JP2010101316A - 圧力センサを用いた失速検出 - Google Patents
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Abstract
【課題】揚力を生ぜしめるために適切な効率を有する翼のためのピッチ角を提供することである。
【解決手段】翼(100)が、翼表面(101)と、失速の検出のために使用される圧力値を提供するための圧力計装置(102)とを有している。圧力計装置(102)は、翼表面(101)に沿って流れる流体(104)の圧力を圧力計装置(102)によって測定可能なように、翼表面(101)に設置されている。
【選択図】図1
【解決手段】翼(100)が、翼表面(101)と、失速の検出のために使用される圧力値を提供するための圧力計装置(102)とを有している。圧力計装置(102)は、翼表面(101)に沿って流れる流体(104)の圧力を圧力計装置(102)によって測定可能なように、翼表面(101)に設置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、風力タービンの分野に関する。さらに本発明は、風力タービンに用いられる翼と、少なくとも1つの翼を有する風力タービン装置とに関する。さらに本発明は、風力タービンに用いられる翼から失速を検出するための方法に関する。
風力タービンにおいて、風力タービン翼(wind turbine blade)は最適なピッチストラテジのために調整される。すなわち、風力タービン翼は、翼における揚力と抗力との間の最適な関係を規定するために設計され調整されている。
風力タービン翼は、前縁と後縁とを有する翼断面形状を提供している。前縁は、空気のような流体が風力タービン翼に衝突して流れる前方のよどみ点を有している。この前方のよどみ点から流れが分割されて、流れの第1の部分は一方の翼表面を流れ、流れの別の部分は風力タービン翼の別の翼表面を流れる。これらの翼表面に沿った流れの互いに異なる速度と圧力とによって、両翼表面の間で圧力差が生ぜしめられる。したがって高圧側から低圧側へと翼を押し進める揚力が発生させられる。したがって低圧側は「負圧面」と呼ばれ、高圧側は「圧力面」と呼ばれてよい。
翼の翼表面における前方のよどみ点の位置は、ピッチ角、または流体の迎角αに依存する。翼の翼弦線(つまり、翼断面形状の中心線)と、翼と流体との間の相対的な動きを表すベクトル、すなわち流体の流れ方向との間の角度は、「迎角」と呼ばれてよい。「ピッチ角」は、翼の翼弦線と、理論的に予め規定されたロータ回転面または零ロータ回転面との間の角度を規定することができる。迎角、もしくは流体の流れの流れ方向に対する翼のピッチの増大は、揚力を増大し得るが、翼の負圧面に沿った流体の流れの失速をも生ぜしめる恐れがある。したがって、負圧面に沿った流体の流れの失速が起こると、流体の流れはもはや付着されずに剥離されて、したがって揚力が減衰する。
本発明の課題は、揚力を生ぜしめるために適切な効率を有する翼のためのピッチ角を提供することである。
この課題は、独立請求項に記載の要旨により解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。特に、上記の課題を達成するために、独立請求項による風力タービンに用いられる翼と、少なくとも1つの翼を有する風力タービンと、風力タービンに用いられる翼から失速を検出するための方法とが提供される。
本発明の1つの実施例によれば、風力タービンに用いられる翼が提供される。この翼は、翼表面と、失速検出に用いられる圧力値を提供するための圧力計装置とを有している。圧力計装置は、翼表面に沿って流れる流体の圧力が当該圧力計装置によって測定可能であるように、翼表面に設置される。
本発明の別の実施例によれば、少なくとも1つの上述の翼を有する風力タービン装置が記載されている。
本発明のさらに別の実施例では、風力タービンに用いられる翼から失速を検出する方法が提供されている。翼の翼表面に沿って流れる流体の圧力は、翼表面に設置された圧力計装置を用いて測定される。
