JP2010095012A - 車両用パワーステアリングシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両用パワーステアリングシステムにて、エンジンによって駆動される補機を駆動するベルト・プーリー機構の負荷を低減すること。
【解決手段】 車両用パワーステアリングシステムは、電気モータを動力源とする電動パワーステアリング装置と、エンジンによって駆動される油圧ポンプを動力源とする油圧パワーステアリング装置と、エンジンによって駆動されて補機を駆動するベルト・プーリー機構を備えている。また、車両用パワーステアリングシステムは、前記ベルト・プーリー機構に加わる実負荷に相当する想定負荷を演算する負荷演算手段(ステップS12)を備えるとともに、前記想定負荷に応じて前記実負荷を低減すべく前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力と前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を変更する分担配分変更手段(ステップS11とS13〜S18)を備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】 車両用パワーステアリングシステムは、電気モータを動力源とする電動パワーステアリング装置と、エンジンによって駆動される油圧ポンプを動力源とする油圧パワーステアリング装置と、エンジンによって駆動されて補機を駆動するベルト・プーリー機構を備えている。また、車両用パワーステアリングシステムは、前記ベルト・プーリー機構に加わる実負荷に相当する想定負荷を演算する負荷演算手段(ステップS12)を備えるとともに、前記想定負荷に応じて前記実負荷を低減すべく前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力と前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を変更する分担配分変更手段(ステップS11とS13〜S18)を備えている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両用パワーステアリングシステムに係り、特に、車両のステアリング系に対して操舵補助力(アシスト力)を付与するために、電気モータを動力源とする電動パワーステアリング装置と、車両のエンジンによって駆動される油圧ポンプを動力源とする油圧パワーステアリング装置とを備えるとともに、前記エンジンによって駆動されてオルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するベルト・プーリー機構を備えている大型の車両用パワーステアリングシステムに関する。
電気モータを動力源とする電動パワーステアリング装置と、車両のエンジンによって駆動される油圧ポンプを動力源とする油圧パワーステアリング装置とを備えた車両用パワーステアリングシステムは、例えば、下記特許文献1に記載されている。
特開2006−213094号公報
上記した特許文献1に記載されているパワーステアリングシステムにおいては、ステアリング系に対して必要とされる操舵補助力の一部を担う電動パワーステアリング装置と、前記操舵補助力の残部を担う油圧パワーステアリング装置と、が分担する操舵補助力の比率(分担配分)を車速に応じて調整することができるように構成されているため、電動パワーステアリング装置及び油圧パワーステアリング装置それぞれの車速に対する動作特性に応じた調整が可能となる。
ところで、車両において、エンジンによって駆動されてオルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するベルト・プーリー機構が油圧パワーステアリング装置の油圧ポンプをも駆動する構成が採用されている場合、油圧ポンプを含む補機類の負荷が同時に高負荷となったとき、ベルト・プーリー機構に加わる負荷(実負荷)も大きくなる。このため、かかる状態を想定して、油圧ポンプを含む補機類の負荷が同時に高負荷となったときにも耐えるように、ベルト・プーリー機構を設計すると、ベルト・プーリー機構が大きくなって、重量面やコスト面で課題が生じる。
なお、油圧パワーステアリング装置の油圧ポンプが、オルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するベルト・プーリー機構とは別個に構成された第2のベルト・プーリー機構を介してエンジンによって駆動されるように構成されている場合には、油圧ポンプの負荷が補機を駆動するベルト・プーリー機構に加わらないため、補機を駆動するベルト・プーリー機構を高負荷に耐えるように設計する必要がない。しかし、この場合には、二つのベルト・プーリー機構を採用することに伴って、重量面やコスト面で課題が生じる。
