JP2010118668A - 化合物半導体部材のダメージ評価方法、化合物半導体部材の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体部材及び窒化ガリウム系化合物半導体膜 - Google Patents
化合物半導体部材のダメージ評価方法、化合物半導体部材の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体部材及び窒化ガリウム系化合物半導体膜 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】表面のダメージの程度を詳細に評価することができる化合物半導体部材のダメージ評価方法、並びに、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体部材及び窒化ガリウム系化合物半導体膜を提供する。
【解決手段】まず、化合物半導体基板10の表面10aのフォトルミネッセンス測定を行う。次に、フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、化合物半導体基板10のバンドギャップに対応する波長λ1におけるピークP1の半値幅W1を用いて、化合物半導体基板10の表面10aのダメージを評価する。
【選択図】図4
【解決手段】まず、化合物半導体基板10の表面10aのフォトルミネッセンス測定を行う。次に、フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、化合物半導体基板10のバンドギャップに対応する波長λ1におけるピークP1の半値幅W1を用いて、化合物半導体基板10の表面10aのダメージを評価する。
【選択図】図4
Description
本発明は、化合物半導体部材のダメージ評価方法、化合物半導体部材の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体部材及び窒化ガリウム系化合物半導体膜に関する。
化合物半導体はSiに比べて種々のメリットを有する。例えば、化合物半導体では、組成を調整することによってバンドギャップを制御することができる。さらに、化合物半導体は、直接遷移、ワイドバンドギャップ等の光学特性を有するので、例えばLED又はLD等の光デバイスに好適に利用される。また、化合物半導体は高いキャリア移動度を有するので、高速デバイスにも好適に利用される。
上記光デバイス又は高速デバイス等の化合物半導体デバイスを製造する際には、化合物半導体基板、又は、ガラス基板等の非晶質基板上に化合物半導体膜を形成してなる積層基板が用いられる。化合物半導体基板又は積層基板の表面上には、例えば化合物半導体膜又は電極が形成される。化合物半導体デバイスのデバイス特性は、化合物半導体基板若しくは積層基板と化合物半導体膜との界面、又は、化合物半導体基板若しくは積層基板と電極との界面の影響を強く受ける。したがって、化合物半導体デバイスにおける界面評価は重要である。
また、化合物半導体デバイスを製造する際には、いくつかの製造プロセスにおいて上述の界面にダメージが発生する。例えば、化合物半導体基板又は積層基板の表面粗さはデバイス特性に影響するので、化合物半導体基板又は積層基板の表面は、研磨処理又はエッチング処理される。このとき、表面にスクラッチ又は歪みが生じることによって当該表面にダメージが生じてしまう。また、化合物半導体基板又は積層基板の表面上に、ナノメートルサイズの薄膜又は微細パターンを形成する際には、例えばドライエッチング又はウェットエッチング等が用いられる。このとき、化合物半導体基板若しくは積層基板の表面、又は、薄膜若しくは微細パターンの表面にダメージが生じてしまう。
上述のようなダメージが表面に存在する化合物半導体基板又は化合物半導体膜の表面上に、例えばエピタキシャル膜を成長させることによって化合物半導体デバイスを製造すると、化合物半導体基板又は化合物半導体膜とエピタキシャル膜との界面に存在するダメージに起因してデバイス特性が劣化してしまう。
そこで、化合物半導体基板又は化合物半導体膜の表面のダメージを評価する方法として、通常、X線回折、走査型電子線顕微鏡(SEM)又はカソードルミネッセンス等を用いた方法が用いられている。
一方、特許文献1には、フォトルミネッセンス法を用いて、半導体ウェハに生じるダメージを評価する方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法では、ダメージの程度の詳細な評価を必ずしも十分に行うことができない。
そこで本発明は、表面のダメージの程度を詳細に評価することができる化合物半導体部材のダメージ評価方法、並びに、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体部材及び窒化ガリウム系化合物半導体膜を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの半値幅を用いて、前記化合物半導体部材の前記表面のダメージを評価する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法によれば、バンドギャップに対応する波長におけるピーク(以下、「第1のピーク」という。)の半値幅を用いることによって、詳細なダメージ評価を行うことができる。
ダメージの程度によって化合物半導体部材を構成する原子の原子間距離は変化する。その原子間距離が変化するとバンドの広がりも変化する。さらに、バンドの広がりが変化すると第1のピークの半値幅が変化する。したがって、第1のピークの半値幅を用いることにより、ダメージの程度を詳細に評価することができる。例えば、第1のピークの半値幅は、ダメージの程度が大きくなるに連れて大きくなる傾向にある。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長よりも長波長側に位置するピークの強度を用いて、前記化合物半導体部材の前記表面のダメージを評価する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法によれば、バンドギャップに対応する波長よりも長波長側に位置するピーク(以下、「第2のピーク」という。)の強度を用いることによって、詳細なダメージ評価を行うことができる。
