JP2010128147A - 光導波路および光学式タッチパネル - Google Patents

光導波路および光学式タッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】外乱光によるノイズを低減し、屋外でも使用可能な光導波路を用いた光学式タッチパネルを提供する。
【解決手段】クラッド14に、2種以上の色素からなる色素混合物を含有させる。色素混合物は、近赤外領域に比べ可視領域の光を強く吸収する。このため、クラッド14に侵入した可視領域の外乱光は強く吸収されるが、近赤外領域の信号光はほとんど吸収されない。これにより、クラッド14を透過してコア12に侵入する可視領域の外乱光の光量を大幅に低減することができ、光学式タッチパネルが屋外でも使用できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光導波路と、それを利用した光学式タッチパネルに関する。
光学式タッチパネルにおいては、良好な特性を得るために、外乱光を除去することが非常に重要である。座標入力領域の周辺に、発光素子と受光素子が互いに対向するように配列されている一般的な光学式タッチパネルでは、外乱光対策として、受光素子上に可視光を吸収する封止樹脂(遮光部材)が設けられている(例えば特許文献1)。
しかし、このような構造の光学式タッチパネルでは、外乱光が直接入り込む座標入力領域の周辺に受光素子が配列されている以上、遮光部材のみで外乱光を除去することは難しい。
これに対し、発光素子と座標入力領域との間、および、座標入力領域と受光素子との間に光導波路を設け、各光導波路を伝播する発光素子からの光信号を受光素子で受けることにより、入力位置を検出する構造の光学式タッチパネルが知られている(例えば特許文献2)。このような構造の光学式タッチパネルは、光導波路のコア内を伝播する光を受光素子で検知して動作するため、座標入力領域の周辺に受光素子を配列する必要がない。そのため、前者の光学式タッチパネルに比べて、原理的に、外乱光ノイズに強い。
特開平11−86698号公報 特開2008−203431号公報
しかし、光導波路を用いた光学式タッチパネルにおいても、外乱光の阻止がまだ十分とは言えず、非常に照度の高い環境、例えば屋外では依然として使用が難しいという問題があった。
本発明者は、屋外でも使用できる光学式タッチパネルの開発について鋭意検討した結果、発光素子および受光素子の光学特性、ならびに、外乱光によるノイズの発生メカニズムに着目して本発明を完成した。なお、本明細書では、「近赤外領域」とは、700nm以上、2500nm未満の波長領域をいう。また、「可視領域」とは、400nm以上、700nm未満の波長領域をいう。また、「紫外領域」とは、1nm以上、400nm未満の波長領域をいう。
図1に、発光素子の代表的な発光波長と、受光素子の受光波長領域とを示す。図1に示すように、光学式タッチパネルに一般に用いられる発光素子は、近赤外領域(例えば850nm)の光を発光する。それに対し、一般に用いられる受光素子は、近赤外領域の光だけでなく、可視領域の光も受光する。その結果、受光素子は、発光素子から出射された近赤外領域の光だけでなく、クラッドを透過してコアに侵入した可視領域の外乱光も受光する。そのため、外乱光によるノイズが発生する。
そこで本発明者は、クラッドに、2種以上の色素からなる色素混合物を含有させるようにした。この色素混合物は、近赤外領域に比べ可視領域の光を強く吸収する。このため、クラッドに侵入した可視領域の外乱光は強く吸収されるが、近赤外領域の信号光はほとんど吸収されない。これにより、クラッドを透過してコアに侵入する可視領域の外乱光の光量を大幅に低減することができ、光学式タッチパネルが屋外でも使用できることを見出した。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明の光導波路は、クラッドと、クラッドに埋設されたコアとを有する光導波路であって、クラッドの光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする。光の透過率が近赤外領域より可視領域の方が低いとは、近赤外領域と可視領域の透過率スペクトルを比較したとき、可視領域の任意の波長の透過率が、近赤外領域の任意の波長の透過率より低いことを意味する。
(2)本発明の光導波路は、クラッドが2種以上の色素からなる色素混合物を含有し、色素混合物の光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする。光の透過率が近赤外領域より可視領域の方が低い、の意味は(1)と同様である。
