JP2010085925A - 層形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で、かつ、適切に反射層を形成できる層形成装置を提供すること。
【解決手段】スプレー塗布装置は、互いに交差する傾斜面14および直交面15が所定方向に沿って交互に形成された被投影面12を有するスクリーン素材11の前記傾斜面14に反射層16を形成する装置であって、ノズル本体41のスプレー方向を被投影面12に対して傾斜させ、かつ、傾斜面14に対向する姿勢で、ノズル本体41をノズル傾斜装置44に支持させるとともに、このノズル傾斜装置44を多関節アーム装置で被投影面12に沿って移動可能に設けた。従って、スプレー方向を傾斜面14に対向させた状態で、スプレーしながらノズル本体41を被投影面12に沿って移動させることにより、傾斜面14に反射層16を適切に形成でき、スプレー形成できるので、蒸着装置のような高価な装置を使用せずに安価に形成できる。
【選択図】図3
【解決手段】スプレー塗布装置は、互いに交差する傾斜面14および直交面15が所定方向に沿って交互に形成された被投影面12を有するスクリーン素材11の前記傾斜面14に反射層16を形成する装置であって、ノズル本体41のスプレー方向を被投影面12に対して傾斜させ、かつ、傾斜面14に対向する姿勢で、ノズル本体41をノズル傾斜装置44に支持させるとともに、このノズル傾斜装置44を多関節アーム装置で被投影面12に沿って移動可能に設けた。従って、スプレー方向を傾斜面14に対向させた状態で、スプレーしながらノズル本体41を被投影面12に沿って移動させることにより、傾斜面14に反射層16を適切に形成でき、スプレー形成できるので、蒸着装置のような高価な装置を使用せずに安価に形成できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、スクリーン素材に反射層を形成する層形成装置に関する。
従来、プロジェクタなどから画像光が投射され、画像を映し出すスクリーンのうち、観察者が位置する側から画像光が投射され、当該画像光を反射する反射層を備えた反射型のスクリーンが知られている。また、このようなスクリーンの被投影面に金属膜を蒸着させて反射層を形成する蒸着装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の蒸着装置は、真空雰囲気を維持する真空チャンバと、当該真空チャンバの中に設置される蒸発源と、蒸発源に対向する位置にフィルムなどの被蒸着材料を供給する供給ローラなどからなる供給手段とを備えている。そして、当該蒸着装置では、蒸発源を加熱すると、蒸着材料が蒸発し、被蒸着材料に付着する。この蒸着装置を用いて、スクリーン素材の被投影面に反射層を形成する際には、供給手段でスクリーン素材を供給させればよく、蒸発して飛散した蒸着材料の粒子が被投影面に付着して堆積することによって、反射層を形成することができる。
この特許文献1に記載の蒸着装置は、真空雰囲気を維持する真空チャンバと、当該真空チャンバの中に設置される蒸発源と、蒸発源に対向する位置にフィルムなどの被蒸着材料を供給する供給ローラなどからなる供給手段とを備えている。そして、当該蒸着装置では、蒸発源を加熱すると、蒸着材料が蒸発し、被蒸着材料に付着する。この蒸着装置を用いて、スクリーン素材の被投影面に反射層を形成する際には、供給手段でスクリーン素材を供給させればよく、蒸発して飛散した蒸着材料の粒子が被投影面に付着して堆積することによって、反射層を形成することができる。
ところで、近年、スクリーンと、当該スクリーンに画像光を投射するプロジェクタとの距離を短縮して、設置場所の省スペース化を図ることが要望されている。このため、スクリーンの上方または下方から近距離で画像光を投射することが提案されている。しかしながら、平坦な被投影面を有するスクリーンでは、画像光を適切に観察者が位置する方向に反射することができないという問題がある。このため、互いに交差する第1面および第2面が交互に形成された被投影面を有し、プロジェクタに対向する第1面により観察者側に画像光を反射するスクリーンが提案されている。このようなスクリーンによれば、投射された画像光を観察者側に適切に反射することができる。
しかしながら、このような画像光を観察者側に適切に反射することができるスクリーンのスクリーン素材に反射層を形成する場合に、前述の特許文献1に記載の蒸着装置を用いると、第1面および第2面のそれぞれに蒸着材料が付着してしまう可能性がある。ここで、第2面に反射層が形成されてしまうと、当該第2面に入射した蛍光灯等の外光が、第1面を介するなどして観察者側に反射してしまい、画像のコントラストが低下してしまうという問題がある。一方、特許文献1に記載の蒸着装置は、前述のように、真空チャンバが必要になるなど高価であり、また、反射層形成に際して第2面をマスキングすると、作業工程が煩雑となるという問題がある。このため、適切に反射層を形成することができる安価な装置が要望されてきた。
本発明の目的は、安価で、かつ、適切に反射層を形成できる層形成装置を提供することにある。
