JP2010105908A - 陶磁器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の陶磁器よりも大量の不純物を吸着して除去することが可能な陶磁器を提供する。
【解決手段】実施形態に係る陶磁器1は、数十ミクロン以下の大きさの細孔が多数形成された外殻体2と、外殻体2に内包された内核体3であり、外殻体2の細孔よりも大きな孔が多数形成された内核体3と、を備える多層構造である。また、内核体3の主原材料は、陶土と、燃焼や炭化により多数の大きな孔を形成する孔形成材である。また、外殻体2の主原材料は、陶土と、数十ミクロン以下の細孔構造を有する鉱石である。
【選択図】図1

Description

本発明は、家庭用の天ぷら油や業務用で使用するフライヤーの中の食用油等の汚れ除去、酸化防止、臭い除去等の機能を発揮することができる多孔質の陶磁器に関する。
粘土に鉱物を混合し、練り合わせて成形した物を焼成した陶磁製遠赤外線放射器の製品が、下記特許文献1に開示されている。下記特許文献1では、粘土に鉱物を混合した物を練り合わせ型に入れて成型乾燥してから素焼きで前焼きを行い、その後、その表面に鉱物の微粒子を付着させてから、1,200〜1,300℃の温度で焼成することで上記製品が製造される。
上記特許文献1によれば、上記陶磁製遠赤外線放射器の製品を用いれば、製品から放射される遠赤外線の作用により、水と油を分離するので、油の酸化を遅らせることができる。よって、食用油に上記製品を入れると、新しい油に入れ替えるまでの期間を従来の2〜5倍に引き延ばすことができるとのことである。
また、本発明者が開発した、吸着性能及び消臭機能に優れた陶磁器が下記特許文献2に開示されている。特許文献2に開示された陶磁器は、陶土、発泡ガラス及び鹿沼土等を混合して500〜1,200℃で焼成して製造されるものであり、多孔質の陶磁器である。
特開平7−289174号公報 特許第3982826号公報
上記特許文献1の陶磁製遠赤外線放射器の製品によれば、食用油の酸化を遅らせることはできるが、油の汚れや臭い等を除去することはできない。また、上記特許文献1に開示された多孔質の陶磁器によれば、油の汚れや臭いの原因となる物質を吸着することはできるが、吸着量には限りがあるため、不純物が多い場合等には頻繁に交換する必要があり、手間やコストがかかってしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、従来の陶磁器よりも大量の不純物を吸着して除去することが可能な陶磁器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る
を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、従来の陶磁器よりも大量の物質を内部に吸着することができる。
図1は、本実施形態に係る卵形二層構造の陶磁器の断面図である。 図2は、本実施形態に係る卵形二層構造の陶磁器の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、本実施形態の実施例に係る陶磁器の原材料を示す一覧表である。 図4は、本実施形態の実施例2に係る陶磁器の断面写真である。 図5は、本実施形態に係る浄化効果試験1の結果を示す図である。 図6は、本実施形態に係る浄化効果試験2の結果を示す図である。 図7は、本実施形態の変形例に係る角形二層構造の陶磁器の断面図である。
まず、図1及び図2を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る卵形二層構造の陶磁器の断面図、図2は、本実施形態に係る卵形二層構造の陶磁器の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態に係る卵形二層構造の陶磁器1は、陶磁器1自体の形状が全体的に卵形をしており、球形の内核体3と、外形が卵形で内核体3を内包する外殻体2とを備えている。
内核体3は、陶土に、多数の孔を形成するための孔形成材(気泡材)としての発泡ガラス、木屑、リグニン、イネ科植物(籾殻)等と、天然鉱物としてのゼオライト、珪藻土、麦飯石、シラス等と、の混合物を、陶土に対して10〜80重量%で混合したものである。外殻体2は、陶土に、多数の細孔を有する天然鉱物としてゼオライト、珪藻土、麦飯石、シラス等を、陶土に対して10〜90重量%混合したものである。
