JP2010128147A - 光導波路および光学式タッチパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クラッド14に、2種以上の色素からなる色素混合物を含有させる。色素混合物は、近赤外領域に比べ可視領域の光を強く吸収する。このため、クラッド14に侵入した可視領域の外乱光は強く吸収されるが、近赤外領域の信号光はほとんど吸収されない。これにより、クラッド14を透過してコア12に侵入する可視領域の外乱光の光量を大幅に低減することができ、光学式タッチパネルが屋外でも使用できる。
【選択図】図2
Description
(1)本発明の光導波路は、クラッドと、クラッドに埋設されたコアとを有する光導波路であって、クラッドの光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする。光の透過率が近赤外領域より可視領域の方が低いとは、近赤外領域と可視領域の透過率スペクトルを比較したとき、可視領域の任意の波長の透過率が、近赤外領域の任意の波長の透過率より低いことを意味する。
(2)本発明の光導波路は、クラッドが2種以上の色素からなる色素混合物を含有し、色素混合物の光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする。光の透過率が近赤外領域より可視領域の方が低い、の意味は(1)と同様である。
(3)本発明の光導波路は、クラッドが更に紫外線硬化樹脂を含有し、色素混合物の光の透過率が、可視領域より紫外領域の方が高いことを特徴とする。光の透過率が可視領域より紫外領域の方が高いとは、可視領域と紫外領域の透過スペクトルを比較したとき、可視領域の任意の波長に対して、それよりも透過率の高い波長が紫外領域にあることを意味する。
(4)本発明の光導波路は、クラッドの光の透過率が、波長850nmにおいて80%以上であり、波長400nm以上、700nm未満の全域で15%未満であり、波長365nmにおいて10%以上であることを特徴とする。
(5)本発明の光導波路は、クラッドの厚みが10μm〜1500μmであることを特徴とする。
(6)本発明の光導波路は、クラッドの、コアの光の出射端または入射端を覆う部分が、レンズ構造をなすことを特徴とする。
(7)本発明の光学式タッチパネルは、上記に記載の光導波路を備えたことを特徴とする。
本発明の光導波路は、クラッドと、クラッドに埋設されたコアを有する。本発明の光導波路は、上記のクラッドおよびコアを有するものならば、その他の構成要素(例えば基板)を有していてもよい。
本発明に用いられるクラッドは、2種以上の色素からなる色素混合物を含有する。色素混合物は近赤外領域の光に比べ可視領域の光を強く吸収する。そのため、コアに侵入する可視領域の外乱光を低減することができる。このクラッドを光導波路を有する光学式タッチパネルに用いた場合、外乱光の影響を非常に少なくすることができる。その結果、光学式タッチパネルを屋外で使用することが可能になる。
本発明に用いられるコアは、伝播する光の波長で透過率が高く、クラッドよりも屈折率が高い材料から形成される。コアを形成する材料はパターニング性に優れた紫外線硬化樹脂が好ましい。紫外線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂、エポキシ系紫外線硬化樹脂、シロキサン系紫外線硬化樹脂、ノルボルネン系紫外線硬化樹脂、ポリイミド系紫外線硬化樹脂などが好ましい。
本発明の光学式タッチパネルは本発明の光導波路を備える。そのため本発明の光学式タッチパネルは、小型化、薄型化が可能であり、かつ屋外でも使用可能である。
本明細書で「座標入力領域」とは、人間の指やペン先などで座標入力を行なう領域をいう。本発明の光学式タッチパネルは受光素子がセンサーとして機能するため、座標入力領域にITO膜などのセンサーとしてのオーバーレイフィルム(フィルム、ガラスなどの層)は必要がない。
本発明に用いられる発光素子は、近赤外領域の光を発光する素子であり、発光ダイオードまたは半導体レーザが好ましく、VCSEL(垂直共振面発光レーザ)がより好ましい。VCSELは、基板面に対して垂直方向に光を共振させ、面と垂直方向に光を出射させることができるため、光伝送に優れる。発光素子から出射される光の波長は、近赤外領域にあることが好ましい。
・(成分A)脂環骨格を含む紫外線硬化の可能なエポキシ樹脂(ADEKA社製、EP4080E) 100重量部
・(成分B)光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K) 2重量部
・(成分C)4種の色素からなる色素混合物(有本化学工業社製、FS−Black1927) 0.1重量部
上記の成分を混合して、第一のクラッドおよび第二のクラッドの形成材料を調製した。
・(成分D)フルオレン骨格を含む紫外線硬化が可能なエポキシ樹脂(大阪ガスケミカル社製、オグソールEG) 40重量部
・(成分E)フルオレン骨格を含む紫外線硬化が可能なエポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、EX−1040) 30重量部
・(成分F)1,3,3−トリス(4−(2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル)ブタン 30重量部
・上記成分B 1重量部
・(成分G)乳酸エチル 41重量部
上記の成分を混合して、コアの形成材料を調製した。
[第一のクラッドの形成]
