JP2010096559A - 2次元分光測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内視鏡や眼底カメラなどに用いられる2次元分光測定装置において、走査機構の小型化および走査時間の短縮とともに、高い分解能で測定できるようにする。
【解決手段】対物レンズとして像側テレセントリックレンズ3を設け、その焦点位置にピンホール4aが2次元配列されたピンホールアレイ4を配置し、像面位置に各ピンホール4aに個別に対応したマイクロレンズ5aを有するマイクロレンズアレイ5を配置する。こうして、被測定物像2の各点の光をコリメート光とし、DMDやMEMSから成るマイクロミラーアレイ6で反射(偏向)させ、その反射(偏向)光を回折格子7によって分光し、分散光の分光分布をセンサアレイ9で求める。したがって、マイクロミラーアレイ6の微少変位で各点の順次走査を実現するので、小型化および走査時間の短縮を実現できる。また、各点の分光分布は、分光測色計のような構成によって、高い分解能で測定できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内視鏡や眼底カメラなどに付加機能として設けられ、2次元の被測定物像内の各点を順次走査して、それぞれの分光分布を測定する2次元分光測定装置に関する。
一般的な分光測定装置は、被測定物表面上のスポット領域の分光分布を測定するものであるが、広い測定領域に対する分光分布を測定するには、2次元的に分光分布を測定できる装置が必要である。そこで、2次元分光分布を測定できる装置として、前記のような眼底カメラや内視鏡、その他医療分野における病変部のイメージング装置への使用が考案されており、広範囲の診断領域から病変部を素早く発見し、正しく診断するために使用される。また、航空写真の撮影時に地上の2次元分光分布を測定することで、環境や資源面などでの有効な情報を得られることが期待されている。
そこで、前記眼底カメラに用いられる2次元分光測定装置として、特許文献1が提案されている。その従来技術によれば、対物レンズの像面位置にスリット開口を配置し、その後に分光ユニットを配置して、スリット開口によって像面上のある一次元方向の光のみを分光ユニットへ導光する一方、その分光ユニットからの分散光が入射される2次元センサでは、スリット方向の画素列でスリット開口像を分割し、スリットと直交する方向の画素列で、前記分散光の分光分布が結像されるようになっている。したがって、スリット開口以降の要素を、スリット方向と直交する方向へ走査することで、2次元センサ上には各スリット開口位置での分光分布が順次結像され、最終的に像面の全領域の分光分布が測定される。
特開2005−296400号公報
上述の従来技術では、スリット開口以降の光学系全体をメカニカルに走査させる必要があり、走査系が大型化し、装置全体も大型化してしまうという問題がある。また、生体を観察する際、観察対象は静止し続けるとは限らず、高速な走査が必要とされる場合、上記構成では高速走査には対応できないという問題もある。さらにまた、モニタ画像から、医師などの操作者が分光分析の必要な領域を選択し、その領域だけの分析を行う場合にも、前記スリット開口以降の光学系全体を、前記領域の縁に対応した開始位置まで移動させた後、走査を行うことになり、素早く分析したい場合でも、その開始位置まで移動させるのに一定の時間を要することになる。
ところで、スリット開口のみを走査させる方法も考えられるが、スリット位置が変化するとスリット通過光が回折格子に入射する角度が変化し、分光センサ上の光の結像位置がズレてしまう。このため、全ての分散光をセンサに導くには、分散角度を狭くし、受光面積の広いセンサを使用しなくてはならず、構成が困難であるとともに、分散角度を狭くすると、分光分解能が低下してしまう。
本発明の目的は、走査のための機構を小型化することができるとともに、走査時間を短縮することができ、さらに高い分解能で測定することができる2次元分光測定装置を提供することである。
本発明の2次元分光測定装置は、2次元の被測定物像内の各点における分光分布を測定する2次元分光測定装置において、対物レンズとしての像側テレセントリックレンズと、前記像側テレセントリックレンズの焦点位置に配置され、前記被測定物像の光束をそれぞれ分割するピンホールが2次元配列されて成るピンホールアレイと、前記ピンホールアレイにおける各ピンホールに個別に対応したマイクロレンズを有し、該マイクロレンズの焦点位置が前記像側テレセントリックレンズの像面に一致して配置されるマイクロレンズアレイと、複数のマイクロミラーが2次元配列されて成り、前記マイクロレンズアレイによってコリメートされた光を反射するマイクロミラーアレイであって、前記像側テレセントリックレンズから該マイクロミラーアレイまでの光経路外で複数の異なる方向へ、入射光を順次走査して反射可能なマイクロミラーアレイと、前記像側テレセントリックレンズからマイクロミラーアレイまでの光経路外に配置され、前記マイクロミラーアレイで反射された光を分光する回折格子と、前記回折格子による分散光が入射され、その分光分布を求めるセンサアレイとを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、内視鏡や眼底カメラなどに用いられ、2次元の被測定物像内の各点を順次走査して、それぞれの分光分布を測定する2次元分光測定装置において、対物レンズとして像側テレセントリックレンズを設けるとともに、前記像側テレセントリックレンズの焦点位置に、ピンホールが2次元配列されて成るピンホールアレイを配置し、さらに前記像側テレセントリックレンズの像面位置に、前記ピンホールアレイにおける各ピンホールに個別に対応したマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを配置する。こうして、前記ピンホールアレイによって前記被測定物像の光束を各点の光にそれぞれ分割することができるとともに、迷光となる不要成分を除去し、前記像側テレセントリックレンズによって、マイクロレンズアレイに前記各点の光を垂直に入射させることができ、前記マイクロレンズアレイによって前記各点の光をコリメートすることができる。
その各点のコリメート光を、複数のマイクロミラーが2次元配列され、DMD(Dgital Micromirror Device)やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などから成るマイクロミラーアレイによって、前記像側テレセントリックレンズから該マイクロミラーアレイまでの光経路外の方向へ順次走査して反射(偏向)させ、その反射(偏向)光を回折格子によって分光し、分散光の分光分布をセンサアレイで求める。
したがって、2次元の被測定物像内の各点の分光分布を求めるにあたって、DMDやMEMSなどから成るマイクロミラーアレイの微少変位によって前記各点の順次走査を実現するので、走査のための機構を小型化することができるとともに、走査時間を短縮することができる。また、各点の分光分布は、分光測色計のような回折格子にCCDセンサアレイの構成によって、高い分解能で測定することができる。
また、本発明の2次元分光測定装置では、観察用の2次元画像センサに、その撮像画像を表示する表示部をさらに備え、前記マイクロミラーアレイは、入射光を、前記像側テレセントリックレンズから該マイクロミラーアレイまでの光経路外の2つの方向へ切換えて反射可能であり、第1の方向には前記2次元画像センサが配置され、第2の方向には前記回折格子にセンサアレイが設けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、操作者は、観察用の2次元画像センサおよび表示部によって、前記2次元の被測定物像を確認しながら、その像内の一部を、前記マイクロミラーアレイによって取出し、分光分布を測定することができる。
さらにまた、本発明の2次元分光測定装置では、操作者の入力操作を受付ける入力操作部と、前記表示部へのモニタ画像の表示に伴い、前記入力操作部によって、前記モニタ画像上で指定された領域に対応するマイクロミラーのみを前記順次走査させる走査制御部とをさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、医師などの操作者が、モニタ画像を確認し、関心領域と指定した領域だけの走査を行うことができる。
したがって、素早く必要な領域の分光分布を測定することができる。
また、本発明の2次元分光測定装置では、前記マイクロミラーアレイのマイクロミラーにおいて、相互に等しい行番号または列番号の素子を連動して制御する走査制御部と、前記回折格子からセンサアレイの間に設けられ、前記の連動して制御される行方向または列方向に母線方向を有するシリンドリカルレンズとをさらに備えて構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、走査制御部は、前記マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーの同じ行番号または列番号の素子を連動して制御し、これによって前記2次元の被測定物像内の各点が、同時にライン状に走査され、その走査が列方向または行方向に展開されて、2次元の走査が行われることになる。そして、前記センサアレイは、前記分散方向に複数の素子が配列され、さらに前記2次元の被測定物像の行方向または列方向に複数の素子が配列されたCCD2次元アレイセンサから構成されるとともに、前記回折格子からセンサアレイの間には、前記行方向または列方向の走査光を纏めてセンサアレイに導き、分散光を収束させるシリンドリカルレンズが設けられる。
これによって、同じ行番号または列番号のマイクロミラーによる反射光に対して、同時に分光分布を求めることができ、走査時間を一層短縮することができる。
