JP2010106373A - 非木材繊維シート及びこれを用いた成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、非木材繊維束を主成分として含有し湿式抄紙した連続シート、繊維組成物、成形体を提供することにある。
【解決手段】非木材繊維束の種類、繊維長及び混合する他の繊維を特定することにより、シート中の非木材繊維束含有量が極めて高い場合でも連続シートの製造を可能とし、またその積層シートや後加工することにより非木材繊維束含有量が高い成形体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも1種類のパルプ化をしていない非木材繊維を主成分とする水分散繊維を連続抄造したことを特徴とする非木材繊維シート及び成形体に関するものである。
古来より植物繊維をパルプ化し、該パルプを用いて湿式抄造して連続したシートを得ることがごく一般的に行われている。通常、パルプ化に用いられる植物繊維は、木質繊維である広葉樹繊維ならびに針葉樹繊維である。特殊な用途においては、非木材繊維である各種麻パルプやコットンなどその繊維特性を生かしたシートが湿式抄造されている。また、近年は環境を意識した他の非木材繊維によるパルプ、あるいは繊維そのものの利用も多く試みられるようになっている。
特許文献1によれば、非木材繊維を原料としたケナフ又はバガスパルプを含有するシートをインクジェット用紙に適用することでインクジェット適性が改良出来ることが記載されている。
特許文献2によれば壁紙用途にケナフ繊維からなるパルプを含有したシートを積層加工することで環境に優しく、壁紙としての特性も得られることが記載されている。
特許文献3によれば、非木材繊維としてマニラ麻、亜麻、黄麻、サイザル麻、ケナフ等を原料としたパルプを叩解処理し、特定の抗菌剤を調合して抄造して得られた化粧紙に関して記載されている。
以上に示される(特許文献1〜3)ように、非木材繊維からなるパルプを用いて湿式抄造することで特徴あるシートが得られることが判っている。
特許文献4によれば、油ヤシ、ココヤシ、ケナフを解繊して得た繊維を接着剤で接着して得られる繊維板に関して記載されている。
特許文献5によれば、繊維強化プラスチックの強化繊維としてリグノセルロース繊維を用い、該繊維がケナフ、亜麻、ラミー、大麻、ジュート等の靱皮繊維やマニラ麻、サイザル麻である葉の繊維を用いることが記載されている。
以上で示される(特許文献4及び5)ように、パルプ化されない非木材繊維を用いることも知られているが、乾式の状態で加工処理される材料としての利用に限られている。
パルプ化しない繊維状物を湿式抄造する例として、天然繊維であるシルク、木材パルプあるいは非木材パルプを用いて繭片を担持させる形で脱落を防いだシート(特許文献6)がある。
また、木材パルプに意匠紙を製造することを目的に細片化した樹皮、粉砕した綿実殻、金属粉付着繊維等を特別な装置により抄紙機上で担持させたシート(特許文献7)が記載されており、脱落防止のために使用される天然繊維、特にパルプの量は80重量%以上が好ましいとしている。
特許文献8には、平均繊維幅0.05mm〜1mmの靭皮繊維と生分解性樹脂繊維の濾材に関してそのシート化を抄紙法で行うことが記されている。なお、該特許による実際の実施例では、平均繊維幅0.3mm、カット長20mmのケナフ繊維と融点132℃のポリ乳酸繊維を8:2の比率で混合したものを抄紙法でシートにしたと記している。
詳細な抄紙方法や抄紙条件に関する記載はないが、水素結合が極めて乏しい繊維同士を水分散し抄紙法によってシート化することから抄紙機上での湿紙の強度は著しく弱く、シート化が可能であるとすれば本発明者による検証によってもバッチ方式の抄紙法に限られる。
また抄紙機上での湿紙強度不足に加えて、カット長20mmの繊維が懸濁した水分散液を繊維のもつれや配管内で詰まりを生じないよう連続的に移送し、安定操業下で連続シートを得ることが困難であることは抄紙法による生産を行っている当該業者にとって容易に推定出来る。
以上、植物繊維を使用する試みは従来から多く行われているが、パルプ化しない非木材繊維を主成分として含有し湿式抄造した連続シートは現在まで得られていない。
パルプ化しない非木材繊維はパルプ化した非木材繊維に比べて剛直であり、繊維同士の絡み合いによって生まれるシート強度に乏しく、更には繊維間での水素結合が極めて弱いことから、非木材繊維を主成分とした湿式抄造方法による連続したシートを得ることが難しい状況にある。
特許第3486492号公報 特許第3595847号公報 特開平9−224868号公報 特許第3987644号公報 特開2004−143401号公報 特開2006−70404号公報 特開平11−323786号公報 特開2004−243233号公報
本発明の目的は、最近の環境問題解決の一助にするべくバイオマス資源の有効利用の拡大の観点から、パルプ化しない非木材繊維の利用の範囲を広げるために、従来は湿式抄造方法ではシート化が困難であった非木材繊維を主体的に含有させた連続したシートを得ようとするものである。
前記したように、従来の非木材繊維の利用は、非木材繊維をパルプ化後に叩解処理等を行って湿式抄造するか(特許文献1〜3)、非木材繊維そのものを乾式の状態のまま結合材で接着、シート化あるいは板化して、あるいは合成樹脂に混合して強化材として使用するか(特許文献4、5)であり、非木材繊維が湿式抄造時に使用されるのは意匠用途等(特許文献6)の少量での使用に限られる。
