JP2010089216A - 研磨ブラシ用毛材、その製造方法および研磨ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の研磨ブラシ用毛材に比べて、極めて高い研磨性能を有すると共に、毛材の耐折損耐久性にも優れた研磨ブラシ用毛材およびこの研磨ブラシ用毛材を使用した研磨ブラシの提供。
【解決手段】砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸してなるモノフィラメントのブリッスルから形成される研磨ブラシ用毛材1であって、前記ブリッスルはその両端部の少なくとも片端が、複屈折率Δn=10×10−3未満の略分子無配向部2で形成されており、かつ、それ以外の部分が複屈折率Δn=10×10−3以上の略分子配向部で形成されている研磨ブラシ用毛材。
【選択図】図1
【解決手段】砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸してなるモノフィラメントのブリッスルから形成される研磨ブラシ用毛材1であって、前記ブリッスルはその両端部の少なくとも片端が、複屈折率Δn=10×10−3未満の略分子無配向部2で形成されており、かつ、それ以外の部分が複屈折率Δn=10×10−3以上の略分子配向部で形成されている研磨ブラシ用毛材。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属部材などの被研磨体の表面や端面を研磨するために使用する研磨ブラシ用毛材の改良に関するものであり、さらに詳しくは、研磨ブラシに使用した場合に、従来よりも研磨性が極めて優れると共に、毛材の耐折損性にも優れた研磨ブラシ用毛材、その製造方法および研磨ブラシに関するものである。
従来から、金属部材の表面および端面の研磨加工において使用される研磨ブラシ用毛材としては、砥材粒子を含有する合成樹脂モノフィラメントからなる毛材が知られており、この毛材を使用した研磨ブラシとしては、例えば、ディスクロールブラシ、チャンネルロールブラシ、カップ状ブラシなどが挙げられる。
これらの研磨ブラシは、被研磨体に押圧し、さらに回転を付与することによって、金属部材などの被研磨体表面の研磨を行うために使用されているものであるが、その研磨性能を向上させるため従来から様々な検討がなされてきた。
特に近年では、研磨用ブラシに様々な機能が要求されてきており、これに伴って研磨ブラシ用毛材にも様々な形態のものが提案されている。
例えば、砥材粒子含有合成樹脂モノフィラメントの断面形状を四角形とした研磨ブラシ用毛材(例えば、特許文献1参照)が知られている。しかしながら、この毛材はその側面長手方向に角部を成しているため、丸断面形状のものに比べて研削力が高いものの、被研磨面に対して毛材の側面、或いは角部が面接触或いは線接触で平行に研磨しているだけであるために、被研磨体表面の研磨性能が十分でないという問題があった。
また、砥材粒子表面にシランカップリング処理を施した研磨ブラシ用毛材(例えば、特許文献2参照)も既に提案されており、この研磨ブラシ用毛材は、樹脂と砥材粒子との接着性が向上しているため砥材粒子が脱落しにくく、従来の研磨ブラシ用毛材に比べ、研磨性に優れるものではあるが、この毛材の樹脂と砥材粒子との間の接着は、ブラシを構成するモノフィラメントの延伸の際に発生するボイドの影響で未だに十分なものとは言えないばかりか、前記ボイドに起因した毛材の折損を起こしやすいという問題があった。
このように、従来の研磨ブラシ用毛材は、それぞれ特異的な特徴を有するものの、研磨ブラシ用毛材に要求される研磨性と耐折損性の両者を均衡に満足するものではないことから、その更なる改善が頻りに求められてきた。
特開2003−181769号公報
特開昭55−51813号公報
本発明は、上記従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、従来の研磨ブラシ用毛材に比べて、極めて高い研磨性能を有すると共に、毛材の耐折損耐久性にも優れた研磨ブラシ用毛材、その製造方法およびこの研磨ブラシ用毛材を使用した研磨ブラシを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸してなるモノフィラメントのブリッスルから形成される研磨ブラシ用毛材であって、前記ブリッスルはその両端部の少なくとも片端が、複屈折率Δn=10×10−3未満の略分子無配向部で形成されており、かつ、それ以外の部分が複屈折率Δn=10×10−3以上の略分子配向部で形成されていることを特徴とする研磨ブラシ用毛材が提供される。
なお、本発明の研磨ブラシ用毛材においては、
前記略無配向部の長さが、ブリッスルの先端から少なくとも5.0mmであること、
前記略無配向部がブリッスルの両端に形成されていること、
前記ブリッスルの長さが50〜300mmであること、
前記結晶性合成樹脂が、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選ばれた少なくとも1種であること、
が、好ましい条件として挙げられ、この条件を満たすことにより更に優れた効果を取得することができる。
前記略無配向部の長さが、ブリッスルの先端から少なくとも5.0mmであること、
前記略無配向部がブリッスルの両端に形成されていること、
前記ブリッスルの長さが50〜300mmであること、
