JP2010116361A - 水素放出化合物及び水素放出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的低い加熱温度であっても水素の放出量を増大させることができ、水素放出後であっても再利用が可能であり、長期間にわたって安定的に保存することのできる水素放出包接化合物、及び当該水素放出化合物からの水素放出方法を提供する。
【解決手段】水素放出化合物は、ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物を、ホスト化合物としてのアミド系化合物で包接してなる化合物である。窒素ホウ素化合物はアンモニアボラン等であり、アミド系化合物はジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)等である。これにより、窒素ホウ素包接化合物から90から150℃の加熱温度で水素を放出でき、また当該窒素ホウ素包接化合物を長期間にわたって安定的に保存することができる。
【選択図】なし
【解決手段】水素放出化合物は、ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物を、ホスト化合物としてのアミド系化合物で包接してなる化合物である。窒素ホウ素化合物はアンモニアボラン等であり、アミド系化合物はジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)等である。これにより、窒素ホウ素包接化合物から90から150℃の加熱温度で水素を放出でき、また当該窒素ホウ素包接化合物を長期間にわたって安定的に保存することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、水素放出化合物、及び当該水素放出化合物からの水素放出方法に関する。
近年、CO2排出に伴う地球温暖化問題の対策として、水素をエネルギー媒体とする新しいクリーンエネルギーシステムが提案されている。このクリーンエネルギーシステムの中で、燃料電池は、水素と酸素とが結合して水を生成する際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出すエネルギー変換技術であり、自動車のガソリンエンジンに替わる動力源、家庭用オンサイト電源、IT用の直流給電設備等として、次世代の最も重要な技術の一つとして注目されている。
しかしながら、水素は拡散性が高く、爆発性も有するため、取扱いが非常に困難な気体の一つであるとともに、軽く、体積密度も低いため、安全かつ大量に貯蔵する方法が課題となっている。
水素貯蔵技術としては、従来、高圧水素貯蔵法、液体水素貯蔵法、媒体水素貯蔵法が知られており、高圧水素貯蔵法及び液体水素貯蔵法が技術的に先行している。高圧水素貯蔵法は、技術完成度、取扱いの容易さの観点から、現時点で最も有力視されている水素貯蔵技術である。
高圧水素貯蔵法においては、水素を貯蔵するための貯蔵容器の性能(特に、安全性)が重要であり、現在、カーボン繊維強化プラスチック複合材料で耐圧強化したアルミニウム製の軽量水素タンクが開発されているが、さらなる安全性が要求されている。また、この高圧水素貯蔵法では、他の方法と比較して体積水素密度が低いという問題がある。
一方、液体水素貯蔵法は、体積水素密度、質量水素密度ともに優れるものであるが、水素の液化温度が−252.6℃であり、水素の液化に大きなエネルギーを要するとともに、水素の充填時や保存時の蒸発(ボイルオフ)が大きいという問題がある。また、安全性にも懸念が残る。
媒体水素貯蔵法としては、水素吸蔵合金が知られており、水素を金属格子中に主に原子又はイオンの状態で貯蔵することができる。水素吸蔵合金は、ものによっては自己体積の1000倍以上の水素を貯蔵することができ、液体水素に比して多量の水素を貯蔵することができ、さらに数気圧程度の低い圧力で水素を吸放出することができる。そのため、水素吸蔵合金等を用いた媒体水素貯蔵法は、安全性、利便性の観点から将来的に最有力視されている水素貯蔵法である。
しかしながら、水素吸蔵合金は、水素を放出するために200℃以上の高温に加熱する必要があり、マグネシウムやアルカリ金属系の水素吸蔵合金に至っては、300〜1000℃、又はそれ以上の温度に加熱しないと水素を放出することができないという問題がある。また、水素吸蔵合金は、高価であるという問題もある。
このような問題を解決するために、窒素ホウ素化合物等の常温において固体であって、加熱により水素を発生させることのできる化合物を水素貯蔵材料として利用することが考えられる。特に、窒素ホウ素化合物の中で代表的な化合物であるアンモニアボラン(NH3BH3)は、分子内に水素原子を6個保有しており、その水素貯蔵率は19.6質量%と非常に高いものであるため、水素貯蔵材料として有用であると考えられている(特許文献1参照)。