さらにまた、本発明の2次元分光測定装置では、前記マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーは、相互に連動して制御される前記行方向または列方向と直交する列方向または行方向の走査方向に2つのグループに分割されており、そのグループでの反射角度が相互に異なるように設定されるとともに、前記センサアレイは前記2つのグループのそれぞれに対応して設けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーが、たとえば走査方向の前半部分と後半部分とのように、或いは奇数番目の行または列と偶数番目の行または列とのように、相互に連動して制御される前記行方向または列方向と直交する列方向または行方向の走査方向に2つのグループに分割されて、前記走査制御部によって、2つのグループの行または列が同時に選択されて回折格子側へ光を反射する。このため、各グループでの反射角度が相互に異なるように設定されるとともに、前記センサアレイは前記2つのグループのそれぞれに対応して設けられる。
したがって、センサアレイが2つ必要になる、或いは1つのセンサのエリアを2分割して使用する必要はあるものの、走査時間を半分にすることができる。
また、本発明の2次元分光測定装置では、前記マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーは、相互に連動して制御される前記行方向または列方向と直交する列方向または行方向の走査方向に2つのグループに分割されており、そのグループでの反射方向が相互に逆方向に設定されるとともに、前記回折格子およびセンサアレイは前記2つのグループのそれぞれに対応して設けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーが、たとえば走査方向の前半部分と後半部分とのように、或いは奇数番目の行または列と偶数番目の行または列とのように、相互に連動して制御される前記行方向または列方向と直交する列方向または行方向の走査方向に2つのグループに分割されて、前記走査制御部によって、2つのグループの行または列が同時に選択されて光を反射する。そして、各グループでの反射方向が相互に逆方向に設定されるとともに、前記回折格子およびセンサアレイは前記2つのグループのそれぞれに対応して設けられる。
したがって、回折格子にセンサアレイが2つ必要になるものの、走査時間を半分にすることができる。また、2つのセンサアレイの構成を異なるように設定すれば、一方の測定に対して他方の測定の分解能の向上や、分光波長範囲の拡大をすることも可能である。
さらにまた、本発明の2次元分光測定装置では、前記マイクロミラーアレイと回折格子との間に介在され、前記マイクロレンズアレイによるコリメート光の前記マイクロミラーによる反射光を収束する収束レンズと、前記収束レンズの焦点付近に配置されるスリットと、前記収束レンズの反対側で、かつ該収束レンズの焦点距離よりも遠い位置に配置されて、前記スリットの通過光をコリメート光に変換して前記回折格子に入射させる拡大レンズとをさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記マイクロレンズアレイによるコリメート光は微小スポットであるのに対して、一旦収束レンズで収束させ、スリットで迷光を除去した後、前記スリットから収束レンズの焦点距離よりも遠い位置に配置した拡大レンズによって再びコリメート光に変換することで、前記回折格子に入射させる光束を一次元方向に拡げることができる。
したがって、前記回折格子による分散性能を向上させることができる。
また、本発明の2次元分光測定装置では、前記回折格子は、凹面形状であることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記マイクロレンズアレイによってコリメートされ、マイクロミラーアレイで反射され、さらに回折格子で分散された光は、センサアレイに入射させる際にシリンドリカルレンズ等の収束レンズで収束させる必要のあることがあり、その場合には、前記回折格子を凹面形状に形成することで、前記収束レンズを省略することができる。
本発明の2次元分光測定装置は、以上のように、内視鏡や眼底カメラなどに用いられ、2次元の被測定物像内の各点を順次走査して、それぞれの分光分布を測定する2次元分光測定装置において、対物レンズとして像側テレセントリックレンズを設けるとともに、前記像側テレセントリックレンズの焦点位置に、ピンホールが2次元配列されて成るピンホールアレイを配置し、さらに前記像側テレセントリックレンズの像面位置に、前記ピンホールアレイにおける各ピンホールに個別に対応したマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを配置することで、前記ピンホールアレイによって前記被測定物像の光束を各点の光にそれぞれ分割し、前記像側テレセントリックレンズによってマイクロレンズアレイに前記各点の光を垂直に入射させることができるようにして、前記マイクロレンズアレイによって前記各点の光をコリメートする一方、その各点のコリメート光を、複数のマイクロミラーが2次元配列され、DMDやMEMSなどから成るマイクロミラーアレイによって、前記像側テレセントリックレンズから該マイクロミラーアレイまでの光経路外の方向へ順次走査して反射(偏向)させ、その反射(偏向)光を回折格子によって分光し、分散光の分光分布をセンサアレイで求める。