第2のピークは、化合物半導体部材のバンド間に発生する準位に起因する。第2のピークの強度は、発光を生じさせるようなダメージの程度によって変化するので、第2のピークの強度を用いることによりダメージの程度を詳細に評価することができる。例えば、第2のピークの強度は、ダメージの程度が大きくなるに連れて大きくなる傾向にある。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長よりも長波長側に位置するピークの半値幅を用いて、前記化合物半導体部材の前記表面のダメージを評価する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法によれば、第2のピークの半値幅を用いることによって、詳細なダメージ評価を行うことができる。
第2のピークの半値幅は発光を生じさせるようなダメージの程度によって変化するので、第2のピークの半値幅を用いることによりダメージの程度を詳細に評価することができる。例えば、第2のピークの半値幅は、ダメージの程度が大きくなるに連れて大きくなる傾向にある。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度と、前記バンドギャップに対応する前記波長よりも長波長側に位置するピークの強度との比を用いて、前記化合物半導体部材の前記表面のダメージを評価する工程と、を含む。
本発明の化合物半導体部材のダメージ評価方法によれば、第1のピークの強度と第2のピークの強度との強度比を用いることによって、詳細なダメージ評価を行うことができる。
この強度比を用いることにより、化合物半導体部材を構成する原子の配列を変えるようなダメージの程度と、発光を生じさせるようなダメージの程度との関連性を詳細に評価することができる。例えば、上記強度比は、ダメージの程度が大きくなるに連れて小さくなる傾向にある。
また、前記化合物半導体部材は、化合物半導体基板であることが好ましい。この場合、化合物半導体基板表面のダメージの程度を評価することができる。また、フォトルミネッセンス測定において光が例えば化合物半導体部材の内部に深く進入した場合でも、化合物半導体部材の裏面の影響や化合物半導体部材を固定する治具の影響等、他の部材の影響が少ない。
また、前記化合物半導体部材は、基板上に設けられた化合物半導体膜であることが好ましい。この場合、基板の表面のフォトルミネッセンス測定を予め行っておくことにより、当該基板上に設けられた化合物半導体膜表面のダメージの程度を評価することができる。また、ダメージの程度が小さい場合であっても、ダメージが化合物半導体膜に与える相対的な影響が大きくなるので、ダメージを検出し易くなる。
また、前記化合物半導体部材は、単結晶材料又は多結晶材料からなることが好ましい。この場合、ダメージを受けた領域の単結晶材料又は多結晶材料がアモルファスに変化するため、ダメージを受けた領域と受けていない領域とを区別し易くなる。このため、ダメージを検出し易くなるので、ダメージ評価の精度を向上できる。
また、前記バンドギャップは、1.6×10−19J以上であることが好ましい。この場合、フォトルミネッセンス測定の際に、化合物半導体部材が熱による影響を受け難くなる。このため、フォトルミネッセンス測定が容易になる。
また、前記化合物半導体部材は、B、Al及びGaのうち少なくとも1つを含む窒化物系化合物半導体からなることが好ましい。また、前記化合物半導体部材は、Be及びZnのうち少なくとも1つを含む酸化物系化合物半導体からなることが好ましい。さらに、前記化合物半導体部材は、ZnSe系化合物半導体からなることが好ましい。
本発明の化合物半導体部材の製造方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの半値幅が所定の閾値以下の場合に良品と判断する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材の製造方法によれば、第1のピークの半値幅を用いることによって、ダメージの程度を詳細に評価することができる。このため、本発明の化合物半導体部材の製造方法を用いることにより、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材を製造できる。
本発明の化合物半導体部材の製造方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、ダメージが除去された化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの前記波長におけるピークの強度に対して所定の閾値以上の場合に良品と判断する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材の製造方法によれば、バンドギャップに対応する波長におけるピークの強度を比較することによって、ダメージの程度を評価することができる。このため、本発明の化合物半導体部材の製造方法を用いることにより、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材を製造できる。
本発明の化合物半導体部材の製造方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長よりも長波長側におけるピークの半値幅が所定の閾値以下の場合に良品と判断する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材の製造方法によれば、第2のピークの強度を用いることによって、ダメージの程度を詳細に評価することができる。このため、本発明の化合物半導体部材の製造方法を用いることにより、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材を製造できる。
本発明の化合物半導体部材の製造方法は、化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定を行う工程と、前記フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、前記化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長よりも長波長側に位置するピークの強度に対する前記バンドギャップに対応する前記波長におけるピークの強度の比が、所定の閾値以上の場合に良品と判断する工程とを含む。
