JP2010099609A - 光触媒体 - Google Patents

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Yasuhiko Takeda
康彦 竹田
Kenji Morikawa
健志 森川
Shunsuke Sato
俊介 佐藤
Tsutomu Kajino
勉 梶野
Tomomi Motohiro
友美 元廣
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Abstract

【課題】光触媒体において入射光に応じて生成される電子・正孔の生成効率及び利用効率を高める
【解決手段】光を受けて、当該光に応じて電荷を励起する光吸収体10と、光吸収体10の周囲に形成され、光吸収体10で励起された電荷のうち所定のエネルギー準位にある電荷のみを取り出すエネルギー選択性コンタクトと、エネルギー選択性コンタクトに接合され、エネルギー選択コンタクトにより取り出された電荷を受けて反応を生じさせる反応部18とを備えるものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光触媒体に関する。特に、酸化還元反応に適した光触媒体に関する。
酸化チタン等の半導体触媒の粉末を水に懸濁させ、キセノンランプや高圧水銀灯等の人工光源から光を照射しつつ二酸化炭素を通すことによってホルムアルデヒド、ギ酸、メタン、メタノール等を生成する技術が開示されている(非特許文献1)。
また、酸化ジルコニウム半導体に光を照射することによって、光エネルギーを利用して水から水素と酸素とを製造する方法、及び、水及び二酸化炭素から水素、酸素及び一酸化炭素を製造する方法が開示されている(特許文献1)。
また、金属−配位子間の電荷吸収バンドが紫外領域から可視領域に亘る金属錯体から選ばれた光触媒と有機アミンから選ばれた電子供与剤とを溶解させ、その有機溶媒中に0.2〜7.5MPaの高圧で二酸化炭素を導入し、その圧力下において光を照射することによって二酸化炭素を選択的に一酸化炭素に還元する技術が開示されている(特許文献2)。
ネイチャ,Vol.277,pp637-638,1979 特許第2526396号公報 特許第3590837号公報
このように光エネルギーにより励起された電子・正孔を用いた酸化還元反応を生じさせる光触媒体においては、反応に関わる電子・正孔が対象とする反応の電位よりも高い電位をもつことが必要である。
例えば、水を分解して水素ガスと酸素ガスを発生させる反応を考える。太陽光のような幅広いスペクトルを有する光により光触媒体が照射される場合、光吸収体にて吸収される光子に応じたエネルギーを有する電子・正孔が生成される。しかし、これらは直ちに(数ピコ秒以内)にエネルギーの一部を失い、電子は伝導帯下端のエネルギー準位に、正孔は価電子帯上端のエネルギー準位に到達し、その後、反応に利用される。従って、光吸収体の伝導帯下端は水素ガスの生成電位よりも低く、一方、価電子帯上端は酸素ガスの生成電位よりも高く、そのバンドギャップは両生成電位差である1.23eVよりも大きくなければならない。
ところが、上記のようにバンドギャップの大きさの制約があるので、太陽光のスペクトルのうち少なくとも対象とする反応より高いエネルギーを有する光のみしか利用することができなかった。
例えば、二酸化炭素と水からギ酸を生成する場合、二酸化炭素からギ酸を生成する反応の電位と水から酸素を生成する反応の電位との差は約2.1eVであり、このように反応電位差が大きい場合には太陽光の利用効率がより低くなってしまう。
本発明の1つの態様は、光を受けて、当該光に応じて電荷を励起する光吸収体と、前記光吸収体の周囲に形成され、前記光吸収体で励起された電荷のうち所定のエネルギー準位にある電荷のみを取り出すエネルギー選択性コンタクトと、前記エネルギー選択性コンタクトに接合され、前記エネルギー選択コンタクトにより取り出された電荷を受けて反応を生じさせる反応部と、を備えることを特徴とする光触媒体である。
ここで、前記光吸収体は粒子であり、前記エネルギー選択性コンタクトは、第1障壁層/量子井戸層/第2障壁層からなることが好適である。
この場合、前記量子井戸層のバンドギャップは、前記光吸収体のバンドギャップのエネルギー差以上、前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、前記第1障壁層及び前記第2障壁層のバンドギャップは、前記量子井戸層のバンドギャップのエネルギー差より1eV以上4eV未満だけ大きいことが好適である。
また、前記光吸収体は粒子であり、前記エネルギー選択性コンタクトは、内部に量子ドットが形成された障壁層からなることが好適である。