上記発泡ガラスは、ガラスに、炭酸カルシウム成分(アコヤ貝等の貝類の殻)をガラスに対して10〜90重量%で添加したものであり、焼成後、内殻体3には、外殻体2に形成される気泡(孔)よりも大きな気泡(孔)が多数形成される。なお、内核体3には、孔形成材により大きめの孔が多数形成され、この孔に後述する不純物を貯留することができるので、元々細孔が多数形成された鉱物を原材料から除外しても良い。
発泡ガラスの炭酸カルシウムをガラス成分に対して10〜90重量%の範囲とするのは、炭酸カルシウムが10重量%未満であると、発生する二酸化炭素の量(発泡量)が少ないため、出来上がる発泡ガラスの穴が少なく、多孔質性が不十分な発泡ガラスになってしまうからである。また、炭酸カルシウムが90重量%を超えると、二酸化炭素の大量発生により、出来上がる発泡ガラスの穴が大きくなり過ぎてしまうからである。なお、炭酸カルシウムのより好ましい含有比は、10〜50重量%である。
続いて、卵形二層構造の陶磁器1の製造方法について、図2を参照しながら説明する。まず、S11において、内核体3の主原材料として、陶土と、孔形成材(発泡ガラス、木屑、リグニン、イネ科植物等)と、鉱物(ゼオライト、珪藻土、麦飯石、シラス等)とを混合し、S12では、この混合物を手で丸めて球状に成形する。
ここで、リグニンは、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物で、木質素とも呼ばれる液状物質であり、本実施形態では、内核体3の原材料である陶土と、他の原材料である孔形成材や鉱物とをしっかりと結合するための接着剤としても機能する。
一方、S13において、外殻体2の主原材料として、陶土と、鉱物(ゼオライト、珪藻土、麦飯石、シラス等)と、水とを泥しょうタンク内にいれて混合し、S14では、このどろどろの泥しょうが固まらないように泥しょうタンク内で撹拌する。
S15では、内核体3の素としてS12で成形した球状の混合物を、上下に開いた卵形の石膏型の中に入れて設置する。続いて、S16では、石膏型を閉じ、圧力を加えながら泥しょうタンク内の泥しょうを排泥し、内核体3の球状混合物が載置された石膏型内に流し込む(圧力鋳込み)。
泥しょうタンクと石膏型をつなぐチューブは石膏型の下部に接続されており、泥しょうタンクから排泥された泥しょうは、圧力をかけられながら石膏型の下部から勢いよく型内に注入される。このとき、石膏型内の下部に位置していた内核体3の混合物は、下部から噴出する泥しょうにより、上方に吹き上げられる。
そして、泥しょうが一気に石膏型内に注入されると、内核体3の混合物は、水分が石膏に吸収されることで固まり始めた泥しょうによって、石膏型内に浮いた状態で保持される。なお、多数の陶磁器1を同時に効率よく製造したい場合には、石膏型を複数並べておいて、上記工程を並行して行えば良い。
S16の後、20〜30分程度そのままにしておくと、泥しょうの水分が石膏型によって吸収され、内核体3の混合物を固化した泥しょう(外殻体2)で包んだ成形物ができる。S17では、この成形物を取り出し、一週間以上自然乾燥させる。なお、自然乾燥ではなく、温室内等で強制乾燥を行ってもよく、強制乾燥を行えば、乾燥時間を短くすることができる。
最後に、S18に進み、この成形物を600〜1,250℃(好ましくは、800〜1,190℃)で4〜24時間焼成すると、図1に示す卵形二層構造の陶磁器1が完成する。この焼成工程により、外殻体2においては、陶土と鉱物の混合物が焼成されることで、陶土の焼成によって生じるナノメートル単位の細孔に加えて、元々鉱物が有する細孔(サブナノメートル〜数十ミクロン)が散在することになる。
一方、内核体3においては、内殻体3の原料である孔形成材である発泡ガラス、木屑、リグニン、イネ科縮物(籾殻)等が炭化したり燃焼したりするので、内核体3内には多数の大きな穴(孔)が形成される。
ここで、内核体3の原材料である木屑、籾殻等は、数ミリメートルの大きさであるため、内核体3には、焼成によって陶土に生じるナノメートル単位の細孔に加えて、孔形成材である発泡ガラス、木屑、リグニン、籾殻によって生じる数ミクロン〜数ミリメートルの大きな孔が多数形成されることになる。また、内核体3の原材料として鉱物が含まれる場合には、元々鉱物が有する細孔(サブナノメートル〜数十ミクロン)も形成されることになる。
