以下、本発明の表示装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
図1は本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図であり、図2は図1に示したバックライト装置の要部構成を示す平面図である。図1及び図2において、本実施形態の液晶表示装置1では、バックライト部としてのバックライト装置2と、バックライト装置2からの光が照射されるとともに、情報を表示する表示部としての液晶パネル3とが設けられており、これらバックライト装置2と液晶パネル3とが透過型の液晶表示装置1として一体化されている。
バックライト装置2は、光源としての複数の発光ダイオード4と、複数の発光ダイオード4を収容した有底状の筐体5と、筐体5の開口部を塞ぐように当該筐体5に設置されるとともに、発光ダイオード4からの光を拡散する拡散板6とを備えており、拡散板6から液晶パネル3側に平面状の照明光を照射するようになっている。また、バックライト装置2では、図2に例示するように、液晶パネル3の表示面での横方向及び縦方向にそれぞれ平行に設けられる10行及び10列、合計100個の発光ダイオード4が使用されている。
また、複数の各発光ダイオード4には、例えば赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の光をそれぞれ発光する赤色、緑色、及び青色の発光ダイオード4r、4g、4bを一体的に構成した、いわゆるスリーインワン(3in1)タイプが使用されている。そして、バックライト装置2では、後に詳述するように、発光ダイオード4毎に設定された100個の照明エリアが定められるとともに、これらの照明エリアに対応して上記表示面に設定された100個の表示エリアに対し、対応する発光ダイオード4からの光をそれぞれ入射させるように構成されている。また、各照明エリアでは、上記3in1の発光ダイオード4が用いられているので、各照明エリアでは、白色に混色可能な複数色の光源が使用されている。
また、液晶表示装置1では、液晶パネル3と拡散板6との間に、例えば偏光シート7及びプリズム(集光)シート8が設置されており、これらの光学シートによって、バックライト装置2からの上記照明光の輝度上昇等が適宜行われて、液晶パネル3の表示性能を向上させるようになっている。
また、液晶表示装置1では、液晶パネル3に含まれた後述の信号線(ソースライン)及び制御線(ゲートライン)がFPC(Flexible Printed Circuit)9を介在させて駆動制御回路10に接続されている。そして、液晶表示装置1では、駆動制御回路10が液晶パネル3に設けられた複数の画素に対し、画素単位の駆動制御を行うようになっている。また、図1に例示するように、駆動制御回路10の近傍には、複数の発光ダイオード4を点灯駆動する点灯駆動回路11が設置されている。この点灯駆動回路11は、例えばPWM調光を用いて、各発光ダイオード4を点灯駆動するように構成されている。
次に、図3〜図5も参照して、本実施形態の液晶表示装置1の要部構成について具体的に説明する。
図3は、図1に示した液晶表示装置の要部構成を説明する図である。図4は図3に示したパネル制御部の構成例を示すブロック図であり、図5は図3に示したバックライト制御部の構成例を示すブロック図である。
図3において、制御部13には、TV(受像機)あるいはPCなどの信号源(図示せず)を介して液晶表示装置1の外部から画像信号が入力されるようになっている。また、この制御部13は、駆動制御回路10(図1)に設けられたものであり、入力された画像信号を用いて、液晶パネル3の駆動制御を実質的に行うようになっている。さらに、制御部13は、入力された画像信号を用いて、バックライト装置2の駆動制御も実質的に行うように構成されている。
具体的にいえば、制御部13には、上記画像信号を用いて、液晶パネル3を画素単位に駆動制御する表示制御部としてのパネル制御部14、画像信号を用いて、バックライト装置2の各発光ダイオード4の駆動制御を行うバックライト制御部15、及び画像信号に含まれたフレーム単位の表示データを記憶可能に構成されたフレームメモリ16が設けられている。パネル制御部14及びバックライト制御部15には、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)が各々用いられており、これらパネル制御部14及びバックライト制御部15が、フレームメモリ16に逐次格納される上記表示データに対して、所定の演算処理を高速に行えるようになっている。また、このように、パネル制御部14及びバックライト制御部15が設けられているので、本実施形態の液晶表示装置1では、これらパネル制御部14及びバックライト制御部15がそれぞれ液晶パネル(表示部)3及びバックライト装置(バックライト部)2を適切に駆動することが可能となり、高品位な表示を容易に行うことができるようになっている。