この場合、前記量子ドットのバンドギャップは、前記光吸収体のバンドギャップのエネルギー差以上、前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、前記障壁部のバンドギャップは、前記量子ドットのバンドギャップのエネルギー差より1eV以上4eV未満だけ大きいことが好適である。
また、前記光吸収体は粒子であり、前記エネルギー選択性コンタクトは、第1障壁部/量子井戸部/第2障壁部からなるナノワイヤーであることが好適である。
この場合、前記量子井戸部のバンドギャップは、前記光吸収体のバンドギャップのエネルギー差以上、前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、前記第1障壁部及び前記第2障壁部のバンドギャップは、前記量子井戸部のバンドギャップのエネルギー差より1eV以上4eV未満だけ大きいことが好適である。
また、前記エネルギー選択性コンタクトと、前記反応部と、が分子から構成されていることが好適である。
この場合、前記分子は、前記光吸収体から近い側から順に第1部分、第2部分、第3部分及び第4部分からなり、前記第1部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第1のΔEHOMO-LUMO及び前記第3部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第3のΔEHOMO-LUMOが前記光吸収体のバンドギャップ以上前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、前記第2部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第2のΔEHOMO-LUMOが前記第1のΔEHOMO-LUMOより1cV以上4eV未満だけ大きく、前記第4部分が前記反応部であることが好適である。
本発明によれば、光触媒体において入射光に応じて生成される電子・正孔の生成効率及び利用効率を高めることができる。
本発明の実施の形態における光触媒体の構造の例を図1〜図4の断面図に示す。図1〜4は、理解を簡単にするために、本発明の実施の形態における光触媒体の構造を模式図として記載したものである。
図1に示す光触媒体100は、光吸収体10、第1障壁層12、量子井戸層14、第2障壁層16及び反応部18を含んで構成される。光触媒体100は、粒子状の光吸収体10の表面を被うように第1障壁層12、量子井戸層14及び第2障壁層16を形成し、第2障壁層16の表面に突起状の反応部18を形成した構造を有している。
図2に示す光触媒体102は、光吸収体10、障壁層20、量子ドット22及び反応部18を含んで構成される。光触媒体102は、粒子状の光吸収体10の表面を被うように内部に規則的に量子ドット22が配置されるように障壁層20を形成し、障壁層20の表面に突起状の反応部18を形成した構造を有している。
図3に示す光触媒体104は、光吸収体10、第1障壁部24、量子井戸部26、第2障壁部28及び反応部18を含んで構成される。光触媒体104は、粒子状の光吸収体10の表面から放射状に第1障壁部24、量子井戸部26、第2障壁部28及び反応部18を順に積層した突起状のナノワイヤーを形成した構造を有している。
図4に示す光触媒体106は、光吸収体10及びエネルギー選択性コンタクトと反応部とを機能を備えた分子30を含んで構成される。光触媒体106は、粒子状の光吸収体10の表面に放射状に分子30を結合させた構造を有している。
本実施の形態における光触媒体100,102,104及び106では、図5に示すように、光吸収体10の伝導帯C及び価電子帯Vにそれぞれ励起された電子・正孔のうち特定のエネルギーのもののみをエネルギー選択性コンタクト(ESC)34を通じて取り出す構造としている。エネルギー選択性コンタクト34は、光触媒体100では第1障壁層12、量子井戸層14及び第2障壁層16により形成され,光触媒体102では障壁層20及び量子ドット22により形成され,光触媒体104では第1障壁部24、量子井戸部26及び第2障壁部28により形成され、光触媒体106では分子30により形成される。
以下、光触媒体100,102,104及び106の各構成要素について説明する。
光吸収体10は、Si,Ge,SiC等のIV族単体及び混晶半導体、GaAs,GaP,InP,InAs,AlAs等のIII−V族化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe等のII−VI族化合物半導体、CdO,CuO,Cu2O,NiO,SnO2,ZnO,TiO2,In23等の金属酸化物半導体、これらの金属の窒化物又は酸窒化物半導体、CuInGaS2等のカルコパイライト半導体、GeS2,SnS,SnS2,MoS2,MoSe2等のカルコゲナイト半導体等の材料から構成することができる。
