JP2010099335A - 立体視機能検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パーソナル・コンピュータとヘッド・マウント・ディスプレイを用いて、ソフトウェアにより作成したテスト・パターンを変化させる画像変化の処理を行い、いろいろな条件の下での立体視機能検査を行う立体視機能検査方法を提供する。
【解決手段】立体視機能検査方法は、ビデオ・カメラの光軸とヘッド・マウント・ディスプレイの視野中心軸が一直線上に配置されるようにアライメントしたヘッド・マウント・ディスプレイを被験者の片眼に装着して、ビデオ・カメラで撮像された3次元物体の画像を前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示して前記被験者の片眼により観察すると同時に、被験者の他方の片眼は肉眼により、3次元物体を立体的に観察させるようにして、ヘッド・マウント・ディスプレイにより映写される画像に対して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力する。
【選択図】図2
【解決手段】立体視機能検査方法は、ビデオ・カメラの光軸とヘッド・マウント・ディスプレイの視野中心軸が一直線上に配置されるようにアライメントしたヘッド・マウント・ディスプレイを被験者の片眼に装着して、ビデオ・カメラで撮像された3次元物体の画像を前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示して前記被験者の片眼により観察すると同時に、被験者の他方の片眼は肉眼により、3次元物体を立体的に観察させるようにして、ヘッド・マウント・ディスプレイにより映写される画像に対して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力する。
【選択図】図2
Description
本発明は、視覚に関する病理検査項目のひとつの立体視の機能を検査する立体視機能検査方法に関するものである。
視覚に関する病理検査項目のひとつとして立体視機能異常がある。立体視機能異常の検査のために従来から用いられてきた代表的なテストには、ティトマス・ステレオ・テストがある。ティトマス・ステレオ・テストでは、偏光特性の異なる2種類の絵図が1枚の平板上の同じ位置に描き込まれたものを、偏光眼鏡を通して、左右両眼で別々の光像を見ることで、立体感が得られるようにする。ティトマス・ステレオ・テストの代表的な絵図には、ハエ、4つの円を4辺形のコーナーに配したもの、各種動物等がある。被験者がこれらの絵図を見て、浮き上がって見えれば、立体視機能に異常がないと診断される。
これらの本発明において利用される技術に関係する基礎技術の公知文献として、次の特許文献1〜特許文献4が参照される。後述するように、特許文献1に記載されている画像の歪み補正方法の技術は、画像変換の際に考慮されるべき画像の歪み補正方法に関する技術であり、また、特許文献2〜特許文献4に記載されている技術は、ヘッド・マウント・ディスプレイの光学系の構造に関する技術である。
特開2006-10613号公報
特開2000-75240号公報
特開2002-107656号公報
特開2004-185023号公報
ティトマス・ステレオ・テストでは、テスト・パターン全体を少し左右に動かしても立体感をもつことができる。このときには、左右両眼の視線の方向が移動し、それらの視線のなす角度、すなわち、輻輳角(図2参照)も少し変化している。このことから、立体感が得られる視線の方向には幅があることが分かる。
また、ティトマス・ステレオ・テストの左右用として作成されたテスト・パターンの相対位置を前後左右に少しずらせて作成しても立体感が得られるが、ずれの範囲を検査するためには、検査する数だけのテスト・パターンを用意しなければならない。こうした制約から、ティトマス・ステレオ・テストでは、後述するように、立体感に関するいろいろな特性項目の評価ができなかった。次に、これらについて説明する。
人間が物体を見る輻輳角の範囲については、遠方の物体を見るときには輻輳角は0°近くになり、立体感が減じる。逆に、近くの物体を見るときには、例えば、目からの距離が約10cmのところでは、輻輳角は35°を越える大きさになり、立体感が増す。このように、人間が立体感を得られる視線方向には、大きな幅があり、遠景よりも近景の方が強く立体感を感じることができる。更に、左右方向だけではなく、両眼に上下方向の差異のある映像を見た場合にも、左右方向より視線方向の角度の範囲は小さいが、立体感が得られる幅がある。
左右方向の立体感に関する特性については、次のようなヒステリシス特性がある。例えば、右目の絵図の位置は固定しておき、左目の絵図の位置だけを連続的に左方へ移動したときに、立体感が得られ続ける限界の視線の方向と、左目の絵図の位置が視野の左方いっぱいにあって立体感がない状態から、右方へ移動させたときに始めて立体感が得られるようになるところの視線の方向とは、一般的には異なり、左目の絵図を左方へ移動させたときに、立体感が得られ続ける限界の視線の方向は、左目の絵図の位置が視野の左方いっぱいにあって立体感がない状態から右方へ移動させたときに始めて立体感が得られるようになるところの視線の方向より左側にある。スタートする視線の位置に依存して立体感が得られる限界点が異なっている現象は、ヒステリシス特性といわれる。
左右の目に結像される映像の違いによって、立体感が変化する視覚の特性に関しては、左右および上下の視線方向だけではなく、見る絵図の大きさ、回転、明るさに関しても、立体感の得られる許容範囲があり、これらの変化に関してもヒステリシス特性がある。
また、立体感は、左右の目に結像された映像から感じられる距離感と不可分の関係にある。距離感は、それぞれの左右の目の映像中に存在する物体に関して、相互の掩蔽関係や掩蔽の程度から遠近感として感じ取られるものと考えられる。
ティトマス・ステレオ・テストでは、前述した左右の目が見る映像差に係る立体感に関する評価が、そのケースに応じた数だけテスト・パターンを用意すればできるが、テスト・パターンの数は膨大なものとなるので、非常に高価なものとなり、現実的ではないという問題がある。また、前述したように、ヒステリシス特性に関する検査は、固定的なティトマス・ステレオ・テストのテスト・パターンではできない種類の検査であるという問題点もある。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされものであり、本発明の目的は、従来のティトマス・ステレオ・テスト等ではテスト・パターンが固定されており、非常に高価であった立体視機能の特性評価に関して、あるいは不可能であった立体視機能の特性評価に関して、立体感が得られる視線方向や距離感の認識に関する特性値を測定でき、視覚異常の程度を定量的に測定することができる立体視機能検査方法を提供することにある。
具体的には、ティトマス・ステレオ・テストのように、ハードウェアのテスト・パターンを製作せず、パーソナル・コンピュータとヘッド・マウント・ディスプレイを用いて、ソフトウェアにより作成したテスト・パターンを変化させる画像変化の処理を行い、いろいろな条件の下での立体視機能検査を行うことができる立体視機能検査方法を提供することにある。
上記のような目的を達成するため、本発明による立体視機能検査方法は、第1の態様として、ビデオ・カメラの光軸とヘッド・マウント・ディスプレイの視野中心軸が一直線上に配置されるようにアライメントしたヘッド・マウント・ディスプレイを被験者の片眼に装着して、前記ビデオ・カメラで撮像された3次元物体の画像を前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示して前記被験者の片眼により観察すると同時に、被験者の他方の片眼は肉眼により、前記3次元物体を立体的に観察させるようにして、前記ヘッド・マウント・ディスプレイにより映写される画像に対して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力することを特徴とするものである。
また、本発明による立体視機能検査方法は、第2の態様として、被験者には両眼用のヘッド・マウント・ディスプレイを装着し、左右両眼用の物体の3次元仮想イメージを前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示し、被験者に前記3次元仮想イメージを3次元物体として立体的に観察させるようにして、片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像は固定とし、他の片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像に対して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力することを特徴とするものである。
本発明による立体視機能検査方法は、第3の態様として、ビデオ・カメラの光軸とヘッド・マウント・ディスプレイの視野中心軸が一直線上に配置されるようにアライメントしたヘッド・マウント・ディスプレイを被験者の両眼に装着して、前記ビデオ・カメラで撮像された3次元物体の画像を前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示して前記被験者の両眼により前記3次元物体を立体的に観察させるようにして、片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像は固定とし、他の片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像に関して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力することを特徴とするものである。
この場合に、本発明の立体視機能検査方法において、ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、表示される画像の位置を左右あるいは上下方向に往復させて、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる画像位置の範囲を測定し、目の機能異常を検査するようにもできる。
また、本発明の立体視機能検査方法において、ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、表示される画像のサイズを変化させて、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる画像サイズの範囲を測定し、目の機能異常を検査するようにもできる。
また、本発明の立体視機能検査方法において、ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、表示される画像を回転表示し、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる回転角の範囲を測定し、目の機能異常を検査するようにもできる。
また、本発明の立体視機能検査方法において、ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、表示される画像の輝度あるいは明度を変化させ、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる輝度あるいは明度の範囲を測定し、目の機能異常を検査するようにもできる。
また、本発明の立体視機能検査方法において、3次元物体の撮像物体に加え、全く同じ形状および色彩の参照物体を撮像物体に隣接して配置し、前記参照物体を前後になめらかに移動できるようにした上で、ヘッド・マウント・ディスプレイに表示される撮像物体の画像のサイズを変化させ、他方の肉眼で見る参照物体のサイズが同じ大きさと感じられる位置に参照物体を前後に移動し、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、被験者からの撮像物体と参照物体の距離を測定して比較し、距離感の異常を検査するようにもできる。
また、別の特徴として、本発明の立体視機能検査方法においては、ヘッド・マウント・ディスプレイのディスプレイ・スクリーンの中に表示ウィンドウを設定し、前記表示ウィンドウにおいて立体視機能の検査のための画像を表示することを特徴とする。
また、本発明の立体視機能検査方法において、ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、撮像物体、あるいは仮想イメージ物体の画像を拡大、縮小、あるいは回転してヘッド・マウント・ディスプレイの表示部に表示するための画像の不動点として、撮像物体、あるいは仮想イメージ物体の表面上の3点を選択し、該3点を通る平面上の1点から該平面の指定された側の指定された距離にある点を採用することを特徴とするものである。
また、別の特徴として、本発明の立体視機能検査方法においては、被験者の真正面方向に向けた視線に関して、左目用ヘッド・マウント・ディスプレイでは表示画面が垂直で、かつ右側にシフトし、また、右目用ヘッド・マウント・ディスプレイでは表示画面が垂直で、かつ左側にシフトするように表示画面を取り付けることを特徴とするものである。
このような特徴を有する本発明による立体視機能検査方法を用いれば、ティトマス・ステレオ・テストの検査機能より多くの検査機能を包含して検査することができる。また、立体視覚異常の患者の異常の程度を定量的に評価することができるので、患者の病状の程度だけでなく、治療に伴う治癒の程度を的確に判断することができるようになる。患者だけでなく、現在医療機関等で行われている視力検査のように使用すれば、健常者の健康診断の目的にも利用することができる。
