JP2010091413A - ケーブル事故点測定方法およびケーブル事故点測定器 - Google Patents

ケーブル事故点測定方法およびケーブル事故点測定器 Download PDF

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Abstract

【課題】 3線1セットのケーブルに他のケーブルから誘起される誘導電圧の影響を極力低減させて1線の事故相ケーブルの事故点測定精度を安定させる。
【解決手段】 3線1セットのケーブル1a〜1cのうちの地絡事故を発生したいずれか1線の事故相ケーブル1bと2線の健全な健全相ケーブル1a、1cのいずれか1線の健全相ケーブル1aを直列接続したループ回路36の両端に直流電圧を印加して事故相電圧Vと健全相電圧Vを求めると共に、残った1線の健全相ケーブル1cの一端を接地して他端から変動する誘導電圧を常時測定し、測定した変動誘導電圧に基づいて相電圧V、Vに含まれる誘導電圧成分を除去するように電圧補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、三相交流の地中送電ケーブルなどのケーブルに発生した事故点の位置を測定するケーブル事故点測定方法およびケーブル事故点測定器に関する。
発電所や変電所に敷設される三相交流の地中送電ケーブルなどの絶縁被覆を有する電力用ケーブルは、絶縁被覆の破損、劣化による地絡事故が発生することがある。三相交流の3線1セットの地中送電ケーブルは、3線ケーブルを互いに接近させた1セットの状態で地中のケーブル管路に設置される。3線1セットの各ケーブルは、それぞれ単独に地中に並置される、或いは、3線1セットの各ケーブルを1本のケーブルにまとめた一体化ケーブルとして地中に並置される。ケーブル管路に並置された三相3線1セットの地中送電ケーブルのいずれか1線に地絡事故が発生すると、変電所側で地絡事故発生が検知される。この検知で3線1セットの地中送電ケーブルによる送電が停止され、地絡事故を発生した一相のケーブルにおける地絡発生事故点の位置が測定される。
また、通常の場合、地中のケーブル管路には、3線1セットの地中送電ケーブルの他に、同種類或いは別種類の電力用ケーブルや、通信用ケーブルなどのケーブルが隣接ケーブルとして並置される。この隣接ケーブルの多くは、事故点測定対象の3線1セットのケーブルの事故点測定時に活線状態、非活線状態と様々な状態にある。三相3線1セットの地中送電ケーブルの内のいずれか1線に地絡事故が発生すると、地中送電ケーブルは地下に埋設されていることから、地上から測定器を使用して地絡事故を発生した事故相ケーブルの地絡事故点の位置の測定が行われる。
三相交流の地中送電ケーブルにおける事故相ケーブルの事故点測定は、一般にケーブルの導体抵抗を利用した2線式測定方法で行われる。例えば、3線1セットのケーブルの内の地絡事故を起こした1線の事故相ケーブルと、地絡事故が発生していない健全な2線の健全相ケーブルの内の1線の健全相ケーブルとを直列接続してループ回路を構成し、このループ回路の両端に所定の直流電圧を印加する。ループ回路の各ケーブル端で測定された直流電圧を演算処理することで、事故相ケーブルの地絡発生の事故点位置を算出する(例えば、特許文献1参照)。このような2線のケーブルを使用した2線式の事故点測定方法、事故点測定器の概要例を、図4および図5を参照して説明する。
図4および図5に示す事故点測定対象の3線1セットのケーブル1a〜1cは、三相交流の地中送電ケーブルである。図5に示すように、3線1セットのケーブル1a〜1cは、地中のケーブル管路5に並置される。各ケーブル1a〜1cのそれぞれは、同相のものが中間接続部6で接続されて一線化される。中間接続部6は、ケーブル管路5の途中箇所に設けたマンホール7の場所に設置される。一線化された各ケーブル1a〜1cの両端が変電所8、8’の碍子9、9’に連結される。