「翼」という用語は、風力タービンの翼を示すことができ、この場合、翼は、流体または流体の流れにさらされてよい。翼は、一方の側で湾曲した翼表面を有し、他方の側で別の湾曲した翼表面を有する翼形状を有していてよい。流体は、これらの翼表面に沿って流れることができる。翼表面の湾曲した形状の互いに異なる曲率により、これらの形状を流体にさらすことによって揚力が提供され得る。
「圧力計装置」という用語は、翼、特に翼の翼表面における流体圧力を測定するための装置を示すことができる。圧力計装置は、たとえばピエゾ圧力センサ、差圧センサ、プラントル形ピトー管センサまたは翼表面で流体圧力を測定する別の装置を有していてよい。
「迎角」という用語は、翼の翼弦線と、翼と流体方向との間の相対的な動きを表すベクトルとの間の角度を示すことができる。迎角は、翼の翼弦線が指す方向と、流体の流れ方向との間の角度として示されてよい。翼の揚力係数は、迎角に直接に関係する。迎角の増大は、揚力係数が最大揚力係数にまで増大することに関連する。最大揚力係数にまで増大した後、揚力係数は再び減少する。翼の迎角が増すと、翼の一方の表面からの流体の剥離は益々顕著になり、揚力係数の増加率の低下に繋がる。迎角の臨界角において流体の失速が生じる。
「ピッチ角」という用語が、翼の翼弦線とロータ回転面との間で測定された角度を示すことができるのに対して、「迎角」は、翼と大気または流体との間の相対的な動きに対して測定されてよい。ピッチ角は、翼の翼弦線と、予め規定された翼のゼロ位置、たとえば所定のロータ回転面との間の角度を規定することができる。
従来の風力タービンでは、ピッチ制御計画は通常、所定の特定の流入状態における清浄なロータ翼を前提としている。したがって、従来の風力タービンでは、翼のピッチ角または迎角は、たとえば乱流、汚れ、水または氷のような環境状態または影響に適合されていない。タービンの翼表面においてこのような環境状態が発生すると、流体は翼表面から偶発的に剥離する恐れがある。
本発明の要旨により、圧力計装置は、風力タービン翼の表面で流体圧力を測定することができる。したがって、翼表面に沿った流体の失速が起こると、流体の圧力降下または圧力上昇が圧力計装置により測定され得る。すなわち、流体の散漫な圧力降下または圧力上昇が検出された場合、このことは翼表面に沿った流体の失速の徴候であり得る。したがって、流体の圧力と、ひいては翼の翼表面に沿った流体の、起こり得る失速を測定する可能性を有していることにより、翼表面に沿った流体の付着流を提供または維持するために翼のピッチ角を調整することができるので、失速を阻止することができる。
言い換えれば、翼表面に沿って流れる流体の圧力を測定することにより、乱流、汚れ、水および氷のような環境状態による偶発的な失速を防ぐことができ、翼の性能の低下を回避することができる。言い換えれば、風力タービン翼の従来のピッチ制御が、一般的に、清浄なロータ翼を前提とする理論的な計算に依存しているのに対して、本発明では、環境状態を考慮した翼の調整を提供することができ、したがって風力タービン翼の高い揚抗比が保証され、改善され得る。
本発明の別の実施例によれば、翼は、付加的な圧力計装置を有している。付加的な圧力計装置は、風力タービン翼の翼表面に沿って流れる流体の付加的な圧力が、この圧力計装置によって測定可能なように、翼表面に設置されている。したがって、個別の圧力値が、翼表面の広い領域に沿って測定され得るので、翼表面に沿った失速、または翼表面の1つの個別の点だけにおける失速を検出するために意義のある測定が提供され得る。したがって翼の運転モードの状態の不良測定の数が減じられ得る。
さらに別の実施例によれば、特定の翼表面は、翼の負圧面である。すなわち、圧力計装置が翼の負圧面に設置されていると、測定の質を改善することができる。なぜならば、通常、翼の失速は、大体の場合、低圧の領域内、つまりそれぞれの翼もしくは形状の負圧面において発生するからである。したがって、失速を測定するための可能性が高められ得る。
本発明のさらに別の実施例によれば、翼は、流体の流れ方向で、増厚を伴う第1の部分と、減厚を伴う第2の部分とを有している。圧力計装置および/または付加的な圧力計装置は、減厚する部分に設置されている。後方のよどみ点は、大体の場合、後縁の近傍、つまり第2の部分の周辺で発生する。したがって、圧力計装置が第2の部分に設置されていると、よどみ点の測定の可能性が改善され得る。