前記結晶性合成樹脂が、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選ばれた少なくとも1種であること、
が、好ましい条件として挙げられ、この条件を満たすことにより更に優れた効果を取得することができる。
また、本発明の前記研磨ブラシ用毛材の製造方法は、砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸して得られたモノフィラメントを、50〜300mmの長さに切断してブリッスルとなし、このブリッスルの少なくとも片端を、前記結晶性合成樹脂の結晶融解温度±5℃の温度に加熱した後冷却することを特徴とする。
さらに、本発明の研磨ブラシは、上記の研磨ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とし、この場合には中でも上記研磨ブラシ用毛材の略配向部がブラシ基材のチャンネル部に植毛されていることが好ましい。
以下に説明する通り、本発明によれば、高い研磨性および優れた耐折損性を有する研磨ブラシ用毛材およびこの研磨ブラシ用毛材を使用した研磨ブラシを得ることができる。
以下に、図面を参照しつつ本発明をさらに詳述する。
図1は、本発明の研磨ブラシ用毛材を植毛したチャンネルブラシの一例を示す断面図である。
図1において、1は研磨ブラシ用毛材、2は毛材の略配向部、3は毛材の略無配向部、4はブラシ基材をそれぞれ示している。
先ず、本発明の研磨ブラシ用毛材について説明すると、この研磨ブラシ用毛材1は、砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸してなるモノフィラメントのブリッスルから形成されており、このブリッスルはその両端部の少なくとも片端に、複屈折率Δn=10×10−3未満の略分子無配向部2が形成され、またそれ以外の部分が複屈折率Δn=10×10−3以上の略分子配向部3で形成されている。
そして、毛材の先端に位置する略分子無配向部2が被研磨物に接触するワーク部として機能し、それ以外の略分子配向部3がチャンネルなどのブラシ基材4に固定されて研磨ブラシが構成されている。
ここで、研磨ブラシ用毛材1を構成する略無配向部3は、樹脂の分子が無配向状態に近い状態または無配向状態であり、略配向部2は、樹脂の分子が配向状態に近い状態または配向状態である。
この研磨ブラシ用毛材1を構成する略無配向部3の複屈折率Δnは、10×10−3未満が好ましく、さらには5×10−3以下であることが好ましい。同様に、略配向部2の複屈折率Δnは、10×10−3以上が好ましく、さらには、20×10−3以上であることが好ましい。
この理由は、研磨作業を実施する際にワーク部となる略無配向部3の複屈折率Δnが10×10−3を上回る場合には、糸中空隙率(糸中ボイド率)が大きくなり、砥材粒子が樹脂から脱落してやすくなるためであり、毛材の固定部である略配向部2の複屈折率Δnが10×10−3以下である場合には、毛材の強度が低く、毛材の折損を招くためである。
したがって、本発明の研磨ブラシ用毛材における上記複屈折率は、研磨ブラシ用毛材1を研磨ブラシとして使用した場合に、高い研磨性および優れた耐折損性を得る上で非常に重要な役目を担っているのである。
また、研磨ブラシ用毛材1を構成する略無配向部3の長さは、毛材の先端から5mm以上が好ましく、さらには、10mm以上が好ましい。この理由は、略無配向部の長さが5mm以下である場合には、ワーク部である略無配向部3が比較的早期に摩耗して消失するため、持続的な研磨性能が得られなくなるためである。
なお、図1に示した研磨ブラシ用毛材1の用途については特に限定はしないが、粗いバリ等を効率的に除去したり、細かい錆等を効率的に除去したりする作業用途に適している。
さらに、本発明の研磨ブラシ用毛材を構成する結晶性合成樹脂は、特には限定されないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロンMDX6、ナイロン11、ナイロン12、ポリ(カプラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体およびポリ(カプラミド/ラウラミド)共重合体などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロチレン・プロピレン共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソール共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフルオライド共重合体テトラフルオロエチレン・エチレンクロライド共重合体、フルオロビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂などの溶融紡糸できる樹脂であり、且つ、延伸可能な樹脂あればいずれでも良く、1種類ないしは2種類以上の樹脂を適宜選択して使用することができる。なかでも、研磨ブラシ用毛材としての摩耗や耐折損性などに優れるとの理由から、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド系樹脂もしくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂の使用が好ましい。
