以下より、本発明に係る実施形態の一例について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す構成図である。
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、スキャン部2と、操作コンソール(console)部3とを有している。ここで、スキャン部2は、静磁場マグネット(magnet)部12と、勾配コイル(coil)部13と、RFコイル部14と、撮像テーブル(table)15とを有する。そして、操作コンソール部3は、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24と、制御部30と、記憶部31と、操作部32と、データ処理部33と、表示部34とを有する。
スキャン部2について説明する。スキャン部2は、図1に示すように、被検体40における撮像領域が収容される静磁場空間11を含んでいる。そして、スキャン部2は、操作コンソール部3からの制御信号に基づいて、その静磁場が形成される静磁場空間11に収容した被検体40の撮像領域にRFパルス電磁波を照射し、その撮像領域から磁気共鳴信号を取得するスキャンを実施する。
スキャン部2の各構成要素について、順次、説明する。
静磁場マグネット部12は、超伝導磁石(図示なし)を有しており、被検体40の撮像領域が収容される撮像空間11に静磁場を形成する。ここでは、静磁場マグネット部12は、水平磁場型であって、被検体40の体軸方向(z方向)に沿うように静磁場を形成する。なお、静磁場マグネット部12は、垂直磁場型であってもよく、また、永久磁石により構成されていてもよい。
勾配コイル部13は、図1に示すように、被検体40の撮像領域を囲むように撮像空間11に設けられている。勾配コイル部13は、勾配コイル(図示なし)を有しており、勾配コイルに駆動電圧が印加されることにより、静磁場が形成された撮像空間11に勾配磁場を形成する。これにより、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号に位置情報を付加する。ここでは、勾配コイル部13は、3系統の勾配コイルからなり、撮像条件に応じて、周波数エンコード(encode)方向、位相エンコード方向、およびスライス(slice)選択方向のそれぞれに勾配磁場を形成する。具体的には、勾配コイル部13は、被検体40のスライス選択方向に勾配磁場を形成し、RFコイル部14がRFパルス電磁波を送信することによって励起させる被検体40のスライスを選択する。また、勾配コイル部13は、被検体40の位相エンコード方向に勾配磁場を形成し、RFパルス電磁波により励起されたスライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする。そして、勾配コイル部13は、被検体40の周波数エンコード方向に勾配磁場を形成し、RFパルス電磁波により励起されたスライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする。
RFコイル部14は、図1に示すように、被検体40の撮像領域を囲むように撮像空間11に設けられている。RFコイル部14は、RFコイル(図示なし)を有しており、RFコイルに駆動電圧が印加されることにより、静磁場が形成された撮像空間11内にRFパルス電磁波を送信して高周波磁場を形成する。これにより、撮像空間11内の被検体40の撮像領域におけるプロトンのスピンを励起する。そして、RFコイル部14は、その励起された被検体40内のプロトンから発生する電磁波を磁気共鳴信号として受信する。
撮像テーブル15は、被検体40を載置するクレードル(cradle)を有する。撮像テーブル15は、制御部30からの制御信号に基づいてクレードルを移動させ、クレードルに載置された被検体40を撮像空間11の内部と外部との間で移動させる。
操作コンソール部3について説明する。操作コンソール部3は、スキャン部2が被検体40についてMRスキャン(以下、単にスキャンという)を実施するように制御し、そのスキャン部2が実施したスキャンによって得られた磁気共鳴信号に基づいて、被検体40の画像を再構成すると共に、その再構成した画像を表示する。
操作コンソール部3を構成する各部について、順次、説明する。
RF駆動部22は、RF発振器(図示なし)、ゲート(gate)変調器(図示なし)、およびRF電力増幅器(図示なし)を有している。RF駆動部22は、制御部30からの制御信号に基づいてこれらを制御することによりRFコイル部14に駆動電圧を印加し、撮像空間11内に高周波磁場を形成させる。すなわち、RF駆動部22は、ゲート変調器を用いてRF発振器からのRF信号を所定のタイミングおよび所定の包絡線の信号に変調する。その後、このゲート変調器により変調された信号をRF電力増幅器により増幅し、この増幅された信号を駆動電圧としてRFコイル部14に印加する。これにより、撮像空間11内にRFパルス電磁波を送信させ、高周波磁場を形成させる。
勾配駆動部23は、勾配コイル部13の3系統の勾配コイルに対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有している。勾配駆動部23は、制御部30からの制御信号に基づいてこれらの駆動回路を制御し、勾配コイルに駆動電圧である勾配パルスを印加する。これにより、撮像空間11内に勾配磁場を形成させる。
データ収集部24は、位相検波器(図示なし)と、アナログ(analog)/デジタル(digital)変換器(図示なし)とを有する。データ収集部24は、制御部30からの制御信号に基づいて位相検波器およびアナログ/デジタル変換器を制御することにより、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集する。すなわち、データ収集部24は、RFコイル部14からの磁気共鳴信号を、RF駆動部22のRF発振器の出力を参照信号として位相検波器によって位相検波し、位相検波されたアナログ信号である磁気共鳴信号を、アナログ/デジタル変換器によってローデータに変換する。ローデータは、後述の記憶部31、データ処理部33へ出力される。
