JP2010104190A - 振動アクチュエータ、レンズ鏡筒およびカメラ - Google Patents

振動アクチュエータ、レンズ鏡筒およびカメラ Download PDF

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Abstract

【課題】小型化を損なわず、異物侵入に対処し、かつモータの駆動による温度上昇を低減した振動アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明の振動アクチュエータ(201,202,203,204)は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子(13)により振動波を生じる振動体(12)と、該前記振動体(12)と加圧接触する接触面(15a)を有し、前記振動波によって前記接触面(15a)が駆動されることにより前記振動体(12)に対して回転移動する第1の回転移動部材(15)と、前記第1の回転移動部材(15)の回転に応じて回転し、かつ前記接触面(15a)の外周側を覆うカバー部材(30,40,50,60,70)と、を備えること、を特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電体の伸縮を利用して移動子を駆動する振動アクチュエータおよびそれを備えたレンズ鏡筒、カメラに関するものである。
振動アクチュエータは、圧電体の伸縮を利用して弾性体の駆動面に進行性振動波(以下、進行波という)を発生させ、この進行波によって駆動面に楕円運動を生じさせ、楕円運動の波頭に加圧接触した移動子を駆動するものである。このような振動アクチュエータは、低回転でも高トルクを有するという特徴があるため、駆動装置に搭載した場合に、駆動装置のギアを省略することができる。このため、ギアによる騒音をなくすことで静寂化が達成可能であり、また位置決め精度が向上されるといった利点もある。
近年、この振動アクチュエータにおいて、径を従来の1/3〜1/5倍程度とする小型化、軽量化が進んでいる。そして、小型化された振動アクチュエータに対して、駆動効率や駆動性能の向上が様々に検討されている。
この小型化された振動アクチュエータにおける第一の課題点として、異物の侵入の影響が大きいことがあげられる。小型振動アクチュエータは、摺動径が小さいため、弾性体と移動子との接触面積が、大型の物より小さくなり、大型タイプでは問題ならない程度の異物や液体の駆動面への侵入でも、駆動性能が劣化したり、駆動停止したりする場合があるからである。そのため、異物の侵入対策を施す必要があり、これに対して、従来、振動アクチュエータ全体をカバーする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−327272号公報
しかし、振動アクチュエータ全体をカバーすると、全体としての大きさがカバー分大きくなり、小型化を阻害することとなる。
また、小型化された振動アクチュエータにおいての第二の課題点として、弾性体および移動子の駆動による温度上昇があげられる。小型振動アクチュエータは、体積が小さくなるため、弾性体と移動子との摩擦駆動による摩擦熱がこもりやすく、かつ放熱されにくいからである。弾性体および移動子が温度上昇すると、駆動信号を一定周波数として定速駆動させようとしても、雰囲気温度よりも高い温度で駆動された場合と同じになり、回転数が下がり、駆動制御に影響する。そのため、温度上昇を低減する対策を施す必要がある。
しかし、上記従来技術のように振動アクチュエータ全体をカバーすると、カバー内にこもった空気により、小型の振動アクチュエータの温度上昇を併発する。
本発明は、小型化を損なわず、異物侵入に対処し、かつ振動アクチュエータの駆動による温度上昇を低減した振動アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子(13)により振動波を生じる振動体(12)と、前記振動体(12)と加圧接触する接触面(15a)を有し、前記振動波によって前記接触面(15a)が駆動されることにより前記振動体(12)に対して回転移動する第1の回転移動部材(15)と、前記第1の回転移動部材(15)の回転に応じて回転し、かつ前記接触面(15a)の外周側を覆うカバー部材(30,40,50,60,70)と、を備えること、を特徴とする振動アクチュエータ(201,202,203,204)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の振動アクチュエータ(201,202,203,204)において、前記第1の回転移動部材(15)に結合され、前記第1の回転部材の回転により回転駆動される第2の回転部材(18)を備え、前記カバー部材(30,40,50,60,70)は、前記第2の回転部材(18)に結合されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(201,202,203,204)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の振動アクチュエータ(201,202,203,204)において、前記カバー部材(30,40,50,60,70)は、前記第1の回転部材(15)の前記接触面側と反対側の位置において、前記第2の回転部