(3)本発明の光導波路は、クラッドが更に紫外線硬化樹脂を含有し、色素混合物の光の透過率が、可視領域より紫外領域の方が高いことを特徴とする。光の透過率が可視領域より紫外領域の方が高いとは、可視領域と紫外領域の透過スペクトルを比較したとき、可視領域の任意の波長に対して、それよりも透過率の高い波長が紫外領域にあることを意味する。
(4)本発明の光導波路は、クラッドの光の透過率が、波長850nmにおいて80%以上であり、波長400nm以上、700nm未満の全域で15%未満であり、波長365nmにおいて10%以上であることを特徴とする。
(5)本発明の光導波路は、クラッドの厚みが10μm〜1500μmであることを特徴とする。
(6)本発明の光導波路は、クラッドの、コアの光の出射端または入射端を覆う部分が、レンズ構造をなすことを特徴とする。
(7)本発明の光学式タッチパネルは、上記に記載の光導波路を備えたことを特徴とする。
本発明により、直射日光の当たる屋外でも使用できる光学式タッチパネルが実現できた。
[光導波路]
本発明の光導波路は、クラッドと、クラッドに埋設されたコアを有する。本発明の光導波路は、上記のクラッドおよびコアを有するものならば、その他の構成要素(例えば基板)を有していてもよい。
本発明の光導波路の形態に特に制限はなく、例えば図2に示された形態が挙げられる。図2(a)は、本発明の一実施形態の光導波路10の斜視図である。図2(b)は図2(a)の光導波路の線分A−Bに沿った断面図、図2(c)は図2(a)の光導波路の線分C−Dに沿った断面図である。
図2に示すように、本発明の光導波路10は、第一のクラッド11、複数のコア12、第二のクラッド13が、この順に積層されている。第一のクラッド11と第二のクラッド13を併せて単にクラッド14という。コア12同士の間は離れているため、クラッド14にコア12が埋設された構造となる。
図2では、コア12の出射端12aから出射される光が縦方向に拡散するのを抑制するため、および、コア12に入射する光を縦方向に集束させるため、第二のクラッド13の端面にレンズ構造13aが形成されている。信号光の利用効率を高くするため、このようなレンズ構造13aが形成されていることが好ましい。しかし必ずしも形成されていなくてもよい。
第一のクラッド11の材料と第二のクラッド13の材料は同一でもよいし、異なっていてもよい。しかし製造コストを低減するため、同一材料である方が好ましい。
本発明の光導波路10の用途は限定されない。光学式タッチパネル、光学式センサーなどに用いることができるが、特に光学式タッチパネルに適している。
[クラッド]
本発明に用いられるクラッドは、2種以上の色素からなる色素混合物を含有する。色素混合物は近赤外領域の光に比べ可視領域の光を強く吸収する。そのため、コアに侵入する可視領域の外乱光を低減することができる。このクラッドを光導波路を有する光学式タッチパネルに用いた場合、外乱光の影響を非常に少なくすることができる。その結果、光学式タッチパネルを屋外で使用することが可能になる。
クラッドとしては、光透過率が近赤外領域よりも可視領域の方が低い1種類の色素を含有した構成もあり得る。このような色素の例として、C.I.Solvent Black 27,28,2Gなどの黒色色素、および特公平4−3482号公報に記載されたアントラキノン系色素が挙げられる。
しかし、このような色素を1種類だけ含有したクラッドは、後述の図4(実施例)に示すような、紫外領域に透過率の高い(吸収の少ない)部分を実現することが難しい。紫外領域に透過率の高い部分がない場合、クラッドやコアに紫外線硬化樹脂を含有させ難いため、実用性が乏しくなる。
本発明に用いられるクラッドを用いると、遮光部材を新たに追加する必要が無いため、光学式タッチパネルの小型化、薄型化ができる。
本発明に用いられるクラッドは可視領域の光を強く吸収するが、近赤外領域の光はほとんど吸収しない。そのため発光素子から出射された近赤外領域の光がコア内を伝播する際、コア周囲のクラッドの影響により減衰することはほとんどない。
同じ理由により、図2に示された、コア12内を伝播した近赤外領域の光が、クラッド14に形成されたレンズ構造13aを通って外部に出射される場合、光がレンズ構造13aにより減衰することはほとんどない。また、クラッド14に形成されたレンズ構造13aを通って、近赤外領域の光がコア12に入射する場合、光がレンズ構造13aにより減衰することはほとんどない。
色素混合物は、800nm以上、1000nm未満の波長領域の光よりも、500nm以上、650nm未満の波長領域の光を強く吸収することが好ましい。更に、750nm以上、1500nm未満の波長領域の光よりも、400nm以上、700nm未満の波長領域の光を強く吸収することがより好ましい。
本発明に用いられるクラッドは、更に紫外線硬化樹脂を含有することが好ましい。紫外線硬化樹脂はパターニング性に優れているため、紫外線硬化樹脂を含有させることで、パターニング精度の高いクラッドが得られる。更に、紫外線硬化樹脂は硬化時間が短く、一般に、熱硬化樹脂よりも離型性に優れているため、生産性がよい。