制御部30は、コンピュータ(computer)と、コンピュータを用いて所定のスキャンに対応する動作を各部に実行させるプログラム(program)とを有する。そして、制御部30は、後述する操作部32に接続されており、操作部32に入力された操作信号を処理し、撮像テーブル15とRF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24との各部に、制御信号を出力し制御を行う。また、制御部30は、所望の画像を得るために、操作部32からの操作信号に基づいてデータ処理部33、表示部34を制御する。
本実施形態において、制御部30は、RF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24とを制御して、造影剤が注入された被検体40の撮像領域を複数の時点にてスキャンする造影ダイナミックスキャンを実施する。なお、ここでは、造影ダイナミックスキャンを実施する方法として、スキャンする時点を特に決めず、造影剤を被検体に注入した後、被検体40の撮像領域において造影剤が所望の状態になる時点を含むと考えられる十分長い期間について、略定期的にスキャンを繰り返す方法を採用する。
記憶部31は、コンピュータとコンピュータに所定のデータ処理を実行させるプログラムとを有する。そして、記憶部31は、データ収集部24により収集された磁気共鳴信号であるローデータ(イメージングデータあるいはK空間データとも言う)、後述するデータ処理部33によりローデータをフーリエ変換して得られる画像データ等を記憶する。
操作部32は、キーボード(keyboard)やマウス(mouse)などの操作デバイス(device)により構成されている。操作部32は、オペレータ(operator)によって操作データ、撮像プロトコル(protocol)、撮像領域やそのスライスの設定に関するデータなどが入力され、これらのデータを制御部30に出力する。
データ処理部33は、コンピュータと、そのコンピュータを用いて所定のデータ処理を実行するプログラムを記憶するメモリ(memory)とを有しており、制御部30からの制御信号に基づいて、データ処理を実行する。
図2は、データ処理部33の構成を示すブロック(block)図である。
図2に示すように、データ処理部33は、指標値算出部331と、しきい値判定部332と、画像再構成部333と、画像出力部334とを有する。
指標値算出部331は、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された複数の時点の各々を処理対象として、対象の時点(以下、対象時点という)における被検体40の画像と、被検体40の基準画像との相違を表す指標値を算出する。具体的には、対象の時点における撮像領域に設定された所定のスライスに対応する画像のローデータと、上記所定のスライスに対応する基準画像のローデータとの相違を表す指標値を算出する。
所定のスライスは、撮像領域に単一のスライスが設定される場合にはその単一のスライス、撮像領域に複数のスライスが設定される場合にはその複数のスライスの全部または一部を考えることができる。ここでは、その一例として、撮像領域に設定された複数のスライスのうち操作者により指定される1または2以上のスライスを所定のスライスとする。
基準画像は、撮像したい所望の時相に応じて種々の画像を考えることができる。ここでは、その一例として、非造影による被検体40の画像を基準画像とする。具体的には、その一例として、造影ダイナミックスキャンを開始する前に所定のプレスキャン(pre−scan)を実施するものとし、そのプレスキャンが実施される時点tpにおける上記所定のスライスに対応する画像を基準画像とする。なお、注入した造影剤が被検体40の撮像領域に到達するより前に造影ダイナミックスキャンを開始することが前提であれば、造影ダイナミックスキャンにおいて最初のスキャンが実施される時点における所定のスライスに対応する画像等を基準画像としてもよい。
指標値は、上記の相違を表すものであれば、基本的にどのようなものでも適用可能である。例えば、指標値として、上記の相違を形成する一方のデータを構成するデータ値の平均値、中間値、総和、分散等の代表値と、上記相違を形成する他方のデータを構成するデータ値の同代表値との差分や比等を考えることができる。ここでは、その一例として、上記相違を形成する一方のデータを構成するデータ値の総和と、上記相違を形成する他方のデータを構成するデータ値の総和との差分とする。すなわち、対象時点における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和と、基準画像のローデータを構成するデータ値の総和との差分を指標値とする。
なお、所定のスライスが複数のスライスである場合には、複数のスライスにそれぞれ対応する複数の画像のローデータを構成するすべてのデータ値の総和と、複数のスライスにそれぞれ対応する複数の基準画像のローデータを構成するすべてのデータ値の総和との差分を指標値とする。あるいは、同一のスライスに対応する対象時点における画像と基準画像との組合せごとに、対象時点における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和と基準画像のローデータを構成するデータ値の総和との差分を順次算出し、算出された差分の中で最大のものを指標値とする。
しきい値判定部332は、指標値算出部331により算出された指標値が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する。そして、指標値がしきい値以上であると判定されたときの対象時点における所定のスライスに対応する画像を再構成すべきであると判定する。このとき、所定のスライスが複数のスライスである場合には、これら複数のスライスに対応する複数の画像すべてを再構成すべきであると判定する。