また、パネル制御部14は、ソースドライバ17及びゲートドライバ18への各指示信号を出力するようになっている。さらに、パネル制御部14では、バックライト制御部15に設けられた後述のエリア輝度演算部から上記各照明エリアの輝度値が通知されるようになっており、ソースドライバ17への指示信号は通知された各照明エリアの輝度値を反映した信号に補正された後、パネル制御部14からソースドライバ17に出力されるようになっている(詳細は後述。)。
ソースドライバ17及びゲートドライバ18は、液晶パネル3に設けられた複数の画素Pを画素単位に駆動する駆動回路であり、ソースドライバ17及びゲートドライバ18には、複数の信号線S1〜SM(Mは、2以上の整数)及び複数の制御線G1〜GN(Nは、2以上の整数)がそれぞれ接続されている。これらの信号線S1〜SM及び制御線G1〜GNは、マトリクス状に配列されており、当該マトリクス状に区画された各領域には、上記複数の各画素Pの領域が形成されている。また、この液晶パネル3には、カラーフィルタが設けられておらず、バックライト装置2において、照明エリア毎に設けられたRGBの発光ダイオード4r、4g、4bが順次点灯駆動されることにより、各画素Pは、赤色、緑色、及び青色の画素として機能するようになっている。
また、各制御線G1〜GNには、画素P毎に設けられるとともに、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いたスイッチング素子19のゲートが接続されている。一方、各信号線S1〜SMには、スイッチング素子19のソースが接続されている。また、各スイッチング素子19のドレインには、画素P毎に設けられた画素電極20が接続されている。また、各画素Pでは、共通電極21が液晶パネル3に設けられた液晶層(図示せず)を間に挟んだ状態で画素電極20に対向するよう構成されている。
また、パネル制御部14には、図4も参照して、画像処理部22及び表示データ補正演算部23が設けられており、入力された画像信号を使用して、ソースドライバ17及びゲートドライバ18への各指示信号を生成するように構成されている。つまり、画像処理部22は、フレームメモリ16に格納された画像信号の表示データに基づいてゲートドライバ18への指示信号を生成して当該ゲートドライバ18に出力する。これにより、ゲートドライバ18は、画像処理部22からの指示信号を基に制御線G1〜GNに対して、対応するスイッチング素子17のゲートをオン状態にするゲート信号を順次出力する。また、画像処理部22は、上記表示データに基づいてソースドライバ17への指示信号を生成して表示データ補正演算部23に出力する。
表示データ補正演算部23には、画像処理部22からのソースドライバ17への指示信号だけでなく、上記エリア輝度演算部から各照明エリアの輝度値が入力される。これらの各照明エリアの輝度値は、周囲の照明エリアの輝度値を用いて補正された後の輝度値であり、周囲の照明エリアからの光のクロストークの影響が考慮された値である。そして、表示データ補正演算部23は、後に詳述するように、ソースドライバ17への指示信号について、上記の各照明エリアの輝度値を用いて画素単位に補正し、新たな指示信号を生成してソースドライバ17に出力する。これにより、ソースドライバ17は、表示データ補正演算部23からの指示信号に基づいて、上記表示面に表示される情報の輝度(階調)を指定する電圧信号(階調電圧)を信号線S1〜SMに対して適宜出力する。
尚、上記の説明以外に、表示データ補正演算部23がフレームメモリ16から直接的に画像信号の表示データを取得して、画素P毎に、対応する照明エリアの補正後の輝度値を用いて、取得した表示データを補正する構成でもよい。
バックライト制御部15には、図5も参照して、エリア輝度演算部24と、LED駆動制御部25とが設けられている。また、このバックライト制御部15は、図2に示した10行×10列の発光ダイオード4において、後に詳述するように、第1行目から第5行目までの上エリアと第6行目から第10行目までの下エリアとの発光ダイオード4群に分け、かつ、これら上エリア及び下エリアにおいて、発光ダイオード4を行単位で点灯駆動するようになっている。