本発明のさらに別の実施例によれば、圧力計装置および付加的な圧力計装置は、流体の流れ方向に沿って一列に配置されている。流体の流れ方向は、前縁の領域内の前方の第1のよどみ点から翼の後縁に向けられていてよい。流体は、前方のよどみ点により、負圧面に沿って流れる部分と、翼の圧力面に沿って流れる別の部分とに分割される。圧力計装置と付加的な圧力計装置とが負圧面に沿って一列に配置されていると、翼の失速の改善された測定が提供され得る。付着流、つまり翼表面に対して平行な流れから、剥離流、つまり流体の流れがもはや付着しておらず、翼表面に対して平行ではない流れに流体の構造が変化すると、失速が生じる。
流体が付着流から剥離流へと変化する点は、後方のよどみ点で生じてよい。圧力計装置と付加的な圧力計装置とを流体の流れ方向に沿って配置することにより、後方のよどみ点の手前の上流側の位置にある圧力計装置が、付着流を示す定常の圧力を検出することができ、後方のよどみ点に対して下流側の位置に配置された付加的な圧力計装置は、剥離した流体の圧力を測定することができ、したがって、たとえば、(付着流を伴う負圧面の部分に対して)より高い圧力を測定することができる。したがって、圧力計装置と付加的な圧力計装置とにより測定された2つの圧力値の比較により、流体の失速の検出が提供され得る。さらに、両圧力計装置の位置が判っているので、後方のよどみ点の位置も測定され得る。すなわち、後方のよどみ点は、高い圧力差に基づいて両圧力計装置の間に位置しているか、流体の測定された高い圧力に基づいてこれらの圧力計装置の上流側の位置に位置しているか、または流体の測定された低い圧力に基づいて、これらの圧力計装置の下流側の位置に位置していてよい。後方のよどみ点の位置が判かっている場合、翼ピッチ、つまりピッチ角の改善された調整を提供することができる。
本発明のさらに別の実施例によれば、翼は、長手方向に延びている。圧力計装置と別の圧力計装置とは、翼の長手方向に沿って配置されている。
「長手方向」という用語は、翼の翼幅、特に、風力タービンとの接続点を起点とした翼の先端までの翼の延びを規定してよい。
翼の長手方向に沿って圧力計装置および付加的な圧力計装置を分配することにより、不良測定が減じられ得る。翼表面の長手方向に沿って複数の位置で測定することにより、翼上の小さな領域だけで発生した不良測定が、翼のピッチ角の不良調整を生ぜしめなくなる。たとえば、流れを妨げる汚れ粒子が、翼の長手方向に沿った小さな領域だけに位置しており、失速がこの小さな領域だけで測定された場合、この小さな失速領域に基づいてピッチ角を調整することは、減じられた効率に繋がる。言い換えれば、翼の(全体的な)長手方向に沿った圧力測定に基づいて、延在方向に沿った翼の、全翼表面に沿った流体の流れパターンを測定することができ、ピッチ角または平均的な流体の流れパターンに対する迎角の改善された調整が提供される。
さらに別の実施例では、翼が複数の圧力計装置を有している、すなわち、複数の圧力計装置と、複数の別の圧力計装置とが提供され得る。複数の圧力計装置を使用することにより、流体のより詳細な流れパターンを提供することができ、翼ピッチ、すなわちピッチ角の改善された調整が提供され得る。
本発明のさらに別の実施例では、風力タービン装置が、さらに、少なくとも1つの翼に割り当てられた制御ユニットを有している。この制御ユニットは、翼表面で測定された流体の圧力に応じて、少なくとも1つの翼のピッチ角を制御する。したがって、風力タービンの翼が制御ユニットによって調整され得るので、各個別の翼は、流体圧力を測定された流体の流体方向に対して、したがって流体の流体方向に対して調整され得る。制御ユニットは、翼の各個別の圧力計装置により測定された圧力値を考慮することができるので、各個別の翼は、制御ユニットにより、それぞれの翼において個別に測定された圧力または失速に関連して調整され得る。たとえば、流体の、翼表面の特定の位置に沿った失速を示し得る低い圧力または高い圧力が測定されると、制御ユニットは、失速が阻止されるように迎角またはピッチ角を変更することができる。言い換えれば、制御ユニットは、翼表面に沿った流れの剥離を、翼表面に沿った付着流に変換することができるように迎角またはピッチ角を調整することができる。したがって、風力タービン全体の全体的な効率が改善され得る。