これにより、被検体40の撮像領域に造影剤が到達して、撮像領域に対応する画像のローデータのデータ値が通常より変化したと考えられる時相を検出し、このような時相における画像を再構成すべきであると判定する。
なお、しきい値は、所定のスライスとして指定されたスライスの数、関心領域が設定された場合においてはその関心領域のサイズなどに応じて変化させる。例えば、スライスの数が大きくなるほど大きく、関心領域のサイズが大きくなるほど大きくなるようしきい値を変化させる。
画像再構成部333は、しきい値判定部332により再構成すべきであると判定された画像のみを、そのローデータに基づいて再構成する。
画像出力部334は、画像再構成部333により再構成された画像を出力する。出力先としては、記憶部31、表示部34、磁気共鳴イメージング装置1とネットワーク(network)等により接続された画像データサーバ(data server)(不図示)や、ビューア(viewer)端末(不図示)等を考えることができる。
これより、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の動作の流れを示すフロー(flow)図である。また、図4は、本装置により被検体40をスキャンする際のシーケンス(sequence)を示す図である。
まず、図3に示すように、プレスキャンを実施する(ST10)。
はじめに、撮像領域を設定する。例えば、表示部34が位置合せ用に撮像した被検体40のコロナル(coronal)画像を表示する。そして、オペレータが操作部32を操作することにより、表示されたコロナル画像上において撮像領域を設定する。また、オペレータは操作部32を操作することにより、設定された撮像領域内に画像化するスライスを設定する。ここでは、図5に示すように、被検体40の撮像領域に複数のスライスS1,S2,…,Snを設定する。
その後、スキャン部2が、図4に示すように、プレスキャンとしてのスキャンを実施する。すなわち、造影剤の注入を開始する時点t0より前の時点tpにおいてスキャンを実施する。スキャンは、例えば、特開2007−111188号公報に記載されているようなイメージングシーケンスを実施することにより実施される。なお、1回のスキャンを開始してから終了するまでには所定時間を要するが、便宜上、1の時点に対応して1回のスキャンが実施されるものとして説明する。また、ここでは、プレスキャンとしてスキャンを1回だけ実施しているが、プレスキャンとしてスキャンを複数回、例えば数回程度、繰返し実施してもよい。
次に、図3に示すように、造影ダイナミックスキャンを実施する(ST20)。
はじめに、造影ダイナミックスキャンにおける各種の設定を行う。例えば、オペレータが操作部32を操作することにより、表示された撮像プロトコル上で、スキャンの繰返し周期や繰返し回数などを設定する。なお、このとき、スキャンの繰返し周期、繰返し回数は、造影ダイナミックスキャンが実施される期間内に所望の時相が含まれるよう設定される。
その後、図4に示すように、造影剤の被検体40への注入を行う。すなわち、オペレータがインジェクタ(injector)(図示なし)を用いて、時点t0から所定時間が経過するまでの間において造影剤を注入する。
そして、スキャン部2が、図4に示すように、造影ダイナミックスキャンを実施する。すなわち、造影剤の被検体40への注入が終了した後、複数の時点t1,t2,…,tNにおいてスキャンを実施する。これにより、複数の時点t1,t2,…,tNの各々におけるスライスS1,S2,…,Snに対応する画像のローデータを取得する。
次に、画像再構成処理を実行する(ST30)。なお、この画像再構成処理は、ステップ(step)ST20における造影ダイナミックスキャンと略並行して行うことができる。
図6は、ステップST30における画像再構成処理のフローを示す図である。
まず、被検体40の撮像領域に設定された全スライスの中から目的のスライスを指定する(ST301)。例えば、オペレータが、操作部32を操作することにより、スライスS1,S2,…,Snの中から1または2以上のスライスを指定する(以下、この指定されたスライスを指定スライスという)。
次に、対象時点を選択する(ST302)。すなわち、指標値算出部331が、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された複数の時点t1,t2,…,tNの中から、処理対象となる時点として未だ選択されていない1つの時点を対象時点tqとして選択する。
次に、対象時点における指定スライスに対応する指標値を算出する(ST303)。
図7は、所定のスライスに対応する画像のローデータの概念図である。また、図8はローデータに基づいて指標値を算出する処理の概念図である。
所定のスライスに対応する画像のローデータは、図7に示すように、磁気共鳴信号をデジタル信号に変換して得られるデータであり、時点tiにおけるスライスSjに対応する画像のローデータは、RD(ti,Sj,dk)(k=1,2,…,NR)として表される。なお、図7に示すローデータは、いわゆるK空間データであり、本図は、フェーズエンコードを変えながら横軸方向に1ビューずつローデータを収集した例を示しており、波高は各データ値の大きさを表現したものである。
指標値算出部331は、対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像のローデータと、指定スライスに対応する基準画像(ここではプレスキャンが実施された時点tpにおける指定スライスに対応する画像)のローデータとの相違を表す指標値を算出する。