エリア輝度演算部24は、上記照明エリア毎に、対応する表示エリアに含まれた画素Pの輝度情報を、入力された画像信号から取得する。また、エリア輝度演算部24は、取得した画素Pの輝度情報を用いて、各照明エリアでの赤色、緑色、及び青色の各色の輝度値を演算して求める輝度演算処理を行うようになっている(詳細は後述)。さらに、エリア輝度演算部24は、輝度演算処理を行うことによって求めた各色の輝度値に対して、後述のエリアクロストーク補正処理を施すことにより、周囲の照明エリアからの光のクロストークの影響を考慮した、補正後の各色の輝度値を求めるようになっている。そして、エリア輝度演算部24は、求めた各照明エリアの補正後の各色の輝度値を表示データ補正演算部23及びLED駆動制御部25に出力するようになっている。
ここで、図6も参照して、バックライト装置2側及び液晶パネル3側にそれぞれ設けられた照明エリア及び表示エリアと、エリア輝度演算部24での輝度演算処理及びエリアクロストーク補正処理とについて具体的に説明する。
図6は、上記バックライト装置に設けられた複数の照明エリアと、これらの照明エリアから光が照射される複数の表示エリアの具体例を説明する図である。
まず、複数の照明エリアと複数の表示エリアについて説明する。図6に示すように、バックライト装置2では、合計100個の照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10が液晶パネル3側に対向配置されて平面状の照明光を発光する発光面(拡散板6(図1)の液晶パネル3側の表面)上に設けられている。これらの照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10は、図2に示した10行及び10列、合計100個の発光ダイオード4毎に設定されており、各1個の発光ダイオード4の直上部分の領域にて構成されている。
尚、図6では、各照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10を明確に図示するために、同図に縦線及び横線にて互いに区切って示しているが、実際には、各照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10は上記発光面上に設置された境界線や筐体5の内部に配設された仕切部材などによって互いに区切られていない。但し、この説明以外に、例えば上記仕切部材を用いて、筐体5の内部を照明エリアに応じて、仕切る構成でもよい。
また、照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10では、液晶パネル3の上記表示面上に設けられた100個の表示エリア(1)、(2)、…、(99)、(100)に対して、対応する発光ダイオード4の光をそれぞれ入射させるように構成されている。これらの各表示エリア(1)、(2)、…、(99)、(100)には、複数の画素Pが含まれている。具体的には、液晶パネル3において、横×縦方向に、例えば1920×1080個の画素Pが設けられているとき、各表示エリア(1)、(2)、…、(99)、(100)には、192×108個の画素Pが含まれている。そして、液晶表示装置1では、上記のように、照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10と表示エリア(1)、(2)、…、(99)、(100)とが1対1の関係で設定されており、1つの表示エリアに対し、1つの照明エリアからの照明光が表示すべき情報に応じて適宜照射されるエリアアクティブバックライトが構成されている。
また、上記エリアアクティブバックライトでは、各照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10において、対応する発光ダイオード4に含まれた発光ダイオード4r、4g、4bからのRGBの各色光を液晶パネル3側に互いに独立して出射できるようになっている。これにより、液晶表示装置1では、各表示エリア(1)、(2)、…、(99)、(100)に対して、表示すべき情報に応じてRGBの各色光を対応する照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10から適切に入射させることができ、RGBの各色の再現性を容易に向上できるようになっている。