このとき、生成される光触媒体100,102,104及び106を用いる対象となる反応に応じて材料を選択することが好適である。すなわち、対象となる反応に必要なエネルギーに応じて材料を選択することが好適である。具体的にどの程度の光吸収端エネルギーを有する材料を選択するかについては後述する。
なお、光吸収体10は、比表面積を大きくするためにできるだけその径が小さい粒子とすることが望ましいが、小さすぎると不安定となるため、直径は2nm以上50nm以下が好ましく、さらに5nm以上20nm以下がより好ましい。
光吸収体10は、一般的な半導体の製造方法によって形成することができる。また、溶液中にカチオンの酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等とアニオンの硫酸塩、アルカリ金属化合物等を等モル比となるよう混合することによって析出させることもできる。(A.D Yoffe, "Semiconductor quantum dots and related systems electronic, optical, luminescence and related properties of low dimensional systems", Adv. Phys. 50,1 (2002)参照)
第1障壁層12、量子井戸層14、第2障壁層16、障壁層20、量子ドット22、第1障壁部24、量子井戸部26、第2障壁部28は、光吸収体10内に光励起された電子・正孔のうち特定のエネルギーのもののみを取り出すためのエネルギー選択性コンタクト34として機能する。
量子井戸層14、量子ドット22及び量子井戸部26は、対象となる反応に適したエネルギーのキャリアを取り出すために、そのバンドギャップεg3が光吸収体10とバンドギャップεg1と等しいか、又は、光吸収体10のバンドギャップεg1より1.5ev程度の範囲まで大きい材料で構成することが好適である。また、キャリアのエネルギー選択の起因となる閉じ込め準位を形成するためには、量子井戸層14、量子ドット22及び量子井戸部26の厚さ又は直径は1nm以上20nm以下が好ましく、さらに2nm以上10nm以下がより好ましい。
第1障壁層12、第2障壁層16、障壁層20、第1障壁部24及び第2障壁部28は、量子井戸層14、量子ドット22及び量子井戸部26に対する閉じ込め効果を得るために、そのバンドギャップεg2,εg4が量子井戸層14、量子ドット22及び量子井戸部26のバンドギャップεg3が1eV以上大きい材料とすることが好適である。バンドギャップεg2,εg4とバンドギャップεg3との差が4eV以上となるとキャリアの取り出し効率が低下するので、差を1eV以上4eV未満とすることが好ましく、さらに2eV以上3eV以下とすることがより好ましい。例えば、光吸収体10に適した材料の他に、SiO2,Al23,ZrO2等の金属酸化物、金属の窒化物又は酸窒化物であり、絶縁性の材料を適用することができる。第1障壁層12、第2障壁層16、障壁層20、第1障壁部24及び第2障壁部28の厚さは、キャリアの閉じ込め効果を高くするためには厚い方がよいが、厚すぎるとキャリアの取り出し効率が低下するので1nm以上20nm以下が好ましく、さらに2nm以上10nm以下がより好ましい。
第1障壁層12、第2障壁層16、障壁層20、第1障壁部24及び第2障壁部28並びに量子井戸層14、量子ドット22及び量子井戸部26は、光吸収体10を形成した溶液中にてそれぞれの前駆体を添加することによって光吸収体10の表面に層として形成することができる。各層の厚さ、及び、量子井戸層14,量子ドット22又は量子井戸部26のいずれが生じるかは、前駆体の添加量により調整することができる。(A.D Yoffe, "Semiconductor quantum dots and related systems electronic, optical, luminescence and related properties of low dimensional systems", Adv. Phys. 50,1 (2002)参照)