材(18)と結合されていること、を特徴とする振動アクチュエータ(201,202,203,204)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(201,202,203,204)において、前記カバー部材(30,40,50,60,70)は、前記第1の回転部材(15)の前記接触面側と反対側の位置から前記接触面の外周側へと延びた部分を有すること、を特徴とする振動アクチュエータ(201,202,203,204)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(201,202,203,204)において、前記カバー部材(30,40,50,60,70)は、前記第1の回転移動部材(15)および前記振動体(12)と非接触であること、を特徴とする振動アクチュエータ(201,202,203,204)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(201,202,203,204)において、前記第1の回転移動部材(15)と前記第2の回転移動部材(18)とは、同一の回転軸Cを中心に回転移動すること、を特徴とする振動アクチュエータで(201,202,203,204)ある。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(201,202,203,204)において、該振動アクチュエータ(201,202,203,204)は、他部材に固定される固定部(16)を備え、該固定部(16)の外周側は前記カバー部材(30,40,50,60,70)の被覆領域外であること、を特徴とする振動アクチュエータ(201,202,203,204)である。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(202)において、前記カバー部材(40)は、前記加圧接触面(15a)の前記外周側を囲む部分の内周面に突起(41)を有すること、を特徴とする振動アクチュエータ(202)である。
請求項9に記載の発明は、請求項1から6までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、前記カバー部材(50)における前記接触面(15a)の前記外周を囲む部分には、回転移動方向と交差する方向に貫通する開口部分が設けられていること、を特徴とする振動アクチュエータである。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータ(203)において、前記カバー部材(60)は、前記加圧接触面(15a)の前記外周側を囲む部分の内周面に異物付着構造(61)を有すること、を特徴とする振動アクチュエータ(203)である。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒である。
請求項12に記載の発明は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えたカメラである。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
本発明によれば、小型化を損なわず、異物侵入に対処し、かつ振動アクチュエータの駆動による温度上昇を低減した振動アクチュエータを提供することができる。
以下、本発明にかかる振動アクチュエータの実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、振動アクチュエータとして、超音波の振動域を利用した超音波モータを例にして説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の超音波モータ201を備えるカメラ1の概略図である。カメラ1は、撮像素子を有するカメラボディ2と、レンズ7を有するレンズ鏡筒3とを備えている。レンズ鏡筒3は、カメラボディ2に着脱可能な交換レンズである。なお、本実施形態では、レンズ鏡筒3は、交換レンズである例を示したが、これに限らず、例えば、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒としてもよい。
レンズ鏡筒3は、レンズ7、カム筒6、ギア4,5、超音波モータ201等を備えている。本実施形態では、超音波モータ201は、カメラ1のフォーカス動作時にレンズ7を駆動する駆動源として用いられている。超音波モータ201から得られた駆動力は、ギア4,5を介してカム筒6に伝えられる。レンズ7は、カム筒6に保持されており、超音波モータ201の駆動力により、光軸方向Lに略平行に移動して、焦点調節を行うフォーカスレンズである。
図1において、レンズ鏡筒3内に設けられたレンズ群(レンズ7を含む)によって、撮像素子8の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子8によって、結像された被写体像は電気信号に変換され、その信号をA/D変換することによって、画像データが得られる。
図2は、第1実施形態の超音波モータ201の断面図である。超音波モータ201は、例えばφ15以下の小型の超音波モータ201であり、振動子11、移動子15、出力軸18、加圧部材19等を備え、振動子11側を固定とし、移動子15を回転駆動する形態となっている。