本発明の研磨ブラシ用毛材が含有する砥材粒子の具体例としては、炭化珪素、緑色炭化珪素、酸化アルミナ、および人工ダイヤモンドなどが挙げられ、研磨ブラシの用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、研磨砥材粒子の粒度番手は#36〜3000の範囲であることが好ましく、さらには#60〜1000の範囲であることが好ましい。
砥材粒子の粒度番手が上記範囲を下回る場合には、研磨性は向上するものの、毛材が脆くなる傾向にあり、研磨ブラシとして使用した際には毛折れが発生しやすくなる。逆に、粒度番手が上記範囲を上回る場合には、研磨性の低い毛材となりやすい。
また、研磨ブラシ用毛材が含有する砥材粒子の含有量は、毛材の全重量に対して5〜40重量%の範囲が好ましく、さらには、10〜30重量%の範囲が好ましい。
砥材粒子の含有量が上記範囲を下回る場合は、研磨性の低い毛材になりやすく、逆に含有量が上記範囲を上回る場合は、研磨性は向上するものの、溶融紡糸する際に紡糸安定性が得られにくくなるばかりか、毛材が脆くなる傾向があり、研磨ブラシとして使用した際に毛折れが発生しやすくなる。
さらに、本発明の研磨ブラシ用毛材を構成する合成樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば目的に応じて、酸化防止剤、耐光剤、耐候剤、難燃剤、無機粒子、顔料などのほか、ポリエステル系樹脂の耐加水分解性向上を目的とするポリカルボジイミド化合物などを添加することも可能である。
次に、本発明の研磨ブラシ用毛材の製造方法について説明する。まず、合成樹脂モノフィラメントの製造には、何ら特殊な製造装置を使用する必要はなく、例えば公知のエクストルーダー型溶融紡糸機を使用して製造することができる。
具体的にポリアミド系樹脂を使用して砥材粒子含有結晶性合成樹脂モノフィラメントを製造する場合には、予め乾燥したポリアミド系樹脂と所定量の砥材粒子とを二軸押出型溶融紡糸機に供給し、溶融混練された合成樹脂と砥材粒子の混合物を異形断面形状の吐出孔を有する紡糸口金から押し出し、冷却固化、加熱延伸、必要に応じて加熱弛緩処理を施し、一旦巻き取る。
そして、一旦巻き取られた前記モノフィラメントを必要な長さにカットし長さが50〜300mmのブリッスルとなした後、このブリッスル同士の間隔を空けた状態で、ブリッスルの少なくとも片端の温度を、構成する樹脂の結晶融解温度±5℃の範囲まで上昇させたのち、冷却することにより、略無配向部を形成する。なおこの略無配向部は、毛材をブラシに植毛した後に形成させることも可能である。
また、本発明の研磨ブラシ用毛材には、研磨ブラシの用途に応じて、その側面長手方向に波形状を付与することもできる。
そして、本発明の研磨ブラシは、上記製造方法で得られたモノフィラメントからなる研磨ブラシ用毛材の略配向部をブラシ基材に植毛してなるものであり、公知の製造方法により得られる。
以上、説明した通り、本発明の研磨ブラシ用毛材は、ロールブラシ、カップブラシ、筒状ブラシおよびホイルブラシなどの研磨ブラシの毛材の少なくとも一部に使用した場合に、毛材の略無配向部がワーク部として機能するため、従来の研磨ブラシ用毛材に比べて、被研磨面に対する研磨性および耐折損性が大幅に向上したものとなり、その効果は極めて有利である。
以下、本発明の研磨ブラシ用毛材について、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における複屈折率、糸中空隙率、研磨性、耐折損性の評価は以下の通り実施した。なお、研磨ブラシ用毛材の評価は、得られた直径1.0mmのモノフィラメントを使用した。
[複屈折率]
実施例および比較例で得られた研磨ブラシ用毛材の先端部と先端から50mmの部分をカットし、それぞれOLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡を用い、コンペンセーター法によって、レターデーションと繊維径より複屈折率Δnを求めた。測定は繰り返し5回行い、その平均値を算出した。
この平均値が小さいほど、樹脂の分子鎖が配向していることを示し、反対に、大きいほど無配向状態であることを示す。
実施例および比較例で得られた研磨ブラシ用毛材の先端部と先端から50mmの部分をカットし、それぞれOLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡を用い、コンペンセーター法によって、レターデーションと繊維径より複屈折率Δnを求めた。測定は繰り返し5回行い、その平均値を算出した。
この平均値が小さいほど、樹脂の分子鎖が配向していることを示し、反対に、大きいほど無配向状態であることを示す。
[糸中空隙率]
得られた研磨ブラシ用毛材の先端部および先端から50mmの部分をカットし、これらの毛材の質量A(g)を測定した。次に、測定した毛材をメスシリンダーに入れ、適量の純水を加え、その重量増加分から略無配向部の体積B(cm3)を算出した。A、Bを下式に代入することで糸中空隙率を算出した。この作業を引き続き5回繰り返し行い、平均値を算出した。糸中空隙率が少ないほど砥粒と樹脂との接着が良好であり、研磨砥材粒子が樹脂から脱落しにくいことを示す。
糸中空隙率(%)=100−((A/B)×((毛材に占める樹脂の重量%/樹脂比重)+(毛材に占める研磨砥材粒子の重量%/研磨砥材粒子比重)))