特開2005−067922号公報
しかしながら、アンモニアボラン等の窒素ホウ素化合物の水素放出メカニズムは多段階的であり、水素を放出する際に様々な副反応が起こることも知られている。また、加熱温度が150℃以下であると、窒素ホウ素化合物内の水素をすべて放出できず、水素放出量が不十分であるという問題もある。
さらに、アンモニアボラン等の窒素ホウ素化合物は、水素を放出した後にポリマー状の化合物を形成してしまい、再水素化が困難であるという問題もある。さらにまた、アンモニアボラン等の窒素ホウ素化合物は、吸湿性を有し、加水分解されてしまうため、長期間にわたって安定的に保存することが困難であるという問題もある。
上記課題に鑑みて、本発明は、比較的低い加熱温度であっても水素の放出量を増大させることができ、水素放出後であっても再利用が可能であり、長期間にわたって安定的に保存することのできる水素放出化合物、及び当該水素放出化合物からの水素放出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究した結果、窒素ホウ素化合物を所定のホスト化合物で包接することで、比較的低い加熱温度であっても十分量の水素を放出可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物を、ホスト化合物としてのアミド系化合物で包接してなることを特徴とする水素放出化合物を提供する(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、ゲスト化合物である窒素ホウ素化合物がホスト化合物であるアミド系化合物で包接されていることで、窒素ホウ素化合物単体に比して窒素ホウ素化合物からの水素放出量を増大させることができ、水素放出特性に優れた水素放出化合物とすることができる。また、窒素ホウ素化合物から水素が放出された後に残存するアミド系化合物を回収することで、当該アミド系化合物に再度窒素ホウ素化合物を包接させて再利用することができる。さらに、窒素ホウ素化合物を包接化合物とすることで、窒素ホウ素化合物が加水分解されることがないため、当該窒素ホウ素化合物を長期間にわたって安定的に保存することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記アミド系化合物が、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)又はジフェン酸(ジイソプロピルアミド)であるのが好ましい(請求項2)。
上記発明(請求項2)によれば、ホスト化合物であるアミド系化合物としてジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)又はジフェン酸(ジイソプロピルアミド)を用いることで、ゲスト化合物である窒素ホウ素化合物を効果的に包接することができる。
上記発明(請求項1,2)においては、前記窒素ホウ素化合物が、アンモニアボランであるのが好ましい(請求項3)。アンモニアボランは、窒素ホウ素化合物の中でも水素貯蔵率の高いものであるとともに、アンモニアボランをアミド系化合物で包接することで、アンモニアボラン単体よりも加熱による水素放出特性に優れることから、かかる発明(請求項3)によれば、水素放出特性に極めて優れた水素放出化合物とすることができる。
また、本発明は、水素放出化合物から水素を放出させる方法であって、上記発明(請求項1〜3)に係る水素放出化合物を加熱することを特徴とする水素放出方法を提供する(請求項4)。
上記発明(請求項4)によれば、上記発明(請求項1〜3)に係る水素放出化合物が加熱による優れた水素放出特性を示すため、水素放出化合物から効率的に水素を放出させることができる。
上記発明(請求項5)においては、前記水素放出化合物を、90〜150℃に加熱するのが好ましい(請求項6)。かかる発明(請求項6)によれば、例えば150℃を超えるような高温に加熱することなく、水素放出化合物からの水素放出量を増大させることができる。
本発明によれば、比較的低い加熱温度であっても水素の放出量を増大させることができ、水素放出後であっても再利用が可能であり、長期間にわたって安定的に保存することのできる水素放出化合物、及び当該水素放出化合物からの水素放出方法を提供することができる。
以下、本発明の水素放出化合物の実施形態を詳細に説明する
本発明の水素放出化合物は、ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物をホスト化合物としてのアミド系化合物で包接してなる包接化合物である。
本発明の水素放出化合物は、ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物をホスト化合物としてのアミド系化合物で包接してなる包接化合物である。