更に、本発明の立体視機能検査方法の原理を用いて、立体視できる範囲を拡大できるように訓練することにより、視力回復や動体視力向上のためのトレーニングとして利用することもできる。この場合には立体視機能の検査により、訓練の結果到達する機能レベルが定量的に評価できるので、複合機能を有するトレーニングとして利用できる。
以下、本発明の立体視機能検査方法を実施する場合の形態について説明するが、まず、本発明による立体視機能検査方法の原理から説明する。図1および図2を参照して、立体視機能の検査のための立体視機能検査方法で用いる立体視検査装置について説明する。図1は、立体視機能検査方法を実施する立体視検査装置の全体構成を説明する図であり、図2は、立体視機能検査をビデオ・カメラ付きのヘッド・マウント・ディスプレイを用いて行う場合の立体視の原理を説明する図である。
図1に示すように、立体視機能検査方法を実施する立体視検査装置は、ビデオ・カメラ1の光軸とヘッド・マウント・ディスプレイ2の視野の中心軸が一致するようにアライメントされたビデオ・カメラ1とヘッド・マウント・ディスプレイ2の組合せセットと、パーソナル・コンピュータ3と、パーソナル・コンピュータ3の入力デバイスである押しボタン・スイッチ6と、3次元物体の構造をもつ撮像物体7とから構成される。
ビデオ・カメラ1とヘッド・マウント・ディスプレイ2の組合せセットは、ベルトに取り付けられて、このベルトを被験者が頭部に装着する。ビデオ・カメラ1とヘッド・マウント・ディスプレイは、それぞれ電気信号ケーブルでパーソナル・コンピュータ3に接続される。被験者は、押しボタン・スイッチ6を片手に持ち、検査者から指示された条件が成立した時点で押しボタン・スイッチ6を押すことにより、押したことを示す信号がパーソナル・コンピュータ3に取り込まれる。
撮像物体7は立体構造のもので、被験者は片眼に装着されたヘッド・マウント・ディスプレイ2の映像を見ると同時に、他方の肉眼により直接に撮像物体7の立体映像を見ることができる。検査者は、パーソナル・コンピュータ3のディスプレイ装置5に表示される情報に基づき、パーソナル・コンピュータ3を操作しながら、検査の進捗に応じて、被験者に対して検査要領を伝える。検査を行う場合は、被験者が押しボタン・スイッチ6を押すタイミングの指示を行うと、そのタイミングでヘッド・マウント・ディスプレイに表示されている映像に基づいて立体視されている許容範囲の検出を行う。図1に示されている例では、パーソナル・コンピュータ3として、コンピュータ本体、ディスプレイ装置、キーボード、マウスが個別のコンポーネントとなっている卓上型を使用しているが、これらが一体化されたノート型であってもよい。
図2に示す説明の例は、左目が見る画像を変化させて立体視の機能を検査することを表している(以下、画像を変化させて撮像物体7を見る方の目に関して、「検査対象」ということがある)。被験者の左目の直前には、ビデオ・カメラ1が取り付けられたヘッド・マウント・ディスプレイ2が装着され、被験者の右目の前に何も装着されず、右目では直接に撮像物体7をみるように準備される。ここでのビデオ・カメラ1の光軸は、ヘッド・マウント・ディスプレイ2の視野の中心軸に一致するようにアライメントされた配置となるようにビデオ・カメラ1とヘッド・マウント・ディスプレイ2とが一体化されたものが使用される。光軸の合わせ方については後述する(図9)。
ビデオ・カメラ1により撮像されたリアルタイム画像がヘッド・マウント・ディスプレイ2に出力される。通常、このヘッド・マウント・ディスプレイ2とビデオ・カメラ1の組合せのセットは、ビデオ・カメラ1が十分に小型軽量であるため、ヘッド・マウント・ディスプレイ2に取り付けられ一体化されて、ビデオ・カメラ1の光軸がヘッド・マウント・ディスプレイ2の視野の中心軸に一致するような構造としてアライメントされたものなっている。
ビデオ・カメラ1で撮像物体7が撮像され、その画像がビデオ・カメラ1と一体化されたヘッド・マウント・ディスプレイ(以降HMDと略す)2の表示画面に表示されて、被験者の左目で見ることができる。つまり、被験者は、左目では、ビデオ・カメラ1を介して撮像物体7を見るようにする。他方、右目は肉眼の状態で見るようにされ、左目で見ている撮像物体7を同時に見るように構成されて、立体視の観察が行われる。
ビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットによって映し出される映像を、この組合せセットを装着しないときの肉眼の視線、映像の明るさのレベル、および大きさと同じ、あるいは近い条件になるように表示することにより、左右の目で見る映像が重なって見え、このときに立体感をもって撮像物体7を見ることができる。これにより、立体視機能を検査する。以下、「立体視機能検査」は、「立体視検査」と略すことがある。
ビデオ・カメラ1から出力される映像を肉眼の視線に合わせて、HMD2に表示する画像処理を行うために、図3に示すように、パーソナル・コンピュータを利用したビデオ信号処理システムを使用する。ビデオ・カメラ1とパーソナル・コンピュータ3と間の電気的インタフェース、およびパーソナル・コンピュータ3とHMD2間の電気的インタフェースは、それぞれ適合しており、良好にビデオ信号が伝送できるものであれば、どのような画像処理システムでも利用可能である。
例えば、ビデオ・カメラ1とパーソナル・コンピュータ3と間のインタフェースはUSB規格(Universal Serial Bus:Implementers Forumが制定したUSB2.0規格によるもの)が使用され、パーソナル・コンピュータ3とHMD2と間のインタフェースは、業界団体のVESA(Video Electronics Standards Association)が標準化したVGA規格によるものが使用される。
ビデオ・カメラ1により撮像された映像は、ビデオ入力端子9を経てパーソナル・コンピュータ(以降PCと略す)3に入力される。PC3では、入力された映像データがPC3にインストールされているアプリケーション・プログラムによりデータ処理されて、PC3の第1のビデオ出力端子10から出力される。第1のビデオ出力端子10とHMD2は電気信号ケーブルで接続されており、ビデオ・カメラ1で撮像された映像が、HMD2の表示画面に表示される。被験者は、HMD2の表示画面の映像を、HMD2の光学系を通して虚像として見る。これにより、左目では、肉眼の視野の中心部の一部を切り取った映像を、例えば、800(水平)×600(垂直)の画像分解能の表示で見る。現状の技術で製作可能なヘッド・マウント・ディスプレイの視野は、肉眼の視野より狭いので、肉眼の視野の一部の映像しか見ることができない。
立体視検査の要領を被験者に指示しながら検査を進行させる作業は、検査者が行う。検査の指示進行のための情報は、検査者用のディスプレイ装置5に表示される。検査者用のディスプレイ装置5には、図3に示すように、PC3の第2のビデオ出力端子11からの映像出力信号が入力される。ディスプレイ装置5に表示された内容に従い、立体視検査を進行させる。
図4は、立体視検査に係る各特性を検査する手順を説明する図である。図4を参照しながら、立体視検査の全項目にわたる検査を進める手順について説明する。立体視検査を開始するに際し、検査を開始すると、まず、ステップ101において、検査メニューの選択画面を表示する。検査者用のディスプレイ装置5には検査項目を選択するための項目が表示される。検査メニューの画面(図11)は、後述するように、図4に示す処理のブロック(ステップS101)に書かれた項目を含んでいる。例えば、検査対象を左目とするか右目とするかを指定する。次には、どの項目の立体視特性を検査するかを選択する。検査するメニューの選択が終了すると、選択された検査項目の検査が実行される(ステップS102〜ステップS103)で実行される。
検査の実行(ステップS103)では、検査者用のディスプレイ装置5が、それぞれの検査項目に固有の表示画面に切り替わる。それぞれの検査項目の表示画面には、少なくとも検査のための条件や進行に関わるいろいろな項目が表示されるとともに、MHD2の表示画面に表示されている被験者が見ている画面が同時に表示される。選択された検査項目の検査が終了すれば、別の検査項目に移行するため、再び、ステップS101に示される検査項目の選択画面に戻る。ステップS101で表示する検査メニュー選択の表示画面において、検査終了が選択されれば、被験者の氏名、年令等の個人データ、検査条件、および検査結果等のデータをPC3の不揮発メモリに保存した後、立体視検査のアプリケーション・プログラムが終了する(ステップS104)。
次に、健常者の肉眼の視野とHMD2の視野の関係について説明する。図5は、人間の目の左右方向の視野の広がりを説明する図である。先に、左右方向について、健常者の肉眼の視野は、図5に示されるように、人間が直立して真正面を向いて無限遠方を見たときには、視線は、水平面内で、かつ左右の眼球の中心を結ぶ直線に直交する方向にある。このときの視線の方向を、以下の説明では「姿勢に正対する方向」あるいは単に「正対する方向」ということにする。
姿勢に正対する方向は、図5において中心線15の方向に相当する。健常者であれば、左目の場合、中心線15に対して左側は約70°(角度α)、右側は約50°(角度β)であり、全体では、図5において視野範囲18として示された約120°の範囲を見ることができる。ここに、角度βは鼻柱に遮蔽されるため、角度αは目尻で遮蔽されるところまでの範囲である。中心線15の右側は、左側に比べて狭い範囲しか見えない。右目の場合には、図5を左右反転させたものとなる。
両眼の視線方向を左右に振ることができる範囲は、β=50°と同じ程度であるか、乃至少し狭い。この角度をγとすると、姿勢に正対する方向の左右±γの角度以内の物体を同時に両眼で意識を集中して見ることができ、すなわち凝視することができ、立体視が可能となる。上下方向の視野については、両眼共通で、上方が約30°、下方が約50°、全体で約80°の範囲を見ることができる。下方の見える範囲が少し広い。上述した健常者の視野については、代表値であり、個人差が存在する。近視、遠視等の理由で、メガネを掛けておれば、実効的な視野の範囲は更に狭い。メガネを掛けていても、視野は狭まるものの、ここで説明する立体視検査は同じように実施可能である。
図6は、人間の目の左右方向の視野の広がりに対して、HMDの液晶ディスプレイの表示画面の基本位置設定について説明する図である。図6を参照すると、上記した左右方向の視野に対して、立体視検査装置としてのHMD2のディスプレイ・スクリーン20(図7および図8)、すなわち、HMDの液晶ディスプレイ19(図9)をどのように配置するかについてが説明されている。以下の説明では、液晶ディスプレイとディスプレイ・スクリーンについて、これらの用語の使用意図に誤解がないかぎり、同じ意味で使用することがある。
また、ここでは、ディスプレイ・スクリーン20のなす平面が被験者の姿勢に正対する方向に、すなわち、中心線15で示される方向に垂直で、かつ該ディスプレイ・スクリーン20の辺は水平および鉛直方向に正確に揃えられ、スクリーン中心が中心線15の上に位置するように配置するものとする。このように配置すると、後述するように、画像処理のデータ処理が簡略化される。
液晶ディスプレイ19に表示された画像は、HMD光学系25(図9)を通して虚像の焦点面上に結像され、HMDディスプレイ・スクリーン20として被験者が見ることができる。右目を検査対象とするために、右目にHMD2を装着する場合については、上記の左目に関する事項を左右反転して、同様に行う。
次に、ビデオ・カメラ1で撮像された映像が、HMDの表示画面である液晶ディスプレイ19にどのように画像変化されて表示されるかについて説明する。図29には、撮像物体がビデオ・カメラの受光面に結像される状態を説明する図が示されている。図29を参照すると、集光レンズ83の光軸であるX軸に関して斜めに置かれた3角形ABCからなる被写体が、X軸に直交するビデオ・カメラの受光面の上にどのように結像されるかが示されている。ここでの説明図では、受光面の上に結像される3角形DEFは、被写体の3角形ABCを斜めであるX軸方向から見た映像を更にX軸の回りに180°回転させた形状となる。平面を斜めから見た映像に変換する演算は射影変換である。
これに対して、ビデオ・カメラ1により撮影する被写体は、図2において撮像物体7として示されるように、3次元物体の構造である。ここで、ビデオ・カメラ1を人間の肉眼に置きかえて、撮像物体7を見たままに1枚の画用紙の上に描き写すことを考えると、この画用紙は、撮像物体7の手前にあっても遠くにあってもよいが、中心線15(図5)に関して直交するように置かれるものとする。画用紙の上に描き写される撮像物体7は、結像レンズの前側主点に相当する目の1点から撮像物体7に向かって発した直線が、撮像物体7の表面と交差する点を画用紙の上の点に描き写して、画用紙全体を描き上げたものとなる。ここでは、この描画の方法を透視法ということにすると、透視法により画用紙の上に描かれる風景は、距離に反比例して、近くの物は大きく、遠くの物は小さくなるように描画される。
このような透視法により風景が描き写された画用紙を、図29に示す集光レンズ83の被写体の側でX軸に直交する平面に貼り付ければ、ビデオ・カメラ1の受光面の上には、人間が肉眼で見る画像と相似の画像が結像することになる。以上のことから、ビデオ・カメラ1で撮る画像は、透視法により作成した画像をある割合で拡大あるいは縮小したものということができる。
次に、左右の目の視線の上下方向の違いについて説明すると、人間は、左右の目の視線を別々に、すなわち片方を上方、他方を下方に向けることはできないが、両眼の視線を水平方向に向けたとき、下側の方を少し広く見ることができる。このような視野は、直立姿勢を取る人間にとって、足元を広く見ることができるので有利である。このため、HMDディスプレイ・スクリーン20の中心が、姿勢に正対する視線方向に対して少し下向きに設定すると、立体視を検査できる視野の範囲が広がることになる。しかしながら、上下方向については、視線の少しの違いで立体感が得られなくなるので、検査する視線の方向の範囲が狭く、HMDディスプレイ・スクリーン20の中心が水平面にあるように配置しても、特に問題は発生しない。