これは、パルプ化していない非木材繊維そのものを主成分として使用するよう試みた場合、湿式抄造法では連続でのシート化が工業ベースで出来ないことに起因している。従って本発明では、従来の湿式抄造法による連続シート化が困難であった問題を解決し、使用する非木材繊維の特性を充分発揮した連続シートを提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次の構成を有するものである。
(A)非木材植物より得られた平均繊維長が10mm以下の非木材繊維束を主成分とし、非木材パルプ、木材パルプ及び微細セルロース繊維の少なくとも1種類とともに水中に分散後、連続抄造したことを特徴とする非木材繊維シート。
(B)前記非木材繊維束が靱皮繊維、硬質繊維、あるいは葉の繊維の少なくとも1種類である(A)記載の非木材繊維シート。
(C)前記非木材植物が、ケナフ、ジュート、竹、アバカ及びサイザルの少なくとも1種類である(A)又は(B)記載の非木材繊維シート。
(D)少なくとも非木材繊維束と微細セルロース繊維とからなる(A)〜(C)の何れかに記載の非木材繊維シート。
(E)前記微細セルロース繊維が植物の柔細胞から抽出されたものである(A)〜(D)の何れかに記載の非木材繊維シート。
(F)少なくとも1種類の熱融着性繊維、熱可塑性繊維、生分解性合成繊維及び再生繊維を含有する(A)〜(E)の何れかに記載の非木材繊維シート。
(G)2層以上からなる繊維シートの少なくとも1層が(A)〜(F)の何れかに記載の非木材繊維シートである繊維シート。
(H)前記(A)〜(F)の何れかに記載の非木材繊維シート、又は(G)記載の繊維シートを直接又は後処理後に成型して得られる成形体。
本発明によれば、従来湿式抄造方法では得られなかった非木材繊維束を主成分とした連続シートを得ることが出来るようになった。該シートの特性はパルプを主成分として製造されたシートに比較して、嵩高、耐水性、親油性、遮音性、断熱性、寸法安定性、剛性及び音響特性等に優れている。該シートの特性を生かし、樹脂含浸すること等により強度補強された樹脂板の製造が可能となったり、湿式抄造時に多層にすることで複合された機能を発現出来る。更には本発明によるシートを用いて、あるいは後加工することで特徴ある成形体を製造することが出来る。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。まず、本発明に用いる材料を説明する。
本発明に用いられる非木材繊維束とは、昭和42年3月10日、紙パルプ・技術協会発行の「クラフトパルプ・非木材パルプ」の中に、植物繊維の分類として靱皮繊維、木質繊維、硬質繊維、種毛繊維、葉の繊維と分類されているが、この中の木質繊維、種毛繊維を除く、靱皮繊維、硬質繊維、葉の繊維から取り出された繊維束を指す。具体的には、靱皮繊維の原料となる植物には、大麻、亜麻、ジュート、ケナフなどの麻類、楮、三椏、雁皮、桑などの灌木などがあり、硬質繊維の原料となる植物には、穀物ワラ、バガス、竹、エスパルト、芦等があり、葉繊維としてマニラ麻、サイザル麻などがある。特に好ましくは、その流通性、経済性、繊維束の製造のし易さを考慮するとケナフ、ジュート、竹、アバカ、サイザルが適している。
木質繊維は世界中で製紙原料として多く使用されている広葉樹、針葉樹があり、種毛繊維としては、綿、カポック等がある。勿論本発明による非木材繊維を含有する植物の中には、例えばケナフの如く木質部を含有するものも多くあるが、ここでは後述するように植物から抽出された繊維束だけを指す。なお、パルプとして混合使用する場合は特に限定されるものではない。
本発明を構成する水分散繊維は、主成分である繊維束形状を有する非木材繊維束を適当な長さに断裁した繊維と、必要に応じて混合するその他の水分散性の繊維とに分けられる。
非木材繊維を植物から繊維束として取り出す方法は、植物の種類によって異なる。例えば、靱皮繊維である麻やケナフの茎から繊維を抽出するには、茎を束ねて水浸し、水浸後引き上げて堆積して発酵を起こさせて繊維束を分離するなどの発酵精練法が一般的に行われている。また、葉繊維であるアバカ、サイザルなどから繊維を分離する方法は、手動か簡単な機械を使って、植物の茎幹を縦に取り巻いている葉柄を圧搾したりかき取ったりして繊維束と肉質部分とに分け、繊維を抽出する方法が行われる。
抽出される繊維束の太さは、植物の種類、繊維の取り出す方法によって異なり、例えばケナフあるいはアバカでは、0.06mm〜1.9mm程度の繊維束太さとなっている。
得られた繊維束を水分散して使用するためには、該非木材繊維を適当な長さに断裁して使用する必要がある。繊維束を断裁する断裁機に特に制限はないが、生産性等を考えると連続式の断裁機あるいは粉砕機が好ましい。この断裁により所望の繊維長さが調整されると同時に、断裁時の衝撃によって繊維束の太さの調整も行われる。使用する断裁機あるいは粉砕機によって違いはあるが、前記ケナフあるいはアバカではその平均的な繊維束太さは0.15mm〜0.45mm程度になる。
湿式抄造が可能な非木材繊維束長さは、抄造されたシートの均一性、非木材繊維束の含有割合の多さから考えるとその平均繊維束長は1〜10mmが好ましく、更には3〜8mmがより好ましい。平均繊維束長が1mmより短いと該繊維束を主体的に使用した連続シートの作成は難しい。平均繊維束長が10mmを超える場合は水分散液とした場合の流動性や配管などの詰まり、シートの均質性など連続での抄造安定性に問題が起こる。