本発明の化合物半導体部材の製造方法によれば、第1のピークの強度と第2のピークの強度との強度比を用いることによって、ダメージの程度を詳細に評価することができる。このため、本発明の化合物半導体部材の製造方法を用いることにより、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材を製造できる。
また、前記化合物半導体部材は、化合物半導体基板であることが好ましい。この場合、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板を製造できる。
また、前記化合物半導体部材は、基板上に設けられた化合物半導体膜であることが好ましい。この場合、ダメージの程度が小さい化合物半導体膜を基板上に形成できる。
また、上記化合物半導体部材の製造方法は、前記良品と判断する工程の後に、前記化合物半導体部材の前記表面上に薄膜を形成する工程を更に含むことが好ましい。この場合、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材の表面上に薄膜が形成されるので、当該薄膜の結晶性及び表面粗さが向上する。
また、上記化合物半導体部材の製造方法は、前記良品と判断する工程の後に、前記化合物半導体部材の前記表面上に電極を形成する工程を更に含むことが好ましい。この場合、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材の表面上に電極を形成することができる。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体部材は、表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、前記バンドギャップに対応する前記波長よりも長波長側に位置するピークの強度の2倍以上である。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体部材は、表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの前記波長におけるピークの強度の1/10以上である。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体部材では、表面のダメージの程度が小さい。
また、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材は、窒化ガリウム系化合物半導体基板であることが好ましい。この窒化ガリウム系化合物半導体基板では、表面のダメージの程度が小さい。
また、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材は、基板上に設けられた窒化ガリウム系化合物半導体膜であることが好ましい。この窒化ガリウム系化合物半導体膜では、表面のダメージの程度が小さい。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体膜は、表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、前記バンドギャップに対応する前記波長よりも長波長側に位置するピークの強度の2倍以上である窒化ガリウム系化合物半導体部材上に形成される。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体膜は、表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの前記波長におけるピークの強度の1/10以上である窒化ガリウム系化合物半導体部材上に形成される。
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体膜は、表面のダメージの程度が小さい窒化ガリウム系化合物半導体部材上に形成されている。このため、窒化ガリウム系化合物半導体膜の結晶性及び表面粗さは向上する。
本発明によれば、表面のダメージの程度を詳細に評価することができる化合物半導体部材のダメージ評価方法、並びに、ダメージの程度が小さい化合物半導体部材の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体部材及び窒化ガリウム系化合物半導体膜が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係る化合物半導体部材のダメージ評価方法及び化合物半導体部材の製造方法の工程を示すフローチャートである。実施形態に係る化合物半導体部材のダメージ評価方法は、フォトルミネッセンス測定工程S1及びダメージ評価工程S2を含む。実施形態に係る化合物半導体部材の製造方法は、フォトルミネッセンス測定工程S1及びダメージ評価工程S2を含み、薄膜形成工程S3及び電極形成工程S4を更に含むことが好ましい。
(フォトルミネッセンス測定工程)
図2は、フォトルミネッセンス測定工程を模式的に示す図面である。フォトルミネッセンス測定工程S1では、化合物半導体基板10(化合物半導体部材)の表面10aのフォトルミネッセンス測定を行う。フォトルミネッセンス測定は、フォトルミネッセンス測定装置16を用いて行われることが好ましい。
図2は、フォトルミネッセンス測定工程を模式的に示す図面である。フォトルミネッセンス測定工程S1では、化合物半導体基板10(化合物半導体部材)の表面10aのフォトルミネッセンス測定を行う。フォトルミネッセンス測定は、フォトルミネッセンス測定装置16を用いて行われることが好ましい。
フォトルミネッセンス測定装置16は、化合物半導体基板10の表面10aに向けて光L1を出射する光源12を有する。光L1のエネルギーは、化合物半導体基板10のバンドギャップよりも高く設定される。光L1が表面10aに照射されると、価電子帯から伝導帯に励起された電子が価電子帯に戻ることにより、化合物半導体基板10から光L2が出射される。光L2が光検出部14に入射することによって、発光スペクトルが得られる。
光L1は、単色のレーザ光であることが好ましいが、複数の波長成分を含んでもよい。複数の波長成分を含む光L1を得るためには、光源12として色素レーザを用いることが好ましい。また、光L1は、化合物半導体基板10のバンドギャップよりも高いエネルギーを有する波長成分を含む白色光でもよい。