また、溶液から光吸収体10を取り出し、乾燥させて基板に固定した後、第1障壁層12、第2障壁層16、障壁層20、第1障壁部24、第2障壁部28、量子井戸層14、量子ドット22、量子井戸部26の材料を含む前駆体の溶液中への浸漬を繰り返すケミカル・バス・デポジジョン法により形成することもできる。(H.L.Peng, C.Xie, D.T.Schoen, K.Mcllwrath, X.F.Zhang and Y.Cui, "Ordered vacancy compounds and nanotube formation in CuInSe2-CdS core-shell nanowires", Nano Lett. 7,3734 (2007)参照)
また、基板に固定した光吸収体10を真空チャンバ内に入れ、第1障壁層12、第2障壁層16、障壁層20、第1障壁部24、第2障壁部28、量子井戸層14、量子ドット22、量子井戸部26の材料を含む前駆体となるガスを真空チャンバ内に導入することによって形成することもできる。(J.Hwang, B.Min, J.S.Lee, K.Keem, K.Cho, M.-Y.Sung, M.-S.Lee and S.Kim, "A12O3 nanotubes fabricated by wet etching of ZnO/Al2O3 core/shell nanofibers", Adv. Mater. 16,422 (2004)参照)
また、基板に固定した光吸収体10を真空チャンバ内に入れ、第1障壁部24、第2障壁部28、量子井戸部26となる元素を含む有機ガスを真空チャンバ内に導入することにより、化学反応によって図3に示す第1障壁部24、量子井戸部26及び第2障壁部28が順次積層されたナノワイヤーを形成することもできる。(Y.Y.Wu, R.Fan and P.D.Yang, "Block-by-block growth of single-crystalline Si/SiGe superlattice nanowires" Nano Lett. 2,83 (2002)参照)
反応部18は、Re(bpy)(CO)3Cl,Re(bpy)(CO)3CH3CN,Re(bpy)(CO)3P(OEt)及びこれらのビピリジン(bpy)部分にCOOH,OH等のアンカー配位子を接合させたものとすることが好適である。
反応部18は、例えば、上記量子井戸や量子ドットを形成した光吸収体10の表面にトリカルボニルカルボキシビピリジンレニウム錯体(Re(dcbpy)(CO)3Cl)を接合することによって形成することができる。この触媒は、Re(CO)5Clとカルボキシビピリジン(COOH)2(bpy)をトルエン中で5時間混合後、沈殿物をヘキサンで洗浄することによって得られる。この錯体をメタノールに溶解し、その溶液に上記量子井戸や量子ドットを形成した光吸収体10を浸漬することによって錯体触媒を表面に吸着・接合させ、その後に取り出して乾燥させる。
また、図4に示す光触媒体106の場合、光吸収体10の表面に量子井戸や量子ドットは形成せず、エネルギー選択性コンタクト34と反応部18とを兼ねた分子30を光吸収体10の表面に接合する。分子30は、上記反応部18と同様に粒子状の光吸収体10の表面に放射状に結合させることができる。
ここで、分子30は光吸収体10から近い側から順に第1部分、第2部分、第3部分及び第4部分からなり、前記第1部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第1のΔEHOMO-LUMO及び前記第3部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第3のΔEHOMO-LUMOが前記光吸収体のバンドギャップ以上前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、前記第2部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第2のΔEHOMO-LUMOが前記第1のΔEHOMO-LUMOより1cV以上4eV未満だけ大きく、前記第4部分が前記反応部であることが好適である。このような条件を満たす分子30として、例えば、Ru(dmb)2(C3OH)Re(CO)3Pが挙げられる。
本実施の形態における光触媒体100,102,104及び106は、以下の原理により対象となる反応に適した電子や正孔を反応部へ供給し、これにより反応部での反応が促進される。
広いスペクトルを有する太陽光等の光が光触媒体に入射した場合、図7(a)に示すように、伝導帯の最下部(CBM)のポテンシャルより高いエネルギー準位に広がるように電子が励起されると共に、価電子帯の最上端(VBM)のポテンシャルより低いエネルギー準位(正孔からみると高いエネルギー準位)に広がるように正孔が励起される。
例えば、太陽光をバンドギャップεgの物質にて吸収する際に励起されるキャリアのエネルギーの最大値Vは数式1のように表される(参考文献:T.Markvart,Appl.Phys.Lett.91,064102(2007))。
