JP2010094025A - 喫煙用フィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】たばこ煙中の好ましくないニコチン等の粒子相成分の除去性能が高く、かつ香喫味をマイルドにできる喫煙用フィルターを提供する。
【解決手段】紙管1内に、常温でのニコチンろ過率が99%以下であるろ過材2と、前記ろ過材2を加熱する加熱手段3、さらに希釈空気導入口6、非加熱のシガレットフィルタ5とを有することを特徴とする喫煙用フィルターであり、シガレット10を挿入してシガレットフィルタ5を吸入口として使用する。
【選択図】図1
【解決手段】紙管1内に、常温でのニコチンろ過率が99%以下であるろ過材2と、前記ろ過材2を加熱する加熱手段3、さらに希釈空気導入口6、非加熱のシガレットフィルタ5とを有することを特徴とする喫煙用フィルターであり、シガレット10を挿入してシガレットフィルタ5を吸入口として使用する。
【選択図】図1
Description
本発明は喫煙用フィルターに関する。
従来、たばこ煙中の有害物質を除去するために、フィルターに各種の吸着剤や改質剤を添加することが提案されている。しかし、高沸点粒子相成分(例えばベンツピレンなど)は粒子と同じ挙動をするため、従来のフィルターでは高沸点粒子相成分を選択的に除去することが難しいという問題があった。
これに対して、粒子をほぼ100%ろ過できるろ過材と、ろ過材を加熱する手段とを備えた喫煙用フィルターが提案されている(特許文献1)。しかし、この喫煙用フィルターを用いて加熱ろ過した後のたばこ煙を喫煙すると、刺激感が強くなりすぎる傾向があることがわかってきた。
国際公開WO2004/021810
本発明の目的は、たばこ煙中の好ましくない粒子相成分の除去性能が高く、かつ香喫味をマイルドにできる喫煙用フィルターを提供することにある。
本発明の一態様に係る喫煙用フィルターは、常温でのニコチンろ過率が99%以下であるろ過材と、前記ろ過材を加熱する加熱手段とを有することを特徴とする。
加熱手段としては、ヒーターや、化学反応熱などを利用する手段が挙げられる。加熱手段は、フィルターを100〜200℃程度に加熱することが望ましい。
本発明においては、前記ろ過材の常温でのニコチンろ過率が70〜99%であることが好ましい。また、前記ろ過材に有機酸を添着してもよい。有機酸としては、ステアリン酸、クエン酸、酒石酸、パルミチン酸、フマル酸、コハク酸、オレイン酸、乳酸、レブリン酸などが挙げられる。また、前記ろ過材よりも下流の煙流路に希釈空気を導入するための開孔を設けてもよい。
本発明においては、前記ろ過材よりも下流に、非加熱のシガレットフィルターを設けてもよい。シガレットフィルターとしては、アセテートフィルター、ペーパーフィルター、ネオフィルターなどが挙げられる。また、前記シガレットフィルターに有機酸を添着してもよい。
本発明の喫煙用フィルターによれば、喫煙時に加熱されるろ過材の常温でのニコチンろ過率を99%以下としたことにより、たばこ煙中の好ましくない粒子相成分の除去性能が高く、かつ香喫味をマイルドできる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
まず、本発明において用いられる、喫煙時に加熱されるろ過材の常温でのニコチンろ過率(以下、簡単のためにEnicと記載する場合がある)について説明する。Enicは、シガレットをISO条件下で燃焼させ、生成する煙をろ過材に流通させたときに、ニコチンが低減する割合を表す数値である。ろ過材は通常のTN(タール・ニコチン)分析で用いられるホルダーなどに装填され、シガレットと接続して実験に使用する。この実験では、ろ過材に熱を加えない。
まず、本発明において用いられる、喫煙時に加熱されるろ過材の常温でのニコチンろ過率(以下、簡単のためにEnicと記載する場合がある)について説明する。Enicは、シガレットをISO条件下で燃焼させ、生成する煙をろ過材に流通させたときに、ニコチンが低減する割合を表す数値である。ろ過材は通常のTN(タール・ニコチン)分析で用いられるホルダーなどに装填され、シガレットと接続して実験に使用する。この実験では、ろ過材に熱を加えない。
Enicは、以下のような方法で求めることができる。たとえば、ろ過材に捕集されたニコチン量とろ過材から流出するニコチン量とを通常の方法で分析し、両者のニコチン量からろ過材で捕集されたニコチン量の割合を算出してEnicとする(直接法)。ろ過材から流出するニコチン量は、通常のTN分析で使用されるケンブリッジフィルターによる捕集分析法などによって評価することができる。
また、Enicは、別の方法で求めることもできる。すなわち、ろ過材を設けていないシガレットからのニコチン流出量と、シガレットの下流にろ過材を設けたときのろ過材からのニコチン流出量をそれぞれ分析し、両者のニコチン流出量からろ過材により捕集されたニコチン量の割合を算出してEnicとしてもよい(間接法)。