ここでいう非木材繊維束の繊維束太さと繊維束長さとは、デジタルマイクロスコープ(VH−8000、(株)キーエンス社製)によって25倍に拡大撮影し、記録画像から任意の繊維100本を選び、デジタルマイクロスコープを備えている計測機能を使ってモニタ画像上で繊維長さと繊維幅の寸法計測を行い、数平均繊維長ならびに平均繊維幅を算出した値である。
上記の断裁した非木材繊維束を水分散したスラリーを、ビーターやリファイナー等のパルプを湿式抄造する際に通常用いられる叩解機で前段処理することも可能であるが、パルプに比べその効果は限定的であり、過度の叩解処理はシート特性を損ない好ましくない。
また、こうした叩解処理だけでは湿潤状態のシートの形態を維持するのに充分な強度を、繊維同士の絡み合いや繊維間結合強度によって確保は出来ず、連続した湿式抄造は困難である。
一方、本発明の意図するところは、連続した湿式抄造方式では極めて限られた量であった非木材繊維束のシート含有率を高め、非木材繊維束を主体成分としたシートを得ようとするものであり、それによって非木材繊維束固有の特性、即ち嵩高、耐水性、親油性、遮音性、断熱性、寸法安定性、剛性及び音響特性等に優れるシートが得られると同時に、環境に配慮した植物繊維の利用範囲を広げようとするものである。
本発明による非木材繊維シートの製造を可能とするために混合使用されるその他の水分散性繊維の一つとして、非木材パルプ及び木材パルプがある。
該パルプは製紙用パルプ化処理で公知の機械的方法、半化学的方法あるいは化学的方法など種々の手段により植物より繊維を取り出したものである。
機械的方法では繊維植物体から繊維のみを取り出すことは出来ないが、それらを繊維状の状態で取り出すことが出来る。また、半化学的又は化学的に繊維植物体から繊維を取り出す方法では、化学薬品の作用や温度、圧力などの種々の条件下で植物体を蒸解、解繊、精選などの処理を行う。
得られたパルプは、通常使用される叩解機(ビーター、ジョルダン、コニカル型リファイナー、ドラム型リファイナー、ディスクリファイナー等)で濾水性を調整し使用される。
非木材繊維束との絡み合いや繊維間強度の確保のためには、混合使用されるパルプは化学的方法で取り出したパルプが好ましい。
非木材繊維束を主体とするシートに混合されるパルプの量は、50質量%以下であれば非木材繊維束シートとしての特性を発現出来るが、好ましくは30質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。非木材繊維束と混合する水分散性繊維がパルプだけである場合、パルプが15質量%以下の混合率では抄紙機上での湿紙状態でのシートの安定性が低下する。特にシートをワイヤー上から後段の脱水・乾燥工程へ移送する抄紙用フェルトへのピックアップ(拾い上げ)時の安定性が問題となり、抄紙機上での断紙が発生しやすくなる。
かかる問題を回避するためには、抄紙機上で製紙可能なパルプを主体としたシートによって本発明の非木材繊維シートを挟み込んだ多層シートとして取り出す方法や、抄紙機上の抄紙用フェルトの裏側(シートが付着する側の反対面)に吸引圧を加えてワイヤーからフェルトへの非木材シートの移行を補助するサクションボックスあるいはサクションロールなどを設置し、その吸引位置や吸引圧力、吸引幅などを適宜調節することなどの対策が必要となる。
非木材繊維束と混合使用されるパルプ以外の水分散性繊維として、非木材繊維束との絡み合い等に効果的なものに微細セルロース繊維がある。該微細セルロース繊維とは、製紙用途で通常用いられるパルプの繊維よりも細く短いセルロース繊維であり、光学顕微鏡や電子顕微鏡による直接観察での測定で、任意の20本の繊維の太さの測定値の平均値が10μm以下であり、かつ繊維長測定装置(例えば、FS−200、KAJAANI社製)で測定した長さ加重平均繊維長が1mm以下の繊維である。
微細セルロース繊維としては、木材パルプ等のセルロース繊維を微細化加工したもの(セリッシュ、ダイセル化学工業社製)や、酢酸菌が生産するいわゆるバクテリアセルロースなど微生物や動植物などから得られるセルロース繊維を原料としホモジナイザーや各種の微粉砕機を用いて繊維に高いせん断力を作用させ所定の繊維サイズになるまで微細化加工することによっても得られる。
ここで、繊維原料や製紙原料である木材や麻等の植物繊維から製造される一般的な微細セルロース繊維は二次細胞壁を有する繊維細胞を主体としたものである。この二次細胞壁は、セルロース繊維の最小単位と考えられるセルロースミクロフィブリルが配向したものが密に束なって形成されている。上記の微細化加工は、このセルロースミクロフィブリルの束をできるだけ細かに解繊し、単離しようとする処理である。
しかしながら、二次細胞壁を構成するセルロースミクロフィブリル同士は、水素結合により強力に結着して束や層を形成しているため、これを解繊するためには強力なせん断力が必要なため、各種の装置と多大なエネルギーを要すると同時に均一な解繊が難しい。
これに対して、二次細胞壁よりもセルロースミクロフィブリル同士の結着が弱いと考えられる一次細胞壁から微細セルロース繊維を製造すれば、比較的容易に微細セルロース繊維を得られることが判っている。