Figure 2010099609
ここで、Vは励起されるキャリアのエネルギーの最大値であり、これが対象となる反応に必要なエネルギーよりも大きいことが必要である。また、u(Ts)は光触媒体にて吸収されるエネルギー密度である。利用できるエネルギーはu(Ts)にカルノー効率(1−TRT/Ts)を掛け、さらにエントロピー生成による自由エネルギーの損失分σTRTを差し引いて求められる。また、σcはキャリアのバンド端への到達、σkinはキャリアの取出し、σexpは光の吸収と再輻射の立体角の違いに起因する係数である。本実施の形態の場合、キャリアがバンド端に到達する前に取り出される場合を想定しているのでσcは0となる。また、Jabsは単位時間当りに吸収されるフォトンの数である。また、TRTは室温、kBはボルツマン定数、hはプランク定数、cは真空中の光速度である。また、Ωabs及びΩemはそれぞれ入射光及び吸収体からの再輻射の立体角であり、それぞれ6.8×10-5πである。また、簡単化のため、太陽光は温度Ts(5760K)からの黒体輻射であると近似している。
キャリアのエネルギーの最大値Vが所定の値となるようなJ(これはεgの関数である)の最大値Jmaxを求め、これと数式2で表される入射光子数Jinとの比を光利用率として定義する。
Figure 2010099609
図6は、これらの計算式に基づいて、対象となる反応に必要なキャリアのエネルギー(電位差)と光吸収体10として最適なバンドギャップεg1との関係を示す図である。図6の横軸は対象となる反応の電位差を示し、縦軸はその反応に最適な光吸収体10のバンドギャップεg1のエネルギー(電位差)を示す。光吸収体10と反応部18との間に量子井戸や量子ドットからなるエネルギー選択性コンタクト34を形成したり、エネルギー選択性コンタクト34と反応部18との機能を果たす分子30を用いたりすることによって、本実施の形態における光触媒体100,102,104及び106の最適なバンドギャップεg1(実線)は、従来の光触媒体の光吸収体10として最適なバンドギャップ(破線)よりも小さくすることができる。
すなわち、図7(a)に示すように、光吸収体10において入射光によって励起される電子及び正孔は伝導帯及び価電子帯において様々なエネルギーをもって分布する。本実施の形態における光触媒体100,102,104及び106では、エネルギー選択性コンタクト34を有することによって、量子井戸、量子ドット、分子30への電荷の閉じ込め準位に相当するエネルギー(選択エネルギー)を有する電荷のみが選択的に反応部18へ移動可能である。したがって、図7(b)及び図7(c)に示すように、伝導帯に分布する電子のうち選択されるエネルギーより高いエネルギーを有する電子と選択されるエネルギーより低いエネルギーを有する電子とがエネルギーを交換し合い、エネルギー選択性コンタクト34における選択エネルギーに一致したときにその電子がエネルギー選択性コンタクト34又は分子30の一部を介して反応部18へ移動することになる。同様に、価電子帯に分布する正孔のうち選択されるエネルギーより高いエネルギーを有する正孔と選択されるエネルギーより低いエネルギーを有する正孔とがエネルギーを交換し合い、エネルギー選択性コンタクト34における選択エネルギーに一致したときにその正孔がエネルギー選択性コンタクト34又は分子30の一部を介して反応部18へ移動することになる。
本実施の形態における光触媒体100,102,104及び106では、エネルギー選択性コンタクト34における選択エネルギーは光吸収体10のバンドギャップよりも大きく設定することができ、伝導帯及び価電子帯に分布する電荷を対象となる反応に適した選択エネルギーを有する電荷として取り出すことができる。
図8は、これらの計算式に基づいて、光利用率と最適なバンドギャップの値を対象となる反応の電位差の関数として求めた結果を示す。図8の横軸は対象となる反応の電位差を示し、縦軸は光の利用効率を示している。図8に示すように、本実施の形態における光触媒体100,102,104及び106の光の利用効率(実線)は、従来の光触媒体の利用効率(破線)よりも高い。これは、エネルギー選択性コンタクト34又は分子30を利用することによって、光吸収体10のバンドギャップを反応部18で生ずる反応に必要なエネルギーよりも小さく設定することが可能となり、その結果、光吸収体10における光電変換効率を高めることができるからである。
