JP2010111180A - 設計方法 - Google Patents

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JP2010111180A JP2008283534A JP2008283534A JP2010111180A JP 2010111180 A JP2010111180 A JP 2010111180A JP 2008283534 A JP2008283534 A JP 2008283534A JP 2008283534 A JP2008283534 A JP 2008283534A JP 2010111180 A JP2010111180 A JP 2010111180A
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Abstract

【課題】トルクステアを大幅に低減することができる設計方法を提供すること。
【解決手段】本発明による設計方法は、ホイール中心位置キングピンオフセットがタイヤ及びホイールのバウンド又はリバウンドに伴うストロークにより変化するサスペンション装置51において、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率がトータルキングピンモーメントをゼロとする所定式を満たすように、サスペンション装置51を構成するリンク又はアームのキャリア又はボディ側への連結点を設定することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両のサスペンション装置に適用されて好適な設計方法に関する。
一般に車両においては路面からタイヤに作用する衝撃を直接的にボディに伝達させないために、タイヤを保持するホイールを回転自在に支持するキャリアとボディとの間には、衝撃を緩和するための緩衝装置としてのスプリングが介装され、さらに、キャリアに衝撃が作用した後、キャリアがスプリングにより継続的に振動するエネルギーを迅速に減衰する減衰装置としてのショックアブソーバが、同様にキャリアとボディとの間に介装されており、キャリアをボディとを連結するアーム又はリンクを含めてサスペンション装置が構成されている。
スプリングとしては円筒状の鋼材を螺旋状に巻回したコイルスプリングや、棒状の鋼材の捩り剛性を利用するトーションバースプリングや、空気やその他の気体を封入したダイヤフラムを用いた空気バネが用いられる。ショックアブソーバとしては、シリンダに挿通されるシャフトと、シリンダの内周面と摺接するピストンとをさらに備え、シリンダ内部のシリンダ上下の液室に油等の流体を充填し、ピストンに絞りと弁を適宜設けることで、シャフトとシリンダとが軸方向に変位した場合に、流体が上下の液室間を移動して、流体が絞りを通過する時に絞りが流体に抵抗を付与することにより発生する減衰効果を利用するものが一般的に用いられる。
このようなサスペンション装置においては、前述したタイヤの内、エンジンに対してトランスミッションを介して連結されて駆動される駆動輪の左右位置における駆動力差によるトルクステア、駆動力を伝達するためのドライブシャフトの剛性左右差、デファレンシャルによる駆動力配分、ドライブシャフト傾角左右差の設定、重量左右差、タイヤ発生応力左右差に起因するトルクステアが発生する。このようなトルクステアを低減する手法として、特許文献1〜4に記載の従来技術が提案されている。
特開2008−37323号公報 特開2007−76578号公報 特開2004−09843号公報 特開2000−255441号公報
ところが、上述した特許文献1〜4に記載の従来技術においては、いずれもある程度の低減は可能であるが、トルクステアを大幅に低減することはできていなかった。すなわち、このような従来技術におけるサスペンション装置においては、トルクステアを大幅に低減することができないという問題があった。
本発明は、トルクステアを大幅に低減することができる設計方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の設計方法は、
ホイール中心位置キングピンオフセットがタイヤ及びホイールのバウンド又はリバウンドに伴うストロークにより変化するサスペンション装置において、
単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率がトータルキングピンモーメントをゼロとする所定式を満たすように、
前記サスペンション装置を構成するリンク又はアームの前記キャリア又は前記ボディ側への連結点を設定することを特徴とする。
