JP2010103841A - アンテナ装置及び無線通信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンテナ特性の劣化をほとんど招くことなく、放射電極に侵入した静電気の周波数可変回路への流入を防止すると共に、静電気のグランド領域への流出を可能にしたアンテナ装置及び無線通信機を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は給電電極2と周波数可変回路3と放射電極4−1,4−2とを備えると共に、静電気対策構造を備える。即ち、コンデンサ5−1,5−2を放射電極4−1,4−2の一方端部40,40上に設け、ESDサプレッサ6を放射電極4−1,4−2の間に介設した。そして、インダクタ60をグランド領域102に近い放射電極4−1の中途部とグランド領域102との間に接続した。これにより、放射電極4−1,4−2に入り込んだ静電気をコンデンサ5−1,5−2で周波数可変回路3前段で阻止すると共に、ESDサプレッサ6やインダクタ60を通じてグランド領域102に流出させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、静電気対策が施されたアンテナ装置及び無線通信機に関するものである。
無線通信機では、アンテナが人体に接触すると、静電気がアンテナを通じて受信回路内に流れ込み、受信回路を破壊するおそれがある。このため、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示のループアンテナを有するアンテナ装置では、機器の受信回路や周波数可変回路の前段に低周波カット用コンデンサをそれぞれ設けると共に、静電気放出用素子である抵抗をアンテナとグランドとの間に接続して、流入した静電気から受信回路や周波数可変回路を守ると共に、静電気をグランドに流出する構成をとっている。
しかし、例えば、特許文献3に開示のモノポールアンテナのように、グランド領域の近傍に狭い非グランド領域を設け、この非グランド領域内に周波数可変回路や放射電極を配置したアンテナ装置では、受信回路を静電気から守る構造にはなっているものの、周波数可変回路を静電気から守る構造にはなっていない。
このため、このようなアンテナ装置では、アンテナに入り込んだ静電気が、周波数可変回路内に流入し、周波数可変回路に何等かの影響を与えるおそれがある。
そこで、このようなアンテナ装置においても、低周波カット用コンデンサを周波数可変回路の前段に配置すると共に、静電気放出用素子を放射電極からグランド領域に接続する必要がある。
特開平4−227301号公報 特開平8−330826号公報 国際公開2004/109850号パンフレット 国際公開2006/080141号パンフレット
特許文献3に開示されたようなアンテナ装置では、周波数可変回路や放射電極を非グランド領域内に作り込む構成になっている。このようなアンテナ装置でも、放射電極が1つの場合、すなわち、1つの共振周波数を用いて送受信する構成の場合には、上述したループアンテナのように、低周波カット用コンデンサを周波数可変回路の前段に配置すると共に、静電気放出用素子を放射電極からグランド領域に接続することで、静電気対策をとることができる。
しかしながら、例えば、特許文献4に開示のアンテナ装置のように、共振周波数の異なる複数の放射電極を非グランド領域内に形成したマルチバンドのアンテナ装置では、複数の放射電極のそれぞれに静電気放出用素子を接続し、それぞれの静電気放出用素子をグランド領域に接続する必要がある。
静電気放出用素子を通じて、複数の放射電極をグランド領域に接続するには、複数の放射電極の全てを、グランド領域側に近づける必要がある。このように多くの放射電極をグランド領域に近づけたり、多くの静電気放出用素子を放射電極からグランド領域に渡したりすると、アンテナ特性が劣化してしまう。特に、放射電極の開放端をグランド領域に近づけると、アンテナ特性が著しく劣化してしまうのである。
このため、周波数可変回路や多数の放射電極を狭い非グランド領域内に作り込んだマルチバンド型のアンテナ装置1において、アンテナ特性の劣化を招くことなく、確実な静電気対策をとることができるアンテナ装置の登場が期待されていた。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、アンテナ特性の劣化をほとんど招くことなく、放射電極に侵入した静電気の周波数可変回路への流入を防止すると共に、静電気のグランド領域への流出を可能にしたマルチバンド型のアンテナ装置及び無線通信機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、一方端部が給電部に接続された給電電極と、この給電電極の他方端部に接続された周波数可変回路と、一方端部がこの周波数可変回路を介して給電電極の他方端部に接続され且つ他方端部が開放された複数の放射電極とを、基板の非グランド領域に備えるアンテナ装置であって、複数の放射電極の一方端部上に、低周波カット用コンデンサをそれぞれ設け、且つ、複数の放射電極の間に、静電気放出用素子をそれぞれ介設すると共に、これら複数の放射電極のうちの一の放射電極を、静電気放出用素子とは別体の静電気放出用素子を用いて、グランド領域に接続した構成とする。