本発明は、上述した課題に対処すべくなされたものであり、車両のステアリング系に対して操舵補助力を付与するために、電気モータを動力源とする電動パワーステアリング装置と、前記車両のエンジンによって駆動される油圧ポンプを動力源とする油圧パワーステアリング装置とを備えるとともに、前記エンジンによって駆動されてオルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するベルト・プーリー機構を備えている車両用パワーステアリングシステムであって、前記ベルト・プーリー機構に加わる実負荷に相当する想定負荷を演算する負荷演算手段を備えるとともに、前記想定負荷に応じて前記実負荷を低減すべく前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力と前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を変更する分担配分変更手段を備えていることに特徴がある。
本発明による車両用パワーステアリングシステムにおいては、分担配分変更手段が、負荷演算手段が演算した想定負荷に応じて、前記実負荷を低減すべく、前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力と前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を変更するため、補機を駆動するベルト・プーリー機構に加わる実負荷を低減することが可能である。これにより、補機を駆動するベルト・プーリー機構の小型・軽量化を図ることが可能である。また、車両用パワーステアリングシステムにおいて、操舵性を損なうことなく、補機を駆動するベルト・プーリー機構に加わる実負荷を低減することが可能であるため、不必要にエアコンを停止させてベルト・プーリー機構に加わる実負荷を低減する必要がなく、当該車両での快適性を維持することが可能である。
上記した本発明の実施に際して、前記ベルト・プーリー機構は前記オルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機とともに前記油圧ポンプを駆動可能であり、前記分担配分変更手段は前記油圧パワーステアリング装置に設けられて前記想定負荷の増加に応じて前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を低減させるべく前記油圧ポンプの吐出油圧を低減させる油圧制御手段を備えていることも可能である。
この場合には、油圧制御手段によって、想定負荷の増加に応じて油圧ポンプの吐出油圧を低減させることができるため、上記した油圧制御手段を設けない場合に比して、油圧パワーステアリング装置における油圧ポンプの駆動力を低減することが可能であり、オルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機とともに油圧ポンプをも駆動するベルト・プーリー機構に加わる実負荷を低減することが可能である。これにより、上述した作用効果と同様の作用効果を得ることが可能である。
また、上記した本発明の実施に際して、前記油圧ポンプは前記ベルト・プーリー機構とは別個に構成された第2のベルト・プーリー機構を介して前記エンジンによって駆動されるように構成され、前記分担配分変更手段は前記電動パワーステアリング装置の制御手段に設けられて前記想定負荷の増加に応じて前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を低減させるべく前記電気モータへの供給電流値を低減させる電流制御手段を備えていることも可能である。
この場合には、電流制御手段によって、想定負荷の増加に応じて電気モータへの供給電流値を低減させることができるため、上記した電流制御手段を設けない場合に比して、電動パワーステアリング装置における電気モータでの電力消費量を減少させることが可能であり、オルタネータによる発電量を減ずることが可能である。このため、オルタネータの駆動用プーリとして、例えば、電磁クラッチ内蔵プーリを採用し、必要に応じて電磁クラッチ内蔵プーリを動力伝達不能とすることにより、オルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するベルト・プーリー機構に加わる実負荷を低減することが可能である。これにより、上述した作用効果と同様の作用効果を得ることが可能である。
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1において、本発明の第1実施形態に係る車両用パワーステアリングシステムPS1は、車両のステアリング系(ステアリングホイール11からラックバー12に至る構成)に対して操舵補助力(アシスト力)を付与するために、電気モータ13を動力源とする電動パワーステアリング装置EPSと、車両のエンジン14によって駆動される油圧ポンプ15を動力源とする油圧パワーステアリング装置HPSとを備えるとともに、エンジン14によって駆動されてオルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機とともに油圧ポンプ15を駆動するベルト・プーリー機構BPMを備えている。