ここで、前記ホイール中心位置キングピンオフセットとは、前記サスペンション装置が含む上下方向二箇所に位置するリンク又はアームの、前記キャリア側に対する複数の連結点により定まる上下二箇所の瞬間中心を結んだキングピン軸により定まる。このキングピン軸延長線とホイールの中心軸線との交点とホイールの幅方向の中心位置であるホイール中心位置との前記ホイールの中心軸線上の離隔距離を、本明細書においてはホイール中心位置キングピンオフセットと称する。
なお、一般的に用いられるキングピンオフセットは、前記キングピン軸と路面との交点と、タイヤの路面に対する接地面すなわちタイヤ接地面の中心との、車幅方向における離隔距離を指すが、本明細書における前記ホイール中心位置キングピンオフセットは前記キングピンオフセットとは異なる。通常、トルクステアを計算するにあたってモーメントアーム長として前者の前記ホイール中心位置キングピンオフセットを用い、後者の前記キングピンオフセットは制動力を作用させた場合のモーメントアーム長として用いる。
前記タイヤ及びホイールが前記キャリアとともに、車両の旋回時のロール方向の挙動、ノーズダイブ、テールリフト等のピッチング方向の挙動や、路面の凹凸、車両の重量の変化による上下方向の挙動等により、車両のボディに対して上方向に変位するバウンド、又は下方向に変位するリバウンドに伴って、ボディに対するキャリアのストロークが発生することに伴って、以上述べた前記ホイール中心位置キングピンオフセットが変化するためには、前記サスペンション装置は、マルチリンク式又はダブルウッシュボーン式である必要があり、ストラット式では前記ホイール中心位置キングピンオフセットが前記ストロークにより変化することはない。
なお、前記ストロークの変化に伴い前記ホイール中心位置キングピンオフセットを変化させるにあたって、前記ストロークの変化に対して前記ホイール中心位置キングピンオフセットを直線状又は直線に近い二次曲線状の線形に変化させることが設計の手順を簡略化させるにあたって好ましい。これによれば、前記連結点の設定にあたり試行錯誤的に複数の前記連結点の相互位置関係を変化させる手順をなるべく少なくすることができる。
また、前記リンク又はアームの前記キャリア又は前記ボディ側への連結点については、前記連結点が前記キャリア及び前記ボディに対してそれぞれ例えばアッパ側に二箇所、ロア側に二箇所ある場合において、前記リンク又は前記アームの前記ボディ側の連結点の相互位置関係を変化させることよりも、前記リンク又は前記アームの前記キャリア側の二箇所の連結点の相互位置関係を変化させることのほうが、前記ホイール中心位置キングピンオフセットの前記ストロークの単位長さあたりの変化を大きくすることができる。
さらに、前記キャリア側の前記リンク又は前記アームの二箇所の連結点の相互位置関係を上下方向に変化させることにより、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を調節することがより容易なものとなる。この場合において前記キャリアのアッパ側又はロア側に位置する前記リンク又は前記アームの前記二箇所の連結点の相互位置関係を調節することができる。
また、ロア側に位置する前記リンク又は前記アームの前記二箇所の連結点について、前記二箇所の連結点の車両前後方向の前側に位置する前記連結点を車両前後方向の後側の前記連結点よりも上下方向の上側に位置させることで、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を大きく設定することができ、逆に前記二箇所の連結点の車両前側に位置する前記連結点を車両前後方向の後側の前記連結点よりも上下方向の下側に位置させることで、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を小さく設定することができる。
これに加えて、ロア側に位置する前記二箇所の前記連結点を車両前後方向にオフセットさせて位置させて、この車両前後方向のオフセット量を調節することで、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を調節することも可能である。特には、車両前後方向の前側の前記連結点を、後側の前記連結点に対して前側に離隔する方向に位置させることで、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を大きく設定することができ、前記前側の前記連結点を逆に後側の前記連結点に対して接近する方向に位置させることで、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を小さく設定することができる。