化合物半導体基板10はバルクであるため、フォトルミネッセンス測定において光L1が例えば化合物半導体基板10の内部に深く進入した場合でも、化合物半導体基板10の裏面の影響や化合物半導体基板10を固定する治具の影響等、他の部材の影響が少ない。
化合物半導体基板10のバンドギャップは、1.6×10−19J(1eV)以上であることが好ましい。この場合、フォトルミネッセンス測定の際に光L1によって化合物半導体基板10が加熱された場合でも、化合物半導体基板10が熱による影響を受け難くなる。このため、フォトルミネッセンス測定を容易且つ高精度に行うことができる。
化合物半導体基板10は、B、Al及びGaのうち少なくとも1つを含む窒化物系化合物半導体からなることが好ましい。また、化合物半導体基板10は、Be及びZnのうち少なくとも1つを含む酸化物系化合物半導体からなることが好ましい。さらに、化合物半導体基板10は、ZnSe系化合物半導体からなることが好ましい。いずれの場合であっても、化合物半導体基板10のバンドギャップを大きくすることができるので、フォトルミネッセンス測定において、熱による影響を受け難くなる。
より具体的には、化合物半導体基板10は、例えば、GaAs又はInP等のIII−V族化合物半導体、BN、GaN、AlN又はInN等の窒化物系化合物半導体、ZnO又はZnS等のII−VI族化合物半導体、BexOy、ZnO、Ga2O3又はAl2O3等の酸化物系化合物半導体、ZnSe等のZnSe系化合物半導体、GaAlN又はInGaN等の3元系化合物半導体からなる。また、これらの化合物半導体には不純物がドーピングされていてもよい。
例えば化合物半導体基板10が窒化ガリウム系化合物半導体からなる場合、ウルツ鉱型構造又は閃亜鉛鉱型(立方晶)構造の窒化ガリウム系化合物半導体を好適に用いることができる。ウルツ鉱型構造の場合、表面10aは、C面と呼ばれる(0001)面、M面と呼ばれる(10−10)面、A面と呼ばれる(11−20)面、R面と呼ばれる(01−12)面、及びS面と呼ばれる(10−11)面のうちいずれの面であってもよい。なお、C面には、GaからなるGa面とNからなるN面とがある。通常Ga面の方がエッチングされ難いので、表面10aをGa面とすることが好ましいが、表面10aをN面としてもよい。
また、フォトルミネッセンス測定を行う際に、化合物半導体基板10に代えて、図3に示される化合物半導体膜20(化合物半導体部材)を用いてもよい。
図3は、基板上に設けられた化合物半導体膜を模式的に示す断面図である。図3に示される基板22は、例えばガラス基板等の非晶質基板、サファイア基板又はSi基板等の単結晶基板である。化合物半導体膜20の構成材料としては、化合物半導体基板10と同様のものが挙げられる。
この場合、フォトルミネッセンス測定は、光L1を化合物半導体膜20の表面20aに照射することによって行われる。なお、光L1を表面20aと直交する方向から入射させると、化合物半導体膜20の膜厚によっては、光L2に基板22の情報の方が多く含まれる場合がある。光L1の入射方向を、表面20aと直交する方向からずらしていくに連れて光L2に含まれる基板22の情報は相対的に少なくなる傾向にある。
(ダメージ評価工程)
図4は、フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルを模式的に示す図面である。ダメージ評価工程S2では、フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルを用いて化合物半導体基板10の表面10aのダメージを評価する。かかるダメージとしては、研磨又はエッチング等によるダメージ、スクラッチ又は歪み等が挙げられる。
図4は、フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルを模式的に示す図面である。ダメージ評価工程S2では、フォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルを用いて化合物半導体基板10の表面10aのダメージを評価する。かかるダメージとしては、研磨又はエッチング等によるダメージ、スクラッチ又は歪み等が挙げられる。
図4に示される発光スペクトルは、化合物半導体基板10のバンドギャップに対応する波長λ1におけるピークP1を有する。波長λ1はバンドギャップと同じエネルギーを有する。なお、ピークP1は、波長λ1において必ずしも最大値とならなくてもよい。また、この発光スペクトルは、波長λ1よりも長波長側に位置する波長λ2におけるピークP2を有している。ピークP2は、波長λ2において必ずしも最大値とならなくてもよい。この発光スペクトルを用いることにより、表面10aのダメージを後述の方法1〜方法4を用いることによって、詳細に評価することができる。
化合物半導体基板10が例えば単結晶材料又は多結晶材料からなる場合には、ダメージを受けた領域の単結晶材料又は多結晶材料がアモルファスに変化するため、ダメージを受けた領域と受けていない領域とを区別し易くなる。このため、ダメージを検出し易くなるので、ダメージ評価の精度を向上できる。
<方法1>
方法1では、ピークP1の半値幅W1を用いてダメージの評価を行う。方法1によれば、ピークP1の半値幅W1を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
方法1では、ピークP1の半値幅W1を用いてダメージの評価を行う。方法1によれば、ピークP1の半値幅W1を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
ピークP1の半値幅W1は、化合物半導体基板10のバンドの広がりが変化すると変化する。ここで、バンドの広がりは、化合物半導体基板10を構成する原子の原子間距離が変化すると変化する。また、原子間距離は、表面10aのダメージの程度によって変化する。したがって、ピークP1の半値幅W1を用いることにより、ダメージの程度を詳細に評価することができる。例えば、ピークP1の半値幅W1は、ダメージの程度が大きくなるに連れて大きくなる傾向にある。
方法1は、化合物半導体基板10を製造する際に好適に用いられる。ピークP1の半値幅W1が所定の閾値以下の場合に良品と判断することによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を高い歩留まりで製造できる。