本発明の層形成装置は、互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の前記第1面および前記第2面のいずれか一方の面を被形成面とし、当該被形成面に反射層を形成する層形成装置であって、前記被投影面が略平坦な状態となるように前記スクリーン素材を載置する載置台と、前記反射層を形成するスプレー材料をスプレーするノズルと、前記ノズルによるスプレー方向を前記被投影面に対して傾斜させ、かつ、前記被形成面に対向する姿勢で前記ノズルを支持する支持部材と、前記支持部材を前記被投影面に沿って移動させる移動装置と、を備えることを特徴とする。
ここで、第1面および第2面は、交互に形成される方向に対して直交する方向に長い領域をそれぞれ有しており、これらの領域が直線状に延びていても、円弧状などに湾曲して延びていても構わない。
ここで、第1面および第2面は、交互に形成される方向に対して直交する方向に長い領域をそれぞれ有しており、これらの領域が直線状に延びていても、円弧状などに湾曲して延びていても構わない。
本発明によれば、ノズルのスプレー方向を被投影面に対して傾斜させ、かつ、被形成面に対向する姿勢で、ノズルを支持部材に支持させるとともに、この支持部材を移動装置で被投影面に沿って移動可能に設けたので、スプレー方向を被形成面に対向させた状態で、スプレーしながらノズルを被投影面に沿って移動させることにより、被形成面に反射層を適切に形成することができる。また、スプレーによって被形成面に反射層を形成できるので、蒸着装置のような高価な装置を使用せずに、安価に反射層を形成することができる。
さらに、本発明の層形成装置を用いれば、例えば、画像光を反射する反射層が第1面に形成された反射型のスクリーンを製造することができる。このようなスクリーンを用いれば、投射された画像光を観察者側に適切に反射させることができ、スクリーンから近距離で画像光を投射することが可能となる。
さらに、本発明の層形成装置を用いれば、例えば、画像光を反射する反射層が第1面に形成された反射型のスクリーンを製造することができる。このようなスクリーンを用いれば、投射された画像光を観察者側に適切に反射させることができ、スクリーンから近距離で画像光を投射することが可能となる。
本発明の層形成装置では、前記移動装置は、前記支持部材を前記被形成面に沿って移動させることが好ましい。
本発明によれば、支持部材を被形成面に沿って移動可能な移動装置を設けたので、支持部材に支持されたノズルによって被形成面に沿って反射層を容易に形成することができる。また、移動装置によって支持部材を被形成面に沿って移動させることで、例えば、第2面には反射層を形成しないで、第1面にだけ反射層を形成することができる。第1面にのみ反射層が形成されたスクリーンを用いれば、当該第2面に入射した蛍光灯等の外光が第1面を介するなどして観察者側に反射することを防止することができるので、スクリーンに画像を高いコントラストで投影することができる。
本発明によれば、支持部材を被形成面に沿って移動可能な移動装置を設けたので、支持部材に支持されたノズルによって被形成面に沿って反射層を容易に形成することができる。また、移動装置によって支持部材を被形成面に沿って移動させることで、例えば、第2面には反射層を形成しないで、第1面にだけ反射層を形成することができる。第1面にのみ反射層が形成されたスクリーンを用いれば、当該第2面に入射した蛍光灯等の外光が第1面を介するなどして観察者側に反射することを防止することができるので、スクリーンに画像を高いコントラストで投影することができる。
本発明の層形成装置では、前記第1面および前記第2面は、前記被投影面を含む平面上で、かつ、当該被投影面の領域外の仮想点を中心とする同心円状に、当該同心円の直径方向に沿って交互に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、同心円状に反射層が形成されたスクリーンを用いれば、近接投射された画像光を観察者側に効率よく反射させることができ、画像を高輝度で映し出すことができる。
本発明によれば、同心円状に反射層が形成されたスクリーンを用いれば、近接投射された画像光を観察者側に効率よく反射させることができ、画像を高輝度で映し出すことができる。
本発明の層形成装置では、前記ノズルに対向配置され、前記支持部材により前記ノズルとともに支持される吸引装置を備えることが好ましい。
本発明によれば、吸引装置をノズルに対向配置させ、ノズルとともに支持部材に支持させたので、ノズルと一体で吸引装置を移動させながら、被形成面に付着しないでこの被形成面から飛散したスプレー材料を吸引することができ、スプレー材料の余剰分を除去することができる。従って、飛散したスプレー材料が被形成面ではない他方の面に付着することを防止できる。また、被形成面ではない他方の面への付着が生じない程度までスプレー材料のスプレー量を大きくすることで反射層の形成効率を高め、スクリーンの生産性を向上させることができる。