図7には、HMD2のディスプレイ・スクリーン20の画面構造が示されている。図7を参照すると、HMD2の最も外側は、HMD2の筐体フレームを構成するHMD筐体外枠22である。その内側はファインダ21であり、このファインダ21の中心部分の長方形をなす領域がディスプレイ・スクリーン20である。図7に示すディスプレイ・スクリーン20と、図6で説明しているHMDディスプレイ・スクリーン20とは同じものである。このディスプレイ・スクリーン20にビデオ・カメラ1で撮像されたビデオ映像が表示される。ファインダ21の内部は、遮光されており、外部からの光が入射しないため、暗く、ディスプレイ・スクリーン20のみに画像が表示されて明るく光る。ディスプレイ・スクリーン20に表示される撮像物体7の画像の輝度と明度は、肉眼で見る撮像物体7の映像と可能な限り同じレベルになるように調整される。
ビデオ・カメラ1で撮像された画像は、ディスプレイ・スクリーン20の全体に表示することもできるし、PC3にインストールされているオペレーティング・システム(以下「OS」と略す)において動作する画像処理プログラムによっては、ウィンドウ枠を区切って、このウィンドウ枠(以下「表示ウィンドウ」という)の中にのみビデオ・カメラで撮像された画像を表示することもできる。図8では、ディスプレイ・スクリーン20の中に表示ウィンドウ23を設定して、3次元物体の撮像物体画像24を表示している様子を表している。
表示ウィンドウ23は、ディスプレイ・スクリーン20の中で左右および上下の方向に移動して表示することができる。表示ウィンドウ23の移動は、通常の場合、立体視検査では、画面移動の命令が組み込まれたプログラムを実行することによって行われるが、臨時の場合には手動でのマウス操作によりドラッグすることでも移動させることができるものとする。表示ウィンドウ23の背景、すなわち、ディスプレイ・スクリーン20の中で表示ウィンドウ23以外の領域への表示は、通常、OSで設定できるものであり、立体視検査の目的からは黒の表示が好ましい。
ディスプレイ・スクリーン20は、実際には、HMD2における液晶ディスプレイ19(図9)上に表示された画像の虚像である。被験者は、姿勢に正対する方向で、被験者から一定の距離に焦点が結ばれた虚像を見る。この虚像が生成される位置、すなわち焦点距離は、HMD2の光学系の設計で決定される。以下の説明では、特に言及しないかぎり、撮像物体7は、HMD2の虚像が生成される距離と同じ距離に置かれるものとする。
次に、HMD2の表示ウィンドウ23の中で、撮像物体7の画像を表示すべき位置について説明する。人間が両眼ともに肉眼で撮像物体7を見るときには、漫然と見る場合と凝視する場合がある。立体感については、むしろ撮像物体7を漫然と見るときの方が強く感じることができる。漫然と撮像物体7を見るときには、視線は定まっておらず、視線は撮像物体7の表面全体を自由に移動している。一方、凝視の状態は、1点に集中して、その近隣に描かれている情報を読み取ろうと神経を緊張させている状態である。しかも、凝視の対象となるのは、のっぺりした特徴のない平面上の点ではなく、平面であれば、その平面の上に描画された絵図の特定可能な点であるか、立体形状であれば、例えば直方体の角のように周囲から突出して尖った形状となっている1点である。しかしながら、凝視の場合にも、視線が完全に1点に集中するということはなく、視線は凝視したいと意識する1点の周囲の狭い範囲を常に移動して、立体感を感じるようになっている。この意味では、図5〜図6において説明した中心線15は、凝視した場合に視線が移動している範囲の平均ベクトルの方向ということができる。
以上のことから、ここでは、撮像物体7の表面上で特徴のある1点を注視点とし、この点をHMD2の表示ウィンドウ23の中心点に一致するように撮像物体7の画像を表示するものとする。撮像物体7の表面上で特徴のある1点である注視点は、左右両眼で撮像物体7を見たときに、できるかぎり撮像物体7の中央に近く、かつ撮像物体7の占める面積が、注視点の左右上下で均等であるべきである。撮像物体7の画像中央の表面上に適当な注視点がない場合の対応については、後述する。
ビデオ・カメラ1で撮像された撮像物体7の映像は、肉眼で見る大きさと同じ大きさとして表示し、前述したように、表示位置を合わせて、表示ウィンドウ23に表示されるものとする。更に、表示ウィンドウ23の中心部が左目の視線と一致するところまで表示ウィンドウ23を移動し、映像と右目の肉眼の映像を同時に見ると、立体感をもって撮像物体7を見ることができる。
立体感については、実際には、表示ウィンドウ23に表示された映像が、厳密にビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットを装着していない状態の生の左目の肉眼で見る映像の視線に一致していなくても、十分感じることができ、不一致の許容範囲はかなり広い。実際、撮像物体7が被験者の姿勢に正対する方向に置かれ、映像が表示されている状態で、図8に示される表示ウィンドウ23を左右に動かしてみると、健常の被験者であれば、左方向では少しの移動で立体視ができない状態となるが、右方向には表示ウィンドウ23を画面いっぱいに動かしてもまだ立体感が得られる状態となる。
前述したように、肉眼の視野の方がHMD2の視野よりも広く、肉眼の視野の右側はディスプレイ・スクリーン20の右端より更に右に広がっているので、表示ウィンドウ23を右方向に画面いっぱいに動かしてもまだ立体感が得られることになる。この場合は、右方向にいっぱいに表示ウィンドウ23を動かしたときは、寄り目の状態となっており、焦点ボケしないかぎり立体感を得ることができる。他方、左側に動かした場合は遠方を見る状態になり、像を重ねて見ることができなくなったところが限界点となり、これより左側では立体感が得られない。
肉眼では、強い寄り目の状態であっても、焦点ボケしないかぎり立体感を得ることが可能である。また、少し工夫をすると強い寄り目の状態に移行しやすい。すなわち、初めに腕の長さ程度の明視距離に物体を置いてそれに注視して立体感を得ると、その後、注視をしたまま物体を目の近くに移動させると、スムーズに強い寄り目の状態に移行することができる。
図2に示すような状態で、立体視を行うに際し、HMD2を見る左目の視線の向きのみを左右方向に変えた場合にも、このような連続移行の状態が発生する。すなわち、撮像物体7が被験者の姿勢に正対する方向に置かれているとして、撮像物体7を肉眼で見た場合の左目の視線と、HMD2で見た撮像物体画像24に対する視線が一致するように表示ウィンドウ23の位置を設定し、被験者が立体感を得た状態としておき、この立体感を得た状態を維持して、表示ウィンドウ23の位置をゆっくり左側に移動していくと、視線を動かさないで直接その位置で立体感が得られる位置よりも更に左側まで立体感を得た状態で表示ウィンドウ23の撮像物体画像24を見続けることができる。この現象は、立体視機能のヒステリシス特性を示している。
反対に、左目の視線を右側方向へ変える場合については、健常者では、表示ウィンドウ23をディスプレイ・スクリーン20の右端いっぱいまで移動しても立体感をもって撮像物体画像24を見続けることができるが、異常のある人は追随できない場合がある。図8の表示ウィンドウ23を上下方向に動かした場合についても、左右方向に比べると小さいが、立体感の得られる許容範囲があるので、その許容範囲を測定する。
同様に、図8の表示ウィンドウ23に表示された撮像物体画像24を、表示ウィンドウ23の平面内で回転させた場合についても立体感の得られる許容範囲があるので、その許容範囲を測定する。
また、図8の表示ウィンドウ23に表示された撮像物体画像24の大きさを少し変化させても立体感が得られる許容範囲があるので、その許容範囲を測定する。この場合に、人間は、左右の目で見ている画像の明るい方に神経が集中しやすく、距離感は、神経が集中する方の画像の大きさで感じるという特徴をもっている。したがって、画像の大きさ、輝度、あるいは明度を変えることで、距離感が変わり、受ける立体感も異なる。
次に、本発明による立体視機能検査方法の実施例について具体的に説明する。図11には、立体視に係る各検査項目を検査する手順を実現するために、検査者が操作する具体的な画面構成が示されている。立体視機能に係るいろいろな検査項目を替えて検査を実施するためには、図4に示された手順に従い、作業フローに従って検査が実行される。この作業フローを実行するために、検査者用のディスプレイ装置5に、図11に示すような検査者用表示画面を表示して、立体視機能の検査を進める。
図11を参照すると、検査者用表示画面32には、図4に対応して、左右の目のどちらを検査対象とするかを選択するための選択ボタン33、検査項目指定ボタン34、立体視検査を終了するための終了ボタン35、ディスプレイ・スクリーン画像表示領域36のほか、被験者の氏名や検査所見等を記入する被験者データの欄が設けられている。
検査項目指定ボタン34は、立体視のヒステリシス特性に係る各検査項目を選択し、該検査項目に係る動作モードへ移行し、かつ検査者用ディスプレイ装置5の表示画面を当該の検査項目の内容に変更するためのボタンである。また、ディスプレイ・スクリーン画像表示領域36には、被験者が装着しているHMD2に表示される映像と同じ映像が表示される。このうち、図4の検査ステップを進めるために関わる表示は、選択ボタン33、検査項目指定ボタン34、終了ボタン35である。
検査者がこれらのボタンをマウスでクリックすることにより、当該検査項目が実行される。図11の画面表示において、例えば、選択ボタン33により左目が選択され、検査項目指定ボタン34によりヒステリシス特性検査の左右方向が指定されたとすると、後述するように、新しい表示画面(図13)が現われ、該検査の動作モードに移行する。立体視検査を終了するときには、終了ボタン35がクリックされると、検査者データがPC3の不揮発メモリに保存された後、アプリケーション実行プログラムが終了し、図11の表示画面もディスプレイ装置2の画面から消去される。
本実施例で使用するHMD2のディスプレイ部の画面構成は、図7に示される。また、このHMD2のディスプレイ部のディスプレイ・スクリーン20の上には、図8に示されるように、ビデオ・カメラ1で撮像した映像が表示される。この場合、図8に示されるように、ディスプレイ・スクリーン20の上に表示ウィンドウ23が表示された中に、撮像物体画像24が表示される。この表示ウィンドウ23は、立体視ができる許容範囲を測定するために、左右方向に移動され、または上下方向に移動される。
撮像物体7の画像を左右および上下の方向に移動させる方法は、ディスプレイ・スクリーン20の中に表示ウィンドウ23を設定して、表示ウィンドウ23を移動させる方法に限らない。ディスプレイ・スクリーン20の全領域よりも視野の広い画像をビデオ・カメラ1で取得し、ディスプレイ・スクリーン20にはその中央部の一部を表示するようにして、撮像物体7の表面上の注視点が左右方向および上下方向に移動するようにして、ビデオ・カメラ1で撮像した画像を切り出して表示することでも、同様の効果をもたらすことができる。ビデオ・カメラ1で撮像する画像の大きさは、ビデオ・カメラ1のレンズを目的の視野をもつものにすることで、設定が可能である。
画像の上下方向あるいは左右方向の端部に欠損が発生するような画像の切り出し方であっても、撮像物体が切り出された画像の中に残されておれば、立体視は可能である。この場合には、画像が欠損している部分は黒表示とする。
以下、本実施例においては、ビデオ・カメラ1とHMD2については、特に言及しないかぎり、それぞれ視野と画素構成が異なるものとして述べることとする。
ここでは、ビデオ・カメラ1からの出力画像は無歪みであるものとしているが、歪みがある場合には、公知の画像歪み補正の技術が利用できる。ここに、無歪み画像とは、CCD等の平板の2次元光センサの縦横方向に規則正しいピッチで配列された光感応素子に投影される画像が、実際の撮像される風景の正確な縮尺になっている画像のことであり、撮像対象が、2次元光センサの光軸に対して垂直に置かれた平板上に描かれた碁盤目であるとすれば、2次元光センサの受光面上でも正確に縦横に縮小された碁盤目として焦点を結んでいるような画像のことである。本実施例の場合には、説明を単純化するために、ビデオ・カメラ1の機能として画像歪みが補正されていることを前提としている。無歪みにするための画像補正については、一般的には、データ処理能力が高いPC側で実行することが多い。
通常、どのようなカメラであっても、出力画像には何がしかの画像歪みを有している。そのため、通常は画像歪み補正が行われる。例えば、次に述べるような画像歪み補正が行われる。すなわち、予めビデオ・カメラ1を使って、正確な間隔で配列された格子点を撮像し、配列された格子点データをカメラ内部にメモリしておき、格子点上の画素データはそのままを出力し、格子点の中間に位置する画素については最も近い4つの格子点のデータに基づき、比例配分で該当する格子点座標を求めることにより、補正を行う。格子点を用いた画像歪みの補正方法として、更に、精度を上げたものが特許文献1に記載されている方法が利用できる。
本実施例のビデオ信号処理システムとして利用するPC3の構成については、少なくとも中央演算ユニット(CPU)、メイン・メモリ、ハードディスク・メモリ、画像表示用フレーム・メモリを内蔵した描画用演算ユニット(GPU)、キーボード・インタフェース、マウス・インタフェース、ディスプレイ用インタフェース、およびUSBインタフェースを内蔵する卓上ユニット本体、ディスプレイ装置、キーボード、およびマウスの各コンポーネントから成り立っているものが利用できる。このうち、卓上ユニット本体のディスプレイ用インタフェースはマルチ出力タイプのものであり、少なくとも2つ以上の出力インタフェースを有していることが必要である。そのうちのひとつのディスプレイ用出力インタフェースは、HMD2に接続されるもので、他のひとつは検査者用のモニタ・ディスプレイ装置5に接続されるものである。