図4および図5において、3線の内の1線のケーブル1bが地絡事故を発生した事故相ケーブル1bであり、他の2線のケーブル1a、1cはいずれも地絡事故を発生していない健全な健全相ケーブル1a、1cである。図4に示すように、3線の各ケーブル1a〜1cは、それぞれに導体2a〜2cを絶縁層3a〜3cで被覆し、絶縁層3a〜3cの外周を金属製のシース4a〜4cで保護している。ケーブル管路5に並置された各ケーブル1a〜1cのシース4a〜4cは、共に接地される。事故相ケーブル1bに示す事故点Pは、絶縁破壊による地絡事故が発生した箇所である。事故相ケーブル1bは、導体2bとシース4bの間の絶縁抵抗が事故点Pで急減することから特定される。事故相ケーブル1bの特定で、三相3線1セットの各ケーブル1a〜1cが非活線状態になり、送電が停止される。この状態で事故相ケーブル1bの事故点Pの位置の測定が、事故点測定器10で次のように行われる。
事故点測定器10は、直流電源部20と直流電圧測定部30と演算部40を備える。直流電圧測定部30は、極性反転スイッチ31と、事故点測定対象のケーブル1a〜1cとは別にケーブル管路5に並置される他の隣接ケーブル(図示せず)から誘起される誘導電圧などの低周波交流をカットするローパスフィルタ32を備える。3線1セットのケーブル1a〜1cの内の地絡事故を発生したいずれか1線の事故相ケーブル1bと、地絡事故のない健全な2線の健全相ケーブル1a、1cの内のいずれか1線をジャンパー線35で直列接続して、1つのループ回路36を構成する。図4では、事故相ケーブル1bと健全相ケーブル1aの片端同士をジャンパー線35で接続してループ回路36を構成している。直流電源部20は、例えば電池21を備え、電池21の直流定電圧をループ回路36の両端に印加して、ループ回路36にループ電流を流す。また、事故点測定器10の極性反転スイッチ31を操作して、ループ回路36に印加する直流電圧の極性を反転させる。ループ回路36にループ電流を流す毎に、電圧計33で健全相ケーブル1aの導体2aの対地電圧である健全相電圧Vを測定し、電圧計34で事故相ケーブル1bの導体2bの対地電圧である事故相電圧Vを測定する。各ケーブル1a、1bが同じ長さとして、ケーブル全長をLとする。また、事故相ケーブル1bの直流電圧が印加される片端から事故点Pまでの距離をxとすると、V:V=x:(2L−x)の関係にあることから、演算部40で距離xが次の(1)式で算出される。
Figure 2010091413
事故相電圧Vと健全相電圧Vの測定結果による事故点測定は、基本的には極性反転スイッチ31を操作することなく1回の測定結果に基づいて行うことができる。図6は極性反転スイッチ31を操作したときの電圧波形を示す。電圧測定開始から極性反転前に測定された1回目の事故相電圧をVとし、健全相電圧をVとする。1回目の測定が終了して、極性を反転させた後、2回目の測定を行って、直流電圧印加を停止し、測定を終了する。2回目の事故相電圧をV’とし、健全相電圧をV’とすると、距離xは次の(2)式で算出される。
Figure 2010091413
また、距離xが事故相ケーブル1bの全長の何%の割合にあるかを算出する場合は、次の(3)式で事故点が%で算出される。
Figure 2010091413
以上の演算部40による事故点測定は、同じ条件下で複数回繰り返し行われる。複数回測定した距離の平均値を測定結果として特定する。演算部40は、演算データを入力したり、測定結果を表示などする表示部41を有する。演算部40で事故点が特定されると、各ケーブル1a、1bからジャンパー線35と事故点測定器10が取り外される。その後、事故点Pのある事故相ケーブル1bのみの交換が行われる。図5の場合、事故相ケーブル1bのみ中間接続部6から外されて交換が行われる。このケーブル交換作業が終了すると、三相交流の3線1セットによる送電が再開される。
特開2007−170905号公報
図4の事故点測定器10のローパスフィルタ32は、事故点測定対象のケーブル1a〜1cに他の隣接ケーブルから誘起される商用周波の誘導電圧成分をカットする。そのため、測定さる健全相電圧Vと事故相電圧Vは、安定した直流電圧成分が主体となり、事故点測定の精度が安定する。即ち、事故点測定対象のケーブル1a〜1cに隣接ケーブルから誘起される誘導電圧は、60Hzや50Hzの商用周波の交流がほとんどであり、ローパスフィルタ32に例えば10Hz以上の低周波交流をカットする汎用品を適用することで、測定電圧V、Vに重畳する誘導電圧成分をカットすることができ、誘導電圧成分による事故点測定精度のばらつきが小さく制御できる。