本発明によれば、吸引装置をノズルに対向配置させ、ノズルとともに支持部材に支持させたので、ノズルと一体で吸引装置を移動させながら、被形成面に付着しないでこの被形成面から飛散したスプレー材料を吸引することができ、スプレー材料の余剰分を除去することができる。従って、飛散したスプレー材料が被形成面ではない他方の面に付着することを防止できる。また、被形成面ではない他方の面への付着が生じない程度までスプレー材料のスプレー量を大きくすることで反射層の形成効率を高め、スクリーンの生産性を向上させることができる。
本発明の層形成装置では、前記被形成面は、前記所定方向の一方の端部から他方の端部に向かうに従って、当該被形成面と前記被投影面との傾斜角が大きくなるように形成され、前記支持部材は、前記傾斜角に応じて前記被形成面に対する角度を調整自在に、前記ノズルを支持することが好ましい。
本発明によれば、被形成面に対するノズルのスプレー方向を傾斜角に応じて可変としたので、傾斜角が変化するように被形成面が形成されている場合に、反射層をむらなく形成することができる。また、例えば、傾斜角が画像光の光源に近い側から遠い側に向かって大きくなるように形成された被形成面に反射層が形成されたスクリーンを用いれば、近接投影された画像光が反射層によって観察者側に一層効率良く反射されるので、画像を一層高輝度で映し出すことができる。
本発明によれば、被形成面に対するノズルのスプレー方向を傾斜角に応じて可変としたので、傾斜角が変化するように被形成面が形成されている場合に、反射層をむらなく形成することができる。また、例えば、傾斜角が画像光の光源に近い側から遠い側に向かって大きくなるように形成された被形成面に反射層が形成されたスクリーンを用いれば、近接投影された画像光が反射層によって観察者側に一層効率良く反射されるので、画像を一層高輝度で映し出すことができる。
本発明の層形成装置では、前記スクリーン素材を複数の領域に区分し、当該領域ごとに、前記移動装置を動作させる制御装置を備えることが好ましい。
本発明によれば、被投影面が部分的にノズルの移動可能範囲から外れる場合であっても、ノズルの移動可能範囲内となるように被投影面を複数の領域に区分して、この領域毎に反射層を形成するので、反射層を確実に形成できる。このようにすれば、比較的大きいサイズのスクリーンに対して、ノズルの移動範囲を拡張させる必要がなく、装置のコンパクト化を図ることができる。
本発明によれば、被投影面が部分的にノズルの移動可能範囲から外れる場合であっても、ノズルの移動可能範囲内となるように被投影面を複数の領域に区分して、この領域毎に反射層を形成するので、反射層を確実に形成できる。このようにすれば、比較的大きいサイズのスクリーンに対して、ノズルの移動範囲を拡張させる必要がなく、装置のコンパクト化を図ることができる。
[1.第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[スプレー塗布装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係るスプレー塗布装置1の側面図であり、図2は、スプレー塗布装置1の平面図である。
スプレー塗布装置1は、高輝度スクリーン(以下、「スクリーン」と略す場合がある)の素材である布状のスクリーン素材に対してスプレー材料をスプレーして、例えば、主にアルミニウムからなる金属層である反射層をスクリーン素材の被投影面に形成する層形成装置である。このスプレー塗布装置1は、図1および図2に示すように、装置本体2、スクリーン素材11が載置される載置台3、スプレー材料をスクリーン素材11に向かってスプレー可能なスプレー部4、このスプレー部4を被投影面12に沿って移動させる移動装置としての多関節アーム装置5と、制御装置7(図4参照)とを備える。
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[スプレー塗布装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係るスプレー塗布装置1の側面図であり、図2は、スプレー塗布装置1の平面図である。
スプレー塗布装置1は、高輝度スクリーン(以下、「スクリーン」と略す場合がある)の素材である布状のスクリーン素材に対してスプレー材料をスプレーして、例えば、主にアルミニウムからなる金属層である反射層をスクリーン素材の被投影面に形成する層形成装置である。このスプレー塗布装置1は、図1および図2に示すように、装置本体2、スクリーン素材11が載置される載置台3、スプレー材料をスクリーン素材11に向かってスプレー可能なスプレー部4、このスプレー部4を被投影面12に沿って移動させる移動装置としての多関節アーム装置5と、制御装置7(図4参照)とを備える。
装置本体2は、載置台3を支持する略直方体形の下部支持構造21、および、多関節アーム装置5を支持する門型の上部支持構造22を有する。上部支持構造22は、下部支持構造21の上面に立設された一対のコ字状フレーム23と、この一対のコ字状フレーム23に架け渡されたビーム24とを有する。ビーム24の中央には多関節アーム装置5が垂下されている。