本実施例で用いるHMD2の光学系の構成の一例が図9に示されている。HMD2のカラー液晶ディスプレイ19に表示された撮像物体画像24は、曲面プリズムとレンズからなるHMD光学系25と目の水晶体レンズを通って網膜上に結像される。ビデオ・カメラ1は、HMD2の直前に取り付けられる。このような光学系の構造により、被験者は光軸26の方向に撮像物体が存在するかのように撮像物体の虚像を見ることができる。ここでは、HMD2の視野の中心軸とは、液晶ディスプレイ19の画面中心を通る光線がなす直線であり、図9では、光線が目と曲面プリズムの間を通過する直線上にビデオ・カメラ・レンズの光軸を合わせてアライメントしている様子を表している。実際には、光線が被験者に向かってHMD筐体から出射するときには、HMD筐体の保護用窓を通過するので、この分の光軸シフトがあるが、ここでは、このシフト分は無視して説明している。HMD2の光学系の構造については、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4にあるようなものが使用できる。
HMD2は、PC3からのビデオ信号を電気信号ケーブル経由で受信する。HMD2の受信インタフェース部で受信されたビデオ信号は、HMD2内部の制御用電子回路に入力され、液晶ディスプレイ19が駆動できる電気パルス列信号に変換された後、液晶ディスプレイ19に供給されて、ビデオ画像として表示される。
図10は、人の目の左右方向の視野の広がりに対して、HMDの液晶ディスプレイの表示画面をより有効に使用するための位置設定について説明する図である。図10を参照して、HMD2の液晶ディスプレイ19の視野を有効に利用する方法について説明する。現状の技術で製作可能なHMD2の視野は、肉眼視野の3分の1〜2分の1がせいぜいであり、全体をカバーするに至っていない。また、人間が立体視する際に、左右の目の視線を向けられる方向には制限がある。すなわち、近くの物を見るときには左右の目が寄り目の状態になるが、遠方の物を見ても視線は平行に近くなるだけであり、左右の目がそれぞれ別々に外側を向くことはない。外側には、片眼のみ向けられるだけで、他眼は寄り目の状態よりも更に内側を向いた状態となる。このため、立体視に関しては、内側の視線方向がより重要な機能を有する。
一方、前述したように、立体視が可能となる両眼で左右が見える範囲は、姿勢に正対する方向を中心とした±γの角度の範囲である。今、左目の眼球を右側に角度γだけ振ったとすると、左目が見える範囲は、右側は鼻柱で遮蔽されるため、姿勢に正対する方向から角度βまでで、左側は遮蔽物がなくなるが、角度α=70°より少し広い程度である。右目については、上記左目の状態を左右反転したものとなる。以上の結果、眼球を左右に自由に振ったとして立体視できる範囲は、概略角度±βの範囲内である。
通常、HMD2の視野は、この2β=100°の角度の範囲よりも狭いので、図10に示すように、視線の内側をより多くカバーするようにディスプレイ・スクリーン20を配置すれば、立体視機能で重要な内側向きの視線方向をより広くカバーすることができる。図10においては、液晶ディスプレイ19を内側に配置したときのHMDシフト線30およびシフト角31の関係が示されている。どの程度のシフト角31に設定すればよいかについては、一般的には検査対象とする撮像物体7の大きさで変化すべきものであり、検査目的により異なる。右目にHMD2を装着する場合については、上記の左目に関する事項を左右反転して構成する。
ディスプレイ・スクリーン20を、少し右にずらせて設置すれば、HMD液晶ディスプレイ19の視野をより有効に利用することができる。内側の視線をより広くカバーする目的で、該ディスプレイ・スクリーン20の平面が中心線15に対して垂直ではなく、内側の方向にある一定の角度を持たせて設置した場合であっても、透視法により作成した画像を射影変換して表示すれば、立体視が可能である。この場合に、画像変化できる範囲を測定することにより、立体視できる許容範囲を測定することができる。複雑な可動機構を追加せずに、立体視機能の検査のために利用できる。
あるいは、ディスプレイ・スクリーン20の平面が視線方向に対して常に垂直になるように、ビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットを回転移動させる方法を採用した場合にも、その光軸方向に応じて透視法により作成した画像を射影変換して表示すれば、立体視が可能となる。ディスプレイ・スクリーン20の平面が、視線方向に対して常に垂直になるように、視線を回転移動させる方法は、最もHMD画面の有効利用が図れる方法である。また、通常の使用では、ビデオ・カメラ1の画像歪みは中央部が最も小さく、常にディスプレイ・スクリーン20の中心に撮像物体の映像を表示するので、画像歪みについても最も有利となる映像表示の方法となる。
以下、本実施例では、ディスプレイ・スクリーン20の配置は、図6で示すものを使用することとして説明する。HMD2は、通常、被験者から虚像までの距離が0.5〜2.0mの間の一定値であるように設計されている。そのため、撮像物体7をHMD2の虚像が生成される距離と同じ距離においたときのみに、被験者は左右の目の焦点距離を同じ値に一致させて、撮像物体7を見ることができる。撮像物体7までの距離がHMD2の虚像の焦点距離と同じでなければ、立体感は得られるものの、左右の目が焦点を結ぶ距離が違い、人間が自然な状態で立体視する条件とは異なる。撮像物体7までの距離を変化させて立体感を評価する際には、次の2つの事項に着目すべきである。
第一に着目すべきことは、ビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットの光軸26を図6の中心線15の方向に設定した場合に、被験者には撮像物体7が正対する方向から外れた位置に見えるが、その表示された形状は肉眼で見る形状と同じになることである。ここに、「正対する方向から外れた位置」は、図12の虚像B(42)を意味する。ただし、カメラ視野内の中心の視線と、肉眼視野内の中心の視線の位置の違いは無視して考える。このことは、特別な射影変換の画像処理をしなくても、ビデオ・カメラ1の画像をそのまま表示すればよいことを意味しており、立体視検査のための装置の構成が簡易なものでよいことになる。
第二に着目すべきことは、機械的な駆動機構をつけて、撮像物体7がどの距離にあるときにもビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットの光軸26が撮像物体7の方へ向くようにする光学構成を採用することもできることである。この場合には、HMD2に表示される周辺画像が大きく取れるので、HMD2の表示画面の有効利用ができるが、機械的な駆動機構は複雑でコスト高の第一要因となり、また、かなり重いものを眼前に装着しなければならないので、相当な煩わしさが伴う。更には、変換行列の値が絶えず変化するため、PC3にとって計算負荷の大きくなる射影変換を行わなければならなくなり、デメリットが大きい。
上記の第一、第二の特徴に着目して、本実施例においては、第一の方法を採用することとする。もちろん、第二の方法を採用しても立体視検査装置システムを構成することは可能である。第一の方法の場合には、図12のHMD虚像表示面37は、HMD2のディスプレイ・スクリーン20となる。
HMD2のディスプレイ・スクリーン20に映し出された画像の位置を左右方向に移動して行う目の機能異常を検査する立体視機能の検査は以下のようにして行う。
立体視機能に係る左右方向のヒステリシス特性を検査するためには、図13に示される検査者用表示画面32により、検査のためのパラメータの設定および検査のための制御を行う。大きく分けて、検査者にとっては、少なくとも、
(1)立体視機能に関する諸データを表示する機能、
(2)検査条件の設定、検査の実行の開始、および検査終了に伴い、図11に示す検査項目の選択画面に戻るなどの検査の進行をコントロールする機能、
(3)被験者が実際にHMD2により見ている映像を表示する機能、
の3種類の制御機能が必要である。
(1)立体視機能に関する諸データを表示する機能、
(2)検査条件の設定、検査の実行の開始、および検査終了に伴い、図11に示す検査項目の選択画面に戻るなどの検査の進行をコントロールする機能、
(3)被験者が実際にHMD2により見ている映像を表示する機能、
の3種類の制御機能が必要である。
図13に示す検査者用表示画面32では、これら(1)〜(3)の制御機能の項目が表示画面のエリアを分けて表示されているものとなっている。検査者用表示画面32の左半分には、(1)立体視機能に関する諸データが表示される。また、ディスプレイ・スクリーン画像36で示される枠には、黒表示の背景部分も含めて、(3)被験者が実際にHMD2により見ている映像が表示される。上記(2)の検査進行をコントロールする機能については、ボタン46のいずれかをクリックすることにより実行することができる。
上記の「(1)立体視機能に関する諸データ」については、更に、
(4)検査対象の目を示すデータ、
(5)検査のための初期値として設定するべきデータ、
(6)検査中の進行に係るデータ、
(7)検査の結果として測定されるデータ、等が上げられる。
上記の「(1)立体視機能に関する諸データ」については、更に、
(4)検査対象の目を示すデータ、
(5)検査のための初期値として設定するべきデータ、
(6)検査中の進行に係るデータ、
(7)検査の結果として測定されるデータ、等が上げられる。
また、ここでの(5)のデータとして、検査対象、ディスプレイ・ウィンドウ、表示ウィンドウ、「撮像物体の注視点」を除く撮像物体に係る記載の項目、表示ウィンドウ移動方向、イメージ速度および検査予定所要時間、の各項目のデータがある。(6)のデータとしては、撮像物体の注視点座標、検査経過時間、および検査開始終了の各項目のデータがある。このうち撮像物体の注視点座標のデータは、検査中にそのデータが時々刻々更新される。(7)のデータとしては、後述する図14に示されているA、B、C、Dで示されたチェック点に係る各項目のデータがある。このデータは、検査中に更新される。チェック点に係る各項目の意味については、次に説明する。
図13に示す検査者用表示画面32は、「(1)立体視機能に関する諸データ」についてどのように表示できるかを示した一例であり、表示項目は、図13に例示されたものに限らない。あるいは、表示項目数が表示画面に表示しきれないほど多い場合には、表示画面を新しく作成して、これに表示することも可能である。
立体視機能の視線の方向に関する健常者のヒステリシス特性について、図14を用いて説明する。立体視検査装置により、被験者は、左目にビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットを装着し、押しボタン・スイッチ6を手に持ち、図14に示すように、HMD2のディスプレイ・スクリーン20には表示ウィンドウ23が表示されて、立体視の状態にあるものとする。
この状態で表示ウィンドウ23のみを左方向に等速で移動すると、表示ウィンドウ23の中心がA点に達するまでは立体視状態を保ったままでいられるが、表示ウィンドウ23の中心がそれより左側になると、立体視ができなくなる点が発生する。この点に到達した時点で被験者は押しボタン・スイッチ6を押す。そうすると、そのときの表示ウィンドウ23の中心の横軸座標であるX座標がPC3に記憶される。検査者用表示画面32のチェック点/Aポイントの欄にも、そのときの表示ウィンドウ23の中心の該X座標と経過時間が表示される。更に、表示ウィンドウ23を少し左方向に移動させ、立体視ができない状態をより強くする。その後、表示ウィンドウ23を移動する方向を反転させ、右方向へ移動させる。
この移動により、表示ウィンドウ23の中心が位置Bに達したところで、再び立体視状態が得られるようになる。このときに被験者が再び押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときのX座標がPC3に記憶され、検査者用表示画面32のチェック点/Bポイントの欄にも、そのときのX座標と経過時間が表示される。続いて、表示ウィンドウ23を更に右側に移動させると、健常者の場合には、表示ウィンドウ23がディスプレイ・スクリーン20の右端に到達しても立体感が得られた状態にあるが、立体視機能に異常があり、その調整範囲が狭い人の場合には、例えば位置Cで立体感が得られなくなる場合がある。
健常者で表示ウィンドウ23がディスプレイ・スクリーン20の右端に到達しても立体感が得られた状態にあれば、検査者用表示画面32のチェック点/Cポイントの欄には、「なし」と表示される。立体視機能に異常があり、位置Cで立体感が得られなくなれば、被験者は、その時点で押しボタン・スイッチ6を押す。すると、そのときのX座標がPC3に記憶され、検査者用表示画面32のチェック点/Cポイントの欄に、そのX座標と経過時間が表示される。表示ウィンドウ23がディスプレイ・スクリーン20の右端に到達すれば、移動方向を反転させる。
立体視機能異常のため、再び位置Dで立体感が得られるようになれば、被験者により押しボタン・スイッチ6が押されるので、そのときのX座標がPC3に記憶され、検査者用表示画面32のチェック点/Dポイントの欄に、該X座標と経過時間が表示される。あるいは、健常者の場合には、Bポイントで立体感が再現されて以来、引き続き立体感が得られたままであるので、検査者用表示画面32のチェック点/Dポイントの欄には「なし」と表示される。この場合のDポイントの欄に「なし」と表示するタイミングは、表示ウィンドウ23がディスプレイ・スクリーン20の右端に到達した時点とする。表示ウィンドウ23がスタートした元の位置に戻れば1回の測定サイクルが終了する。
