JP2010095160A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】差動状態が電気的に制御される電気式差動部と、動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備えた車両用動力伝達装置において、変速部を構成する遊星歯車の高回転化を防止する車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】変速比設定手段86は、自動変速部20を構成する第1遊星歯車P1が所定の回転速度NCRを超える領域では、燃費最適となる動作点を外して差動部11および自動変速部20の変速比の組合せを設定するため、自動変速部20を構成する第1遊星歯車P1が所定の回転速度NCRを越えると、その第1遊星歯車P1の回転速度が所定の回転速度NCRを超えないように変速比の組合せを設定することができる。したがって、第1遊星歯車P1の高回転化が防止され、第1遊星歯車P1の耐久性の影響を無くすことができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、電動機の運転状態が制御されることにより差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備えた車両用動力伝達装置に係り、特に、変速部を構成する遊星歯車装置の遊星歯車(ピニオン)の高回転化を防止する技術に関するものである。
駆動源と駆動輪との間に連結された差動機構とその差動機構に動力伝達可能に連結された電動機とを有しその電動機の運転状態が制御されることによりその差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、動力伝達経路の一部を構成する変速部とを備えた車両用動力伝達装置が知られている。例えば特許文献1の車両用駆動装置の制御装置がその一例である。特許文献1では、エンジン(駆動源)の始動に際して、エンジン回転速度を電動機によって速やかに上昇させることにより、エンジンの始動性を向上させる技術が開示されている。
特開2005−264762号公報
ところで、特許文献1をはじめとする電気式差動部と変速部とを備えた車両用動力伝達装置において、車両の燃費が最適となるように、電気式差動部および変速部の動作点が制御される技術が知られている。上記変速部は、複数個の遊星歯車装置で構成される回転要素からなり、変速部内に設けられている複数個の係合装置が選択的に上記回転要素を連結することによって複数の変速段が形成される。ここで、上記変速部の連結状態によっては、遊星歯車装置の遊星歯車(ピニオン)の回転速度が高回転化され易いものがあり、車両の燃費が最適となるように動作点が制御されると、場合によっては遊星歯車が高回転化されてしまい、遊星歯車の耐久性に影響が及ぼされる可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、差動状態が電気的に制御される電気式差動部と、動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備えた車両用動力伝達装置において、変速部を構成する遊星歯車の高回転化を防止する車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)駆動源と駆動輪との間に連結された差動機構とその差動機構に動力伝達可能に連結された電動機とを有しその電動機の運転状態が制御されることによりその差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備え、車両の走行特性が燃費最適となるように前記電気式差動部および前記変速部の動作点が選択される車両用動力伝達装置の制御装置であって、(b)前記変速部を構成する遊星歯車が所定の回転速度を超える領域では、前記燃費最適となる動作点を外して前記電気式差動部および変速部の変速比の組合せを設定する変速比設定手段を、含むことを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速比設定手段は、前記変速比の組合せを設定するに際して、前記駆動源の燃費最適な動作点は継続されるように設定することを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速比設定手段は、車速が所定の速度を越えるとき実施されることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速比設定手段は、前記変速部の油温が所定の温度を超えるとき実施されることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、(a)前記変速部はシングルピニオン型の第1遊星歯車装置とシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを備え、(b)前記第1遊星歯車装置のサンギヤと前記第2遊星歯車装置のサンギヤとが互いに連結されて第1クラッチを介して前記電気式差動部の出力軸に選択的に連結され、前記第1遊星歯車装置のキャリヤと前記第2遊星歯車装置のリングギヤとが互いに連結されて第2クラッチを介して前記電気式差動部の出力軸に選択的に連結されると共に第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、前記第1遊星歯車装置のリングギヤが第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、前記第2遊星歯車装置のキャリヤが前記変速部の出力軸に連結され、(c)前記第1クラッチおよび第2ブレーキが係合されることで第1変速段が形成され、前記第1クラッチおよび第1ブレーキが係合されることで第2変速段が形成され、前記第1クラッチおよび第2クラッチが係合されることで第3変速段が形成され、前記第2クラッチおよび第1ブレーキが係合されることで第4変速段が形成されることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明の要旨とするところは、請求項5の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速部が第4変速段で走行中、前記遊星歯車が所定の回転速度を超える領域となるとき、前記変速比設定手段は、前記変速部を第3変速段に変速させることを特徴とする。
また、請求項7にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至6のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速部の変速特性を示す変速線図において、高速段側への変速を指示するアップシフト線が低速段側への変速を指示するダウンシフト線よりも低車速側に位置する領域が形成されることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、変速比設定手段は、前記変速部を構成する遊星歯車が所定の回転速度を超える領域では、前記燃費最適となる動作点を外して前記電気式差動部および変速部の変速比の組合せを設定するため、変速部を構成する遊星歯車が所定の回転速度を越えると、その遊星歯車の回転速度が所定の回転速度を超えないように変速比の組合せを設定することができる。したがって、遊星歯車の高回転化が防止され、遊星歯車の耐久性の影響を無くすことができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速比設定手段は、前記変速比の組合せを設定するに際して、前記駆動源の燃費最適な動作点は継続されるように設定するため、遊星歯車の高回転化が防止されるように変速比の組合せを設定するに際して、車両の燃費性低下を抑制することができる。
また、請求項3にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速比設定手段は、車速が所定の速度を越えるとき実施されるため、車速が所定の速度を越えない領域では、変速比設定手段を実施しないことで、車両の燃費性を優先させて走行することができる。なお、車速が低い領域では、遊星歯車の耐久性に影響が生じるほど遊星歯車が高回転化されないので、変速比設定手段が実施されなくても構わない。
また、請求項4にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速比設定手段は、前記変速部の油温が所定の温度を超えるとき実施されるものである。油温が低いときは遊星歯車の回転速度が高くなっても油膜の切れが少なくなるので、遊星歯車の耐久性の影響が少なくなる。したがって、変速部の油温が所定の温度を超える場合のみ変速比設定手段を実施することで、車両の燃費性低下を抑制することができる。
また、請求項5にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速部が上記のように構成され、特に、第4変速段が形成されると、第1遊星歯車装置の遊星歯車の回転速度が高回転化され易くなる。そこで、変速比設定手段が前記電気式差動部および変速部の変速比の組合せを好適に設定することで、遊星歯車の高回転化を防止することができる。
また、請求項6にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速部が第4変速段で走行中、前記遊星歯車が所定の回転速度を超える領域となるとき、前記変速比設定手段は、前記変速部を第3変速段に変速させるため、高回転で回転させられる遊星歯車の回転速度を低下させることできる。なお、第3変速段では、前記遊星歯車の回転速度が零となり、引きずりも少なくなるので、伝達効率が向上する。
また、請求項7にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速部の変速特性を示す変速線図において、高速段側への変速を指示するアップシフト線が低速段側への変速を指示するダウンシフト線よりも低車速側に位置する領域が形成されるため、変速部が頻繁に変速されることが抑制される。