かかる構成により、給電電極と周波数可変回路と複数の放射電極とによって、複数の共振周波数による送受信が可能となる。そして、周波数可変回路によって、各共振周波数を変化させることができる。
ところで、複数の放射電極のいずれかが人体等に接触して、静電気が当該放射電極に入り込むことがある。すると、静電気は、当該放射電極を通じて周波数可変回路側に向かい、周波数可変回路内に流入しようとする。
しかし、この発明のアンテナ装置では、低周波カット用コンデンサが、複数の放射電極の一方端部上にそれぞれ設けられているので、放射電極に入り込んだ静電気は、この低周波カット用コンデンサによって阻止され、静電気が周波数可変回路内に流入することはない。また、この発明のアンテナ装置では、静電気放出用素子が複数の放射電極の間に、それぞれ介設され、しかも、複数の放射電極のうちの一の放射電極が、別体の静電気放出用素子によってグランド領域に接続されているので、放射電極に入り込んだ静電気は、静電気放出用素子を通じて、上記一の放射電極に流れ、別体の静電気放出用素子を通じてグランド領域に流出される。
請求項2の発明は、請求項1に記載のアンテナ装置において、別体の静電気放出用素子を用いてグランド領域に接続される一の放射電極は、全部又はその一部が他の放射電極よりもグランド領域に最も近い放射電極である構成とした。
かかる構成により、一の放射電極の全部又は一部だけが、グランド領域に近づいて接続された状態になり、この他の放射電極は、グランド領域に接続されず、しかも、グランド領域から離れた状態にある。この結果、アンテナ特性の劣化を最小限に抑えることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置において、複数の放射電極の間に介設した静電気放出用素子は、ESD(ElectroStatic Discharge)サプレッサであり、一の放射電極とグランド領域とに接続した別体の静電気放出用素子は、ESDサプレッサ,インダクタ又は抵抗のいずれかである構成とした。
かかる構成により、複数の放射電極がESDサプレッサによって接続された状態になるが、ESDサプレッサの容量が極めて小さいので、このESDサプレッサによるアンテナ特性の劣化は生じない。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアンテナ装置において、給電電極と周波数可変回路とを誘電体チップ上に形成すると共に、複数の放射電極の全て又は一部を誘電体チップ上に形成した構成とする。
かかる構成により、周波数可変回路の構成部品を誘電体チップ上に立体的に実装することができるので、その分、アンテナ装置の小型化を図ることができる。また、放射電極の開放端部における容量結合を強めることができるので、その分、高周波の共振周波数を周波数可変回路によって容易に制御することができるようになる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアンテナ装置において、複数の放射電極のうち、いずれかの放射電極に、金属板体等の補助放射電極を接続した構成とする。
かかる構成により、アンテナ特性のさらなる向上を図ることができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアンテナ装置において、周波数可変回路は、容量値を制御電圧で変化可能な可変容量ダイオード等の可変容量素子を含むリアクタンス可変回路である構成とした。
かかる構成により、制御電圧で可変容量素子の容量値を変化させて、リアクタンス可変回路のリアクタンス値を変化させることにより、各共振周波数を変化させることができる。
請求項7の発明に係る無線通信機は、 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のアンテナ装置を具備する構成とした。
以上詳しく説明したように、この発明のアンテナ装置によれば、放射電極に入り込んだ静電気を低周波カット用コンデンサによって阻止すると共に、放射電極に入り込んだ静電気を静電気放出用素子を通じて一の放射電極に流し、別体の静電気放出用素子を通じてグランド領域に流出することができるので、アンテナ特性の劣化をほとんど招くことなく、放射電極に侵入した静電気の周波数可変回路への流入の防止と、静電気のグランド領域への流出を図ることができるという優れた効果がある。