通常、この測定は数回行われ、得られた位置データの平均値、傾向などで立体視機能の状態が診断される。図14ではS字状の曲線で表示ウィンドウ23の動きを説明しているが、実際は表示ウィンドウ23の中心点は直線上を動く。健常者の場合、図14のAポイントはBポイントより左側にあり、同じ位置にはならない。つまり、ヒステリシス特性を有する。視野が十分に広いHMD2が実現できれば、健常者であっても、図14のC点、D点が発生する場合がある。
図15は、立体視機能の左右方向の視線の差に関するヒステリシス特性の測定手順を説明するフローチャートである。図15のフローチャートを参照して、立体視機能の左右方向の視線の差に関するヒステリシス特性の測定手順について説明する。このヒステリシス特性の測定手順では、ステップS201からステップS214までのステップは、表示ウィンドウ23を、ディスプレイ・スクリーン20の中で立体視が可能な中央位置に設定する手順を示しており、ステップS215からステップS223までのステップは、図14に示した検査の進行について手順を追って示したものとなっている。図14および図15では、表示ウィンドウ23を初めに左方向へ移動することから始めているが、このヒステリシス特性の検査は、表示ウィンドウ23を初めに右方向へ移動することから始めてもよい。
上記のヒステリシス特性の検査の説明は、表示ウィンドウにより対象物の移動を左右方向についてのみ移動した例による説明であるが、上下方向についても同様のことが成り立つ。ただし、上下方向については、左右方向のような、左右で立体感が得られる範囲が著しく違うという異方性はない。また、表示ウィンドウ23を上方向に移動させた場合も、下方向に移動させた場合も、立体感が得られ続ける範囲は、左右方向に比べて狭く、必ず立体感を喪失するポイントが現われるものとなる。
図16は、立体視機能の上下方向の視線の差に関するヒステリシス特性の測定手順を説明するフローチャートである。上下方向に対象物を移動させて検査する場合は、表示ウィンドウ23をディスプレイ・スクリーン20の中で移動させることになるが、これは、例えば、図14に示すディスプレイ・スクリーン20の画面を90°時計方向に回転させて、表示ウィンドウ23を縦方向に移動させるようにしたものとなる。ヒステリシス特性の検査を行う場合、表示ウィンドウ23を、まず上方向に移動させてスタートする。検査ステップは、図16のフローチャートに示された手順となる。図16のステップS301は、図15のステップS220〜S214に相当する。表示ウィンドウ23を、最初に下方向に移動させてスタートすることもできる。
HMD2に表示される画像の輝度レベルを肉眼で感じるレベルと同じ程度のレベルに維持すると、該HMD2の液晶ディスプレイ19に表示されている画像のサイズを少し、例えば±5%変更しても立体感が得られたままの状態を維持することができる。
次に、画像サイズの違いによって変化する立体感に関する検査方法について説明する。画像のサイズは、まず、大きくする方に少しずつ時間的に一定の割合で変化させ、立体視が維持できなくなったところで、被験者が押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの画像サイズがPC3に記録される。更に、画像サイズを大きくなる方向に変化させて十分立体視ができない条件となってから、画像サイズを小さくなる方向に逆転して検査を続ける。再び立体感が得られたところで、被験者が、押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの画像サイズがPC3に記録される。更に、画像の変化が続けられ、再び立体感が得られなくなったところで、被験者が、押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの画像サイズがPC3に記録される。更に、画像サイズを小さくなる方向に変化させて、十分立体視ができない条件となってから、次に画像サイズを大きくなる方向に逆転して検査を続ける。再び立体感が得られたところで、被験者が、押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの画像サイズがPC3に記録される。画像サイズが、検査開始時点と同じ大きさになったところで検査を終了する。なお、画像サイズを変化させる方向は、小さくなる方向から検査を開始してもよい。
一方の目で見るHMD画像の明度と輝度レベルを、他方の目の肉眼で感じるレベルと同じ程度のレベルに維持し、このHMD2の液晶ディスプレイ19に表示されている画像のサイズを±10%程度以内で変化させて、立体感が得られた状態にあるときに感じる距離感は、サイズの大きい方の画像によって判断された距離が感じられる。距離感を測るときには、撮像物体を所定の割合でHMD2に拡大表示した状態にして、撮像物体とまったく同じ形状かつ色彩の参照物体を立体視している撮像物体に隣接して置き、立体視状態と片眼での肉眼視を交互に繰り返しながら、参照物体をゆっくり前後に移動させて、被験者が同じ距離にあると感じる位置を求める。
図17は、立体視に係る距離感を測定するための撮像物体と参照物体の配置方法を説明する図である。距離感を測定検査するための撮像物体7と参照物体47の配置の仕方を、図17を参照して説明する。参照物体47における3次元直交座標系Xr−Y−Zrは、撮像物体7の3次元直交座標系Xo−Y−ZoをY軸方向に平行移動したものである。また、Y軸、Zo軸およびZr軸は、水平面50の内にあるものとする。左目にビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットを装着して検査を行う場合は、図17に示すように、参照物体47は、撮像物体7の直近に向かって右側隣に置かれる。距離感を検査する場合には、参照物体47をZr軸上で前後に移動させる。
図18は、立体視に係る距離感を測定する手順を示すフローチャートである。距離感を測定検査する検査手順では、図18に示すように、まず、参照物体47を最初に遠くに置いて立体感を得られない状態にしておき、次に、手前に移動させることで、再び立体感を得るという手順としているが、参照物体47を最初に手前に置いて立体感を得られない状態にしておき、次に遠くに移動させることで再び立体感を得る手順とするようにしてもよい。
また、図8により説明したように、ディスプレイ・スクリーン20に表示される表示ウィンドウ23の移動による立体視できる範囲を求める検査の画像の変化として、表示ウィンドウ23に表示されている撮像物体画像24を任意方向に少し回転させても、立体感を維持したままの状態を続けることができる。ただし、回転の中心は表示ウィンドウ23の中心とし、前述したように、撮像物体7の表面上の特徴ある1点に注視点が設定され、この注視点が表示ウィンドウ23の中心と一致するように撮像物体画像24が表示されているものとする。
ここで変化させる画像変化の実施例では、画像の回転は、以下に示す平面内での回転を使用するものとする。座標系の構成は、図17で、傾き角α(51)が0°である場合を考える。被験者の姿勢に正対する方向が+Zo軸方向で、表示ウィンドウ23はXoY平面内にあり、Y軸が水平方向、Xo軸が鉛直方向にあるとする。XoY平面内の図形を角度φだけ原点周りに反時計方向に回転させるには、図形を構成する各点に対して、次の回転行列を乗ずればよい。
ここでの注視点を不動にするには、まず、注視点が原点に来るように平行移動してから上記(1)式により回転させ、その後、逆に、注視点が元にあったところまで平行移動することにより可能となる。原点までの平行移動の変換行列は、注視点のベクトルを(Xa,Ya)とし、平行移動される図形上の点のベクトルを(X,Y)とすると
である。逆平行移動は符号を変えることにより
である。したがって、行列S=P’・M・Pを回転させたい画像を構成する点のベクトルに乗算すればよいことになる。
ここでの注視点を不動にするには、まず、注視点が原点に来るように平行移動してから上記(1)式により回転させ、その後、逆に、注視点が元にあったところまで平行移動することにより可能となる。原点までの平行移動の変換行列は、注視点のベクトルを(Xa,Ya)とし、平行移動される図形上の点のベクトルを(X,Y)とすると
である。逆平行移動は符号を変えることにより
である。したがって、行列S=P’・M・Pを回転させたい画像を構成する点のベクトルに乗算すればよいことになる。
画像の回転は、まず、例えば、被験者に対して反時計回りに少しずつ時間的に一定の割合で回転させ、立体視が維持できなくなったところで、被験者が押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの回転角がPC3に記録される。更に、画像を反時計回りに回転させて十分立体視ができない条件となってから、次に、画像を時計回りに逆回転させて検査を続ける。再び立体感が得られたところで、被験者が、押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの回転角がPC3に記録される。更に続けて、再び立体感が得られなくなったところで、被験者が、押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの回転角がPC3に記録される。
更に、画像を時計回りに回転させて十分立体視ができない条件となってから、次には、画像を反時計回りに逆回転して検査を続ける。再び、立体感が得られたところで、被験者が、押しボタン・スイッチ6を押すと、そのときの回転角がPC3に記録される。画像の方向が、検査開始時点と同じ方向になったところで検査を終了する。なお、画像を回転させる方向は、時計回りから検査を開始してもよい。
HMD画像の輝度レベルの画像変化に関しても立体感が得られる範囲が存在する。これらの検査を実施するについては、立体視の対象となる物体の置かれる照明の条件を一定にして、背景となるエリアはできるかぎり均一であることが必要である。この背景条件としては、均一な色の大きな平板の上に撮像物体7を置き、撮像物体7を望む斜め上方の全方位から均一な光源で撮像物体7を照射し、かつ撮像物体7が平板に投影する影の発生を可能なかぎり抑止することが必要である。しかしながら、この場合は、撮像物体7については、その画像を構成する場合の各面が反射する光量に適度な違いがあり、立体として人間が認識しやすいことが要求される。このような設定の下で、撮像物体7をビデオ・カメラ1の視野の中央に置き、撮像物体7の周囲は平板のみがビデオ・カメラ1の映像として出力されるようにすれば、上記の背景条件に限りなく近い撮像環境を得ることができる。
実施例では、HMD2の液晶ディスプレイ19に画像を表示するためのデジタル数値の構成は、表示3原色の赤(R)、緑(G)、青(B)に対してそれぞれ8ビットの諧調で表示されるものとする。これはPC用ディスプレイの標準的な仕様である。白黒表現の輝度レベルには次の式で変換される。
ここでのR、G、Bの値は整数値であるので、(1)式の右辺の計算結果が小数点以下の数値をもつときは、小数点第一位を四捨五入して、整数に丸められるものとする。したがって、Yの値も8ビットの整数値である。ここでの(4)式によれば、R=G=B=0のとき最小値Y=0で黒レベル、R=G=B=255のとき最大値Y=255で白レベルとなる。
この実施例で取り扱う液晶ディスプレイについては、理想特性をもつものを仮定する。すなわち、上記(4)式のデジタル数値が液晶ディスプレイの発光輝度と比例関係にあるように、ディスプレイのガンマ特性が良好に調整されているものとする。ここに、ガンマ特性とは、通常の個々のディスプレイ機器では、発光輝度と上記(4)式の値が比例関係にないために、発光輝度と上記(4)式の値を比例させるように導入されたパラメータである。ガンマ特性については、公知であるため、説明を省略する。
ここでは、HMD2のガンマ特性は適切に調整されており、最小値Y=0でディスプレイ・スクリーン20の黒、最大値Y=255でディスプレイ・スクリーン20の最大輝度を表示し、中間値のYの値に対しては、ディスプレイ・スクリーン20の輝度はYの値に比例するものとする。
次に、本実施例で取り扱う輝度レベル検査のためのディスプレイの基準明度とビデオ信号の関係について説明する。基準明度とは、8ビットで表される三原色RGBのデジタル値を同じ値にして、すなわち、R=G=Bとして、片眼で一様なグレイ〜白色のディスプレイ・スクリーン20を見ており、もう一方の肉眼では、先に説明したように、情景を見ている状態において、平均的に肉眼と同じ明るさと感じるR=G=Bの値のディスプレイ・スクリーン20の明るさを示すものとする。このときの(4)式の値をYoとする。ただし、Yoは四捨五入されて整数値になっているものとする。人間の輝度分解能は64諧調程度以下であることに対して、Yoは0〜255のデジタル値を取りうる。ここでは、このように基準明度を人間の感覚として定義しているので、Yoの値にはある程度の幅があるが、一旦設定すれば変更しないものとする。
輝度レベルの変化に伴う立体感の検査のためのビデオ信号は、次の(5)式により作成する。
ここに、(R,G,B)の値は、先に説明したように、8ビットのデジタル値である。kは、0≦k≦1の任意の実数値である。Roundは四捨五入する演算子を示す。
ここに、(R,G,B)の値は、先に説明したように、8ビットのデジタル値である。kは、0≦k≦1の任意の実数値である。Roundは四捨五入する演算子を示す。
Yxは、8ビットからなる輝度レベルに相当する定数であり、ディスプレイの輝度に一定のオフセットを与える働きをする。Yx=0では完全黒の状態がベースとなるが、Yx>0の場合には一定の明るさの画面がベースとなり、その中に目的の画像が重畳された映像となる。Yxは0〜255の任意の整数値に設定することができるが、(5)式の計算結果は、8ビットをオーバーフローさせるような大きい値には設定できない。Yxの値については、現場調査に基づいて、基準明度Yoの値との関係から設定すべき値である。