以下に、本発明の第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1において、本発明の第1実施形態に係る車両用パワーステアリングシステムPS1は、車両のステアリング系(ステアリングホイール11からラックバー12に至る構成)に対して操舵補助力(アシスト力)を付与するために、電気モータ13を動力源とする電動パワーステアリング装置EPSと、車両のエンジン14によって駆動される油圧ポンプ15を動力源とする油圧パワーステアリング装置HPSとを備えるとともに、エンジン14によって駆動されてオルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機とともに油圧ポンプ15を駆動するベルト・プーリー機構BPMを備えている。
なお、ラックバー12は、車両の左右方向に延在して配置されており、両端にて左右のナックルアーム(図示省略)に連結されていて、左右動によって左右の転舵輪(図示省略)を転舵可能に構成されている。オルタネータ16は、周知のように、バッテリ18に接続されていて、充電に供される。また、エアコン用コンプレッサ17は、周知のように、冷凍回路(図示省略)に介装されていて、車室内の空調用に供される。
電動パワーステアリング装置EPSは、電気モータ13と、トルクセンサ21と、電気制御装置(ECU)22を備えている。電気モータ13は、正逆回転可能なモータであって、ピニオンシャフト(図示省略)に操舵トルクTに応じた操舵補助力Feを伝達可能であり、その作動は電気制御装置(ECU)22によって制御されている。トルクセンサ21は、ステアリングホイール11に加えられる操舵トルクT(操舵力)を検出するものであり、その検出値は電気制御装置(ECU)22に出力可能に構成されている。なお、ピニオンシャフト(図示省略)は、ラックバー12のラック(図示省略)に噛合するピニオン(図示省略)を有していて、ステアリングホイール11にトルク伝達可能に連結されている。
油圧パワーステアリング装置HPSは、油圧ポンプ15と、コントロールバルブ23と、パワーシリンダ24と、バイパスバルブ25を備えるとともに、これらを接続する供給配管P1,戻り配管P2,一方の接続配管P3,他方の接続配管P4およびバイパス配管P5を備えている。油圧ポンプ15は、オルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機とともに、ベルト・プーリー機構BPMによって駆動可能に構成されている。コントロールバルブ23は、それ自体周知のものであり、ステアリングホイール11に加えられる操舵トルクTに応じて各配管P1,P2,P3,P4内の油圧を制御可能に構成されている。
パワーシリンダ24は、ラックバー12の一部をピストンロッドとするものであり、ラックバー12に対して同軸的に配置されていて、ラックバー12に操舵トルクTに応じた操舵補助力Fhを伝達可能に構成されている。バイパスバルブ25は、供給配管P1と戻り配管P2を接続するバイパス配管P5に介装された電磁流量制御弁であり、その作動は電気制御装置(ECU)22によって制御されている。このバイパスバルブ25は、供給配管P1から戻り配管P2に流れる油量(バイパス流量)を制御して油圧ポンプ15の吐出油圧を制御する油圧制御手段であり、バイパス流量に応じて油圧ポンプ15の吐出油圧を低減させることが可能である。
補機を駆動するベルト・プーリー機構BPMは、エンジン14のクランクシャフトに一体的に組付けたクランクプーリ31と、油圧ポンプ15の駆動軸に一体的に組付けた油圧ポンププーリ32と、オルタネータ16の駆動軸に一体的に組付けた発電プーリ33と、エアコン用コンプレッサ17の駆動軸にエアコン用電磁クラッチ(図示省略)を介して組付けたエアコンプーリ34と、エンジン14用ウォータポンプ(図示省略)の駆動軸に一体的に組付けたウォータポンププーリ35と、3個のアイドルプーリ36,37,38を備えるとともに、これらのプーリ31〜38に巻装したベルト(サーペンタインベルト)39によって構成されている。
電気制御装置(ECU)22は、電気モータ13、バッテリ18、トルクセンサ21、バイパスバルブ25と、エアコン用電磁クラッチ(図示省略)に接続されるとともに、車速センサ(図示省略)、エンジン回転数センサ(図示省略)にも接続されている。この電気制御装置(ECU)22は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、図2に示したアシスト制御プログラムを実行して、その時点で必要とされる操舵補助力F=(Fe+Fh)を演算(図2のステップS11参照)するとともに、その時点においてベルト・プーリー機構BPMのベルト(サーペンタインベルト)39に加わる実負荷に相当する想定負荷を演算(図2のステップS12参照)し、この想定負荷に応じてバイパスバルブ25への供給電流Avを演算・出力(図2のステップS13、S14、S15参照)して、この供給電流Avがバイパスバルブ25に供給されるように制御する。また、上記したバイパスバルブ25への供給電流Avと操舵トルクTを基に、電気モータ13への供給電流Amを演算・出力(図2のステップS16、S17、S18参照)して、この供給電流Amが電気モータ13に供給されるように制御する。