以下、具体的な反応例について説明する。表1に、水から水素と酸素を生成する反応、二酸化炭素と水からギ酸と酸素を生成する反応、及び、二酸化炭素と水から一酸化炭素と酸素を生成する反応について、反応に必要なエネルギー(電位差)、本発明における光利用効率、光吸収体10の最適バンドギャップεg及び取り出される電子・正孔のエネルギー差ΔEESC、並びに、従来の光触媒体における光利用効率、光吸収体の最適バンドギャップεgを纏めて示す。
Figure 2010099609
具体的な構成としては、水から水素と酸素を生成する反応については、図1に示す光触媒体100の光吸収体10をCdTe又はInPから選択し、第1障壁層12及び第2障壁層16をSiO2,ZrO2,Al23から選択し、電子取り出し用の量子井戸層14をGaP,ZnSeから選択し,正孔取り出し用の量子井戸層14をCdSとすることが好適である。もちろん、光触媒体102,104の構成においても同様の材料を選択することが好適である。
これまで、電子と正孔が同じエネルギー選択性コンタクトから取り出される場合を考えた。取り出された電子と正孔が所望の反応を生じさせる前に再結合して消滅する可能性をより低くするためには、電子と正孔がそれぞれ異なるエネルギー選択性コンタクトから取り出され、異なる反応部に達して、それぞれ還元、酸化反応を生じさせるような構造にすることがより好ましい。この場合、各部分のエネルギー順位および電荷の取り出し機構は図9のようになる。
電子のエネルギー選択性コンタクトを構成する第1障壁部、量子井戸部あるいは量子ドット部、第2障壁部、および反応部の荷電子帯上端、あるいはこの機能を持つ分子の第1〜第4の部分のHOMOは、そこに正孔が移動することを防ぐため、正孔のエネルギー選択性コンタクトの量子井戸あるいは量子ドット部の荷電子帯上端、あるいはこの機能を持つ分子の第2部分のHOMOよりも、1eV以上低いエネルギー順位に位置していることが必要である。
同様に正孔のエネルギー選択性コンタクトを構成する第1障壁部、量子井戸部あるいは量子ドット部、第2障壁部、および反応部の伝導帯下端、あるいはこの機能を持つ分子の第1〜第4の部分のLOMOは、そこに電子が移動することを防ぐため、電子のエネルギー選択性コンタクトの量子井戸あるいは量子ドット部の電動帯下端、あるいはこの機能を持つ分子の第2部分のLOMOよりも、1eV以上高いエネルギー順位に位置していることが必要である。
また、二酸化炭素と水からギ酸と酸素を生成する反応については、図1に示す光触媒体100の光吸収体10をGaP,ZnTeから選択し、第1障壁層12及び第2障壁層16をSiO2,ZrO2,Al23から選択し、電子取り出し用の量子井戸層14を6H−SiCとし,正孔取り出し用の量子井戸層14をSrTiO3,Ta25から選択することが好適である。また、還元のための反応部18はジカルボニルカルボキシシビピリジンテニウム錯体Ru(bpy)2(CO)2とし、酸化のための反応部18は設けないことが好適である。もちろん、光触媒体102,104の構成においても同様の材料を選択することが好適である。
また、二酸化炭素と水から一酸化炭素と酸素を生成する反応については、図1に示す光触媒体100の光吸収体10をGaP,ZnTeから選択し、第1障壁層12及び第2障壁層16をSiO2,ZrO2,Al23から選択し、電子取り出し用の量子井戸層14を6H−SiCとし,正孔取り出し用の量子井戸層14をSrTiO3,Ta25から選択することが好適である。また、還元のための反応部18はトリカルボニルカルボキシシビピリジンテニウム錯体Ru(dcbpy)(CO)3Clとし、酸化のための反応部18は設けないことが好適である。もちろん、光触媒体102,104の構成においても同様の材料を選択することが好適である。
このような構成とすることによって、光触媒体において入射光に応じて生成される電子・正孔の生成効率及び利用効率を高めることができる。
本発明の実施の形態における光触媒体の構造例を示す図である。 本発明の実施の形態における光触媒体の構造例を示す図である。 本発明の実施の形態における光触媒体の構造例を示す図である。 本発明の実施の形態における光触媒体の構造例を示す図である。 本発明の実施の形態における光触媒体の電荷取り出しを説明する図である。 光触媒体における反応電位差と最適なバンドギャップとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態における光触媒体の電荷取り出しのメカニズムを説明する図である。 光触媒体における反応の電位差と光の利用効率との関係を示す図である。 本発明の実施の形態における光触媒体の電荷取り出しを説明する図である。
符号の説明
10 光吸収体、12 第1障壁層、14 量子井戸層、16 第2障壁層、18 反応部、20 障壁層、22 量子ドット、24 第1障壁部、26 量子井戸部、28 第2障壁部、30 分子、34 エネルギー選択性コンタクト、100,102,104,106 光触媒体。