ただし、前記二箇所の前記連結点における車両前後方向のオフセット量を調節することにより、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率を調節するにあたっては、前記前側の前記連結点を後側の前記連結点に対して離隔する方向に位置させることを、ロア側の二箇所の連結点について行うと、キャスタトレールが大きくなり、アッパ側の二箇所の連結点について行うと、キャスタトレールが小さくなることから、キャスタトレールの適切な範囲を考慮して、前記車両前後方向のオフセット量を調節することが必要となる。
なおキャスタトレールとは、前記キングピン軸を車両の車幅方向又は左右方向から見た場合に、前記キングピン軸の延長線と路面との交点と、前記ホイール中心を通って上下方向に延びる線の路面との交点の離隔距離を示す。
なお、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率がトータルキングピンモーメントをゼロとする所定式を満たすことを判定するにあたって使用する、前記所定式とは、前記キングピン軸周りの、車両の駆動力左右差(ドライブシャフト剛性左右差、デファレンシャルによる駆動力分配左右差)、重量左右差、ドライブシャフト傾角左右差、タイヤ発生横力左右差のそれぞれに起因するモーメントを合計したトータルキングピンモーメントをゼロとする式を指す。
より具体的には、車両の駆動力左右差に起因するモーメント、車両の重量左右差に起因するモーメント、車両のドライブシャフト傾角左右差に起因するモーメント、車両のタイヤ発生横力左右差に起因するモーメントを右辺において合計して左辺のトータルキングピンモーメントを求めるトータルキングピンモーメント演算式において、前記ストロークと前記ホイール中心位置キングピンオフセットとの線形の関係を車両標準状態でのホイール中心位置キングピンオフセットと前述した前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率に基づいて示す関係式を右辺に代入して、左辺のトータルキングピンモーメントをゼロとして前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率について解いた式が前記所定式である。
この車両標準状態でのホイール中心位置キングピンオフセットと、キャスタトレールが前記二箇所の前記連結点の相互位置関係により上述した所定の関係に基づいて変化するため、前記二箇所の連結点の相互位置関係を適宜調整することにより、前記単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率が前記所定式を満たす又は極力近づけるようにすることができる。これにより、前記トータルキングピンモーメントをゼロとすることができる。
本発明によれば、トルクステアを大幅に低減することができる設計方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る設計方法が適用されるサスペンション装置の一実施形態を車両前後方向の前側から見て示す模式図である。また、図2は、本発明に係る設計方法の一実施形態に用いられる関係式を示す模式図である。
図1に示すように、本実施例1の設計方法が適用されるサスペンション装置51は、タイヤ52及びタイヤ52を保持する図示しないホイールと、ホイールを回転自在に支持する図示しないキャリアと、キャリアの上下方向のアッパ側を図示しないボディ側に連結するアッパフロントアーム53及びアッパリヤアーム54と、キャリアの上下方向のロア側をボディ側に連結するロアフロントアーム55とロアリヤアーム56と、図示しないショックアブソーバと、図示しないスプリングを備えて構成される。なお、図1中FRは車両前後方向の前側を示し、INは車幅方向内側を示し、UPは上方を示す。
キャリアはタイヤ52及びホイールを回転自在に支持するものであり、その下端部が、ロアフロントアーム55とロアリヤアーム56の車幅方向外側端部にブッシュ又はボールジョイントを介して連結されると共に、その上端部が、アッパフロントアーム53及びアッパリヤアーム54の車幅方向外側端部にブッシュ又はボールジョイントを介して連結されるものである。
ショックアブソーバは、キャリアとボディとの間に介在されてタイヤ52及びホイールからキャリアを介して伝達される路面からの振動によって、キャリアが振動し続けることをその減衰力により防止するものである。