続いて、エリア輝度演算部24での輝度演算処理及びエリアクロストーク補正処理について説明する。尚、以下の説明では、9個の照明エリア1−7、1−8、1−9、2−7、2−8、2−9、3−7、3−8、3−9のうち、その中心部に位置する照明エリア2−8の輝度値を求める場合を例示して、説明する。
エリア輝度演算部24では、上記照明エリア1−7、1−8、1−9、2−7、2−8、2−9、3−7、3−8、3−9にそれぞれ対応した9個の表示エリア(7)、(8)、(9)、(17)、(18)、(19)、(27)、(28)、(29)の画像信号に関して、輝度演算処理を各々行うことにより、対応する照明エリア1−7、1−8、1−9、2−7、2−8、2−9、3−7、3−8、3−9での赤色、青色、及び緑色の各色の輝度値が求められる。
具体的には、エリア輝度演算部24は、フレームメモリ16から表示エリア(7)に含まれた複数の画素P(例えば、192×108個の画素P)の輝度情報を取得する。そして、エリア輝度演算部24は、取得した輝度情報に対して輝度演算処理を行うことにより、赤色、青色、及び緑色の色毎に、例えば最大輝度値のデータが抽出されて、表示エリア(7)に対応した照明エリア1−7での各色の輝度値とされる。つまり、エリア輝度演算部24が、輝度演算処理を実行することにより、表示エリア(7)に含まれた複数の画素Pにおいて、最も高い輝度で、赤色に表示すべき画素Pの輝度値が照明エリア1−7での赤色の輝度値として選定される。
また、この輝度演算処理では、ノイズ除去を行うためのフィルタリング処理が実施されており、ノイズの悪影響を確実に排除できるようになっている。つまり、エリア輝度演算部24では、ノイズの混入により、周りの画素Pに比べて異常に輝度値の高い画素Pがある場合などにおいて、その輝度値が最大輝度値として抽出されるのを防止できるように構成されている。
同様に、表示エリア(7)に含まれた複数の画素Pにおいて、最も高い輝度で、緑色に表示すべき画素Pの輝度値が照明エリア1−7での緑色の輝度値として選定される。同様に、表示エリア(7)に含まれた複数の画素Pにおいて、最も高い輝度で、青色に表示すべき画素Pの輝度値が照明エリア1−7での青色の輝度値として選定される。そして、エリア輝度演算部24は、選定した赤色、青色、及び緑色の各色の輝度値を照明エリア1−7の輝度値として定める。
また、エリア輝度演算部24は、同様に、照明エリア1−8、1−9、2−7、2−8、2−9、3−7、3−8、3−9での赤色、青色、及び緑色の各色の輝度値を求める。そして、エリア輝度演算部24では、照明エリア2−8の輝度値について、赤色、青色、及び緑色の色毎に、その周囲の照明エリア1−7、1−8、1−9、2−7、2−9、3−7、3−8、3−9の輝度値を用いたエリアクロストーク補正処理が行われる。
このエリアクロストーク補正処理では、エリア輝度演算部24が、図示を省略したメモリ内に格納された補正係数を用いて、求めた輝度値を補正することにより、赤色、青色、及び緑色の色毎に、各照明エリアの補正後の輝度値を算出するようになっている。
つまり、例えば照明エリア2−8では、その周囲の照明エリア1−7、1−8、1−9、2−7、2−9、3−7、3−8、3−9からの光によって、赤色、青色、及び緑色の色毎に、各色光の輝度が上昇する。そこで、実製品を用いた試験またはシミュレーションの結果などを行うことにより、赤色、青色、及び緑色の各色での輝度上昇分を相殺するような補正係数を予め求めて、上記メモリに保持させる。そして、エリア輝度演算部24は、輝度演算処理で求めた照明エリア2−8の各色の輝度値と、メモリに保持されている補正係数とを用いることにより、照明エリア2−8の各色の補正後の輝度値が算出される。そして、エリア輝度演算部24は、求めた各照明エリアの補正後の各色の輝度値を表示データ補正演算部23及びLED駆動制御部25に出力する。
また、上述の補正係数は、実製品を用いた試験またはシミュレーションの結果などから定められているので、液晶パネル3の内部構造や偏光シート7及びプリズムシート8などの光学シートによる輝度変化を考慮したものであり、液晶表示装置1でのクロストークの影響をより確実に排除して、表示品位の向上をより容易に行えるようになっている。