ここで、焼成温度の下限を600℃とするのは、焼成温度が低いと焼き物の強度が弱くなるとからである。また、内核体3の原料に含まれる発泡ガラスのガラス成分は500℃から溶け始めるため、内核体3に多くの孔を形成するためには、600℃以上で焼成する必要がある。一方、焼成温度が1,300℃を超えると、原料が液状化して穴が潰れてしまうこともあるため、上限を1,250℃としている。
本実施形態に係る二層構造の陶磁器1は、例えば、汚れを除去するための浄化製品として、天ぷら油等の食用油の中に入れて使用される。使用済みで汚れた食用油に陶磁器1を入れて50〜300℃に加温すると、食用油の粘性が低下して対流が強くなると共に、煙の発生も減少した。これは、使用済みの食用油に含まれる、発煙の元となる水分や、汚れ成分、臭い成分等の不純物が外殻体2の細孔を通過して内核体3にまで到り、内核体3の孔内に捕捉されるからである。もちろん、不純物の一部は外殻体2の細孔にも吸着される。
また、食用油の酸化に関しては、水分や汚れ成分(金属イオン)によって酸化が促進されるため、陶磁器1を食用油の中に浸すことで油内の不純物が除去されると、食用油の酸化を抑え、食用油を長持ちさせることができる。
また、外殻体2の細孔(フィルター)を通過して内核体3の比較的大きな孔内に捕捉された汚れ成分は、フィルター機能により外殻体2を逆に通過して外に出難く、内核体3内に蓄積されていく。このように、陶磁器1は、一度捕捉した不純物の大部分を外に逃がすことがないので、常に油を浄化することができ、内核体3内の不純物が一杯になったときに交換すれば良い。
また、本実施形態に係る陶磁器1は、外殻体2の原材料を混合した混合物と、内核体3の原材料を混合した混合物とを一体化した成形物を焼成して陶磁器1を製造しているので、構造も丈夫であると共に、比較的簡単に浄化製品である陶磁器1を製造することが可能である。
なお、食用油の中で使用された後の陶磁器の使用方法としては、使用済み陶磁器を加温した遠心分離器に投入して回転させ食用油を取り除けば、ガーデニング用品や微生物の住処として利用可能になる。また、容器に使用済み陶磁器と水を入れ、これを煮沸することで水と油を分離させ、油を除去することも可能である。その他、食用油に使用する以外にも水や土に投入することで多孔質の特性である、軽量、保水性、吸水性、透水性を有する利点がある。
以上、本実施形態に係る卵形二層構造の陶磁器1について詳細に説明したが、外殻体2を通過した汚れ成分や水分等の使用済み食用油内に含まれる不純物を内核体3に閉じ込めるという本実施形態に係る作用効果を奏するためには、陶磁器1は、多数の細孔を有する多孔質素材である外殻体2と、外殻体2に包含されると共に、外殻体2の細孔よりも大きな孔を多数有する多孔質素材である内核体3とを備えていれば良い。
外殻体2に多数の細孔を形成するためには、外殻体2の原材料としては、少なくとも、陶土と、多数の細孔を有する多孔質素材とを混合・焼成すれば良い。但し、外殻体2は、外部の不純物を通過させるが、いったん通過して内部に入った不純物の大部分が外には出られないように機能する必要があるため、外殻体2に形成される細孔は所定の大きさである必要がある。
外殻体2の全ての細孔のサイズが小さすぎると不純物が外殻体を通過することができず、逆に大きすぎると、内部に入った不純物が容易に外部に出てしまう。本実施形態では、多孔質素材として、ゼオライト、珪藻土、麦飯石、シラス等を用いることで、これらの条件を満たしている。具体的には、外殻体2が、直径数十ミクロン以下のマクロ孔(直径50nm以上の細孔)による細孔構造を有することが望ましいため、直径数十ミクロン以下のマクロ孔による細孔構造を有する多孔質素材を外殻体2に原材料として用いている。もちろん、外殻体2には陶土の焼成によりマクロ孔よりも小さな孔がさらに形成されている。
なお、外殻体2の原材料である多孔質素材としては、鉱物に限らず、内核体3と一緒に焼成可能であり、完成時に、外殻体2に内核体3へのフィルターとして作用する細孔を多数形成できる材料であれば、種々の材料を用いることができる。
一方、内核体3は、内部にある程度不純物を貯留できる部材であれば良く、混合・焼成の結果、外殻体2に形成された細孔よりも大きな孔を多数有する構造を形成可能な材料であれば、種々の材料を用いることができる。