スプリングは、例えばショックアブソーバの外周面の上端部近傍に円板状に設けられたロアスプリングシートと、ロッドの上端部近傍のボディ側に円板状に設けられたアッパスプリングシートとの間に挟持されて、ロッドの周囲を渦巻くように形成されて構成され、タイヤ52及びホイールからキャリアを介してボディ側に伝達される振動を低減し緩和する。
アッパフロントアーム53は、車幅方向に延在して、棒状のいわゆるIアームにより構成され、その車幅方向外側端部がキャリアの上端部の前側に対して揺動自在に連結され、その車幅方向内側がボディ側の図示しないサスペンションメンバに揺動自在に連結される。
アッパリヤアーム54も同様に、車幅方向に延在して、棒状のいわゆるIアームにより構成され、その車幅方向外側端部がキャリアの上端部の前側に対して揺動自在に連結され、その車幅方向内側がボディ側の図示しないサスペンションメンバに揺動自在に連結される。
ロアフロントアーム55についても同様に、車幅方向に延在して、棒状のいわゆるIアームにより構成され、その車幅方向外側端部がキャリアの上端部の前側に対して揺動自在に連結され、その車幅方向内側がボディ側の図示しないサスペンションメンバに揺動自在に連結される。
ロアリヤアーム56も、車幅方向に延在して、棒状のいわゆるIアームにより構成され、その車幅方向外側端部がキャリアの上端部の前側に対して揺動自在に連結され、その車幅方向内側がボディ側の図示しないサスペンションメンバに揺動自在に連結される。
このように構成されるサスペンション装置51において、路面からタイヤ52に上下方向の外力が作用すると、キャリアはボディに対して上下方向にバウンド又はリバウンドする。図1において実線は車両標準状態におけるタイヤ52、アッパフロントアーム53、アッパリヤアーム54、ロアフロントアーム55、ロアリヤアーム56を示し、破線はバウンド時におけるタイヤ52、アッパフロントアーム53、アッパリヤアーム54、ロアフロントアーム55、ロアリヤアーム56を示す。
図1に示すように、車両標準状態において、アッパフロントアーム53、アッパリヤアーム54のそれぞれの延長線の交点である瞬間中心P11と、ロアフロントアーム55、ロアリヤアーム56のそれぞれの延長線の交点である瞬間中心P21を結んだ直線がキングピン軸C11となり、バウンド時においては、アッパフロントアーム53、アッパリヤアーム54のそれぞれの延長線の交点である瞬間中心P12と、ロアフロントアーム55、ロアリヤアーム56のそれぞれの延長線の交点である瞬間中心P22を結んだ直線がキングピン軸C12となる。
すなわち、車両標準状態におけるホイール中心位置キングピンオフセットKogoは、キングピン軸C11とホイール中心軸線21の交点と、ホイール幅方向中心位置C31とホイール中心軸線21との交点との離隔距離となる。また、バウンド時のホイール中心位置キングピンオフセットKogiは、キングピン軸C12とホイール中心軸線22の交点と、ホイール幅方向中心位置C32とホイール中心軸線22との交点との離隔距離となる。
ところで、本実施例の設計方法においては、前述したようにトータルキングピンモーメントすなわちトルクステアをゼロにする又は極力ゼロに近づけることを目的としている。このためには、車両の駆動力左右差(ドライブシャフト剛性左右差、デファレンシャルによる駆動力分配左右差)、重量左右差、ドライブシャフト傾角左右差、タイヤ発生横力左右差のそれぞれをゼロとすることも考えられるが、実際の車両においては開発上、設計上、製造上の様々な制約が存在し、使用条件も車両の乗車人数などのように変化することが多いため、これらをゼロにすることは現実的には困難である。
このため、本実施例においては、ホイール中心位置キングピンオフセットKogiがタイヤ及びホイールのバウンド又はリバウンドに伴うストロークにより図2に示す模式図及び数1及び数2に示すKogi=Kogo+γ・siの数式を満たすように線形に変化するサスペンション装置51において、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率がトータルキングピンモーメントをゼロとする数3又は数4に示す所定式を満たすように、サスペンション装置51を構成するアッパフロントアーム53、アッパリヤアーム54、ロアフロントアーム55、ロアリヤアーム56のキャリア側への連結点を設定する。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
なお、数1及び数2中の記号は、
Kogi:ホイール中心位置キングピンオフセット