なお、図2のステップS11では、車速センサ(図示省略)によって検出される車速を基に、操舵トルクTと操舵補助力Fの関係を示すマップ群から一つのマップ(図3参照)が選択されるとともに、このマップを参照して、トルクセンサ21によって検出される操舵トルクTを基に、操舵補助力F=(Fh+Fe)が演算される。この実施形態において用いられる種々のマップ(以下に記載するマップも同じ)は、予め、実験や解析によって求められていて、電気制御装置(ECU)22に記憶させてある。
また、図2のステップS12では、バッテリ18の電圧から推定される当該車両での消費電力量などから想定される発電量(オルタネータ16による負荷)、エアコン用電磁クラッチ(図示省略)のON/OFFから想定されるエアコン負荷、トルクセンサ21によって検出される操舵トルクTから想定される油圧ポンプ負荷を基に、予め設定した演算式(図示省略)にて想定負荷が演算される。また、図2のステップS13では、ステップS12にて演算された想定負荷に応じて図4に示したマップを参照してバイパスバルブ25を通過する作動油のバイパス流量Qが算出される。
また、図2のステップS14では、ステップS13にて算出されたバイパス流量Qとエンジン回転数センサ(図示省略)によって検出されるエンジン回転数Reを基に、バイパス流量とエンジン回転数とバイパスバルブ25への供給電流の関係を示すマップ(図示省略)を参照して、バイパスバルブ25への供給電流Avが演算される。また、図2のステップS15では、供給電流Avがバイパスバルブ25に出力されて、バイパスバルブ25が供給電流Avに応じて開き、流量Qの作動油がバイパスバルブ25を流れるようになる。
また、図2のステップS16では、供給電流Avと操舵トルクTを基に、図3に示したマップを参照して油圧パワーステアリング装置HPSにて得られる操舵補助力Fhが算出される。なお、図3の実線で示した操舵補助力Fhの特性線は、供給電流Avがゼロであるときのものであり、図3の二点鎖線で示した操舵補助力Fhの特性線は、供給電流Avが所定値であるときのものである。
また、図2のステップS17では、ステップS11にて演算された操舵補助力F=(Fh+Fe)とステップ16にて算出された操舵補助力Fhを基に、電動パワーステアリング装置EPSにて要求される操舵補助力Feが算出される。また、図2のステップS18では、ステップS17にて算出された操舵補助力Feを基に、電気モータ13への供給電流Amと操舵補助力Feの関係を示すマップ(図示省略)を参照して、電気モータ13への供給電流Amが演算され出力される。
上記した第1実施形態においては、電気制御装置(ECU)22が、図2に示したアシスト制御プログラムを実行することにより、想定負荷に応じてバイパスバルブ25が開き、作動油がバイパスバルブ25を流れて、油圧ポンプ15の吐出油圧が低減する。このため、想定負荷の増加に応じて、バイパス流量Qを増大させることができて、油圧ポンプ15の吐出油圧を低減させることができる。したがって、上記したバイパスバルブ25(油圧制御手段)を設けない場合(バイパス流量が常にゼロである場合)に比して、油圧パワーステアリング装置HPSにて得られる操舵補助力Fhを減じることができて、電動パワーステアリング装置EPSにて得られる操舵補助力Feを増大させることができる。
この結果、上述した想定負荷に応じて、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feと油圧パワーステアリング装置HPSが担う操舵補助力Fhの分担配分を変更すること(具体的には、油圧パワーステアリング装置HPSが担う操舵補助力Fhの分担配分Fh/Fを下げて、油圧ポンプ負荷(油圧ポンプ15の駆動力)を低減すること)ができて、ベルト・プーリー機構BPMに加わる実負荷を低減することが可能である。これにより、オルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機とともに油圧ポンプ15をも駆動するベルト・プーリー機構BPMの小型・軽量化を図ることが可能である。また、この車両用パワーステアリングシステムにおいては、操舵性を損なうことなく、ベルト・プーリー機構BPMに加わる実負荷を低減することが可能であるため、不必要にエアコンを停止させてベルト・プーリー機構BPMに加わる実負荷を低減する必要がなく、当該車両での快適性を維持することが可能である。