特に、請求項2及び請求項3の発明によれば、アンテナ特性の劣化を最小限に抑えることができるという効果がある。
また、請求項4の発明によれば、アンテナ装置の小型化を図ることができると共に高周波の共振周波数を周波数可変回路によって容易に制御することができるという効果がある。
また、請求項5の発明によれば、アンテナ特性のさらなる向上を図ることができる。
また、この発明の無線通信機によれば、静電気に対する耐性が高く、しかも、アンテナ特性の劣化がほとんどない送受信が可能となるという効果がある。
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1実施例に係るアンテナ装置を示す概略平面図である。
この実施例のアンテナ装置1は、携帯電話等の無線通信機に設けられている。
図1に示すように、アンテナ装置1は、給電電極2と周波数可変回路3と複数の放射電極4−1,4−2とを備え、無線通信機の筐体(図示せず)に収納された基板100の上に構成されている。
給電電極2は、その一方端部20を給電部110に接続した状態で、非グランド領域101にパターン形成されている。具体的には、インダクタ111が給電部110と給電電極2の一方端部20とに接続され、インダクタ112が給電部110とグランド領域102とに接続されており、整合回路がこれらインダクタ111,112とによって非グランド領域101上に形成されている。これにより、給電電極2の一方端部20がこの整合回路を介して給電部110に接続された状態になっている。
周波数可変回路3は、後述する放射電極4−1,4−2の共振周波数を変化させるための回路であり、非グランド領域101に形成されている。具体的には、周波数可変回路3の一方端が給電電極2の他方端部21に接続され、他方端が放射電極4−1,4−2の一方端部40,40にそれぞれ接続された状態で、給電電極2と放射電極4−1,4−2との間に介設されている。
この周波数可変回路3は、容量値を制御電圧で変化可能な可変容量素子である可変容量ダイオード31,32を含むリアクタンス可変回路である。詳しくは、直列の抵抗33とインダクタ34とが、給電電極2の他方端部21と放射電極4−1の一方端部40との間に接続されている。また、直列のインダクタ35と可変容量ダイオード31とインダクタ36とが、給電電極2の他方端部21と放射電極4−2の一方端部40との間に接続されている。さらに、可変容量ダイオード32が、可変容量ダイオード31のカソード側と抵抗33との間に、そのカソード側を可変容量ダイオード31のカソード側に向けた状態で接続されている。
そして、同調電圧源120が、抵抗121を介して、可変容量ダイオード31,32のカソード側に接続されている。なお、符号122は、電流源へのRF信号の流入カットのコンデンサである。
一の放射電極としての放射電極4−1は、他方端部41が開放され且つ一方端部40が周波数可変回路3のインダクタ34に接続されたコ字状のパターンであり、非グランド領域101上にパターン形成されている。
放射電極4−2も、同様に、他方端部41が開放され且つ一方端部40が周波数可変回路3のインダクタ36に接続されたコ字状のパターンであり、非グランド領域101上にパターン形成されている。
このような放射電極4−1は放射電極4−2の外側に配されており、この放射電極4−1が放射電極4−2よりもグランド領域102に近づいた状態になっている。
かかる構成により、給電電極2と周波数可変回路3と放射電極4−1とで、例えば、UHF帯の低い共振周波数を有するアンテナ部を形成し、給電電極2と周波数可変回路3と放射電極4−2とで、例えば、高い共振周波数を有するアンテナ部を形成することができる。そして、同調電圧源120からの制御電圧としての同調電圧Vcを周波数可変回路3に印加して、周波数可変回路3のリアクタンス値を変えることにより、これらアンテナ部の共振周波数を変化させることができる。
このようなアンテナ装置1には、静電気対策がなされている。
すなわち、低周波カット用コンデンサ5−1が放射電極4−1の一方端部40上に設けられ、低周波カット用コンデンサ5−2が放射電極4−2の一方端部40上に設けられている。例えば、アンテナ装置1を高周波帯で使用する場合には、低周波カット用コンデンサ5−1,5−2の容量値は大きい方がよい。ただし、静電気のような低周波を阻止するために小さくする必要がある。例えば、デジタルテレビジョン放送のUHF帯の周波数で使用する場合には、30pF程度の低周波カット用コンデンサ5−1,5−2を用いることが好ましい。