翼の迎角またはピッチ角の他に、制御ユニットは、翼の調整および効率を改善させるために、顎部の角度(Jaw angle)および/または翼のロール角を制御してよい。
本発明の各実施例が種々の要旨に即して記載されていることに留意されたい。特に、いくつかの実施例は装置発明の請求項に関するのに対し、いくつかの実施例は方法発明の請求項に関して記載されている。しかしながら当分野の技術者であれば、上記および下記の説明から、特にことわりのない限り、1つの要旨に属する特徴の組合せに加え、異なる要旨に関する特徴の組合せ、特に装置発明に属する特徴と方法発明に属する特徴の組合せが本出願に開示されているものとして考慮されていることが判るであろう。
本発明の上記の態様および別の実施形態は以下の実施例から明らかにされ、実施例に関連して説明される。
以下に本発明を実施例につき詳しく説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
詳細な説明
図面に描かれた図は概略的である。異なる図において、類似または同一のエレメントには、おなじ符号または参照記号を付与されていることに留意されたい。これらの参照記号は、対応する参照記号と上1桁でのみ異なっている。
図面に描かれた図は概略的である。異なる図において、類似または同一のエレメントには、おなじ符号または参照記号を付与されていることに留意されたい。これらの参照記号は、対応する参照記号と上1桁でのみ異なっている。
図1は、風力タービン400の翼100を示している。翼100は、翼表面101と、失速検出のために使用される圧力値を提供するための圧力計装置102とを有している。圧力計装置102は、翼表面101に沿って流れる流体104の圧力が圧力計装置102によって測定可能であるように、翼表面101に以下のように設置されている。
翼表面101に沿って流れる流体104の圧力を測定することにより、表面に沿って流れる流体の失速された領域または流体104の剥離流の領域が検出され得る。したがって、翼表面101からの流体104の失速が測定され得る。流体104の失速は、たとえば、乱流、汚れの蓄積、水および/または氷のような環境状態により起こり得る。
図1はさらに、翼区分100の典型的な翼断面形状を示している。翼100は、前縁108および後縁109を有していてよい。前縁108は、流れ方向107、もしくは流体104が初めて翼100に衝突する翼100の箇所で流体104にさらされている。流体104は、前縁108において分割されてよく、この場合、負圧面105に沿って流れる流体部分と、圧力面106に沿って流れる流体部分とに分割される。負圧面105と圧力面106とは、湾曲した翼表面101を提供してよく、この翼表面101に沿って流体104の部分が流れる。さらに、翼100は、厚さtを有しており、すなわち、この厚さtは、負圧面105と圧力面106との間の距離を規定している。翼の厚さtは、前縁108から最大値にまで増大している。最大の厚さtの位置から後縁109に向かって、翼100の厚さtは、減少している。
図1には、さらに圧力計装置102と、付加的な圧力計装置103とが示されている。これらの圧力計装置102,103は、翼100の翼表面101に設置されている。圧力計装置102と、付加的な圧力計装置103とは、流体104の圧力を測定することができる。
図2は、翼100を示している。この場合、負圧面105における後方のよどみ点200が提供されている。後方のよどみ点200の手前、特に流体104の、流れ方向107に沿った上流側では、流体104は付着されている、つまり、流体104の流線は、負圧面105または圧力面106の表面または湾曲面に対して平行である。後方のよどみ点200の下流側では、失速領域が提供されている。つまり、たとえば汚れや氷のような環境状態により、剥離流202が生ぜしめられる。流れの剥離は、過剰なピッチ角αまたは翼100の、流体104の流入方向107に対する過剰な迎角によっても生ぜしめられ得る。失速領域では、もはや揚力は提供されない。
ピッチ角αは、翼100の翼弦線110と、所定のロータ回転面または零ロータ回転面との間の角度によって定義され得る。迎角は、翼弦線110と、前方のよどみ点に対して流れた場合の流体104の流れ方向107との間の角度によって定義され得る。翼弦線110は、通常の流れ方向107で測定した、翼100の前縁108と後縁109との間の距離を示すことができる。翼弦線110のこれらの前方点および後方点は、前縁108および後縁109を示すことができる。