しかし、ローパスフィルタ32による低周波交流などのノイズカットには自ずと限界があり、誘導電圧による問題を十分に解決するには至っていないのが現状である。即ち、事故点測定対象のケーブル1a〜1cに他の隣接ケーブルから誘起される誘導電圧は、隣接ケーブルの状態が安定していれば時間経過による変動が少ない。この場合、誘起される誘導電圧のほとんどをローパスフィルタでカットすることができ、問題とならない。ところが、隣接ケーブルの状態が安定しない場合がある。例えば、隣接ケーブルで送電される様々な負荷の稼働状態が低周期で変動したり、電力ケーブルの場合は活線状態と非活線状態の間で大周期で変動したりする。このような隣接ケーブルの様々な状態変動で、事故点測定対象のケーブルに誘起される誘導電圧の波高値が時間経過により不安定に上昇し、下降するといった変動を繰り返すことがある。この誘導電圧の変動を、具体的に示したのが図7である。
図7に示すVqは事故相ケーブル1bに誘起された誘導電圧波形であり、Vqは健全相ケーブル1aに誘起された誘導電圧波形である。また、図cに示すVqは、極性反転毎のVqとVqを合成した誘導電圧波形である。誘導電圧Vqは、極性反転毎にほとんど変動しない場合や、上記した他の隣接するケーブルの状態変動の影響で、緩やかな上昇や下降を繰り返して低周波で変動をすることがある。変動する誘導電圧Vqの周期性は不定で、1Hz未満の極低周波で発生することがある。このような極低周波で変動する誘導電圧Vqは、通常のローパスフィルタでカットすることできない。その結果、変動する誘導電圧Vqが測定電圧V、Vに重畳して、(3)式で事故点測定をする際に、変動誘導電圧Vqが事故点測定の誤差要因として作用し、事故点測定の精度を安定させることが難しい。図7の測定結果の場合、事故点100%に対して誘導電圧Vqが10%程度に変動して、複数回の事故点測定結果に10%程度のばらつきが生じることがある。
なお、本発明者は、1Hzや0.1Hzといった極低周波交流がカットできるローパスフィルタを試作し、上記ローパスフィルタ32に代わり使用する実験をした。この実験は、カットできる周波数を小さくするほど、変動する誘導電圧の影響を抑制できることで行った。しかし、カットできる周波数が0.1Hzと小さくなるほど、事故点算出信号に使用する直流電圧成分までが抑制されて、結果的に直流電圧成分で算出される事故点測定の精度が安定して得られず、非実用的であることが分かった。また、0.1Hzの極低周波交流をカットできるローパスフィルタを使用しても、変動する誘導電圧を十分にカットすることが難しい。事故点測定に影響を及ぼす変動誘導電圧は、0.1Hzよりさらに小さい極低周波のものがあり、これをローパスフィルタでカットすることは事実上にできないことが分かった。
本発明の目的とするところは、3線1セットのケーブルに他のケーブルから誘起される誘導電圧の変動の影響を極力低減させて、1線の事故相ケーブルの事故点測定精度を安定させる測定方法および測定器を提供することにある。
上記目的を達成する本発明方法は、並置された3線のケーブルのいずれか1線の地絡事故が発生した事故相ケーブルと地絡事故が発生していない健全な2線の健全相ケーブルのうちのいずれか1線の健全相ケーブルを直列に接続したループ回路の両端に直流電圧を印加し、両端それぞれで測定した事故相ケーブル側の事故相電圧および健全相ケーブル側の健全相電圧に基づいて、事故相ケーブルの地絡発生事故点を測定するケーブル事故点測定方法であって、ループ回路を構成しない1線の健全相ケーブルから変動する誘導電圧を常時測定し、この測定した変動する誘導電圧に基づいて、事故相電圧および前記健全相電圧それぞれを、それぞれの電圧成分に含まれる誘導電圧成分を除去するよう補正することを特徴とする。