また、静電気放出用素子であるESDサプレッサ6が、放射電極4−1,4−2の間に介設されている。低周波カット用コンデンサ5−1,5−2と同様に、アンテナ装置1を高周波帯で使用する場合には、ESDサプレッサ6の容量値は小さい方がよい。例えば、UHF帯で使用する場合には、0.05pF程度のESDサプレッサ6を用いることが好ましい。このように、容量の極めて小さなESDサプレッサ6を用いることで、通常時において、放射電極4−1,4−2間を高周波に対してオープン状態にしておくことができる。
さらに、別体の静電気放出用素子であるインダクタ60が、グランド領域102に近い放射電極4−1の中途部とグランド領域102との間に接続されている。アンテナ装置1を高周波帯で使用する場合には、インダクタ60のインダクタンス値は大きい方がよい。例えば、UHF帯の周波数で使用する場合には、160nH以上のインダクタ60を用いることが好ましい。
次に、この実施例のアンテナ装置が示す作用及び効果について説明する。
図2は、静電気が、複数の放射電極のうち一方の放射電極に入り込んだ場合の静電気放出作用を示す概略平面図であり、図3は、静電気が、複数の放射電極のうち他方の放射電極に入り込んだ場合の静電気放出作用を示す概略平面図である。
図1において、給電電極2と周波数可変回路3と放射電極4−1とで構成されるアンテナ部を使用することで、例えば、UHF帯での低い周波数で送受信を行うことができる。また、給電電極2と周波数可変回路3と放射電極4−2とで構成されるアンテナ部を使用することで、例えば、UHF帯での高い周波数で送受信を行うことができる。
そして、同調電圧源120からの制御電圧としての同調電圧Vcを周波数可変回路3に印加して、周波数可変回路3のリアクタンス値を変えることにより、これらアンテナ部の共振周波数を変化させることができる。
上記のように、通常の使用時においては、高周波電流が放射電極4−1,4−2を流れるので、小さな容量値のESDサプレッサ6が高周波電流に対して堰として機能する。このため、通常時は、放射電極4−1,4−2間はオープン状態になっている。また、放射電極4−1とグランド領域102との間も、インダクタ60によってオープン状態になっている。
そして、図2に示すように、人体等が放射電極4−1に接触して、静電気Qが放射電極4−1に入り込んだ場合には、静電気Qは、放射電極4−1を通じて周波数可変回路3側に流れる。このとき、静電気Qの周波数が非常に低いので、ESDサプレッサ6のインピーダンスが低下し、放射電極4−1,4−2間がショート状態になる。この結果、放射電極4−1上の静電気Qの一部が、ESDサプレッサ6を介して放射電極4−2に侵入し、放射電極4−2を通じて周波数可変回路3側に流れる。
しかし、この実施例のアンテナ装置1では、上記したように、低周波カット用コンデンサ5−1,5−2が周波数可変回路3前段にある放射電極4−1,4−2の一方端部40,40上に設けられているので、周波数可変回路3側に向かう静電気Qは、これらの低周波カット用コンデンサ5−1,5−2によって阻止される。
そして、静電気Qの大部分は、放射電極4−1からインダクタ60を通じてグランド領域102に流出される。
また、図3に示すように、人体等が放射電極4−2に接触して、静電気Qが放射電極4−2に入り込んだ場合には、静電気Qは、放射電極4−2を通じて周波数可変回路3側に流れる。このとき、放射電極4−1上の静電気Qの一部が、ESDサプレッサ6を介して放射電極4−1に侵入し、放射電極4−1を通じて周波数可変回路3側に流れる。
しかし、この場合においても、低周波カット用コンデンサ5−1,5−2が、周波数可変回路3側に向かう静電気Qを阻止する。そして、静電気Qの大部分は、放射電極4−1からインダクタ60を通じてグランド領域102に流出される。
以上のように、この実施例のアンテナ装置1によれば、静電気対策が確実になされる。そして、かかる静電気対策構造を採用したことによって、アンテナ特性の劣化はほとんど生じない。
すなわち、放射電極4−1のみがグランド領域102に近づいて接続した状態になり、他の放射電極4−2は、ESDサプレッサ6を介して放射電極4−1に接続され、グランド領域102に接続されていない。しかも、放射電極4−2はグランド領域102から離れた状態にある。このため、アンテナ特性劣化の原因となるグランド領域102との接続や近接は、放射電極4−1だけで済み、アンテナ特性の劣化を最小限に抑えることができる。そして、ESDサプレッサ6は、通常、放射電極4−1,4−2間をオープン状態にしており、ESDサプレッサ6を介設したことによるアンテナ特性の劣化はない。
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図4は、この発明の第2実施例に係るアンテナ装置を示す概略斜視図であり、図5は、誘電体チップを基板から分離した状態を示す分解斜視図であり、図6は、誘電体チップの展開図である。