<方法2>
方法2では、ピークP2の強度I2を用いてダメージの評価を行う。方法2によれば、ピークP2の強度I2を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
方法2では、ピークP2の強度I2を用いてダメージの評価を行う。方法2によれば、ピークP2の強度I2を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
ピークP2は、化合物半導体基板10のバンド間に発生する準位に起因する。よって、発光を生じさせるようなダメージが化合物半導体基板10に存在すると、ピークP2が出現する。発光を生じさせるようなダメージの程度によって、ピークP2の強度I2が変化するので、ピークP2の強度I2を用いることによりダメージの程度を詳細に評価することができる。例えば、ピークP2の強度I2は、ダメージの程度が大きくなるに連れて大きくなる傾向にある。
方法2は、化合物半導体基板10を製造する際に好適に用いられる。ピークP2の強度I2が、予めダメージが除去された化合物半導体基板の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて波長λ2に位置するピークの強度に対して、所定の閾値以下の場合に良品と判断することによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を高い歩留まりで製造できる。
<方法3>
方法3では、ピークP2の半値幅W2を用いてダメージの評価を行う。方法3によれば、ピークP2の半値幅W2を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
方法3では、ピークP2の半値幅W2を用いてダメージの評価を行う。方法3によれば、ピークP2の半値幅W2を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
ピークP2の半値幅W2は発光を生じさせるようなダメージの程度によって変化するので、ピークP2の半値幅W2を用いることによりダメージの程度を詳細に評価することができる。例えば、ピークP2の半値幅W2は、ダメージの程度が大きくなるに連れて大きくなる傾向にある。
方法3は、化合物半導体基板10を製造する際に好適に用いられる。ピークP2の半値幅W2が所定の閾値以下の場合に良品と判断することによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を高い歩留まりで製造できる。
<方法4>
方法4では、ピークP1の強度I1とピークP2の強度I2との強度比(I1/I2)を用いてダメージの評価を行う。方法4によれば、強度比(I1/I2)を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
方法4では、ピークP1の強度I1とピークP2の強度I2との強度比(I1/I2)を用いてダメージの評価を行う。方法4によれば、強度比(I1/I2)を用いることによって、下記のように詳細なダメージ評価を行うことができる。
強度比(I1/I2)は、化合物半導体基板10を構成する原子の配列を変えるようなダメージの程度と、発光を生じさせるようなダメージの程度との関連性の指標となる。よって、強度比(I1/I2)を用いることにより上記関連性を詳細に評価することができる。例えば、強度比(I1/I2)は、ダメージの程度が大きくなるに連れて小さくなる傾向にある。
方法4は、化合物半導体基板10を製造する際に好適に用いられる。強度比(I1/I2)が所定の閾値以上の場合に良品と判断することによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を高い歩留まりで製造できる。
<方法5>
方法5では、ピークP1の強度I1を用いてダメージの評価を行う。例えば、ピークP1の強度I1は、ダメージの程度が大きくなるに連れて小さくなる。方法5は、化合物半導体基板10を製造する際に好適に用いられる。ピークP1の強度I1が、予めダメージが除去された化合物半導体基板の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて波長λ1に位置するピークの強度に対して、所定の閾値以上の場合に良品と判断することによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を高い歩留まりで製造できる。
方法5では、ピークP1の強度I1を用いてダメージの評価を行う。例えば、ピークP1の強度I1は、ダメージの程度が大きくなるに連れて小さくなる。方法5は、化合物半導体基板10を製造する際に好適に用いられる。ピークP1の強度I1が、予めダメージが除去された化合物半導体基板の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて波長λ1に位置するピークの強度に対して、所定の閾値以上の場合に良品と判断することによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を高い歩留まりで製造できる。
化合物半導体基板10が例えば窒化ガリウム系化合物半導体からなる場合、強度比(I1/I2)が2以上であることが好ましい。この場合、表面のダメージの程度が小さい窒化ガリウム系化合物半導体基板が得られる。
また、化合物半導体基板10が例えば窒化ガリウム系化合物半導体からなる場合に、波長λ1(365nm付近)におけるピークP1の強度I1が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体基板(ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材)の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの波長λ1(365nm付近)におけるピークの強度の1/10以上であることが好ましい。この場合、表面のダメージの程度が小さい窒化ガリウム系化合物半導体基板が得られる。