ここで、好適には、前記変速部の変速比と前記式差動部の変速比との組合せによって動力伝達装置の総合変速比が設定されるものである。このようにすれば、変速部の変速比と電気式差動部の変速比とによって幅広い総合変速比を得ることができる。また、変速部の変速比と電気式差動部の変速比とを好適に組み合わせることにより、総合変速比を一定に維持しつつ、電気式差動部および変速部の変速比の組合せを変更することができる。具体的には、前記変速部の変速比の変化に対して、その変化を相殺するように前記電気式差動部の変速比を設定することで、車両動力伝達装置の総合変速比を一定に維持することができる。
また、好適には、前記電気式差動部および変速部の変速比の組合せの設定に際して、変速部を構成する所定の遊星歯車の高回転化が防止されるように変速部の変速比が設定されるものである。このようにすれば、遊星歯車の高回転化が防止されるに伴い、遊星歯車の耐久性に影響が生じることが防止される。
また、好適には、前記変速部の変速比が遊星歯車の高回転化を防止するように設定されると、その変速部の変速比に対して、駆動源の動作点が変更されないように、前記差動部の変速比が設定されるものである。このようにすれば、駆動源を燃費最適で維持させることができる。
また、好適には、前記差動機構は、前記駆動源に連結された第1要素と前記第1電動機に連結された第2要素と前記出力軸に連結された第3要素との3つの回転要素を有する遊星歯車装置であり、前記第1要素はその遊星歯車装置のキャリヤであり、前記第2要素はその遊星歯車装置のサンギヤであり、前記第3要素はその遊星歯車装置のリングギヤである。このようにすれば、前記差動機構の軸心方向寸法が小さくなる。また、差動機構が1つの遊星歯車装置によって簡単に構成される。
また、好適には、前記遊星歯車装置はシングルピニオン型の遊星歯車装置である。このようにすれば、前記差動機構の軸心方向寸法が小さくなる。また、差動機構が1つのシングルピニオン型遊星歯車装置によって簡単に構成される。
また、好適には、前記変速部は有段式の自動変速機である。このようにすれば、例えば電気的な無段変速機として機能させられる電気式差動部と有段式自動変速機とで無段変速機が構成され、滑らかに駆動トルクを変化させることが可能であるとともに、電気式差動部の変速比を一定となるように制御した状態においては電気式差動部と有段式自動変速機とで有段変速機と同等の状態が構成され、車両用動力伝達装置の総合変速比が段階的に変化させられて速やかに駆動トルクを得ることもできる。
また、好適には、前記駆動源の所定の動作状態を実現するため予め設定された駆動源の動作曲線の一種である最適燃費率曲線に上記駆動源の動作点が沿ってその駆動源が作動するように前記差動部の変速比つまり差動状態が制御される。このようにすれば、前記差動用電動機の運転状態の制御により駆動源の最適燃費が実現するように駆動源が作動し燃費向上を図ることが可能である。ここで、上記駆動源の動作点とはその駆動源の回転速度及び出力トルクなどで示されるその駆動源の動作状態を示す動作点である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されるハイブリッド車両の駆動装置の一部を構成する動力伝達装置10(車両用動力伝達装置)を説明する骨子図である。図1において、動力伝達装置10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接に連結された無段変速部としての差動部11と、その差動部11と駆動輪34(図6参照)との間の動力伝達経路で伝達部材(伝動軸)18を介して直列に連結されている変速部としての自動変速部20と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この動力伝達装置10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の駆動源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8(本発明の駆動源に対応)と一対の駆動輪34との間に設けられて、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速機)32(図6参照)および一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪34へ伝達する。
このように、本実施例の動力伝達装置10においてはエンジン8と差動部11とは直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパーなどを介する連結はこの直結に含まれる。なお、動力伝達装置10はその軸心に対して対称的に構成されているため、図1の骨子図においてはその下側が省略されている。以下の各実施例についても同様である。
エンジン8と駆動輪34との間に配設された差動部11(電気式差動部)は、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、その動力分配機構16に動力伝達可能に連結された第1電動機M1と、伝達部材18と一体的に回転するように作動的に連結されている第2電動機M2とを備えている。本実施例の第1電動機M1および第2電動機M2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、動力分配機構16の差動状態を制御するための差動用電動機として機能する第1電動機M1は、反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備える。そして、駆動輪34に動力伝達可能に連結された第2電動機M2は、走行用の駆動力源として駆動力を出力する走行用電動機として機能するためモータ(電動機)機能を少なくとも備える。
動力分配機構16は、エンジン8と駆動輪34との間に連結された差動機構であって、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ0を有するシングルピニオン型の差動部遊星歯車装置24を主体として構成されている。この差動部遊星歯車装置24は、差動部サンギヤS0、差動部遊星歯車P0、その差動部遊星歯車P0を自転および公転可能に支持する差動部キャリヤCA0、差動部遊星歯車P0を介して差動部サンギヤS0と噛み合う差動部リングギヤR0を回転要素(要素)として備えている。差動部サンギヤS0の歯数をZS0、差動部リングギヤR0の歯数をZR0とすると、上記ギヤ比ρ0はZS0/ZR0である。
この動力分配機構16においては、差動部キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0は第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0は伝達部材18に連結されている。このように構成された動力分配機構16は、差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能なすなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18とに分配されるとともに、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態(電気的CVT状態)とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、差動部11はその変速比γ0(入力軸14の回転速度NIN/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0min から最大値γ0max まで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。このように、動力分配機構16に動力伝達可能に連結された第1電動機M1及び/又は第2電動機M2の運転状態が制御されることにより、動力分配機構16の差動状態、すなわち入力軸14の回転速度と伝達部材18の回転速度の差動状態が制御される。
自動変速部20(本発明の変速部)は、差動部11から駆動輪34への動力伝達経路の一部を構成しており、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26およびシングルピニオン型の第2遊星歯車装置28を備え、有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、例えば「0.562」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、例えば「0.425」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1、第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2である。
自動変速部20では、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1が第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第2キャリヤCA2が出力軸22に連結されている。なお、自動変速部20は、回転軸の重なりが少ないので径方向にもコンパクトに構成することができる。
このように、自動変速部20内と差動部11(伝達部材18)とは自動変速部20の変速段を成立させるために用いられる第1クラッチC1または第2クラッチC2を介して選択的に連結されている。言い換えれば、第1クラッチC1および第2クラッチC2は、伝達部材18と自動変速部20との間の動力伝達経路すなわち差動部11(伝達部材18)から駆動輪34への動力伝達経路を、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、その動力伝達経路の動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態とに選択的に切り換える係合装置として機能している。つまり、第1クラッチC1および第2クラッチC2の少なくとの一方が係合されることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、或いは第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