一般に、一次細胞壁は二次細胞壁よりもセルロースミクロフィブリルが疎らでその配向性も弱く、パルプ化処理のみでも微細なセルロース繊維を得ることが可能である。更にこの微細セルロース繊維に対してこれまで提案されている微細化加工を施すことで、微細セルロース繊維同士がよりほぐされ、高分散性のセルロース懸濁液が得られる。
何れの微細セルロースであっても使用することは出来るが、一次細胞壁のみで構成された非木材植物の柔細胞を原料として微細なセルロースを抽出して微細化加工を加えた場合、比較的容易でエネルギーコストも少なく非常に均一な微細セルロースを取り出すことが可能であり好ましい。
更に上記の柔細胞から抽出した成分は、処理の程度にもよるが木材原料をパルプ化した後に解繊したものに比較して低分子量のセルロース分が多く存在するため、本発明の目的には適して効果を発現する。
一次細胞壁のみを有する柔細胞を持ち、微細セルロース繊維の製造に適する植物としてはサトウキビ茎内部やサトウダイコンが入手のし易さや抽出処理の容易さから有用である。
サトウキビ茎の内部やサトウダイコンからセルロースを精製するには、製紙用パルプ製造で用いられる化学パルプ化法を適用することが出来る。
例えば、苛性ソーダ等のアルカリと混合、加熱してリグニンを分解除去するソーダパルプ化法や亜硫酸ソーダを併用するクラフトパルプ化法などを用いれば良い。各種の条件は、使用する原料や製造する微細セルロース繊維に必要となる特性に合わせて、適宜決定すれば良い。
パルプ化後、残存するアルカリ分を洗浄する。また、必要に応じて漂白処理を行う。漂白剤として過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、酸素、オゾン等を用いることが出来る。洗浄後、セルロース繊維の懸濁液を得ることが出来る。
微細化加工方法としては、セルロース繊維の懸濁液を濃度2〜10質量%程度に調製し、少なくとも3000psiの圧力差を与えて小径のオリフィスを高速度で通過させ、これを衝突させて急減速、急減圧することによって繊維にせん断力や切断力を加えて微細化する高圧ホモジナイザーを用いる方法や、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、スチール、チタニア等を粉砕媒体として用いたミル粉砕装置等によって処理する方法が可能である。
処理条件は、使用する装置や目的とする微細化の程度により異なるが、より微細化するためには懸濁液を循環させ複数回数処理することも可能である。
本発明による非木材繊維束と微細セルロース繊維を混合使用する場合は、非木材繊維束の含有量がシートの90質量%以上であっても微細セルロース繊維がシートの2質量%以上であれば所望の連続シートが得られる。使用する微細セルロース繊維は柔細胞から得られたものが好ましく、非木材繊維束の含有量が95質量%以上98質量%以下であっても、湿式抄紙により連続シートがより効率良く得られる。勿論、前述のパルプ繊維、後述の合成繊維や再生繊維等も混合して使用することも何ら問題ないが、非木材繊維束を90質量%以上使用する場合は微細セルロース繊維をシートの2質量%以上使用することが好ましい。
微細セルロース繊維を含有させることで連続シート化が容易になるため、非木材繊維束と同様に繊維間の水素結合が期待出来ない熱融着性繊維、熱可塑性繊維、その他合成繊維、再生繊維と混合しながら非木材繊維束の比率を高めても連続シート化が可能となり、得られるシート特性を勘案して各種の合成繊維を混合使用出来ることとなる。
熱融着性繊維としては、単繊維のほか芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維が挙げられる。複合繊維は皮膜を形成しにくいので、シートの空間を保持したまま機械的強度を向上させることが出来る。
具体的な熱融着性繊維としては、例えば、ポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)と酢酸ビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ等の複合繊維が挙げられる。
また、ポリエチレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーを使用することが出来る。
熱融着性繊維以外の合成繊維も特に限定することなく混合使用することは可能であり、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド等の繊維であっても良い。
特に好ましくは、本発明で意図する環境に優しいという観点から、混合される繊維として生分解性の合成繊維又は再生繊維が好ましい。
生分解性の合成繊維としてはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクタン等の繊維が挙げられる。また再生繊維としては、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、ポリノジック、リヨセル等従来の再生セルロース繊維の製造方法で製造された繊維及びその誘導体である。
上記使用される繊維の繊維径は特に限定されないが、得たいシート特性により適宜選択される。
湿式抄紙方法の場合、使用される各種繊維の平均繊維長は好ましくは10mm以下である。繊維長が10mmを超えた場合、繊維分散性が悪くなり、得られるシートの地合が悪くなるため、性能の安定した複合シートが得られにくくなる場合がある。
