JP2006081470A - シガレット用フィルター - Google Patents

Abstract

【課題】通気抵抗当りのタールおよびニコチンろ過率が高いシガレット用フィルターを提供する。
【解決手段】多孔質メンブレンフィルター材を素材として含むことを特徴とするシガレット用フィルター。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シガレット用フィルターに関する。

近年、喫煙者は、喫味の軽いシガレットを好む傾向にある。シガレットの喫味を軽減するために、シガレットの一端にフィルターを取り付け、タバコ主流煙成分（ニコチン、タール等）を除去することが行われている。

一般的に、シガレット用フィルターとしては、長手方向に平行に引き揃えたセルロースアセテート繊維の束（トウ）をバインダーで結着したものが使用されている。しかしながら、トウからなるフィルターの場合、ろ過効率を向上させるために繊維密度を増加させると、通気抵抗の過度の増大を招き、喫煙者の適度な吸煙感を維持できない等の問題がある。

これに対し、シガレット用フィルターとして、いわゆる紙フィルターも知られている（特許文献１、特許文献２等）。この紙フィルターは、クレープ処理を施すことにより、フィルタ断面の流路が増えてタバコ主流煙と接触する面積を増大させることができるため、通気抵抗を過度に上昇させることなく、アセテート繊維トウからなるフィルターよりもより効率的にタバコ主流煙成分をろ過することができる。
特開２００１−３５２９６３号公報 特開２００４−１０５１４６号公報

しかしながら、紙フィルターは、使用する紙中の空間率が非常に低いために、繊維表面積が低下し、通気抵抗当りのタールおよびニコチンろ過効率がなお不十分であることがわかった。

従って、本発明は、通気抵抗当りのタールおよびニコチンろ過率が高いシガレット用フィルターを提供することを目的とする。

本発明者は、紙フィルターと同様に取り扱えながら、さらに高いタールおよびニコチンろ過率を示すフィルター素材について鋭意研究した結果、液体の除粒子、除菌に使用されている多孔質メンブレンフィルターが、意外にも、タバコ主流煙中のタールおよびニコチンを効率的に除去し得ることを見いだし、本発明を完成した。

すなわち、本発明によれば、多孔質メンブレンフィルター材を素材として含むことを特徴とするシガレット用フィルターが提供される。

本発明のシガレット用フィルターは、通気抵抗当りのタールおよびニコチンろ過率が紙フィルターに比較して有意に高い。

以下、本発明をより詳しく説明する。

本発明のシガレット用フィルターは、多孔質メンブレンフィルター材をフィルター素材として含む。多孔質メンブレンフィルター材は、液体の除粒子、除菌に使用されているものであり、それ自体既知のものである。多孔質メンブレンフィルター材としては、セルロースアセテートタイプのメンブレンフィルターやＰＴＦＥタイプのメンブレンフィルターも使用できるが、強度や取り扱い性の観点から、いわゆるコーテッドタイプのものが好ましい。このコーテッドタイプのメンブレンフィルター材は、ポリエステル不織布のような不織布を基材とし、その少なくとも片面、通常その両面に多孔質セルロースアセテートのような多孔質樹脂膜がコートされているものである。多孔質メンブレンフィルター材は、孔径２〜２０μｍの孔を有するものであることが好ましく、孔径２．５〜８．５μｍの孔を有するものであることがより好ましい。そのような多孔質メンブレンフィルター材は、アドバンテック社からＹ０２０Ａシリーズ、Ｙ１００Ａシリーズの下で販売されている。多孔質メンブレンフィルター材の孔径は、ＪＩＳ Ｋ３８３２に規定されているバブルポイント試験法に従い、例えばポーラス・マテリアルズ社製Ｐｅｒｍ−Ｐｏｒｏｍｅｔｅｒを用いて測定することができる。