図20は、立体視に係る輝度レベルの順応性を検査する手順を説明するフローチャートである。立体感が得られるディスプレイ・スクリーン20の輝度レベルの変化の範囲に関する検査は、図20に示すような手順により実行することができる。図20においてステップS502の手順は、(5)式をk=0に設定することに相当する。また、図20において輝度レベルを上げることは、(5)式でkの値を大きくすること、逆に、輝度レベルを下げることは、(5)式でkの値を小さくすることに相当する。
ここで、人が物体を見るときの注視点を任意の位置に設定できるように、一般化した定義を行う。この注視点には物体表面上の特徴点が選ばれることと、この注視点は、物体画像の中央付近の点であるべきこと、また、該注視点は画像の回転変換の不動点とすることについては、前に詳述したが、注視点を一般化した場合には、撮像物体7の表面上の点を選択することもできるし、撮像物体7の内部の点を選択することもできる。このため、以下において、一般化された注視点という意味で使用するときには、「基準点」ということにする。基準点は、撮像物体7の画像が、図12でいえば視線B41の上に表示されるようにするための参照位置ベクトルの役割をする。注視点を一般化する場合、画像の中央に適当な特徴点がないために、一般化するのであるから、一般化された注視点は特徴点ではありえない。単に、画像変化を行うための基準点の役割をするだけである。
撮像物体7の基準点は、次のようにして指定することができる。まず、撮像物体7の表面の上の特徴点となる3点を選定し、次に、これらの3点を通る平面上の1点を指定し、この点を「点P」とし、更に、点Pを回る平面上の回転方向を指定する。ここに、3点を通る平面は唯一のものとして決定される。これらの定義を行った上で、撮像物体7の基準点は、回転方向に関して右ネジが進む方向で、点Pを通る平面の垂線上の、点Pから指定された距離にある点とすることができる。
立方体に関して基準点を指定する一例について説明する。まず、立方体の表面の認識しやすい3点を決定する。立方体の場合、図21に示すように、点A、点B、点C(以下、該3点を同時に呼ぶときは「3点ABC」という)のような互いに隣接する3つの頂点が最も認識しやすい。図21の3点ABCを通る平面は、立方体を構成するひとつの側面がなす平面に等しい。立方体の基準点は、図21では点Oであるとする。点Oは、線分ABの中点Mを通り、3点ABCがなす平面と直交する直線上の点で、中点Mから指定された距離にある点として定義することができる。ただし、平面と直交する直線上で平面から指定された距離にある点は、平面の表と裏の両側にあるので、点A→点B→点C→点Aと回転したときに、右ネジが進む方向と定義すれば、唯一の点が指定できる。ちなみに、ここで定義された基準点は、立方体の重心である。あるいは、撮像物体7の表面上の点である点Aを基準点に指定することもできる。この場合には、点Aは、3点ABCを通る平面上の点Aから距離がゼロのところにある点として定義できる。撮像物体の基準点の座標を定義する上記の手法は、任意形状の撮像物体に適用することができる。
以上の説明では、撮像物体7がHMD2の虚像と同じ距離にあるものとしてきたが、撮像物体7がHMD2の虚像と同じ距離にない場合、すなわち、左右の目の焦点距離が違う場合にも立体感は得られるので、擬似的な条件の下での立体視機能の検査は可能となる。このとき、撮像物体7の置かれる位置と、HMD2の虚像の生成される位置との関係は、図22あるいは図23に描かかれたようなものとなる。
図22および図23は、それぞれ左目の単眼立体視検査において撮像物体がHMDの虚像結像面より手前および遠方に設置されている場合のHMDの表示画面への撮像物体の表示方法を説明する図である。
撮像物体7の置かれる位置がHMD2の虚像の生成される位置よりも被験者の近くにある場合を図22に示しており、遠くにある場合を図23に示している。どちらの場合においても、HMD2に表示される撮像物体7の大きさは、肉眼で見る大きさと同じ大きさに拡大あるいは縮小して表示することが必要である。拡大あるいは縮小する操作は、使用するビデオ・カメラ1の視野とHMD2の視野の関係で決まる。
ここで、HMD2に表示する撮像物体5の大きさを肉眼で見る大きさと同じ大きさにして表示する方法について説明する。HMD2の液晶ディスプレイ19、すなわち、HMD虚像表示面37には、透視法により撮像物体7から作成した画像をある割合で拡大あるいは縮小した画像が表示される。また、この画像については、前述した方法により定義した撮像物体7の基準点が表示ウィンドウ23の中心に一致するように表示される。
ビデオ・カメラ1で撮像された画像は、丁度、この透視法により作成した平面画像を射影変換した画像となっている。したがって、ビデオ・カメラ1とHMD2の画素構成および視野が同じであれば、それぞれの画素が1対1対応するように、ビデオ・カメラ1で撮像した画像をHMD2の液晶ディスプレイ19に表示すればよい。しかしながら、この実施例では、ビデオ・カメラ1とHMD2の画素構成および視野はともに異なるものを前提としているので、ビデオ・カメラ1とHMD2の相互の間で画素を対応づける幾何学的なある割合を乗じて対応させなければならない。この割合を拡大率ということとし、拡大率は、次のようにして求めることができる。拡大率は1より小さい場合もある。
肉眼で見た場合の撮像物体7の画角は、撮像物体7のサイズと、該撮像物体7と右目との間の距離から求めることができる。また、HMD2の虚像が表示される距離は既知であるので、比例計算によりHMD2の虚像として、撮像物体7を表示すべきサイズを求めることができる。HMD液晶ディスプレイ19上で撮像物体7が占める液晶ディスプレイ19の画素数と、カメラ画像の中で撮像物体7が占める画素数の比が、この場合の画像の拡大率となる。
ここで設定した拡大率は、撮像物体7までの距離がHMD2の虚像のできる距離よりも近くにある図22の場合あっても、あるいは撮像物体7までの距離がHMD2の虚像のできる距離よりも遠くにある図23の場合であっても、一旦システムで値を決定すれば変更する必要はない。例えば、図22の状態で該拡大率を設定したとすれば、撮像物体7をこれより遠方に配置したとして、肉眼で該撮像物体7を見込む画角が、図22の状態から小さくなる割合は、ビデオ・カメラ1で撮像する該撮像物体7を見込む画角が小さく割合と同じ値となるので、該拡大率は変わらない。
撮像物体7までの距離がHMD2の虚像のできる距離よりも近くにある図22の場合には、HMD虚像表示面37では、撮像物体7のサイズは実物サイズより大きくなるが、撮像物体7の虚像を見込む画角と現物の撮像物体7を見込む画角は同じである。左目の視線は深く内側を向くので、撮像物体7の注視点がHMD虚像表示面37上で表示される位置は中間線48より右側になる。
撮像物体7までの距離がHMD2の虚像のできる距離よりも遠くにある図23の場合については、HMD虚像表示面37では、撮像物体7のサイズは実物サイズより小さくなるが、この場合にも撮像物体7の該虚像を見込む画角と現物の撮像物体7を見込む画角は同じである。左目の視線は浅く内側を向いており、撮像物体7の注視点がディスプレイ・スクリーン20上で表示される位置は中間線48より左側になる。
HMD虚像表示面37は、図23では、右目の視線を妨げないように描かれているが、これは立体視状態にあることを強調するための表現であって、実際には、図22のような場合であっても同じHMDを使用するために、右目の視線を深く妨げるところまで右寄りの配置がなされている。
撮像物体7までの距離がHMD2の虚像のできる距離よりも近くにある場合、また撮像物体までの距離がHMD2の虚像のできる距離よりも遠くにある場合は、HMD2上へ表示する画像に変換し、この変換された画像を元にして、前述したように、左右方向、上下方向、画像サイズの大小方向、回転方向などに、様々に表示する画像を変化させる画像処理の方法および手順により変化させた場合の画像変化の範囲を求めて立体視機能の検査を実施することが可能である。
以上、撮像物体7までの距離がHMD2の虚像のできる距離と同じでなくとも、単眼HMD2と肉眼の組合せによる立体視に関する検査が実施できることを説明したが、もちろん、HMD2の虚像が生成される距離が眼前から無限遠方まであるHMD2を、検査の必要数だけ用意をすれば、撮像物体の距離による立体感の変化をより精密に検査することが可能である。
撮像物体7が置かれる距離が、HMD2の虚像が生成される距離と同じであっても、あるいは同じでなくても、上記の画像の左右上下の平行移動変換、サイズ変換、回転変換、輝度および明度レベル変換の複数を適宜組み合わせて、その画像変換の範囲を計測することで立体視機能検査が行える。
次に、本発明を実施するための他の形態(その1)について説明する。立体視機能検査は、現実の物体の画像ではなく、コンピュータで人工的に作成された仮想イメージを用いても行うことができる。ここでは、仮想イメージで表現された物体を「仮想イメージ物体59」ということにする。仮想イメージ物体59の作成要領については、次に、図24を参照して説明する。
仮想イメージ物体59は、例えば、グラフィック処理の業界標準となっている3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」を用いて作成し、HMD2のディスプレイ・スクリーン20に表示することが可能である。3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」では、ある視点から眺めた3次元カラー図形の作成、図形の表面特性の設定、回転表示、陰影処理のデータ処理が可能である。また、図形の表面に写真画像を貼り付けて表示することも可能である。したがって、自然に近い画像が作成できる。更に、これらを人間の目には連続して動いているように表示することも可能である。「OpenGL」を用いて描画された3次元仮想イメージ物体は、立方体のような簡単なものから、複雑な構造を持つものまで作成できる。また、これら3次元の構造体をいろいろな角度から見た映像として描画することができる。この3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」は公知であり、その処理については、本発明の内容とは直接には関係しないので、ここでの詳細な説明は省略する。
まず、「発明を実施するための他の形態(その1)」について説明する。これについては、以下「実施例の他の形態(その1)」ということにする。
実施例の他の形態(その1)では、ビデオ・カメラ1は使用せず、被験者は両眼タイプのHMD2のみを装着して、立体視機能を検査する。従来から、両眼用HMD2を用いて立体視を行う技術は、ビデオ・ゲーム用などにおいて多用されてきた。しかしながら、これらの応用では、立体感が容易に得られるという観点からの開発がなされてきただけであり、例えば、肉眼で見るよりも現実の撮像物体に対して、物体を見る輻輳角を大きくするように画像処理を行い、立体感を強調する技術である。
このように、従来技術では、立体感を強調するという方向で開発がなされてきたが、立体感が得られる特性値を測定し、病理検査に応用するという目的での検査装置の開発は行われていなかった。これに対して、本発明では、立体視機能の特性値を測定することを主目的にして、特有の画面構成や測定手順による立体視機能検査方法が提供される。
更に、実施例の他の形態(その1)については、HMD2の画面構成や測定手順は、単眼HMD2を用いた本出願の実施例で記述した方法に類似する方法を採用し、両眼用HMD2を用いて、立体視機能を得ようとするものである。
3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」を用いた仮想イメージによる立体視検査法では、ビデオ・カメラ1を使用しないので、カメラ・レンズに起因する画像歪みが発生しない。そのため、HMD2の液晶ディスプレイ19の画面上への物体形状のより正確な表現が可能である。
次に、3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」を用いて作成した仮想イメージ物体59による立体視機能検査の具体的な実施例について説明する。PC3用として少なくとも3つの画面に対する表示処理ができるグラフィック処理ユニット(以降「GPU」という)を用いる。GPUで表示処理する3つの画面を、それぞれ左目用の表示画面、右目用の表示画面、および検査指示の制御用の表示画面として利用する。左目用と右目用の表示画面の処理として「OpenGL」で書かれた2つのプログラムを実行し、GPUの3つの出力のうちひとつの出力には左目用のプログラム出力である表示ウィンドウ23を表示し、また、もうひとつの出力には右目用のプログラム出力である表示ウィンドウ23を表示し、これら2つのGPU出力をそれぞれ左目用と右目用のHMD2に接続することにより、被験者が同時に左右の目で別々の画像を見ることができるようにする。そして、3つ目の表示画面のGPU出力は、検査者用のディスプレイ装置5に接続して、ディスプレイ装置5に、図11、図13や図19に例示されているような検査者用の内容を表示して、立体視機能の検査を実施する。
3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」で作成する立体視検査のための仮想イメージ物体59としては、例えば、図24に示すような幾何学的な配置で立方体の3次元画像を作成する。すなわち、仮想イメージ物体59は、水平面50上に置かれ、被験者の姿勢に正対する方向で、かつ、HMDの虚像が生成される距離に配置される。ここに、HMD2の虚像が生成される距離とは、仮想イメージ物体59の中心点と左右の目の中間点(O)49の間の距離(d3)52である。仮想イメージ物体59の中心点は、前述した基準点を求める方法により設定可能である。立方体の場合には、対象性の観点から中心点を重心点とするのが最適である。