本発明による非木材繊維束と少なくとも1種類以上の非木材パルプ、木材パルプ、又は微細セルロース繊維とを、更には得られるべきシートの特性を勘案して熱融着性繊維、熱可塑性繊維、その他合成繊維、再生繊維を水中に分散したスラリーに加え、副材料として例えばサイズ剤、紙力増強剤、染料、顔料、歩留り向上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール剤、粘剤、防腐剤、防カビ剤、難燃剤等の公知の材料を必要に応じて単独で又は組み合わせて使用することが出来る。
本発明による非木材繊維シートを製造するための抄紙機は、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機等、これら抄紙機の抄紙ヘッドが同種又は異種の2機以上、オンラインで設置されているコンビネーション抄紙機などにより製造される。
上記の抄紙ヘッドが複数ある多層抄き抄紙機においては、湿紙シートを複数積層した抄合わせ方式や、一方の湿紙シートを形成した後に再度繊維を分散したスラリーを流して積層シートとする方法、あるいは乾燥したウェブの上に繊維を分散したスラリーを流し積層シートとする方法などによって製造しても良い。
またウェット状態の湿式シートは抄紙機上で加熱乾燥することによって乾燥シートとすることも出来るし、その後の熱ロールにより加熱加圧処理して製造することも出来る。また抄紙工程で得られる湿式シートをウェット状態で単独であるいは複数枚重ね合わせ、抄紙工程の加熱乾燥を経ずに、直接、熱ロールにより加熱加圧処理して製造することも出来る。
抄紙工程でのシートの乾燥手段は、シリンダードライヤー、エアドライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤーなどの方式を用いることが出来る。熱融着性繊維を含有する場合、効率良く融着してより高い強度が得られる方式としてシリンダードライヤーによる加熱方式が好ましい。また、湿式シート同士を積層してなる積層シートを未乾燥状態において加圧しつつ、熱融着性繊維の融点より10℃以上高い表面温度の熱ロールに密着させて熱融着性繊維の溶融成分を溶融させた後、自然冷却あるいは強制冷却して固化して一体化することも出来る。
更に、シートの乾燥後にサイズプレス装置等の各種含浸加工機や塗布装置、あるいは放電加工機など各種の加工処理装置を用い、非木材繊維束の特性を妨げない範囲で適当な機能性を付与するよう製造することも差し支えない。
上記の非木材繊維束を主体とした連続シートは、前述したように通常の木材パルプを主体とした紙シート、あるいは合成繊維を主体とした湿式ノンウーブンシートに比較して嵩高、耐水性、親油性、遮音性、断熱性、寸法安定性、剛性及び音響特性等に優れる特性を有する。こうした特徴を生かし、多くの製品に応用することが可能である。
以下の記載に特に限定されるものではないが、例えば非木材繊維束としてケナフを用いたシートでは、環境を意識した商品としてケナフパルプのシートと積層して環境報告書あるいは名刺用紙などの印刷用紙としての利用価値がある。また、水分変化に伴う寸法安定性の良さから壁紙用途での使用や、耐水性及び親油性の特性を生かしたインクジェット用紙としての使用、更には断熱性に着目した断熱シート、熱可塑性繊維との複合シートによる環境に配慮した各種成形品、樹脂含浸により高度な成形体やボードなどにも利用が可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例、比較例に関係する材料、測定方法等を以下に列記する。なお、以下に用いられる%は、特に断りがある場合を除き全て質量%、部は質量部を示す。
『非木材繊維束』
非木材繊維束A;ケナフのコア部及び外皮の残留がないように選別したケナフ繊維束を、直径4mmの開口スクリーンを備えた連続式断裁機(槇野産業(株)製 DD−2−5.5)によって断裁処理し、平均繊維長4mmのケナフ繊維束を得た。
非木材繊維束B;アバカ繊維束を直径3mmの開口スクリーンを備えた連続式断裁機(槇野産業(株)製 DD−2−5.5)によって断裁処理し、平均繊維長3mmのアバカ繊維束を得た。
非木材繊維束C;ケナフのコア部及び外皮の残留がないように選別したケナフ繊維束を、連続式断裁機(辻鉄工(株)製 HP−500)によって断裁処理し、平均繊維長20mmのケナフ繊維束を得た。
『パルプ』
パルプA;市販LBKP(三菱製紙(株)製)
パルプB;市販ケナフパルプ(東邦特殊パルプ(株)製)
『合成繊維』
合成繊維A;芯鞘構造ポリエステル熱融着性繊維(繊維径14μm、繊維長5mm、鞘部融点70℃、ユニチカ(株)製)
合成繊維B;生分解性熱融着複合繊維ミラクルファイバーKK(ダイワボウポリテック(株)製)
『微細セルロース繊維』
微細セルロース繊維A;サトウキビの絞り粕(製糖残さ)であるバガスを、その固形分に対して20%の水酸化ナトリウムを5倍量の水に溶解して加え、圧力容器内にて130℃で60分間加熱後に取り出し、水洗後、水中にて目開き2mmの篩いによる篩い分けし、多量に混在する繊維細胞を除去した。
繊維細胞の除去後、スラリー固形部濃度を2%に調整し、有効塩素濃度8%の次亜塩素酸ナトリウム溶液をスラリー中固形分量の1/2量添加し、一晩静置して漂白した。