それゆえ、2次元の被測定物像内の各点の分光分布を求めるにあたって、DMDやMEMSなどから成るマイクロミラーアレイの微少変位によって前記各点の順次走査を実現するので、走査のための機構を小型化することができるとともに、走査時間を短縮することができる。また、各点の分光分布は、分光測色計のような回折格子にCCDセンサアレイの構成によって、高い分解能で測定することができる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の第1の形態に係る2次元分光測定装置1の光学系を説明するための斜視図である。この2次元分光測定装置1は、内視鏡や眼底カメラなどに用いられ、2次元の被測定物像2内の各点を順次走査して、それぞれの分光分布を測定するものである。注目すべきは、この2次元分光測定装置1の光学系は、対物レンズとしての像側テレセントリックレンズ3と、前記像側テレセントリックレンズ3の焦点位置に配置され、前記被測定物像2の光束をそれぞれ分割するピンホール4aが2次元配列されて成るピンホールアレイ4と、前記ピンホールアレイ4における各ピンホール4aに個別に対応したマイクロレンズ5aを有し、該マイクロレンズ5aの焦点位置が前記像側テレセントリックレンズ3の像面に一致して配置されるマイクロレンズアレイ5と、複数のマイクロミラー6aが2次元配列されて成るマイクロミラーアレイ6と、前記マイクロミラーアレイ6で反射された光を分光する回折格子7と、前記回折格子7による分散光を集光するシリンドリカルレンズ8と、前記シリンドリカルレンズ8からの入射光の分光分布を求めるセンサアレイ9と、前記マイクロミラーアレイ6で反射された光をモニタする観察用の2次元画像センサ10とを備えて構成されることである。
そして、対物レンズとして前記像側テレセントリックレンズ3を設けるとともに、前記像側テレセントリックレンズ3の焦点位置に、ピンホール4aが2次元配列されて成るピンホールアレイ4を配置し、さらに前記像側テレセントリックレンズ3の像面位置に、前記ピンホールアレイ4における各ピンホール4aに個別に対応したマイクロレンズ5aを有するマイクロレンズアレイ5を配置することで、前記ピンホールアレイ4によって前記被測定物像2の光束を各点の光にそれぞれ分割することができるとともに、迷光となる不要成分を除去し、前記像側テレセントリックレンズ3によってマイクロレンズアレイ5に前記各点の光を垂直に入射させることができ、前記マイクロレンズアレイ5によって前記各点の光をコリメートすることができる。なお、このマイクロレンズアレイ5に、像側テレセントリックレンズ3における色収差は、合わせて、良好に補正されているものとする。
その各点のコリメート光を、DMD(Dgital Micromirror Device)やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などから成るマイクロミラーアレイ6のマイクロミラー6aによって、前記像側テレセントリックレンズ3から該マイクロミラーアレイ6までの光経路外の2方向の何れかに順次走査して反射(偏向)させ、一方の反射(偏向)光が回折格子7に入射され、他方の反射(偏向)光が2次元画像センサ10に入射される。前記マイクロミラーアレイ6のマイクロミラー6aは、複数の素子が2次元配列されて成り、前記各素子は、前記ピンホールアレイ4における各ピンホール4aおよびマイクロレンズアレイ5における各マイクロレンズ5aに対して、個別に対応していてもよく、また対応していなくてもよい。前記マイクロミラー6aは、後述する走査制御回路によって、電圧が印加されたときにはonとなって、前記コリメート光の光軸に対して+12°傾斜して前記回折格子7側に対向し、電圧が印加されないときにはoffとなって、前記コリメート光の光軸に対して−12°傾斜して前記2次元画像センサ10側に対向する。
そして、このマイクロミラー6aは、前記走査制御回路によって、相互に等しい行番号または列番号(本実施の形態では、以下、列番号とする)の素子が連動して制御される。したがって、分光の分解能は、CCD2次元センサから成るセンサアレイ9の分散方向の素子数および回折格子7の回折度合いによって決定され、解像度は、前記マイクロレンズアレイ5のマイクロレンズ5aと、マイクロミラーアレイ6のマイクロミラー6aとの分解能が粗い(素子数が少ない)方によって決定される。
