JP2010102938A - 荷電粒子線装置及び集束イオンビーム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】荷電粒子ビームによる加工精度、及び加工効率の低下を抑制しつつ、荷電粒子の加速電圧を下げることができる荷電粒子線装置及び集束イオンビーム装置を提供する。
【解決手段】LMIS1と引出電極13の間に印加される電圧が5〜8(kV)、コンデンサレンズ2の印加電圧を0(kV)とした場合に、対物レンズ8によって荷電粒子を試料10に合焦する場合の加速電極15の印加電圧Va及び対物レンズ8の印加電圧Vobjの条件が、Va≧2(kV)の場合にはVobj≒A×Vaであり、かつ、Va=1(kV)の場合にはVobj>A×Va+10(V)であるように、引出電極13の上流側の面とビーム制限アパーチャ14の距離を構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、荷電粒子線装置及び集束イオンビーム装置に関する。
近年、高エネルギーの荷電粒子線(例えば集束イオンビーム)を用いた試料の加工が盛んに行われるようになっており、その一例としては、荷電粒子源から引出電極により引出した荷電粒子線をアース電極(加速電極)により加速し、さらにレンズにより細く絞り、試料に照射することによって試料の微細加工を行う技術が知られている(特許文献1等参照)。
特開2005−174604号公報
上記従来技術においては、アース電極により印加した加速電圧により加速した荷電粒子を試料に照射し、その試料の構成原子を弾き飛ばすことにより試料の微細加工を行うことができる。しかしその一方で、荷電粒子線の照射により試料の構成原子に空孔や配列の乱れが生じ、荷電粒子線が照射された試料表面にアモルファス層が形成されてしまう場合がある。例えば、荷電粒子の質量が比較的大きな荷電粒子線(例えばガリウム(Ga)イオンビーム)を用いる場合には、試料表面(加工部)に厚さ数100Åのアモルファス層が形成される場合がある。試料表面をSEM(Scanning Electron Microscope)等により観察する場合、試料表面がアモルファス層に覆われていると、試料表面の鮮明な画像が取得できず、試料観察の妨げとなってしまう。
このようなアモルファス層の形成は、例えば、荷電粒子に印加する加速電圧を下げて荷電粒子線のエネルギーを下げることにより、ある程度抑制することができる。
しかしながら、加速電圧を下げて荷電粒子線の照射を行うと、試料位置における色収差が増加してしまうためビームを細く絞ることができず、加工精度が低下する恐れがある。また、加速電圧に比例してビーム電流が減少するため加工速度が遅くなり、加工効率が低下してしまうという点も懸念される。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、荷電粒子ビームによる加工精度、及び加工効率の低下を抑制しつつ、荷電粒子の加速電圧を下げることができる荷電粒子線装置及び集束イオンビーム装置を提供することを目的とする。
荷電粒子源と、前記荷電粒子源から荷電粒子を引出す引出電極と、前記引出電極の前記荷電粒子源と反対側に設けられた加速電極と、前記引出電極の前記加速電極側の面に設けられ、前記引出電極と同電位のビーム制限絞りと、前記加速電極の前記荷電粒子の流れにおける下流側に設けられ、前記荷電粒子を静電的に収束する静電レンズと、前記静電レンズの下流側に設けられ、前記荷電粒子を静電的に収束し、試料ステージに載置された照射対象試料に照射する対物レンズと、前記静電レンズと前記対物レンズの間に設けられ、前記荷電粒子の量を制限する対物ビーム制限絞りとを備えた荷電粒子線装置であって、前記荷電粒子源と前記引出電極の間に印加される電圧が5(kV)〜8(kV)、前記静電レンズの印加電圧を0(kV)とした場合に、前記対物レンズによって前記荷電粒子を前記試料に合焦する場合の前記加速電極の印加電圧Va及び前記対物レンズの印加電圧Vobjの条件が、Va≧2(kV)の場合には、VobjとVaの関係を示す定数をAとしてVobj≒A×Vaであり、かつ、Va=1(kV)の場合には、Vobj>A×Va+10(V)であるように、前記引出電極の上流側の面と前記ビーム制限絞りの距離を構成する。また、前記荷電粒子線装置において、好ましくは、前記引出電極の上流側の面に対する荷電粒子源(イオン源)の高さを調整する高さ調整機構を備えるものとする。
本発明においては、荷電粒子ビームによる加工精度、及び加工効率の低下を抑制しつつ、荷電粒子の加速電圧を下げることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
(1)荷電粒子線装置の全体構成
図1は、本実施の形態に係わる荷電粒子線装置を示す部分断面図である。
図1において、本実施の形態の荷電粒子線装置は、荷電粒子源1、引出電極13、ビーム制限アパーチャ14、アース電極15等から構成される荷電粒子銃30、複数(例えば3つ)のコンデンサ電極(後述)により構成されるコンデンサレンズ2、絞り装置(対物アパーチャ)3、アライナー・スティグマ4、ブランカー5、ブランキングプレート6、ビーム走査器7、対物レンズ8、試料ステージ11、及び検出器12を備えている。
図2は荷電粒子銃30の構成を模式的に示す図であり、図3はその荷電粒子源1の周辺の詳細を示す拡大図である。
図2及び図3において、イオン銃30は、荷電粒子源1、引出電極13、ビーム制限アパーチャ14、アース電極15を備えている。
荷電粒子源1は、例えば、ガリウム液体金属イオン源などのLMIS(Liquid Metal Ion Source)であり、この場合の荷電粒子線装置は集束イオンビーム装置である。以下、荷電粒子源1がLMISである場合を例にとり説明する。
荷電粒子源1(以下、LMIS1と記載する)はLMISホルダ23に保持され、LMISホルダ23はイオン源碍子20を介して筒状部材19に固定されている。筒状部材19は、その外周部におねじ部を有しており、このおねじ部には内周部にめねじ部を有するリング状円盤18が螺着されている。リング状円盤18は、支持部材22に回転可能に支持されており、支持部材22は支持部材25に固定されている。筒状部材19と支持部材22はベローズ21を介して接続されており、リング状円盤18を筒状部材19に対して回転することにより、LMISホルダ23の位置、すなわちLMISホルダ23に保持されたLMIS1の位置(図2及び図3中上下方向の位置)を調整することができる。また、LMISホルダ23は、LMIS1への高電圧印加用の電圧端子(図示せず)及びLMIS1を一時的に加熱(フラッシング)するための加熱機構(図示せず)を備えている。
LMIS1の下流側(図2及び図3中下側)には、LMIS(荷電粒子源)1から荷電粒子(イオン)を引き出す引出電極13が配置されており、碍子26を介して支持部材25に固定されている。また、引出電極13の下流側(図2及び図3中下側)には、引出電極13と同電位に保たれ、LMIS1からの荷電粒子線(イオンビーム:後述)の量を制限するビーム制限アパーチャ14が設けられている。引出電極13は電圧端子24を有しており、その電圧端子24を介してLMIS1の表面に強電界を作るための引出電圧が引出電源(図示せず)により印加される。また、引出電極13の下流側にはアース電極15が配置されており支持部材25に固定されている。また、引出電極13の中心(イオンビーム透過部分の中心:後述)とアース電極15の中心は同軸上に位置するよう構成されている。
このように、荷電粒子銃30においては、引出電極13の上流側の面とLMIS1の間の距離h(=Zo−La)は調整可能であり、引出電極13とアース電極15の相対位置(距離)は固定されている。また、荷電粒子銃30において、引出電極13とアース電極15は荷電粒子銃30のレンズ(静電レンズ:後述)を構成しているが、距離hが調整可能であるので、そのレンズとLMIS1の距離hが調整可能である。
荷電粒子銃30は、LMIS1、引出電極13及びアース電極15のそれぞれの間に印加された電圧の作用により試料方向(図4中下方向)に荷電粒子線9としてガリウムイオンビーム(以下、イオンビームと記載する)を照射する(後に詳述)。なお、本実施例は、その他の荷電粒子線装置に適用可能であり、例えば、荷電粒子源1を電子源とした場合は、高電圧の極性が変わるだけで集束イオンビーム装置と同様の荷電粒子線装置(電子線装置)を構成できる。
図1に戻る。
荷電粒子銃30から照射されたイオンビーム(荷電粒子線)9は、コンデンサレンズ2により静電的に弱い集束作用を受け、絞り装置3に入射される。
絞り装置3は、イオンビーム(荷電粒子線)9の光軸上に配置された帯状の部材であり、駆動装置(図示せず)により、その長手方向に摺動可能に設けられている。絞り装置3は長手方向に並べて配置された複数(例えば4つ)のアパーチャ(絞り)を有している。アパーチャの直径は、例えば、直径5μm,40μm,200μm,500μmである。この絞り装置3を駆動装置(図示せず)により長手方向に移動することにより、イオンビーム9の光軸上に所望の直径のアパーチャを選択的に配置する。