具体的には、例えば、指定スライスが単一のスライスSaであれば、指標値算出部331は、図8(a)に示すように、対象時点tqにおける指定スライスSaに対応する画像のローデータRD(tq,Sa,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスSaに対応する基準画像のローデータRD(tp,Sa,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、例えば、指定スライスが撮像領域に設定された全スライスの一部である2以上のスライスSa,Sa+1,…,Sa+mであれば、指標値算出部331は、図8(b)に示すように、対象時点tqにおける指定スライスSa,Sa+1,…,Sa+mに対応する画像のローデータRD(tq,Sa,dk),RD(tq,Sa+1,dk),…,RD(tq,Sa+m,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスSa,Sa+1,…,Sa+mに対応する基準画像のローデータRD(tp,Sa,dk),RD(tp,Sa+1,dk),…,RD(tp,Sa+m,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を、指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、例えば、指定スライスが撮像領域に設定された全スライスS1,S2,…,Snであれば、指標値算出部331は、図8(c)に示すように、対象時点tqにおける指定スライスS1,S2,…,Snに対応する画像のローデータRD(tq,S1,dk),RD(tq,S2,dk),…,RD(tq,Sn,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスS1,S2,…,Snに対応する基準画像のローデータRD(tp,S1,dk),RD(tp,S2,dk),…,RD(tp,Sn,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を、指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
次に、しきい値判定処理を行う(ST304)。すなわち、しきい値判定部332が、ステップST303にて算出された指標値C(tp)が所定のしきい値th1以上であるか否かを判定する。ここで、指標値C(tp)がしきい値th1以上であると判定された場合には、対象時点における指定スライスに対応する画像のローデータと基準画像のローデータとの間に一定レベル(level)以上の相違が存在すると考え、画像再構成部333が、この対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像を、そのローデータに基づいて再構成する(ST305)。一方、指標値C(tp)がしきい値th1未満であると判定された場合には、対象時点における指定スライスに対応する画像のローデータと基準画像のローデータとの間に一定レベル以上の相違がないと考え、画像再構成部333は、この対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像は再構成しない。
次に、次期の対象時点として選択すべき時点があるか否かを判定する(ST306)。すなわち、指標値算出部331が、複数の時点t1,t2,…,tNの中に、対象時点として未だ選択されていない時点が存在するか否かを判定する。ここで、未だ選択されていない時点が存在すると判定された場合には、ステップST302に戻り、指標値算出部331が、その未だ選択されていない時点を新たな対象時点として選択し、画像再構成処理を継続する。一方、未だ選択されていない時点が存在しないと判定された場合には、画像再構成処理を終了する。
なお、本実施形態では、対象時点における指定スライスに対応する画像を再構成すべきか否かの判定結果が出る度に、その対象時点における画像を逐次的に再構成しているが、もちろん、先にすべての対象時点における画像について再構成すべきか否かの判定を行い、その後、再構成すべきであると判定された画像だけをまとめて再構成するようにしてもよい。
次に、画像出力処理を実行する(ST40)。すなわち、画像出力部334が、ステップST30において画像再構成部333により再構成された画像を記憶部31、表示部34、磁気共鳴イメージング装置1とネットワーク等により接続された画像データサーバ(不図示)や、ビューア端末(不図示)等に出力する。
ここで、本実施形態による造影ダイナミックスキャンを実施した場合に得られる結果の一例について説明する。
図9は、本実施形態による造影ダイナミックスキャンの各スキャンが実施された各時点における指標値および画像再構成要否判定結果の一例を示す図である。本実施形態による造影ダイナミックスキャンを実施した場合、例えば、図9に示すような結果が得られる。図9の上段のグラフ(graph)は、横軸を時間t、縦軸を指標値C(ti)として、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された各時点ti(i=1,2,…,50)に対応する指標値C(ti)を実線の変化曲線C1で示したものである。なお、破線の変化曲線Z1は、プレスキャンを実施した時点tpと各時点tiにおける指定スライスSaに対応する画像のローデータRD(ti,Sa)を構成するデータ値の絶対値の総和ΣRD(ti,Sa)の変化を示しており、縦軸は指標値C(ti)と共通である。また、図9の下段のチャートR1は、各時点における指定スライスSaに対応する画像に対する再構成すべきであるか否かの判定結果を示している。