振動子11は、電気一機械変換素子(以下、圧電体と称する)13と、圧電体13が接合された弾性体12とを有する略円環形状の部材である。弾性体12は、共振先鋭度が大きな金属材料によって形成され、その形状は、略円環形状である。この弾性体12は、櫛歯部12a、ベース部12b、フランジ部12cを有する。
櫛歯部12aは、圧電体13が接合される面とは反対側の面に、複数の溝を切って形成され、この櫛歯部12aの先端面は、移動子15の加圧接触面15aに加圧接触され、移動子15を駆動する駆動面12dとなる。この駆動面12dには、Ni−P(ニッケル−リン)メッキ等の潤滑性の表面処理が施されている。櫛歯部12aを設ける理由は、圧電体13の伸縮により駆動面12dに生じる進行波の中立面をできる限り圧電体13側へ近づけ、これにより駆動面12dの進行波の振幅を増幅させるためである。
ベース部12bは、弾性体12の周方向に連続した部分であり、ベース部12bの櫛歯部12aとは反対側の面である接合面12eに、圧電体13が接合されている。フランジ部12cは、弾性体12の内径方向に突出した鍔状の部分である。このフランジ部12cにより、振動子11は、固定部材16に固定されている。
圧電体13は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子である。本実施形態では、圧電体13として圧電素子を用いたが、電歪素子等を用いてもよい。圧電体13は、略円環形状の部材であり、弾性体12の周方向に沿って2つの相(A相、B相)の電気信号が入力される範囲に分かれている。各相には、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられている。A相とB相との間には、1/4波長分の間隔が空けられている。この圧電体13は、接着材等を用いて弾性体12と接合されている。
フレキシブルプリント基板14は、その配線が圧電体13の各相の電極に接続されている。フレキシブルプリント基板14には、後述の増幅部104,105(図3参照)から駆動信号が供給され、この駆動信号によって、圧電体13が伸縮する。振動子11には、この圧電体13の伸縮により、弾性体12の駆動面に進行波が発生する。本実施形態では、4波の進行波が発生している。
移動子15は、後述するが、弾性体12の駆動面12dに生じる進行波によって回転駆動される部材である。出力軸18は、略円柱形状の部材である。出力軸18は、一方の端部がゴム部材23を介して移動子15に接しており、移動子15と一体に回転軸Cを中心として回転するように設けられている。ゴム部材23は、ゴムにより形成された略円環形状の部材である。このゴム部材23は、ゴムによる粘弾性で移動子15と出力軸18とを一体に回転可能とする機能と、移動子15からの振動を出力軸18へ伝えないように振動を吸収する機能とを有しており、ブチルゴム、シリコンゴム、プロピレンゴム等が用いられている。
加圧部材19は、振動子11と移動子15とを加圧接触させる加圧力を発生する部材であり、ギア部材20とベアリング受け部材21との間に設けられている。本実施形態では、加圧部材19は、圧縮コイルバネを用いているが、これに限定されるものではない。ギア部材20は、出力軸18のDカットに嵌まるように挿入され、Eリング等のストッパ22で固定され、回転方向および軸方向に出力軸18と一体となるように設けられている。ギア部材20は、本実施形態では、図1のギア4と同一の部材であり、出力軸18の回転とともに回転することにより、ギア5(図1参照)に駆動力を伝達する。
また、ベアリング受け部材21は、ベアリング17の内径側に配置され、ベアリング17は、固定部材16の内径側に配置された構造となっている。加圧部材19は、振動子11を移動子15側へ、出力軸18の軸C方向に加圧しており、この加圧力によって、移動子15の加圧接触面15aは、振動子11の駆動面12dに加圧接触し、移動子15は回転駆動される。なお、加圧部材19とベアリング受け部材21との間には、加圧力調整ワッシャーを設けて、超音波モータ201の駆動に適正な加圧力が得られるようにしてもよい。
本実施形態において超音波モータ201は、カバー部材30を備えている。カバー部材30は、出力軸18におけるゴム部材23が配置されている部分よりもさらに端部に、出力軸18に対して接着又は嵌め込み式で取り付けられ、出力軸18とともに回転する。カバー部材30は、出力軸18の外周から外径側に延び、移動子15の形状に沿って、移動子15の加圧接触面15a及び弾性体の駆動面12dの外周側を覆って振動子11の櫛歯部12aまで延びるが、移動子15や弾性体12とは接触しないように配置されている。
図3は、第1実施形態の超音波モータ201の駆動装置100を説明するブロック図である。超音波モータ201の駆動装置100は、発振部101と、制御部102と、移相部103と、増幅部104,105と、検出部106とを有する。発振部101は、制御部102の指令により所望の周波数の駆動信号を発生する部分である。移相部103は、発振部101で発生した駆動信号を、90°位相の異なる2つの駆動信号に分ける部分である。
増幅部104,105は、移相部103によって分けられた2つの駆動信号を、それぞれ所望の電圧に昇圧する部分である。増幅部104,105からの駆動信号は、超音波モータ201に伝達され、この駆動信号の印加により振動子11に進行波が発生し、移動子15が駆動される。