前記回折格子7は、前記on時におけるいずれのマイクロミラー6aからの反射光も反射可能なように、前記マイクロミラーアレイ6の面積に対応した大きさに形成され、前記列方向に延びる帯状の反射光を各波長成分に分光して反射する。その波長成分毎の分散光は、分散方向と母線が直交するシリンドリカルレンズ8によってセンサアレイ9上に纏めて結像され、分光分布が求められる。このようなマイクロミラー6aの1列(ライン状)の走査を、行方向に順次シフト(展開)させて行わせることで、最終的に、前記被測定物像2の全域の分光分布を測定することができる。
図2は、前記2次元分光測定装置1の全体構成を示すブロック図である。この図2において、図1の構成に対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。前記マイクロミラーアレイ6ならびにセンサアレイ9および2次元画像センサ10の走査タイミングは、前記走査制御回路である制御装置11によって制御される。前記センサアレイ9および2次元画像センサ10で得られた画像信号は、それぞれメモリ12,13において、少なくとも1フレーム分記憶され、解析処理装置14に入力される。解析処理装置14では、前記メモリ13からのリアルタイム画像を表示部15に表示させ、分光分布の測定モードとなると、前記2次元画像センサ10で得られた画像信号から被測定物像2の所定の列方向のラインの分光分析を行い、操作部16からの操作に応答して、操作者が所望とする領域の分光測定の結果を前記表示部15に表示する。
図3は、分光測定の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1では、マイクロミラー6aをonすべき列番号Nが初期値の1にセットされ、ステップS2では、制御装置11は、そのN(この場合は1)列目のマイクロミラー6aに対してonの信号を与えて、ミラー列を回折格子7側に偏向させて、残余はoffとして、2次元画像センサ10側に向いたままとする。その状態で、ステップS3では、センサアレイ9で分光画像が撮像され、ステップS4ではその撮像データがメモリ12に記憶され、ステップS5では、制御装置11は、N列目のマイクロミラー6aをoffして2次元画像センサ10側に向け、1列の測定動作を終了する。その後、ステップS6で、列番号Nがミラー列数に達しているか、すなわち総ての列について測定が終了したか否かが判断され、終了している場合には処理を終了し、終了していない場合にはステップS7で、前記列番号Nが1だけ加算されて更新され、前記ステップS2に戻って、次の列の測定が行われる。
一方、図4には、医師などの操作者による関心領域のみの分光測定を行う場合の動作を説明する。この場合は、ステップS11で表示部15への2次元画像センサ10によるモニタ画像から、前記操作者が、マウスなどの操作部16から関心領域の設定を行うと、制御装置11は、ステップS12で、その関心領域の両縁部が前記マイクロミラー6に対応する列番号を割出し、N1,N2としてセットする。以降は、先ず一方の縁部の列番号N1を前記列番号Nの初期値としてステップS2〜S5の処理によって分光測定を行い、ステップS6では、その列番号Nが、ミラー列数に代えて、もう1つの縁部の列番号N2と比較される。こうして、前記被測定物像2の全面を測定する場合に比べて、測定時間を短縮することができる。なお、センサアレイ9による撮像画像の転送や、解析処理装置による分光特性の解析に時間がかかる場合には、前記列番号N1,N2だけでなく、行番号も同様にして設定されるようにしてもよい。
このように構成することで、2次元の被測定物像2内の各点の分光分布を求めるにあたって、DMDやMEMSなどから成るマイクロミラーアレイ6の微少変位によって前記各点の順次走査を実現するので、走査のための機構を小型化することができるとともに、走査時間を短縮することができる。また、各点の分光分布は、分光測色計のような回折格子7にCCDセンサアレイ9の構成によって、高い分解能で測定することができる。
さらにまた、マイクロレンズアレイ5によってコリメートされた光は、図1および図2で示すように、マイクロミラーアレイ6によって同角度で反射されて回折格子7へ入射されるので、該回折格子7への入射角の変動は無く、分光用のセンサアレイ9上の光の分散位置も変化しないので、分光分解能を低下させること無く、全ての光をセンサアレイ9に導くことができる。
さらにまた、制御装置11は、同じ列番号のマイクロミラー6aを連動して制御し、これによって前記2次元の被測定物像2内の各点が同時にライン状に走査され、その走査が行方向に展開されて2次元の走査が行われることになり、これに対応して前記センサアレイ9は、前記分散方向の行方向だけでなく、列方向にも複数の素子が配列されたCCD2次元アレイセンサから構成されるとともに、前記回折格子7からセンサアレイ9の間に、前記行方向の走査光を纏めてセンサアレイに導き、分散光を収束させるシリンドリカルレンズ8が設けられるので、その同じ列による反射光に対して、同時に分光分布を求めることができ、走査時間を一層短縮することができる。