絞り装置3のアパーチャを通過したイオンビーム9は、アライナー・スティグマ4、ブランカー5、ブランキングプレート6、ビーム走査器7を経た後、さらに対物レンズ8の静電的な集束作用により細く絞られて試料ステージ11に載置された試料10に照射される。
試料10上におけるイオンビーム9の照射位置はビーム走査器7により制御される。イオンビーム9の照射により試料10から生じた信号(2次電子)は、検出器12により検出され、その検出信号は制御装置(図示せず)に送られる。
制御装置(図示せず)は、走査信号によりビーム走査器7を制御してイオンビーム9により試料10上を走査し、ビーム走査器7への操作信号と検出器12で検出した信号(検出信号)の同期をとることにより試料10の画像を取得し、表示装置(図示せず)に表示する。
(1−1)コンデンサレンズ(静電レンズ)2の動作原理
図4(a),(b)は、コンデンサレンズ2の構成を簡略化して示す図であり、図4(a)は減速モード、図4(b)は加速モードの場合をそれぞれ示している。図4(a),(b)においては、荷電粒子線装置(集束イオンビーム装置)におけるイオンビーム9の光軸方向(図1中上下方向)を横方向に示している。なお、図1における対物レンズ8においてもコンデンサレンズ2と同様の構成であり同様の動作原理が適用されるので、対物レンズ8における動作原理の説明は省略する。
コンデンサレンズ2は、イオンビーム9が通過するビーム通過部を中心部に有する円盤状の複数(例えば3枚)のコンデンサ電極81〜83で構成されている。なお、図4(a),(b)においては、コンデンサレンズ2のレンズ光軸を通る平面における断面のうち、レンズ光軸に対して片側のみを表している。
図4(a),(b)において、コンデンサレンズ2は、荷電粒子銃30からのイオンビーム9が入射される側(上流側)に配置された入射側電極81と、イオンビーム9が出射される側(下流側)に配置された出射側電極83と、入射側電極81と出射側電極83の間に配置された中間電極82とを備えている。
中央電極82には電圧が印加され、入射側電極81及び出射側電極83は接地される(アース電位とする)。このように荷電粒子線の入力側と出力側の電位が変化しない静電レンズをユニポテンシャルレンズと呼ぶ。また、中央電極82に正電圧を印加する場合(図4(a)参照)を減速モード、中央電極82に負電圧を印加する場合(図4(b)参照)を加速モードと呼ぶ。
以上のように構成したコンデンサレンズ(静電レンズ)2のイオンビーム9に対する集束作用について説明する。
イオンビーム9を構成するイオンは荷電粒子であるから、その荷電粒子が通過する空間に生じている電場E、及び磁場Bと相互作用する。
例えば、電荷q、質量m0の荷電粒子が電場E、磁場Bの中を速度vで移動する場合、この荷電粒子に働く力Fは、下記の式1により表される。
Figure 2010102938
このように電場E及び磁場Bにより荷電粒子が受ける力をローレンツ力という。
コンデンサレンズ2において、イオンビーム9を構成する荷電粒子に作用するのは、3枚の電極81〜83間に生じる電場Eのみである。この電場Eは、コンデンサレンズ2のレンズ光軸に対して対称である。
コンデンサレンズ2のレンズ光軸上にz座標(z軸)、動径方向にr座標をとると、電場Eはその動径方向成分Er、及びz座標向成分Ezを用いて表される。これらEr,Ezは下記の式2及び式3で表される。
Figure 2010102938
Figure 2010102938
コンデンサレンズ2のレンズ作用は、そのコンデンサレンズ2により生じた電場E中を通過する間に受ける動径方向(r方向)の曲がりの積分として表される。電場Eの動径方向(r方向)の成分(電場Er)から荷電粒子が受ける力Frは、下記の式4により表される。
Figure 2010102938
また、動径方向の力Frは、下記の式5のように表すことができる。
Figure 2010102938
上記の式4に式2と式5を代入すると下記の式6のように計算され、下記の式7が得られる。
Figure 2010102938
Figure 2010102938
上記の式7は、電場Erにより荷電粒子に生じる動径方向(r方向)の速度変化dvrを示している。つまり、荷電粒子により構成されるイオンビーム9は、この速度変化dvrに従って進行方向が変わる。
上記の式7の右辺は、分母に荷電粒子の速度のz軸方向成分vzを有しており、z軸方向の速度が遅いほど、イオンビーム9(荷電粒子)の向きは大きく変わることがわかる。つまり、速度vzが小さくなるにつれてdvrが大きくなり、レンズ光軸(z軸)側への集束作用が大きくなる。また、vzが大きくなるにつれてdvrが小さくなり、レンズ光軸方向への集束作用が小さくなる。
また、dvr/dzはイオンビーム9の屈折を示しており、z軸方向に対するビームの傾きがr座標に比例していることから、イオンビーム9はコンデンサレンズ2の焦点に関係する(1点に収束する)ことがわかる。
図4(a)に示した減速モードの場合においては、イオンビーム9は入射側電極81(接地)と出射側電極83(接地)の付近では電界の分布形状によりレンズ光軸から遠ざかる方向への力を受けるが、中間電極82(正電圧印加)の付近ではレンズ光軸側への力(集束力)を受ける。また、荷電粒子(正電荷)は、コンデンサレンズ2内の中間電極82付近で最も減速されて速度が遅くなる。したがって、コンデンサレンズ2は減速モードにおいて、凸レンズとして作用する。
一方、図4(b)に示した加速モードの場合においては、イオンビーム9は入射側電極81(接地)と出射側電極83(接地)の付近ではレンズ光軸側への力(集束力)を受けるが、中間電極82(負電圧印加)の付近ではレンズ光軸から遠ざかる方向への力を受ける。また、荷電粒子(正電荷)は、コンデンサレンズ2内の中間電極82付近で最も加速されて速度が速くなる。したがって、コンデンサレンズ2は加速モードにおいても凸レンズとして作用する。
このように、コンデンサレンズ(静電レンズ)2は、減速モード及び加速モードのいずれの場合においてもイオンビーム9に対して凸レンズとして作用する。
(1−2)荷電粒子銃30の動作原理
図5は、荷電粒子銃30のレンズ作用を説明する図であり、図5(a)は引出電極13に正電圧を印加した場合、図5(b)は引出電極13に負電圧を印加した場合をそれぞれ示している。
荷電粒子銃30は、LMIS1、引出電極13、及びアース電極15によりレンズを構成する(レンズ作用を生じる)。このように、荷電粒子線の入射側と出射側が電位の異なる2枚の電極で構成されるレンズを、入射側と出射側の電位が変化しないユニポテンシャルレンズに対して、バイポテンシャルレンズと呼ぶ。
図5(a),(b)においては、レンズ光軸を横方向に示している。レンズ光軸上のLMIS1(光源)の位置を原点にとり、レンズ光軸に沿ってz軸をとる。また、縦軸にはレンズ光軸(z軸)上の各位置におけるLMIS1を基準とした電位を示すと共に、レンズ光軸からの距離(動径方向の距離r)を示している。
図5(a),(b)に示すように荷電粒子銃30では、LMIS1から放出された電荷qを有するイオン(荷電粒子)が直ちに引き出し電位(LMIS1を基準にした引出電極13の電位:Ve)の運動エネルギーq・Veを得た後、等電位空間を等速運動して引出電極13を通過し、引出電極13の電位Veとアース電極15の電位(LMIS1を基準にしたアース電極15の電位:Va)の電位差(Va−Ve)で加速されて最終的に運動エネルギーq・Vaのイオンビーム(荷電粒子線)9が射出される。
LMIS1から放出されたイオン(荷電粒子)に働く力は、上記のコンデンサレンズ2の場合と同様に表される。すなわち、LMIS1、引出電極13、及びアース電極15により生じた電場E内をLMIS1から放出された電荷q、質量m0、速度vのイオンが移動する場合、電場Eの動径方向成分Er及びイオンの動径方向(r方向)の速度変化dvrは、上記の式2及び式7により表される。したがって、イオンビーム(荷電粒子線)9は、荷電粒子銃30においても上記の式7に示される速度変化dvrに従って進行方向が変わる。
図5(a)に示したように、引出電極13に正電圧を印加した場合においては、イオンビーム(正電荷)9はアース電極15(接地)の付近では電界の分布形状によりレンズ光軸から遠ざかる方向への力を受けるが、引出電極13(正電圧印加)の付近ではレンズ光軸側への力(集束力)を受ける。また、イオンビーム9は、引出電極13付近で最も減速されて速度が遅くなる。したがって、荷電粒子銃30のレンズ作用は、引出電極13に正電圧を印加した場合おいて凸レンズ作用となる。また、図5(a)は、イオンビーム9が荷電粒子銃30のレンズ作用において虚結像となる場合を示す。
