JP2010123335A - 燃料電池評価装置 - Google Patents

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茂樹 長谷川
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Abstract

【課題】燃料電池の特性の評価において燃料電池内部や評価装置内の水分が突沸する可能性を低減できる技術を提供する。
【解決手段】燃料電池評価装置は、燃料電池の特性を評価するための装置である。この燃料電池評価装置は、燃料電池の運転条件を入力するための入力部と、燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給部と、反応ガス供給部を制御して、供給される反応ガスの状態を運転条件に応じて制御する制御部と、反応ガスの状態に関する実測値であるガス状態値を検出するガス状態検出部とを備える。制御部は、反応ガスの状態が、燃料電池評価装置内の水分の突沸を引き起こす可能性が高い状態の領域として予め設定された突沸発生領域に入るか否かを、運転条件またはガス状態値を用いて判定する突沸判定処理を実行する。
【選択図】図2

Description

この発明は、燃料電池の特性評価に関する。
燃料電池では、電解質膜を湿潤状態に保持するために加湿された反応ガスが供給されるとともに、発電反応によってカソード側に水分が生成される。そのため、燃料電池の内部には、通常、多量の水分が存在し、その燃料電池を備える燃料電池システムにおいては、反応ガスの供給や排ガスの排出を担うガス系統内に水分が発生する場合がある。また、燃料電池評価装置は、通常、バブラー方式の加湿器を備えており、燃料電池評価装置内部にも多量の水分が存在している。そうした水分が存在する状態で、燃料電池に供給される反応ガスの状態が変化した場合には、当該水分が沸騰したり、突沸を引き起こす場合がある。すると、水蒸気圧の増大に伴う反応ガスの急激な圧力上昇が発生し、これにより、電解質膜や評価装置内のセンサ機器などが損傷をきたす可能性がある。このように、燃料電池システム及び燃料電池評価装置では、供給される反応ガスの状態を変化させることによって、燃料電池やシステム内の機器の劣化が引き起こされ、通常の運転の継続が困難となってしまう場合がある。これまで、燃料電池システム及び燃料電池評価装置におけるこうした劣化を回避して通常の運転を継続するための種々の技術が提案されてきた(特許文献1等)。
特開2005−183281号公報 特表2006−523918号公報
ところで、燃料電池の特性評価を行う燃料電池評価装置(燃料電池評価システム)では、通常、様々な燃料電池の運転条件を想定して、運転条件に応じて圧力や温度などが制御された反応ガスを燃料電池に供給する。従って、燃料電池の特性評価の際に設定された運転条件によっては、燃料電池の内部や当該燃料電池評価装置のガス系統内に存在する水分が突沸してしまい、評価対象である燃料電池や当該燃料電池評価装置内の機器が劣化する場合があった。これまで、こうした問題に対して十分な工夫がなされていなかったのが実情であった。
本発明は、燃料電池の特性評価において、評価対象である燃料電池の内部や燃料電池評価装置内に存在する水分が沸騰する可能性を低減できる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池の特性を評価するための燃料電池評価装置であって、前記燃料電池の運転条件を入力するための入力部と、前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給部と、前記反応ガス供給部を制御して、供給される前記反応ガスの状態を運転条件に応じて制御する制御部と、前記反応ガスの状態に関する実測値であるガス状態値を検出するガス状態検出部とを備え、前記制御部は、前記反応ガスの状態が、前記燃料電池内の水分の突沸を引き起こす可能性が高い状態の領域として予め設定された突沸発生領域に入るか否かを、前記入力された運転条件または前記ガス状態値を用いて判定する突沸判定処理を実行する、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、運転条件に従って燃料電池を運転する際に予め、または、燃料電池の運転継続中に、燃料電池内部や燃料電池評価装置内部において突沸が引き起こされる可能性について判定できる。そのため、燃料電池の特性評価において、評価対象である燃料電池の内部や燃料電池評価装置内に存在する水分が沸騰する可能性を低減できる。
[適用例2]
適用例1に記載の燃料電池評価装置であって、前記反応ガスの状態は、前記反応ガスの圧力と温度と露点温度とを含み、前記突沸発生領域は、前記反応ガスの温度に対する飽和水蒸気圧を用いて予め設定されており、前記突沸判定処理は、前記反応ガスの露点温度に対する前記反応ガスの飽和水蒸気圧を用いて判定する、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、反応ガスの圧力及び温度と反応ガスの温度に対する飽和水蒸気圧との関係を用いて、反応ガスの温度と圧力とが、突沸発生領域に入るか否かを容易に判定できる。従って、燃料電池の特性評価において、評価対象である燃料電池の内部や燃料電池評価装置内に存在する水分が沸騰する可能性を低減できる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のいずれかに記載の燃料電池評価装置であって、前記制御部は、前記突沸判定処理において、前記反応ガスの状態が前記突沸発生領域に入ると判定した場合に、突沸の発生を回避するための突沸回避処理を実行する、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、突沸判定処理における判定結果に応じて、突沸発生を回避する処理を実行するため、評価対象である燃料電池の内部や燃料電池評価装置内に存在する水分が沸騰する可能性を低減できる。
[適用例4]