また、観察用の2次元画像センサ10に、その撮像画像を表示する表示部15をさらに備え、前記マイクロミラーアレイ6は、入射光を、回折格子7側と該2次元画像センサ10側とに切換えて反射可能とすることで、操作者は、観察用の2次元画像センサ10および表示部15によって、前記2次元の被測定物像2を確認しながら、その像内の一部を、前記マイクロミラーアレイ6によって取出し、分光分布を測定することができる。
さらに、医師などの操作者の入力操作を受付ける操作部16を設けるとともに、走査制御部である制御装置11が、前記表示部15へのモニタ画像の表示に伴い、前記操作部16によってモニタ画像上で指定された関心領域に対応するマイクロミラーのみを順次走査させることで、素早く必要な領域の分光分布を測定することもできる。なお、関心領域は画像全体から絞られた領域であり、このため前述のようにその全域について走査して、つぶさに分光分布を測定するのではなく、関心領域全体のミラーを分光ユニット方向へ同時に偏向することで、関心領域(病変部分)の平均的な分光データを瞬時に測定することも可能である。
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の第2の形態に係る2次元分光測定装置21の全体構成を示すブロック図である。この2次元分光測定装置21において、前述の図1および図2で示す2次元分光測定装置1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この2次元分光測定装置21では、マイクロミラーアレイ26において、複数の各マイクロミラー26aは、相互に連動して制御される前記列方向と直交する行方向の走査方向に2つのグループG1,G2に分割されており、そのグループG1,G2での反射角度(偏向角)が相互に異なるように設定されるとともに、センサアレイ29も、前記2つのグループG1,G2のそれぞれに対応して設けられ、2つの結像位置を有することである。具体的には、マイクロミラーアレイ26におけるマイクロミラー26aが、たとえばこの図5のように走査方向の前半部分と後半部分とのように、或いは奇数番目の列と偶数番目の列とのように、相互に連動して制御される前記列方向と直交する行方向の走査方向に2つのグループG1,G2に分割されて、制御装置22によって、2つのグループG1,G2の列が同時に選択されて回折格子7側へ光を反射する。このため、各グループG1,G2での反射角度が相互に異なるように設定されるとともに、前記センサアレイ29は前記2つのグループG1,G2のそれぞれに対応して設けられる。
図6は、この2次元分光測定装置21による分光測定の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS21では、一方のグループG1に対応して、列番号Nが初期値の1にセットされるとともに、走査範囲がミラー列数の半分のMにセットされ、ステップS22では、制御装置22は、そのNおよびN+M列目のマイクロミラー26aに対してonの信号を与えて、ミラー列を回折格子7側に偏向させて、残余はoffとして、2次元画像センサ10側に向いたままとする。その状態で、ステップS23では、センサアレイ29で分光画像がそれぞれ撮像され、ステップS24ではその撮像データがメモリ12にそれぞれ記憶され、ステップS25では、制御装置22は、NおよびN+M列目のマイクロミラー26aをoffして2次元画像センサ10側に向け、2列の測定動作を同時に終了する。その後、ステップS26で、列番号Nが前記ミラー列数の半分のMに達しているか、すなわち総ての列について測定が終了したか否かが判断され、終了している場合には処理を終了し、終了していない場合にはステップS7で、前記列番号Nが1だけ加算されて更新され、前記ステップS22に戻って、次の2列の同時測定が行われる。
このように構成することで、センサアレイ29は2つ必要になるものの、走査時間を半分にすることができる。前記センサアレイ29は、2つのCCD2次元アレイセンサから構成されてもよく、或いは図5のように1つのCCD2次元アレイセンサが領域分割して使用され、2つの読出しポートからメモリ12へ読出すようにしてもよい。
このように走査方向に2つのグループG1,G2に分割されたマイクロミラーアレイ26を用いて、そのグループG1,G2でのon時の反射(偏向)方向を相互に逆方向に設定するとともに、前記回折格子7およびセンサアレイ9も2つのグループのそれぞれに対応して設けることでも、走査時間を半分にすることができる。この場合、もう1つの回折格子およびセンサアレイは、図5の2次元画像センサ10の位置に設けられることになる。さらにそれらのセンサアレイを2つのグループに分割して使用すれば、走査時間を1/4にすることができる。