得られた研磨ブラシ用毛材の先端部および先端から50mmの部分をカットし、これらの毛材の質量A(g)を測定した。次に、測定した毛材をメスシリンダーに入れ、適量の純水を加え、その重量増加分から略無配向部の体積B(cm3)を算出した。A、Bを下式に代入することで糸中空隙率を算出した。この作業を引き続き5回繰り返し行い、平均値を算出した。糸中空隙率が少ないほど砥粒と樹脂との接着が良好であり、研磨砥材粒子が樹脂から脱落しにくいことを示す。
糸中空隙率(%)=100−((A/B)×((毛材に占める樹脂の重量%/樹脂比重)+(毛材に占める研磨砥材粒子の重量%/研磨砥材粒子比重)))
[研磨性]
実施例および比較例で得られた研磨ブラシ用毛材を使用し、内径45mm、外径70mm、毛丈50mmのカップ状ブラシを作成した。そして、このカップ状ブラシをハンドグラインダーに取り付け、圧力50N、回転数12000rpmで真鍮金属板の表面を30分間研磨して、削り取られた真鍮金属の質量を測定した。この削り取られた真鍮金属の質量が大きいほど研磨性に優れていることを示す。この作業を引き続き5回繰り返し行い、削り取られた真鍮金属の質量の平均値を算出した。
実施例および比較例で得られた研磨ブラシ用毛材を使用し、内径45mm、外径70mm、毛丈50mmのカップ状ブラシを作成した。そして、このカップ状ブラシをハンドグラインダーに取り付け、圧力50N、回転数12000rpmで真鍮金属板の表面を30分間研磨して、削り取られた真鍮金属の質量を測定した。この削り取られた真鍮金属の質量が大きいほど研磨性に優れていることを示す。この作業を引き続き5回繰り返し行い、削り取られた真鍮金属の質量の平均値を算出した。
[耐折損性]
JIS P 8115に記載する屈曲揉み疲労(MIT)試験機を使用し、得られた研磨ブラシ用毛材を荷重15.7N(1.5kgf)、折り曲げ角度270°(左右135°)、且つ毎分175±10回の速度で、毛材の先端から50mmの位置を繰り返し折り曲げ、モノフィラメントが切断するまでの往復折り曲げ回数を10回測定した。この10回の測定値の平均が大きいほど耐折損性に優れていることを示す。
JIS P 8115に記載する屈曲揉み疲労(MIT)試験機を使用し、得られた研磨ブラシ用毛材を荷重15.7N(1.5kgf)、折り曲げ角度270°(左右135°)、且つ毎分175±10回の速度で、毛材の先端から50mmの位置を繰り返し折り曲げ、モノフィラメントが切断するまでの往復折り曲げ回数を10回測定した。この10回の測定値の平均が大きいほど耐折損性に優れていることを示す。
[実施例1]
相対粘度ηrが3.8のナイロン610樹脂(東レ(株)社製M2041)77重量%と、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製SH6020)を0.2重量%被覆処理した粒度番手#100の炭化珪素砥材粒子(昭和電工(株)社製)23重量%との混合物を二軸押出紡糸機に供給し、250℃の温度で溶融混練した後、孔径2.0mmの円形ノズルから押し出し、冷却固化および200℃の温度で3.2倍に加熱延伸することにより、直径1.0mmのモノフィラメントを得た。
相対粘度ηrが3.8のナイロン610樹脂(東レ(株)社製M2041)77重量%と、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製SH6020)を0.2重量%被覆処理した粒度番手#100の炭化珪素砥材粒子(昭和電工(株)社製)23重量%との混合物を二軸押出紡糸機に供給し、250℃の温度で溶融混練した後、孔径2.0mmの円形ノズルから押し出し、冷却固化および200℃の温度で3.2倍に加熱延伸することにより、直径1.0mmのモノフィラメントを得た。
そして、得られたモノフィラメントを10cmの長さにカットし、カットした毛材の両端部に近赤外線を照射し、照射した部分が225℃になるまで加熱して5秒間保持した後、得られた毛材を常温の水で水冷することにより、毛材の両端から20mmが略無配向部で形成された研磨用毛材を得た。
得られた研磨用毛材を用いて複屈折率および糸中空隙率を測定した。次いで、得られた研磨用毛材を使用してカップ状ブラシを作成し、研磨性と耐折損性の評価を行った。各評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、ナイロン610樹脂を、相対粘度ηrが4.4のナイロン6(東レ(株)製M1041)に変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、ナイロン610樹脂を、相対粘度ηrが4.4のナイロン6(東レ(株)製M1041)に変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、ナイロン610樹脂を、相対粘度ηrが3.5のナイロン612(ダイセル・エボニック(株)社製D22)に変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、ナイロン610樹脂を、相対粘度ηrが3.5のナイロン612(ダイセル・エボニック(株)社製D22)に変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、孔径2.0mmの円形ノズルを孔径2.0mmの四角形ノズルに変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、孔径2.0mmの円形ノズルを孔径2.0mmの四角形ノズルに変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