一方、図5(b)に示したように、引出電極13に負電圧を印加した場合においては、イオンビーム(正電荷)9はアース電極15(接地)の付近ではレンズ光軸側への力(集束力)を受けるが、引出電極13(負電圧印加)の付近ではレンズ光軸から遠ざかる方向への力を受ける。また、イオンビーム9は、引出電極13付近で最も加速されて速度が速くなる。したがって、荷電粒子銃30のレンズ作用は、引出電極13に負電圧を印加した場合においても凸レンズとして作用する。また、図5(b)は、イオンビーム9が荷電粒子銃30のレンズ作用において実像を作り実結像となる場合を示す。
このような荷電粒子銃30のバイポテンシャルレンズのレンズ作用は、ρ^2=(Va/Ve)をパラメータとして記述することができる。Va=Ve(すなわち、ρ=1)の場合、荷電粒子銃30のレンズ作用はなくなる。(0<)ρ<1の場合は、ρが小さくなる(1から離れる)に従って集束作用が強まり、焦点距離が短くなる。また、1<ρの場合は、ρが大きくなる(1から離れる)に従って集束作用が強まり、焦点距離が短くなる。
荷電粒子銃30の光源とレンズの焦点とが重なる点を発散点と呼ぶ。この発散点は、0<ρ<1の範囲、1<ρの範囲にそれぞれ1つずつ存在する。
荷電粒子銃30のレンズ(作用)における焦点位置が光源の位置より内側になると、イオンビーム9が荷電粒子銃30のレンズ作用で結像する状態となり、クロスオーバを作る。
LMIS1からのイオン放射が始まる電圧(閾値電圧)をVocとすると、加速電圧Vaが閾値電圧Vocより低い場合、アース電極15近傍でイオンビーム9のz軸方向(レンズ光軸方向)の速度成分vz(以下、速度vzと記載する)が減速される。ρ^2=(Va/Ve)の値が小さくなればなるほど(加速電圧Vaが低くなればなるほど)z軸方向の電界成分Ez(以下、電界Ezと記載する)の勾配が大きくなり、また、速度vzの速度変化(減速)が大きくなる。また、イオンビーム9の屈折量をdvr/dzとすると、屈折量dvr/dzは離軸(動径方向のz軸からの距離)rに比例し、かつ、電界Ezの勾配を速度vzで割ることになるので、イオンビーム9はアース電極15近傍で強く集束される(屈折量が大きくなる)。
一方、加速電圧Vaが閾値電圧Vocより高い場合、引出電極13を通過してアース電極15を通過するまでの空間で速度vzが大きくなる。ρ^2=(Va/Ve)の値が大きくなればなるほど(加速電圧Vaが高くなればなるほど)電界Ezの勾配が大きくなり、また、速度vzの速度変化(加速)が大きくなる。また、イオンビーム9の屈折量dvr/dzは、離軸rに比例し、かつ、電界Ezの勾配を速度vzで割るので、イオンビームは引出電極13近傍で強く集束される(屈折量が大きくなる)。
ここで、荷電粒子銃30における仮想光源の位置(荷電粒子銃30の下流(+)側から上流(−)側を見た時の見かけ上の光源の位置)とVe/Va(=1/ρ^2)の関係を説明する。
図6は、Ve/VaとLMIS1に対する仮想光源の位置s0の関係を示した図であり、横軸はVe/Vaを、縦軸はLMIS1を原点にしてLMIS1に対する仮想光源の位置s0をそれぞれ示している。図6においては、LMIS1と引出電極13の距離を7mm、5mm、4.4mm、4mm、3mmとした場合のそれぞれについてVe/Vaと位置s0の関係を示している。
引出電圧VeとLMIS1からの荷電粒子の放射量(エミッション電流)Ieの関係はLMIS1の種類によって決まり、LMIS1がニードルタイプの液体金属イオン源の場合、エミッション電流Ieを1μA増加するのに必要な引出電圧Veの変化量ΔVeを示すIe−Ve特性の傾きは、ΔVe/ΔIe≒15(V/μA)である。引出電極13と引出電極13に引出電圧を印加する引出電源(図示せず)の間には抵抗値Rの制限抵抗(図示せず)が直列に挿入されており、引出電源の出力電圧Vextの変化値ΔVext=ΔIe×Rで表され、さらに変形するとΔVext=ΔVe×(R/15)となる。つまり、R/15を係数とし引出電圧の変化量ΔVeを引出電源の出力電圧Vextの変化値ΔVextで制御することができる。
LMIS1からエミッション電流Ieが得られ始める引出電圧Veを閾値電圧VocとするとVoc≒Ve+Ie×Rと表される。ここで、制限抵抗の抵抗値Rを十分小さい値とする(R<<1)ことによってVoc≒Veとすることができる。また、R<<1とすることは、エミッション電流Ieと引出電圧Veの関係において、Ie=0に外挿した電圧VoxがVox≒Vocで表されるということである。例えば、FIB(Focused Ion Beam)装置で使われるニードルタイプのガリウム(Ga)LMISのVocは5kV〜10kVである。エミッション電流Ieの安定性を考慮して閾値電圧Voc≒7kVとした場合を考えると、加速電圧Vaが40kVから1kVまで変化するとき、1/ρ^2=Ve/Vaは0.1〜8の範囲の値をとる。
(2)荷電粒子線装置(集束イオンビーム装置)の動作原理
次に、荷電粒子線装置全体の動作原理を説明する。
(2−1)ビーム電流Ib
図7は、荷電粒子線装置(集束イオンビーム装置)の各構成の位置関係を示す図である。
試料10に照射されるイオンビーム9のビーム電流Ibは、放射角電流密度Jω、像面の開き角αoi、荷電粒子銃の像倍率m1、コンデンサレンズ2の倍率m2、対物レンズの倍率m3、光学系全体集束イオンビーム装置の像倍率M、引出電圧(物点電圧)Ve、及び加速電圧Vaを用いて下記の式8で求められる。
Figure 2010102938
ここで、上記の式8で用いた、像面の開き角αoi、荷電粒子銃の像倍率m1、コンデンサレンズ2の倍率m2、対物レンズの倍率m3、光学系全体の像倍率M(以下、単に倍率Mと記載する)は、下記の式9〜式13により求められる。
Figure 2010102938
Figure 2010102938
Figure 2010102938
Figure 2010102938
Figure 2010102938
なお、上記の式9及び式12中の演算子±において、−(マイナス)の場合はコンデンサ実結像を、+(プラス)の場合はコンデンサ虚結像をそれぞれ示す。また、a1、b1、Lap、lap、L、b3、及びXは、図7に示す荷電粒子線装置(集束イオンビーム装置)の各部の距離を示している。
ここで、上記の式8に上記の式9で求めた像面の開き角αoiを代入すると、ビーム電流Ibを求める下記の式14が得られる。
Figure 2010102938
(2−2)ビーム径d
試料10に照射されるイオンビーム9のビーム径dは、光学系全体の倍率M、色収差係数Cc、球面収差係数Cs、及び対物レンズの像面側のビーム開き角αを用いて下記の式15により求められる。
Figure 2010102938
また、上記の式15で用いた対物レンズの像面側の開き角αは、ビーム電流Ib、及び光学系の倍率Mを用いて下記の式16で求められる。
Figure 2010102938
イオンビーム9のビーム径dを求める上記の式15に対物レンズの像面側の開き角αを求める上記の式16を代入することにより、ビーム径dが求められる。
(2−3)電流密度J
試料10に照射されるイオンビーム9の電流密度Jは、ビーム電流Ibとビーム径dとを用いて下記の式17で求められる。
Figure 2010102938
(3)荷電粒子線装置(集束イオンビーム装置)の検討
次に、荷電粒子線装置の動作について検討する。
(3−1)大電流カラムの検討
より大電流の集束イオンビーム装置(大電流カラム)とするために、ビーム電流Ibについて検討する。
上記の式14(ビーム電流Ibに関する式)から、ビーム電流Ibを増加するには、荷電粒子銃の像倍率m1、コンデンサレンズ2の倍率m2、絞り装置(対物アパーチャ)3のアパーチャ径Dapを大きくすると良いことが分かる。このうち、倍率m2の変化率は他のパラメータよりも大きく、したがって、ビーム電流Ibの増加に有効である。
ここで、上記の式11から分かるように、コンデンサレンズの倍率m2は距離Xが大きいほど大きくなる。また、コンデンサレンズの倍率m2は、距離Lap又は(Lap−lap)の値が小さいほど大きくなる。このような点に着目することにより集束イオンビーム装置(大電流カラム)を構成する。
上記の式13から分かるように、コンデンサレンズの倍率m2が大きくなる場合、光学系全体の倍率Mもまた大きくなるが、大電流(ビーム電流Ibが大きい状態)では上記の式15の第1項の影響より第2項の影響が大きいので、上記の式16で求めた対物レンズ8の像面側のビーム開き角αを同じか更に小さくできる解が存在すれば、電流密度Jの高いビームを得ることができる。つまり、コンデンサレンズ2を単焦点で使いイオンビーム9の離軸を抑えた平行ビーム或いは弱集束にして、アパーチャ径Dapを大きくすることなくビーム電流Ibを増やすことができ、対物レンズ8の球面収差を小さくすることができるということである。
集束イオンビーム装置は、対物アパーチャ3でビーム電流Ibを変えることができ、加工体積や精度に応じた(適した)ビーム電流Ibを選び、加工に適したビーム走査を実行することにより高速・高精度の加工を行う。