検出部106は、光学式エンコーダや磁気エンコーダ等により構成され、移動子15の駆動によって駆動されたレンズ7の位置や速度を検出する部分である。制御部102は、カメラボディ2に設けられた不図示のCPUからの駆動指令を基に、超音波モータ201の駆動を制御する部分である。制御部102は、検出部106からの検出信号を受け、その値を基に、位置情報と速度情報を得て、目標位置に位置決めされるように発振部101が発生する駆動信号の駆動周波数を制御する。
本実施形態の超音波モータ10は、以下のように動作する。まず、制御部102に目標位置が伝達される。発振部101からは、駆動信号が発生し、その信号から、移相部103により90°位相の異なる2つの駆動信号が生成され、増幅部104,105により所望の電圧に増幅される。
駆動信号は、超音波モータ10の圧電体13に印加され、圧電体13が励振され、その励振によって、弾性体12には、4次の曲げ振動が発生する。駆動信号は、それぞれ圧電体13のA相とB相とに印加される。A相から発生する4次曲げ振動とB相から発生する4次曲げ振動とは、位置的な位相が1/4波長ずれるようになっており、また、A相駆動信号とB相駆動信号とは、90°位相がずれているため、2つの曲げ振動は、合成され、4波の進行波となる。
圧電体13によって上述したように弾性体12に進行波が発生すると、進行波の波頭には、楕円運動が生じる。弾性体12の駆動面12dと剛性補強部30の摺動面32aは加圧接触されているので、移動子15は、この楕円運動によって摩擦駆動されて回転する。移動子15が回転すると、その回転はゴム部材23により出力軸18に伝達され、出力軸18が回転する。出力軸18の回転よりギア部材20が回転され、ギア4,5を介してカム筒6が回転し、レンズ7が移動される。そして、出力軸18の回転とともに、出力軸18に取り付けられたカバー部材30も回転する。
この第1実施形態によると、以下の効果を有する。
超音波モータ201はレンズ鏡筒1に組み込まれる。レンズ鏡筒1には様々な部品の摺動部があり、その摺動部には潤滑油を用いることがある。その潤滑油が何らかの衝撃等で飛散する場合がある。また、非潤滑の摺動部からは、摩擦磨耗による磨耗粉の発在があり、その磨耗粉が、何らかの衝撃等で飛散する場合がある。
これらの潤滑油や磨耗粉が、超音波モータ201の駆動面12dと加圧接触面15aとの間に侵入すると、駆動性能が劣化したり、駆動停止したりする可能性がある。また、潤滑油が侵入した場合には、高温高湿下の環境にさらされた場合に、弾性体12と移動子15とが固着結合する可能性がある。
特に、本実施形態のような、φ15以下の小型超音波モータは、摺動径が小さいため、駆動面12dと加圧接触面15aとの間の接触面積が、大型の物より小さくなり、φ50以上の大型タイプでは問題ならない程度の異物や液体であっても、駆動面12dと加圧接触面15aとの間に侵入すると、駆動性能や固着結合に影響する場合がある。
本実施形態では、カバー部材30を弾性体12の駆動面12d、すなわち移動子15の加圧接触面15aの外側を覆うように配置したため、超音波モータ201以外のレンズ鏡筒1から発生する潤滑油や磨耗粉の駆動面侵入を防止することができ、駆動性能の劣化を防止することができる。また、カバー部材30は、超音波モータ201の全体ではなく、移動子15全体と移動子15の一部を覆う部分的なカバーであるため、小型化という特長を損なうことがない。
(第2実施形態)
図4および図5は、本発明の第2実施形態の超音波モータ202を示した図である。図4は図2に対応している。図5は、カバー部材40の断面図である。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、カバー部材40の内周側に突起部41が設けられている点である。カバー部材40に突起部41が設けられている以外、第1実施形態と同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
カバー部材40の突起部41は、図5に示すように、カバー部材40の内周側に、等間隔で複数形成されている。個々の突起部41は、図4に示すようにカバー部材40における、移動子15の加圧接触面15aと弾性体12の駆動面12dとの外周を覆う部分に、軸C方向に延びるように設けられている。
第2実施形態の超音波モータ202も第1実施形態の超音波モータ201と同様に、駆動装置100により超音波モータ202が駆動される。その際、出力軸18とともに、出力軸18に取り付けられたカバー部材40が回転する。
第2実施形態によると、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。超音波モータ202が小型の場合、体積が小さいため、弾性体12の駆動面12dと移動子15の加圧接触面15aとの間の摩擦駆動により、弾性体12における駆動面12d近傍および移動子15の加圧接触面15a近傍に摩擦熱がこもりやすく、かつ放熱されにくい。しかし、第2実施形態によると、カバー部材40の回転により、カバー部材40の内周側の突起部41は、大気の流動を発生させ、その大気の流動は、弾性体12の外周面、櫛歯部12aの壁面、および移動子15の外周面にあたり、超音波モータ202の摩擦駆動による熱を大気中に放熱する作用が促進される。