適用例3に記載の燃料電池評価装置であって、前記突沸回避処理は、前記入力された運転条件に従った運転を拒否する処理を含む、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、突沸発生の可能性がある場合に、入力された運転条件に従った燃料電池の運転を拒否する。これによって、突沸の発生の可能性がある運転制御がなされることを回避でき、燃料電池の特性評価において、評価対象である燃料電池の内部や燃料電池評価装置内に存在する水分が沸騰する可能性を低減できる。
[適用例5]
適用例3または適用例4に記載の燃料電池評価装置であって、前記制御部は、前記燃料電池の運転継続中に前記突沸判定処理を実行し、前記突沸回避処理は、前記反応ガスの圧力を増大させる処理、または、前記反応ガスの温度を低下させる処理を含む、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、燃料電池の運転継続中に、反応ガスの状態が、突沸を引き起こす可能性が高いと判定された場合に、供給される反応ガスの状態を変化させることによって突沸の発生を回避できる。従って、燃料電池の特性評価において、評価対象である燃料電池の内部や燃料電池評価装置内に存在する水分が沸騰する可能性を低減できる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の燃料電池評価装置であって、さらに、前記反応ガスを加湿する加湿部を備える、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、反応ガスの加湿量を調整できる。
[適用例7]
適用例6に記載の燃料電池評価装置であって、前記突沸回避処理は、前記反応ガスの圧力を増大させる処理、または、前記反応ガスの露点温度を低下させる処理を含む、燃料電池評価装置。
この燃料電池評価装置によれば、突沸を回避するために、反応ガスの圧力を増大させて、燃料電池内部の排水性を向上させたり、あるいは、反応ガスの露点温度を低下させて、燃料電池内部の水分を低下させる処理を実行する。即ち、突沸の発生する可能性が高い場合に、速やかに燃料電池内部の水分量を低下させる方向に制御するため、突沸の発生を抑制できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池評価装置および燃料電池評価システム、燃料電池評価システムの制御方法および燃料電池評価システムの制御装置、それらの方法またはシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての燃料電池評価システムの構成を示すブロック図である。この燃料電池評価システム1000は、入力された運転条件に応じて評価対象である固体高分子型燃料電池を運転し、その出力を測定して燃料電池の特性を評価するシステムである。燃料電池評価システム1000は、ユーザインタフェース100と、アノードガス供給部200及びカソードガス供給部300と、アノード排ガス排出部400及びカソード排ガス排出部500と、出力計測部600と、制御部700とを備えている。
ユーザインタフェース100は、燃料電池評価システム1000の操作者(ユーザ)と制御部700とのやりとりを仲介する。ユーザインタフェース100は、入力部110と表示部120とを備えている。入力部110は、例えば、キーボードやタッチパネルによって構成することができ、ユーザから評価対象である燃料電池FCの運転条件(後述)の入力を受け付ける。表示部120は、例えば、モニタディスプレイにより構成され、制御部700の指示により、ユーザに対して燃料電池FCの特性に関する測定値やシステムの操作に関する情報などを表示する。
アノードガス供給部200は、燃料電池FCのアノード側に接続された供給配管201を介して燃料電池FCに燃料ガス(水素)を供給する。供給配管201には、その上流側から、燃料ガス供給源210と、加湿部220と、入口側圧力計230とが接続されている。燃料ガス供給源210は、例えば、水素タンクによって構成でき、制御部700の指示により、供給配管201に水素を導入する。燃料ガス供給源210は、燃料電池FCの排出側に設けられた背圧調整弁410,510によって供給水素の圧力を、制御部700の指示に応じて調整できる。なお、燃料電池FCの入口側の水素の圧力は、入口側圧力計230によって計測され、その実測値が制御部700へと送信される。
加湿部220は、制御部700の指示に応じて燃料電池FCに供給される水素を加湿する。加湿部220は、温度が制御された温水221に加湿対象であるガスを通過させて加湿するバブラー方式の加湿器により構成される。加湿部220には、温度検出部225が設けられており、温度検出部225は、加湿部220の温水221の温度(加湿温度)を測定し、その実測値を制御部700へと送信する。なお、この加湿温度は、燃料電池FCの入口側における反応ガスの露点温度に相当する。換言すれば、加湿部220を通過した反応ガスは、飽和水蒸気を含んでいる。
カソードガス供給部300は、燃料電池FCのカソード側に接続された供給配管301を介して燃料電池FCに酸化ガス(酸素)を供給する。供給配管301には、その上流側から、酸化ガス供給源310と、加湿部320と、入口側圧力計330とが接続されている。酸化ガス供給源310は、例えば、エアコンプレッサによって構成され、制御部700の指示により圧力制御された高圧空気を供給配管301に導入する。なお、燃料電池FCの入口側の高圧空気の圧力は、入口側圧力計330によって計測され、その実測値が制御部700へと送信される。加湿部320は、アノードガス供給部200の加湿部220と同様な加湿器により構成され、温度制御された温水321により供給配管301の高圧空気を加湿する。また、加湿部320には、アノードガス供給部200の温度検出部225と同様な温度検出部325が設けられており、その実測値を制御部700に送信する。
アノード排ガス排出部400及びカソード排ガス排出部500はそれぞれ、燃料電池FCのアノード側及びカソード側のそれぞれに接続された排出配管401,501を介して反応に供されることのなかった反応ガスを含む排ガスを燃料電池FCの外部に排出する。なお、本明細書中において、以後、「反応ガス」と呼ぶときは、この排ガスも含むものとする。2つの排出配管401,501にはそれぞれ、制御部700の指示に従って燃料電池FCの排出側の反応ガスの圧力(背圧)を調整できる背圧調整弁410,510が設けられている。また、背圧調整弁410,510の上流側にはそれぞれ、背圧の実測値を計測するための出口側圧力計420,520が設けられている。なお、制御部700は、入口側圧力計230,330の計測値と出口側圧力計420,520の計測値との差から燃料電池FCにおける圧力損失を計測することが可能である。