ここで、3線のケーブルは、3線1セットで並置される三相交流の地中送電ケーブルの他、3線1セットの海中送電ケーブル、3線式通信ケーブルなどが適用できる。また、3線1セットのケーブルに限らず、2線1セットのケーブルに1線のケーブルが並置されて3線1セット化されたようなケーブルにも適用できる。これら3線のケーブルは互いに接近させて並置され、各ケーブルそれぞれに近くに並置された他のケーブル(隣接ケーブル)から同様な誘導電圧が誘起されることがある。3線1セットのケーブルの内のいずれか1線に地絡事故が発生すると、3線1セットのケーブルが非活線状態に設定されて、地絡事故を発生した1線の事故相ケーブルと地絡事故のない残り2線の健全相ケーブルの内の1線をジャンパー線などで直列に接続して、1つのループ回路を構成する。ループ回路の事故相ケーブルの地絡事故点の測定は、基本的には図4の2線式事故点測定方法を適用して行うことができる。
本発明方法の場合、ループ回路を構成する2線のケーブルと、残り1線の健全相ケーブルの計3線のケーブルを使用した、所謂3線式の事故点測定方法である。ループ回路を構成しない1線の健全相ケーブルは、2線式事故点測定方法においては使用されず、非活線状態でループ回路に並置されているケーブルである。この1線の健全相ケーブルとループ回路を構成する2線のケーブルに、他のケーブルから同様な誘導電圧が誘起される。ループ回路を構成しない1線の健全相ケーブルの片端を接地して、他端から測定した健全相ケーブルで発生する誘導電圧の大きさは、電圧測定点から接地点までの距離に比例する。ループ回路を構成する事故相ケーブルの直流電圧測定箇所から測定した誘導電圧は、直流電圧の測定点から地絡事故点までの距離に比例する。このような比例関係を前提にして、ループ回路を形成しない1線の健全相ケーブルから変動する誘導電圧を常時測定することで、ループ回路を構成する2線のケーブルで変動する誘導電圧を演算で算出することができる。この算出された変動する誘導電圧に基づいて、ループ回路で測定される事故相電圧および健全相電圧の各測定結果を、各測定結果から誘導電圧を除去するように補正することができる。このような補正処理で、被測定対象の3線1セットのケーブルに他のケーブルからの誘起で誘導電圧が発生し、発生した誘導電圧が極低周波で変動しても、ループ回路で測定される事故相電圧および健全相電圧の各測定結果から誘導電圧成分が除去されて、ループ回路での事故相ケーブルの事故点測定精度を高く安定させることができる。また、既存設備である3線1セットのケーブルの内の、ループ回路を構成しない1線のケーブルを利用して、各ケーブルで変動する誘導電圧を導き出すことで、設備投資的に有利な事故点測定方法が提供できる。
本発明方法においては、補正した事故相電圧および健全相電圧の補正結果に基づいて、事故相ケーブルの地絡発生事故点を測定することができる。ここでの事故点算出の数式は、基本的に2線式事故点測定方法における数式を使用して行うことができる。
また、本発明方法においては、ループ回路を構成しない1線の健全相ケーブルの片端を接地して他端の電圧を常時測定し、測定した電圧の時間経過による変位から変動する誘導電圧を測定することができる。
また、本発明方法においては、事故点測定対象の3線1セットのケーブルが三相交流の地中送電ケーブルとすることができる。三相交流の地中送電ケーブルは、地中のケーブル管路に他の電力ケーブル、通信ケーブルと共に並置される場合が多い。しかも、三相交流の地中送電ケーブルは、他のケーブルの状態変動で極低周波の誘導電圧の変動を受けることが多い。そのため、本発明方法は、三相交流の地中送電ケーブルへの適用が特に有効である。
また、上記目的を達成する本発明測定器は、並置された3線のケーブルのいずれか1線の地絡事故が発生した事故相ケーブルと地絡事故が発生していない健全な2線の健全相ケーブルのうちのいずれか1線の健全相ケーブルを直列に接続して構成したループ回路の両端に直流電圧を印加する直流電源部と、ループ回路の両端それぞれで電圧測定する直流電圧測定部と、直流電圧測定部で測定した事故相ケーブル側の事故相電圧および健全相ケーブル側の健全相電圧に基づいて事故相ケーブルの地絡発生事故点を測定する演算部とを有するケーブル事故点測定器であって、ループ回路を構成しない1線の健全相ケーブルから当該健全相ケーブルで発生する誘導電圧を常時測定する誘導電圧測定部を有し、演算部は、誘導電圧測定部で常時測定された誘導電圧の時間変位から変動する誘導電圧を算出し、この算出した変動誘導電圧に基づいて、事故相電圧および前記健全相電圧それぞれを、それぞれ電圧成分に含まれる誘導電圧成分を除去するよう補正する測定電圧補正部を有することを特徴とする。