図5に戻って、LED駆動制御部25は、光源を点灯駆動する駆動制御部を構成しており、エリア輝度演算部24からの複数の各照明エリアの補正後の輝度値に基づき、対応する発光ダイオード4r、4g、4bの点灯期間を決定するとともに、決定した点灯期間に応じて、当該発光ダイオード4r、4g、4bをPWM調光にて点灯駆動するようになっている。つまり、LED駆動制御部25では、エリア輝度演算部24にて定められた輝度値に応じて、PWM調光でのオン/オフデューティが決定されて、その決定されたオン/オフデューティを指示する信号が指示信号として点灯駆動回路11(図1)に出力される。
また、LED駆動制御部25は、後に詳述するように、各照明エリアにおいて、RGBの発光ダイオード4r、4g、4bのうち、フレーム期間の最後に点灯される発光ダイオード4bの点灯開始の基準点を、当該発光ダイオード4bの点灯期間の始点に一致するように設定する。さらに、LED駆動制御部25は、フレーム期間の最初に点灯される発光ダイオード4rの点灯開始の基準点を、当該発光ダイオード4rの点灯期間の終点に一致するように設定して、RGBの発光ダイオード4r、4g、4bを点灯駆動するように構成されている。
一方、表示データ補正演算部23では、エリア輝度演算部24から各照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10での赤色、緑色、及び青色の各色の輝度値が伝えられると、これらの輝度値を用いて、画像処理部22から入力されたソースドライバ17への指示信号を補正して、新たな指示信号としてソースドライバ17に出力する。すなわち、表示データ補正演算部23は、画像処理部22が上記画像信号に応じて定めた赤色、緑色、及び青色の画素単位の階調電圧に対して、エリア輝度演算部24からの対応する色の輝度値を基に補正して、新たな階調電圧とする。そして、表示データ補正演算部23は、赤色、緑色、及び青色の画素単位の新たな階調電圧を指示する指示信号を生成して、ソースドライバ17に出力する。
この結果、液晶パネル3では、表示データ補正演算部23からの新たな階調電圧に応じて、バックライト装置2の対応する照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10からの照明光の透過率が赤色、緑色、及び青色の画素単位に変更される。このように、本実施形態の液晶表示装置1では、パネル制御部14が複数の各照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10の補正後の輝度値を用いて画像信号を補正し、補正後の画像信号に基づいて、液晶パネル3の駆動制御が画素単位に行われる。これにより、本実施形態の液晶表示装置1では、入力された画像信号及びバックライト装置2からの照明光に応じて、各画素Pをより適切に駆動することができ、表示品位の低下をより確実に防ぐことができる。
以下、図7及び図8も参照して、本実施形態の液晶表示装置1の動作について具体的に説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、上記各照明エリアでのRGBの発光ダイオード4r、4g、4bの点灯動作について主に説明する。
図7は上記バックライト装置及び液晶表示装置の動作を説明する図である。図8は、図2に示したRGBの発光ダイオードの各点灯動作を説明する図であり、図8(a)は任意の画素A〜Cでの動作例を説明する図であり、図8(b)は任意の画素D〜Eでの動作例を説明する図である。尚、図7に示す行は、液晶パネル3の表示面の横方向に平行に配設された10個の発光ダイオード4からなる10行の各発光ダイオード4群を、当該表示面の上方から下方に向かう方向で番号を順次付与して示している。
図7において、RGBの文字は、それぞれRGBの発光ダイオード4r、4g、4bを示している。また、図7では、ハッチ部が図示された枠で示される期間は、その内部に示したいずれかの発光ダイオード4r、4g、4bが点灯駆動される点灯期間を示しており、さらには図7の太線の点線は、点灯期間での点灯開始の基準点を示している。つまり、LED駆動制御部25が、エリア輝度演算部24にて定められた輝度値に応じて、PWM調光でのオン時間の大きさ(つまり、点灯期間)を決定したときに、その点灯期間の開始時点を太線の点線にて示している。尚、ハッチ部で示す点灯期間は、PWM調光でのオン/オフデューティでオン時間が100%である場合の期間を示しており、オン時間に応じて、上記開始時点からの点灯期間が変更されるようになっている。