本発明に係る喫煙用フィルターでは、喫煙時にろ過材を加熱手段によって加熱する。そして、ろ過材の常温でのニコチンろ過率が99%以下であれば、たばこ煙中の好ましくない粒子相成分(たとえばベンツピレン)の除去性能を保持したまま、加熱ろ過材から流出するたばこ煙の香喫味をマイルドにできることを見出した。
以下の実施例においては、シガレットとして市販のマイルドセブンスーパーライトを用い、直接法でEnicを評価した。なお、市販されているシガレットであれば、シガレットの種類によってEnicが変化することはほとんどない。また、測定法が直接法であっても間接法であっても、Enicにほとんど差は見られない。
図1は本発明の一実施例に係る喫煙フィルターを示す断面図である。図1において、煙流路を形成する紙管1の途中にろ過材2が配置されている。ろ過材2の位置に対応する紙管1の周囲には加熱手段としてのヒーター3が設けられ、ヒーター3の周囲は断熱材4で覆われている。紙管1の一端部(図1の右側)は吸口部となっており、シガレットフィルター5が装着されている。紙管1のろ過材2よりも下流でシガレットフィルター5よりも上流の位置には、煙流路への希釈空気導入孔6が設けられている。紙管1の他端部(図1の左側)にはシガレット10が挿入される。
なお、ろ過材2を保持するための紙管1のような支持部材、ヒーター3および断熱材4の形態および配置は図1に示したものに限らず、種々の変形が考えられる。また、シガレットフィルター5および希釈空気導入孔6は必ずしも設ける必要はない。ろ過材2またはシガレットフィルター5には、必要に応じて、有機酸を添加してもよい。さらに、ろ過材2はシガレット10中に組み込んでもよい。
本発明に係る喫煙フィルターを用いた以下のような評価を行った。
(1)種々のEnicを有するろ過材による、喫煙時の刺激感の評価
図2は、ろ過材の種類およびEnicの値と、刺激感との関係を示す図である。刺激感は、喫煙フィルターを用いて社内パネル10名が実際の喫煙時に感じた刺激感を10段階評価した数値の平均値として算出した(以下においても同じ)。
図2は、ろ過材の種類およびEnicの値と、刺激感との関係を示す図である。刺激感は、喫煙フィルターを用いて社内パネル10名が実際の喫煙時に感じた刺激感を10段階評価した数値の平均値として算出した(以下においても同じ)。
使用したろ過材は以下のとおりである。
GA200:Advantec社製ガラス繊維ろ紙GA200、
CP−9、CP−6:近藤工業株式会社製のCPフィルターに使用されているろ過材、
SUS10、SUS5:富士フィルター工業株式会社製のフジ・メタルファイバーの10ミクロンタイプおよび5ミクロンタイプ。
GA200:Advantec社製ガラス繊維ろ紙GA200、
CP−9、CP−6:近藤工業株式会社製のCPフィルターに使用されているろ過材、
SUS10、SUS5:富士フィルター工業株式会社製のフジ・メタルファイバーの10ミクロンタイプおよび5ミクロンタイプ。
試験は、ヒーターによるろ過材の加熱温度を175℃、希釈空気の流入割合を0%、ろ過材への添加物なし、シガレットフィルターへの添加物なしの条件で行った。図2から、以下のことがわかる。すなわち、ろ過材としてEnicが100%であるGA200を用いた場合には刺激感が強い。ところが、ろ過材のEnicが99%以下になると刺激感が顕著に低減し、Enicが低くなるに伴って刺激感も低減することがわかる。
(2)粒子相成分のろ過率
図3は、ろ過材の種類およびEnicの値と、刺激感との関係を示す図である。粒子相成分であるベンツピレン(BaP)のろ過率を示す図である。実験は、図2の場合と同じ条件で行った。図3から、本実験の範囲内では、BaPの60%以上がろ過されている。特に、Enicが70〜99%であるろ過材を用いた場合には、BaPの75%以上がろ過されている。
図3は、ろ過材の種類およびEnicの値と、刺激感との関係を示す図である。粒子相成分であるベンツピレン(BaP)のろ過率を示す図である。実験は、図2の場合と同じ条件で行った。図3から、本実験の範囲内では、BaPの60%以上がろ過されている。特に、Enicが70〜99%であるろ過材を用いた場合には、BaPの75%以上がろ過されている。
図2および図3の結果から、本発明に係る喫煙フィルターを用いれば、刺激感を抑制するとともに、好ましくない成分を大幅に低減できることがわかる。
(3)種々の酸を添加したろ過材による、喫煙時の刺激感の評価
図4および表1に、種々の酸を添加したろ過材を用い、喫煙時の刺激感を評価した結果を示す。図4および表1は、ろ過材に添加された酸の種類と、刺激感との関係を示す図である。表1には、酸をろ過材に添加するための条件も示している。ろ過材としてはCP−9を用いた。