この例では、指定スライスSaに対応する画像のローデータに関する変化曲線Z1と指標値の変化曲線C1の形状から、次のような状況が想定される。まず、時点t1からt8付近では、造影剤が撮像領域に到達しておらず、時点t9からt20付近では、造影剤が撮像領域の動脈に到達してピーク(peak)を迎える。また、時点t20からt31付近では、撮像領域の動脈を通過している造影剤が抜け始めるとともに、撮像領域の静脈に造影剤が到達し始める。時点t32からt35付近では、造影剤が撮像領域の静脈に到達してピークを迎える。そして、時点t36から時点t39付近では、撮像領域の静脈を通過していた造影剤も抜け始め、時点t40からt50では、造影剤が撮像領域から略抜けている。
指標値C(ti)がしきい値th1以上となる時点は、時点t9からt39までである。したがって、これらの時点t9からt39における指定スライスSaに対応する画像に対しては、再構成すべきであるとの判定がなされ、一方、時点t1からt8までと時点t40からt50までの各時点における指定スライスSaに対応する画像に対しては、再構成すべきでないとの判定がなされる。これにより、造影剤が撮像領域に到達する前の時点と、造影剤が撮像領域から抜けた後の時点における不要な画像は再構成されず、造影剤が撮像領域に到達してから抜けるまでの間の時点における画像のみが再構成される。
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態と略同様の構成による磁気共鳴イメージング装置であるが、次の点で異なる。
本実施形態では、対象時点における指定スライスに対応する画像と比較する基準画像を、対象時点より前であり当該時点の近傍の時点における指定スライスに対応する画像とする。具体的には、その一例として、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された複数の時点のうち、対象時点より1つ前の時点における指定スライスに対応する画像を基準画像とする。
つまり、指標値算出部331は、例えば、指定スライスが単一のスライスSaであれば、対象時点tqにおける指定スライスSaに対応する画像のローデータRD(tq,Sa,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスSaに対応する基準画像のローデータRD(tq-1,Sa,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、例えば、指定スライスが撮像領域に設定された全スライスの一部である2以上のスライスSa,Sa+1,…,Sa+mであれば、指標値算出部331は、対象時点tqにおける指定スライスSa,Sa+1,…,Sa+mに対応する画像のローデータRD(tq,Sa,dk),RD(tq,Sa+1,dk),…,RD(tq,Sa+m,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスSa,Sa+1,…,Sa+mに対応する基準画像のローデータRD(tq-1,Sa,dk),RD(tq-1,Sa+1,dk),…,RD(tq-1,Sa+m,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を、指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、例えば、指定スライスが撮像領域に設定された全スライスS1,S2,…,Snであれば、指標値算出部331は、対象時点tqにおける指定スライスS1,S2,…,Snに対応する画像のローデータRD(tq,S1,dk),RD(tq,S2,dk),…,RD(tq,Sn,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスS1,S2,…,Snに対応する基準画像のローデータRD(tq-1,S1,dk),RD(tq-1,S2,dk),…,RD(tq-1,Sn,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を、指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、しきい値判定部332は、算出された指標値C(tp)が所定のしきい値th2以上であるか否かを判定する。そして、指標値C(tp)がしきい値th2以上であると判定された場合には、対象時点における指定スライスSaに対応する画像のローデータと基準画像のローデータとの間に一定レベル以上の相違が存在すると考えることができ、画像再構成部333が、この対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像を、そのローデータに基づいて再構成する。
これにより、被検体40の撮像領域における造影剤の濃度等の状態が変化して、撮像領域に対応する画像のローデータのデータ値が所定時間内に一定レベル以上変化したと考えられる時相を検出し、このような時相における画像のみを再構成する。
ここで、本実施形態による造影ダイナミックスキャンを実施した場合に得られる結果の一例について説明する。
図10は、本実施形態による造影ダイナミックスキャンの各スキャンが実施された各時点における指標値および画像再構成要否判定結果の一例を示す図である。本実施形態による造影ダイナミックスキャンを実施した場合、例えば、図10に示すような結果が得られる。図10の上段のグラフは、横軸を時間t、縦軸を指標値C(ti)として、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された各時点ti(i=1,2,…,50)に対応する指標値C(ti)を実線の変化曲線C2で示したものである。なお、破線の変化曲線Z2は、プレスキャンを実施した時点tpと各時点tiにおける指定スライスSaに対応する画像のローデータRD(ti,Sa)を構成するデータ値の絶対値の総和ΣRD(ti,Sa)の変化を示しており、縦軸は指標値C(ti)と共通である。また、図10の下段のチャートR2は、各時点における指定スライスSaに対応する画像に対する再構成すべきであるか否かの判定結果を示している。