本発明で使用する多孔質メンブレンフィルター材は、従来の紙フィルターと同様、フィルター巻取紙により巻き取られてシガレット用フィルタープラグを構成する。従って、多孔質メンブレンフィルターは、従来の紙フィルターと同様、フィルタープラグの軸方向に沿ってタバコ主流煙の流路を形成するように巻き取られる。フィルター素材とタバコ主流煙との接触面積を増大させてろ過率を向上させるために、従来の紙フィルターと同様にして、多孔質メンブレンフィルターにフィルタープラグの軸方向に沿ったひだを付ける（クレープ処理する）ことが好ましい。ひだの数は、通常、１本／０．８５ｍｍ〜１本／１．５ｍｍである。このようなクレープ処理された多孔質メンブレンフィルター材を有するシガレット用フィルタープラグは、クレープ処理された紙フィルターを有するフィルタープラグを製造するための方法、例えば特許第３２３５９６２号明細書に記載された方法において、フィルターろ過材の紙原料シートの代わりに多孔質メンブレンフィルター材を用いて製造することができる。

多孔質メンブレンフィルター材は、フィルタープラグの主流煙流入端と流出端における圧力降下（フィルター通気抵抗）が通常最適値とされる約９０±５０ｍｍＨ₂Ｏ（ＩＳＯ３３０８に基づく標準喫煙条件下）となるような充填量でフィルター巻取紙中に充填される。

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はそれら実施例により限定されるものではない。

実施例１〜２、比較例１
フィルター素材としてアドバンテック社からそれぞれ入手したコーテッドタイプメンブレンフィルター材Ｙ２０Ａ（ポリエステル不織布の両面に多孔質セルロースアセテート膜をコートしたもの；メンブレンフィルター材Ａという）、およびＹ１００Ａ（ポリエステル不織布の両面に多孔質セルロースアセテート膜をコートしたもの；メンブレンフィルター材Ｂという）、並びに木材パルプ紙をそれぞれ用いた。各フィルター素材に溝付けローラを用いて１本／１ｍｍのひだを付けた後、内径８ｍｍ、長さ２５ｍｍの真鍮管内に、ひだが真鍮管の軸方向に配置されるように充填して、模擬フィルタープラグを作製した。このとき、充填量は、真鍮管の両端での圧力降下（模擬フィルタープラグのフィルター通気抵抗）が目標値９０ｍｍＨ₂Ｏとなるようにした。表１には、多孔質メンブレンフィルター材の孔径（ＪＩＳ Ｋ３８３２に規定されているバブルポイント試験法に従い、ポーラス・マテリアルズ社製Ｐｅｒｍ−Ｐｏｒｏｍｅｔｅｒを用いて測定）と、標準喫煙条件下での各模擬フィルタープラグのフィルター通気抵抗の実測値を示す。

各模擬フィルタープラグを直径８ｍｍ、長さ８４ｍｍの両切りシガレット（刻み：アメリカンブレンド；刻み充填量：約０．７ｇ）の一端に取り付け、標準喫煙条件下で吸煙させ、タールとニコチンの量をＩＳＯ法により測定し、同様にしてフィルタープラグを取り付けないシガレットについて測定したタールとニコチンの量から各フィルターのタールとニコチンのろ過率を求めた。結果を表１に併記する。

表１に示す結果からわかるように、本発明の多孔質メンブレンフィルターを用いたシガレット用フィルターは、紙フィルターに比べ、タールろ過率およびニコチンろ過率のいずれにおいても有意に優れている。また、実施例１と実施例２との比較から、孔径が２μｍ〜２０μｍであると、より低いフィルター通気抵抗で高いニコチンろ過率を示している。

Claims (4)

1. 多孔質メンブレンフィルター材を素材として含むことを特徴とするシガレット用フィルター。
2. 前記多孔質メンブレンフィルター材が、孔径２〜２０μｍの孔を有する請求項１に記載のシガレット用フィルター。
3. 前記多孔質メンブレンフィルター材が、シガレット用フィルターの軸方向に沿うひだが設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載のシガレット用フィルター。
4. 前記多孔質メンブレンフィルター材が、不織布基材と、この基材の少なくとも片面に設けられた多孔質膜を備えることを特徴とする請求項１ないし３のいずれか１項に記載のシガレット用フィルター。