載置台3は、長方形の平板からなり、この上面にスクリーン素材11を載置することにより被投影面12を略平坦な状態で支持する。載置台3の上面の面積は、被投影面12の全面を載置可能な大きさとする必要はなく、スクリーン素材11を移動させずに1回のスプレー工程でスプレーされる範囲を少なくとも載置できる大きさであればよい。この載置台3には、スクリーン素材11を加熱するためのシート状のヒータ(不図示)が配置され、スプレーされたスプレー材料の速乾性および付着性を高めている。
載置台3は、長方形の平板からなり、この上面にスクリーン素材11を載置することにより被投影面12を略平坦な状態で支持する。載置台3の上面の面積は、被投影面12の全面を載置可能な大きさとする必要はなく、スクリーン素材11を移動させずに1回のスプレー工程でスプレーされる範囲を少なくとも載置できる大きさであればよい。この載置台3には、スクリーン素材11を加熱するためのシート状のヒータ(不図示)が配置され、スプレーされたスプレー材料の速乾性および付着性を高めている。
多関節アーム装置5は、各アームが関節に相当する鉛直な旋回軸を中心に旋回する水平多関節型ロボットであり、多関節アーム装置5は、ベース54と、第1アーム51と、第2アーム52と、旋回直動ロッド55とを備える。
ベース54は、ビーム24下面の連結部53に連結され、第1アーム旋回装置としての第1サーボモータ56を内蔵している。
第1アーム51は、ベース54の下端部に、ベース54の中心軸である第1旋回軸P1周りに旋回可能に取り付けられている。具体的には、第1アーム51は、第1サーボモータ56の駆動軸に取り付けられ、第1サーボモータ56の回転によって旋回される。
ベース54は、ビーム24下面の連結部53に連結され、第1アーム旋回装置としての第1サーボモータ56を内蔵している。
第1アーム51は、ベース54の下端部に、ベース54の中心軸である第1旋回軸P1周りに旋回可能に取り付けられている。具体的には、第1アーム51は、第1サーボモータ56の駆動軸に取り付けられ、第1サーボモータ56の回転によって旋回される。
第2アーム52は、第1アーム51の先端部に、第1旋回軸P1と平行な第2旋回軸P2周りに旋回可能に支持されている。また、第2アーム52は、第2アーム旋回装置である第2サーボモータ57を内蔵し、この第2サーボモータ57の回転力によって旋回するようになっている。
旋回直動ロッド55は、第2アーム52の先端部に、第2旋回軸P2と平行な第3旋回軸P3周りに回転自在に取り付けられ、かつ、この第3旋回軸P3に沿って上下動可能に支持されている。具体的には、第2アーム52は、ノズル旋回装置である第3サーボモータ58が内蔵され、この第3サーボモータ58の駆動力によって旋回直動ロッド55が回転され、スプレー部が第3旋回軸P3周りに旋回されるようになっている。この旋回直動ロッド55の下端部には、スプレー部4が取り付けられている。
また、第2アーム52の先端部には、ノズル昇降装置としての直動アクチュエータ59が、第3旋回軸P3上に設けられ、旋回直動ロッド55を上下動させて、スプレー部4に設けられたノズル本体41とスクリーン素材11との隙間を調整する。また、直動アクチュエータ59が、旋回直動ロッド55を上限まで移動させることで、ノズル本体41と載置台3との間隔を広げ、スクリーン素材11を載置台に載置する作業を容易にする。
旋回直動ロッド55は、第2アーム52の先端部に、第2旋回軸P2と平行な第3旋回軸P3周りに回転自在に取り付けられ、かつ、この第3旋回軸P3に沿って上下動可能に支持されている。具体的には、第2アーム52は、ノズル旋回装置である第3サーボモータ58が内蔵され、この第3サーボモータ58の駆動力によって旋回直動ロッド55が回転され、スプレー部が第3旋回軸P3周りに旋回されるようになっている。この旋回直動ロッド55の下端部には、スプレー部4が取り付けられている。
また、第2アーム52の先端部には、ノズル昇降装置としての直動アクチュエータ59が、第3旋回軸P3上に設けられ、旋回直動ロッド55を上下動させて、スプレー部4に設けられたノズル本体41とスクリーン素材11との隙間を調整する。また、直動アクチュエータ59が、旋回直動ロッド55を上限まで移動させることで、ノズル本体41と載置台3との間隔を広げ、スクリーン素材11を載置台に載置する作業を容易にする。
[スプレー部の構成]
図3は、図1の旋回直動ロッド55の先端部を拡大して、スプレー部4およびこのスプレー部4に支持された吸引装置6を示す側面図である。
スプレー部4は、ノズル本体のスプレー方向を調整可能なノズル傾斜角調整機能を備える。すなわち、スプレー部4は、把持具43に連結されたノズル傾斜装置44と、ノズル傾斜装置44に支持されスプレー方向N1に向けられたノズル本体41と、内部にスプレー材料を充填する容器45とを有する。ノズル本体41は、容器45内のスプレー材料をスプレーして反射層を形成するもので、本発明のノズルに相当する。
図3は、図1の旋回直動ロッド55の先端部を拡大して、スプレー部4およびこのスプレー部4に支持された吸引装置6を示す側面図である。