Kogo:車両標準状態でのホイール中心位置キングピンオフセット
γ:単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率
si:ストローク
Ki:ホイールレート
Wi:輪重
Woi:車両標準状態での輪重(添え字i=r:右輪、l:左輪)
である。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
なお、数3及び数4中の記号は、
kl:ドライブシャフトねじり剛性LH
kr:ドライブシャフトねじり剛性RH
Tl:伝達トルクLH
Tr:伝達トルクRH
Tp:デファレンシャルギアへの入力トルク
rs:ドライブシャフト駆動力の左右移動係数
TBR:トルクバイアス比
rd:トルクバイアス比に基づく駆動力の左右移動係数
μ:タイヤ摩擦係数
μ0:タイヤ摩擦係数初期値
α:μの荷重係数(単位:1/N)
W:輪重
θL:ドライブシャフト傾角LH
θR:ドライブシャフト傾角RH
Cog:キャスタトレール
Rr:タイヤ半径RH
Rl:タイヤ半径LH
である。
なお、数3及び数4は以下のように導かれる。図3は、デファレンシャルギアと左右一対のドライブシャフト及びタイヤにおいて伝達されるトルクを示す模式図である。また、図4は、デファレンシャルによる駆動力分配の態様を示す模式図である。
トルクステアの発生要因としては前述したように、下記の四つを挙げることができる。すなわち、
駆動力左右差、
重量左右差、
ドライブシャフト傾角左右差、
タイヤ発生横力左右差、
である。
この中でまず、駆動力左右差の要因は、ドライブシャフト剛性左右差、デファレンシャル摩擦の二つの関係により決定される。ドライブシャフト剛性左右差がある場合においても、デファレンシャル摩擦が無く左右で完全に差動、駆動力は左右で同等に分配される。ドライブシャフトは一本の棒ととらえることができ、棒をねじりトルクを伝達するときは棒の剛性によらず、入力、出力のトルクは摩擦、減衰がない限り同等となる。
実際の車両においては、デファレンシャルは完全に差動することはなく、その差動されない摩擦の範囲内において左右ドライブシャフトのねじれ角は同一となり、ドライブシャフト剛性左右差による駆動力の左右差が生じる。そのデファレンシャル摩擦を超えるほどにドライブシャフト剛性に左右差がある場合はデファレンシャル摩擦によって駆動力左右差が生じる。つまり、駆動力左右差は、ドライブシャフト剛性差によるものと、デファレンシャル摩擦によるもののいずれか小さい方に支配される。ドライブシャフト剛性差有差による駆動力左右差は、ドライブシャフトねじり剛性Kl、ドライブシャフトねじり剛性Kr、伝達トルクTl、伝達トルクTr、デファレンシャルギアへの入力トルクTpを用いて数5に示すような式で表される。なお、数5における左辺の係数は数6に示すようにrsであり、rsはドライブシャフト駆動力の左右移動係数である。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
また、デファレンシャル摩擦による駆動力左右差は、トルクバイアス比TBRを用いて、数7に示すような式で表される。なお、数7における右辺の係数はrdであり数8に示すように、rdはトルクバイアス比に基づく駆動力の左右移動係数である。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
さらに、駆動力左右差によるキングピン軸周りのモーメントMkp1はrs<rdの場合は数9に示すような式で表され、rs>rdの場合は数10に示すような式で表される。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
次に重量左右差によるキングピン軸周りのモーメントMkp2について求める。時々刻々と変化するタイヤ前後力を推定するのは非常に困難である場、トルクステアが問題となるのは最大前後力近傍であるため、左右輪ともにタイヤ最大摩擦付近にて前後力Fxが発生していると仮定し、タイヤ摩擦係数μを数11で表し、右輪の前後力Fxrを数12で表し、左輪の前後力Fxlを数13で表すと、重量左右差によるキングピン軸周りのモーメントMkp2は数14の式で表すことができる。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
Figure 2010111180
Figure 2010111180