本発明に用いられるクラッドに含まれる色素混合物は、可視領域の光に比べて紫外領域の光の吸収が弱いことが好ましい。そうすることにより、色素混合物を含有させても、紫外領域の光が弱くならないため、クラッドに含まれる紫外線硬化樹脂の硬化が妨げられない。
色素混合物は、近赤外領域の光よりも可視領域の光を強く吸収するものであれば特に制限はなく、例えば有本化学工業社製「FS−Black 1927」が挙げられる。
本発明に用いられるクラッドにおける色素混合物の含有量は、0.01重量%〜5重量%であることが好ましい。0.01重量%未満であると、クラッドを透過してコアに侵入する可視領域の外乱光を十分に低減することができないおそれがある。5重量%を超えると、例えば、コア内を伝播した光が、クラッドに形成されたレンズ構造を通して外部に出射されるとき、光の透過が阻害されるおそれがある。
上記の紫外線硬化樹脂は、紫外線硬化の可能なものであれば特に制限されない。例えば、ADEKA社製「EP4080E」が挙げられる。
本発明に用いられるクラッドにおける紫外線硬化樹脂の含有量は、80.0重量%〜99.9重量%であることが好ましい。80.0重量%未満であると、パターニング性が悪化するおそれがある。99.9重量%を超えると、可視領域の光吸収が小さくなるおそれがある。
本発明に用いられるクラッドの光の透過率は、波長850nmにおいて80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。また波長400nm以上、700nm未満の波長領域全域にわたって15%未満であることが好ましく、14.5%未満であることがより好ましい。また、波長365nmにおいて10%以上であることが好ましく、13%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるクラッドの透過率が波長850nmにおいて80%以上であることにより、発光素子から出射された近赤外領域の光がコア内を伝播するとき、コア周囲のクラッドの影響により減衰することを防ぐことができる。また、コア内を伝播した光が、クラッドに形成されたレンズ構造を通して外部に出射するとき、クラッドにより光が減衰することを防ぐことができる。
本発明に用いられるクラッドの光の透過率が、波長400nm以上、700nm未満の波長領域全域にわたって15%未満であることにより、コアに侵入する可視領域の外乱光を低減することができる。これにより、例えば100,000luxの照度(直射日光レベル)の下においても、外乱光の影響を受けないようにすることができる。
本発明に用いられるクラッドの透過率が波長365nmにおいて10%以上であることにより、クラッド内の紫外線硬化樹脂を実用上問題なく硬化させることができる。
本発明に用いられるクラッドの厚みは、10μm〜1500μmであることが好ましい。厚みが10μm未満であると、可視領域の外乱光を十分吸収できなくなるおそれがある。厚みが1500μmを超えると、クラッド内の紫外線硬化樹脂の硬化に多大のエネルギーが必要となるおそれがある。
本発明に用いられるクラッドは、プラズマを用いたドライエッチング法、転写法、露光・現像法、フォトブリーチ法などの方法により作製することができる。
本発明に用いられるクラッドは単層構造でもよいし、多層の積層構造でもよい。積層構造を有する場合には、そのうちの少なくとも一層(例えば第二のクラッド)が、色素混合物を含有していればよい。
[コア]
本発明に用いられるコアは、伝播する光の波長で透過率が高く、クラッドよりも屈折率が高い材料から形成される。コアを形成する材料はパターニング性に優れた紫外線硬化樹脂が好ましい。紫外線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂、エポキシ系紫外線硬化樹脂、シロキサン系紫外線硬化樹脂、ノルボルネン系紫外線硬化樹脂、ポリイミド系紫外線硬化樹脂などが好ましい。
本発明に用いられるコアの平面形状に特に制限はなく、直線状、曲線状などがあるが、伝播する光を効率よく座標入力領域へ導くことができることから、図2(a)に示すL字状が好ましい。
本発明に用いられるコアの断面形状に特に制限はないが、図2(b)に示す、パターニング性に優れた矩形もしくは台形であることが好ましい。コアの底辺(コア幅)は100μm〜500μmが好ましい。コア高さ(コアの上辺の中点と下辺の中点を結ぶ長さ)は10μm〜100μmが好ましい。
本発明に用いられるコアは、プラズマを用いたドライエッチング法、転写法、露光・現像法、フォトブリーチ法などの方法により作製することができる。
本発明に用いられるコア内を伝播する光の波長における、コアとクラッドの最大屈折率差は、0.01以上であることが好ましく、0.02〜0.3であることがさらに好ましい。コア内を伝播する光の波長は、発光素子から出射される光の波長であり、例えば850nmである。