ここで、直流電源部と直流電圧測定部と演算部の回路構成は、既存の2線式事故点測定器に使用されている回路構成のものと基本的に同じものが適用できる。本発明測定器においては、既存の直流電圧測定部に誘導電圧測定部を追加的に付設し、既存の演算部に測定電圧補正部を追加的に付設して構成できる。誘導電圧測定部は、1線の健全相ケーブルの片端を接地して他端から誘導電圧を測定するのみの簡単で安価な回路、設備が適用できることから、設備投資的に有利な事故点測定器が提供できる。
また、本発明測定器においては、直流電圧測定部と誘導電圧測定部に1Hz以上の低周波交流をカットするローパスフィルタを配設することができる。事故点測定対象の3線1セットのケーブルそれぞれに発生した誘導電圧は、1Hz以下の極低周波で変動することがある。この変動する誘導電圧はローパスフィルタでカットされずに直流電圧測定部の電圧測定器と誘導電圧測定部の電圧測定器で測定され、結果的に演算部で測定電圧の補正に使用されて、事故点測定精度の安定に寄与する。また、1Hz以上の低周波交流をカットするローパスフィルタは、ループ回路から測定された事故相電圧と健全相電圧の直流電圧成分を変動させることなく通過させるので、事故点測定精度の尚一層の安定に寄与する。
本発明によれば、三相交流の地中送電ケーブルなどの3線1セットのケーブルのいずれか1線の地絡事故点測定を、地絡事故を発生した1線の事故相ケーブルと地絡事故を発生していない2線の健全相ケーブルの内の1線の健全相ケーブルを使って2線式測定法で行う際に、残り1線の健全相ケーブルに発生する誘導電圧の変動を常時測定することで、他の2線のケーブルを使って2線式測定法で測定される事故相電圧と健全相電圧から誘導電圧成分を除去する電圧補正ができ、極低周波で変動する誘導電圧成分による事故点測定精度のばらつきのない、事故点測定精度の安定した測定方法、測定器が提供できるという優れた効果を奏し得る。
また、3線1セットのケーブルの内の誘導電圧測定に使用する1線の健全相ケーブルは、従来の2線式測定法で使用されていない1線であり、この1線を誘導電圧測定に有効利用することで、設備投資的にも有利な測定方法、測定器が提供できる。
以下、本発明の実施の形態を、数式と添付の図面を参照して説明する。
図1に示す実施の形態のケーブル事故点測定器11は、図4の2線式事故点測定器に適用したもので、図4と同一または相当部分には同一参照符号を付して、説明の重複を避ける。図1のケーブル事故点測定器11は、3線1セットの全ケーブル1a〜1cを事故点測定に使用するもので、以下、必要に応じて3線式事故点測定器11と称する。
3線式事故点測定器11は、図4の2線式事故点測定器と同様な直流電源部20、直流電圧測定部30、演算部40の他に、誘導電圧測定部50を備える。誘導電圧測定部50を備えることで、演算部40に電圧補正部42が追加的に設置される。また、直流電圧測定部30と誘導電圧測定部50に、測定電圧から1Hz以上の低周波交流をカットするローパスフィルタ60を設置する。電圧補正部42は、誘導電圧測定部50の電圧測定器51で測定された誘導電圧の変動を算出して、直流電圧測定部30で測定された事故相電圧Vと健全相電圧Vを、両電圧成分から誘導電圧成分を除去するよう補正する。
3線式事故点測定器11による事故点測定対象が図4の3線1セットのケーブル1a〜1cの場合、3線式事故点測定器11は事故相ケーブル1bの事故点Pの位置を、次のように測定する。