次にドライブシャフト傾角によるキングピン軸周りのモーメントMkp3について求める。図5は、ドライブシャフト傾角によるキングピン軸周りのモーメントの発生態様を示す模式図である。図5に示すような、屈曲角の付いた等速ジョイントにトルクTpがかかると二次偶力によるモーメントT2ndが発生して、それによりキングピン軸モーメントMkp3が発生し、キングピン軸モーメントMkp3はドライブシャフト傾角θLとドライブシャフト傾角θRを用いて、数15に示す式で表される。
Figure 2010111180
次にタイヤ発生横力左右差によるキングピン軸周りのモーメントMkp4について求める。図6は、タイヤ発生横力左右差によるキングピン軸周りのモーメントの発生態様を示す模式図である。タイヤに駆動力が加わると、わずかではあるが横力が発生する。図6に示すような、駆動力Fxに対する発生横力Fyの比をκとすると、キングピン軸周りのモーメントMkp4は、キャスタトレールCog、タイヤ半径Rr、タイヤ半径Rlを用いて、数16に示す式で表される。キャスタトレールCogとは、キングピン軸を車両の車幅方向又は左右方向から見た場合に、キングピン軸の延長線と路面との交点と、ホイール中心を通って上下方向に延びる線の路面との交点の離隔距離を示す。
Figure 2010111180
以上の計算に基づいて、キングピン軸周りのトータルキングピンモーメントMkp=Mkp1+Mkp2+Mkp3+Mkp4を求めると、rd<rsの場合は数17で示す式で表され、rs<rdの場合は数18で示す式で表される。それぞれの式に数1を代入して、左辺をゼロとして、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γについて解いた式が上述した数3及び数4で示される所定式である。
Figure 2010111180
Figure 2010111180
この数3及び数4の式に含まれる、車両標準状態でのホイール中心位置キングピンオフセットKogoと、キャスタトレールCogがアッパフロントアーム53及びアッパリヤアーム54で構成される二箇所の連結点の相互位置関係と、ロアフロントアーム55とロアリヤアーム56で構成される二箇所の連結点の相互位置関係により上述した所定の関係に基づいて変化するため、二種類の二箇所の連結点の相互位置関係を適宜調整することにより、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γが所定式数3及び数4を満たす又は極力近づけるようにすることができる。
なお、本実施例においてはストロークsiの変化に伴いホイール中心位置キングピンオフセットKogiを変化させるにあたって、ストロークsiの変化に対してホイール中心位置キングピンオフセットKogiを線形に変化させている。これにより、連結点の設定にあたり試行錯誤的に二箇所の連結点の相互位置関係を変化させる手順をなるべく少なくすることができ、設計の手順を簡略化させることができる。
さらに、本実施例においては、ロアフロントアーム55、ロアリヤアーム56のキャリア側への連結点を対象として設定及び調整を行っているため、ホイール中心位置キングピンオフセットKogiをストロークsiの単位長さあたりの変化を大きくすることができる。
さらに、ロアフロントアーム55のキャリア側の連結点と、ロアリヤアーム56のキャリア側の連結点の相互位置関係を上下方向に変化させることにより、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを調節することがより容易なものとなる。
また、ロアフロントアーム55とロアリヤアーム56の二箇所の連結点のうち、車両前後方向の前側に位置するロアフロントアーム55の連結点を、後側のロアリヤアーム56の連結点よりも上下方向の上側に位置させることで、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを大きく設定することができる。
これとは逆に、ロアフロントアーム55の連結点すなわち車両前側に位置する連結点を、車両前後方向の後側のロアリヤアーム56の連結点よりも上下方向の下側に位置させることで、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを小さく設定することができる。
これに加えて、本実施例においては、ロアフロントアーム55とロアリヤアーム56の二箇所の連結点を車両前後方向にオフセットさせて位置させて、この車両前後方向のオフセット量を調節することで、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを調節することもできる。