ただし、ビーム電流Ibによってビーム径dが最小になる倍率Mが変わるので、ビーム電流Ib(アパーチャ径Dap)に応じて最大電流密度になるように倍率Mを制御する。実際には、色収差係数Cc及び球面収差係数Csを倍率Mの関数として求められるので、ビーム電流Ibのときのビーム径dを倍率Mの関数として表し、この関数からビーム径dが最小になるような最適化された倍率M(AP)を求める。この倍率M(AP)は、必要なビーム電流Ibが得られるアパーチャ径で、最小ビーム径dminになる(最大電流密度になる)倍率M(AP)である。
具体的には、アパーチャ径Dapに応じて、最大電流密度(最小ビーム径dmin)になる倍率M(AP)となるようなコンデンサレンズ2の中間電極82の印加電圧のテーブルを予め用意し、アパーチャ径Dapを切り換えたとき(絞り装置3のアパーチャの直径を切り換えたとき)に、このテーブルに従ってコンデンサレンズ2の中間電極82に電圧を印加することにより、最大電流密度(最小ビーム径dmin)となるように制御する。
図1に示したように、集束イオンビーム装置において、イオン源(LMIS)1から放出されたイオンビーム9は、引出電極13のビーム制限(GUM)アパーチャ14で制限を受け、ビーム走査器(偏向器)7、及び対物レンズ8を通過して、試料ステージ11上で接地電位に保たれた試料10に照射される。
LMIS1としてガリウム(Ga)液体金属イオン源(LMIS)を用い、引出電圧Veが7kV以上である集束イオンビーム装置において、加速電圧Va=30kVでWD(Working distance:作動距離)=6mmの対物レンズ(静電レンズ)8を用い、ビーム径dが1μmでビーム電流Ibが40nA程度のイオンビーム9を得るには、LMIS1と引出電極13の距離を5mmとし、LMIS1とコンデンサレンズ2の主面までの距離を21mm以下とする必要がある。引出電極13、アース電極15、及びコンデンサ2の入射側電極81を16mmの範囲に収める場合、各電極間の距離を8mm以下とする必要がある。
また、真空の耐電圧が10kV/mmとした場合に30kVの耐電圧で設計しようとすると、電極の板厚を1mmとして、少なくとも5mm(=1mm+3mm+1mm)以上の間隔が必要となる。ただし、電極の間隔を5mmにした場合、加速電圧Va=30kVで引出電圧Ve=7kVの荷電粒子銃30の倍率が高くなるため分解能が悪くなり、ビーム電流Ib=40nAのイオンビーム9をビーム径d≒1μm程度まで絞ることが出来ない。このため、ビーム径dが1μmでビーム電流Ibが40nA程度のイオンビーム9を得るには、電極の間隔は6mm以上とする必要がある。また、加速電圧Va=40kVまでの対応を考えると電極間の距離は最低6mmが必要である。なお、荷電粒子銃30の倍率の影響が少ない場合は、装置の最大ビーム電流は加速電圧Vaにほぼ比例する。
図8は、荷電粒子銃30において、加速電圧Va=40kv、LMIS(GaLMIS)1と引出電極13の距離を5mm、引出電極13とアース電極15の間隔を8mmとした場合の集束イオンビーム装置におけるビーム電流Ibとビーム径Dpの関係を示す図である。なお、ビーム径Dpは、それぞれの条件において集束イオンビーム装置における倍率制御により得られる最小値である。
ガリウム(Ga)LMISの特性値としては、光源の大きさd0=50nm、放射角電流密度Jω=17μA/sr、放射ビームのエネルギー幅Ie=2μA:ΔE=5eV、Ie=3.2μA:ΔE=7eVを用いた。なお、放射角電流密度Jωは本来20μA/sr程度であるが、対物アパーチャ3の厚さと開口の関係からビーム電流Ibが減少する影響を考慮して、放射角電流密度Jω=17μA/srとした。
図8においては、各条件においてビーム径1μm以下のビーム電流Ibの最大値Ibmax≒60nAであり、したがって、最大加速電圧Vamax(nA)と最大ビーム電流Ibmax(kV)の比をみると、Ibmax/Vamax=60(nA)/40(kV)=1.5≧1である。
(3−2)低加速の検討
集束イオンビーム装置においては、アース電極15により印加した加速電圧Vaにより加速した荷電粒子(イオンビーム9)を試料10に照射し、その試料10の構成原子を弾き飛ばすことにより試料の微細加工を行う。しかしその一方で、例えばガリウム(Ga)イオンのように試料10を構成する原子(例えばシリコン(Si))と同等以上の質量を持つ荷電粒子のイオンビーム9を試料10に照射する場合、試料10の構成原子は、その結合エネルギーに比べてはるかに大きいエネルギーで弾き飛ばされるため、試料10の構成原子に空孔や配列の乱れが生じ、荷電粒子線が照射された試料表面にアモルファス層が形成されてしまう場合がある。試料の加工面を走査電子顕微鏡により観察する場合、或いは、透過電子顕微鏡により試料の薄片を観察する場合、試料表面がアモルファス層に覆われていると、試料表面の鮮明な画像が取得できず、試料観察の妨げとなってしまう。
このようなアモルファス層の形成は、例えば、荷電粒子に印加する加速電圧を下げて荷電粒子線のエネルギーを下げることにより、ある程度抑制することができる。しかしながら、加速電圧を下げて荷電粒子線の照射を行うと、試料位置における色収差が増加してしまうためビームを細く絞ることができず、加工精度が低下する(微細な加工ができない)恐れがある。また、加速電圧に比例してビーム電流が減少する(イオンビーム9の照射エネルギーが低くなる)ため加工速度が遅くなり、加工効率が低下してしまうという点も懸念される。
そこで、集束イオンビーム装置におけるイオンビームの低加速について検討する。
低加速の状態(加速電圧Vaを低くした状態)では、イオンビーム9を構成する荷電粒子の速度(ビーム速度)が遅いため、荷電粒子銃30のレンズ作用の影響が大きくなる。
図9は、荷電粒子銃30のレンズ作用を示す図であり、図9(a)は実像結像の状態を、図9(b)は虚像結像の状態をそれぞれ示す図である。
荷電粒子銃30のレンズ(バイポテンシャルレンズ)は、ビーム速度の遅いところでのレンズ作用が大きいので、図9(a),(b)に示すように、レンズ前(イオンビーム9の上流側)とレンズ後(イオンビーム9の下流側)に物面Hoと像面Hiの2つの主面(光線の屈折面)を有する厚レンズとなる。また、加速電圧Vaが閾値電圧(エミッション閾値電圧)Vocより低い場合は主面がアース電極15近傍にでき、高い場合は主面が引出電極13近傍にできるというように、主面の位置は加速電圧Vaによって大きく移動する。
図10は、ρの値と荷電粒子銃30の焦点位置Ho−fo及び結像点Hi+bの対応を示す図であり、図10(a)は0≦ρ≦1の場合を、図10(b)は1≦ρの場合をそれぞれ示している。
LMIS1は、荷電粒子銃30のレンズの焦点距離Foの内側(引出電極13側)に置く。ただし、ρが変化することによりレンズ主面(物面、像面)Ho,Hi、焦点距離Fo,Fiは変化する。
なお、引出電極13の位置を基準としたイオンビーム9を大電流・高電流密度とするためにはコンデンサレンズ2をLMIS1に近づける必要があるため、LMIS1と引出電極13の距離hを5mmに、引出電極13とアース電極15の距離Loを8mmとした。
ここで、図3において、引出電極13の下流側(図3中下側)の面を基準とし、引出電極13の上流側(図3中上側)の面までの距離をLa、LMIS1の先端までの距離をZoとすると、LMIS1の高さ(LMIS1の先端と引出電極13の距離)hは、h=Zo−Laで表される。荷電粒子銃30においては、引出電極13とLMIS1の距離h=Zo−Laを変えると引出電圧Veが変わる。また、引出電圧Veは、LMIS1の閾値電圧Vocと同じと考えることができるので、引出電極13とLMIS1の距離hと閾値電圧Vocの関係は下記の式18で表される。
Figure 2010102938
なお、上記の式18において、ε0は真空の誘電率、γはガリウム(Ga)液体金属の表面張力、rは放出点の大きさである。
上記の式18においては、引出電極13とLMIS1の先端の距離h(=Zo−La)が距離h+Δhに変わった場合、閾値電圧Vocは元の値に対してln(1+Δh/h)×((γ×r)/ε0)^(1/2)増加する。従って、Δh<0の場合、すなわち、引出電極13とLMIS1の距離を近づけた場合、閾値電圧Vocは下がりρの値が大きくなる。しかし、距離hを変化させたことにより荷電粒子銃30のレンズ作用が変化するので、ビーム電流Ibの増減を考察するには、ρと引出電極13とLMIS1の距離hの両方の変化による荷電粒子銃30のレンズ作用(バイポテンシャルレンズの特性)を考慮する必要がある。
ここで、図10からわかるように、Va=Ve(ρ=1)で焦点fが無限遠点となり、荷電粒子銃30のレンズ作用はなくなる。0<ρ<1の場合は、ρが小さくなる(1から離れる)に従って集束作用が強まり、1<ρの場合は、ρが大きくなる(1から離れる)に従って集束作用が強まる。