漂白したスラリーは、水洗後に固形分濃度1%のスラリーとなるよう調整した。これを高圧ホモジナイザー((株)アタゴエンジニアリング製)を用いて50MPaの圧力で微細化し、微細化したスラリーは濃縮機(富国工業(株)製スクリュープレス)により脱水して固形分濃度10%の微細繊維セルロースを得た。ここで、微細化処理後の繊維を凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察して測定した繊維の太さは0.3μmであり、繊維長測定器(FS−200、KAJAANI社製)で測定した長さ加重平均繊維長は0.45mmであった。
微細セルロースB;サトウダイコンの絞り粕を、その固形分に対して20%の水酸化ナトリウムを5倍量の水に溶解して加え、圧力容器内にて130℃で60分間加熱後に取り出し水洗した。水洗後、固形分濃度2%のスラリーに調整し、有効塩素濃度8%の次亜塩素酸ナトリウム溶液をスラリー中固形分量の1/2量添加し、一晩静置して漂白した。
漂白したスラリーは、水洗後に固形分濃度1%のスラリーとなるよう調製した。これを高圧ホモジナイザー((株)アタゴエンジニアリング製)を用いて50MPaの圧力で20分間循環処理して微細化した。微細化したスラリーを濃縮機(富国工業(株)製スクリュープレス)によって脱水し、固形分濃度10%の微細セルロースを得た。ここで、微細化処理後の繊維を凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察して測定した繊維の太さは、0.2μmであり、繊維長測定器(FS−200、KAJAANI社製)で測定した長さ加重平均繊維長は0.26mmであった。
『シートの物性評価』
(1)密度:g/cm
シートの坪量をJIS P8124 紙及び板紙の坪量測定方法により測定し、シートの厚みをJIS P8118 紙及び板紙の厚さ及び密度の試験方法により測定し、その結果よりシートの密度を算出した。
(2)剛度:cm/100
JIS P8143 紙のクラークこわさ試験機によるこわさ試験方法により、シートの縦方向(抄紙機の流れ方向)の曲げ剛度を測定した。
(3)寸法安定性:寸法変化%
概略20cm(抄紙機の幅方向)×25cm(抄紙方向)に断裁した試験片を温度23℃、湿度50%RHの環境下で調湿し、寸法変化が起こりやすい抄紙機の幅方向(抄紙方向に直角な方向)の長さを測定した。その後、環境の湿度を75%RHへ変更し、4時間後の試験片の幅方向の長さを測定し下記の式によって伸びを算出した。
伸び(寸法変化%)=((湿度75%RHの試験片長さ)−(湿度50%RHの試験片長さ))/(湿度50%RHの試験片長さ)×100
(4)水浸伸度:寸法変化%
概略20(抄紙機の幅方向)×25cm(抄紙方向)に断裁した試験片を温度23℃、湿度50%RHの環境下で調湿し、寸法変化が起こりやすい抄紙機の幅方向(抄紙方向に直角な方向)の長さを測定した。その後、純水に5分間浸積した後取り出し、幅方向の長さを測定して下記の式によって水浸伸びを算出した。
水浸伸度(寸法変化%)=((水浸後の長さ)−(水浸前の長さ))/(水浸前の長さ)×100
(5)親油性:s
エチレングリコールモノエーテル3.5mlとホルムアミド96.5mlを混合し、滴下用褐色瓶に貯蔵する。この液を温度23℃、湿度50%RHの環境下で試験片の上に滴下することにより評価した。親油性の判定は、滴下した液滴の吸収時間で判定し、概ね2秒以内に速やかに吸収すれば親油性があると判断出来る。
(6)比引張強さ:N・m/g
JIS P8113 紙及び板紙の引張特性の試験方法(第2部:定速伸張法)により、シートの縦方向(抄紙機の流れ方向)の引張強さを測定し、結果をその坪量で除して比引張強さを算出した。
(7)目地すき評価
壁紙用でんぷん接着剤(アミノール、ヤヨイ化学工業(株)製)と水を10対7の比率で混合し溶いた糊を、試験する壁紙の裏面に塗って外力が加わらないように30分間放置した後、石膏ボードに貼り付け、壁紙表面をカットした。この試料を40℃の乾燥機に入れ、3時間経過後に乾燥機より取り出して、カットした部分に生じた目地すきの間隔をスケール付の拡大鏡を使用して測定した。測定した目地すきが0.1mm以下であれば概ね実用上に差し支えないといえる。
(9)インクジェット記録用紙適性
印字鮮明性:
インクジェット印字画像の鮮明性を、高精細な写真画像をPX5500(エプソン社製)を用いて描画し、インクの溢れや滲み、流れ具合を目視で判断した。
◎(非常に良好);インクの溢れや滲み、流れが全くない。
○(良好);インクの溢れや滲み、流れが僅かにあるが、製品として良好。
△(普通);インクの溢れや滲み、流れが若干あるが、製品として可。
×(不良);インクの溢れや滲み、流れが顕著にあり、製品として使用不可。
印字後コックリング:
記録紙に200%(ブルーのベタ)デューティの画像を印字し、温度23℃、湿度50%RHの環境下で12時間経過後に印字物を確認して用紙の波打が消えていないものをC、印字直後には多少の波打を発生したが12時間経過後にはほとんど消えて認められないものをB、印字直後からほとんど波打の見られないものをAで示した。
実施例1
パルプBを固形分濃度2%にてリファイナーに通し、CSF濾水度500mlに調整したスラリー4500kgと非木材繊維束A、210kgを最終固形分濃度が3%になるよう希釈水とともにタンクに仕込んだ。タンクを撹拌しながら混合スラリーに湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度30m/min、ドライヤー温度90℃にて坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