図4の2線式事故点測定器と同様に、3線1セットのケーブル1a〜1cの内の地絡事故を発生した1線の事故相ケーブル1bと、地絡事故のない健全な2線の健全相ケーブル1a、1cの内のいずれか1線の例えば健全相ケーブル1aをジャンパー線35で直列接続してループ回路36を構成する。直流電源部20の電池21の直流定電圧をループ回路36の両端に印加して、ループ回路36にループ電流を流す。ループ回路36にループ電流を流す毎に、電圧計33で健全相ケーブル1aの導体2aの対地電圧である健全相電圧Vを測定し、電圧計34で事故相ケーブル1bの導体2bの対地電圧である事故相電圧Vを測定する。また、ループ回路36に使用しない他の1線の健全相ケーブル1cの片端をアース線51で接地して、他端から誘導電圧測定部50で誘導電圧である健全相電圧Vを測定し、演算部40に組み込まれた電圧補正部42で健全相電圧Vの変動を算出する。
3線1セットのケーブル1a〜1cに他の隣接ケーブルから誘導電圧が誘起された場合、測定された事故相電圧Vと健全相電圧Vそれぞれは直流電圧成分に誘導電圧成分を重畳した値となる。各測定電圧V、Vに重畳される誘導電圧成分が商用周波のような1Hz以上の低周波交流の場合は、ローパスフィルタ60でカットされて、測定電圧の直流電圧成分のみで演算部40が事故点測定の演算処理をし、事故点測定精度が安定する。また、各測定電圧V、Vに重畳される誘導電圧成分が1Hz未満の極低周波交流の場合、ローパスフィルタ60を通過して、事故点測定精度のばらつきの要因となる。本発明においては、健全相ケーブル1cから測定される誘導電圧である健全相電圧Vの変動に基づいて、各測定電圧V、Vに含まれる誘導電圧を算出し、各測定電圧V、Vから誘導電圧成分を除去する電圧補正を行う。この電圧補正を、図2を参照して説明する。
図2の各ケーブル1a〜1cは、導体部分を示す。各ケーブル1a〜1cの全長が同一のBとし、地絡事故を発生した事故相ケーブル1bの電圧測定点から事故点Pまでの距離をAとする。各ケーブル1a〜1cから測定される直流電圧成分と誘導電圧成分それぞれは、電圧測定点と接地点の距離に比例する。この比例関係からループ回路36の事故相電圧Vおよび健全相電圧Vに重畳している誘導電圧成分が、健全相ケーブル1cで測定される変動する健全相電圧Vに基づいて算出できる。
事故相電圧Vの直流電圧成分をVmとし、誘導電圧成分をVnとする。1回目の電圧測定時の事故相電圧をV’とし、時間経過した2回目の事故相電圧をV”とする。健全相ケーブル1cにおける1回目の電圧測定時の健全相電圧をV’とし、2回目の電圧測定時の健全相電圧をV”とすると、(4)式が成立する。
Figure 2010091413
(4)式から、次の(5)式が導き出される。
Figure 2010091413
(5)式から分かるように、事故相電圧Vから誘導電圧成分Vnが除去されて、演算部40に送られる測定電圧データが直流電圧成分Vmのみになる。
また、ループ回路36の健全相電圧Vの直流電圧成分をVmとし、誘導電圧成分をVnとする。さらに、1回目の電圧測定時の事故相電圧をV’とし、時間経過した2回目の事故相電圧をV”とすると、(6)式が成立する。
Figure 2010091413
(6)式から、次の(7)式が導き出される。
Figure 2010091413
(7)式から分かるように、健全相電圧Vから誘導電圧成分Vnが除去されて、演算部40に送られる測定電圧データが直流電圧成分Vmのみになる。
以上の補正演算が電圧補正部42で行われて、直流電圧成分のみの測定電圧データが演算部40に送られるため、各ケーブル1a〜1cで同様に極低周波で油同電圧が変動しても、これに影響されることなく事故点測定が安定した精度で行われる。
以上の本発明方法で事故点測定する際の、各ケーブル1a〜1cにおける誘導電圧の変動例を図3に示す。図3の誘導電圧波形が、前述した図7の電圧波形と細かいところで相違するのは、測定条件が相違するためで、基本的には同様である。図3の誘導電圧波形のうち、極性反転毎のVqとVqを合成した誘導電圧波形Vq’が図7と大きく相違するところは、変動することなく事故点100%でほぼ安定していることである。その結果、事故点測定を複数回行っても、毎回の測定精度が100%でほぼ安定し、事故点測定精度が安定かつ向上する。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の実施の形態を示すケーブル事故点測定器の回路図である。 図1のケーブル事故点測定器による事故点測定の算出方法を説明するためのケーブル概要図である。 図1のケーブル事故点測定器による事故点測定の際に生じるケーブルの誘導電圧の波形図である。 従来のケーブル事故点測定器の回路図である。 図4のケーブル事故点測定器による事故点測定設備の概要を示す図である。 図4のケーブル事故点測定器による事故点測定時の相電圧波形図である。 図4のケーブル事故点測定器による事故点測定の際に生じるケーブルの誘導電圧の波形図である。