ところで、2つのガス供給部200,300及び2つの排ガス排出部400,500を含む燃料電池評価システム1000のガス系統の配管201,301,401,501にはそれぞれ、管内の反応ガスを加熱するためのヒータ(図示せず)が設けられている。この理由は、配管201,301,401,501内を流通する反応ガス中に含まれる水蒸気が、反応ガスの温度低下に伴って結露を発生することを抑制するためである。なお、燃料電池FC内部では、発電反応により大量の水分が発生しているため、一般に、供給側の配管201,301における加湿後の反応ガスより、排出側の配管401,501を流れる反応ガスの方が露点温度が高い。従って、各配管201,301,401,501を加熱するヒータは、反応ガスを、少なくとも加湿部220,320の加湿温度より高い温度となるように加熱することが好ましい。
出力計測部600は、燃料電池FCに電気的に接続されており、燃料電池FCの出力電圧や出力電流を測定し、その測定値を制御部700に送信する。制御部700は、中央演算処理装置及び主記憶装置を備えるマイクロコンピュータによって構成することができる。制御部700は、ユーザが入力部110を介して入力した運転条件に従って、上述のガス供給部200,300や排ガス排出部400,500を制御し、燃料電池FCに供給される反応ガスの状態を変化させつつ、燃料電池FCに発電させる。また、制御部700は、4つの圧力計230,330,420,520や2つの温度検出部225,325から送信された実測値などのステータス情報や、出力計測部600から送信された燃料電池FCの出力結果などを表示部120に表示する。
図2は、燃料電池評価システム1000における燃料電池FCの特性の評価処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップS10では、制御部700は、入力部110を介して、ユーザからの燃料電池FCの運転条件の入力を受け付ける。本実施例においては、燃料電池FCの運転条件として、燃料電池FCの入口側における反応ガスの加湿温度と、反応ガスの背圧と、反応ガスの流量とを設定する。なお、これらの設定された値のうち、反応ガスの加湿温度を「設定温度Ts」と呼び、反応ガスの背圧を「設定圧力Ps」と呼ぶ。ステップS20では、制御部700は、入力された運転条件に従って燃料電池FCの制御を開始する前に、予め、当該制御により燃料電池評価システム1000内の水分が突沸する可能性があるか否かを判定する。以後、この判定処理を「突沸判定処理」と呼ぶ。
ここで、一般に、水と気体とが封入された空間内において、封入された気体がその温度に対する飽和水蒸気圧以下の圧力を有するときに水が沸騰する。また、その圧力条件下では、封入された水が沸騰していなくても、何かのきっかけで突沸する可能性がある。即ち、燃料電池FCの内部において、供給される反応ガスの圧力が、その温度に対する飽和水蒸気圧以下の圧力まで低下する場合には、燃料電池FCの内部に存在する水分が突沸する可能性がある。また、燃料電池評価システム1000の反応ガスを供給するガス系統内に反応ガス中の水蒸気が結露した水分が存在する場合には、当該水分が突沸する可能性がある。こうした水分の突沸が発生した場合には、沸騰による水蒸気圧の増加に伴って反応ガスの圧力が急激に上昇し、燃料電池FCの電解質膜やガス系統に設けられたセンサ機器などが損傷してしまう可能性がある。特に、電解質膜の損傷が著しく、電解質膜に裂傷が生じた場合には、反応ガスが供給された電極とは反対側の電極へと発電反応に供されることなくリークしてしまう、いわゆるクロスリークが発生する可能性がある。そこで、本実施例では、入力された運転条件を反映した燃料電池FCの運転を開始する前に予め突沸判定処理を実行することにより、燃料電池FCの運転中に燃料電池評価システム1000の内部に存在する水分が突沸することを抑制する。
図3は、制御部700が実行する突沸判定処理の処理手順を示すフローチャートである。制御部700は、突沸判定処理をアノード側のガス系統とカソード側のガス系統とに対してそれぞれ同様に実行するが、以下においては、カソード側のガス系統に対する突沸判定処理を説明する。なお、アノード側のガス系統に対する突沸判定処理についてはカソード側のガス系統に対する突沸判定処理と同様であるため説明は省略する。
ステップS100では、制御部700は、温度検出部325によって加湿部320の現時点における加湿温度の実測値T0を検出し、出口側圧力計420によって背圧の実測値P0を検出する。続いて制御部700は、ステップS110において、検出温度T0が100℃以上であり、かつ、反応ガスの減圧命令がなされたか否かを判定する。ここで、「検出温度T0が100℃以上」である場合には、燃料電池FC内部及びガス系統内における反応ガスの温度は少なくとも100℃より高い場合であり、その飽和水蒸気圧も1気圧以上の場合である。また、「反応ガスの減圧命令」とは、制御部700が供給される反応ガスの圧力を減圧する方向に制御するような運転条件をユーザが設定することを意味している。制御部700は、背圧の実測値P0より低い設定圧力Psが入力された場合に、ユーザにより供給反応ガスの減圧命令がなされたと判定する。即ち、このステップS110の条件に該当する場合には、反応ガスの減圧によって、燃料電池FC内部やガス系統の内部における反応ガスの圧力が反応ガスの温度に対する飽和水蒸気圧より低くなり、突沸が発生する可能性がある。そこで、この場合には、制御部700は、ステップS120以降において、より具体的に突沸発生の可能性についての判定を実行する。
ステップS120では、突沸発生の可能性を判定するための判定条件値を設定する。具体的には、制御部700は、加湿部320における検出温度T0を判定に用いる第1の判定条件値Tjとして設定し、設定圧力Psを第2の判定条件値Pjとして設定する(Tj=T0,Pj=Ps)。ステップS130では、制御部700は、この設定された2つの判定条件値Tj,Pjと、予め制御部700に格納されている突沸の発生可能性を判定のためのマップ(以後、「突沸判定マップ」と呼ぶ)とを用いて突沸の発生可能性を判定する。