また、摩擦熱は、回転速度が速くなるほど大きくなるため、本実施形態のように出力軸18にカバー部材40を結合しておくと、カバー部材40内側の突起部41の動きも回転速度とともに大きくなり、摩擦熱が大きくなる際に、より大きな放熱効果が生じる。
なお、カバー部材40を移動子15に固定する方法も考えられるが、移動子15に余計な質量を付加すると(特にハンマー部や摺動部)、移動子15の振動の固有値が大きく変わってしまう。これにより周波数一回転数特性や最大トルク性能等の駆動性能が大きく変わってしまう可能性がある。しかし、本実施形態では、カバー部材40を出力軸18に結合する方法としたため、超音波モータ202の駆動性能への影響がない。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態のカバー部材50を示す図であり、(a)はカバー部材50の断面図、(b)はカバー部材50の部分斜視図を示す。第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、カバー部材50の端部に内周から外周にかけて斜め(すなわち、内周面あるいは外周面と直交する方向に交差する方向)に形成され、且つ軸C方向に延びる貫通孔51が設けられている点である。貫通孔51は、カバー部材50における、移動子15の加圧接触面15aと弾性体12の駆動面12dとの外周を覆う部分に設けられている。カバー部材50に貫通孔51が設けられている以外、第1実施形態と同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
第3実施形態の超音波モータも第1実施形態の超音波モータ201と同様に、駆動装置100により超音波モータが駆動される。その際、出力軸18とともに、出力軸18に取り付けられたカバー部材50も回転する。
第3実施形態によると、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。図6(a)に示すように、カバー部材50がCW方向に回転すると、空気はカバー部材50の中から外へ流れる。カバー部材50がCCW方向に回転すると、空気はカバー部材50の外から中へ流れる。レンズ鏡筒3に組み込まれた超音波モータは、CW回転、CCW回転を繰り返すため、外から中、中から外と万遍無く空気の流れが発生する。これにより、超音波モータの摩擦駆動による熱を大気中に放熱する作用がさらに促進される。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態を示した図である。図7は図2に対応している。第4実施形態が第1実施形態と異なる点は、カバー部材60の駆動面近傍の内周側に粘着テープ61が貼着されている点である。カバー部材60に粘着テープ61が塗布されている以外、第1実施形態と同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
第4実施形態の超音波モータ203も第1実施形態の超音波モータ201と同様に、駆動装置100により駆動され、その際、出力軸18とともに、出力軸18に取り付けられたカバー部材60も回転する。
第4実施形態によると、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。超音波モータ203の駆動面の摩擦磨耗による摩擦粉をカバー部材60の内側に粘着テープ61に粘着させ、これにより、超音波モータ203からレンズ鏡筒3への磨耗粉の飛散が防止される。一方、カバー部材60は、レンズ鏡筒3の他の部分から発生された異物の、加圧接触面15aと駆動面12dとの間への侵入を防止する。このように、超音波モータ203とレンズ鏡筒3とは、互いに異物が飛散し合うことを防止することができる。
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態の図である。第5実施形態では、ギア部材20’が出力軸18と一体化している。移動子15とカバー部材70は、ゴム部材23により結合されている。カバー部材70は、出力軸18のDカット24にはまるように挿入され、Eクリップ等のストッパー25で固定され、回転方向および軸方向に軸と一体になるようにされている。
図9は、図8に示す第5実施形態に対する比較形態の超音波モータ205を示す図である。比較形態において、移動子15はゴム部材23により、出力軸18のDカット24に嵌合された結合部材27に結合されている。結合部材27はEクリップ等のストッパー25で固定されている。これによって移動子15は、回転軸18と一体となって回転する。
第5実施形態は、比較形態の構成に比べ、結合部材27がカバー部材70に置き換わっているだけで他は同様である。すなわち、第5実施形態によると、比較形態に対して、部品点数や組立工数を増加することなく、結合部材27をカバー部材70に変えるというわずかなコストの増加で本発明の効果が得られる。
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)第2実施形態では、カバー部材40に設けられた突起部41は、軸C方向に対して垂直な断面において三角形状であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、軸方向と垂直な断面において突起部は、矩形であってもよく、また半円形であってもよい。