、モノフィラメントの延伸倍率を2.5倍に変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、モノフィラメントの延伸倍率を2.5倍に変更した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、近赤外線照射を省略した以外は、実施例1と同じ条件で、毛材の全てが略配向部により形成された研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、近赤外線照射を省略した以外は、実施例1と同じ条件で、毛材の全てが略配向部により形成された研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、モノフィラメントの加熱延伸を省略した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、モノフィラメントの加熱延伸を省略した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、孔径2.0mmの円形ノズルを孔径2.0mmの四角形ノズルに変更し、近赤外線照射を省略した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、孔径2.0mmの円形ノズルを孔径2.0mmの四角形ノズルに変更し、近赤外線照射を省略した以外は、実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、略無配向部の長さを毛材の両端から1.0mmに変更したこと以外は、 実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
実施例1において、略無配向部の長さを毛材の両端から1.0mmに変更したこと以外は、 実施例1と同じ条件で研磨用毛材を得た。各評価結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明の条件を満たす研磨ブラシ用毛材(実施例1〜5)からなるカップブラシは、従来よりも研磨性と耐折損性に優れたものであった。
これに対し、本発明の条件を満たさない研磨ブラシ用毛材(比較例1〜4)からなるカップブラシは、研磨性と耐折損性が均衡に優れるものではなく、満足のいくものではなかった。
本発明の研磨ブラシ用毛材は、高い研磨性および優れた耐折損性を有していることから、ディスクロールブラシ、チャンネルロールブラシ、カップ状ブラシなどの研磨ブラシの毛材の少なくとも一部に使用した場合に、従来の研磨ブラシ用毛材に比べて、被研磨面の研磨を効率的に行うことができ、その効果は極めて有利である。
1 研磨ブラシ用毛材
2 略無配向部(研磨部)
3 略配向部(ブラシ固定部)
4 ブラシ基材
2 略無配向部(研磨部)
3 略配向部(ブラシ固定部)
4 ブラシ基材
Claims (8)
- 砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸してなるモノフィラメントのブリッスルから形成される研磨ブラシ用毛材であって、前記ブリッスルはその両端部の少なくとも片端が、複屈折率Δn=10×10−3未満の略分子無配向部で形成されており、かつ、それ以外の部分が複屈折率Δn=10×10−3以上の略分子配向部で形成されていることを特徴とする研磨ブラシ用毛材。
- 前記略分子無配向部の長さが、ブリッスルの先端から少なくとも5.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の研磨ブラシ用毛材。
- 前記略分子無配向部がブリッスルの両端に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨ブラシ用毛材。
- 前記ブリッスルの長さが50〜300mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨ブラシ用毛材。
- 前記結晶性合成樹脂が、ナイロン6、ナイロン610、ナイロン612、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨ブラシ用毛材。
- 砥材粒子を含有する結晶性合成樹脂組成物を溶融紡糸・延伸して得られたモノフィラメントを、50〜300mmの長さに切断してブリッスルとなし、このブリッスルの少なくとも片端を、前記結晶性合成樹脂の結晶融解温度±5℃の温度に加熱した後冷却することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨ブラシ用毛材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨ブラシ用毛材を少なくとも一部に使用してなることを特徴とする研磨ブラシ。
- 前記研磨ブラシ用毛材の略分子配向部がブラシ基材のチャンネル部に植毛されていることを特徴とする請求項7に記載の研磨ブラシ。
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- 2008-10-09 JP JP2008262373A patent/JP2010089216A/ja active Pending
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