続いて、本実施形態に係る陶磁器1の具体的な実施例1及び実施例2について説明する。図3(a)は、実施例1に係る外殻体2及び内核体3の原材料一覧表であり、重量比で示している。実施例1の外殻体2の原材料は、陶土6重量部と、多孔質素材としてのゼオライト1重量部、珪藻土1重量部、麦飯石0.5重量部、シラス0.5重量部、鹿沼土0.5重量部及び貝化石0.5重量部である。
実施例1の内核体3の原材料は、陶土5重量部と、多孔質素材としてのゼオライト0.5重量部、珪藻土0.5重量部、麦飯石1重量部、鹿沼土0.5重量部及び赤玉土0.5重量部と、孔形成材としての発泡ガラス2重量部、木屑0.1重量部、籾殻0.1重量部及びリグニン0.05重量部である。
続いて、図3(b)は、実施例2に係る外殻体2及び内核体3の原材料一覧表であり、重量比で示している。実施例2の外殻体2の原材料は、陶土6重量部と、多孔質素材としてのゼオライト1重量部、珪藻土1重量部、麦飯石0.5重量部、シラス0.5重量部、鹿沼土0.5重量部及び貝化石0.5重量部である。
実施例2の内核体3の原材料は、陶土5重量部と、多孔質素材としての鹿沼土0.5重量部及び赤玉土0.5重量部と、孔形成材としての発泡ガラス3重量部、木屑0.1重量部、籾殻0.1重量部及びリグニン0.05重量部である。
ここで、実施例1と実施例2では、内核体3の原材料として多孔質素材としての鉱物(ゼオライト、珪藻土、麦飯石)を含むか否かが異なっている。実施例2において多孔質素材としての鉱物を除いたのは、価格の高い鉱物を除いて陶磁器1の製造コストを下げるためである。
実施例2に係る陶磁器1の完成品の断面写真を図4に示す。同図に示すように、卵形二層構造の陶磁器1の外殻体2は、目視ではほとんど認識することができない微小な細孔が形成された陶磁器である。但し、外殻体2においても、異物等によって所々に少数の大きな孔が形成されてしまう。また、内核体3には、外殻体2と同様の微小な細孔に加えて、孔形成材によって形成される目視可能なミクロン単位から数ミリメートルの大きな孔が多数形成されている。
続いて、上記実施例2に係る陶磁器を用いて、食用油の浄化効果試験を行った結果について、図面を参照しながら説明する。図5は、浄化効果試験1の結果を示す表であり、図6は、浄化効果試験2の結果を示す表である。
浄化効果試験1は、陶磁器を入れた食用油Aと、入れていない食用油Bの酸価を径時的に測定する試験である。詳細には、同じ食用油500mlを二つ用意(食用油A,食用油B)し、同時に180℃に加熱してから7時間連続で加熱する操作を三日間繰り返した。酸価は、基準油脂分析試験法(日本油化学会編)により分析した。
図5に示すように、加熱前には双方共に0.06であった酸価が、3日目には、陶磁器を入れた食用油Aが0.36であるのに対して、陶磁器を入れていない食用油Bは0.41となっており、陶磁器を入れることで、食用油の酸化を大きく抑えることができている。
本試験では、単純に食用油を加熱しているだけであるから、上記結果は、食用油の中に陶磁器が入れられることで、油内の水分が陶磁器内に吸着・貯留、特に内核体に多く貯留され、油内の水分が除去されることに大きく起因すると考えられる。
一方、浄化効果試験2は、陶磁器を入れた食用油で揚げた天ぷら(芋)と、陶磁器を入れていない食用油で揚げた天ぷら(芋)を成分分析した試験である。分析したのは、水分(常圧加熱乾燥法)、たんぱく質(ケルダール法)、脂質(酸分解法)、灰分(直接灰化法)、炭水化物、エネルギー(cal)であり、図6(a)が陶磁器を入れた方の結果、図6(b)が陶磁器を入れていない方の結果を示している。
図6に示すように、陶磁器を入れた方が、たんぱく質、脂質、炭水化物及びエネルギーが大きく低下しており、低カロリーで健康に良い天ぷらとなっている。これは、食用油内の不純物が陶磁器内に捕捉され、油内から除去されることで、陶磁器を入れた方の天ぷらに含まれる不純物が大幅に少なくなったことに起因すると考えられる。
続いて、本実施形態の変形例について図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の変形例に係る角形二層構造の陶磁器の断面図である。同図に示すように、変形例に係る陶磁器5は、外殻体6と、内核体7とから構成され、全体的に直方体の角形をしている。外殻体6及び内核体7の原材料は上記実施形態と同様である。