また、この自動変速部20は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて各ギヤ段(変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材18の回転速度N18/出力軸22の回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られる。例えば、図2の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により変速比γ1が最大値例えば「2.804」程度である第1速ギヤ段(第1変速段)が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.531」程度である第2速ギヤ段(第2変速段)が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、第2クラッチC2および第1ブレーキB1の係合により変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により変速比γRが例えば「2.804」程度である後進ギヤ段(後進変速段)が成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。
前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、従来の車両用自動変速機においてよく用いられている係合要素としての油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された動力伝達装置10において、無段変速機として機能する差動部11と自動変速部20とで全体として無段変速機が構成される。また、差動部11の変速比を一定となるように制御することにより、差動部11と自動変速部20とで有段変速機と同等の状態を構成することが可能とされる。
具体的には、差動部11が無段変速機として機能し、且つ差動部11に直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の少なくとも1つの変速段Mに対して自動変速部20に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度N18(以下、「伝達部材回転速度N18」と表す)が無段的に変化させられてその変速段Mにおいて無段的な変速比幅が得られる。したがって、動力伝達装置10の総合変速比γT(=入力軸14の回転速度NIN/出力軸22の回転速度NOUT)が無段階に得られ、動力伝達装置10において無段変速機が構成される。この動力伝達装置10の総合変速比γTは、差動部11の変速比γ0と自動変速部20の変速比γとに基づいて形成される動力伝達装置10全体としてのトータル変速比γTである。
例えば、図2の係合作動表に示される自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対し伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、動力伝達装置10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られる。
また、差動部11の変速比が一定となるように制御され、且つクラッチCおよびブレーキBが選択的に係合作動させられて第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する動力伝達装置10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。したがって、動力伝達装置10において有段変速機と同等の状態が構成される。
例えば、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように制御されると、図2の係合作動表に示されるように自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対応する変速機構10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。
図3は、差動部11と自動変速部20とから構成される動力伝達装置10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、横線X1が回転速度零を示し、横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Nを示し、横線XGが伝達部材18の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素(第2要素)RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素(第1要素)RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素(第3要素)RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は差動部遊星歯車装置24のギヤ比ρ0に応じて定められている。さらに、自動変速部20の5本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応する第1リングギヤR1を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する互いに連結された第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応する第2キャリヤCA2を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応する互いに連結された第1サンギヤS1および第2サンギヤS2を、それぞれ表し、それらの間隔は第1、第2遊星歯車装置26、28のギヤ比ρ1、ρ2に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、差動部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ0に対応する間隔に設定される。また、自動変速部20では各第1、第2遊星歯車装置26、28毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の動力伝達装置10は、動力分配機構16(差動部11)において、差動部遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(差動部キャリヤCA0)が入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第2回転要素RE2が第1電動機M1に連結され、第3回転要素(差動部リングギヤR0)RE3が伝達部材18および第2電動機M2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して自動変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により差動部サンギヤS0の回転速度と差動部リングギヤR0の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11においては、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態とされており、直線L0と縦線Y3との交点で示される差動部リングギヤR0の回転速度が車速Vに拘束されて略一定である場合には、エンジン回転速度Nを制御することによって直線L0と縦線Y2との交点で示される差動部キャリヤCA0の回転速度が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y1との交点で示される差動部サンギヤS0の回転速度すなわち第1電動機M1の回転速度が上昇或いは下降させられる。
また、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動部サンギヤS0の回転がエンジン回転速度Nと同じ回転とされると、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度Nと同じ回転で差動部リングギヤR0の回転速度すなわち伝達部材18が回転させられる。或いは、差動部11の変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動部サンギヤS0の回転が零とされると、エンジン回転速度Nよりも増速された回転で伝達部材回転速度N18が回転させられる。
また、自動変速部20において、第4回転要素RE4は第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共にブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は出力軸22に連結され、第7回転要素RE7は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
自動変速部20では、差動部11において出力回転部材(出力軸)である伝達部材18(第3回転要素RE3)の回転が第1クラッチC1が係合されることで第7回転要素RE7に入力されると、図3に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7と横線XGとの交点と第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第1速(1st)の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第2速(2nd)の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平の直線L3と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第3速(3rd)の出力軸22の回転速度が示され、第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L4と出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で第4速(4th)の出力軸22の回転速度が示される。また、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合されることにより決まる斜めの直線LRと出力軸22と連結された第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6との交点で後進速(Rev)の出力軸22の回転速度が示される。なお、後進ギヤ段においては、例えば伝達部材18が第2電動機M2によって逆回転させられることで達成される。