図4および表1に、種々の酸を添加したろ過材を用い、喫煙時の刺激感を評価した結果を示す。図4および表1は、ろ過材に添加された酸の種類と、刺激感との関係を示す図である。表1には、酸をろ過材に添加するための条件も示している。ろ過材としてはCP−9を用いた。
表1に示した条件を説明する。常温で固体の酸は水またはエタノールに溶解して、酸濃度が1wt%である溶液を調製した。酸の原液または溶液を、表1の添加方法の欄に示す方法でろ過材に添加した。添加方法の説明は以下のとおりである。「シリンジ」と表記した方法では、ハミルトン製マイクロシリンジを用いて必要量の酸の原液または溶液を分取し、ろ過材の中心部に添加した。「アトマイザー」と表記した方法では、TSI社製アトマイザー(model9302)を用いて酸の原液または溶液の微粒子を噴霧し、所定時間かけてろ過材に添加した。添加後、温度22℃、湿度60%の部屋内で十分調和させた。
試験は、ヒーターによるろ過材の加熱温度を175℃、希釈空気の流入割合を0%、シガレットフィルターへの添加物なしの条件で行った。
(4)ろ過材へのパルミチン酸の添加量による、喫煙時の刺激感の評価
図5は、ろ過材へのパルミチン酸の添加量と、刺激感との関係を示す図である。パルミチン酸溶液の調製方法およびろ過材へのパルミチン酸の添加方法は表1に示したとおりである。
図5は、ろ過材へのパルミチン酸の添加量と、刺激感との関係を示す図である。パルミチン酸溶液の調製方法およびろ過材へのパルミチン酸の添加方法は表1に示したとおりである。
図5から、パルミチン酸の添加量の増加に伴い、刺激感が緩和されることが認められる。ただし、ろ過材にパルミチン酸を5mg以上添加しても、刺激感を緩和する効果はほとんど変化しないことがわかる。
(4)希釈空気の導入による、喫煙時の刺激感の評価
図6は、ろ過材の種類およびVfの値と、刺激感との関係を示す図である。Vfの値は、吸煙流量に対する希釈空気流入量の割合を示す。希釈空気を導入したことを除いては、図2の場合と同じ条件で実験を行った。
図6は、ろ過材の種類およびVfの値と、刺激感との関係を示す図である。Vfの値は、吸煙流量に対する希釈空気流入量の割合を示す。希釈空気を導入したことを除いては、図2の場合と同じ条件で実験を行った。
図6から、いずれのろ過材を装着した喫煙フィルターでも、希釈空気を導入すると刺激感を顕著に低減できることがわかる。
(5)シガレットフィルター(アセテートフィルター)の使用による、喫煙時の刺激感の評価
図7は、吸口にアセテートフィルターを装着していない喫煙フィルター、および吸口に5mmのアセテートフィルターを装着した喫煙フィルターによる刺激感の違いを示す図である。ろ過材にはCP−9を用い、図2の場合と同じ条件で実験を行った。
図7は、吸口にアセテートフィルターを装着していない喫煙フィルター、および吸口に5mmのアセテートフィルターを装着した喫煙フィルターによる刺激感の違いを示す図である。ろ過材にはCP−9を用い、図2の場合と同じ条件で実験を行った。
図7から、吸口にシガレットフィルターを装着することにより、刺激感を顕著に低減できることがわかる。
1…紙管、2…ろ過材、3…ヒーター、4…断熱材、5…シガレットフィルター、6…希釈空気導入孔、10…シガレット。
Claims (6)
- 常温でのニコチンろ過率が99%以下であるろ過材と、前記ろ過材を加熱する加熱手段とを有することを特徴とする喫煙用フィルター。
- 前記ろ過材の常温でのニコチンろ過率が70〜99%であることを特徴とする請求項1に記載の喫煙用フィルター。
- 前記ろ過材に有機酸を添着したことを特徴とする請求項1に記載の喫煙用フィルター。
- 前記ろ過材よりも下流の煙流路に希釈空気を導入するための開孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の喫煙用フィルター。
- 前記ろ過材よりも下流に、非加熱のシガレットフィルターを設けたことを特徴とする請求項1に記載の喫煙用フィルター。
- 前記シガレットフィルターに有機酸を添着したことを特徴とする請求項5に記載の喫煙用フィルター。
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JP2007023904A JP2010094025A (ja) | 2007-02-02 | 2007-02-02 | 喫煙用フィルター |
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- 2008-01-30 WO PCT/JP2008/051417 patent/WO2008093736A1/ja active Application Filing
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