なお、化合物半導体基板10に代えて、化合物半導体膜20のダメージを評価してもよい。この場合、基板22の表面22aのフォトルミネッセンス測定を予め行い、方法1〜方法4を用いることにより、基板22上に設けられた化合物半導体膜20の表面20aにおけるダメージの程度を詳細に評価することができる。また、ダメージが化合物半導体膜20に与える相対的な影響が大きくなるので、ダメージの程度が小さい場合であってもダメージを検出し易くなる。
さらに、方法1〜方法5を用いることによって、ダメージの程度が小さい化合物半導体膜20を高い歩留まりで製造できる。また、化合物半導体膜20が例えば窒化ガリウム系化合物半導体からなる場合、強度比(I1/I2)が2以上であることが好ましい。この場合、表面のダメージの程度が小さい窒化ガリウム系化合物半導体膜が得られる。
また、化合物半導体膜20が例えば窒化ガリウム系化合物半導体からなる場合に、波長λ1(365nm付近)におけるピークP1の強度I1が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体膜(ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材)の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの波長λ1(365nm付近)におけるピークの強度の1/10以上であることが好ましい。この場合、表面のダメージの程度が小さい窒化ガリウム系化合物半導体膜が得られる。
(薄膜形成工程)
図5(a)は、薄膜形成工程における化合物半導体基板を模式的に示す断面図である。図5(b)は、薄膜形成工程における化合物半導体膜を模式的に示す断面図である。薄膜形成工程S3は、ダメージ評価工程S2の後に実施されることが好ましい。
図5(a)は、薄膜形成工程における化合物半導体基板を模式的に示す断面図である。図5(b)は、薄膜形成工程における化合物半導体膜を模式的に示す断面図である。薄膜形成工程S3は、ダメージ評価工程S2の後に実施されることが好ましい。
薄膜形成工程S3では、図5(a)に示されるように、化合物半導体基板10の表面10a上に薄膜30を形成する。薄膜30は、例えばエピタキシャル成長法を用いて形成される。薄膜30としては、例えば、化合物半導体膜、酸化膜、ZnO膜、アモルファス膜等が挙げられる。ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10の表面10a上に薄膜30が形成されると、薄膜30の結晶性及び表面粗さは向上する。例えば、化合物半導体基板10が窒化ガリウム系化合物半導体からなり、強度比(I1/I2)が2以上である場合、窒化ガリウム系化合物半導体からなる薄膜30の結晶性及び表面粗さは向上する。
また、例えば、化合物半導体基板10が窒化ガリウム系化合物半導体からなり、波長λ1(365nm付近)におけるピークP1の強度I1が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体基板(ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材)の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの波長λ1(365nm付近)におけるピークの強度の1/10以上である場合、窒化ガリウム系化合物半導体からなる薄膜30の結晶性及び表面粗さは向上する。
また、薄膜形成工程S3では、図5(b)に示されるように、化合物半導体膜20の表面20a上に薄膜32を形成してもよい。薄膜32は、例えばエピタキシャル成長法を用いて形成される。薄膜32としては、薄膜30と同様のものが挙げられる。ダメージの程度が小さい化合物半導体膜20の表面20a上に薄膜32が形成されると、薄膜32の結晶性及び表面粗さは向上する。例えば、化合物半導体膜20が窒化ガリウム系化合物半導体からなり、強度比(I1/I2)が2以上である場合、窒化ガリウム系化合物半導体からなる薄膜32の結晶性及び表面粗さは向上する。
また、例えば、化合物半導体膜20が窒化ガリウム系化合物半導体からなり、波長λ1(365nm付近)におけるピークP1の強度I1が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体膜(ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材)の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおけるの波長λ1(365nm付近)におけるピークの強度の1/10以上である場合、窒化ガリウム系化合物半導体からなる薄膜32の結晶性及び表面粗さは向上する。
(電極形成工程)
図6(a)は、電極形成工程における化合物半導体基板を模式的に示す断面図である。図6(b)は、電極形成工程における化合物半導体膜を模式的に示す断面図である。電極形成工程S4は、ダメージ評価工程S2の後に実施されることが好ましく、薄膜形成工程S3の後に実施されることが更に好ましい。
図6(a)は、電極形成工程における化合物半導体基板を模式的に示す断面図である。図6(b)は、電極形成工程における化合物半導体膜を模式的に示す断面図である。電極形成工程S4は、ダメージ評価工程S2の後に実施されることが好ましく、薄膜形成工程S3の後に実施されることが更に好ましい。
電極形成工程S4では、図6(a)に示されるように、薄膜30上に、例えば金属膜等の電極40を形成する。この場合、薄膜30は優れた結晶性を有し、かつ、表面粗さも低減されているので、薄膜30と電極40との界面におけるダメージの発生を抑制できる。
なお、電極40を化合物半導体基板10の表面10a上に直接形成してもよい。その場合、ダメージの程度が小さい化合物半導体基板10を用いることにより、化合物半導体基板10と電極40との界面におけるダメージの発生を抑制できる。
また、電極形成工程S4では、図6(b)に示されるように、薄膜32上に電極42を形成してもよい。この場合、薄膜32は優れた結晶性を有し、かつ、表面粗さも低減されているので、薄膜32と電極42との界面におけるダメージの発生を抑制できる。
なお、電極40を化合物半導体膜20の表面20a上に直接形成してもよい。その場合、ダメージの程度が小さい化合物半導体膜20を用いることにより、化合物半導体膜20と電極42との界面におけるダメージの発生を抑制できる。