図2に示したように、圧力計装置102は後方のよどみ点の上流側に設置されていて、付加的な圧力計装置103は、後方のよどみ点200の下流側に設置されている。したがって、本実施例では、圧力計装置102は、付着流の状態の流体104の圧力を測定し、付加的な圧力計装置103は、後方のよどみ点200の下流側に設置されて、したがって剥離流202の、(付着流の圧力に対して)より高い圧力を測定する。測定された流体の圧力の比較によって、失速領域が、付加的な圧力計装置103の領域の周辺に存在することが確定され得る。さらに、後方のよどみ点200の位置は、後方のよどみ点200の上流側の圧力計装置102と、後方のよどみ点200の下流側の付加的な圧力計装置103とによって測定された互いに異なる圧力により確定され得る。すなわち、負圧面105における後方のよどみ点200の下流側の流体104の圧力の上昇によって、流体104の失速が測定可能である。圧力面106の剥離流に位置した失速は、逆に、圧力面106における付着した流体104に比べて、低い圧力を生ぜしめる。
圧力計装置102および/または付加的な圧力計装置103を、流体104の圧力の測定のために、翼100の、増厚している第1の部分に設置することも可能である。後縁109の領域における失速は、第2の部分、つまり、後縁109の周囲の剥離流202により検出されてよく、この失速は、第1の部分の付着流201の領域の流体104の圧力にも影響を与え得る。
さらに、圧力計装置102および/または付加的な圧力計装置103を翼100の下面、つまり圧力面106に設置することもできる。したがって、圧力面106で起こり得る失速も測定することができる。さらに、負圧面105で起こった失速の測定が、圧力面106の圧力の測定により補完されてよい。圧力計装置102は、付着流の状態の流体104の圧力、つまり高い圧力状態の圧力面106において測定する。後方のよどみ点200の下流側に設置された別の圧力計装置103は、したがって上流側に設置された圧力計装置102と比べて、剥離流202の、より低い圧力を測定する。測定された流体の流れ圧力を比較することにより、たとえば後方のよどみ点200の下流側の流体104の圧力が降下することによって、別の圧力計装置103の領域の周囲に失速領域が存在することが確定され得る。
図3は、翼100を示している。この場合、圧力計装置102と、付加的な圧力計装置103とは、後方のよどみ点200の下流側に位置している。したがって、2つの圧力計装置の間の圧力勾配の減少と、圧力計装置によって測定された圧力の増大とは、失速領域もしくは負圧面105における流体104の剥離流202を示し得る。さらに、2つの圧力計装置102,103の間の圧力勾配の減少、または圧力計装置102,103により測定された圧力の上昇は、失速領域もしくは圧力面106における流体104の剥離流202を示してよい。
両圧力計装置102,103の位置は、後方のよどみ点200に対して上流側でもあり得る。したがって両圧力計装置102,103は、付着流の状態の圧力を測定することができる。しかし、後方のよどみ点200の下流側の流体の失速は、よどみ点200の上流側の付着流の圧力レベルにも影響を与える。したがって、後方のよどみ点200の上流側で変化した流体の圧力によっても、失速が検出され得る。
図4は、風力タービン400を示しており、この風力タービン400は、ナセル401と、風力タービン塔202と、複数の翼100とを有している。図4に示された実施例によると、3つの翼100がナセル401に結合されている。ナセル401を起点として、翼100の長手方向403が示されている。各翼100は、長手方向403で、ナセル401を起点として自由端、つまり翼100の先端にまで延びている。さらに図4には、ピッチ角αが描かれており、このピッチ角αを中心として翼100が回転させられてよい。ピッチ角αは、各翼100の長手方向403を中心とした各翼100の回転角と類似していることが示されている。