また、引出電極13の位置を基準にした場合のLMIS1の位置soと焦点位置Ho−foが重なった場合、結像点Hi+bに平行になり発散する。発散点は、0<ρ<1の範囲、及びρ>1の範囲にそれぞれ存在する。焦点が更に短くなるとクロスオーバ(荷電粒子銃30のレンズ作用によりイオンビームが一点に結像)を作るようになる。
荷電粒子銃30のレンズ作用によって、加速電圧Vaが40kVから2kVの範囲では仮想光源と呼ばれる虚像をLMIS1の上流側(上方)に作るが、加速電圧1kVではLMIS1の下流側(下方)にクロスオーバを作るので、したがって、加速電圧Vaが2kVから1kVの範囲の何れかの値の場合に発散することがわかる。例えば、荷電粒子銃30において加速電圧Vaが2kVの場合、Voc=7kVに対してρ^2=0.28となるのに対し、加速電圧Vaが1kVの場合、ρ^2=0.14となり、荷電粒子銃30のレンズ作用でクロスオーバを作る状態になるので、加速電圧Vaが1kVから2kVの間に有る場合に発散点があり、その値を調べるとρ^2≒0.16である。
このような荷電粒子銃30において、加速電圧1kVにしてビーム(集束イオンビーム装置の各パラメータ)を調整する実験を行った結果、引出電圧Ve=7±0.25kVにおいて、LMIS1の位置や対物アパーチャ3の位置を変えずに、加速電圧Vaを40kVから1kVまでの範囲で常にビームが通る(試料10に到達する)ようには調整できないことが分かった。例えば、加速電圧Va1kVにおいてビームが通るようにLMIS1の位置、及び対物アパーチャ3の位置を調整すると加速電圧Vaを40kVに変えた場合にはビームが通らなくなってしまう。
図11は、ビームが通らなくなってしまう引出電圧Veとρ^2(=Va/Ve)の関係を示した図であり、図12は集束イオンビーム装置の構成要素を模式的に示した図である。
図11において、横軸は引出電圧Veを、縦軸はρ^2(=Va/Ve)をそれぞれ示している。図11中に示した2本の点線は、引出電極13とLMIS1の距離が5mmの条件において、引出電圧Veに対してビームが通らなくなるVa/Veの範囲を示す線である。
前述したように、荷電粒子銃30レンズのレンズ作用は、引き出し電圧Veと加速電圧Vaの比Va/Ve=ρ^2によって変化し、Va=Ve(ρ=1)でレンズ作用はなくなる。0<ρ<1の場合は、ρが小さくなる(1から離れる)に従って集束作用(レンズ作用)が強まり、焦点距離が短くなる。1<ρの場合は、ρが大きくなる(1から離れる)に従って集束作用(レンズ作用)が強まり、焦点距離が短くなる。また、焦点と光源が重なる点をと発散点と呼ぶ。
荷電粒子銃30においては、そのレンズ作用により加速電圧Vaが40kVから2kVの範囲では仮想光源と呼ばれる虚像をLMIS1の上流側(上方)に作るが、加速電圧Vaが1kVではLMIS1の下流側(下方)にクロスオーバを作るので、したがって、加速電圧Vaが2kVから1kVの範囲の何れかの値の場合に発散することがわかる。
すなわち、図11に示した2本の点線(加速電圧Vaが2kVの場合と1kVの場合のそれぞれの場合における引出電圧VeとVa/Veの関係を示す点線)の間の範囲に発散点が存在することが分かる。発散点付近ではLMIS1に対する仮想光源の位置s0が、LMIS1の上流側(−∞)の虚像(見かけの結像)から下流側(+∞)の実像(光源を下流に結像)に変わる。
荷電粒子銃30における発散点(Ve(≒Voc)≒7kV、ρ^2≒0.16)も図11に示した2本の点線の間の範囲に存在する。
図12は、集束イオンビーム装置の構成要素を模式的に示す図であり、図13は、その構成要素とイオンビーム9との関係を示す図である。
図12に示すように、集束イオンビーム装置において、LMIS1から射出された荷電粒子(イオンビーム)は、イオン銃(荷電粒子銃)レンズ、コンデンサレンズ2、対物アパーチャ3、及び対物レンズ8を通過して試料10に照射される。
したがって、図13に示すように、引出電極13とアース電極15で成すレンズのレンズ光軸とイオン源(LMIS)1と対物アパーチャ3の中心を通る軸にずれがあると、発散から集束においてイオンビーム9が対物アパーチャ3を通らなくなる。また、このときに集束イオンビーム装置から照射されるイオンビーム9の位置は、図13に示すように移動する。
荷電粒子銃30のレンズ、コンデンサレンズ2、対物レンズ8の各レンズのレンズ光軸が全て一致している場合には、加速電圧Vaによらずイオンビーム9は通る。
しかし、各レンズのレンズ光軸を完全に合わせることは難しく、少なからずずれがある。イオンビーム9(荷電粒子)に対して対物レンズ8と同じくらい強く作用するレンズがあると、そのレンズのレンズ光軸の方向にイオンビーム9が振られてしまい、対物レンズ8のレンズ光軸から外れてしまう。特に、荷電粒子銃30のレンズ作用は、加速電圧Vaが2kV以下になると急激に強くなり、イオンビーム9に対して対物レンズ8と同等の強さでレンズ作用を及ぼすので無視できなくなる。
集束イオンビーム装置におけるビーム軸調では、まず、コンデンサレンズ2の中心(レンズ光軸上)にLMIS1(光源)の位置を調整する。次に、対物レンズ8の中心(レンズ光軸上)に対物アパーチャ3(可変絞り)の中心を調整する。これを繰返してイオンビーム9が集束するように調整する。この調整により、光源とコンデンサレンズ2の中心(レンズ光軸)、光源と可変絞りと対物レンズ中心が一直線上になるが、この直線と荷電粒子銃30のレンズのレンズ光軸にはずれがある。また、この状態で荷電粒子銃30のレンズに対して調整すると他のレンズに対してずれてしまう。
このため、荷電粒子銃30の引出電極13とアース電極15で作るレンズの軸精度の良し悪しでイオンビームの通る条件が変わることが十分考えられる。対策としては、荷電粒子銃30のレンズに対する選別を行うことが考えられるが、イオンビームを照射した状態でしか選別することができないので、非常に手間がかかり現実的ではない。また、荷電粒子銃30のレンズ(引出電極13及びアース電極15)を組み直す場合においても、機械的精度の範囲でずれが発生するので、軸精度が向上するとは限らない。
前述したように、加速電圧Vaの2kVから1kVの範囲に発散点があるため、加速電圧Vaが40kVから2kVでは無視できていた荷電粒子銃30のレンズ作用が、加速電圧Vaが1kVではクロスオーバを作るほど強く作用して引出電極13とアース電極15で成すレンズのレンズ光軸とLMIS1と対物アパーチャ3の中心の関係にずれがあると、発散点からクロスオーバが対物アパーチャ3の上流側になる点までイオンビーム9が対物アパーチャ3(可変絞り)で遮られて通らなくなる。
これに対し、対物アパーチャ3(可変絞り)の上流側にクロスオーバが生じた場合、そのクロスオーバは光源となって対物アパーチャ3方向にイオンビーム9照射するので、対物レンズ8のレンズ光軸に対してずれがあってもビームが通るようになる。
荷電粒子銃30においては、引出電極13とLMIS1の距離hを変えると、上記の式18からわかるようにVocが変わり、そのためρが変わる。また、物点と焦点距離の両方が変わり結像点も変わるのでビーム電流Ibが変わる。ビーム電流Ibが増えれば分解能が悪くなり、ビーム電流Ibが減れば分解能が良くなる。したがって、引出電極13とLMIS1の距離hを変えると所望のビーム電流Ibが得られなかったり、分解能が得られなかったりして、装置の基本性能が変わってしまうという問題がある。特に、加速電圧Va≒1kV時に大電流・高電流密度のイオンビーム9を得ることは困難になる。
(3−3)ビーム電流増減の検討
以上のように、荷電粒子銃30を用いた集束イオンビーム装置においては、荷電粒子銃30のレンズ光軸が対物レンズ8の中心と対物アパーチャ3の中心で作る軸に対して少しでもずれがある場合、加速電圧が1kVの場合(低加速の場合)にクロスオーバになると、荷電粒子銃30の発散点付近においてイオンビーム9が対物アパーチャ3から外れてしまい通過できない。しかし、クロスオーバが対物アパーチャ3の上流側に出来る場合は、クロスオーバが光源となりイオンビーム9が対物アパーチャ3を通るようになる。クロスオーバが対物アパーチャの上流側に位置するようにするには、荷電粒子銃30の発散点(すなわち、イオンビーム9がクロスオーバ状態に変わる点)を変える方法がある。
荷電粒子銃30における発散点を変える方法としては、例えば次の3つがある。第1の方法は引出電圧Veを変える方法、第2の方法はLMIS1と引出電極13の距離hを変える方法、第3の方法は引出電極13とアース電極15の距離(間隔)を変える方法である。このうち、第1の方法と第2の方法は集束イオンビーム(荷電粒子銃30)を調整するだけで対応できるが、第3の方法は荷電粒子銃30のレンズ性能が変化してしまう。