一方、上述のようにマイクロミラーアレイ26の反射(偏向)方向を相互に逆方向にして、対称位置にそれぞれセンサアレイを配置した場合には、上述のように2次元画像センサ10除去する必要がある。これに対して、2次元画像センサ10を残存させる場合は、マイクロミラーアレイ26のマイクロミラー26aを、反射(偏向)方向が、上述のような行方向(図5の上下方向)に有するものと、直交する列方向(図5の紙面に垂直方向)に有するものと2種類作成してそれぞれのグループとし、第1のグループでは前記行方向(図5の上下方向)で反射(偏向)方向を切換えてセンサアレイ9と2次元画像センサ10とに光を入射し、第2のグループでは列方向(図5の紙面に垂直方向)で反射(偏向)方向を切換えてセンサアレイ9と2次元画像センサ10とに光を入射すればよい。すなわち、2つのグループを、像側テレセントリックレンズ3からピンホールアレイ4の光軸に対して直交し、かつ互いに直交する2方向に設ける(前記反射(偏向)方向を上下方向と水平方向との2方向とする)。したがって、この場合には、2次元画像センサ10は2つ必要になる。また、マイクロミラーに2軸での変化が可能なものを使用し、それぞれ任意の方向に反射(偏向)可能とすれば、1つの反射(偏向)方向に2次元画像センサ10を配置し、残る3つの反射(偏向)方向に回折格子7およびセンサアレイ9の組を設けるようなことも可能になる(この場合、走査速度は3倍)。
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の第3の形態に係る2次元分光測定装置31の光学系を説明するための斜視図である。この2次元分光測定装置31は、前述の図1で示す2次元分光測定1装置に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この2次元分光測定装置31では、前記マイクロミラーアレイ6と回折格子7との間に、前記マイクロレンズアレイ4によるコリメート光の前記マイクロミラー6aによる反射光を収束する収束レンズ32と、前記収束レンズの焦点付近に配置されるスリット33と、前記スリット33の収束レンズ32とは反対側で、かつ該収束レンズ32の焦点距離よりも遠い位置に配置されて、前記スリット33の通過光をコリメート光に変換して前記回折格子7に入射させる拡大レンズ34とがさらに設けられていることである。
前記収束レンズ32および拡大レンズ34は、相互に凸面が逆に配置されるシリンドリカルレンズから成る。このようなシリンドリカルレンズを用いたエキスパンダ光学系を介在することで、前記マイクロレンズアレイ5による微小スポットのコリメート光は、一旦収束レンズ32で収束され、スリット33で迷光が除去された後、前記スリット33から収束レンズ32の焦点距離よりも遠い位置に配置した拡大レンズ34によって再びコリメート光に変換されることで、前記回折格子7に入射される光束を一次元(行)方向に拡げることができる。これによって、前記回折格子7による分散性能を向上させることができる。
[実施の形態4]
図8は、本発明の実施の第4の形態に係る2次元分光測定装置41の光学系を説明するための斜視図である。この2次元分光測定装置41は、前述の図7で示す2次元分光測定装置31に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この2次元分光測定装置41では、回折格子には、シリンドリカル形状の凹面回折格子47を使用することである。ここで、前記図1の構成では、マイクロレンズアレイ5によってコリメートされ、マイクロミラーアレイ6で反射され、さらに回折格子7で分散された光は、センサアレイ9に入射させる際にシリンドリカルレンズ8等の結像レンズで収束されている。しかしながら、前記回折格子7に代えて、シリンドリカル形状の凹面回折格子47を用いることで、前記シリンドリカルレンズ8に、拡大レンズ34も省略することができ、光学系を簡素化することができる。
本発明の実施の第1の形態に係る2次元分光測定装置の光学系を説明するための斜視図である。 前記2次元分光測定装置の全体構成を示すブロック図である。 前記2次元分光測定装置による分光測定の動作を説明するためのフローチャートである。 前記2次元分光測定装置による分光測定の他の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の第2の形態に係る2次元分光測定装置の全体構成を示すブロック図である。 図5で示す2次元分光測定装置による分光測定の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の第3の形態に係る2次元分光測定装置の光学系を説明するための斜視図である。 本発明の実施の第4の形態に係る2次元分光測定装置の光学系を説明するための斜視図である。
符号の説明
1,21,31,41 2次元分光測定装置