また、LED駆動制御部25は、上述したように、第1行目から第5行目までの上エリアと第6行目から第10行目までの下エリアとの発光ダイオード4群において、発光ダイオード4r、4g、4bを行単位で点灯駆動するようになっている。具体的にいえば、LED駆動制御部25は、例えば時間軸“0”の期間において、第1行目及び第6行目の全ての発光ダイオード4rを同時に点灯させる。その後、LED駆動制御部25は、図7のハッチ部にて示すように、第2行目及び第7行目の全ての発光ダイオード4rを同時に点灯させる。以下同様に、第3行目及び第8行目の全ての発光ダイオード4r、第4行目及び第9行目の全ての発光ダイオード4r、及び第5行目及び第10行目の全ての発光ダイオード4rを順次点灯駆動する。
また、図7において、*が表示された枠及びハッチなしの枠で示される期間は、その内部に示したいずれかの発光ダイオード4r、4g、4bからの光で表示される色の画素に対する、ソース信号(データ)の書込み及び液晶応答期間を示している。具体的にいえば、例えば時間軸“2”〜“4”の期間では、時間軸“5”〜“6”の期間で点灯駆動される、第1行目の発光ダイオード4gに対応した画素に対して、ソース信号が出力され、当該画素での液晶応答期間とされている。また、このソース信号の書込み及び液晶応答期間では、対応する行の全ての発光ダイオード4r、4g、4bは消灯されている不点灯期間である。
また、図8(a)に例示するように、任意の画素A、B、及びCにおいて、液晶パネル3で表示される情報のフレーム期間T1〜T2の間にRGBの各発光ダイオード4r、4g、4bが順次点灯駆動される。このとき、LED駆動制御部25が、エリア輝度演算部24からの各色の補正後の輝度値に基づき、各発光ダイオード4r、4g、4bの点灯期間(オン時間)を、例えば80%と定めたとする。この場合、フレーム期間T1〜T2の最初に点灯駆動される発光ダイオード4rでは、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4rの点灯期間の終点である時点T3に一致するように設定される。そして、LED駆動制御部25は、時点T3から上記80%の時間に応じた時点T4を求めて、この時点T4を点灯期間の始点として時点T4から時点T3の間で発光ダイオード4rを点灯駆動する。
また、発光ダイオード4gでは、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4gの点灯期間の始点である時点T5に一致するように設定される。そして、LED駆動制御部25は、時点T5から上記80%の時間に応じた時点T6を求めて、時点T5から時点T6の間で発光ダイオード4gを点灯駆動する。
また、フレーム期間T1〜T2の最後に点灯駆動される発光ダイオード4bでは、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4bの点灯期間の始点である時点T7に一致するように設定される。そして、LED駆動制御部25は、時点T7から上記80%の時間に応じた時点T8を求めて、時点T7から時点T8の間で発光ダイオード4bを点灯駆動する。
その後、LED駆動制御部25は、次のフレーム期間の最初に点灯駆動される発光ダイオード4rにおいて、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4rの点灯期間の終点である時点T9に一致するように設定し、この設定した時点T9から上記80%の時間に応じた時点T10を求め、この時点T10を点灯期間の始点として時点T10から時点T9の間で発光ダイオード4rを点灯駆動する。これにより、隣接するフレーム期間の間において、時点T8から時点T10までの間を発光ダイオード4の不点灯期間として、黒挿入を行うことができる。
また、各画素A〜Cでは、図8(a)に100%、25%、及び12.5%にて例示するように、この数値に対応した大きさのソース信号が供給されており、供給されたソース信号に従って、各画素A〜Cは動作して、対応する色の光を外部に向かって出射することで当該色の画像を表示するようになっている。また、各画素A〜Cの輝度値は、上記オン時間の大きさ(80%)と、ソース信号の大きさ(100%、25%、及び12.5%)を乗算した値で求められる。具体的には、例えば画素Cでは、最大輝度値の10%(=0.8×0.125)の輝度値で表示を行う。