LMIS1と引出電極13の距離hを短くした場合は、加速電圧Vaが2kV以上のときに荷電粒子銃30の像倍率が小さくなりビーム電流が減少するため得策でない。逆に、LMIS1と引出電極13の距離hを長くして、加速電圧Vaが1kVのときにイオンビーム9がクロスオーバとなる状態でとする方が加速電圧Va≧2kVの場合においても良い。一方、LMIS1と引出電極13の距離hを離すことによって引出電圧Veが高くなり、その影響でビーム電流が減少する。
そこで、荷電粒子銃30のレンズ(バイポテンシャルレンズ)の特性によるビーム電流の増減について検討する。
前述の図9において、倍率M、角度倍率Mα、主面位置Hi,Ho、焦点距離Fi,Fo、結像点a,bとすると下記の式19〜式22が得られる。
Figure 2010102938
Figure 2010102938
Figure 2010102938
Figure 2010102938
荷電粒子銃30のレンズ(バイポテンシャルレンズ)において、引出電極13の位置を基準としたLMIS1の位置をso、結像点aをLMIS1の位置soを用いてa=Ho−(−so)、物点側の焦点位置をfoとすると下記の式23及び式24が得られる。
Figure 2010102938
Figure 2010102938
(∵Dap/2=a*αg+(Lap+Hi)*αg*Mα)
なお、上記の式24に用いたDapは対物アパーチャ(可変絞り)3の大きさ(アパーチャ径)であり、Lapは引出電極13と可変絞り3までの距離である(図7参照)。
上記の式24で示したαgは、コンデンサレンズ2が動作しない場合の純粋な荷電粒子銃30の特性である。また、αgは対物アパーチャ3の大きさDapにより制限されるビームのLMIS1での開き角であり、ビーム電流に相当する。
図14は、ρ^2(=Va/Ve)に対するMα、Mg、αg/Dapの関係を示す図である。
なお、バイポテンシャルレンズの発散点は、引出電極13の位置を基準としたLMIS1の位置so、及び引出電極13とアース電極15の電極間距離Loの影響を受けるので、図14に示した関係は、Lo=8mm(一定)として、so=3,4,5mmの場合における場合の関係を示した。なお、計算では、引出電圧Veと引出電極13とLMIS1の距離hが独立である。
LMIS1のレンズ特性(図14参照)から引出電極13とLMIS1の距離hが変わるとρに対するレンズ特性が変わることがわかる。
図14において、Δh<0の場合、ρ^2>1のときαgは減少する。また、ρ^2<1のときはρが発散点より大きいとαgは増加するが、発散点より小さいとαgは減少する。
Δh>0の場合で、かつ、仮想光源を作る状態ではΔh>0によって光源が焦点に近づき、これにつれてαgは増加する。
また、Δh>0の場合で、かつ、クロスオーバを作る状態ではΔh>0によって光源が焦点から遠ざかる。ビーム制限アパーチャ(制限絞り)14の下流側にクロスオーバができる状態では、光源が焦点から遠ざかるにつれてαgが増加するが、ビーム制限アパーチャ(制限絞り)14の上流側にクロスオーバができる状態では、光源が焦点から遠ざかるにつれてαgが減少する。
(4)荷電粒子銃130
ここで、荷電粒子銃30における引出電極13の上流側の面とビーム制限絞り14の距離Laを調整可能とした荷電粒子銃130を考える。
図15は、荷電粒子銃130のLMIS1の周辺を拡大して示す図である。図中、図2及び図3に示した荷電粒子銃30と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
図15において荷電粒子銃130は、荷電粒子源(LMIS)1と、LMIS1との距離を固定された第1引出電極131と、第1引出電極131のLMIS1と反対側に配置され、第1引出電極131との距離を調整可能に設けられた第2引出電極132と、第2引出電極132の第1引出電極131と反対側に配置され、第2引出電極132との距離を固定された加速電極15と、第1引出電極131と第2引出電極132を電気的に接続して同電位とする伸縮可能な接続子27とを備えている。
第1引出電極131の外周部は、LMIS1側(上流側)に、LMISホルダ23を囲むように延びる保持部を有している。
LMIS1は、LMISホルダ23に保持されており、このLMISホルダ23はイオン源碍子20を介して筒状部材19に固定されている(図2参照)。第1引出電極131は、絶縁碍子22を介してLMISホルダ23の保持部に保持されている。これにより、LMIS1は第1引出電極131に対して固定されている。
第2引出電極132とアース電極15は、それぞれ、絶縁碍子26等を介して支持部材25(図2参照)に固定されており、第2引出電極132とアース電極15の位置関係は固定された状態となっている。また、第2引出電極132は電圧端子24を有しており(図2参照)、その電圧端子24を介して引出電圧が印加される。
LMISホルダ23(LMIS1)は、荷電粒子銃30と同様の構成により駆動可能に支持されており、したがって、LMIS1と第1引出電極131は、第2引出電極132及びアース電極15に対して一体的に駆動される。
接続子27は、第2引出電極132に対して第1引出電極131が相対的に移動する範囲内において、第1引出電極と第2引出電極を電気的に接続したままの移動を許容できる伸縮性、或いは長さを有すれば良く、例えば、導電性の素材からなる板ばねやスプリング、移動を許容できる長さを有する伝導線などである。接続子27により、第1引出電極131と第2引出電極132を接続して同電位とすることにより、第1引出電極131と第2引出電極132の間の空間は等電位空間となる。
その他の構成については荷電粒子銃30と同様である。
(4−1)荷電粒子銃130の動作原理
荷電粒子銃130において、LMIS1の高さ(ビーム制限絞りからLMIS1までの距離)Zoを変えると、LMIS1は第1引出電極131と一体となって移動するので、LMIS1と第1引出電極131の距離hは変わらない。したがって、上記の式18示したように閾値電圧Vocが変化せず、ρ^2=Va/Veの値も変化しない。また、第2引出電極132とアース電極15の距離Loも変化せず、したがって、荷電粒子銃130のレンズ作用(バイポテンシャルレンズ)の焦点距離は変化しない。
LMIS1の高さZoを変えると、第1引出電極131と第2引出電極132の距離Laが変化する。この第1引出電極131と第2引出電極132は接続子27によって接続され等電位であるので、2つの引出電極131,132の間の空間は等電位空間であり、電解が0であるため、この空間においては荷電粒子は等速運動を行う。
LMIS1の高さZoが大きくなると2つの引出電極131,132の間の等電位空間(ドリフト空間)の距離Laが大きくなるので、物点(LMIS1)の像点が変わり、荷電粒子銃130の倍率が変化するので、ビーム電流の量が変化する。すなわち、LMIS1の高さZoを変えてもρ、及び荷電粒子銃130のレンズ(バイポテンシャルレンズ)の焦点fが変わらず、荷電粒子銃130の倍率Mのみが変化し、これによってビーム電流が変化する。
加速電圧Vaが40kVでLMIS1の高さZoを変えて高くするということは、LMIS1を荷電粒子銃130のレンズの焦点fに近づけることに相当する。上記の式23から倍率Mがより大きくなることがわかり、像点の仮想光源が発散に近づくことがわかる。このため、対物アパーチャ3に照射されるビームの電流密度が高くなりビーム電流が増加する。
また、加速電圧1kVでは、荷電粒子銃130のレンズ作用がとても強く焦点fが短くなっているのでLMIS1の高さZoを変えて高くすることは、LMIS1を焦点fから離すことに相当する。上記の式23から倍率Mがより小さくなることがわかり、像点のクロスオーバがLMIS1側に寄ってくることがわかる。このため、対物アパーチャ3より下流にあるクロスオーバを、対物アパーチャ3の上流側に移動させビームを通すことができる。対物アパーチャ3を通った直後のビーム電流は対物アパーチャ3による制限が無いので非常に多いが、更にLMIS1の高さZoを大きくするとビーム電流は減少する。
さらに、引出電圧Veを変化させることなく(ΔVe=0)、LMIS1と第2引出電極132の距離Zoのみを変化させることができるので、加速電圧Vaが40kV〜2kVまでは、LMIS1の位置を上流側に移動したとしても引出電圧Veはほぼ変わらず(ΔVe≒0)、光源が焦点に近くなるため倍率Mを増加してビーム電流を増加することができる。
引出電圧Ve、LMIS1の高さhを変化させた場合のビーム電流の変化を整理して図16に示す。
図16は、各加速電圧Vaにおいて、引出電圧Veを小さくした場合(ΔVe<0)のビーム電流と引出電圧Veを大きくした場合(ΔVe>0)のビーム電流の大小関係を示したものであり、また、各加速電圧Vaにおいて、LMIS1の高さh(以下、高さhと記載する)を低くした場合(Δh<0)のビーム電流と高さhを高くした場合(Δh>0)のビーム電流の大小関係を示したものである。
加速電圧40kVでは、Lap、または、(Lap−lap)の距離を短くする他に、第1引出電極131と第2引出電極間132の距離を長くすると加速電圧Vaが25kV以上のイオンビームに対して更にビーム電流密度を高くできる。