スプレー部4は、ノズル本体のスプレー方向を調整可能なノズル傾斜角調整機能を備える。すなわち、スプレー部4は、把持具43に連結されたノズル傾斜装置44と、ノズル傾斜装置44に支持されスプレー方向N1に向けられたノズル本体41と、内部にスプレー材料を充填する容器45とを有する。ノズル本体41は、容器45内のスプレー材料をスプレーして反射層を形成するもので、本発明のノズルに相当する。
ノズル傾斜装置44は、ノズル本体41のスプレー方向N1を変化させる装置であり、本発明の支持部材に相当する。ノズル傾斜装置44は、旋回直動ロッド55の下端部に着脱自在に連結された把持具43と、下面に所定の曲率の凹面444が形成された固定部441と、凹面444と同じ曲率の凸面445を有する可動部442と、固定部441に対して可動部442を回動させる傾斜用サーボモータ(図中、一点鎖線で示す)443とを備える。固定部441は、凹面444を凸面445に沿って摺動させることで、可動部442を曲率半径R1の中心点C1周りに回動可能に支持している。なお、中心点C1は、第3旋回軸P3上に設定されている。
可動部442には、可動側金具446が固定されている。また、ノズル本体41には、可動側金具446にねじ止めされたノズル側金具447が取り付けられている。ノズル側金具447のねじ孔448が、スプレー方向N1に沿った長孔に形成されているため、ノズル本体41をスプレー方向N1に移動可能とし、噴霧口42からスプレー方向N1に配置されるスクリーン素材11の傾斜面14までの間隔(スプレー距離)を調整可能としている。
スプレー方向N1は、傾斜用サーボモータ443による可動部442の回動に応じて変化する。すなわち、被投影面12の基準となる面をスクリーンの基準面17とした際に、基準面17の法線18とスプレー方向N1とがなす角度(以降、ノズル傾斜角度と呼ぶ)θNが変化して、ノズル本体41が被投影面12に対して傾斜する。また、ノズル本体41は、そのスプレー方向N1を中心点C1に向けて支持されているため、可動部442の姿勢に関わらず、常に中心点C1を向いて傾斜するようになっている。このような構成によって、ノズル傾斜装置44は、後述するスクリーン素材11表面の傾斜面に反射層を形成する際に、傾斜面の傾斜角に応じてノズル傾斜角度θNを調整可能にノズル本体41を支持するようになっている。
吸引装置6は、スプレーされたスプレー材料Mの余剰分を吸引する装置であり、固定部441に取り付けられた吸引ダクト61と、吸引ダクト61に接続される図示しない真空ポンプとを有する。吸引ダクト61は、第3旋回軸P3と平行に延設され、その下端部に、ノズル本体41の噴霧口42に対向して開口された吸引口62を有する。このように吸引装置6は、ノズル本体41とともにノズル傾斜装置44に支持され、多関節アーム装置5によりノズル本体41と一体で移動可能に支持されている。
[スクリーン素材の構成]
ここで、本実施形態のスプレー対象であるスクリーン素材11の断面形状について説明する。スクリーン素材11の断面は、図3に示すように、複数の突条部13によって鋸歯状に形成され、スクリーンの基準面17に対して傾斜する傾斜面14、および、基準面17に直交する直交面15を交互に連続配置した形状となっている。すなわち、傾斜面14および直交面15は、被投影面12に互いに交差して所定方向に沿って交互に形成されており、本発明の第1面および第2面に相当する。なお、直交面15と基準面17とがなす第2傾斜角θ2は、本実施形態では90°としたが、これに限らず、少なくとも傾斜面14と基準面17とがなす第1傾斜角θ1よりも大きく設定されていればよい。
傾斜面14および直交面15は、詳細な形状を後述する図6(A),(B)にも示すが、被投影面12の全面に形成されており、かつ、仮想点C2(図6参照)を中心とする同心円状に当該同心円の直径方向に沿って交互に形成されている。この仮想点C2は、被投影面12を含む平面上、かつ、被投影面12の領域外に設定された設計上の点である。また、傾斜面14については、仮想点C2から遠ざかる方向に一方の端部から他方の端部に向かうに従って、第1傾斜角θ1が所定の比率で大きくなるように形成されている。
そして、傾斜面14および直交面15のいずれか一方の面が反射層16の被形成面とされる。本実施形態では、傾斜面14を被形成面とし、傾斜面14に反射層16が形成され、いずれか他方の面である直交面15には反射層16が形成されないようになっている。
ここで、本実施形態のスプレー対象であるスクリーン素材11の断面形状について説明する。スクリーン素材11の断面は、図3に示すように、複数の突条部13によって鋸歯状に形成され、スクリーンの基準面17に対して傾斜する傾斜面14、および、基準面17に直交する直交面15を交互に連続配置した形状となっている。すなわち、傾斜面14および直交面15は、被投影面12に互いに交差して所定方向に沿って交互に形成されており、本発明の第1面および第2面に相当する。なお、直交面15と基準面17とがなす第2傾斜角θ2は、本実施形態では90°としたが、これに限らず、少なくとも傾斜面14と基準面17とがなす第1傾斜角θ1よりも大きく設定されていればよい。