図4(A)は、ステップS130における突沸判定マップを用いた制御部700による突沸の発生可能性の判定方法を説明するための説明図である。この突沸判定マップMPは、反応ガスの温度と圧力とをそれぞれ縦軸と横軸とするマップであり、反応ガスの温度に対する飽和水蒸気圧を示す曲線グラフGが判定のための指標として示されている。この曲線グラフGは、実験式として知られる下記の式(1)に示す蒸気圧PVAPに関する実験式(アントワン式)から得ることができる。
VAP=10a-b/(T+c) … (1)
なお、a,b,cは実数であり、Tは温度である。
ステップS130(図3)において、制御部700は、突沸判定マップMPに判定条件値Tj,Pjをそれぞれ横軸座標と縦軸座標とする点αをプロットする。制御部700は、反応ガスの状態を表す点αが曲線グラフGより下のハッチング領域HAに入る場合には、燃料電池FC内やカソード側のガス系統に存在する水分が突沸する可能性があるものと判定する。以後、このハッチング領域HAを「突沸発生領域HA」と呼ぶ。一方、点αが突沸発生領域HAに入らない場合には、燃料電池FC内や燃料電池評価システム1000内(特にカソード側のガス系統)に存在する水分が突沸する可能性は無いものと判定する。なお、図4(A)には、点αに加えて、実測値T0,P0をそれぞれ横軸座標および縦軸座標とする点βを参考のために図示してあり、設定圧力Psへの減圧により突沸発生の可能性があると判定される例が示してある。
ここで、判定条件値Tjは、燃料電池FCより上流側における加湿後の反応ガスの露点温度T0である。さらに、判定条件値Pj(背圧P0)は、燃料電池FCの下流で測定されているので、燃料電池FCの内部及びその上流側における反応ガスの実際の圧力は、この背圧P0よりも高い。即ち、反応ガスの背圧が、この露点温度Tjに対する飽和水蒸気圧より低くなるように圧力制御された場合には、ガス系統内で反応ガス中の水蒸気が結露して水分が発生する可能性がある。また、反応ガスの圧力が、反応ガスの実際の温度(露点温度T0より高い)に対する飽和水蒸気圧より低くなる可能性がある。そこで、このステップS130の判定では、反応ガスの露点温度に対する飽和水蒸気圧より、反応ガスの圧力が低くなる場合には、燃料電池FC内部やシステム内において突沸が発生する可能性があると判定する。但し、ステップS120〜S130における条件は、この点で余裕のある条件となっている。
ステップS110の条件に該当しなかった場合、または、ステップS130において突沸の発生可能性が無いと判定された場合には、制御部700は、ステップS150以降の処理を実行する(図3)。ここで、上述のステップS110〜S130では、反応ガスが減圧制御される場合の突沸の発生可能性を判定していたが、以下に説明するステップS150〜S170では、加湿部320が昇温制御される場合の突沸発生の可能性を判定する。
ステップS150では、制御部700は、ユーザにより供給反応ガスの加湿温度を100℃以上に昇温する命令がなされたか否かを判定する。即ち、制御部700は、設定温度Tsが100℃以上であるか否かを判定する。
即ち、ステップS150の条件に該当する場合とは、反応ガスが露点温度100℃以上まで加湿されて、その水蒸気圧が1気圧以上に制御される場合である。また、背圧が大気圧近傍であるため、燃料電池FCの内部やガス系統内のおける反応ガスの圧力が、反応ガスの露点温度に対する飽和水蒸気圧より低くなる可能性がある。即ち、ガス系統内において反応ガス中の水蒸気の結露が発生するとともに突沸が発生する可能性がある。そこで、制御部700は、ステップS150の条件に該当する場合には、ステップS160以降の処理において、さらに具体的に突沸の発生可能性を判定する。ステップS160では、突沸の発生可能性を判定するための判定条件値を設定する。具体的には、制御部700は、設定温度Tsを判定に用いる第1の判定条件値Tjとして設定する。また、制御部700は、背圧の実測値P0を第2の判定条件値Pjとして設定する(Tj=Ts,Pj=P0=大気圧近傍の値)。
図4(B)は、ステップS170における突沸判定マップを用いた制御部700による突沸の発生可能性の判定方法を説明するための説明図である。図4(B)は、プロットされている点α,βの位置が異なる点以外は、図4(A)とほぼ同じである。このステップS170では、判定条件値Tj,Pjと突沸判定マップMPとを用いて突沸発生の可能性をステップS130と同様な方法により実行する。図4(B)には、加湿温度を設定温度Tsへ昇温することにより、点αが突沸発生領域HAにプロットされ、突沸が発生する可能性があると判定される例を示してある。
制御部700は、ステップS130またはステップS170(図3)で、反応ガスの状態が突沸発生領域HAにあると判定された場合には、制御部700は、ステップS10で入力された運転条件を無効とする。即ち、この場合には、ステップS10(図2)でユーザによって入力された運転条件に従った燃料電池FCの運転が拒否される。また、制御部700は、表示部120に突沸の発生可能性が高くなる運転条件が設定された旨とともに、その運転条件による運転を開始しない旨を表示し、ユーザに対して新たな運転条件の入力を促す(ステップS10)。
一方、ステップS150(図3)の条件に該当しなかった場合や、ステップS170で突沸の発生可能性がほとんど無いと判定された場合には、制御部700は、ユーザにより入力された運転条件に従った燃料電池FCの運転を開始する(図2;ステップS30)。具体的には、制御部700は、加湿部220,320(図1)による加湿温度が設定温度Tsとなるように制御し、反応ガスの背圧が設定圧力Psとなるように制御する。また、制御部700は、出力計測部600の計測結果を表示部120に表示させる(図2;ステップS40)。