上記各工程を経ることによって、化合物半導体デバイスを製造することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
続いて、上記実施形態に係る実験例について説明する。
(実験例1)
まず、GaN単結晶インゴットをスライスすることによって、2インチφのGaN単結晶基板を準備した。準備したGaN単結晶基板の表面を研磨した後、反応性イオンエッチング法(RIE)を用いて、表面にドライエッチングを施した。ドライエッチング条件を下記に示す。
・エッチングガス:Arガス
・供給電力:200W
・チャンバ内圧力:1.3Pa(10mTorr)
・エッチング時間:10分間
まず、GaN単結晶インゴットをスライスすることによって、2インチφのGaN単結晶基板を準備した。準備したGaN単結晶基板の表面を研磨した後、反応性イオンエッチング法(RIE)を用いて、表面にドライエッチングを施した。ドライエッチング条件を下記に示す。
・エッチングガス:Arガス
・供給電力:200W
・チャンバ内圧力:1.3Pa(10mTorr)
・エッチング時間:10分間
その後、表面のダメージを除去するために、GaN単結晶基板を40℃の5%NH4OH溶液に15分間浸漬させることによってウェットエッチングを行った。このようにして実験例1のGaN単結晶基板を得た。
(実験例2)
まず、GaN単結晶インゴットをスライスすることによって、2インチφのGaN単結晶基板を準備した。準備したGaN単結晶基板の表面を粗研磨した後、粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を用いて表面を更に研磨した。その後、イソプロピルアルコールを用いて表面を洗浄した。このようにして実験例2のGaN単結晶基板を得た。
まず、GaN単結晶インゴットをスライスすることによって、2インチφのGaN単結晶基板を準備した。準備したGaN単結晶基板の表面を粗研磨した後、粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を用いて表面を更に研磨した。その後、イソプロピルアルコールを用いて表面を洗浄した。このようにして実験例2のGaN単結晶基板を得た。
(実験例3)
粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒に代えて、粒径0.1μmのダイヤモンド砥粒を用いたこと以外は実験例2と同様にして、実験例3のGaN単結晶基板を得た。
粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒に代えて、粒径0.1μmのダイヤモンド砥粒を用いたこと以外は実験例2と同様にして、実験例3のGaN単結晶基板を得た。
(実験例4)
実験例3と同様にして得られたGaN単結晶基板に、実験例1のドライエッチングを施して、実験例4のGaN単結晶基板を得た。
実験例3と同様にして得られたGaN単結晶基板に、実験例1のドライエッチングを施して、実験例4のGaN単結晶基板を得た。
(実験例5)
実験例4と同様にして得られたGaN単結晶基板に、希釈したH3PO4溶液を用いてウェットエッチングを施して、実験例5のGaN単結晶基板を得た。
実験例4と同様にして得られたGaN単結晶基板に、希釈したH3PO4溶液を用いてウェットエッチングを施して、実験例5のGaN単結晶基板を得た。
(フォトルミネッセンス測定)
フォトルミネッセンス測定では、光源12として、波長325nmのレーザ光を出射可能なHe−Cdレーザを用いた。レーザ光を、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板の表面に垂直に入射させることによって、それぞれの発光スペクトルを得た。発光スペクトルの一例を図7に示す。
フォトルミネッセンス測定では、光源12として、波長325nmのレーザ光を出射可能なHe−Cdレーザを用いた。レーザ光を、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板の表面に垂直に入射させることによって、それぞれの発光スペクトルを得た。発光スペクトルの一例を図7に示す。
図7は、実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルを示すグラフである。縦軸はPL強度(フォトルミネッセンス強度)を示し、横軸は波長を示す。なお、図7におけるPL強度は、365nm付近のピークP1の強度I1を1とした相対値である。また、365nmよりも長波長側の470〜640nm付近にブロードなピークP2が見られる。
フォトルミネッセンス測定は、波長0.5nm間隔で実施し、ピークP1付近の値を正規分布で補間した。また、バックグラウンドはピークP1の裾の部分を直線近似することにより行った。
(ダメージ評価)
図8は、フォトルミネッセンス測定とカソードルミネッセンス測定との相関関係を示すグラフである。縦軸はPL強度を示し、横軸はCL強度(カソードルミネッセンス強度)を示す。図8中、プロットD1〜プロットD5は、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルの365nm付近におけるピークP1の強度I1をそれぞれ示す。なお、PL強度は、実験例2のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルの365nm付近におけるピークP1の強度I1を1とした相対値である。また、CL強度も、実験例2のGaN単結晶基板におけるCL強度を1とした相対値である。
図8は、フォトルミネッセンス測定とカソードルミネッセンス測定との相関関係を示すグラフである。縦軸はPL強度を示し、横軸はCL強度(カソードルミネッセンス強度)を示す。図8中、プロットD1〜プロットD5は、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルの365nm付近におけるピークP1の強度I1をそれぞれ示す。なお、PL強度は、実験例2のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルの365nm付近におけるピークP1の強度I1を1とした相対値である。また、CL強度も、実験例2のGaN単結晶基板におけるCL強度を1とした相対値である。