実施例2
パルプAを固形分濃度4%にてリファイナーに通し、CSF濾水度480mlに調整したスラリー3000kgと非木材繊維束B、180kgを最終固形分濃度が3%になるように希釈水とともにタンクに仕込んだ。タンクを撹拌しながらスラリーに湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度30m/min、ドライヤー温度90℃にて坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
実施例3
パルプBを固形分濃度2%にてリファイナーに通し、CSF濾水度500mlに調整したスラリー3000kgと熱融着繊維である合成繊維A、30kg及び非木材繊維束A、210kgを最終固形分濃度が3%になるように希釈水とともにタンクに仕込んだ。タンクを撹拌しながらスラリーに湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度20m/min、ドライヤー温度95℃にて、坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
実施例4
固形分濃度10%の微細セルロースA、150kgをタンク内に希釈水とともに仕込み、撹拌を加えつつ固形分濃度が1%程度になるよう調整した。調整後、非木材繊維束A、225kgと合成繊維B、60kgをタンクに投入し、最終的に固形分濃度が3%になるように希釈水を加え撹拌混合した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度40m/min、ドライヤー温度95℃にて坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示した。
実施例5
固形分濃度10%の微細セルロースB、60kgをタンク内に希釈水とともに仕込み、撹拌を加えつつ固形分濃度が1%程度になるよう調整した。調整後、非木材繊維束A、294kg投入し、最終的に固形分濃度が3%になるよう希釈水を加えて撹拌混合した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度30m/min、ドライヤー温度90℃にて坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
比較例1
パルプA、300kgを固形分濃度4%にてリファイナーに通し、CSF濾水度480mlになるよう調整したスラリーを得た。このスラリーを撹拌しながら湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加し、最終的に固形分濃度が3%になるよう希釈水を加えて撹拌混合した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度30m/min、ドライヤー温度90℃にて坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
比較例2
比較例1と同様に調整した固形分濃度4%のパルプスラリー、5625kgに希釈水及び非木材繊維束B、75kgをタンクに投入し、撹拌しながらスラリーに湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。最終的に固形分濃度が3%になるよう希釈水を加え撹拌混合した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度30m/min、ドライヤー温度90℃にて坪量80g/mのシートを得た。得られたシートの物性を表1に示す。
比較例3
固形分濃度10%の微細セルロースB、150kgをタンク内に希釈水とともに仕込み、撹拌を加えつつ固形分濃度がほぼ1%程度になるよう調整した。調整後、非木材繊維束C、285kgをタンクに投入し、撹拌しながらスラリーに湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。最終的に固形分濃度が3%になるように希釈水を加えて撹拌混合した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度30m/minにて抄造したが、非木材繊維束Cの分散性が悪く抄紙機上での断紙が多く発生し、連続したシートを安定生産することは困難であった。
Figure 2010106373
表1の結果から明らかなように、実施例1〜5で得られたシートは比較例1及び2で得られたシートに比較して密度が低く嵩高であり、剛性、寸法安定性、水浸伸度、親油性に優れることが判る。特に本発明による非木材繊維束の含有量の多い実施例3〜5のシートの特性は優れている。また、合成繊維を含有する実施例3及び4のシートの強度は良い値を示している。
一方、比較例3は使用した非木材繊維束の長さが長すぎることに起因して連続したシートが安定的に得られず、シートの物性が測定出来なかった。
実施例6