また、図8(b)に例示するように、画素D及びEにおいて、LED駆動制御部25が、エリア輝度演算部24からの各色の補正後の輝度値に基づき、各発光ダイオード4r、4g、4bの点灯期間(オン時間)を、例えば40%と定めたとする。この場合、フレーム期間T11〜T12の最初に点灯駆動される発光ダイオード4rでは、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4rの点灯期間の終点である時点T13に一致するように設定される。そして、LED駆動制御部25は、時点T13から上記40%の時間に応じた時点T14を求めて、この時点T14を点灯期間の始点として時点T14から時点T13の間で発光ダイオード4rを点灯駆動する。
また、発光ダイオード4gでは、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4gの点灯期間の始点である時点T15に一致するように設定される。そして、LED駆動制御部25は、時点T15から上記40%の時間に応じた時点T16を求めて、時点T15から時点T16の間で発光ダイオード4gを点灯駆動する。
また、フレーム期間T11〜T12の最後に点灯駆動される発光ダイオード4bでは、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4bの点灯期間の始点である時点T17に一致するように設定される。そして、LED駆動制御部25は、時点T17から上記40%の時間に応じた時点T18を求めて、時点T17から時点T18の間で発光ダイオード4bを点灯駆動する。
その後、LED駆動制御部25は、次のフレーム期間の最初に点灯駆動される発光ダイオード4rにおいて、その点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4rの点灯期間の終点である時点T19に一致するように設定し、この設定した時点T19から上記40%の時間に応じた時点T20を求め、この時点T20を点灯期間の始点として時点T20から時点T19の間で発光ダイオード4rを点灯駆動する。これにより、隣接するフレーム期間の間において、時点T18から時点T20までの間を発光ダイオード4の不点灯期間として、黒挿入を行うことができる。また、図8(a)に例示した場合に比べて、画像信号に応じて、黒挿入の期間を長くすることができる。
また、各画素D〜Eでは、図8(b)に100%及び50%にて例示するように、この数値に対応した大きさのソース信号が供給されており、供給されたソース信号に従って、各画素D〜Eは動作して、対応する色の光を外部に向かって出射することで当該色の画像を表示するようになっている。また、各画素D〜Eの輝度値は、上記オン時間の大きさ(40%)と、ソース信号の大きさ(100%及び50%)を乗算した値で求められる。具体的には、例えば画素Eでは、最大輝度値の20%(=0.4×0.5)の輝度値で表示を行う。
以上のように構成された本実施形態では、バックライト装置(バックライト部)2に、白色に混色可能なRGBの光をそれぞれ発光するRGBの発光ダイオード4r、4g、4b(光源)が照明エリア1−1、1−2、…、10−9、10−10毎に設けられている。また、これらのRGBの発光ダイオード4r、4g、4bは、液晶パネル(表示部)3で表示される情報のフレーム期間において、所定の順番で順次点灯される。さらに、RGBの発光ダイオード4r、4g、4bでは、図8に示したように、フレーム期間の最後に点灯される発光ダイオード4bの点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4bの点灯期間の始点に一致するように設定され、かつ、フレーム期間の最初に点灯される発光ダイオード4rの点灯開始の基準点は当該発光ダイオード4rの点灯期間の終点に一致するように設定されている。これにより、本実施形態では、上記従来例と異なり、隣接するフレーム期間の間の期間において、発光ダイオード4r、4g、4bを点灯させない期間を長くすることができ、黒挿入を行う期間を長くすることができる。従って、本実施形態では、動画性能を高めることができる液晶表示装置1を構成することができる。
また、本実施形態のバックライト制御部15には、エリア輝度演算部24及びLED駆動制御部(駆動制御部)25が設けられているので、RGBの発光ダイオード4r、4g、4b(複数色の光源)の各点灯期間が入力された画像信号に応じて、適切に決定することができる。さらに、LED駆動制御部25は、入力された画像信号に対応して、隣接するフレーム期間の間で黒挿入を行う期間をも適切に設定することができる。この結果、本実施形態の液晶表示装置1では、動画性能を確実に高めることができる。