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(150mm×150mm×0.188mm)の表面に、クラッドの形成材料をアプリケーターにより塗布した後、全面に1000mJ/cm2の紫外線照射露光を行なった。続いて、80℃、5分間の加熱処理を行ない、第一のクラッドを形成した。第一のクラッドの膜厚を、接触式膜厚計で測定したところ、20μmであった。また、第一のクラッドの、波長830nmにおける屈折率は1.510であった。
第一のクラッドの表面に、コアの形成材料をアプリケーターにより塗布し、100℃、5分間の乾燥処理を行なった。次に、所定のパターンが印刷された合成石英製のフォトマスクを載せ、上方からi線バンドパスフィルターを使用し、プロキシミティ露光法(ギャップ100μm)にて、2500mJ/cm2の紫外線照射露光(ピーク波長365nm)を行なった。その後、100℃、10分間の加熱処理を行なった。
第一のクラッドおよびコアの表面に、第二のクラッドの形成材料をアプリケーターにより塗布した。次に、レンズ構造のネガ型を有する石英製のモールド型をプレスし、全面に5000mJ/cm2の紫外線照射露光(ピーク波長365nm)を行なった。続いて、80℃、5分間の加熱処理を行ない、その後、モールド型を離型して、図2に示すような、レンズ構造を有する第二のクラッドを形成した。第二のクラッドの膜厚は1000μmであった。
実施例で作製した2個の光導波路を図3のように組み合わせて、光学式タッチパネルを作製した。第一の光導波路24の末端には、波長850nmの光を出射する発光素子22(Optwell社製、VCSELL)を連結した。第二の光導波路25の末端には、受光素子23(TAOS社製、CMOSリニアセンサアレイ)を連結した。各光導波路24、25の出射端、入射端が座標入力領域21を隔てて対向するように配置し、図3に示す光学式タッチパネル20(対角3インチ)を作製した。
[クラッドの形成材料の調製]
比較例のクラッドの形成材料は、色素混合物を含有しないこと以外は、実施例のクラッドの形成材料と同じである。つまり、
・(成分A)脂環骨格を含む紫外線硬化の可能なエポキシ樹脂(ADEKA社製、EP4080E)100重量部
・(成分B)光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K)2重量部
を混合して、第一のクラッドおよび第二のクラッドの形成材料を調製した。
比較例のコアの形成材料は、実施例のコアの形成材料と同じである。
第二のクラッドの露光条件以外は実施例と同様にして、光導波路を作製した。第二のクラッドは色素混合物が含まれていないため、紫外線照射の露光量を2000mJ/cm2に下げた。なお第一のクラッドは膜厚が薄いため、色素混合物の含まれていない影響が小さく、露光条件は実施例と同一でよかった。
比較例で作製した2個の光導波路を図3のように組み合わせて、光学式タッチパネルを作製した。発光素子、受光素子は実施例と同じものである。
実施例および比較例の光学式タッチパネルについて、暗室において、発光素子から強度5000μWの光を出射したところ、いずれも受光素子で4.0μWの光を受光した。
[屈折率]
プリズムカプラー(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて、屈折率を測定した。
光導波路をダイサー(DISCO社製、DAD522)を用いて断面切断し、切断面をマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−200)を用いて観察しながら、接触式膜厚計で測定した。
分光光度計(日立製作所社製、U−4100)を用いて、ガラス基板上に形成した厚み1000μmのクラッドの透過スペクトルを測定した。レファレンスとして、クラッドを形成していないガラス基板を測定した。
11 第一のクラッド
12 コア
12a 出射端
13 第二のクラッド
13a レンズ構造
14 クラッド
20 光学式タッチパネル
21 座標入力領域
22 発光素子
23 受光素子
24 光導波路
24a クラッド
24b コア
25 光導波路
25a クラッド
25b コア
26 光
27 透明パネル
Claims (7)
- クラッドと、前記クラッドに埋設されたコアとを有する光導波路であって、
前記クラッドの光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする光導波路。 - 前記クラッドが2種以上の色素からなる色素混合物を含有し、
前記色素混合物の光の透過率が、近赤外領域より可視領域の方が低いことを特徴とする請求項1に記載の光導波路。 - 前記クラッドが更に紫外線硬化樹脂を含有し、
前記色素混合物の光の透過率が、可視領域より紫外領域の方が高いことを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路。 - 前記クラッドの光の透過率が、
波長850nmにおいて80%以上であり、
波長400nm以上、700nm未満の全域で15%未満であり、
波長365nmにおいて10%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光導波路。 - 前記クラッドの厚みが10μm〜1500μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光導波路。
- 前記クラッドの、前記コアの光の出射端または入射端を覆う部分が、レンズ構造をなすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光導波路。
- 請求項1から6のいずれかに記載の光導波路を備えたことを特徴とする光学式タッチパネル。
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