本発明に用いられるコアおよびクラッドを形成する樹脂の屈折率は、樹脂に導入する有機基の種類や含有量によって、適宜増加または減少させることができる。例えば、環状芳香族性の基(フェニル基など)を樹脂分子中に導入するか、または、樹脂分子中の含有量を増加させることにより、樹脂の屈折率を大きくすることができる。逆に、例えば、直鎖または環状脂肪族系の基(メチル基、ノルボルネン基など)を樹脂分子中に導入するか、または、樹脂分子中の含有量を増加させることにより、樹脂の屈折率を小さくすることができる。
[光学式タッチパネル]
本発明の光学式タッチパネルは本発明の光導波路を備える。そのため本発明の光学式タッチパネルは、小型化、薄型化が可能であり、かつ屋外でも使用可能である。
図3(a)に、本発明の光学式タッチパネルの好ましい実施形態の一例を示す。本発明の光学式タッチパネル20は、座標入力領域21と、近赤外領域の光を出射する発光素子22と、近赤外領域および可視領域の光を受光する受光素子23とを備える。また、座標入力領域21と発光素子22との間に設けられた第一の光導波路24と、座標入力領域21と受光素子23との間に設けられた第二の光導波路25とを備える。第一の光導波路24の座標入力領域21側の端面は、第二の光導波路25の座標入力領域21側の端面と、座標入力領域21を隔てて対向する。少なくとも、受光素子23に接続する第二の光導波路25には、本発明の光導波路が用いられる。
この形態の光学式タッチパネル20は、伝播する光を光導波路24、25により受光素子23に導くことにより、必要な受光素子23の数は、従来型の光学式タッチパネル(光導波路を用いないもの)に比べて大幅に少なくなる。しかも受光素子23の配置の自由度も高くなるため、外乱光の影響を従来の光学式タッチパネル(光導波路を用いないもの)に比べて少なくすることができる。
本発明の光学式タッチパネル20においては、さらに、少なくとも、受光素子23に接続する第二の光導波路25のクラッドに、可視領域の光を強く吸収する色素混合物を含有させたことにより、可視領域の外乱光がコア内を伝播して、受光素子23に到達することを防ぐことができる。その結果、照度の高い屋外でも使用できる光学式タッチパネル20が実現できた。
本発明の光学式タッチパネルの用途に特に制限はなく、例えば、自動券売機や銀行のATMなどの公共用入力装置、携帯電話やゲーム機などの携帯機器、コピー機などのオフィス機器、カーナビゲーション、POSシステム、産業用機械の操作パネルなどに広汎に用いられる。
[座標入力領域]
本明細書で「座標入力領域」とは、人間の指やペン先などで座標入力を行なう領域をいう。本発明の光学式タッチパネルは受光素子がセンサーとして機能するため、座標入力領域にITO膜などのセンサーとしてのオーバーレイフィルム(フィルム、ガラスなどの層)は必要がない。
図3(b)は、本発明の光学式タッチパネル20の好ましい実施形態の一例の模式的断面図である。発光素子22から出射された光26は、第一の光導波路24のクラッド24aに埋設されたコア24b内を通り、座標入力領域21では空中を通過する。光26は第二の光導波路25のクラッド25aに埋設されたコア25b内を通り、受光素子23に到達する。
図3(b)に示すように、座標入力領域21は、下方に透明パネル27をさらに備えることが好ましい。これは、座標入力領域21の下方に設けられる液晶表示装置やプラズマ表示装置を保護するためである。透明パネル27に特に制限はなく、ガラス板、アクリル板などが用いられる。透明パネル27の厚みは10μm〜5mmが好ましい。
[発光素子・受光素子]
本発明に用いられる発光素子は、近赤外領域の光を発光する素子であり、発光ダイオードまたは半導体レーザが好ましく、VCSEL(垂直共振面発光レーザ)がより好ましい。VCSELは、基板面に対して垂直方向に光を共振させ、面と垂直方向に光を出射させることができるため、光伝送に優れる。発光素子から出射される光の波長は、近赤外領域にあることが好ましい。
本発明に用いられる受光素子は、可視領域および近赤外領域の光を受光し、光信号を電気信号に変換する素子である。受光素子はフォトトランジスター、フォトダイオードが好ましく、CMOSイメージセンサー、CCDイメージセンサーがより好ましい。
[クラッドの形成材料の調製]
・(成分A)脂環骨格を含む紫外線硬化の可能なエポキシ樹脂(ADEKA社製、EP4080E) 100重量部
・(成分B)光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K) 2重量部
・(成分C)4種の色素からなる色素混合物(有本化学工業社製、FS−Black1927) 0.1重量部
上記の成分を混合して、第一のクラッドおよび第二のクラッドの形成材料を調製した。