2 被測定物像
3 像側テレセントリックレンズ
4 ピンホールアレイ
4a ピンホール
5 マイクロレンズアレイ
5a マイクロレンズ
6,26 マイクロミラーアレイ
6a,26a マイクロミラー
7 回折格子
8 シリンドリカルレンズ
9,29 センサアレイ
10 2次元画像センサ
11,22 制御装置
12,13 メモリ
14 解析処理装置
15 表示部
16 操作部
32 収束レンズ
33 スリット
34 拡大レンズ
47 凹面回折格子

Claims (8)

  1. 2次元の被測定物像内の各点における分光分布を測定する2次元分光測定装置において、
    対物レンズとしての像側テレセントリックレンズと、
    前記像側テレセントリックレンズの焦点位置に配置され、前記被測定物像の光束をそれぞれ分割するピンホールが2次元配列されて成るピンホールアレイと、
    前記ピンホールアレイにおける各ピンホールに個別に対応したマイクロレンズを有し、該マイクロレンズの焦点位置が前記像側テレセントリックレンズの像面に一致して配置されるマイクロレンズアレイと、
    複数のマイクロミラーが2次元配列されて成り、前記マイクロレンズアレイによってコリメートされた光を反射するマイクロミラーアレイであって、前記像側テレセントリックレンズから該マイクロミラーアレイまでの光経路外で複数の異なる方向へ、入射光を順次走査して反射可能なマイクロミラーアレイと、
    前記像側テレセントリックレンズからマイクロミラーアレイまでの光経路外に配置され、前記マイクロミラーアレイで反射された光を分光する回折格子と、
    前記回折格子による分散光が入射され、その分光分布を求めるセンサアレイとを含むことを特徴とする2次元分光測定装置。
  2. 観察用の2次元画像センサに、その撮像画像を表示する表示部をさらに備え、
    前記マイクロミラーアレイは、入射光を、前記像側テレセントリックレンズから該マイクロミラーアレイまでの光経路外の2つの方向へ切換えて反射可能であり、第1の方向には前記2次元画像センサが配置され、第2の方向には前記回折格子にセンサアレイが設けられることを特徴とする請求項1記載の2次元分光測定装置。
  3. 操作者の入力操作を受付ける入力操作部と、
    前記表示部へのモニタ画像の表示に伴い、前記入力操作部によって、前記モニタ画像上で指定された領域に対応するマイクロミラーのみを前記順次走査させる走査制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の2次元分光測定装置。
  4. 前記マイクロミラーアレイのマイクロミラーにおいて、相互に等しい行番号または列番号の素子を連動して制御する走査制御部と、
    前記回折格子からセンサアレイの間に設けられ、前記の連動して制御される行方向または列方向に母線方向を有するシリンドリカルレンズとをさらに備えて構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2次元分光測定装置。
  5. 前記マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーは、相互に連動して制御される前記行方向または列方向と直交する列方向または行方向の走査方向に2つのグループに分割されており、そのグループでの反射角度が相互に異なるように設定されるとともに、前記センサアレイは前記2つのグループのそれぞれに対応して設けられることを特徴とする請求項4記載の2次元分光測定装置。
  6. 前記マイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーは、相互に連動して制御される前記行方向または列方向と直交する列方向または行方向の走査方向に2つのグループに分割されており、そのグループでの反射方向が相互に逆方向に設定されるとともに、前記回折格子およびセンサアレイは前記2つのグループのそれぞれに対応して設けられることを特徴とする請求項4記載の2次元分光測定装置。
  7. 前記マイクロミラーアレイと回折格子との間に介在され、前記マイクロレンズアレイによるコリメート光の前記マイクロミラーによる反射光を収束する収束レンズと、前記収束レンズの焦点付近に配置されるスリットと、前記収束レンズの反対側で、かつ該収束レンズの焦点距離よりも遠い位置に配置されて、前記スリットの通過光をコリメート光に変換して前記回折格子に入射させる拡大レンズとをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の2次元分光測定装置。
  8. 前記回折格子は、凹面形状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の2次元分光測定装置。
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