傾斜面14および直交面15は、詳細な形状を後述する図6(A),(B)にも示すが、被投影面12の全面に形成されており、かつ、仮想点C2(図6参照)を中心とする同心円状に当該同心円の直径方向に沿って交互に形成されている。この仮想点C2は、被投影面12を含む平面上、かつ、被投影面12の領域外に設定された設計上の点である。また、傾斜面14については、仮想点C2から遠ざかる方向に一方の端部から他方の端部に向かうに従って、第1傾斜角θ1が所定の比率で大きくなるように形成されている。
そして、傾斜面14および直交面15のいずれか一方の面が反射層16の被形成面とされる。本実施形態では、傾斜面14を被形成面とし、傾斜面14に反射層16が形成され、いずれか他方の面である直交面15には反射層16が形成されないようになっている。
このようなスクリーン素材11に対するノズル傾斜角度θNの設定範囲について説明する。ノズル本体41は、傾斜面14に対向して配置される。ノズル傾斜角度θNは、噴霧口42が傾斜面14に対向するような角度に設定されており、具体的には、90°から第2傾斜角θ2を引いた角度(90°−θ2)を超え、かつ、90°未満(90°−θ2<θN<90°)の範囲内で設定されている。
スプレーされたスプレー材料Mは、スプレー方向N1に対して、所定の広がり角度(以降、ノズル本体41のスプレー角度と呼ぶ)θAで拡散してスプレーされる。このため、ノズル傾斜角度θNからスプレー角度θAの半分の角度を引いた角度(θN−θA/2)が、90°から第2傾斜角θ2を引いた角度(90°−θ2)を超え、かつ、90°未満(90°−θ2<θN−θA/2<90°)の範囲内で設定された方がより好ましい。
スプレーされたスプレー材料Mは、スプレー方向N1に対して、所定の広がり角度(以降、ノズル本体41のスプレー角度と呼ぶ)θAで拡散してスプレーされる。このため、ノズル傾斜角度θNからスプレー角度θAの半分の角度を引いた角度(θN−θA/2)が、90°から第2傾斜角θ2を引いた角度(90°−θ2)を超え、かつ、90°未満(90°−θ2<θN−θA/2<90°)の範囲内で設定された方がより好ましい。
以上のように、ノズル本体41は、多関節アーム装置5によって、その噴霧口42を傾斜面14に向けた姿勢で支持された状態で、突条部13の傾斜面14の同心円の円弧に沿った方向(図3では紙面に対する直交方向)に移動される。そして、ノズル傾斜装置44によって、そのノズル傾斜角度θNを上記の角度範囲内で第1傾斜角θ1に応じて可変に設けられている。
[制御装置の構成]
図4は、スプレー塗布装置1の制御装置7の構成を説明するブロック図である。
制御装置7は、多関節アーム装置5、スプレー部4および吸引装置6の駆動を制御するもので、主制御手段70と、スクリーン素材11の形状データを主制御手段70に入力する入力手段71と、その形状データを記憶する記憶手段72と、主制御手段70によって統括制御されるノズル移動制御手段73、ノズル傾斜角制御手段74、スプレー制御手段75および吸引制御手段76とを有する。
図4は、スプレー塗布装置1の制御装置7の構成を説明するブロック図である。
制御装置7は、多関節アーム装置5、スプレー部4および吸引装置6の駆動を制御するもので、主制御手段70と、スクリーン素材11の形状データを主制御手段70に入力する入力手段71と、その形状データを記憶する記憶手段72と、主制御手段70によって統括制御されるノズル移動制御手段73、ノズル傾斜角制御手段74、スプレー制御手段75および吸引制御手段76とを有する。
ノズル移動制御手段73は、形状データに基づいて、多関節アーム装置5(第1〜第3サーボモータ56〜58、直動アクチュエータ59)を制御し、同様に、ノズル傾斜角制御手段74は、ノズル傾斜装置44(傾斜用サーボモータ443)を制御する。
スプレー制御手段75は、スクリーン素材11に対するノズル本体41の位置に応じて、ノズル本体41のスプレー動作の始動、停止を制御し、吸引制御手段76は、スプレー制御手段75に連動して吸引装置6(真空ポンプ)の吸引動作の始動、停止を制御する。
スプレー制御手段75は、スクリーン素材11に対するノズル本体41の位置に応じて、ノズル本体41のスプレー動作の始動、停止を制御し、吸引制御手段76は、スプレー制御手段75に連動して吸引装置6(真空ポンプ)の吸引動作の始動、停止を制御する。
[スプレー塗布装置の動作]
まず、スプレー方向N1(ノズル傾斜角度θN)の調整方法について説明する。
図5は、傾斜面14の第1傾斜角θ1に応じてノズル傾斜角度θN(スプレー方向N1)を変化させた状態を示す側面図である。
ノズル傾斜角制御手段74(図4参照)は、記憶手段72の形状データを参照して第1傾斜角θ1に対応するノズル傾斜角度θNを演算し、ノズル傾斜装置44を駆動させて、ノズル本体41のスプレー方向N1を調整する。そして、ノズル傾斜角制御手段74は、図5に示すように、傾斜面14の第1傾斜角θ1に応じてノズル傾斜角度θNを調整する。
まず、スプレー方向N1(ノズル傾斜角度θN)の調整方法について説明する。