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明の表示装置はこれに限定されるものではなく、光源の光を利用して、情報を表示する非発光型の各種表示装置に適用することができる。具体的にいえば、半透過型の液晶表示装置、あるいは上記液晶パネルをライトバルブに用いたリアプロジェクションなどの投写型表示装置に本発明の表示装置を好適に用いることができる。
また、上記の説明では、バックライト部に発光ダイオードからなる光源を複数用いた場合について説明したが、本発明のバックライト部は、表示部に設定された複数の表示エリアに対して、光源の光をそれぞれ入射させる複数の照明エリアが設けられたものであればよい。具体的には、例えば、表示用の上記液晶パネルと同一の液晶パネルを、表示用の液晶パネルと光源との間に設けて当該液晶パネルに照明エリアを設定することにより、バックライト部に用いることができる。
但し、上記実施形態のように、照明エリアに応じて複数の光源を設けるとともに、バックライト制御部が各照明エリアの補正後の輝度値に基づいて、対応する光源を駆動する場合の方が、複数の光源を適切に駆動して高品位な表示を容易に行うことができる点で好ましい。しかも、照明エリアを設定するための液晶パネルを設けていないので、構造簡単でコスト安価な表示装置を容易に構成することができる点でも好ましい。
また、上記の説明では、直下型のバックライト装置をバックライト部に用いた場合について説明したが、複数の各照明エリアの輝度値(光量)を互いに独立して制御可能に構成されたエッジライト型のバックライト装置をバックライト部に適用することもできる。
また、上記の説明では、複数の各照明エリアにおいて、RGBの発光ダイオードを一体化した1個の3in1タイプを用いた場合について説明したが、本発明は白色に混色可能な複数色の光をそれぞれ発光する複数色の光源を用いたものであれば何等限定されない。具体的には、RGBWの発光ダイオードを一体化した、いわゆるフォーインワン(4in1)タイプの発光ダイオードを適用したり、黄色の光及び青色の光を発光する2種類の発光ダイオードを使用したりすることもできる。また、RGBの発光ダイオードが互いに別個に構成された3つの発光ダイオードを用いたり、1つの照明エリアに、RGGBなどの4個の発光ダイオードを設けたりすることもできる。
但し、上記実施形態のように、各照明エリアに、RGBの発光ダイオード(光源)を設ける場合の方が、各照明エリアから対応する表示エリアに入射される光に含まれる赤色、緑色、青色の各色光の輝度値を適切に決定することが可能となり、これらの各色光の色純度を容易に高めることができ、優れた表示品位を有するカラー表示可能な表示装置を容易に構成することができる点で好ましい。
また、上記の説明では、フレーム期間内においてRGBの発光ダイオードをこの順番で順次点灯駆動する構成について説明したが、本発明は複数色の光源において、フレーム期間の最後に点灯される光源の点灯開始の基準点は当該光源の点灯期間の始点に一致するように設定され、かつ、フレーム期間の最初に点灯される光源の点灯開始の基準点は当該光源の点灯期間の終点に一致するように設定されて、これらの複数色の光源がフレーム期間で所定の順番で順次点灯されるものであれば何等限定されない。つまり、上記の説明では、フレーム期間内において2番目に点灯駆動されるGの発光ダイオードについては、図8に例示したように、その点灯開始の基準点が当該Gの発光ダイオードの点灯期間の始点に一致するように設定していた。しかしながら、この2番目に点灯駆動されるGの発光ダイオードでは、点灯開始の基準点が当該Gの発光ダイオードの点灯期間の終点に一致するように設定してもよい。
また、上記の説明では、複数色の光源にRGBの発光ダイオードを用いた場合について説明したが、本発明の光源はこれに限定されるものではなく、冷陰極管、熱陰極管、キセノン管などの放電管を使用したり、有機EL(Electronic Luminescence)などの他の発光素子を用いたりすることもできる。
また、上記の説明では、カラーフィルタが設けられていないモノクロ用の液晶パネルを用いた場合について説明したが、本発明の表示部はこれに限定されるものではなく、例えばRGBのカラーフィルタが設置されて、RGBの画素が構成された液晶パネルを表示部に使用することもできる。