符号の説明
1a〜1c ケーブル
1a 健全相ケーブル
1b 事故相ケーブル
1c 健全相ケーブル
5 ケーブル管路
8 変電所
11 ケーブル事故点測定器
20 直流電源部
30 直流電圧測定部
31 極性反転スイッチ
35 ジャンパー線
36 ループ回路
40 演算部
41 表示部
42 電圧補正部
50 誘導電圧測定部
51 アース線
51 電圧測定器
60 ローパスフィルタ
事故相電圧
m 直流電圧成分
n 誘導電圧成分
健全相電圧
m 直流電圧成分
n 誘導電圧成分
健全相電圧(誘導電圧)

Claims (7)

  1. 並置された3線のケーブルのいずれか1線の地絡事故が発生した事故相ケーブルと地絡事故が発生していない健全な2線の健全相ケーブルのうちのいずれか1線の健全相ケーブルを直列に接続して構成したループ回路の両端に直流電圧を印加し、前記両端それぞれで測定した前記事故相ケーブル側の事故相電圧および前記健全相ケーブル側の健全相電圧に基づいて、前記事故相ケーブルの地絡発生事故点を測定するケーブル事故点測定方法であって、
    前記ループ回路を構成しない1線の前記健全相ケーブルから変動する誘導電圧を常時測定し、この測定した変動する誘導電圧に基づいて、前記事故相電圧および前記健全相電圧それぞれを、それぞれの電圧成分に含まれる誘導電圧成分を除去するよう補正することを特徴とするケーブル事故点測定方法。
  2. 前記補正した前記事故相電圧および前記健全相電圧の補正結果に基づいて、前記事故相ケーブルの地絡発生事故点を測定することを特徴とする請求項1に記載のケーブル事故点測定方法。
  3. 前記ループ回路を構成しない1線の前記健全相ケーブルの片端を接地して他端の電圧を常時測定し、測定した電圧の時間経過による変位から前記変動する誘導電圧を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル事故点測定方法。
  4. 前記3線のケーブルが三相交流の地中送電ケーブルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のケーブル事故点測定方法。
  5. 並置された3線のケーブルのいずれか1線の地絡事故が発生した事故相ケーブルと地絡事故が発生していない健全な2線の健全相ケーブルのうちのいずれか1線の健全相ケーブルを直列に接続して構成したループ回路の両端に直流電圧を印加する直流電源部と、前記ループ回路の両端それぞれで電圧測定する直流電圧測定部と、前記直流電圧測定部で測定した前記事故相ケーブル側の事故相電圧および前記健全相ケーブル側の健全相電圧に基づいて前記事故相ケーブルの地絡発生事故点を測定する演算部とを有するケーブル事故点測定器であって、
    前記ループ回路を構成しない1線の前記健全相ケーブルから当該健全相ケーブルで発生する誘導電圧を常時測定する誘導電圧測定部を有し、
    前記演算部は、前記誘導電圧測定部で常時測定された誘導電圧の時間変位から変動する誘導電圧を算出し、この算出した変動誘導電圧に基づいて、前記事故相電圧および前記健全相電圧それぞれを、それぞれ電圧成分に含まれる誘導電圧成分を除去するよう補正する測定電圧補正部を有することを特徴とするケーブル事故点測定器。
  6. 前記直流電圧測定部と前記誘導電圧測定部に1Hz以上の低周波交流をカットするローパスフィルタを配設したことを特徴とする請求項5に記載のケーブル事故点測定器。
  7. 前記3線のケーブルが三相交流の地中送電ケーブルであることを特徴とする請求項5又は6に記載のケーブル事故点測定器。
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