また、荷電粒子銃130では、引出電圧Ve=7kVのままLMIS1の高さZoを高くすることができるので光源としてのクロスオーバを対物アパーチャ3より上流側に移動して対物アパーチャ3で遮らないように、すなわち、ビームが通るように調整できる。また、加速電圧40kVでは、荷電粒子銃130の倍率が増加しビーム電流が増えるので、このビーム電流が増えた分、引出電圧Veを高く設定でき、したがって、引出電圧Ve=7.5kVでも低加速と大電流・高電流密度を両立した集束イオンビーム装置とすることができる。
以上のように構成した荷電粒子銃130においては、引出電極(第1引出電極131)とLMIS1の位置関係(距離h)を変えずにLMIS1の位置を変えられる。つまり、LMIS1と第1引出電極131を一体的に移動する。これにより、LMIS1と引出電極(第2引出電極132)の距離Zoが変わるが、LMIS1にかかる電界強度が変化しないので引出電圧Veの変化を抑制する。また、上記の式18において、高さ(距離)hが変化しないので閾値電圧Vocが変化せず、したがって、ρ^2=Va/Veも変化しない(ただし、引出電圧Ve≒閾値電圧Voc)。
(4−3)荷電粒子銃30,130の各部設定の最適化
荷電粒子銃30,130において、加速電圧1kVで光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流にして絞りで遮らないような各部の設定条件(以下、最適設定条件と称する)が求められれば、ビーム電流の低下を抑制しつつ荷電粒子の加速電圧Vaを下げることができる。
荷電粒子銃30は、LMIS1、引出電極13、及びアース電極15を備えており、LMIS1と引出電極13の上流側の面の距離hは変数値、引出電極13とアース電極15の距離Lo、及び引出電極13の上流側の面とビーム制限絞り14の距離Laは固定値である。
また、荷電粒子銃130は、LMIS1と第1引出電極131、第1引出電極131と同電位の第2引出電極132(ビーム制限絞り14)、及びアース電極15で構成されている。ここで、第1引出電極131と第2引出電極132の距離La、第2引出電極とアース電極15の距離Lo、LMIS1と第1引出電極の距離h≒0として、加速電圧1kVで光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流にして絞りで遮らないような各部の設定条件を求め、荷電粒子銃30の引出電極13の上流側の面とビーム制限絞り14の距離Laを荷電粒子銃130の第1引出電極131と第2引出電極132距離Laと同じに構成すれば、荷電粒子銃30においても荷電粒子銃130と同様に最適設定条件とすることができる。すなわち、La/Loの設定を最適化し、加速電圧1kVで光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流にして絞りで遮らないようにする。
荷電粒子銃30,130において、計算で求めた最適設定条件を適用した場合の結果を図17に示す。
FIB装置で使われるニードルタイプのGa LMISの場合、Veは、5kV〜8kVである。
加速電圧が40kVから1kVまで変化すると、ρ^2=Va/Veの範囲は、0.125〜8をとる。
図17においては、荷電粒子銃130における引出電極131と引出電極132の距離Laを4mm〜6mm、第2引出電極131とアース電極15の距離Loを8mm、LMIS1と引出電極131の距離hは0とし、荷電粒子銃はLa/Loの比が同じであれば同じ特性を示すので、La/Loを0.5〜0.75の範囲で変化させた場合について、加速電圧Va=1kVとしたときの発散点のρ^2および対物アパーチャ3の上流側に光源のクロスオーバが位置するときのρ^2の閾値と、加速電圧Va=40kVとしたときの発散点のρ^2を示す。図17の横軸はLa/Lo、右側の縦軸は加速電圧1kVのρ^2=Va/Ve、左側の縦軸は加速電圧40kVのρ^2=Va/Veを示している。
図17からLa/Lo=0.75では、加速電圧Va=40kVでρ^2=8のとき発散点付近になるので、ρ^2<8、例えば、ρ^2=5、Ve=8kVで使えば発散の影響を避けられる。また、加速電圧Va=1kVでは、光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流側にするには、ρ<0.16であるから、Ve>6kVとなり、かつ、LMISの閾値電圧Vocの範囲から6kV<Ve<8kVにする。
一方、La/Lo=0.5では、加速電圧Va=1kVでρ^2<0.135、かつ、LMISの閾値Vocの範囲Ve<8kVから、ρ^2=0.125から0.135の範囲で光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流側にすることができる。つまり、Ve=7.4kV〜8kVにおいて光源のクロスオーバを対物アパーチャより上流側にすることができる。
また、加速電圧Va=40kVでは、ρ^2=11.5のとき発散点付近になるので、ρ^2<11.5、例えば、ρ^2<8、Ve>5kVで使えば発散の影響が避けられる。同時に、加速電圧1kVでは、Ve=5kV、ρ^2=0.2であるから発散点から離れ、かつ、光源のクロスオーバをつくらないので対物アパーチャ3に遮られることなくビームが通る。
したがって、荷電粒子銃30,130において、La/Lo=0.5〜0.75となるように設定し、LMISの閾値電圧Vocの範囲5kVから8kVにわたって、加速電圧Va=40kV〜1kVまでメカ的調整をしないでビームを得ることができる。
図17からLa/Lo=0.5〜0.75となるように設定し、LMISの閾値電圧Vocの範囲5kVから8kVにわたって加速電圧Va=40kV〜1kVまでメカ的調整を必用としないでビームを得ることができる。この条件であれば加速電圧1kVでは荷電粒子銃30,130のレンズ作用で光源のクロスオーバが対物アパーチャ3より上流側になる。
図18及び図19は、コンデンサレンズ2の印加電圧を0とし、対物レンズのみでWD=5.6mmの試料上にイオンビーム9を合焦させる対物レンズ電圧を加速電圧Vaを変えて調べた結果を示す図である。図18及び図19において、対物レンズ電圧は、加速電圧Va=40kV〜2kVまではほぼ比例する。すなわち加速電圧Vaと対物レンズ電圧の比がほぼ一定であり、Vobj≒0.7×Vaの関係を示している。しかし、加速電圧1kVにおいては、加速電圧Vaと対物レンズ電圧の比が加速電圧Va=40kV〜2kVから予測される対物レンズ電圧よりも高くなり、Vobj≒735(V)>0.7×Va(=1kV)+10(V)となっている。これは、加速電圧Va=40kV〜2kVにおいては荷電粒子銃30,130のレンズ作用が弱く対物レンズ8の合焦(対物レンズ8がイオンビーム9を合焦させる電圧)に与える影響がほぼ無いが、加速電圧Va=1kVにおいては、La/Loを調整して荷電粒子銃30,130のレンズ作用で光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流側になるように構成することにより、光源(クロスオーバ)の位置が対物アパーチャ3の近くになるため、対物レンズ8によりイオンビーム9を試料上に合焦させるためにそのレンズ作用を強くする必要があり、対物レンズ電圧が高くなるためである。
WDが更に大きくなると、光源と対物レンズの距離をaとして、また、加速電圧40kVから2kVまでの光源の位置と加速電圧1kVの(光源)クロスオーバ位置の違いをΔaとして、加速電圧1kVの対物レンズの焦点距離の変化Δfobj≒(fobj/a)^2・Δa、Δa=constの関係から、対物レンズの焦点距離fobjが大きい方がΔfobjが大きくなり、加速電圧Va=1kVの加速電圧と対物レンズ電圧の比(≒0.7)に余分に加える電圧が更に大きくなる。
例えば、加速電圧Va=40kVで対物レンズ電圧が28kVとしたとき(加速電圧Vaと対物レンズ電圧の比=28kV/40kV=0.7)、加速電圧Va=2kVにすると対物レンズ電圧が1.4kVとなる(加速電圧Vaと対物レンズ電圧の比=1.4kV/2kV=0.7)が、さらに加速電圧Va=1kVとすると対物レンズ電圧は0.7kVよりも10V〜50V高い電圧(図18では31V高い電圧)になる。
加速電圧Vaと対物レンズ電圧の関係が図18及び図19に示した関係となるように荷電粒子銃30,130を構成する。このように構成した荷電粒子銃30,130を用いた集束イオンビーム装置においては、加速電圧Va=40kV〜1kVにおいてメカ的調整を必要としないでビームを得ることができ、加速電圧Va=1kVでは荷電粒子銃30,130のレンズ作用で光源のクロスオーバが対物アパーチャ3より上流側になる。