この実施例は、アンテナ装置の構成部品を誘電体チップに組み付けた点が、上記第1実施例と異なる。
図4において、符号7が誘電体チップであり、この誘電体チップ7に、給電電極2と周波数可変回路3の全てと放射電極4−1,4−2の大半部が形成されている。
具体的には、 給電電極2が、誘電体チップ7の前面71の右側縁に形成され、非グランド領域101上に形成された導体パターン113を通じて給電部110に接続されている。そして、周波数可変回路3の構成部品である可変容量ダイオード31,32と抵抗33とインダクタ34〜36も、前面71に実装されている。
放射電極4−1は、一方端部40と部分電極4−1a,4−1b,4−1dと他方端部41とで形成されている。詳しくは、放射電極4−1の一方端部40が前面71に設けられ、この一方端部40と連続する部分電極4−1aが、下面74から後面73に渡って設けられている。そして、下面74の左角部に設けられた部分電極4−1aの端部4−1a′が、基板表面側に設けられた部分電極4−1bに上から接続されている。部分電極4−1bは、スルーホール4−1cを通じて、基板裏面側に設けられた部分電極4−1d(二点鎖線で示されている)に接続され、部分電極4−1dは、スルーホール4−1eを通じて、基板表面の他方端部41に接続されている。
一方、放射電極4−2は、一方端部40と部分電極4−2aと他方端部41とで形成されている。詳しくは、放射電極4−2の一方端部40が誘電体チップ7の前面71に設けられ、低周波カット用コンデンサ5−2を介してこの一方端部40と連続する部分電極4−2aが、前面71上縁と上面72の左縁と後面73の上縁及び右縁に渡って設けられている。そして、下面74の右角部に設けられた部分電極4−2aの端部4−2a′が、基板表面側に設けられた他方端部41に上から接続されている。
低周波カット用コンデンサ5−1,5−2は、上記の如く、誘電体チップ7の前面71上に設けられた放射電極4−1,4−2の一方端部40,40に実装され、ESDサプレッサ6は、放射電極4−1の他方端部41と放射電極4−2の他方端部41との間に接続されている。そして、インダクタ60は、放射電極4−1の他方端部41からグランド領域102迄延出された導体パターン130上に実装されている。
上記第1実施例では、ESDサプレッサ6やインダクタ60が放射電極4−1,4−2の中途部に実装されたが、この実施例では、放射電極4−1,4−2の開放端部41に接続されている。
この実施例では、以上のように、周波数可変回路3の構成部品を誘電体チップ7上に立体的に実装したので、アンテナ装置1の小型化を図ることができる。また、放射電極4−1,4−2の開放端部41,41近傍の容量結合が強まるので、その分、高周波の共振周波数を周波数可変回路3によって容易に制御することができるようになる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図7は、この発明の第3実施例に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
この実施例は、補助放射電極としての金属板体を設けた点が、上記第3実施例と異なる。
具体的には、距離L字状に折れ曲がった金属板体8を放射電極4−1の他方端部41上に立設した。
かかる構成により、アンテナ装置1のアンテナ特性のさらなる向上を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図8は、この発明の第4実施例に係るアンテナ装置を示す概略平面図である。
この実施例は、多数の放射電極4−1〜4−nを設けて、多共振化を図った点が、上記第1ないし第3実施例と異なる。
具体的には、図8に示すように、n−2数(nは3以上の整数)の放射電極4−3〜4−nを放射電極4−1,4−2の間に順次配する。周波数可変回路3は、放射電極4−1が接続された直列の抵抗33及びインダクタ34と放射電極4−2が接続された直列のインダクタ35,可変容量ダイオード31及びインダクタ36との間に、抵抗33とインダクタ34の直列回路を並列に接続すると共に、可変容量ダイオード32を各直列回路から可変容量ダイオード31のカソード側にそれぞれ接続した構成とする。
そして、放射電極4−3〜4−nの一方端部40を、抵抗33とインダクタ34の直列回路に接続し、低周波カット用コンデンサ5−3〜5−nを、各一方端部40上に設けた。
第1実施例と同様に、グランド領域102に最も近い放射電極4−1には、インダクタ60が設けられ、インダクタ60がグランド領域102に接続されている。そして、ESDサプレッサ6が、n数の放射電極4−1〜4−nの間に接続されている。