なお、本発明において「包接化合物」とは、単独で安定に存在することのできる化合物の2種類以上が、水素結合やファンデルワールス力等に代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、このような包接化合物は、一般に、包接化合物を形成するホスト化合物と、包接しようとするゲスト化合物との接触反応により形成することができる。
本発明において、ホスト化合物として用いるアミド化合物としては、例えば、下記式(1)で表されるジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)、下記式(2)で表されるジフェン酸(ジイソプロピルアミド)等が挙げられる。
上記アミド系化合物は、例えば、特公平4−34987号公報に記載の方法により製造することができる。
また、ゲスト化合物である窒素ホウ素化合物としては、上記アミド系化合物と包接化合物を形成し得るものであって、加熱等により水素を放出し得るものであればよく、例えば、アンモニアボラン;アンモニアボロハイドライド(NH4BH4);メチルアンモニアボラン(CH3NH2BH3)、ジメチルアンモニアボラン((CH3)2NHBH3)、トリメチルアンモニアボラン((CH3)3NBH3)等のアルキルアンモニアボラン等を用いることができ、特にアンモニアボランを用いるのが好ましい。アンモニアボランは、加熱により水素を放出し得るものであり、かつ一分子中に6個の水素原子を保有し、水素貯蔵率が19.6質量%と非常に高いことから、水素放出化合物のゲスト化合物である窒素ホウ素化合物として用いることで、当該水素放出化合物が優れた水素放出特性を示すこととができる。
本発明の水素放出化合物は、上記アミド系化合物と上記窒素ホウ素化合物とを有機溶媒中で接触させることによって、容易に製造可能である。この場合、上記アミド系化合物を有機溶媒に溶解させてなる溶液に、窒素ホウ素化合物(又は窒素ホウ素化合物と不純物等とを含む混合物)を添加・混合し、アミド系化合物と窒素ホウ素化合物とを反応させる。
上記有機溶媒としては、アミド系化合物及び窒素ホウ素化合物を溶解させ得るものであって、かつアミド系化合物に包接されないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、アセトニトリル、ジ−n−ブチルエーテル等を用いることができ、これらのうちの一種を単独で用いてもよいし、二種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
アミド系化合物と窒素ホウ素化合物とを接触させるためには、まず、アミド系化合物を上記有機溶媒に溶解させた溶液を調製する。
上記有機溶媒にアミド系化合物を溶解させる際の温度は、当該有機溶媒の沸点以下であればよく、例えば有機溶媒としてジ−n−ブチルエーテルを用いた場合には、100〜140℃であるのが好ましい。当該温度が100℃未満であると、上記有機溶媒(ジ−n−ブチルエーテル)にアミド系化合物を十分に溶解させることができないおそれがあり、140℃を超えると上記有機溶媒(ジ−n−ブチルエーテル)が蒸発し、水素放出化合物の合成が困難になるおそれがある。
次に、得られた溶液に窒素ホウ素化合物(又はさらに不純物等を含むもの)を添加・混合し、窒素ホウ素化合物を溶解させる。これにより、アミド系化合物と窒素ホウ素化合物とを有機溶媒中で接触させることができる。
上記溶液に窒素ホウ素化合物を添加する際の上記溶液の温度は、70℃以下であるのが好ましい。当該温度が70℃を超えると、上記溶液に添加した窒素ホウ素化合物が分解してしまい、アミド系化合物中に窒素ホウ素化合物を効率的に包接させるのが困難となり、得られる包接化合物中の窒素ホウ素化合物含有率が低下するおそれがある。
窒素ホウ素化合物の上記溶液への添加量は、アミド系化合物に十分量の窒素ホウ素化合物を包接させ得る限り特に限定されるものではないが、例えば、アミド系化合物に対しモル比で1〜5倍量程度であればよい。
アミド系化合物と窒素ホウ素化合物との接触時間(反応時間)は、特に限定されるものではないが、0.5〜24時間程度であればよい。反応時間が0.5時間未満であると、アミド系化合物と窒素ホウ素化合物との反応がほとんど進行せず、包接化合物の回収率が低下するおそれがあり、24時間を超えても包接化合物の回収率の向上がほとんど見込めないおそれがある。
このようにして製造される包接化合物(水素放出化合物)は、固体状物質として得られるため、固液分離して、常法により乾燥することで、本発明の水素放出化合物を製造することができる。
上記のようにして得られる水素放出化合物は、常法により、例えば、略球状、略方体状(直方体状、立方体状等)、略円柱状等の定形固形物として成形してもよいし、薄膜状、繊維状等の形状に成形してもよい。