さらに図4は、圧力計装置102と付加的な圧力計装置103との、長手方向403に沿った分布を示している。したがって、複数の圧力計装置102および付加的な圧力計装置103を長手方向403に沿って提供することにより、各翼100の全体的な翼表面101に沿った詳細な流体の流れパターンが提供され得る。したがって、局所的な汚れ粒子404が流体104の局所的な失速を起こしても、別の圧力計装置102,103の領域において付着した流れの状態はなおも存在し得る。したがって、局所的な汚れ粒子404の領域内の圧力の測定値に応じたピッチ角αの調整は、全体的な翼100の効率を下げてしまう恐れがある。したがって全体的な長手方向403に沿って流体104の流れパターンを測定することにより、測定された圧力の局所的な値を、翼100の最適なピッチ角の全体的な計算から除外することができる。
さらに、制御ユニットが、複数ある翼100の各翼100のために個別のピッチ角αを、測定された流れパターンの個別の値に応じて計算することができる。したがって、各翼100のための改善された調整が提供されて、風力タービン400の効率が改善され得る。
圧力計装置102,103は、流体の測定された圧力を、流体の圧力の統計値または参照値と比較することができるので、測定された流体の圧力を流体104の参照圧力と比較することにより、失速が検出され得る。
本明細書中で、「〜を有する、〜が設けられている」という用語はそれ以外の要素を有することを排除せず、「1つの」という用語は当該の要素が複数個設けられることを排除しない。また、各実施例について説明した要素は相互に組み合わせることもできる。また、特許請求の範囲の記載に添えられている参照番号はそれぞれの要素を限定するものでないことに注意されたい。
Claims (10)
- 風力タービンに用いられる翼において、翼(100)が、翼表面(101)と、失速の検出のために使用される圧力値を提供するための圧力計装置(102)とを有しており、圧力計装置(102)が、翼表面(101)に沿って流れる流体(104)の圧力を圧力計装置(102)によって測定可能なように、翼表面(101)に設置されていることを特徴とする、風力タービンのための翼。
- 付加的な圧力計装置(103)が設けられており、付加的な圧力計装置(103)が、翼表面(101)に沿って流れる流体(104)の付加的な圧力を圧力計装置(102)により測定可能なように、翼表面(101)に設置されている、請求項1記載の翼。
- 前記翼表面(101)が、翼(100)の負圧面(105)である、請求項1または2記載の翼。
- 翼(100)が、流体(104)の流れ方向(107)で、厚さ(t)が増大している第1の部分と、厚さ(t)が減少している第2の部分とを有しており、圧力計装置(102)と、付加的な圧力計装置(103)とのうちの少なくとも一方が、減厚する部分に設置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の翼。
- 圧力計装置(102)と、付加的な圧力計装置(103)とが、流体(104)の流れ方向(107)に沿って一列に配置されている、請求項4記載の翼。
- 翼(100)が、長手方向(403)に沿って延びており、圧力計装置(102)と付加的な圧力計装置(103)とが、翼(100)の長手方向(403)に沿って設置されている、請求項2から5までのいずれか1項記載の翼。
- 翼(100)が、複数の圧力計装置(102)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の翼。
- 請求項1から7までのいずれか1項記載の翼(100)が設けられていることを特徴とする、風力タービン装置。
- 少なくとも1つの翼に割り当てられた制御ユニットが設けられており、該制御ユニットが、少なくとも1つの翼(100)のピッチ角(α)を、流体(104)の測定された圧力に応じて制御する、請求項8記載の風力タービン装置。
- 風力タービンに用いられる翼(100)における失速を検出するための方法において、翼(100)の翼表面(101)に沿って流れる流体(104)の圧力を、翼表面(101)に設置された圧力計装置(102)を用いて測定することを含む、翼(100)における失速を検出するための方法。
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