図4は、本実施例の動力伝達装置10を制御するための電子制御装置80に入力される信号及びその電子制御装置80から出力される信号を例示している。この電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、第1、第2電動機M1、M2に関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
電子制御装置80には、図4に示すような各センサやスイッチなどから、エンジン水温TEMPを表す信号、シフトレバー52(図5参照)のシフトポジションPSHや「M」ポジションにおける操作回数等を表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Nを表す信号、ギヤ比列設定値を表す信号、Mモード(手動変速走行モード)を指令する信号、エアコンの作動を表す信号、出力軸22の回転速度(以下、出力軸回転速度)NOUTに対応する車速Vを表す信号、自動変速部20の作動油温TOILを表す信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキ操作を表す信号、触媒温度を表す信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、カム角を表す信号、スノーモード設定を表す信号、車両の前後加速度Gを表す信号、オートクルーズ走行を表す信号、車両の重量(車重)を表す信号、各車輪の車輪速を表す信号、第1電動機M1の回転速度NM1(以下、「第1電動機回転速度NM1」という)を表す信号、第2電動機M2の回転速度NM2(以下、「第2電動機回転速度NM2」という)を表す信号、蓄電装置56(図6参照)の充電残量(充電状態)SOCを表す信号などが、それぞれ供給される。
また、上記電子制御装置80からは、エンジン出力を制御するエンジン出力制御装置58(図6参照)への制御信号例えばエンジン8の吸気管60に備えられた電子スロットル弁62のスロットル弁開度θTHを操作するスロットルアクチュエータ64への駆動信号や燃料噴射装置66による吸気管60或いはエンジン8の筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置68によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、電動機M1およびM2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路70(図6参照)に含まれる電磁弁(リニアソレノイドバルブ)を作動させるバルブ指令信号、この油圧制御回路70に設けられたレギュレータバルブ(調圧弁)によりライン油圧Pを調圧するための信号、そのライン油圧Pが調圧されるための元圧の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等が、それぞれ出力される。
図5は複数種類のシフトポジションPSHを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置50の一例を示す図である。このシフト操作装置50は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えている。
シフトレバー52は、動力伝達装置10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、変速機構10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とするための中立ポジション「N(ニュートラル)」、自動変速モードを成立させて差動部11の無段的な変速比幅と自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速制御される各ギヤ段とで得られる動力伝達装置10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御を実行させる前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または手動変速走行モード(手動モード)を成立させて自動変速部20における高速側の変速段を制限する所謂変速レンジを設定するための前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。
上記シフトレバー52の各シフトポジションPSHへの手動操作に連動して図2の係合作動表に示す後進ギヤ段「R」、ニュートラル「N」、前進ギヤ段「D」における各変速段等が成立するように、例えば油圧制御回路70が電気的に切り換えられる。
上記「P」乃至「M」ポジションに示す各シフトポジションPSHにおいて、「P」ポジションおよび「N」ポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1および第2クラッチC2のいずれもが解放されるような自動変速部20内の動力伝達経路が遮断された車両を駆動不能とする第1クラッチC1および第2クラッチC2による動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択するための非駆動ポジションである。また、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「M」ポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1および第2クラッチC2の少なくとも一方が係合されるような自動変速部20内の動力伝達経路が連結された車両を駆動可能とする第1クラッチC1および/または第2クラッチC2による動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択するための駆動ポジションでもある。
具体的には、シフトレバー52が「P」ポジション或いは「N」ポジションから「R」ポジションへ手動操作されることで、第2クラッチC2が係合されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態から動力伝達可能状態とされ、シフトレバー52が「N」ポジションから「D」ポジションへ手動操作されることで、少なくとも第1クラッチC1が係合されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態から動力伝達可能状態とされる。また、シフトレバー52が「R」ポジションから「P」ポジション或いは「N」ポジションへ手動操作されることで、第2クラッチC2が解放されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達可能状態から動力伝達遮断状態とされ、シフトレバー52が「D」ポジションから「N」ポジションへ手動操作されることで、第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されて自動変速部20内の動力伝達経路が動力伝達可能状態から動力伝達遮断状態とされる。
図6は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図6において、有段変速制御手段82は、図7に示すような車速Vと自動変速部20の出力トルクTOUTとを変数として予め記憶されたアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(破線)を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速Vおよび自動変速部20の要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断し、すなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の自動変速制御を実行する。
このとき、有段変速制御手段82は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように、自動変速部20の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力指令、油圧指令)を、すなわち自動変速部20の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合することによりクラッチツウクラッチ変速を実行させる指令を油圧制御回路70へ出力する。油圧制御回路70は、その指令に従って、例えば解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部20の変速が実行されるように、油圧制御回路70内のリニアソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。
ハイブリッド制御手段84は、エンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第2電動機M2との駆動力の配分や第1電動機M1の発電による反力を最適になるように変化させて差動部11の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、そのときの走行車速Vにおいて、運転者の出力要求量としてのアクセル開度Accや車速Vから車両の目標(要求)出力を算出し、その車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機M2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力を算出し、その目標エンジン出力が得られるエンジン回転速度NとエンジントルクTとなるようにエンジン8を制御するとともに第1電動機M1の発電量を制御する。