このように、本実施例の燃料電池評価システム1000は、ユーザにより入力された運転条件に従って燃料電池FCの特性評価のための運転を開始する前に、予め、燃料電池FC内部及びシステム内における突沸の発生可能性を判定する。また、この判定においては、運転条件に従った制御により、反応ガスの露点温度に対する飽和水蒸気圧より反応ガスの圧力が低くなる場合に、突沸が発生する可能性があると判定される。これにより、突沸が発生する可能性があるような燃料電池FCの運転を回避でき、燃料電池の特性評価において突沸が発生する可能性を低減できる。
B.第2実施例:
図5は本発明の第2実施例としての燃料電池評価システムの構成を示すブロック図である。図5は、温度検出部225,325がない点と、4つの露点計240,340,430,530が追加されている点以外は図1とほぼ同じである。なお、この燃料電池評価システム1000Aは、燃料電池FCの特性の評価処理を第1実施例と同様の処理手順で実行する(図2)。
燃料電池評価システム1000A(図5)の2つの入口側露点計240,340は、燃料電池FCの入口側において反応ガスの露点温度を計測するためのものである。また、2つの出口側露点計430,530は、燃料電池FCの出口側において排ガスの露点温度を計測するものである。水素用の入口側露点計240は、水素用の加湿部220と入口側圧力計230との間に設けられ、高圧空気用の入口側露点計340は、高圧空気用の加湿部320と入口側圧力計330との間に設けられている。また、水素用の出口側露点計430は、水素用の出口側圧力計420の上流側に設けられ、高圧空気用の出口側露点計530は、出口側圧力計520の上流側に設けられている。
4つの露点計240,340,430,530はそれぞれ、その計測値を制御部700に送信する。即ち、この燃料電池評価システム1000Aでは、入口側の露点計240,340の計測値と、出口側の露点計430,530の計測値との差分から、燃料電池FCの水収支に関する特性を評価することが可能である。
図6は、燃料電池評価システム1000Aにおける突沸判定処理の処理手順を示すフローチャートである。制御部700は、ユーザから燃料電池FCの運転条件の入力を受け付けた後に(図2;ステップS10)、この突沸判定処理をカソード側のガス系統及びアノード側のガス系統についてそれぞれ実行する。以下には、カソード側のガス系統に対する突沸判定処理について説明するが、アノード側のガス系統に対する突沸判定処理についても同様であるためその説明は省略する。
ステップS210(図6)では、制御部700は、ユーザによって反応ガスの減圧命令または加湿部320による加湿温度の昇温命令がされたか否かを判定する。即ち、現時点における出口側圧力計420,520の実測値P0より設定圧力Psが低く設定されたか、または、現時点における入口側露点計430,530の実測値T1より設定温度Tsが高く設定されたかを判定する。制御部700は、ステップS210において肯定的な判定をした場合には、ステップS220において、出口側露点計530の実測値T2と設定圧力Psとをそれぞれ、判定条件値Tj,Pjとして設定する。制御部700は、続くステップS230において、第1実施例と同様に、この2つの判定条件値Tj,Pjと突沸判定マップMP(図4)とを用いて、運転条件に従って燃料電池FCの運転を開始した場合の突沸の発生可能性を判定する。
ここで、ステップS230の判定処理において、判定条件値Tjとして出口側露点計430の計測値T2を用いるのは、以下の理由による。燃料電池FCの排ガスの露点温度は、燃料電池FCの入口側における加湿後の反応ガスに含まれる水蒸気量よりも、発電反応によってカソード側に発生した水分から発生した水蒸気が含まれる分だけ増加する。即ち、燃料電池FCの出口側の反応ガスの露点温度は、燃料電池FCの入口側の反応ガスの露点温度より、燃料電池FCの発電状況に応じて高くなる。従って、燃料電池FCの出口側の露点温度の実測値T2を判定処理に用いることにより、燃料電池FCの発電状況に応じて変動する水蒸気量を判定条件に加味できる。これによって、特に、燃料電池FC以下の下流側における突沸の発生可能性を適切に判定することができる。なお、燃料電池FCより上流側における突沸発生の可能性の判定については、この点で余裕のある条件となっている。
制御部700は、アノード側のガス系統とカソード側のガス系統のいずれか一方で突沸が発生する可能性があると判定した場合には、第1実施例で説明した図3のステップS140と同様の処理を実行する。即ち、ユーザが入力した運転条件を無効とし、ユーザに対してその旨を表示する(ステップS240)。また、制御部700は、ユーザによる新たな運転条件の入力を促す(図2;ステップS10)。
一方、ステップS210またはステップS230(図6)の判定処理において、否定的な判定がなされた場合には、制御部700は、その運転条件に従って燃料電池FCを運転し、その出力の計測結果を表示部120に表示する(図2;ステップS30〜S40)。なお、制御部700は、燃料電池FCの運転に際し、入口側露点計430,530の実測値T1が運転条件中の設定温度Tsに近付くように反応ガスの加湿温度を制御をする。
このように、第2実施例の燃料電池評価システム1000Aによれば、突沸判定処理を、燃料電池FCの内部における反応ガスの状態の変化を第1実施例よりも反映して実行することができる。従って、より燃料電池の特性の評価において燃料電池内部の水分が突沸する可能性を低減できる。
C.第3実施例:
図7は、本発明の第3実施例としての燃料電池評価システムにおける突沸判定処理の処理手順を示すフローチャートである。図7は、ステップS210の判定処理がない点と、ステップS220の処理に換えてステップS220Bの処理が示されている点以外は図6とほぼ同じである。なお、第3実施例における燃料電池評価システムの構成及び燃料電池FCの特性の評価処理の処理手順は、第2実施例と同じである(図5,図2)。
この第3実施例の燃料電池評価システムでは、第1実施例及び第2実施例の燃料電池評価システム1000,1000Aと異なり、突沸判定処理において、背圧や露点温度などの反応ガスの状態に関連する実測値を用いない。即ち、制御部700は、ステップS220Bにおいて、ユーザが入力した燃料電池FCの運転条件(図2;ステップS10)のうちの設定温度Tsと設定圧力Psとを判定条件値Tj,Pjとして設定する。そして、ステップS230において、その判定条件値Tj,Pjと突沸判定マップMP(図4)とを用いて燃料電池FCにおける突沸の発生可能性を判定する。
