが、種々の安定化材を必要とする手法においては、安定化材のコストが発生する上、添加量が少なくない場合には、スラグの総量が増加する。また、安定化材を添加した時の粒径や溶融状態、温度などの条件が指定されている場合や、添加後に処理が必要な場合には、さらにコストがかかる問題がある。
ところで、フッ素溶出量も他の重金属と同様に検液のpHと対数の相関があるといわれている(例えば、非特許文献1参照。)。
特開2008−195568号公報 特開2007−75714号公報 特開2005−239509号公報 特開2008−48327号公報 特開2008−127270号公報 特開2008−127271号公報 特開2003−226906号公報 特開2007−91590号公報 特開2007−61816号公報 特開2003−293025号公報 特開2006−289306号公報 特開2004−123476号公報 特開2004−41890号公報 特開2006−97137号公報 特開2007−22818号公報 特開2006−104517号公報 特開2005−163147号公報 特開2005−8935号公報 嘉門雅史、乾徹、宮城大助、勝見武共著「鉄鋼スラグの地盤材料としての有効利用に伴うフッ素の溶出挙動とその環境影響の評価」、京都大学防災研究所2004年年報、47
本願の発明が解決しようとする課題は、フッ素含有量やフッ素溶出量の高いスラグを含む製鋼スラグを利用できる、スラグ混合物中のフッ素溶出量を低減する方法を提供することである。さらに、高フッ素含有量や高フッ素溶出量スラグを小量混合しても、フッ素含有量やフッ素溶出量についての規格を満足するスラグ製品を製造するための管理方法を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の手段では、フッ素含有量およびフッ素溶出量の異なる複数の製鋼スラグが混在したスラグ混合物の塩基度(CaO/SiO2)を2.0以下になるように、スラグ混合物の混合状態を調整することで、フッ素溶出量を低減する方法とすることで、フッ素溶出量の規格を満足するスラグ製品の製造を可能とする。すなわち、請求項1の手段では、フッ素含有量及びフッ素溶出量の異なる複数の製鋼スラグからなるスラグ混合物の混合状態を調整することによりCaO(質量%)/SiO2(質量%)を2.0以下にすることを特徴とするフッ素溶出量の低減方法である。
さらに、請求項2の手段では、製鋼スラグ混合物或いは混合前の製鋼スラグを大気エージングで3ヶ月以上、他のエージング方法の場合は、この3ヶ月以上に相当する期間のエージングを行い、その後に破砕或いは製鋼スラグ粒度が変化する破砕或いは破砕に類する工程を経ないことを特徴とする請求項1の手段のフッ素溶出量の低減方法である。
上記の本発明の第1の手段とすることで、塩基度(CaO/SiO2)が2.0以下で、フッ素の溶出量が0.8mg/L未満である製鋼スラグの混合物が得られ、さらに第2の手段により、この製鋼スラグの混合物或いは混合前の製鋼スラグはエージング処理後に破砕工程を経ないため、破砕によってフッ素の溶出量が増加することを防ぐことができる。
本発明を実施するための最良の形態について説明する前に、先ず本発明の手段とした根拠について説明する。
(1)フッ素溶出量の塩基度依存性について
上述した様に、フッ素溶出量は他の重金属と同様に、検液のpHと対数の相関があるといわれている(非特許文献1参照。)。本件と、製鋼スラグの溶出液がアルカリ性を示す機構を鑑みれば、フッ素溶出量は塩基度に依存することが類推される。図1のグラフに示すように、スラグの溶出液の検液はpH10〜12程度のアルカリ性を呈している。これはスラグの主成分であるCaOが溶解してCa2+イオンとして検液中に存在するためである。このために、スラグ中のCaO量が多いスラグほど、検液のpHは高くなる。鋼の精錬に用いられる指標にCaO(質量%)/SiO2(質量%)で示される塩基度と呼ばれる指標があるが、スラグの溶出検液のpHと塩基度の間には、図1に示すような相関がある。そして、上記した通り、フッ素溶出量は検液のpHと対数の相関を有する。そこで、図2によりスラグのフッ素溶出量はスラグの塩基度と相関を示す。
(2)スラグ混合物の塩基度と検液pHについて
スラグの塩基度は、CaO含有量とSiO2含有量の比であるため、製鋼スラグ混合物の含有量とその混合比率から算出できる。また、スラグ塩基度と検液のpHとの関係は、図3に示すように、複数のスラグが混在したものでも単一のスラグと同じ傾向を示す。このために、図4に示すように、スラグ混合物からのフッ素溶出量は、混合物の塩基度に依存する。
(3)エージング処理の影響について