例えば、ハイブリッド制御手段84は、その制御を動力性能や燃費向上などのために自動変速部20の変速段を考慮して実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Nと車速Vおよび自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、差動部11が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御手段84は、エンジン回転速度Nとエンジン8の出力トルク(エンジントルク)Tとで構成される二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められた図8の破線に示すようなエンジン8の動作曲線の一種である最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)を予め記憶しており、その最適燃費率曲線にエンジン8の動作点(以下、「エンジン動作点」と表す)が沿わされつつエンジン8が作動させられるように、例えば目標出力(トータル目標出力、要求駆動力)を充足するために必要なエンジン出力を発生するためのエンジントルクTとエンジン回転速度Nとなるように、変速機構10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように自動変速部20の変速段を考慮して差動部11の変速比γ0を制御し、トータル変速比γTをその変速可能な変化範囲内で制御する。ここで、上記エンジン動作点とは、エンジン回転速度N及びエンジントルクTなどで例示されるエンジン8の動作状態を示す状態量を座標軸とした二次元座標においてエンジン8の動作状態を示す動作点である。
このとき、ハイブリッド制御手段84は、第1電動機M1により発電された電気エネルギをインバータ54を通して蓄電装置56や第2電動機M2へ供給するので、エンジン8の動力の主要部は機械的に伝達部材18へ伝達されるが、エンジン8の動力の一部は第1電動機M1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ54を通してその電気エネルギが第2電動機M2へ供給され、その第2電動機M2が駆動されて第2電動機M2から伝達部材18へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機M2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン8の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。
また、ハイブリッド制御手段84は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能によって第1電動機回転速度NM1および/または第2電動機回転速度NM2を制御してエンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に回転制御する。言い換えれば、ハイブリッド制御手段84は、エンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機回転速度NM1および/または第2電動機回転速度NM2を任意の回転速度に回転制御することができる。
例えば、図3の共線図からもわかるようにハイブリッド制御手段84は車両走行中にエンジン回転速度Nを引き上げる場合には、車速V(駆動輪34)に拘束される第2電動機回転速度NM2を略一定に維持しつつ第1電動機回転速度NM1の引き上げを実行する。また、ハイブリッド制御手段84は自動変速部20の変速中にエンジン回転速度Nを略一定に維持する場合には、エンジン回転速度Nを略一定に維持しつつ自動変速部20の変速に伴う第2電動機回転速度NM2の変化とは反対方向に第1電動機回転速度NM1を変化させる。
また、ハイブリッド制御手段84は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせてエンジン出力制御装置58に出力して、必要なエンジン出力を発生するようにエンジン8の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
例えば、ハイブリッド制御手段84は、基本的には図示しない予め記憶された関係からアクセル開度Accに基づいてスロットルアクチュエータ64を駆動し、アクセル開度Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させるようにスロットル制御を実行する。また、このエンジン出力制御装置58は、ハイブリッド制御手段84による指令に従って、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御するなどしてエンジントルク制御を実行する。
また、ハイブリッド制御手段84は、エンジン8の停止又はアイドル状態に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)によって、第2電動機M2を走行用の駆動力源とするモータ走行をさせることができる。例えば、ハイブリッド制御手段84は、一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTOUT域すなわち低エンジントルクT域、或いは車速Vの比較的低車速域すなわち低負荷域において、モータ走行を実行する。また、ハイブリッド制御手段84は、このモータ走行時には、停止しているエンジン8の引き摺りを抑制して燃費を向上させるために、第1電動機回転速度NM1を負の回転速度で制御して例えば第1電動機M1を無負荷状態とすることにより空転させて、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)により必要に応じてエンジン回転速度Nを零乃至略零に維持する。
また、ハイブリッド制御手段84は、エンジン8を走行用の駆動力源とするエンジン走行を行うエンジン走行領域であっても、上述した電気パスによる第1電動機M1からの電気エネルギおよび/または蓄電装置56からの電気エネルギを第2電動機M2へ供給し、その第2電動機M2を駆動して駆動輪34にトルクを付与することにより、エンジン8の動力を補助するための所謂トルクアシストが可能である。よって、本実施例のエンジン走行にはエンジン8を走行用の駆動力源とする場合と、エンジン8及び第2電動機M2の両方を走行用の駆動力源とする場合とがある。そして、本実施例のモータ走行とはエンジン8を停止して第2電動機M2を走行用の駆動力源とする走行である。
また、ハイブリッド制御手段84は、第1電動機M1を無負荷状態として自由回転すなわち空転させることにより、差動部11がトルクの伝達を不能な状態すなわち差動部11内の動力伝達経路が遮断された状態と同等の状態であって、且つ差動部11からの出力が発生されない状態とすることが可能である。すなわち、ハイブリッド制御手段84は、第1電動機M1を無負荷状態とすることにより差動部11をその動力伝達経路が電気的に遮断される中立状態(ニュートラル状態)とすることが可能である。
また、ハイブリッド制御手段84は、アクセルオフの惰性走行時(コースト走行時)やフットブレーキによる制動時などには、燃費を向上させるために車両の運動エネルギすなわち駆動輪34からエンジン8側へ伝達される逆駆動力により第2電動機M2を回転駆動させて発電機として作動させ、その電気エネルギすなわち第2電動機発電電流をインバータ54を介して蓄電装置56へ充電する回生制御手段としての機能を有する。この回生制御は、蓄電装置56の充電残量SOCやブレーキペダル操作量に応じた制動力を得るための油圧ブレーキによる制動力の制動力配分等に基づいて決定された回生量となるように制御される。
ところで、本実施例の動力伝達装置10において搭載される自動変速部20は、図1に示すように回転軸の重なりが少ないので、径方向においてもコンパクトに構成できることを特徴とするが、第4速ギヤ段において第1遊星歯車装置26の第1遊星歯車P1(本発明の遊星歯車に対応)の回転速度が高くなり易いという課題を有している。特に、第4速ギヤ段は、図7に示すように高車速領域において変速されるギヤ段であるため、第1遊星歯車P1の回転速度が高回転化されて耐久性に影響が及ぼされる可能性があった。これに対して、変速比設定手段86は、自動変速部20の第1遊星歯車装置26の第1遊星歯車P1が所定の回転速度を超える領域では、ハイブリッド制御手段84による車両の燃費が最適となる動作点を外して差動部11の変速比γ0および自動変速部20の変速比γの組合せを設定することで、第1遊星歯車P1の高回転化を防止する。以下、変速比設定手段86の制御作動を中心に説明する。
図6に戻り、油温判定手段88は、自動変速部20の作動油温TOILが予め設定された所定の温度TCRを越えるか否かを判定する。作動油温TOILは、その温度が高くなるにしたがって、油膜が切れやすくなる性質がある。したがって、油温TOILが低い状態では、油膜が切れにくく回転部材の潤滑特性に優れているので、第1遊星歯車P1が高回転化されてもそれに対応することができる。一方、油温TOILが高い状態では、油膜が切れやすく潤滑特性が低下するので、第1遊星歯車P1が高回転化されると、十分な潤滑が困難となり、第1遊星歯車P1の耐久性に影響が生じる。そこで、油温判定手段88が肯定される、すなわち上記油温TOILが高くなり所定の温度TCRを越えるとき、変速比設定手段86は、変速線図を図9に示すように切り換える。なお、上記所定の温度TCRは予め実験的に設定され、例えば作動油の油膜特性が低下する閾値に設定される。また、所定の温度TCRは、使用される作動油の性質に応じて適宜変更される。