この例では、対象時点における指定スライスSaに対応する画像のローデータに関する変化曲線Z2と指標値の変化曲線C2の形状から、次のような状況が想定される。まず、時点t1からt8付近では、造影剤が撮像領域に到達しておらず、時点t9からt20付近では、造影剤が撮像領域の動脈に到達してピークを迎える。また、時点t20からt31付近では、撮像領域の動脈を通過している造影剤が抜け始めるとともに、撮像領域の静脈に造影剤が到達し始める。時点t32からt35付近では、造影剤が撮像領域の静脈に到達してピークを迎える。そして、時点t36から時点t39付近では、撮像領域の静脈を通過していた造影剤も抜け始め、時点t40からt50では、造影剤が撮像領域から略抜けている。
指標値C(ti)がしきい値th2以上となる時点は、時点t9からt11までと、時点t18からt21までと、時点t31からt33までと、時点t35からt39までである。したがって、これらの時点における画像に対しては、再構成すべきであるとの判定がなされ、一方、残りの各時点における画像に対しては、再構成すべきでないとの判定がなされる。これにより、撮像領域における造影剤の状態の変化が乏しい時点における不要な画像は再構成されず、撮像領域における造影剤の状態の変化が大きい時点における画像のみが再構成される。
以上のように、上記第1および第2の実施形態によれば、造影ダイナミックスキャンにおける各スキャンが実施された複数の時点の各々について、その時点における被検体の画像に対応する再構成前のローデータに基づいて、その画像を再構成すべきであるか否か判定するので、再構成可能な複数の時点における画像のうち不要な画像を除いて再構成することができる。これにより、不要な画像の再構成に掛かる処理時間や必要な画像の検索に要する時間を低減して、検査時間や診断時間を短縮することができ、診断効率のよい造影ダイナミックスキャン法による撮像が可能となる。
また、上記第1および第2の実施形態によれば、再構成される不要な画像が減少するので、画像を保存するデータサーバの保存スペースを無駄に消費したり、ビューア端末のメモリスペース(memory space)を無駄に占有したりすることを防ぐことができ、画像のデータを扱うインフラ(infrastructure)に対する負荷を軽減することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態と略同様の構成による磁気共鳴イメージング装置であるが、データ処理部33の各構成要素の機能が次のように異なる。
画像再構成部333は、プレスキャンおよび造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンを実施して得られたローデータに基づいて、複数の時点の各々における被検体40の撮像領域に設定された所定のスライスに対応する画像を再構成する。
指標値算出部331は、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された複数の時点の各々を処理対象として、対象の時点(以下、対象時点という)における所定のスライスに対応する画像と基準画像との相違を表す指標値を算出する。ここでは、対象時点における所定のスライスに対応する画像の画像データを構成するデータ値の総和と、基準画像の画像データを構成するデータ値の総和との差分を指標値とする。
なお、所定のスライスが複数のスライスである場合には、複数のスライスにそれぞれ対応する複数の画像の画像データを構成するすべてのデータ値の総和と、複数のスライスにそれぞれ対応する複数の基準画像の再構成画像データを構成するすべてのデータ値の総和との差分を指標値とする。あるいは、同一のスライスに対応する対象時点における画像と基準画像との組合せごとに、対象時点における画像の画像データを構成するデータ値の総和と基準画像の画像データを構成するデータ値の総和との差分を順次算出し、算出された各スライスに対応する差分の中で最大のものを指標値とする。
しきい値判定部333は、指標値算出部331により算出された指標値が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する。そして、指標値がしきい値以上であると判定された対象時点の画像を出力すべきであると判定する。このとき、所定のスライスが複数のスライスである場合には、これら複数のスライスに対応する複数の画像すべてを出力すべきであると判定する。
画像出力部334は、画像再構成部333により再構成された画像のうち、しきい値判定部332により出力すべきであると判定された画像を出力する。出力先としては、記憶部31、表示部34、磁気共鳴イメージング装置1とネットワーク等により接続された画像データサーバ(不図示)や、ビューア端末(不図示)等を考えることができる。
これより、本実施形態よる磁気共鳴イメージング装置における動作について説明する。なお、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の動作の流れは、図3に示す通りである。また、本装置により被検体40をスキャンする際のシーケンスは、図4に示す通りである。
まず、図3に示すように、第1の実施形態と同様のプレスキャンを実施する(ST10)。
次に、図3に示すように、第1の実施形態と同様の造影ダイナミックスキャンを実施する(ST20)。これにより、複数の時点t1,t2,…,tNの各々におけるスライスS1,S2,…,Snに対応する画像のローデータを取得する。
次に、図3に示すように、画像再構成処理を実行する(ST30)。
ここでは、まず、被検体40の撮像領域に設定された全スライスの中から目的のスライスを指定する。例えば、オペレータが、操作部32を操作することにより、スライスS1,S2,…,Snの中から1または2以上のスライスを指定する(以下、この指定されたスライスを指定スライスという)。そして、画像再構成部333が、複数の時点t1,t2,…,tNの各々における指定スライスに対応する画像を、そのローデータを基に再構成する。