図24に示すように、3次元画像表示ソフトウェア「OpenGL」により仮想イメージ物体59を作成する際には、被験者から見て仮想イメージ物体59に影が発生しないように、第1の光源60と第2の光源61の2つの光源を使用して、これらの光源のそれぞれを被験者側の少し手前の左右の斜め上方に配置して、仮想イメージ物体59を照射する。仮想イメージ物体59の表面特性としては、色、拡散反射係数等を指定する。立方体の場合には、立方体を構成する互いに隣接する3つの平面が不均等に見える視線方向から立方体を見ると、立体感を得やすい。この立方体を見る視線方向は、次のようにして得ることができる。すなわち、図24に示すように、仮想イメージ物体59の中心を原点とする座標系の直交座標系を構成する2軸であるX軸とZ軸の回りに仮想イメージ物体59を回転させ、更に視線の傾き角(α)51を調整する。視線の傾き角(α)51を調整することは、仮想イメージ物体59をY軸の回りに回転させることと等価の効果がある。仮想イメージ物体59の表面特性、および仮想イメージ物体59に対する視線の方向は、立体視の容易さに関わる因子であり、立体視検査の対象となる特性値となりうる。
HMD2へ仮想イメージ物体59の画像を表示する方法は、図7および図8により説明した方法を用いる。また、視野の中心線15に対してHMD2のディスプレイ・スクリーン20を配置する方法は、前述したように、図6に示す方法と同じものとする。ただし、右目については図6を左右反転した構成とする。
実施例の他の形態(その1)で使用する左目用のHMDの液晶ディスプレイ19の位置を、先の実施例と同様に、すなわち、図10に示すように、シフトさせて配置すると、表示画面の有効利用ができる。実施例の他の形態(その1)で使用する右目用のHMDの液晶ディスプレイ19については、左目用の液晶ディスプレイ19の配置を左右反転させたものとすれば、同様に表示画面の有効利用ができる。しかし、この場合においても、同様にして、HMDの液晶ディスプレイ19の配置はシフトせず、左目用のHMD液晶ディスプレイ19については、図6のように、右目用のHMD液晶ディスプレイ19については図6を左右反転したように、配置するものとする。
この説明では、仮想イメージ物体59の位置はHMD2の虚像が生成される位置に置くものとしてきたが、先に説明した実施例のように、仮想イメージ物体59がHMD2の虚像の位置にない場合にも、擬似的な検査が可能となる。このためには、図22および図23により説明したように、左目について適用してきた撮像物体7のHMD虚像表示面37への表示方法を、左目だけでなく、右目にも同時に適用すればよい。ただし、表示方法を実施例の他の形態(その1)に適用するに当たっては、撮像物体7を仮想イメージ物体59に代え、更に、図22および図23の構成を左右反転させることとする。こうすることにより、両眼で、左目用HMD虚像表示面64および右目用HMD虚像表示面63に表示された仮想イメージ物体59を、立体感をもって見ることが可能となる。
同様に、実施例の他の形態(その1)においても、HMD2の虚像が生成される距離が眼前から無限遠方まであるHMD2を、検査の必要数だけ用意をすれば、仮想イメージ物体59の距離による立体感の変化をより精密に検査することが可能である。
まず、仮想イメージ物体59までの距離が、HMD2の虚像ができる距離よりも近くにある場合について、図25を用いて説明する。この場合、初めに仮想イメージ物体59が検査すべき焦点の距離(d4)65に生成される。次に、左目は仮想イメージ物体59の左側から、右目は仮想イメージ物体59の右側から、それぞれ輻輳角の1/2に相当する角度だけ偏った方向から仮想イメージ物体59を見る。この時点で、左目用と右目用の2つの仮想イメージがそれぞれ左目用HMD虚像表示面64と右目用HMD虚像表示面63の上に生成される。仮想イメージ物体59は、前述したように、透視法により作成した画像をある割合で拡大あるいは縮小することで、左目用HMD虚像表示面64あるいは右目用HMD虚像表示面63上に生成することができる。この場合、左目用HMD虚像表示面64あるいは右目用HMD虚像表示面63が画用紙となり、図5の中心線15に相当するベクトルを表す直線は中間線48として示されている。かつ、左右の目からそれぞれ左右のHMD虚像表示面上に生成された仮想イメージの注視点へ向かう視線ベクトルが距離(d4)65で交差するように、仮想イメージを生成するものとする。
前述したように、仮想イメージ物体59を生成すれば、輻輳角については、肉眼視と同じ条件の値に設定することができるが、目の焦点をHMD虚像表示面に合わせて検査することになるので、肉眼視の条件とは異なることになる。この場合、HMD虚像表示面が生成される被験者からの距離は、左右で同じである。しかし、立体感は得られるので、上記条件の下で輻輳角による影響を検査することができる。この点に関し、実施例の他の形態(その1)では、先に説明した単眼HMD2を使用した場合の立体視特性検査とまったく同じ事情にある。
同様にして、仮想イメージ物体59までの距離が、HMD2の虚像ができる距離よりも遠くにある場合の検査について、図26を用いて説明する。図26では、図25と同じ記号を用いて構成要素を表現しているので、同様に説明できる。すなわち、初めに仮想イメージ物体59が検査すべき焦点距離(d4)65に生成される。次に、左目は仮想イメージ物体59の左側から、右目は仮想イメージ物体59の右側から、それぞれ輻輳角の1/2に相当する角度だけ偏った方向から該仮想イメージ物体59を見る。この時点で、左目用と右目用の2つの仮想イメージがそれぞれ左目用HMD虚像表示面64と右目用HMD虚像表示面63の上に生成される。仮想イメージの生成は、前述した透視法によるものとして、距離に応じて画像を拡大または縮小する。図26の場合、輻輳角に関する事情についても、図25と同じことがいえる。
ここで、両眼タイプのHMD2を用いるケースに関して、暗黙裏に、左右のHMDの表示画面いっぱいにそれぞれ別々の表示ウィンドウ23を表示するものとして説明してきたが、これは画面いっぱいの表示ではなくて、図8に示すように、表示ウィンドウ23を用いた部分的なものでもよい。図8に示すような部分的な表示は、両眼タイプのHMD2の片方のHMD2のみに適用することもできるが、両眼のHMD2に対して適用することもできる。
図8に示すような部分的な表示ウィンドウ23を用いる場合には、片方のHMD2に表示されている表示ウィンドウ23を左右に移動させて、図15の検査ステップを実行すれば、前述したように、立体視の左右方向の視線の角度差(輻輳角)に関するヒステリシス特性を検査することができる。上下方向の視線の角度差に関するヒステリシス特性を検査することができることも同様である。
左右の目に装着したHMD2のディスプレイ・スクリーン20いっぱいに広げて、それぞれ別の表示ウィンドウ23を表示する場合には、表示ウィンドウ23の中で背景を含めて立体視の対象となる仮想イメージを左右、上下に平行移動させれば、同様に、それぞれ左右、上下方向の立体視の視線の角度差に関するヒステリシス特性を検査することが可能である。
仮想イメージ物体59のサイズを変えて立体感を検査する方法について、図27を用いて説明する。図27は、仮想イメージ物体59の位置が、HMD2の虚像が表示されるよりも手前にあって、右目で見る仮想イメージ物体59のサイズを変えて立体感の変化を調べている様子を表している。異なったサイズの仮想イメージ物体59を作成する方法については、先に説明した方法を用いることができる。右目用のサイズだけを変更しておくだけで、まったく同じ手順により生成することができる。また、生成された仮想イメージ物体59をHMD虚像表示面に投影するには、前述した方法を用いることができる。以上の手順に従えば、左右の目からそれぞれ左右のHMD虚像表示面上に生成された仮想イメージの注視点へ向かう視線ベクトルは、距離(d4)65で交差する。
仮想イメージ物体59のサイズに関する立体視機能の検査は、前に説明した検査方法と同じである。右目用の仮想イメージだけを時間的に一定の割合でゆっくりと拡大あるいは縮小させることを1サイクル行い、立体感がどこまで追随するかを検査する。
図27では、左右の目に対して生成された仮想イメージに関してその位置を平行移動させて描いているが、大きさが異なることを明示するために、意図的に平行移動させて描いている。実際には、左右用の仮想イメージ物体59のそれぞれの注視点は、距離(d4)65の直線上の同じ座標点にある。
両眼タイプのHMD2の片方のHMD2に対して、同じ要領で仮想イメージ物体59を回転表示させて検査を実施すれば、画像の回転に関する立体視機能の追随範囲を検査することができる。
両眼タイプのHMD2を用いて、仮想イメージ物体59が表示された片方のHMD2のディスプレイ・スクリーン20の輝度レベルを変えて立体感がどう変化するかについて検査することも可能である。ここで、HMD2の液晶ディスプレイ19に関する表示特性、および液晶ディスプレイ19の表示色を表現するための光の3原色RGBのデジタル信号の構成は、前に説明したものと同じとする。また、HMD2の輝度レベルを変える方法についても同様に前に説明した方法と同じとする。また、検査手順は、図20により説明した方法と同じ手順を使用することとする。ただし、この場合、ステップS501においては、両眼についてHMD2の表示状態を調整するものとする。また、ステップS502〜S509では、検査対象とする片眼のHMD2に対してのみ操作するものとする。検査対象ではない他の片眼のHMD2への表示は、図20のステップS502〜S509の間では、変更しないものとする。
実施例の他の形態(その1)では、先の輝度レベルを変化させる検査方法について説明した照明と背景に関する要求に関しては、すべての映像をコンピュータ・グラフィクスで作成するため、仮想イメージ物体59、光源160、光源261や、背景とともに数値で設定できることから、容易に満足させることができる。
仮想イメージ物体59が置かれる距離と、HMD2の虚像が生成される距離が同じであっても、あるいは同じでなくても、画像の左右および上下の平行移動変換、サイズ変換、回転変換、輝度および明度レベル変換の複数の変換を適宜組み合わせて、立体視検査が行えることは、この実施例で説明した単眼HMDを用いた立体視検査装置の場合と同様である。ただし、実施例の他の形態(その1)では、実施例で述べた距離感に関する測定はできない。
次に、「発明を実施するための他の形態(その2)」について説明する。これについても、以下「実施例の他の形態(その2)」ということにする。
先に説明した実施例の説明では、片眼にビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットを装着し、他方の目は肉眼のままで立体視を行う方法により立体視を行い、立体視機能に付帯するヒステリシス特性の特性値の測定ができることを説明したが、両眼にビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットをそれぞれ装着しても立体視は可能であるので、以下、実施例の他の形態(その2)として、両眼にビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットをそれぞれ装着する場合の実施例について説明する。
この実施例の他の形態(その2)においても、先の実施例で説明した項目から距離感を除いた残りすべての項目の立体視機能に関する特性値を測定することが可能である。実施例の他の形態(その2)におけるビデオ・カメラ1、HMD2、目の配置関係を示す模式図を図28に示す。
以下、実施例の他の形態(その2)では、左目に装着するビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットは、実施例で説明した組合せセットと全く同じ機能をもつものとして、また、右目に装着するビデオ・カメラ1とHMD2の組合せセットは、この実施例で述べた肉眼の機能を代替して機能させることとする。実施例の他の形態(その2)においても、この実施例で述べたように、検査対象とする目を左右入れ替えて検査が可能である。
実施例の他の形態(その2)のためのビデオ信号処理システムは、図3で示されるシステムを左目用として(以降、「システムA」という)、また、図3で示されるシステムから押しボタン・スイッチ6とディスプレイ装置5、および第2のビデオ出力端子11を除いたシステムを右目用として(以降、「システムB」という)使用することができる。システムAおよびシステムBにインストールするソフトウェアは同じものとすることができるが、システムBでは、ビデオ・カメラ1の画像をHMD2の表示画面に表示する機能のみを使用する。すなわち、ビデオ・カメラ1の画像の切り出し、表示ウィンドウ23の表示、表示ウィンドウ23の表示位置の調整、画像の輝度と明度の調整の機能を使用するだけであり、検査手順を実行する機能は使用しないこととする。
システムAを用いて、先の実施例で述べた立体視機能に関する各特性の検査に係る手順を実行するとともにビデオ・カメラ1の画像をHMD2へ表示し、システムBでは、先の実施例で述べた肉眼に相当する機能を提供するようにビデオ・カメラ1の画像をHMD2へ表示して、全体システムを構成する。この実施例で説明した立体視機能に関する特性としては、視線の左右および上下方向の角度差に関するヒステリシス特性、画像サイズの違いによる影響の特性、画像の回転による影響の特性、および画像の輝度あるいは明度レベルによる影響の特性がある。ただし、実施例の他の形態(その2)では、実施例の他の形態(その1)と同様に、距離感に関する測定はできない。
本実施例の形態(その2)においても、左目用のHMD2について、図10に示すように、中心線15で表される被験者に正対する方向からシフト角31だけHMD2の虚像を生成する位置をシフトさせて表示させれば、HMD表示画面の有効利用が可能である。右目用のHMD2についても、左右を逆に構成することで、同様の画面の有効利用が可能となる。