このように、この第3実施例の構成によれば、ユーザによって入力された燃料電池FCの運転条件のみを用いて、その運転条件に従って制御された反応ガスを燃料電池FCに供給した場合に、燃料電池評価システム内で突沸が発生する可能性を判定できる。従って、より簡易な方法で、燃料電池の特性評価において突沸が発生することを抑制できる。
D.第4実施例:
図8は、本発明の第4実施例としての燃料電池評価システムにおける制御部の処理手順を示すフローチャートである。なお、この第4実施例における燃料電池評価システムの構成は第3実施例とほぼ同じである(図5)。ただし、この第4実施例の燃料電池評価システムでは、DC/DCコンバータ(図示せず)により燃料電池FCの出力電圧が制御される。これにより、燃料電池FCに一定電圧を出力する運転(一定電圧運転)を所定の時間継続させて、燃料電池FCの出力電流値などをモニタしてその特性を評価する。
ステップS410では、制御部700は、入力部110によってユーザから燃料電池FCの運転条件の設定を受け付ける。具体的には、ユーザは運転条件として燃料電池FCの出力電圧値と一定電圧運転の継続時間とを設定する。以後、この入力された出力電圧値を「設定電圧値Vs」と呼び、一定電圧運転の継続時間を「設定時間ts」と呼ぶ。ステップS420では、制御部700は燃料電池FCの運転を開始する。具体的には、制御部700は、燃料電池FCへの反応ガスの供給を開始し、燃料電池FCの出力電圧が設定電圧値VsとなるようにDC/DCコンバータを制御する。制御部700は、出力計測部600により燃料電池FCの出力電流値を検出し、その検出結果を表示部120に表示する(ステップS430)。
ここで、燃料電池FCの発電継続中に、ユーザによる運転条件の設定以外の原因で、反応ガスの状態が突沸の発生を引き起こす可能性が高い状態へと移行してしまう場合がある。具体的には、例えば、燃料電池FCの起動時に乾燥していた電解質膜が、燃料電池FCの発電を継続して湿潤状態となり、燃料電池FCの発電効率が上昇し、その発電量(電流値)が増大する場合である。この場合には、発電反応により生成される水分が増大するため、燃料電池FCの内部における水蒸気量が増大し、燃料電池FCの出口側及び燃料電池評価システム内の燃料電池FCの下流側(燃料電池FC後段側)において反応ガス中の水分量が上昇する。そのため、反応ガスの減圧命令などがされた場合には燃料電池評価システム内で突沸が発生する可能性が高くなる。また、加湿部220,320の故障などにより、燃料電池FCに供給される反応ガスの加湿温度が、制御不能な状態で増大してしまうような場合にも、反応ガスの露点温度の上昇により、突沸が発生する可能性が増大する。そこで、本実施例の制御部700は、燃料電池FCの一定電圧運転の継続中に突沸判定処理を実行し、燃料電池FCの内部状態が突沸が発生する可能性が高い状態へ移行していることを検出する(ステップS440)。
図9は、制御部700の突沸判定処理の処理手順を示すフローチャートである。制御部700は、この突沸判定処理をカソード側のガス系統及びアノード側のガス系統についてそれぞれ実行する。以下には、カソード側のガス系統に対する突沸判定処理について説明する。なお、アノード側のガス系統に対する突沸判定処理は、カソード側のガス系統に対する処理と同様であるため、その説明は省略する。
ステップS510では、制御部700は、出口側露点計530の計測値が100℃より大きいか否かを判定する。肯定的な判定結果である場合には、制御部700はさらにステップS520以降の処理において、突沸判定マップを用いた判定処理を実行し、より具体的な突沸発生の可能性を判定する。具体的には、制御部700は、ステップS520において、出口側露点計530の計測値T1と出口側圧力計520の背圧の実測値P0とをそれぞれ、判定条件値Tj,Pjとして設定し、ステップS530において突沸判定マップMPによる判定処理を実行する。
図10は、ステップS530における判定処理における判定方法を説明するための説明図である。図10(A),(B)にはそれぞれ、図4で説明したのと同様な突沸判定マップMPが図示されている。まず、制御部700は、第1の判定条件値TjにΔTを加算した値を横軸座標とし、第2の判定条件値Pjを縦軸座標として突沸判定マップMPに点α1をプロットする(図10(A))。さらに、制御部700は、第1の判定条件値Tjを横軸座標とし、第2の判定条件値PjからΔPを減算した値を縦軸座標として突沸判定マップMPに点α2をプロットする(図10(B))。ここで、加算値ΔT及び減算値ΔPは、予め任意に設定された実数値である。
制御部700は、少なくとも点α1または点α2のいずれか一方が突沸発生領域HAに位置する場合には、突沸が発生する可能性が高いと判定する。一方、点α1及び点α2の両方が突沸発生領域に位置する場合には、突沸が発生する可能性が低いと判定する。なお、制御部700は、さらに、判定条件値Tj,PjのそれぞれにΔT,ΔPを加えて突沸の発生可能性を判定するものとしても良い。即ち、この第4実施例では、2つの実数値ΔT,ΔPを用いることにより、反応ガスの状態が予め設定された突沸発生領域HAにない場合であっても、突沸発生領域HAにΔT,ΔPの分だけ近付いている場合にも突沸発生の可能性が高いと判定される。
図11は、ステップS530における判定処理について、他の判定方法を説明するための説明図である。この判定方法では、図10の突沸発生領域HAとは異なる新たな突沸発生領域を設定して判定に用いる。以下に、新たな突沸判定領域の設定方法を説明する。まず、突沸判定マップMPの曲線グラフGを横軸のマイナス方向にΔTだけ平行移動させて曲線グラフG-ΔTを得る(図11(A))。次に、突沸判定マップMPの曲線グラフGを縦軸のプラス方向にΔPだけ平行移動させて曲線グラフG+ΔPを得る(図11(B))。突沸判定マップMPにおいて、上記の方法で得られた2つの曲線グラフG-ΔT,G+ΔPの下側の領域を突沸判定領域HA2とする(図11(C))。突沸が発生する可能性の判定は、第1実施例の突沸発生領域HAを用いた場合(図4)と同様に、判定条件値Tj,Pjを座標とする点αをプロットすることにより行う。即ち、この判定処理においては、反応ガスの状態が、突沸発生領域HAと同様な、予め設定された突沸発生領域HA2に入る場合に突沸が発生する可能性があると判定する。なお、この判定方法は、その判定結果が図10を用いて説明した上述の判定方法と等しく、これら2つの判定方法は等価な判定方法である。なお、この判定方法において、2つの曲線G-ΔT,G+ΔPのうちいずれか一方のみを用いて突沸発生領域を設定するものとしても良い。