かかる構成により、アンテナ特性を劣化させることなく、静電気対策が図れる多共振のアンテナ装置を実現することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、放射電極4−1とグランド領域102とに接続した別体の静電気放出用素子として、インダクタ60を採用した例を示したが、この別体の静電気放出用素子として、ESDサプレッサや抵抗等も採用することができることは勿論である。
また、上記第2及び第3実施例では、 放射電極4−1,4−2の一部を誘電体チップ7上に形成した例を示したが、放射電極4−1,4−2の全部を誘電体チップ7上に形成しても良いことは勿論である。
この発明の第1実施例に係るアンテナ装置を示す概略平面図である。 静電気が、複数の放射電極のうち一方の放射電極に入り込んだ場合の静電気放出作用を示す概略平面図である。 静電気が、複数の放射電極のうち他方の放射電極に入り込んだ場合の静電気放出作用を示す概略平面図である。 この発明の第2実施例に係るアンテナ装置を示す概略斜視図である。 誘電体チップを基板から分離した状態を示す分解斜視図である。 誘電体チップの展開図である。 この発明の第3実施例に係るアンテナ装置を示す斜視図である。 この発明の第4実施例に係るアンテナ装置を示す概略平面図である。
符号の説明
1…アンテナ装置、 2…給電電極、 3…周波数可変回路、 4−1,4−2〜4−n…放射電極、 4−1a,4−1b,4−1d,4−2a…部分電極、 4−1c,4−1e…スルーホール、 4−1a′,4−2a′…端部、 5−1,5−2〜5−n…低周波カット用コンデンサ、 6…ESDサプレッサ、 7…誘電体チップ、 8…金属板体、 20,40…一方端部、 21,41…他方端部、 31,32…可変容量ダイオード、 33…抵抗、 34〜36,60…インダクタ、 71…前面、 72…上面、 73…後面、 74…下面、 100…基板、 101…非グランド領域、 102…グランド領域、 110…給電部。

Claims (7)

  1. 一方端部が給電部に接続された給電電極と、この給電電極の他方端部に接続された周波数可変回路と、一方端部がこの周波数可変回路を介して上記給電電極の他方端部に接続され且つ他方端部が開放された複数の放射電極とを、基板の非グランド領域に備えるアンテナ装置であって、
    上記複数の放射電極の一方端部上に、低周波カット用コンデンサをそれぞれ設け、
    且つ、上記複数の放射電極の間に、静電気放出用素子をそれぞれ介設すると共に、
    これら複数の放射電極のうちの一の放射電極を、上記静電気放出用素子とは別体の静電気放出用素子を用いて、グランド領域に接続した、
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 上記別体の静電気放出用素子を用いてグランド領域に接続される上記一の放射電極は、全部又はその一部が他の放射電極よりもグランド領域に最も近い放射電極である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 上記複数の放射電極の間に介設した静電気放出用素子は、ESD(ElectroStatic Discharge)サプレッサであり、
    上記一の放射電極とグランド領域とに接続した上記別体の静電気放出用素子は、ESDサプレッサ,インダクタ又は抵抗のいずれかである、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
  4. 上記給電電極と周波数可変回路とを誘電体チップ上に形成すると共に、
    上記複数の放射電極の全て又は一部を当該誘電体チップ上に形成した、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアンテナ装置。
  5. 上記複数の放射電極のうち、いずれかの放射電極に、金属板体等の補助放射電極を接続した、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアンテナ装置。
  6. 上記周波数可変回路は、容量値を制御電圧で変化可能な可変容量ダイオード等の可変容量素子を含むリアクタンス可変回路である、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアンテナ装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のアンテナ装置を具備する、
    ことを特徴とする無線通信機。
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