Claims (9)

  1. 光を受けて、当該光に応じて電荷を励起する光吸収体と、
    前記光吸収体の周囲に形成され、前記光吸収体で励起された電荷のうち所定のエネルギー準位にある電荷のみを取り出すエネルギー選択性コンタクトと、
    前記エネルギー選択性コンタクトに接合され、前記エネルギー選択コンタクトにより取り出された電荷を受けて反応を生じさせる反応部と、
    を備えることを特徴とする光触媒体。
  2. 請求項1に記載の光触媒体であって、
    前記光吸収体は粒子であり、
    前記エネルギー選択性コンタクトは、第1障壁層/量子井戸層/第2障壁層からなることを特徴とする光触媒体。
  3. 請求項2に記載の光触媒体であって、
    前記量子井戸層のバンドギャップは、前記光吸収体のバンドギャップのエネルギー差以上、前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、
    前記第1障壁層及び前記第2障壁層のバンドギャップは、前記量子井戸層のバンドギャップのエネルギー差より1eV以上4eV未満だけ大きいことを特徴とする光触媒体。
  4. 請求項1に記載の光触媒体であって、
    前記光吸収体は粒子であり、
    前記エネルギー選択性コンタクトは、内部に量子ドットが形成された障壁層からなることを特徴とする光触媒体。
  5. 請求項4に記載の光触媒体であって、
    前記量子ドットのバンドギャップは、前記光吸収体のバンドギャップのエネルギー差以上、前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、
    前記障壁部のバンドギャップは、前記量子ドットのバンドギャップのエネルギー差より1eV以上4eV未満だけ大きいことを特徴とする光触媒体。
  6. 請求項1に記載の光触媒体であって、
    前記光吸収体は粒子であり、
    前記エネルギー選択性コンタクトは、第1障壁部/量子井戸部/第2障壁部からなるナノワイヤーであることを特徴とする光触媒体。
  7. 請求項6に記載の光触媒体であって、
    前記量子井戸部のバンドギャップは、前記光吸収体のバンドギャップのエネルギー差以上、前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、
    前記第1障壁部及び前記第2障壁部のバンドギャップは、前記量子井戸部のバンドギャップのエネルギー差より1eV以上4eV未満だけ大きいことを特徴とする光触媒体。
  8. 請求項1に記載の光触媒体であって、
    前記エネルギー選択性コンタクトと、前記反応部と、が分子から構成されていることを特徴とする光触媒体。
  9. 請求項8に記載の光触媒体であって、
    前記分子は、前記光吸収体から近い側から順に第1部分、第2部分、第3部分及び第4部分からなり、
    前記第1部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第1のΔEHOMO-LUMO及び前記第3部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第3のΔEHOMO-LUMOが前記光吸収体のバンドギャップ以上前記光吸収体のバンドギャップに1.5eVを加えたエネルギー差以下であり、
    前記第2部分の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との差である第2のΔEHOMO-LUMOが前記第1のΔEHOMO-LUMOより1cV以上4eV未満だけ大きく、
    前記第4部分が前記反応部であることを特徴とする光触媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013006135A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光触媒およびその製造方法
JP2013180943A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 二酸化炭素還元方法および還元用光触媒ならびにその製造方法
JP2014500788A (ja) * 2010-11-04 2014-01-16 中国科学院理化技術研究所 バイオマス誘導体をフォトカタリシス・改質して水素を製造するための半導体光触媒及びその製造と応用

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