上記した第1実施形態においては、図2のステップS12にて示したように、発電量(オルタネータ16による負荷)、エアコン負荷、油圧ポンプ負荷を基に、ベルト・プーリー機構BPMのベルト(サーペンタインベルト)39に加わる実負荷に相当する想定負荷が演算されるように構成して実施したが、ベルト・プーリー機構BPMのアイドルプーリ36,37または38を軸支するシャフト(図示省略)に曲げ力を検出可能な荷重センサを設けて、この荷重センサからの検出値からベルト・プーリー機構BPMのベルト(サーペンタインベルト)39に加わる実負荷(張力)に相当する想定負荷を演算するように構成して実施することも可能である。
また、上記第1実施形態の実施に際して、図2のステップS12にて演算される想定負荷が上限設定値(適宜設定可能である)以上に増大したとき、エアコン用電磁クラッチ(図示省略)が所定時間OFFとなるように設定して実施することも可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図5および図6を参照して説明する。図5において、本発明の第2実施形態に係る車両用パワーステアリングシステムPS2は、車両のステアリング系(ステアリングホイール11からラックバー12に至る構成)に対して操舵補助力(アシスト力)を付与するために、電気モータ13を動力源とする電動パワーステアリング装置EPSと、車両のエンジン14によって駆動される油圧ポンプ15を動力源とする油圧パワーステアリング装置HPSaとを備えるとともに、エンジン14によって駆動されてオルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機を駆動する第1のベルト・プーリー機構BPM1と、エンジン14によって駆動されて油圧ポンプ15を駆動する第2のベルト・プーリー機構BPM2を備えている。なお、油圧パワーステアリング装置HPSaと両ベルト・プーリー機構BPM1、BPM2以外の構成は、上記した第1実施形態の構成と実質的に同じ構成であるため、同一符号を付してその説明は省略する。
次に、本発明の第2実施形態を図5および図6を参照して説明する。図5において、本発明の第2実施形態に係る車両用パワーステアリングシステムPS2は、車両のステアリング系(ステアリングホイール11からラックバー12に至る構成)に対して操舵補助力(アシスト力)を付与するために、電気モータ13を動力源とする電動パワーステアリング装置EPSと、車両のエンジン14によって駆動される油圧ポンプ15を動力源とする油圧パワーステアリング装置HPSaとを備えるとともに、エンジン14によって駆動されてオルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機を駆動する第1のベルト・プーリー機構BPM1と、エンジン14によって駆動されて油圧ポンプ15を駆動する第2のベルト・プーリー機構BPM2を備えている。なお、油圧パワーステアリング装置HPSaと両ベルト・プーリー機構BPM1、BPM2以外の構成は、上記した第1実施形態の構成と実質的に同じ構成であるため、同一符号を付してその説明は省略する。
油圧パワーステアリング装置HPSaは、油圧ポンプ15と、コントロールバルブ23と、パワーシリンダ24を備えるとともに、これらを接続する供給配管P1,戻り配管P2,一方の接続配管P3,他方の接続配管P4を備えていて、油圧ポンプ15が第2のベルト・プーリー機構BPM2によって駆動可能に構成されていること、上記した第1実施形態のバイパスバルブ25およびバイパス配管P5が設けられていないことを除いて、上記した第1実施形態の油圧パワーステアリング装置HPSの構成と実質的に同じ構成であるため、その説明は省略する。
補機を駆動する第1のベルト・プーリー機構BPM1は、エンジン14のクランクシャフトに一体的に組付けたクランクプーリ31と、オルタネータ16の駆動軸に発電用電磁クラッチ(図示省略)を介して組付けた発電プーリ33と、エアコン用コンプレッサ17の駆動軸にエアコン用電磁クラッチ(図示省略)を介して組付けたエアコンプーリ34と、エンジン14用ウォータポンプ(図示省略)の駆動軸に一体的に組付けたウォータポンププーリ35と、3個のアイドルプーリ36,37,38を備えるとともに、これらのプーリ31〜38(32を除く)に巻装したベルト(サーペンタインベルト)39aによって構成されている。一方、第2のベルト・プーリー機構BPM2は、エンジン14のクランクシャフトに一体的に組付けたクランクプーリ31と、油圧ポンプ15の駆動軸に一体的に組付けた油圧ポンププーリ32と、これらのプーリ31,32に巻装したベルト39bによって構成されている。
電気制御装置(ECU)22aは、電気モータ13、バッテリ18、トルクセンサ21、発電用電磁クラッチ(図示省略)、エアコン用電磁クラッチ(図示省略)に接続されるとともに、車速センサ(図示省略)、エンジン回転数センサ(図示省略)にも接続されている。この電気制御装置(ECU)22aは、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、図6に示したアシスト制御プログラムを実行して、その時点で必要とされる操舵補助力F=(Fe+Fh)を演算(図6のステップS111参照)するとともに、その時点においてベルト・プーリー機構BPM1のベルト(サーペンタインベルト)39aに加わる実負荷に相当する想定負荷を演算(図6のステップS112参照)し、この想定負荷に応じて、発電用電磁クラッチ(図示省略)のON・OFFを制御する(図6のステップS113〜S115参照)とともに、電気モータ13への供給電流値を制御する(図6のステップS116、117参照)。