このようにして得られる水素放出化合物から水素を放出させる方法としては、例えば、当該水素放出化合物を加熱する方法が挙げられる。このように、水素放出化合物を加熱することで、窒素ホウ素化合物が熱分解され、水素放出化合物中に取り込まれている窒素ホウ素化合物から水素が放出される。
水素放出化合物から水素を放出させるためには、常圧下で90〜150℃に水素放出化合物を加熱するのが好ましく、特に100〜120℃に加熱するのが好ましい。加熱温度が90℃未満であると、水素放出化合物からの十分な水素放出量を確保するのが困難となるおそれがあり、150℃を超えても水素放出量がそれほど向上せず、エネルギー効率が低下するおそれがある。
本発明の水素放出化合物を加熱して水素を放出させた後は、ホスト化合物であるアミド系化合物が残存するため、かかるアミド系化合物を回収し、上記と同様にして再度窒素ホウ素化合物を包接させることで、有効に再利用することができる。
本発明の水素放出化合物は、比較的低い温度(90〜150℃)での加熱による水素放出特性に優れるため、例えば、燃料電池用固体状燃料として好適に用いることができる。この場合、燃料電池用燃料カートリッジ等に、必要に応じて略球状等に成形した水素放出化合物を充填し、当該燃料電池用燃料カートリッジを加熱することで、水素放出化合物から水素を発生させ、当該水素を燃料電池の燃料極に供給するようにすればよい。
本発明の水素放出化合物によれば、ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物がホスト化合物としてのアミド系化合物で包接されていることで、単体の窒素ホウ素化合物に比して加熱による水素放出量を増大させることができるとともに、窒素ホウ素化合物を長期間にわたり安定的に貯蔵することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
[水素放出化合物の製造]
ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)2g(3.52mmol)をサンプル瓶に採り、15mLのジ−n−ブチルエーテルに溶解させた後、70℃付近まで放冷し、アセトニトリル5mLを加え、その後、アンモニアボラン0.21g(6.80mmol)を加えて混合した。混合後、しばらく放置して白色の結晶を析出させた。得られた結晶を吸引濾過により分取し、乾燥させた。
ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)2g(3.52mmol)をサンプル瓶に採り、15mLのジ−n−ブチルエーテルに溶解させた後、70℃付近まで放冷し、アセトニトリル5mLを加え、その後、アンモニアボラン0.21g(6.80mmol)を加えて混合した。混合後、しばらく放置して白色の結晶を析出させた。得られた結晶を吸引濾過により分取し、乾燥させた。
得られた生成物について、IR測定及びNMR測定を行った結果、得られた生成物は、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)/アンモニアボラン≒1/2(モル比)の包接化合物であることが確認された(実施例1)。
[水素放出試験]
上記のようにして得られた包接化合物(実施例1)0.03gを、10gのねじ口瓶に入れて蓋をし、105℃で加熱することにより発生するガスを捕集し、ガス検知管で水素ガスの存在を確認した。
上記のようにして得られた包接化合物(実施例1)0.03gを、10gのねじ口瓶に入れて蓋をし、105℃で加熱することにより発生するガスを捕集し、ガス検知管で水素ガスの存在を確認した。
比較として、アンモニアボランを加えない以外は上記と同様にしてジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)をジ−n−ブチルエーテル/アセトニトリル混合溶媒で再結晶させたもの(比較例1)についても、上記と同様にして水素放出試験を行った。
上記試験の結果、実施例1の包接化合物からは水素ガスの発生が確認されたが、比較例1のジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)からは水素ガスの発生が確認されなかった。このことから、実施例1の包接化合物から発生した水素は、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)に包接されたアンモニアボランに由来するものであることが明らかとなった。
[水素放出量の測定]
上記のようにして得られた包接化合物(実施例1)を、窒素ガス雰囲気下で25℃から300℃まで昇温し、その重量変化を示差熱重量分析(TG)により測定した。また、アンモニアボラン単体(比較例2)についても、同様にして測定した。