図5は、傾斜面14の第1傾斜角θ1に応じてノズル傾斜角度θN(スプレー方向N1)を変化させた状態を示す側面図である。
ノズル傾斜角制御手段74(図4参照)は、記憶手段72の形状データを参照して第1傾斜角θ1に対応するノズル傾斜角度θNを演算し、ノズル傾斜装置44を駆動させて、ノズル本体41のスプレー方向N1を調整する。そして、ノズル傾斜角制御手段74は、図5に示すように、傾斜面14の第1傾斜角θ1に応じてノズル傾斜角度θNを調整する。
次に、ノズル本体41を同心円状の傾斜面14に沿って移動させて、被投影面12に反射層を形成する方法について、図6に基づいて、説明する。
図6(A),(B)は、60インチ型のスクリーン素材11Aに反射層を形成する方法を説明する概念図である。
このスクリーン素材11Aに対して、第2アーム52の先端部に支持されたノズル本体を同心円に沿って移動させる際には、ノズル移動制御手段73(図4参照)が、記憶手段72の形状データから必要な情報(スクリーン素材11の縦横寸法、仮想点C2の座標、同心円の半径寸法Rなど)を参照して、同心円に沿ったノズル本体の位置座標を演算し、多関節アーム装置5を駆動させる。
図6(A),(B)は、60インチ型のスクリーン素材11Aに反射層を形成する方法を説明する概念図である。
このスクリーン素材11Aに対して、第2アーム52の先端部に支持されたノズル本体を同心円に沿って移動させる際には、ノズル移動制御手段73(図4参照)が、記憶手段72の形状データから必要な情報(スクリーン素材11の縦横寸法、仮想点C2の座標、同心円の半径寸法Rなど)を参照して、同心円に沿ったノズル本体の位置座標を演算し、多関節アーム装置5を駆動させる。
また、被投影面12に反射層を形成する際には、例えば、図6(A),(B)にて被投影面12を2領域に区分しているように、スクリーン素材11の大きさに応じて被投影面を複数の領域に区分し、区分された領域毎に多関節アーム装置5を動作させて反射層を形成する。
図6(A)は、仮想点C2に近い側の領域A内をスプレーする場合を示し、図6(B)は、仮想点C2から遠い側の領域B内をスプレーする場合を示す。
外側境界線N2および内側境界線N3で囲まれた領域は、ノズル本体の移動可能範囲を示している。スクリーン素材11を載置台3に載置させた際に、被投影面12の全体が移動可能範囲に入らず、被投影面12が部分的にノズルの移動範囲から外れる場合には、ノズル本体の移動範囲内となるように被投影面12を区分線121で2つの領域A,Bに区分して、領域A,B毎に反射層を形成すればよい。
各領域A,Bをスプレーする際には、仮想点C2に近い側から遠ざかる方向に、1つの傾斜面14ずつスプレーする。例えば、内側からn番目の傾斜面14をスプレーする際には、ノズル本体をその同心円に沿って移動させながらスプレーすればよい。この際、多関節アーム装置の第1アーム51および第2アーム52を適宜旋回させて、第3旋回軸P3を円弧状の傾斜面14上に位置させる。また、スプレー方向N1(図5)が常に仮想点C2から同心円の外側を向くようにするために、ノズルを第3旋回軸P3回りに適宜回転させればよい。
なお、スクリーン素材11を図6(A)に示す位置から図6(B)に示す位置まで移動させる方法は、作業員による手作業でもよく、駆動装置を有して面内方向に移動可能な載置台を用いて、自動で移動させるようにしてもよい。
以上のようにして、スプレー材料による反射層16(図3参照)を傾斜面14に形成することができる。
図6(A)は、仮想点C2に近い側の領域A内をスプレーする場合を示し、図6(B)は、仮想点C2から遠い側の領域B内をスプレーする場合を示す。
外側境界線N2および内側境界線N3で囲まれた領域は、ノズル本体の移動可能範囲を示している。スクリーン素材11を載置台3に載置させた際に、被投影面12の全体が移動可能範囲に入らず、被投影面12が部分的にノズルの移動範囲から外れる場合には、ノズル本体の移動範囲内となるように被投影面12を区分線121で2つの領域A,Bに区分して、領域A,B毎に反射層を形成すればよい。
各領域A,Bをスプレーする際には、仮想点C2に近い側から遠ざかる方向に、1つの傾斜面14ずつスプレーする。例えば、内側からn番目の傾斜面14をスプレーする際には、ノズル本体をその同心円に沿って移動させながらスプレーすればよい。この際、多関節アーム装置の第1アーム51および第2アーム52を適宜旋回させて、第3旋回軸P3を円弧状の傾斜面14上に位置させる。また、スプレー方向N1(図5)が常に仮想点C2から同心円の外側を向くようにするために、ノズルを第3旋回軸P3回りに適宜回転させればよい。
なお、スクリーン素材11を図6(A)に示す位置から図6(B)に示す位置まで移動させる方法は、作業員による手作業でもよく、駆動装置を有して面内方向に移動可能な載置台を用いて、自動で移動させるようにしてもよい。
以上のようにして、スプレー材料による反射層16(図3参照)を傾斜面14に形成することができる。
図7(A)〜(C)は、100インチ型のスクリーン素材11Bに反射層を形成する場合に、被投影面12を5つの領域A〜Eに区分して領域A〜E毎に反射層を形成する手順を説明する概念図である。なお、図7(A)〜(C)は、領域A〜Cに反射層を形成する場合を示している。