次に、図3に示すように、画像出力処理を行う(ST40)。
図11は、ステップST40における画像出力処理のフローを示す図である。
まず、対象時点を選択する(ST401)。すなわち、指標値算出部331が、造影ダイナミックスキャンにおける個々のスキャンが実施された複数の時点t1,t2,…,tNの中から、対象時点として未だ選択されていない1つの時点を対象時点tqとして選択する。
次に、対象時点における指定スライスに対応する指標値を算出する(ST402)。
図12は、所定のスライスに対応する画像の画像データの概念図である。また、図13は、画像データに基づいて指標値を算出する処理の概念図である。
所定のスライスに対応する画像の画像データは、図12に示すように、ローデータをフーリエ変換して得られるデータであり、時点tiにおけるスライスSjに対応する画像の画像データは、GD(ti,Sj,dk)(k=1,2,…,NG)として表される。
指標値算出部331は、対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像の画像データと、指定スライスに対応する基準画像(ここではプレスキャンが実施された時点tpにおける指定スライスに対応する画像)の画像データとの相違を表す指標値を算出する。
具体的には、例えば、指定スライスが単一のスライスSaであれば、指標値算出部331は、図13(a)に示すように、対象時点tqにおける指定スライスSaに対応する画像の画像データGD(tq,Sa,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスSaに対応する基準画像の画像データGD(tp,Sa,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、例えば、指定スライスが撮像領域に設定された全スライスの一部である2以上のスライスSa,Sa+1,…,Sa+mであれば、指標値算出部331は、図13(b)に示すように、対象時点tqにおける指定スライスSa,Sa+1,…,Sa+mに対応する画像の画像データGD(tq,Sa,dk),GD(tq,Sa+1,dk),…,GD(tq,Sa+m,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスSa,Sa+1,…,Sa+mに対応する基準画像の画像データGD(tp,Sa,dk),GD(tp,Sa+1,dk),…,GD(tp,Sa+m,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を、指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
また、例えば、指定スライスが撮像領域に設定された全スライスS1,S2,…,Snであれば、指標値算出部331は、図13(c)に示すように、対象時点tqにおける指定スライスS1,S2,…,Snに対応する画像の画像データGD(tq,S1,dk),GD(tq,S2,dk),…,GD(tq,Sn,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和と、指定スライスS1,S2,…,Snに対応する基準画像の画像データGD(tp,S1,dk),GD(tp,S2,dk),…,GD(tp,Sn,dk)を構成するデータ値の絶対値の総和との差分の絶対値を、指標値C(tq)として算出する。これを式で表すと次式のように表すことができる。
次に、しきい値判定処理を行う(ST403)。すなわち、しきい値判定部332が、ステップST402にて算出された指標値C(tp)が所定のしきい値th2以上であるか否かを判定する。
ここで、指標値C(tp)がしきい値th2以上であると判定された場合には、対象時点における指定スライスに対応する画像と基準画像との間に一定レベル以上の相違が存在すると考え、画像出力部334が、この対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像を出力する(ST404)。
一方、指標値C(tp)がしきい値th2未満であると判定された場合には、対象時点における指定スライスに対応する画像の画像データと基準画像の画像データとの間に一定レベル以上の相違がないと考え、画像出力部334は、この対象時点tqにおける指定スライスに対応する画像は出力しない。
なお、再構成画像データの出力先としては、例えば、記憶部31、表示部34、磁気共鳴イメージング装置1とネットワーク等により接続された画像データサーバ(不図示)や、ビューア端末(不図示)等を考えることができる。
また、「画像を出力する」とは、例えば、画像データを出力すること、画像を画面に表示すること、画像を表示可能な状態にしてその画像データを出力すること、画像データのデータ名を表示・検索可能な状態にしてその画像データを出力すること、等を考えることができる。
次に、次期の対象時点として選択すべき時点があるか否かを判定する(ST405)。すなわち、指標値算出部331が、複数の時点t1,t2,…,tNの中に、対象時点として未だ選択されていない時点が存在するか否かを判定する。
ここで、未だ選択されていない時点が存在すると判定された場合には、ステップST401に戻り、指標値算出部331が、その未だ選択されていない時点を新たな対象時点として選択し、画像出力処理を継続する。一方、未だ選択されていない時点が存在しないと判定された場合には、画像出力処理を終了する。
なお、本実施形態では、対象時点における指定スライスに対応する画像を出力すべきであるか否かの判定結果が出る度に、その画像を逐次的に出力しているが、もちろん、先にすべての対象時点における指定スライスに対応する画像について出力すべきであるか否かの判定を行い、その後、出力すべきであると判定された画像だけをまとめて出力するようにしてもよい。