特には、車両前後方向の前側のロアフロントアーム55の連結点を、後側のロアリヤアーム56の連結点に対して前側に離隔する方向に位置させることで、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを大きく設定することができ、前側のロアフロントアーム55の連結点を逆に後側のロアリヤアーム56の連結点に対して接近する方向に位置させることで、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを小さく設定することができる。
なお、ロアフロントアーム55とロアリヤアーム56の二箇所の連結点における車両前後方向のオフセット量を調節することにより、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率γを調節するにあたっては、キャスタトレールCogも変化することを招くのでキャスタトレールCogについての考慮も必要となる。
より具体的には、ロア側において前側の連結点を後側の連結点に対して離隔する方向に位置させることにより、キャスタトレールCogが大きくなることにより、キャスタトレールCogの許容される適切な範囲を考慮して、ロアフロントアーム55とロアリヤアーム56の二つの連結点の車両前後方向のオフセット量を調節する。
このように、ロア側の二箇所の連結点の相互位置関係を調整することで、数3又は数4を満足させて、トータルキングピンモーメントMkpをゼロとすることができる。
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本実施例においてはロア側の二箇所の連結点の相互位置関係を調節したが、アッパ側の二箇所の連結点の相互位置関係を調節してもよく、ロア側とアッパ側の両方における二箇所の連結点の相互位置関係を調節することもできる。また、本発明はAアーム形状のアームにおいても適用することが可能であるがその場合にはキャリア側に二箇所の連結点を有することが必要である。
さらに、本実施例においてはストロークsiとホイール中心位置キングピンオフセットKogiの関係を直線状としたが、二次曲線状のものとしても良い。
本発明は、車両のサスペンション装置に適用されて好適な設計方法に関するものであり、比較的簡易な変更により、設計方法の手順の増加と複雑化を招くことなくトルクステアを大幅に低減することができる設計方法を提供するので、通常の乗用車、トラック、バス等の様々な車両のサスペンション装置の設計に適用して有益なものである。
本発明に係る設計方法が適用されるサスペンション装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る設計方法の一実施形態に用いられる関係式を示す模式図である。 デファレンシャルギアと左右一対のドライブシャフト及びタイヤにおいて伝達されるトルクの態様を示す模式図である。 デファレンシャルによる駆動力分配の態様を示す模式図である。 ドライブシャフト傾角によるキングピン軸周りのモーメントの発生態様を示す模式図である。 タイヤ発生横力左右差によるキングピン軸周りのモーメントの発生態様を示す模式図である。
符号の説明
51 サスペンション装置
52 タイヤ
53 アッパフロントアーム
54 アッパリヤアーム
55 ロアフロントアーム
56 ロアリヤアーム
P11 アッパフロントアーム53の延長線とアッパリヤアーム54の延長線の交点
P21 ロアフロントアーム55の延長線とロアリヤアーム56の延長線の交点
C11 キングピン軸
C21 ホイール中心軸線
C31 幅方向のホイール中心位置
P12 アッパフロントアーム53の延長線とアッパリヤアーム54の延長線の交点
P22 ロアフロントアーム55の延長線とロアリヤアーム56の延長線の交点
C12 キングピン軸
C22 ホイール中心軸線
C32 幅方向のホイール中心位置

Claims (1)

  1. ホイール中心位置キングピンオフセットがタイヤ及びホイールのバウンド又はリバウンドに伴うストロークにより変化するサスペンション装置において、単位ストロークあたりのホイール中心位置キングピンオフセット変化率がトータルキングピンモーメントをゼロとする所定式を満たすように、前記サスペンション装置を構成するリンク又はアームの前記キャリア又は前記ボディ側への連結点を設定することを特徴とする設計方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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