(2)第3実施形態では、貫通孔51の軸方向断面は、図6(b)に示すように軸C方向に延びる長方形であったが、本発明はこれに限定されない。軸方向断面は、直方体、円形、楕円形等の種々の形状であってもよい。また、貫通孔51は、カバー部材50の内周面あるいは外周面内で閉じた形状である必要はなく、たとえばカバー部材の端部(図6(b)における下方の端部)まで延びた溝状の、下端が閉じていない形状であってもよい。
(3)第4実施形態では、カバー部材60の内面の全周に粘着テープ61を貼着したが、本発明はこれに限定されない。例えば粘着材を塗布してもよい。また、粘着テープは円周に沿って断続的に貼着してもよい。
(4)また、第4実施形態においてカバー部材60の内面に粘着テープや粘着材以外の、例えば静電気によりゴミを吸着するような異物付着構造を設けてもよい。
なお、実施形態および変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
第1実施形態の超音波モータを備えるカメラの概略図である。 第1実施形態の超音波モータの断面図である。 超音波モータの駆動装置を説明するブロック図である。 第2実施形態の超音波モータの断面図である。 カバー部材の断面図である。 第3実施形態のカバー部材を示す図である 第4実施形態の超音波モータの断面図である。 第5実施形態の超音波モータの断面図である。 比較形態の超音波モータの断面図である。
符号の説明
11:振動子、12:弾性体、13:圧電体、15:移動子、16:固定子、18:出力軸、30,40,50,60,70:カバー部材、41:突起部、51:貫通孔、61:粘着テープ

Claims (12)

  1. 電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素子により振動波を生じる振動体と、
    前記振動体と加圧接触する接触面を有し、前記振動波によって前記接触面が駆動されることにより前記振動体に対して回転移動する第1の回転移動部材と、
    前記第1の回転移動部材の回転に応じて回転し、かつ前記接触面の外周側を覆うカバー部材と、
    を備えること、を特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 請求項1記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記第1の回転移動部材に結合され、前記第1の回転部材の回転により回転駆動される第2の回転部材を備え、
    前記カバー部材は、前記第2の回転部材に結合されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  3. 請求項2記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記カバー部材は、前記第1の回転部材の前記接触面側と反対側の位置において、前記第2の回転部材と結合されていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記カバー部材は、前記第1の回転部材の前記接触面側と反対側の位置から前記接触面の外周側へと延びた部分を有すること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記カバー部材は、前記第1の回転移動部材および前記振動体と非接触であること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記第1の回転移動部材と前記第2の回転移動部材とは、同一の回転軸を中心に回転移動すること、を特徴とする振動アクチュエータ。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    該振動アクチュエータは、他部材に固定される固定部を備え、
    該固定部の外周側は前記カバー部材の被覆領域外であること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記カバー部材は、前記加圧接触面の前記外周側を囲む部分の内周面に突起を有すること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  9. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記カバー部材における前記接触面の前記外周を囲む部分には、回転移動方向と交差する方向に貫通する開口部分が設けられていること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータにおいて、
    前記カバー部材は、前記加圧接触面の前記外周側を囲む部分の内周面に異物付着構造を有すること、
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  11. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えたレンズ鏡筒。
  12. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の振動アクチュエータを備えたカメラ。
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