図9は、作動油温TOILが所定の温度TCRを越えた場合に設定される変速線図である。通常時の変速線図は図7に示すものであり、両者を比べると第3速ギヤ段および第4速ギヤ段のアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(破線)が変更されている。具体的には、図9の変速線図においては、車速Vが高車速領域となると、自動変速部20が第3速ギヤ段で走行させられるように設定されている。例えば、第4速ギヤ段で走行中、矢印aに示すように車速Vの増加に伴ってダウンシフト線(破線)の境界速度である車速V2を越えると、第3速ギヤ段へダウン変速される。一方、第3速ギヤ段で走行中、矢印bに示すように車速Vの減少に伴ってアップシフト線(実線)の境界速度である車速V1よりも速度が低下すると、第4速ギヤ段へアップシフトされる。また、図9に示す変速線図においては、第4変速段への変速を指示するアップシフト線の境界速度(車速V1)が第3速ギヤ段への変速を指示するダウンシフト線の境界速度(車速V2)よりも低車速側に位置する領域が形成されることとなる。上記車速V2は本発明の所定の速度に対応しており、予め実験的または解析的に設定されるものであり、自動変速部20が第4速ギヤ段で走行中において、第1遊星歯車装置26の第1遊星歯車P1の回転速度が所定の回転速度NCR(本発明の所定の回転速度に対応)に到達する速度に対応している。また、上記第1遊星歯車P1の所定の回転速度NCRも同様に、予め実験的に設定されるものであり、例えば耐久実験等で求められる第1遊星歯車P1の耐久時間が許容耐久時間よりも短くなる回転速度の閾値に設定される。
そして、変速比設定手段86は、上記第4速ギヤ段で走行中に車速V2を越えたとき、差動部11の変速比γ0および自動変速部20の変速比γの組合せを設定する。具体的には、変速比設定手段86は、図9に示す変速線図に基づいて、自動変速部20を第4速ギヤ段から第3速ギヤ段へダウン変速させる命令を有段変速制御手段82に出力する。図10に示す共線図を用いて説明すると、太実線L4に示す状態で走行中すなわち自動変速部20が第4速ギヤ段で走行中に、車速Vがダウンシフト線の閾値V2を越えたとき、変速比設定手段86は、太破線L3に示すように自動変速部20を第3速ギヤ段にダウン変速させる。これにより、自動変速部20がダウン変速させられるに伴い、自動変速部20の変速比γが増加側(γ4→γ3)に設定される。ここで、第3速ギヤ段は、破線L3に示すように自動変速部20の各回転要素が一体回転させられるため、第1遊星歯車装置26の第1遊星歯車P1の回転速度が零となる。したがって、第1遊星歯車P1の高回転化が防止される。また、自動変速部20が第3速ギヤ段へダウン変速されるに際して、車速Vは変化しないように変速されるので、自動変速部20の入力軸並びに差動部11の出力軸としても機能する伝達部材18の回転速度N18が引き上げられる。
このとき、変速比設定手段86は、自動変速部20の第3速ギヤ段へのダウン変速に伴う変速比γの増加(γ4→γ3)に従って、差動部11の変速比γ0を設定する。ここで、差動部11の変速比γ0を設定するに際して、変速比設定手段86は、エンジン8の燃費最適な動作点は継続されるように変速比γ0を設定する。具体的には、通常走行時はハイブリッド制御手段84によって、図8に示す最適燃費率曲線に沿ってエンジン8が作動させられているため、変速比設定手段86は、差動部11および自動変速部20の変速比設定前後において、エンジン8の動作点が変化しないように差動部11の変速比γ0および自動変速部20の変速比γを組み合わせる。
図10の共線図において、自動変速部20のダウン変速に伴って伝達部材18に連結された差動部リングギヤR0の回転速度(伝達部材回転速度N18、第2電動機回転速度NM2)が引き上げられると、変速比設定手段86は、その伝達部材回転速度N18の引き上げに対してエンジン8の動作点が変化しないように、第1電動機M1によって差動部サンギヤS0の回転速度を引き下げる。すなわち、差動部リングギヤR0の変化方向に対して、エンジン8の動作点が変化しないように、差動部サンギヤS0を差動部リングギヤR0の変化方向とは逆方向に第1電動機M1によって変化させる。これにより、エンジン8の燃費最適な動作点は継続される。
ここで、変速比設定手段86は、差動部11および自動変速部20の変速比γの設定に際して、例えば変速比設定前後において総合変速比γT(=入力軸14の回転速度NIN/出力軸22の回転速度NOUT)が変化しないように制御する。言い換えれば、自動変速部20の変速方向に対して、差動部11は自動変速部20の変速方向とは逆方向に変速されることとなる。具体的には、図10に示すように、自動変速部20が第4速ギヤ段から第3速ギヤ段へダウン変速されるのに対して、差動部11はアップ変速される。これにより、動力伝達装置10の総合変速比γTを形成する差動部11の変速比γ0および自動変速部20の変速比γの組合せは相違するものの、総合変速比γTを一定に維持することが可能となる。
また、変速比設定手段86が実施されると、高車速領域においてその後のエンジン回転速度上昇制御が実施されるなどして、動力伝達装置10全体として燃費性が低下するものの、変速比設定手段86は、上記のようにエンジン8を燃費最適な動作点上を移動させることで、燃費性の低下が最小限に抑制される。
図11は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち自動変速部20の第1遊星歯車P1の高回転化を防止する制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。このフローチャートに示される制御は、例えば車速Vが前記車速V2を越えたときに実施される。
先ず、油温判定手段88に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、自動変速部20の作動油の作動油温TOILが予め設定された所定値TCRを越えるか否かが判定される。SA1が否定されると、ハイブリッド制御手段84に対応するSA3において、車両が燃費最適で走行させられるように設定された図7に示す通常の変速線図(変速パターン)に基づいて変速が実施される。一方、SA1が肯定されると、変速比設定手段86に対応するSA2において、図9に示すように、自動変速部20の第1遊星歯車P1の第1遊星歯車P1の高回転化を避けるように設定された図9に示す変速線図が設定される。上記図9に示す変速線図に基づいて、第4速ギヤ段を走行中、車速Vが上昇し、車速V2を閾値とするダウンシフト線を横切ると、自動変速部20の第4速ギヤ段から第3速ギヤ段へのダウン変速が実施される。また、上記自動変速部20の変速と同時に差動部11の変速比γ0がアップ変速側に設定され、エンジン8の動作点が維持される。
上述のように、本実施例によれば、変速比設定手段86は、自動変速部20を構成する第1遊星歯車P1が所定の回転速度NCRを超える領域では、燃費最適となる動作点を外して差動部11の変速比γ0および自動変速部20の変速比γの組合せを設定するため、自動変速部20を構成する第1遊星歯車P1が所定の回転速度NCRを越えると、その第1遊星歯車P1の回転速度が所定の回転速度NCRを超えないように変速比の組合せを設定することができる。したがって、第1遊星歯車P1の高回転化が防止され、第1遊星歯車P1の耐久性の影響を無くすことができる。
また、本実施例によれば、変速比設定手段86は、差動部11の変速比γ0および自動変速部20の変速比γの組合せを設定するに際して、エンジン8の燃費最適な動作点は継続されるように設定するため、第1遊星歯車P1の高回転化が防止されるように変速比(γ0、γ)の組合せを設定するに際して、車両の燃費性低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、変速比設定手段86は、車速Vが所定の速度V2を越えるとき実施されるため、車速が所定の速度V2を越えない領域では、変速比設定手段86を実施しないことで、車両の燃費性を優先させて走行することができる。なお、車速Vが低い領域では、第1遊星歯車P1の耐久性に影響が生じるほど第1遊星歯車P1が高回転化されないので、変速比設定手段86が実施されなくても構わない。
また、本実施例によれば、変速比設定手段86は、自動変速部20の作動油温TOILが所定の温度TCRを超えるとき実施されるものである。作動油温TOILが低いときは第1遊星歯車P1の回転速度が高くなっても油膜の切れが少なくなるので、第1遊星歯車P1の耐久性の影響が少なくなる。したがって、自動変速部20の油温TOILが所定の温度TCRを超える場合のみ変速比設定手段86を実施することで、作動油温TOILが低い状態での車両の燃費性低下を回避することができる。
また、本実施例によれば、自動変速部20が上記のように構成され、特に、第4速ギヤ段が形成されると、第1遊星歯車装置26の第1遊星歯車P1の回転速度が高回転化され易くなる。そこで、変速比設定手段86が差動部11および自動変速部20変速比(γ0、γ)の組合せを好適に設定することで、遊星歯車の高回転化を防止することができる。
また、本実施例によれば、自動変速部20が第4速ギヤ段で走行中、第1遊星歯車P1が所定の回転速度NCRを超える領域となるとき、変速比設定手段86は、自動変速部20を第3速ギヤ段に変速させるため、高回転で回転させられる第1遊星歯車P1の回転速度を低下させることできる。なお、第3速ギヤ段では、第1遊星歯車P1の回転速度が零となり、引きずりも少なくなるので、伝達効率が向上する。
また、本実施例によれば、自動変速部20の変速特性を示す変速線図において、高速段側への変速を指示するアップシフト線が低速段側への変速を指示するダウンシフト線よりも低車速側に位置する領域が形成されるため、自動変速部20が頻繁に変速されることが抑制される。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、本発明の他の実施例である動力伝達装置100の構成を説明する骨子図である。図12の動力伝達装置100を前述した動力伝達装置10と比べると、図12の差動部102には、切換クラッチC0および切換ブレーキB0が設けられている。切換ブレーキB0は差動部サンギヤS0とケース12との間に設けられ、切換クラッチC0は差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0との間に設けられている。それら切換クラッチC0および切換ブレーキB0が解放されると、前述した差動部11と同様に、動力分配機構16は差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能なすなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18とに分配されるとともに、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態(電気的CVT状態)とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。