引出電圧Ve=7kVでもLa/Lo>0.6(La>4.8mm)にすれば、加速電圧Va=1kVで光源のクロスオーバを対物アパーチャ3より上流側にして絞りで遮らないように集束イオンビーム装置を構成できる。このとき加速電圧Va=40kVでは、荷電粒子銃30の倍率Mが増加するのでビーム電流が増える。LMIS1の高さhを調整できる構造なのでビーム電流が増えた分、LMIS1の高さhを調整してVeを最適化、例えばVe=7.5kVに変えることができる。Ve=7.5kVとすることによって、ビーム電流の増加を相殺させた形になるが、ビームが絞れるので電流密度と分解能が向上した集束イオンビーム装置を構成できる。
(5)本実施の形態の効果
以上のように構成した本実施の形態においては、加速電圧Ve=40kV〜1kVにおいてメカ的調整を必要としないでビーム電流を得ることができ、したがって、荷電粒子ビームによる加工精度、及び加工効率の低下を抑制しつつ、荷電粒子の加速電圧を下げることができる。
本実施の形態の荷電粒子線装置を示す部分断面図である。 本実施の形体に係わる荷電粒子銃の構成を示す図である。 本実施の形体に係わる荷電粒子銃の構成を示す図である。 ユニポテンシャルレンズの減速モード、及び加速モードにおける集束作用を示す図である。 荷電粒子銃におけるイオンビームの集束作用を示す図である。 Ve/Vaと荷電粒子銃の仮想光源の位置の関係を示す図である。 荷電粒子線装置を構成する部材の位置関係を示す図である。 ビーム電流とビーム径の関係を示す図である。 バイポテンシャルレンズの結像関係を説明する図である。 Va/Veと荷電粒子銃の結像点の関係を示す図である。 引出電圧とVa/Veの関係を示す図である。 荷電粒子線装置の全体構成を簡略化して示す図である。 ρ^2に対するイオンビームの状態を示す図である。 ρ^2と角度倍率、ビーム開き角の関係を示す図である。 本実施の形態に係わる荷電粒子銃の構成を示す図である。 引出電圧、及びイオン源の高さを変化させた場合のビーム電流の変化を示す図である。 La/Loに対する発散時のρ^2の関係を示す図である。 加速電圧と対物レンズ電圧の関係を示す図である。 加速電圧と対物レンズ電圧の関係を示す図である。
符号の説明
1 荷電粒子源
2 コンデンサレンズ
3 対物アパーチャ
4 アライナー・スティグマ
5 ブランカー
6 ブランキングプレート
7 ビーム操作器
8 対物レンズ
9 イオンビーム
10 試料
11 試料ステージ
12 検出器
13 引出電極
14 ビーム制限アパーチャ
15 アース電極
18 ネジ付きリング状円盤
19 ネジ付き筒
20 イオン源碍子
21 ベローズ
22、25 支持部材
23 LMISホルダ
24 電圧端子
26 碍子
81 入射側電極
82 中間電極
83 出射側電極

Claims (14)

  1. 荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から荷電粒子を引出す引出電極と、
    前記引出電極の前記荷電粒子源と反対側に設けられた加速電極と、
    前記引出電極の前記加速電極側の面に設けられ、前記引出電極と同電位のビーム制限絞りと、
    前記加速電極の前記荷電粒子の流れにおける下流側に設けられ、前記荷電粒子を静電的に収束する静電レンズと、
    前記静電レンズの下流側に設けられ、前記荷電粒子を静電的に収束し、試料ステージに載置された照射対象試料に照射する対物レンズと、
    前記静電レンズと前記対物レンズの間に設けられ、前記荷電粒子の量を制限する対物ビーム制限絞りとを備えた荷電粒子線装置であって、
    前記荷電粒子源と前記引出電極の間に印加される電圧が5(kV)〜8(kV)、前記静電レンズの印加電圧を0(kV)とした場合に、前記対物レンズによって前記荷電粒子を前記試料に合焦する場合の前記加速電極の印加電圧Va及び前記対物レンズの印加電圧Vobjの条件が、Va≧2(kV)の場合には、VobjとVaの関係を示す定数をAとしてVobj≒A×Vaであり、かつ、Va=1(kV)の場合には、Vobj>A×Va+10(V)であるように、前記引出電極の上流側の面と前記ビーム制限絞りの距離を構成したことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から荷電粒子を引出す引出電極と、
    前記引出電極の前記荷電粒子源と反対側に設けられた加速電極と、
    前記引出電極の前記加速電極側の面に設けられ、前記引出電極と同電位のビーム制限絞りと、
    前記加速電極の前記荷電粒子の流れにおける下流側に設けられ、前記荷電粒子を静電的に集束する静電レンズと、
    前記静電レンズの下流側に設けられ、前記荷電粒子を静電的に集束し、試料ステージに載置された照射対象試料に照射する対物レンズと、
    前記静電レンズと前記対物レンズの間に設けられ、前記荷電粒子の量を制限する対物ビーム制限絞りとを備えた荷電粒子線装置であって、
    前記荷電粒子源と前記引出電極の間に印加される電圧が5(kV)〜8(kV)である場合に、前記引出電極の上流面と前記ビーム制限絞りとの距離Laと、前記ビーム制限絞りと前記加速電極との距離Loとの比を0.5≦La/Lo≦0.75としたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記引出電極の上流側の面と前記ビーム制限絞りの距離に対応して前記引出電極に対する前記荷電粒子源の高さを調整する高さ調整機構を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子源はイオン源であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    最大加速電圧Vamax(kV)と最大ビーム電流Ibmax(nA)の比がIbmax/Vamax≧1であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記引出電極の上流面と前記ビーム制限絞りとの距離Laと、前記ビーム制限絞りと前記加速電極との距離Loとの比を0.5≦La/Lo≦0.75としたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記引出電極は、
    前記荷電粒子源との距離を固定された第1引出電極と、
    前記第1引出電極の前記荷電粒子源と反対側に配置され、前記第1引出電極との距離を調整可能に設けられると共に前記加速電極との距離を固定された第2引出電極とを備え、
    前記第1引出電極と前記第2引出電極を同電位としたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項7記載の荷電粒子線装置において、
    前記第1引出電極と前記第2引出電極を電気的に接続して同電位とする伸縮可能な接続子を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項7記載の荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子源は、ガリウム液体金属イオン源であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項9記載の荷電粒子線装置において、
    前記第2引出電極とアース電極の間隔が6mm〜8mmで、かつ、前記第1引出電極と前記第2引出電極の間隔が5mm以上であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項2記載の荷電粒子線装置において、
    前記引出電極は、
    前記荷電粒子源との距離を固定された第1引出電極と、
    前記第1引出電極の前記荷電粒子源と反対側に配置され、前記第1引出電極との距離を調整可能に設けられると共に前記加速電極との距離を固定された第2引出電極とを備え、
    前記第1引出電極と前記第2引出電極を同電位としたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項11記載の荷電粒子線装置において、
    前記第1引出電極と前記第2引出電極を電気的に接続して同電位とする伸縮可能な接続子を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 請求項11記載の荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子源は、ガリウム液体金属イオン源であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 請求項13記載の荷電粒子線装置において、
    前記第2引出電極とアース電極の間隔が6mm〜8mmで、かつ、前記第1引出電極と前記第2引出電極の間隔が5mm以上であることを特徴とする荷電粒子線装置。
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