ここで、請求項2の手段の、エージングを行った後に、破砕或いは製鋼スラグ粒度が変化する破砕に類する工程を経ない、とする理由について述べる。製鋼スラグは膨張対策を目的としてエージング処理が行われる。これは、製鋼スラグ中の膨張物質である未溶融の石灰(f−CaO)を水と反応させ、膨張反応を完了させる処理であるが、成分にCaOを多く含む製鋼スラグをエージング処理すると、CaOの水和及び炭酸化によって製鋼スラグ表層に炭酸カルシウムが生成する。フッ素の溶出量が溶出検液のpHに依存することは先述したが、炭酸カルシウムは弱酸性であるため、エージングによって副次的に生成した炭酸カルシウムが検液のpHを若干中和し、フッ素溶出量を低減させる効果がある。例えば6ヶ月の大気エージングを行った13.2〜19.0mmの径のスラグを破砕した後、粒度調整して、JIS K 0058に規定する方法により溶出試験を行った結果を図5に示す。この図5では、破砕前後の平均粒径から単位質量あたりの表面積を算出し、破砕によって発生した新規界面の比率を新規界面率としている。図5に見られるように、フッ素溶出量は新規界面率に比例しており、破砕を行うほどフッ素溶出量が増加している。ここで、エージングによって表層に炭酸カルシウムが生成しても、スラグ全体の成分は変化しないが、塩基度をコントロールすることによってフッ素溶出量の低減を図る本発明の方法では、エージング後に破砕を行うことはフッ素溶出量が増加するので望ましくない。したがって、製鋼スラグ混合物或いは混合前の製鋼スラグを破砕した後に、エージング処理を行う、すなわち、エージング後に破砕或いは製鋼スラグ粒度が変化する工程を経ない必要がある。
(4)フッ素溶出量0.8mg/Lを満足する塩基度について
上記した通り、フッ素溶出量の規格値(案)が、土壌汚染対策法に準じて0.8mg/Lであるため、これを満足する塩基度を導出する必要がある。上記において、図4によりフッ素溶出量の塩基度依存性を示したが、分布にばらつきがあるため、図4に使用したn=190のデータに基づいて、塩基度毎のフッ素溶出量0.8mg/Lを満足する比率を示す分布図に作成し直し、図6に示す。
図6より、塩基度が上がるに連れて、フッ素溶出量0.8mg/Lを満足する比率は低下し、塩基度2.0以上で比率は90%以下となる。したがって、図6より、スラグ混合物がフッ素溶出量0.8mg/Lを満足するためには、製鋼スラグ混合物の塩基度を2.0以下とする必要がある。
塩基度およびフッ素溶出量の異なる製鋼スラグである、表1に記載の単体A〜単体Mの2〜3種類を混合し、表2に記載の製鋼スラグ混合品を作成した。ここで、表2の混合1のA:B:C=90:8:2とは、単体のスラグである単体A、単体のスラグである単体B、単体のスラグである単体Cを90:8:2の比率で混合したスラグ混合物であることを示している。スラグ混合品の塩基度C/Sが2.0未満のスラグ混合製品は、フッ素溶出量0.8mg/Lを満足する。
ここで参考として、製鋼スラグの膨張特性について説明する。
(1)製鋼スラグの膨張特性について
製鋼スラグは、造滓材として投入されるCaOや、SiO2、Al23、あるいは、溶鋼よりスラグ中へ酸化物として取り込まれる鉄やマンガンなどの金属酸化物からなる。これらのスラグをスラグ処理ヤードにて緩冷却凝固することにより、2CaO・SiO2(ダイカルシウムシリケート)や3CaO・SiO2(トリカルシウムシリケート)、2CaO・Al23・SiO2(ゲーレナイト)などの鉱物層の状態で固化する。しかし、これら製鋼スラグは精錬温度や精錬時間の不足などにより、一部のCaOが未溶融状態で残存し、製鋼スラグの膨張要因となることが知られている。すなわち、f−CaOを含む製鋼スラグを路盤材などの道路用材料に供した場合、雨水などと反応して舗装後に膨張反応が起こり、花咲現象と呼ばれる路面性状の悪化を招く。このため、製鋼スラグ製品の製造に際し、通常はエージングという体積の安定化処理を行っている。
(2)エージング処理について
スラグ製品を出荷する前に、スラグに対して[CaO+H2O→Ca(OH)2]の水和反応を終了させて、スラグ製品の膨張安定性を確保するが、この処理をエージングといい、最も広く普及した技術である。このエージング処理には、3ヶ月〜6ヶ月程度の間スラグを露天の下で野積みして雨水などと反応させる大気エージングと、蒸気や加圧蒸気、温水と反応させることによってエージング期間の短縮化を図った促進エージングに大別される。ところで、この大気エージングは上記のように処理期間が長く、広大なエージングヤードが必要となるため、スラグ製品の製造においては、促進エージングが広く採用されており、各種の処理方法およびその応用に関して多くの特許技術がある。