上記のようにして得られた包接化合物(実施例1)を、窒素ガス雰囲気下で25℃から300℃まで昇温し、その重量変化を示差熱重量分析(TG)により測定した。また、アンモニアボラン単体(比較例2)についても、同様にして測定した。
その結果、アンモニアボラン単体(比較例2)を加熱した場合、95〜120℃において7.38質量%の重量減少があることが確認されたが、上記包接化合物(実施例1)を加熱した場合、95〜120℃において1.09質量%の重量減少が確認された。
上記包接化合物(実施例1)は、ホスト化合物であるジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)1分子がゲスト化合物であるアンモニアボラン2分子を包接しているものであるため、当該包接化合物の分子量は、568.84(g/mol)+30.86(g/mol)×2=630.56(g/mol)である。そのため、上記包接化合物(実施例1)の重量減少量(g)は、630.56×1.09/100≒6.87gである。この重量減少量(g)がアンモニアボランからの水素の放出量に相当すると考えられることから、アンモニアボランからの水素放出量は、6.87/(30.86×2)×100=11.14質量%であることが分かる。このことから、アンモニアボランをジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)で包接することによって、アンモニアボラン単体の場合よりも水素放出量を増大させることが可能であることが確認された。
本発明の水素放出化合物は、比較的低い加熱温度であっても十分量の水素を放出することができるとともに、長期間にわたって安定的に保存することができるため、燃料電池用固体状燃料として有用である。
Claims (5)
- ゲスト化合物としての窒素ホウ素化合物を、ホスト化合物としてのアミド系化合物で包接してなることを特徴とする水素放出化合物。
- 前記アミド系化合物が、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)又はジフェン酸(ジイソプロピルアミド)であることを特徴とする請求項1に記載の水素放出化合物。
- 前記窒素ホウ素化合物が、アンモニアボランであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素放出化合物。
- 水素放出化合物から水素を放出させる方法であって、
請求項1〜3のいずれかに記載の水素放出化合物を加熱することを特徴とする水素放出方法。 - 前記水素放出化合物を、90〜150℃に加熱することを特徴とする請求項4に記載の水素放出方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018043634A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 国立大学法人大阪大学 | 自己触媒能を有する炭素系水素貯蔵材料、その製造方法、その化合物を用いる水素の吸蔵方法及び水素の放出方法、及び水素吸蔵用デバイス |
-
2008
- 2008-11-14 JP JP2008291773A patent/JP2010116361A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2018043634A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-08 | 国立大学法人大阪大学 | 自己触媒能を有する炭素系水素貯蔵材料、その製造方法、その化合物を用いる水素の吸蔵方法及び水素の放出方法、及び水素吸蔵用デバイス |
JPWO2018043634A1 (ja) * | 2016-08-31 | 2019-07-18 | 国立大学法人大阪大学 | 自己触媒能を有する炭素系水素貯蔵材料、その製造方法、その化合物を用いる水素の吸蔵方法及び水素の放出方法、及び水素吸蔵用デバイス |
US11072524B2 (en) | 2016-08-31 | 2021-07-27 | Osaka University | Carbon-based hydrogen storage material having autocatalytic capability, production method thereof, and hydrogen adsorbing—storing method, hydrogen releasing method, and hydrogen adsorption—storage device using thereof |
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