内核体7も角形であり、内核体7が外殻体片6a〜6d等によって挟まれ、内核体7は外殻体6によって内包されている。外殻体6は、図示しない二つの外殻体片を含む六つの外殻体片6a,6b,6c,6dからなり、直方体形状の各外殻体片6a等が内核体7の六面をそれぞれ覆っている。
陶磁器5の製造方法は、まず、上記実施形態と同様に内核体7の原材料を混合し、手で角形に成形する。また、また、上記実施形態とは異なり、水を加えないで外殻体6の材料を混合し、手で外殻体片6a〜6dとなる六つの直方体片を成形する。続いて、六方向から直方体片6a〜6dで内核体7を挟み込み、図7に示すような構造の成形物を形作る。
続いて、上記実施形態と同様に成形物を焼成することで、図7に示すように外殻体6で内核体7を包み込んだ陶磁器5が完成する。本実施形態によれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、泥しょうタンクや石膏型を用意する必要がなく、焼成工程以外は手作業で行うことができる。よって、手間はかかるが製造コストを下げることが可能である。また、陶磁器の形状についても適宜所望の形状にすることができる。
以上、変形例も含めて本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、外殻体や内核体の原材料は、上述した機能を実現できる限り、上記実施形態で示した主原材料に加えて他の材料を加えても良い。
また、上記実施形態では、二層構造の陶磁器を食用油の不純物除去に用いる場合について説明したが、本発明に係る陶磁器の使用用途は、食用油に限らず、例えば、エンジンオイルや灯油等の他の油類、水の浄化等、種々の液体の不純物除去に用いることができる。
また、本発明に係る陶磁器の使用用途は、不純物除去に限らず、所定の成分を陶磁器内、特に内核体内に保持させ、徐々に当該成分を陶磁器外へ放出する、保持器としても使用することができる。例えば、浄化用の微生物等を多層構造の陶磁器に吸着・保持させておき、浄化したい水の中に当該陶磁器を載置することで、徐々に微生物を放出し、長期にわたって水を浄化することが可能となる。
また、上記実施形態に係る陶磁器は、内核体と外殻体の二層構造としているが、上述したような内核体及び外殻体を有するのであれば、内核体と外殻体との間に多孔質の中間層を設けるなど、三層以上の構造の陶磁器としても良い。
また、上記実施形態では、卵形や角形の陶磁器としたが、内核体を外殻体で包含する多層構造であれば、陶磁器の形状はどのような形状であっても良く、また、内核体及び外殻体の形状も適宜所望の形状とすることができるのは言うまでもない。
1,5 陶磁器
2,6 外殻体
3,7 内核体

Claims (5)

  1. 数十ミクロン以下の大きさの細孔が多数形成された外殻体と、
    前記外殻体に内包された内核体であり、前記外殻体の細孔よりも大きな孔が多数形成された内核体と、を備えることを特徴とする多層構造の陶磁器。
  2. 前記内核体の主原材料が、陶土と、燃焼や炭化により前記多数の大きな孔を形成する孔形成材であることを特徴とする請求項1記載の陶磁器。
  3. 前記外殻体の主原材料は、陶土と、数十ミクロン以下の細孔構造を有する鉱石であることを特徴とする請求項1又は2記載の陶磁器。
  4. 前記内核体に多数形成された孔の大きさが数ミクロン〜数ミリメートルであることを特徴とする請求項1記載の陶磁器。
  5. 内核体と、前記内核体を内包する外殻体とを備える多層構造の陶磁器の製造方法において、
    前記内核体の主原材料である陶土と、燃焼や炭化により多数の孔を形成する孔形成材とを混合する内核体混合工程と、
    外殻体の主原材料である陶土と鉱石とを混合する外殻体混合工程と、
    前記内核体の混合物を前記外殻体の混合物で内包して所定の形状の成形物に成形する成形工程と、
    前記成形物を600〜1,250℃で焼成することで、数十ミクロン以下の大きさの細孔が多数形成された外殻体と、前記外殻体の細孔よりも大きな孔が多数形成された内核体とを形成する焼成工程と、
    を備えることを特徴とする多層構造の陶磁器の製造方法。
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