[コアの形成材料の調製]
・(成分D)フルオレン骨格を含む紫外線硬化が可能なエポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、オグソールEG) 40重量部
・(成分E)フルオレン骨格を含む紫外線硬化が可能なエポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、EX−1040) 30重量部
・(成分F)1,3,3−トリス(4−(2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル)ブタン 30重量部
・上記成分B 1重量部
・(成分G)乳酸エチル 41重量部
上記の成分を混合して、コアの形成材料を調製した。
[光導波路の作製]
[第一のクラッドの形成]
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(150mm×150mm×0.188mm)の表面に、クラッドの形成材料をアプリケーターにより塗布した後、全面に1000mJ/cmの紫外線照射露光を行なった。続いて、80℃、5分間の加熱処理を行ない、第一のクラッドを形成した。第一のクラッドの膜厚を、接触式膜厚計で測定したところ、20μmであった。また、第一のクラッドの、波長830nmにおける屈折率は1.510であった。
[コアの形成]
第一のクラッドの表面に、コアの形成材料をアプリケーターにより塗布し、100℃、5分間の乾燥処理を行なった。次に、所定のパターンが印刷された合成石英製のフォトマスクを載せ、上方からi線バンドパスフィルターを使用し、プロキシミティ露光法(ギャップ100μm)にて、2500mJ/cmの紫外線照射露光(ピーク波長365nm)を行なった。その後、100℃、10分間の加熱処理を行なった。
次に、γ−ブチロラクトン水溶液を用いた現像を行なって未露光部分を溶解除去したのち、120℃、5分間の加熱処理を行なって、コアを形成した。
コアの断面寸法をマイクロスコープで測定したところ、幅20μm、高さ50μmであった。またコアの波長830nmにおける屈折率は1.592であった。
[第二のクラッドの形成]
第一のクラッドおよびコアの表面に、第二のクラッドの形成材料をアプリケーターにより塗布した。次に、レンズ構造のネガ型を有する石英製のモールド型をプレスし、全面に5000mJ/cmの紫外線照射露光(ピーク波長365nm)を行なった。続いて、80℃、5分間の加熱処理を行ない、その後、モールド型を離型して、図2に示すような、レンズ構造を有する第二のクラッドを形成した。第二のクラッドの膜厚は1000μmであった。
実施例の第二のクラッドの透過スペクトルを図4(実施例)に示す。実施例の第二のクラッドの透過率は、波長850nmにおいて95%、波長400nm〜700nmの全域で15%未満、波長365nmにおいて14%であった。第二のクラッドの、波長830nmにおける屈折率は1.510であった。第二のクラッドの透過スペクトルは、色素混合物(有本化学工業社製、FS−Black1927)の透過スペクトルと、ほぼ一致した。1種類の色素では所望のスペクトル形状、具体的には図4の実施例の380nm付近のピークを得ることが困難である。すなわち1種類の色素では可視領域の透過率を低くし、かつ、紫外領域の透過率を高くすることが困難であるため、2種以上の色素を混合した色素混合物を用いた。
作製後の光導波路は、刃型を用いてタッチパネル形状に裁断し、端面をダイシングにより切断した。
[光学式タッチパネルの作製]
実施例で作製した2個の光導波路を図3のように組み合わせて、光学式タッチパネルを作製した。第一の光導波路24の末端には、波長850nmの光を出射する発光素子22(Optwell社製、VCSELL)を連結した。第二の光導波路25の末端には、受光素子23(TAOS社製、CMOSリニアセンサアレイ)を連結した。各光導波路24、25の出射端、入射端が座標入力領域21を隔てて対向するように配置し、図3に示す光学式タッチパネル20(対角3インチ)を作製した。
[比較例]
[クラッドの形成材料の調製]
比較例のクラッドの形成材料は、色素混合物を含有しないこと以外は、実施例のクラッドの形成材料と同じである。つまり、
・(成分A)脂環骨格を含む紫外線硬化の可能なエポキシ樹脂(ADEKA社製、EP4080E)100重量部
・(成分B)光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K)2重量部
を混合して、第一のクラッドおよび第二のクラッドの形成材料を調製した。
[コアの形成材料の調製]
比較例のコアの形成材料は、実施例のコアの形成材料と同じである。
[光導波路の作製]