なお、図6のステップS111では、車速センサ(図示省略)によって検出される車速を基に、操舵トルクTと操舵補助力Fの関係を示すマップ群から一つのマップ(図示省略)が選択されるとともに、このマップを参照して、トルクセンサ21によって検出される操舵トルクTを基に、操舵補助力F=(Fh+Fe)が演算される。この実施形態において用いられるマップは、予め、実験や解析によって求められていて、電気制御装置(ECU)22aに記憶させてある。
また、図6のステップS112では、バッテリ18の電圧から推定される当該車両での消費電力量などから想定される発電量(オルタネータ16による負荷)、エアコン用電磁クラッチ(図示省略)のON/OFFから想定されるエアコン負荷を基に、予め設定した演算式(図示省略)にて想定負荷が演算される。また、図6のステップS113では、ステップS112にて演算された想定負荷が設定値以上か否かが判定される。
図6のステップS113にて「Yes」と判定された場合には、ステップS114にて発電用電磁クラッチ(図示省略)をOFFとすべく発電用電磁クラッチ(図示省略)への通電が遮断されるとともに、ステップ116にて電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fをゼロとすべく電気モータ13への出力を停止する。
また、図6のステップS113にて「No」と判定された場合には、ステップS115にて発電用電磁クラッチ(図示省略)をONとすべく発電用電磁クラッチ(図示省略)への通電がなされるとともに、ステップ117にて電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fを設定値とすべく電気モータ13への供給電流が操舵補助力Fを基に演算されて出力される。
上記した第2実施形態においては、電気制御装置(ECU)22aが、図6に示したアシスト制御プログラムを実行することにより、想定負荷に応じて発電用電磁クラッチ(図示省略)のON・OFFが制御されるとともに、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fが制御され、想定負荷が設定値以上のとき、電気モータ13への供給電流値を低減させることができる。したがって、上記したステップS116を設けない場合に比して、電動パワーステアリング装置EPSにて得られる操舵補助力Feを減じることができる。
この結果、上述した想定負荷に応じて、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feと油圧パワーステアリング装置HPSが担う操舵補助力Fhの分担配分を変更すること(具体的には、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fを下げること)ができて、第1のベルト・プーリー機構BPM1に加わる実負荷を低減することが可能である。これにより、オルタネータ16、エアコン用コンプレッサ17等の補機を駆動する第1のベルト・プーリー機構BPM1の小型・軽量化を図ることが可能である。また、この車両用パワーステアリングシステムにおいては、操舵性を損なうことなく、第1のベルト・プーリー機構BPM1に加わる実負荷を低減することが可能であるため、不必要にエアコンを停止させて第1のベルト・プーリー機構BPM1に加わる実負荷を低減する必要がなく、当該車両での快適性を維持することが可能である。
上記した第2実施形態においては、図6のステップS116にて、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fをゼロとすべく電気モータ13への出力を停止し、図6のステップ117にて、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fを設定値とすべく電気モータ13への供給電流が操舵補助力Fを基に演算されて出力されるように構成して実施したが、図6のステップS116とS117に代えて、発電用電磁クラッチ(図示省略)のON・OFFに拘わらず、電動パワーステアリング装置EPSが担う操舵補助力Feの分担配分Fe/Fが、想定負荷の増大に応じて、順次減少する(具体的には、電気モータ13への供給電流値を順次低減させる)よう構成して実施することも可能である。
この場合には、電気モータ13での電力消費量を減少させることが可能であり、オルタネータ16による発電量を減ずることが可能であって、オルタネータ16の発電によるベルト負荷を低減することが可能である。このため、この場合には、発電用電磁クラッチ(図示省略)を設けないで実施することも可能である。