この状態で、上記切換クラッチC0或いは切換ブレーキB0が係合させられると動力分配機構16は前記差動作用をしないすなわち差動作用が不能な非差動状態とされる。具体的には、上記切換クラッチC0が係合させられて差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0とが一体的に係合させられると、動力分配機構16は差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0が共に回転すなわち一体回転させられるロック状態とされて前記差動作用が不能な非差動状態とされることから、差動部11も非差動状態とされる。また、エンジン8の回転と伝達部材18の回転速度とが一致する状態となるので、差動部11(動力分配機構16)は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する定変速状態すなわち有段変速状態とされる。次いで、上記切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられて差動部サンギヤS0がケース12に連結させられると、動力分配機構16は差動部サンギヤS0が非回転状態とさせられるロック状態とされて前記差動作用が不能な非差動状態とされることから、差動部11も非差動状態とされる。また、差動部リングギヤR0は差動部キャリヤCA0よりも増速回転されるので、動力分配機構16は増速機構として機能するものであり、差動部11(動力分配機構16)は変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定された増速変速機として機能する定変速状態すなわち有段変速状態とされる。
このように、本実施例では、上記切換クラッチC0および切換ブレーキB0は、差動部11(動力分配機構16)の変速状態を差動状態すなわち非ロック状態と非差動状態すなわちロック状態とに、すなわち差動部11(動力分配機構16)を電気的な差動装置として作動可能な差動状態例えば変速比が連続的変化可能な無段変速機として作動する電気的な無段変速作動可能な無段変速状態と、電気的な無段変速作動しない変速状態例えば無段変速機として作動させず無段変速作動を非作動として変速比変化を一定にロックするロック状態すなわち1または2種類以上の変速比の単段または複数段の変速機として作動する電気的な無段変速作動をしないすなわち電気的な無段変速作動不能な定変速状態(非差動状態)、換言すれば変速比が一定の1段または複数段の変速機として作動する定変速状態とに選択的に切換える差動状態切換装置として機能している。
以上のように構成された動力伝達装置10では、例えば、図13の係合作動表に示されるように、前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第5速ギヤ段(第5変速段)のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)或いはニュートラルが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。特に、本実施例では動力分配機構16に切換クラッチC0および切換ブレーキB0が備えられており、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかが係合作動させられることによって、差動部11は前述した無段変速機として作動する無段変速状態に加え、変速比が一定の変速機として作動する定変速状態を構成することが可能とされている。したがって、動力伝達装置10では、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで定変速状態とされた差動部11と自動変速部20とで有段変速機として作動する有段変速状態が構成され、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態とされた差動部11と自動変速部20とで電気的な無段変速機として作動する無段変速状態が構成される。言い換えれば、動力伝達装置10は、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで有段変速状態に切り換えられ、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態に切り換えられる。また、差動部11も有段変速状態と無段変速状態とに切り換え可能な変速機であると言える。
上記のように構成される動力伝達装置100であっても、変速比設定手段86を適用することにより、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。ここで、変速比設定手段86によって差動部11の変速比が設定されるに際して、切換クラッチC0および切換ブレーキB0を共に解放させることで、差動部11の変速比を無段階的に設定することが可能となる。これにより、自動変速部20の変速比の変化に対して、エンジン8の動作点が燃費最適な状態に維持されるように差動部102の変速比を組み合わせることで、第1遊星歯車P1の高回転化を防止することができると共に、エンジン8を燃費最適な状態で作動させることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、自動変速部20の構成は上述したものに限定されず、他の構成であっても適用することができる。ようするに、変速部の構成において、所定の遊星歯車が高回転化される性質を有するものであれば、変速比設定手段86を適用することで、好適に所定の遊星歯車の高回転化を防止することができる。
また、前述の実施例では、変速比設定手段86によって自動変速部20が第4速ギヤ段から第3速ギヤ段へダウン変速させられることで変速比γが高く設定されるが、上記ダウン変速は本実施例において適用される変速であり、変速部の構成に応じて自動変速部20の変速比γの設定は適宜変更される。すなわち、遊星歯車の高回転化を防止される変速であれば、例えば第4速ギヤ段から第2速ギヤ段への飛び変速等であってもよく、さらに、ダウン変速に限定されずアップ変速されるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、変速比設定手段86は自動変速部20を第4速ギヤ段から第3速ギヤ段へダウン変速させることで第1遊星歯車P1の回転速度を零回転としているが、必ずしも零回転とする必要はなく、第1遊星歯車P1の回転速度を低下させる変速であれば特に限定されない。
また、前述の実施例では、変速比設定手段86によって差動部11の変速比γ0を設定するに際して、第1電動機M1によって差動部11の回転状態が制御されるが、必ずしも第1電動機M1のみに限定されず、例えば第2電動機M2による回転制御、或いは第1電動機M1および第2電動機M2を併用した回転制御を実施しても構わない。
また、前述の実施例では、第2電動機M2は、伝達部材18に直接連結されているが、第2電動機M2の連結位置はそれに限定されず、エンジン8又は伝達部材18から駆動輪34までの間の動力伝達経路に直接的或いは変速機、遊星歯車装置、係合装置等を介して間接的に連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、第1電動機M1の運転状態が制御されることにより、差動部11はその変速比γ0が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能するものであったが、たとえば差動部11の変速比γ0を連続的ではなく差動作用を利用して敢えて段階的に変化させるものであっても本発明は適用することができる。
また、前述の実施例の動力分配機構16では、差動部キャリヤCA0がエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0が第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機M1、伝達部材18は、差動部遊星歯車装置24の3要素CA0、S0、R0のうちのいずれと連結されていても差し支えない。
また、前述の実施例では、エンジン8は入力軸14と直結されていたが、たとえばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。
また、前述の実施例では、第1電動機M1および第2電動機M2は、入力軸14に同心に配置されて第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され第2電動機M2は伝達部材18に連結されていたが、必ずしもそのように配置される必要はなく、たとえばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され、第2電動機M2は伝達部材18に連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、第1クラッチC1や第2クラッチC2などの油圧式摩擦係合装置は、パウダー(磁紛)クラッチ、電磁クラッチ、噛合型のドグクラッチなどの磁紛式、電磁式、機械式係合装置から構成されていてもよい。たとえば電磁クラッチであるような場合には、油圧制御回路70は油路を切り換える弁装置ではなく電磁クラッチへの電気的な指令信号回路を切り換えるスイッチング装置や電磁切換装置等により構成される。
また、前述の実施例では、自動変速部20は伝達部材18を介して差動部11と直列に連結されていたが、入力軸14と平行にカウンタ軸が設けられてそのカウンタ軸上に同心に自動変速部20が配列されていてもよい。この場合には、差動部11と自動変速部20とは、たとえば伝達部材18としてカウンタギヤ対、スプロケットおよびチェーンで構成される1組の伝達部材などを介して動力伝達可能に連結される。
また、前述の実施例の差動機構として動力分配機構16は、たとえばエンジンによって回転駆動されるピニオンと、そのピニオンに噛み合う一対のかさ歯車が第1電動機M1および伝達部材18(第2電動機M2)に作動的に連結された差動歯車装置であってもよい。