第二のクラッドの露光条件以外は実施例と同様にして、光導波路を作製した。第二のクラッドは色素混合物が含まれていないため、紫外線照射の露光量を2000mJ/cmに下げた。なお第一のクラッドは膜厚が薄いため、色素混合物の含まれていない影響が小さく、露光条件は実施例と同一でよかった。
比較例の第二のクラッドの透過スペクトルを図4(比較例)に示す。比較例の第二のクラッドの透過率は、波長850nmにおいて92%、波長400nm〜700nmの全域で75%以上92%未満、波長365nmにおいて52%であった。したがって比較例の第二のクラッドは、近赤外領域のみならず可視領域も透明度が高い。
[光学式タッチパネルの作製]
比較例で作製した2個の光導波路を図3のように組み合わせて、光学式タッチパネルを作製した。発光素子、受光素子は実施例と同じものである。
[外乱光ノイズの評価]
実施例および比較例の光学式タッチパネルについて、暗室において、発光素子から強度5000μWの光を出射したところ、いずれも受光素子で4.0μWの光を受光した。
この光学式タッチパネルを種々の測定環境に配置し、受光素子が受光した外乱光の強度を測定した。測定結果を表1および図5に示す。
Figure 2010128147
クラッドに色素混合物を含有させた実施例の光学式タッチパネルでは、100,000luxの照度下(直射日光の明るさ)において、受光強度が0.4μWと小さく、使用可能なノイズ強度に収まった。これに対し、クラッドに色素混合物を含有させていない比較例の光学式タッチパネルでは、照度が26,000luxの照度下(屋外の日陰の明るさ)において、既に受光強度が3.7μWとなり、使用不可能であった。
[測定方法]
[屈折率]
プリズムカプラー(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて、屈折率を測定した。
[コア幅、コア高さ]
光導波路をダイサー(DISCO社製、DAD522)を用いて断面切断し、切断面をマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−200)を用いて観察しながら、接触式膜厚計で測定した。
[透過スペクトル]
分光光度計(日立製作所社製、U−4100)を用いて、ガラス基板上に形成した厚み1000μmのクラッドの透過スペクトルを測定した。レファレンスとして、クラッドを形成していないガラス基板を測定した。
発光素子の発光波長と受光素子の受光波長の領域を示す図 本発明の光導波路の概略図 本発明の光学式タッチパネルの概略図 実施例と比較例の第二のクラッドの透過スペクトル 外乱光ノイズの測定グラフ
符号の説明
10 光導波路
11 第一のクラッド
12 コア
12a 出射端
13 第二のクラッド
13a レンズ構造
14 クラッド
20 光学式タッチパネル
21 座標入力領域
22 発光素子
23 受光素子
24 光導波路
24a クラッド
24b コア
25 光導波路
25a クラッド
25b コア
26 光
27 透明パネル

Claims (7)

  1. クラッドと、前記クラッドに埋設されたコアとを有する光導波路であって、
    前記クラッドの光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする光導波路。
  2. 前記クラッドが2種以上の色素からなる色素混合物を含有し、
    前記色素混合物の光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする請求項1に記載の光導波路。
  3. 前記クラッドが更に紫外線硬化樹脂を含有し、
    前記色素混合物の光の透過率が、可視領域より紫外領域の方が高いことを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路。
  4. 前記クラッドの光の透過率が、
    波長850nmにおいて80%以上であり、
    波長400nm以上、700nm未満の全域で15%未満であり、
    波長365nmにおいて10%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光導波路。
  5. 前記クラッドの厚みが10μm〜1500μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光導波路。
  6. 前記クラッドの、前記コアの光の出射端または入射端を覆う部分が、レンズ構造をなすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光導波路。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の光導波路を備えたことを特徴とする光学式タッチパネル。
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