次いで、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
第1の実施の形態では、表1に示すように、試料名をそれぞれ単体A、単体B、単体C、・・・・単体Mとするとき、各試料の単体のフッ素溶出量が0.1〜7.3mg/Lと異なり、塩基度(C/S)が1.56〜4.11と異なる製鋼スラグとするとき、この各異なる製鋼スラグの各単体を用いて、これらの製鋼スラグの混合状態を調整して混在させることにより、得られたスラグ混合物の塩基度を2.0以下としてフッ素の溶出量を低減させている。このようにして得られたスラグ混合物は、試料名が混合1、混合2、混合3、・・・・混合15として本発明の実施例として表2に示し、一方、試料名が混合16、混合17、混合18であるスラグ混合物を比較例として同じく表2に示し、それぞれ表2に示すスラグ混合物の塩基度(CaO/SiO2)を得た。この場合、本発明の実施例である混合1〜混合15では、塩基度(CaO/SiO2)が2.0以下の各試料名からなる混合物が得られた。この場合、これらのスラグ混合物の混合状態は、表2に示す単体からなる比率に調整した。この実施例の混合1〜混合15の各試料の溶出量は0.1〜0.7mg/Lであった。一方、比較例である混合15、混合16、混合17の試料では、塩基度は2.11〜2.55で、フッ素溶出量はいずれも0.8mg/Lであった。本実施例では、フッ素溶出量を低減することができたので、塩基度が2.0以下であり、かつ、フッ素溶出量の規格を満たしたスラグ製品が製造できた。
Figure 2010138053
Figure 2010138053
ここで、第2の実施の形態であるが、単体A〜単体Mは製品相当粒度に調整した後に、単体A〜単体Eでは0.5MPaで1時間の加圧蒸気エージング処理を、単体F〜単体Mでは3ヶ月の大気エージング処理を行っている。これらは、単体A〜単体Mから混合1〜混合18を調整し、フッ素分析を行うまで、一切の破砕工程を経ていない。これは、先述したように膨張抑制対策であるエージング処理を行うことによって、製鋼スラグ表面に炭酸カルシウム層が副次生成し、これによってフッ素溶出量が抑制されるため、炭酸カルシウム層の面積を最大化するために、エージング処理後に破砕を行わないものとしている。
上記の大気エージングに変わるエージング処理方法として、温水エージング、蒸気エージングあるいは加圧蒸気エージング等の促進エージングが挙げられる。表1の単体A〜単体Eは0.5MPaで1時間の加圧蒸気処理を、単体F〜単体Mは3ヶ月の大気エージング処理を行っているが、混合物1〜混合物18にエージング方法の違いによる差は見られない。したがって、これらの促進エージング処理によっても、大気エージングと同様に、フッ素溶出量の低減を図ることができる方法である。
これらの温水エージング、蒸気エージングあるいは加圧蒸気エージングの公知の方法としては、例えば下記の発明のエージング方法である。すなわち、温水エージングとしては、特許第3241161号のスラグの破砕処理及びエージング処理方法、特許第3267737号の製鋼スラグの処理方法である。蒸気エージングとしては、特許第3222698号、特許第2871517号、特許第3230412号、特許第3320540号あるいは特許第2927150号の蒸気エージング方法である。加圧蒸気エージングとしては、特許第2173178号の製鋼スラグのエージング方法である。
検液のpHと塩基度の関係を示すグラフである。 フッ素溶出量とスラグの塩基度の関係を示すグラフである。 単独スラグと混合スラグの検液のpHとフッ素溶出量の関係を示すグラフである。 単独スラグと混合スラグのフッ素溶出量とスラグの塩基度の関係を示すグラフである。 製鋼スラグ破砕による生じた新規界面率とフッ素溶出量の関係を示すグラフである。 製鋼スラグの塩基度別のフッ素溶出量0.8mg/Lを満足する比率を示す分布図である。

Claims (2)

  1. フッ素含有量及びフッ素溶出量の異なる複数の製鋼スラグを用い、各製鋼スラグを混合して製鋼スラグ混合物を得る際に、各製鋼スラグのCaO(質量%)とSiO2(質量%)から製鋼スラグ混合物のCaO(質量%)/SiO2(質量%)比が2.0以下となるように各製鋼スラグの配合する比率を決めて、この配合比率により各製鋼スラグを混合することを特徴とするフッ素溶出量の低減方法。
  2. 製鋼スラグ混合物或いは混合前の製鋼スラグに対し、エージング処理を行い、その後に破砕或いは製鋼スラグ粒度が変化する破砕に類する工程を経ないことを特徴とする請求項1に記載のフッ素溶出量の低減方法。
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