11…ステアリングホイール、12…ラックバー、13…電気モータ、14…エンジン、15…油圧ポンプ、16…オルタネータ、17…エアコン用コンプレッサ、18…バッテリ、21…トルクセンサ、22…電気制御装置(ECU)、23…コントロールバルブ、24…パワーシリンダ、25…バイパスバルブ、P1〜P5…配管、EPS…電動パワーステアリング装置、HPS…油圧パワーステアリング装置、BPM…ベルト・プーリー機構
Claims (3)
- 車両のステアリング系に対して操舵補助力を付与するために、電気モータを動力源とする電動パワーステアリング装置と、前記車両のエンジンによって駆動される油圧ポンプを動力源とする油圧パワーステアリング装置とを備えるとともに、前記エンジンによって駆動されてオルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するベルト・プーリー機構を備えている車両用パワーステアリングシステムであって、
前記ベルト・プーリー機構に加わる実負荷に相当する想定負荷を演算する負荷演算手段を備えるとともに、
前記想定負荷に応じて前記実負荷を低減すべく前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力と前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を変更する分担配分変更手段を備えていることを特徴とする車両用パワーステアリングシステム。 - 請求項1に記載の車両用パワーステアリングシステムにおいて、前記ベルト・プーリー機構は前記オルタネータ、エアコン用コンプレッサ等の補機とともに前記油圧ポンプを駆動可能であり、前記分担配分変更手段は前記油圧パワーステアリング装置に設けられて前記想定負荷の増加に応じて前記油圧パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を低減させるべく前記油圧ポンプの吐出油圧を低減させる油圧制御手段を備えていることを特徴とする車両用パワーステアリングシステム。
- 請求項1に記載の車両用パワーステアリングシステムにおいて、前記油圧ポンプは前記ベルト・プーリー機構とは別個に構成された第2のベルト・プーリー機構を介して前記エンジンによって駆動されるように構成され、前記分担配分変更手段は前記電動パワーステアリング装置の制御手段に設けられて前記想定負荷の増加に応じて前記電動パワーステアリング装置が担う操舵補助力の分担配分を低減させるべく前記電気モータへの供給電流値を低減させる電流制御手段を備えていることを特徴とする車両用パワーステアリングシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008264866A JP2010095012A (ja) | 2008-10-14 | 2008-10-14 | 車両用パワーステアリングシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008264866A JP2010095012A (ja) | 2008-10-14 | 2008-10-14 | 車両用パワーステアリングシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010095012A true JP2010095012A (ja) | 2010-04-30 |
Family
ID=42257016
Family Applications (1)
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JP2008264866A Pending JP2010095012A (ja) | 2008-10-14 | 2008-10-14 | 車両用パワーステアリングシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010095012A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014122015A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Hyundai Motor Company Co Ltd | ハイブリッド車両用操向装置及びその制御方法 |
CN110406591A (zh) * | 2019-08-13 | 2019-11-05 | 北京经纬恒润科技有限公司 | 一种车辆主动回正方法及系统 |
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2008
- 2008-10-14 JP JP2008264866A patent/JP2010095012A/ja active Pending
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