多層構造のシートを製造すべく、固形分濃度10%の微細セルロースB、150kgを希釈水とともに投入し、撹拌を加えつつ固形分濃度が1%程度になるように調整後、非木材繊維束A、285kgを投入し最終的に固形分濃度が3%になるように希釈し撹拌混合しスラリー1を調整した。更に、別のタンクにパルプBを固形分濃度2%にてリファイナーに通してCSF濾水度500mlに調整したスラリー2を得た。得られたスラリーを撹拌しながら、湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。これらを二層抄きが可能な円網抄紙機に使用し、スラリー1は80g/mになるように、スラリー2は20g/mになるように調整し、抄造速度30m/min、ドライヤー温度95℃にて抄き合わせた二層シートを作成した。この二層シートのパルプBの面を糊の塗布面として、壁紙の重要特性である目地すき特性に関して測定した。測定した目地すきの結果を表2に示す。
比較例4
パルプB、300kgを固形分濃度2%にてリファイナーに通し、CSF濾水度500mlになるように調整したスラリーを得た。スラリーを撹拌しつつ湿潤強度剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を対固形分0.15%添加した。このスラリーを用いて、円網抄紙機にて抄造速度30m/min、ドライヤー温度95℃にて坪量100g/mのシートを得た。得られたシートを用いて、壁紙の重要特性である目地すき特性に関して測定し実施例6と比較した。測定した目地すきの結果を表2に示す。
Figure 2010106373
表2の結果から明らかなように、実施例6で得られたシートの目地すきは比較例5に比べて小さく、その数値も実用上に差し支えのないデータであり、非木材繊維束を使用したシートの有効性が判る。
実施例7
実施例6で得られたシートをインクジェット記録用紙として加工すべく、インクジェットプリンタのインク受理層組成物として、コロイダルシリカ(スノーテックスPS、日産化学工業(株)製)100部、ポリビニルアルコール(PVA117、(株)クラレ製)30部、カチオン性樹脂(ポリフィクス601、昭和高分子(株)製)30部を主成分とした固形分濃度10%の水性スラリーを調整した。このスラリーをロッドコーターにより乾燥固形分12g/mになるよう実施例6のシートのパルプB面側に塗布し乾燥した。この作製したインクジェット記録用紙のインクジェット適正を評価した結果を表3に示した。
比較例5
比較例1で得られたシートをインクジェット記録用紙として加工すべく、インクジェットプリンタのインク受理層組成物として、コロイダルシリカ(スノーテックスPS、日産化学工業(株)製)100部、ポリビニルアルコール(PVA117、(株)クラレ製)30部、カチオン性樹脂(ポリフィクス601、昭和高分子(株)製)30部を主成分とした固形分濃度10%の水性スラリーを調整した。このスラリーをロッドコーターにて乾燥固形分12g/mになるよう比較例1のシートに塗布し乾燥した。作製したインクジェット記録用紙のインクジェット適性を評価した結果を表3に示した。
Figure 2010106373
表3の結果から明らかなように、用紙の手肉感を関係する剛度、画像の印字鮮明性、印字後のコックリング適性の何れについても、比較例5のインクジェット記録用紙に比べ実施例7のインクジェット記録用紙が優れ、インクジェット記録用紙の原紙としても非木材繊維を使用したシートが優れることが判る。
実施例8
固形分濃度10%の微細セルロースB、150kgをタンク内に希釈水とともに仕込み、撹拌を加えつつ固形分濃度がほぼ1%程度になるよう調整した。調整後、非木材繊維束A、225kgと生分解性の熱融着繊維である合成繊維B、60kgを投入し、最終的に固形分濃度が3%になるように希釈水を加えて撹拌混合した。このスラリーを用い、円網抄紙機にて抄造速度20m/min、ドライヤー温度95℃にて坪量150g/mのシートを得た。このシートを、ディップ方式のロールコーター加工機を用いてポリ乳酸エマルション(テラマックLAE−013N、ユニチカ(株)製)を含浸し、ドライヤー温度170℃で乾燥し、圧延装置にて加熱、圧縮成形後に冷却してボードを得た。得られたボードは極めて均一性が高く、実用上充分な生分解性を有していた。

Claims (8)

  1. 非木材植物より得られた平均繊維長が10mm以下の非木材繊維束を主成分とし、非木材パルプ、木材パルプ及び微細セルロース繊維の少なくとも1種類とともに水中に分散後、連続抄造したことを特徴とする非木材繊維シート。
  2. 前記非木材繊維束が靱皮繊維、硬質繊維、あるいは葉の繊維の少なくとも1種類である請求項1記載の非木材繊維シート。
  3. 前記非木材植物が、ケナフ、ジュート、竹、アバカ及びサイザルの少なくとも1種類である請求項1又は2記載の非木材繊維シート。
  4. 少なくとも非木材繊維束と微細セルロース繊維とからなる請求項1〜3の何れかに記載の非木材繊維シート。
  5. 前記微細セルロース繊維が植物の柔細胞から抽出されたものである請求項1〜4の何れかに記載の非木材繊維シート。
  6. 少なくとも1種類の熱融着性繊維、熱可塑性繊維、生分解性合成繊維及び再生繊維を含有する請求項1〜5の何れかに記載の非木材繊維シート。
  7. 2層以上からなる繊維シートの少なくとも1層が請求項1〜6の何れかに記載の非木材繊維シートである繊維シート。
  8. 請求項1〜6の何れかに記載の非木材繊維シート、又は請求項7記載の繊維シートを直接又は後処理後に成型して得られる成形体。
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