また、前述の実施例ではエンジン8と差動部11とが直接連結されているが、必ずしも直接連結される必要はなく、エンジン8と差動部11との間にクラッチを介して連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、差動部11と自動変速部20とが直列接続されたような構成となっているが、特にこのような構成に限定されず、変速機構10全体として電気式差動を行う機能と、変速機構10全体として電気式差動による変速とは異なる原理で変速を行う機能と、を備えた構成であれば本発明は適用可能であり、機械的に独立している必要はない。また、これらの配設位置や配設順序も特に限定されない。要するに、自動変速部20は、エンジン8から駆動輪34への動力伝達経路の一部を構成するように設けられておればよい。
また、前述の実施例の動力分配機構16は、1組の遊星歯車装置(差動部遊星歯車装置24)から構成されていたが2以上の遊星歯車装置から構成されて、非差動状態(定変速状態)では3段以上の変速機として機能するものであってもよい。また、差動部遊星歯車装置24はシングルピニオン型に限られたものではなくダブルピニオン型の遊星歯車装置であってもよい。また、このような2以上の遊星歯車装置から構成された場合においても、これらの遊星歯車装置の各回転要素にエンジン8、第1および第2電動機M1、M2、伝達部材18、構成によっては出力軸22が動力伝達可能に連結され、さらに遊星歯車装置の各回転要素に接続されたクラッチCおよびブレーキBの制御により有段変速と無段変速とが切り換えられるような構成であっも構わない。
また、前述の実施例のシフト操作装置50は、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えていたが、そのシフトレバー52に替えて、たとえば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等の複数種類のシフトポジションPSHを選択可能なスイッチ、或いは手動操作に因らず運転者の音声に反応して複数種類のシフトポジションPSHを切り換えられる装置や足の操作により複数種類のシフトポジションPSHが切り換えられる装置等であってもよい。また、シフトレバー52が「M」ポジションに操作されることにより、変速レンジが設定されるものであったが、ギヤ段が設定されることすなわち各変速レンジの最高速ギヤ段がギヤ段として設定されてもよい。この場合、自動変速部20ではギヤ段が切り換えられて変速が実行される。たとえば、シフトレバー52が「M」ポジションにおけるアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ手動操作されると、自動変速部20では第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれかがシフトレバー52の操作に応じて設定される。
また、前述の実施例の変速機構10において第1電動機M1と第2回転要素RE2とは直結されており、第2電動機M2と第3回転要素RE3とは直結されているが、第1電動機M1が第2回転要素RE2にクラッチ等の係合要素を介して連結され、第2電動機M2が第3回転要素RE3にクラッチ等の係合要素を介して連結されていてもよい。
また、前述の実施例において、第2電動機M2はエンジン8から駆動輪34までの動力伝達経路の一部を構成する伝達部材18に連結されているが、第2電動機M2がその動力伝達経路に連結されていることに加え、クラッチ等の係合要素を介して動力分配機構16にも連結可能とされており、第1電動機M1の代わりに第2電動機M2によって動力分配機構16の差動状態を制御可能とする変速機構10の構成であってもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明の制御装置が適用されるハイブリッド車両の車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1のハイブリッド車両の車両用動力伝達装置に備えられた自動変速部の変速作動とそれに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1のハイブリッド車両の車両用動力伝達装置における各ギヤ段の相対回転速度を説明する共線図である。 図1のハイブリッド車両の車両用動力伝達装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 図4の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1のハイブリッド車両の車両用動力伝達装置において、車速と出力トルクとをパラメータとする同じ二次元座標に構成された、自動変速部の変速判断の基となる予め記憶された変速線図の一例と、エンジン走行とモータ走行とを切り換えるためのエンジン走行領域とモータ走行領域との境界線を有する予め記憶された駆動力源切換線図の一例とを示す図であって、それぞれの関係を示す図でもある。 図1のエンジンの最適燃費率曲線を表す図である。 遊星歯車の高回転化を防止する際に適用される変速線図であって、図7に対応するものである。 遊星歯車の高回転化を防止する制御を実施した際の作動状態を説明する共線図であって、図3に対応するものである。 電子制御装置の制御作動の要部すなわち自動変速部の遊星歯車の高回転化を防止する制御作動を説明するフローチャートである。 本発明の制御装置が適用されるハイブリッド車両の車両用動力伝達装置の構成を説明する他の骨子図である。 図12のハイブリッド車両の車両用動力伝達装置に備えられた自動変速部の変速作動とそれに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。
符号の説明
8:エンジン(駆動源)
10:車両用動力伝達装置
11:差動部(電気式差動部)
12:トランスミッションケース(非回転部材)
16:動力分配機構(差動機構)
18:伝達部材(差動機構の出力軸)
20:自動変速部(変速部)
26:第1遊星歯車装置
28:第2遊星歯車装置
34:駆動輪
86:変速比設定手段
S1:第1サンギヤ(第1遊星歯車装置のサンギヤ)
CA1:第1キャリヤ(第1遊星歯車装置のキャリヤ)
R1:第1リングギヤ(第1遊星歯車装置のリングギヤ)
S2:第2サンギヤ(第2遊星歯車装置のサンギヤ)
CA2:第2キャリヤ(第2遊星歯車装置のキャリヤ)
R2:第2リングギヤ(第2遊星歯車装置のリングギヤ)
P1:第1遊星歯車(遊星歯車)
C1:第1クラッチ
C2:第2クラッチ
B1:第1ブレーキ
B2:第2ブレーキ
CR:所定の回転速度
V2:所定の車速
CR:所定の温度

Claims (7)

  1. 駆動源と駆動輪との間に連結された差動機構と該差動機構に動力伝達可能に連結された電動機とを有し該電動機の運転状態が制御されることにより該差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、動力伝達経路の一部を構成する変速部とを、備え、車両の走行特性が燃費最適となるように前記電気式差動部および前記変速部の動作点が選択される車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    前記変速部を構成する遊星歯車が所定の回転速度を超える領域では、前記燃費最適となる動作点を外して前記電気式差動部および変速部の変速比の組合せを設定する変速比設定手段を、含むことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 前記変速比設定手段は、前記変速比の組合せを設定するに際して、前記駆動源の燃費最適な動作点は継続されるように設定することを特徴とする請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記変速比設定手段は、車速が所定の速度を越えるとき実施されることを特徴とする請求項1または2の車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. 前記変速比設定手段は、前記変速部の油温が所定の温度を超えるとき実施されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記変速部はシングルピニオン型の第1遊星歯車装置とシングルピニオン型の第2遊星歯車装置とを備え、
    前記第1遊星歯車装置のサンギヤと前記第2遊星歯車装置のサンギヤとが互いに連結されて第1クラッチを介して前記電気式差動部の出力軸に選択的に連結され、前記第1遊星歯車装置のキャリヤと前記第2遊星歯車装置のリングギヤとが互いに連結されて第2クラッチを介して前記電気式差動部の出力軸に選択的に連結されると共に第2ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、前記第1遊星歯車装置のリングギヤが第1ブレーキを介して非回転部材に選択的に連結され、前記第2遊星歯車装置のキャリヤが前記変速部の出力軸に連結され、
    前記第1クラッチおよび第2ブレーキが係合されることで第1変速段が形成され、前記第1クラッチおよび第1ブレーキが係合されることで第2変速段が形成され、前記第1クラッチおよび第2クラッチが係合されることで第3変速段が形成され、前記第2クラッチおよび第1ブレーキが係合されることで第4変速段が形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  6. 前記変速部が第4変速段で走行中、前記遊星歯車が所定の回転速度を超える領域となるとき、前記変速比設定手段は、前記変速部を第3変速段に変速させることを特徴とする請求項5の車両用動力伝達装置の制御装置。
  7. 前記変速部の変速特性を示す変速線図において、高速段側への変速を指示するアップシフト線が低速段側への変速を指示するダウンシフト線よりも低車速側に位置する領域が形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018529568A (ja) * 2015-09-17 2018-10-11 ダナ リミテッド 連続可変機械式トランスミッションとして使用されるボールバリエータを有するハイブリッド電気パワートレイン構成
KR102244197B1 (ko) * 2019-12-04 2021-04-26 주식회사 현대케피코 자동변속기 변속 제어 장치

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