制御部700は、ステップ530において、突沸の発生可能性が高いと判定した場合には、制御部700は、燃料電池FCの特性の評価のための一定電圧運転を中止し、突沸の発生を回避するための運転制御モードへと移行する(ステップS540)。具体的には、制御部700は突沸の発生を回避するために以下の処理を実行する。即ち、制御部700は、燃料電池FCに供給される反応ガスの圧力を上昇させる。また、制御部700は、加湿部220,320の温水の温度を低下させて反応ガスの露点温度を低下させる。さらに、制御部700は、燃料電池FCへの反応ガスの流量を増大させることにより、燃料電池FCの排水量を増大させるものとしても良い。即ち、制御部700は、燃料電池FC及びガス系統内の水蒸気量を低減する方向への制御を行う。また、制御部700は、燃料電池FCのセル電圧を増加させて燃料電池FCの出力電流値を減少させる制御を行い、燃料電池反応による生成水の発生量を減少させる制御を行うものとしても良い。
他に、制御部700は、突沸の発生を回避するために、燃料電池FCの出力を制御するものとしても良い。例えば、制御部700は、燃料電池FCの出力電圧値を上昇させ、燃料電池FCの出力電流量を低下させるものとしても良い。また、制御部700は、表示部120に燃料電池FCにおいて突沸が発生する可能性が高い状態にあることを表示してユーザに警告するものとしても良い。制御部700は、ステップS540の処理を実行した後に、燃料電池評価処理(図8)を終了する。
ステップS510またはステップS530において判定結果が否定的なものである場合、即ち、突沸の発生可能性が低いと判定された場合には、制御部700は、突沸判定処理を終了し、燃料電池FCの特性評価処理に戻る(図8)。制御部700は、一定電圧発電を開始してからの経過時間が設定時間ts内である場合には、ステップS420以降の処理を繰り返し、設定時間tsが経過した場合には、燃料電池評価処理を終了する(ステップS450)。
このように、この第4実施例の構成によれば、燃料電池FCの運転継続中に、ユーザによる運転条件の設定以外の原因で、燃料電池FCにおける突沸発生の可能性が高くなったことを検出できる。従って、より燃料電池の特性の評価において燃料電池内部の水分が突沸する可能性を低減できる。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。例えば、燃料電池評価システムを燃料電池評価装置として実施することも可能である。また、他に、次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
上記実施例において、燃料電池評価システムの評価対象である燃料電池FCは固体高分子型燃料電池であったが、他の種類の燃料電池を評価対象とするものとしても良い。また、上記実施例において、加湿部220,320はバブラー方式の加湿器により構成されていたが、他の方式を採用する加湿器によって構成されるものとしても良い。但し、反応ガスの露点温度をより安定して制御するために、加湿部220,320は、バブラー方式の加湿器であることが好ましい。
E2.変形例2:
上記実施例において、制御部700は、突沸判定マップMPを用いて突沸の発生可能性の判定を実行していた。しかし、制御部700は、突沸判定マップMPを用いることなく突沸の発生可能性を判定するものとしても良い。制御部700は、反応ガスの状態が、燃料電池内の水分の突沸を引き起こす可能性が高い状態の領域として予め設定された突沸発生領域に入るか否かを、入力された運転条件または反応ガスの状態に関する値の実測値を用いて判定すれば良い。ここで、「反応ガスの状態」とは、上記実施例のように反応ガスの圧力や温度(露点温度を含む)などの状態値を含み、さらに、反応ガスの流量や、相対湿度など他の状態値を含むものとしても良い。また、「突沸発生領域」とは、例えば、上記実施例のようにマップ上の特定の領域としても良いし、反応ガスの状態を表す数値の特定の範囲であるものとしても良い。例えば、制御部700は、反応ガスの加湿温度を昇温させる運転条件の設定がされた場合に、その昇温量が予め設定された閾値より大きい場合に、突沸の可能性があると判定するものとしても良い。
E3.変形例3:
上記実施例において、制御部700は、圧力計230,330,420,520や温度検出部225,325、露点計240,340,430,530の実測値を反応ガスの状態に関する実測値として検出し、突沸判定処理に用いていた。しかし、制御部700は、他の反応ガスの状態に関する実測値を検出して、突沸判定処理を実行するものとしても良い。例えば、反応ガスの温度や反応ガスの流量を検出して突沸判定処理に用いるものとしても良い。また、燃料電池FCの動作温度を検出して、その計測値を用いるものとしても良い。
E4.変形例4:
上記実施例の突沸判定処理において、突沸の発生可能性が高いと判定した場合には、制御部700は、突沸を回避するための処理を実行していた。しかし、突沸を回避するための処理は実行されなくとも良い。例えば、上記第1ないし第3実施例では、ユーザの入力した運転条件を無効とすることにより、燃料電池FCの運転条件の変更を禁止していた(図3;ステップS150等)。しかし、制御部700は、入力された運転条件を無効とすることなく、燃料電池FCの運転を開始するものとしても良い。この場合には、制御部700は、表示部120に燃料電池FCが突沸の発生可能性のある状態で運転している旨を表示するものとしても良い。また、上記第4実施例では、反応ガスの圧力を増大させ、反応ガスの温度を低下させる等していた(図9;ステップS540)。しかし、制御部700は、そうした処理を実行することなく、燃料電池FCの運転を継続または中断するものとしても良い。なお、この場合には、ユーザに突沸発生の可能性を警告するものとしても良い。
E5.変形例5:
上記第1ないし第3実施例において、さらに、燃料電池FCの運転継続中(ステップS30〜S40)に、第4実施例のように突沸判定処理が実行されるものとしても良い。この突沸判定処理には、例えば、圧力計420,520の実測値や露点計430,530の実測値などの反応ガスの状態に関する実測値が用いられるものとしても良い。また、燃料電池FCの運転継続中に実行された突沸判定処理において突沸の発生可能性が高いと判定した場合には、制御部700は、第4実施例のように、突沸の発生を回避するための処理(図9;ステップS540)を実行するものとしても良い。
E6.変形例6:
上記第4実施例では、制御部700は、燃料電池FCに一定電圧運転をさせていたが、制御部700は、燃料電池FCに一定電圧運転以外の運転をさせるものとしても良い。例えば、制御部700は、ユーザが指定する増加率で出力電圧を増加させる運転をさせるものとしても良い。また、第4実施例では、ユーザは運転条件として設定電圧Vs及び設定時間tsを設定していたが、他の条件を設定できるものとしても良い。
E7.変形例7:
上記第4実施例において、突沸判定マップMPを用いた判定処理の際に、2つの実数値ΔT,ΔPを加算または減算していたが、ΔT,ΔPの加算または減算は省略して、第1実施例と同様な判定処理を実行するものとしても良い。また、逆に、上記第1ないし第3実施例の突沸判定処理において、2つの実数値ΔT,ΔPを条件判定値Tj,Pjに加算または減算して判定に用いるものとしても良い。即ち、上記第1ないし第3実施例では、反応ガスの状態が突沸発生領域HAに入るときに突沸発生の可能性が高いと判定していたが、反応ガスの状態が突沸発生領域HAに近付いたときにも突沸発生の可能性が高いと判定されるものとしても良い。
第1実施例における燃料電池評価システムの構成を示す概略図。 第1実施例における燃料電池評価処理の処理手順を示すフローチャート。 第1実施例における突沸判定処理の処理手順を示すフローチャート。 突沸判定マップによる判定方法を説明するための説明図。 第2実施例における燃料電池評価システムの構成を示す概略図。 第2実施例における突沸判定処理の処理手順を示すフローチャート。 第3実施例における突沸判定処理の処理手順を示すフローチャート。 第4実施例における燃料電池評価処理の処理手順を示すフローチャート。 第4実施例における突沸判定処理の処理手順を示すフローチャート。 第4実施例における突沸判定マップによる判定方法を説明するための説明図。 第4実施例における突沸判定マップによる判定方法を説明するための説明図。
符号の説明
100…ユーザインタフェース
110…入力部
120…表示部
200…アノードガス供給部
201…供給配管
210…燃料ガス供給源
220…加湿部
221…温水
225…温度検出部
230…入口側圧力計
240…入口側露点計
300…カソードガス供給部
301…供給配管
310…酸化ガス供給源
320…加湿部
321…温水
325…温度検出部
330…入口側圧力計
340…入口側露点計
400…アノード排ガス排出部
401…排出配管
410…背圧調整弁
420…出口側圧力計
430…出口側露点計
500…カソード排ガス排出部
501…排出配管
520…出口側圧力計
530…出口側露点計
600…出力計測部
700…制御部
1000,1000A…燃料電池評価システム
FC…燃料電池
G…曲線グラフ(飽和水蒸気圧曲線)
HA,HA2…突沸発生領域
MP…突沸判定マップ

Claims (7)

  1. 燃料電池の特性を評価するための燃料電池評価装置であって、
    前記燃料電池の運転条件を入力するための入力部と、
    前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給部と、
    前記反応ガス供給部を制御して、供給される前記反応ガスの状態を運転条件に応じて制御する制御部と、
    前記反応ガスの状態に関する実測値であるガス状態値を検出するガス状態検出部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記反応ガスの状態が、前記燃料電池内の水分の突沸を引き起こす可能性が高い状態の領域として予め設定された突沸発生領域に入るか否かを、前記入力された運転条件または前記ガス状態値を用いて判定する突沸判定処理を実行する、燃料電池評価装置。
  2. 請求項1に記載の燃料電池評価装置であって、
    前記反応ガスの状態は、前記反応ガスの圧力と温度と露点温度とを含み、
    前記突沸発生領域は、前記反応ガスの温度に対する飽和水蒸気圧を用いて予め設定されており、
    前記突沸判定処理は、前記反応ガスの露点温度に対する前記反応ガスの飽和水蒸気圧を用いて判定する、燃料電池評価装置。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の燃料電池評価装置であって、
    前記制御部は、前記突沸判定処理において、前記反応ガスの状態が前記突沸発生領域に入ると判定した場合に、突沸の発生を回避するための突沸回避処理を実行する、燃料電池評価装置。
  4. 請求項3に記載の燃料電池評価装置であって、
    前記突沸回避処理は、前記入力された運転条件に従った運転を拒否する処理を含む、燃料電池評価装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の燃料電池評価装置であって、
    前記制御部は、前記燃料電池の運転継続中に前記突沸判定処理を実行し、
    前記突沸回避処理は、前記反応ガスの圧力を増大させる処理、または、前記反応ガスの温度を低下させる処理を含む、燃料電池評価装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料電池評価装置であって、さらに、
    前記反応ガスを加湿する加湿部を備える、燃料電池評価装置。
  7. 請求項6に記載の燃料電池評価装置であって、
    前記突沸回避処理は、前記反応ガスの圧力を増大させる処理、または、前記反応ガスの露点温度を低下させる処理を含む、燃料電池評価装置。
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