図8から、フォトルミネッセンス測定とカソードルミネッセンス測定とが相関関係を有していることが分かる。また、一般に、CL強度はダメージの程度が大きくなるに連れて小さくなるので、PL強度もダメージの程度が大きくなるに連れて小さくなることが分かる。
図9は、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルの365nm付近におけるピークP1の強度I1をそれぞれ示す。図9から、実験例1、実験例4、実験例5、実験例3、実験例2の順に表面のダメージの程度が大きくなることが分かる。
表1に、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルの365nm付近におけるピークP1の半値幅W1をそれぞれ示す。表1から、ダメージの程度が大きくなるに連れてピークP1の半値幅W1が大きくなることが分かる。
表2に、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルのピークP2の強度I2及び半値幅W2をそれぞれ示す。表2から、ダメージの程度が大きくなるに連れてピークP2の強度I2及び半値幅W2がいずれも大きくなることが分かる。
表3に、実験例1〜実験例5のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルにおける強度比(I1/I2)をそれぞれ示す。表3から、ダメージの程度が大きくなるに連れて強度比(I1/I2)が小さくなることが分かる。
(実験例6)
20mm角のGaN単結晶基板を用いた以外は実験例1と同様にして、ダメージが除去された実験例6のGaN単結晶基板を得た。
20mm角のGaN単結晶基板を用いた以外は実験例1と同様にして、ダメージが除去された実験例6のGaN単結晶基板を得た。
(実験例7)
GaN単結晶インゴットをスライスして、20mm角のGaN単結晶基板を準備した。準備したGaN単結晶基板の表面を粗研磨した後、粒径0.3μmのダイヤモンド砥粒を用いて表面を更に研磨することによって、実験例7のGaN単結晶基板を得た。
GaN単結晶インゴットをスライスして、20mm角のGaN単結晶基板を準備した。準備したGaN単結晶基板の表面を粗研磨した後、粒径0.3μmのダイヤモンド砥粒を用いて表面を更に研磨することによって、実験例7のGaN単結晶基板を得た。
(実験例8)
粒径0.3μmのダイヤモンド砥粒に代えて、粒径0.8μmのダイヤモンド砥粒を用いたこと以外は実験例7と同様にして、実験例8のGaN単結晶基板を得た。
(フォトルミネッセンス測定)
粒径0.3μmのダイヤモンド砥粒に代えて、粒径0.8μmのダイヤモンド砥粒を用いたこと以外は実験例7と同様にして、実験例8のGaN単結晶基板を得た。
(フォトルミネッセンス測定)
実験例6〜実験例8のGaN単結晶基板の表面のフォトルミネッセンス測定を実施した。表4に、実験例6〜実験例8のGaN単結晶基板から得られる発光スペクトルにおけるピークP1の強度I1及び強度比(I1/I2)をそれぞれ示す。ピークP1の強度I1から実験例6、実験例7、実験例8の順に表面のダメージの程度は大きくことが分かる。よって、ダメージの程度が大きくなるに連れて強度比(I1/I2)が小さくなることが分かる。
次に、実験例6〜実験例8のGaN単結晶基板の表面上に、HVPE法を用いて膜厚1μmのGaN薄膜を形成した。GaN薄膜の形成条件を下記に示す。なお、GaClガスは、Ga金属をHClガスと880℃で反応させることによって得られる。
・GaN単結晶基板の温度:1000℃
・反応ガス:NH3ガス、GaClガス
・NH3ガス圧力:10kPa
・GaClガス圧力:0.6Pa
・GaN単結晶基板の温度:1000℃
・反応ガス:NH3ガス、GaClガス
・NH3ガス圧力:10kPa
・GaClガス圧力:0.6Pa
GaN薄膜を形成した後、AFMによりGaN薄膜の表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)を測定した。また、X線回折によりバルクに対する格子歪みの割合を測定した。これらの測定結果を表5に示す。表5から、実験例6及び実験例7のGaN単結晶基板は、化合物半導体デバイスに用いる基板として十分な性能を有することが分かった。
10…化合物半導体基板(化合物半導体部材)、10a…化合物半導体基板の表面、12…光源、14…光検出部、16…フォトルミネッセンス装置、20…化合物半導体膜(化合物半導体部材)、20a…化合物半導体膜の表面、22…基板、30,32…薄膜、40,42…電極、I1,I2…強度、L1…光、P1,P2…ピーク、W1,W2…半値幅、λ1,λ2…波長。
Claims (6)
- 表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、前記バンドギャップに対応する前記波長よりも長波長側に位置するピークの強度の2倍以上である、窒化ガリウム系化合物半導体部材。
- 表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの前記波長におけるピークの強度の1/10以上である、窒化ガリウム系化合物半導体部材。
- 当該窒化ガリウム系化合物半導体部材は、窒化ガリウム系化合物半導体基板である、請求項1又は2に記載の窒化ガリウム系化合物半導体部材。
- 当該窒化ガリウム系化合物半導体部材は、基板上に設けられた窒化ガリウム系化合物半導体膜である、請求項1又は2に記載の窒化ガリウム系化合物半導体部材。
- 表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、前記バンドギャップに対応する前記波長よりも長波長側に位置するピークの強度の2倍以上である窒化ガリウム系化合物半導体部材上に形成される、窒化ガリウム系化合物半導体膜。
- 表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルにおいて、当該窒化ガリウム系化合物半導体部材のバンドギャップに対応する波長におけるピークの強度が、ダメージが除去された窒化ガリウム系化合物半導体部材の表面のフォトルミネッセンス測定によって得られた発光スペクトルの前記波長におけるピークの強度の1/10以上である窒化ガリウム系化合物半導体部材上に形成される、窒化ガリウム系化合物半導体膜。
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