また、HMD2の液晶ディスプレイ19に撮像物体7を表示する方法に関しては、実施例の他の形態(その2)では、実施例の他の形態(その1)の仮想イメージを現実空間のカメラ撮像イメージに代えて表示を行っているだけであるので、実施例の他の形態(その1)で提示した図25〜図27に示した仮想イメージをカメラ撮像イメージに代えただけで、そのままの表示方法を採用することができる。したって、HMD2の虚像が生成される位置だけでなく、撮像物体7がHMD2の虚像が生成される位置より遠い、あるいは近い場合の立体視機能についても同じ検査方法と手順により実施可能である。
通常、立体視機能検査に使用する撮像物体7の注視点には、物体の表面に存在する特徴点が選択される。注視点を、図12に示すように、HMD虚像表示面37と視線B41の交点に重なるように表示するには、注視点がディスプレイ・スクリーン20上の対応する座標、すなわち、液晶ディスプレイ19のどの画素に対応するかを知る必要がある。ここで説明した透視法は、任意形状の3次元物体を平面に透視投影することを意味している。また、射影変換は、ここでは、平面に描かれた図形をこの平面と交差する平面に透視投影する意味で使用している。「OpenGL」を用いる場合には、3次元物体は小さな3角形ポリゴンを組み上げて作成する。ひとつひとつの3角形ポリゴンは平面であり、3次元物体を構成するひとつひとつのポリゴンを透視投影して被験者から影になるポリゴンを表示しないようにすれば、3次元物体を平面に透視投影した2次元の仮想イメージができあがる。この意味では、実施例の他の形態(その1)の図形生成法は、射影変換の一種として取り扱われている。
撮像物体をポリゴンの集合体と考えれば、ビデオ・カメラの焦点面への結像も射影変換として取り扱うことができる。ここでの実施例に係る射影変換行列を求める方法について説明する。射影変換について、図29を参照して説明する。まず、座標系の構成を次のように定める。集光レンズ83は厚さゼロの理想的なものであって、前側主点と後ろ側主点が同一点にあるものとし、カメラの結像は無歪みであるとする。また、座標系の原点Oは集光レンズ83の上にあるものとする。カメラの2次元受光素子は、素子平面が集光レンズ83の光軸と直交し、その中心点が集光レンズ83の光軸上にあるようにアライメントされ、受光面が集光レンズ83の焦点面75上にあるとする。集光レンズ83の光軸の原点Oから2次元光感応素子の受光面の中心への方向が+X軸方向とする。Y軸は、長方形をなす2次元受光素子の受光面の一辺のなす方向で、かつ原点Oを通る直線とする。Y軸はX軸に直交し、XY平面は水平面をなしているとする。図29では+Y軸が紙面の裏側を向く方向として描かれている。Z軸は、X軸とY軸に直交する方向で、+Z軸は鉛直方向の上向きであるとする。
更に、前述したように、撮像物体7の表面上に指定された3点ABCで構成される3角形は、図29においても、それぞれ同じ記号を用いて3角形ABCで表すものとする。また、ビデオ・カメラの受光面、すなわち、焦点面75と撮像物体7の上の3角形ABCのなす平面は平行していないとする。
以上のような条件を設定すると、カメラの焦点面75に結像される実像である3角形DEFは、撮像物体7の上の3角形ABCを射影変換したものとなる。ただし、点DEFはそれぞれこの順番で点ABCに対応するものとする。以上から、射影変換行列を3×3次元の行列T、また、点A、点B、点C、点D、点E、点Fの位置ベクトルをそれぞれベクトルA、B、C、D、E、Fで表されるものとすると、
であり、Xa,Xb,Xc,Xd,Xe,Xfはそれぞれ位置ベクトルのベクトルA、B、C、D、E、FのX座標成分を表す。ここに、ベクトルA、B、CとXd=Xe=Xfは既知であるので、(7)式からベクトルD、E、Fが求まり、このベクトルD、E、Fの値を使って(6)式から射影変換行列Tを求めることができる。最後に、図29の焦点面側を180°回転させて物面と同じ側にあると考えれば、図29の構図は、図22、図23、および図25〜図27で行ったHMD虚像面への投影に対応させることができる。
であり、Xa,Xb,Xc,Xd,Xe,Xfはそれぞれ位置ベクトルのベクトルA、B、C、D、E、FのX座標成分を表す。ここに、ベクトルA、B、CとXd=Xe=Xfは既知であるので、(7)式からベクトルD、E、Fが求まり、このベクトルD、E、Fの値を使って(6)式から射影変換行列Tを求めることができる。最後に、図29の焦点面側を180°回転させて物面と同じ側にあると考えれば、図29の構図は、図22、図23、および図25〜図27で行ったHMD虚像面への投影に対応させることができる。
撮像物体7が置かれる距離が、HMD2の虚像が生成される距離と同じであっても、あるいは同じでなくても、上記の画像の左右上下の平行移動変換、サイズ変換、回転変換、輝度および明度レベル変換の複数の変換を適宜組み合わせることにより、立体視検査が行えることは、実施例で述べた単眼HMDを用いた立体視検査装置の場合と同様である。
今後、HMDはいろいろな産業分野で利用されるようになること予想されるが、その場合に、本発明による立体視機能検査方法を用いることにより、個人の立体視機能データを測定することができ、最も立体視のしやすいHMDの表示ディスプレイの配置、表示の明るさに調整することが可能となる。HMDを利用する際には、眼鏡レンズの光軸間隔を設定する際に使用する瞳孔間隔測定装置のように、必須の補助装置として使用されることが想定される。
現状では、立体視機能に係るヒステリシス特性については、十分な臨床データがない状態であり、よく理解されていないところである。したがって、本発明による装置は、今後研究用として利用される機会を提供することが可能となる。
1 ビデオ・カメラ
2 ヘッド・マウント・ディスプレイ
3 パーソナル・コンピュータ
4 コンピュータ本体
5 ディスプレイ装置
6 押しボタン・スイッチ
7 撮像物体
15 中心線
19 液晶ディスプレイ
20 ディスプレイ・スクリーン
21 ファインダ
22 HMD筐体外枠
23 表示ウィンドウ
24 撮像物体画像
26 光軸
30 HMDシフト線
31 シフト角
32 検査者用表示画面
33 選択ボタン
34 検査項目指定ボタン
35 終了ボタン
36 ディスプレイ・スクリーン画像
37 HMD虚像表示面
40 距離d1
42 虚像B
46 ボタン
47 参照物体
48 中間線
49 中間点O
50 水平面
51 傾き角α
52 距離d3
59 仮想イメージ物体
60 第1光源
61 第2光源
63 右目用HMD虚像表示面
64 左目用HMD虚像表示面
65 距離d4
75 焦点面
83 集光レンズ
2 ヘッド・マウント・ディスプレイ
3 パーソナル・コンピュータ
4 コンピュータ本体
5 ディスプレイ装置
6 押しボタン・スイッチ
7 撮像物体
15 中心線
19 液晶ディスプレイ
20 ディスプレイ・スクリーン
21 ファインダ
22 HMD筐体外枠
23 表示ウィンドウ
24 撮像物体画像
26 光軸
30 HMDシフト線
31 シフト角
32 検査者用表示画面
33 選択ボタン
34 検査項目指定ボタン
35 終了ボタン
36 ディスプレイ・スクリーン画像
37 HMD虚像表示面
40 距離d1
42 虚像B
46 ボタン
47 参照物体
48 中間線
49 中間点O
50 水平面
51 傾き角α
52 距離d3
59 仮想イメージ物体
60 第1光源
61 第2光源
63 右目用HMD虚像表示面
64 左目用HMD虚像表示面
65 距離d4
75 焦点面
83 集光レンズ
Claims (11)
- ビデオ・カメラの光軸とヘッド・マウント・ディスプレイの視野中心軸が一直線上に配置されるようにアライメントしたヘッド・マウント・ディスプレイを被験者の片眼に装着して、前記ビデオ・カメラで撮像された3次元物体の画像を前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示して前記被験者の片眼により観察すると同時に、被験者の他方の片眼は肉眼により、前記3次元物体を立体的に観察させるようにして、
前記ヘッド・マウント・ディスプレイにより映写される画像に対して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 被験者には両眼用のヘッド・マウント・ディスプレイを装着し、左右両眼用の物体の3次元仮想イメージを前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示し、被験者に前記3次元仮想イメージを3次元物体として立体的に観察させるようにして、
片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像は固定とし、他の片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像に対して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - ビデオ・カメラの光軸とヘッド・マウント・ディスプレイの視野中心軸が一直線上に配置されるようにアライメントしたヘッド・マウント・ディスプレイを被験者の両眼に装着して、前記ビデオ・カメラで撮像された3次元物体の画像を前記ヘッド・マウント・ディスプレイに表示して前記被験者の両眼により前記3次元物体を立体的に観察させるようにして、
片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像は固定とし、他の片眼のヘッド・マウント・ディスプレイに映写される画像に関して画像変化の処理を行い、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる範囲の画像変化量を測定し、立体視機能の指標データとして出力する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、
表示される画像の位置を左右あるいは上下方向に往復させて、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる画像位置の範囲を測定し、目の機能異常を検査する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、
表示される画像のサイズを変化させて、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる画像サイズの範囲を測定し、目の機能異常を検査する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、
表示される画像を回転表示し、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる回転角の範囲を測定し、目の機能異常を検査する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、
表示される画像の輝度あるいは明度を変化させ、立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、立体感を得ることのできる輝度あるいは明度の範囲を測定し、目の機能異常を検査する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求1に記載の立体視機能検査方法において、
3次元物体の撮像物体に加え、全く同じ形状および色彩の参照物体を撮像物体に隣接して配置し、前記参照物体を前後になめらかに移動できるようにした上で、
ヘッド・マウント・ディスプレイに表示される撮像物体の画像のサイズを変化させ、
他方の肉眼で見る参照物体のサイズが同じ大きさと感じられる位置に参照物体を前後に移動し、
立体視の観察の有無の被験者の応答に従って、被験者からの撮像物体と参照物体の距離を測定して比較し、距離感の異常を検査する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
ヘッド・マウント・ディスプレイのディスプレイ・スクリーンの中に表示ウィンドウを設定し、前記表示ウィンドウにおいて立体視機能の検査のための画像を表示する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
ヘッド・マウント・ディスプレイに映写する画像の画像変化処理は、
撮像物体、あるいは仮想イメージ物体の画像を拡大、縮小、あるいは回転してヘッド・マウント・ディスプレイの表示部に表示するための画像の不動点として、撮像物体、あるいは仮想イメージ物体の表面上の3点を選択し、該3点を通る平面上の1点から該平面の指定された側の指定された距離にある点を採用する
ことを特徴とする立体視機能検査方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の立体視機能検査方法において、
被験者の真正面方向に向けた視線に関して、左目用ヘッド・マウント・ディスプレイでは表示画面が垂直で、かつ右側にシフトし、また、右目用ヘッド・マウント・ディスプレイでは表示画面が垂直で、かつ左側にシフトするように表示画面を取り付ける
ことを特徴とする立体視機能検査方法。
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JP2008274782A JP2010099335A (ja) | 2008-10-24 | 2008-10-24 | 立体視機能検査方法 |
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- 2008-10-24 JP JP2008274782A patent/JP2010099335A/ja active Pending
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