以上のように、上記第3の実施形態によれば、造影ダイナミックスキャンにおける各スキャンが実施された複数の時点の各々について、その時点における被検体の再構成された画像に基づいて、その画像を出力すべきであるか否かを判定するので、再構成された複数の時点における画像のうち不要な画像を除いて出力することができる。これにより、必要な画像を検索するのに要する時間を低減して、検査時間や診断時間を短縮することができ、診断効率のよい造影ダイナミックスキャン法による撮像が可能となる。
また、上記第3の実施形態によれば、出力される不要な画像が減少するので、画像を保存するデータサーバの保存スペースを無駄に消費したり、ビューア端末のメモリスペースを無駄に占有したりすることを防ぐことができ、画像のデータを扱うインフラに対する負荷を軽減することができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。
上記第1〜第3の実施形態では、造影ダイナミックスキャンを実施する方法として、スキャンする時点を特に決めず、造影剤を被検体に注入した後、被検体40の撮像領域において造影剤が所望の状態になる時点を含むと考えられる十分長い期間について略定期的にスキャンを繰り返す方法を採用したが、これに限定されない。例えば、被検体40の撮像領域において造影剤が所望の状態になる時点を推定し、この推定した時点とその前後幾らかの時点についてのみスキャンを実施する方法を採用してもよい。
また、上記第1および第2の実施形態では、対象時点における画像のローデータと基準画像のローデータとの相違を表す指標値に基づいて、対象時点における画像を再構成すべきであるか否かを判定している。また、上記第3の実施形態では、対象時点における画像と基準画像との相違を表す指標値に基づいて、対象時点における画像を出力すべきであるか否かを判定している。しかし、このような基準画像を用いることなく判定する方法も考えられる。例えば、ローデータや画像データのデータ値を反映する所定の特徴量、例えばローデータのデータ値の総和、あるいは画像データのデータ値の総和が、所定のしきい値以上であるか否かに基づいて、対象時点における画像を再構成すべきであるか否か、あるいは対象時点における画像を出力すべきであるか否かを判定してもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態では、しきい値は、対象時点に関係なく設定しているが、対象時点に応じて変化させてもよい。例えば、対象時点が造影剤を注入してからの経過時間が比較的短い時点である場合には、しきい値を高めに設定し、この経過時間が比較的長い時点である場合には、しきい値を低めに設定する。このようにすれば、造影剤が撮像領域に対応する部位に到達する前に発生した外来ノイズ(noise)等による誤判定を抑えることができる。
また、上記第1および第2の実施形態では、対象時点における画像のローデータ全体と基準画像のローデータ全体との相違に基づいて、対象時点における画像を再構成すべきであるか否かを判定している。また、上記第3の実施形態では、対象時点における画像全体と基準画像全体との相違に基づいて、対象時点における画像を出力すべきであるか否かを判定している。しかし、このようにデータ全体を比較するのではなく、データの一部を比較するようにしてもよい。例えば、対象時点における画像のローデータと基準画像のローデータとの間における互いに対応する所定の領域に関心領域ROI(Region Of Interest)をそれぞれ設定し、対象時点における画像のローデータの関心領域におけるデータと基準画像のローデータの関心領域におけるデータとの相違に基づいて、対象時点における画像を再構成すべきであるか否かを判定してもよい。あるいは、対象時点における画像と基準画像との間における互いに対応する所定の領域に関心領域ROIをそれぞれ設定し、対象時点における画像の関心領域におけるデータと基準画像の関心領域におけるデータとの相違に基づいて、対象時点における画像を出力すべきか否かを判定してもよい。このようにすれば、より少ないデータを用いてそれぞれの判定結果を得ることができ、判定に掛かる処理時間の短縮を図ることができる。
また、上記の各実施形態において、基準画像のローデータを構成するデータ値の総和は、近接する複数の時点の各々における所定のスライスに対応する画像のローデータを合成するなどして求められる所定のローデータを構成するデータ値の総和としてもよい。あるいは、近接する複数の時点の各々における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和の平均値または中間値としてもよい。例えば、プレスキャンを近接する3つの時点tp1,tp2,tp3について実施する場合、時点tp1における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和,時点tp2における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和,および時点tp3における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和に対する平均値または中間値としてもよい。また例えば、対象時点tiの前に近接する3つの時点ti-3,ti-2,ti-1がある場合、時点ti-3における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和,時点ti-2における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和,および時点ti-1における所定のスライスに対応する画像のローデータを構成するデータ値の総和に対する平均値または中間値としてもよい。なお、これらは、基準画像の画像データを構成するデータ値の総和に関しても同様のことが言える。