被投影面12は、外側境界線N2および内側境界線N3で囲まれたノズル本体の移動範囲内となるように、5つに区分される。すなわち、区分線121で囲まれた領域Aと、区分線121,122,123で囲まれた領域Bと、区分線122,123で囲まれた領域Cと、区分線122を対称軸に領域B,Cと線対称に設定される領域D、E(不図示)とに区分される。そして、領域A〜E毎に反射層を形成すればよい。
被投影面12は、外側境界線N2および内側境界線N3で囲まれたノズル本体の移動範囲内となるように、5つに区分される。すなわち、区分線121で囲まれた領域Aと、区分線121,122,123で囲まれた領域Bと、区分線122,123で囲まれた領域Cと、区分線122を対称軸に領域B,Cと線対称に設定される領域D、E(不図示)とに区分される。そして、領域A〜E毎に反射層を形成すればよい。
以上の本実施形態のスプレー塗布装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ノズル傾斜角度θNを、第2傾斜角θ2を用いて90°−θ2<θN<90°で表される角度範囲内に設定したので、第2傾斜角θ2が第1傾斜角θ1よりも大きく設定されていることから、スプレー材料が被投影面12に対して斜め方向からスプレーされ、スプレー材料が直交面15には直接当たらず、傾斜面14にのみ反射層16を形成することができる。従って、被投影面12に縞状の反射層16を効率よく形成できる。
(1)ノズル傾斜角度θNを、第2傾斜角θ2を用いて90°−θ2<θN<90°で表される角度範囲内に設定したので、第2傾斜角θ2が第1傾斜角θ1よりも大きく設定されていることから、スプレー材料が被投影面12に対して斜め方向からスプレーされ、スプレー材料が直交面15には直接当たらず、傾斜面14にのみ反射層16を形成することができる。従って、被投影面12に縞状の反射層16を効率よく形成できる。
さらに、このスプレー塗布装置1によって反射層16を形成したスクリーンを用いれば、直交面15に外光が入射しても傾斜面14や観察者に向かって反射するおそれがなく、画像のコントラストの低下を防止できる。
(2)特に、ノズル本体41を傾斜面14の同心円に沿って移動可能な多関節アーム装置5を設けたので、この同心円に沿った反射層16を容易に形成できる。従って、このスプレー塗布装置1によって同心円状の反射層16を形成したスクリーンを用いれば、近接投影された画像光が反射層16によって被投影面12に直交する方向に一層効率良く反射されるので、画像を一層高輝度で映し出すことができる。
(3)ノズル本体41に対向する吸引装置6を多関節アーム装置5に支持させて、この吸引装置6をノズル本体41と一体で移動するようにしたので、傾斜面14に付着しないで傾斜面14から飛散したスプレー材料が吸引装置6で除去される。従って、飛散したスプレー材料が直交面15に付着することを防止できるとともに、直交面15への付着が生じない程度までスプレー材料のスプレー量を大きくすることで反射層16の形成効率を高め、ひいてはスクリーンの生産性を向上させることができる。
(4)スプレー部4にノズル傾斜装置44を具備させて、スプレー方向N1を第1傾斜角θ1に応じて可変としたので、突条部13の並設方向に沿って第1傾斜角θ1が変化するように傾斜面14が形成されたスクリーンに対して、反射層16をむらなく形成することができる。
さらに、第1傾斜角θ1が画像光の光源に近い側から遠い側に向かって大きくなるように傾斜面14が形成されたスクリーンを生産することにより、近接投影された画像光が反射層16によって被投影面12に直交する方向に一層効率良く反射されるので、画像を一層高輝度で映し出すことができる。
(5)被投影面12が部分的にノズル本体41の移動範囲から外れる場合であっても、ノズル本体41の移動範囲内となるように被投影面12を複数の領域に区分して、この領域毎に反射層16を形成するので、反射層16を確実に形成できる。このようにすれば、比較的大きいサイズのスクリーンに対して、ノズル本体41の移動範囲を拡張させる必要がなく、装置のコンパクト化を図ることができる。
[2.第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るスプレー塗布装置1Aについて説明する。
本実施形態のスプレー塗布装置1Aは、前述のスプレー塗布装置1と同様の構成を備えるが、当該スプレー塗布装置1では、移動装置として多関節アーム装置5を備えていたのに対し、スプレー塗布装置1Aは、移動装置として片持梁型の伸縮アーム装置8を備える点において、スプレー塗布装置1Aとスプレー塗布装置1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態に係るスプレー塗布装置1Aについて説明する。
本実施形態のスプレー塗布装置1Aは、前述のスプレー塗布装置1と同様の構成を備えるが、当該スプレー塗布装置1では、移動装置として多関節アーム装置5を備えていたのに対し、スプレー塗布装置1Aは、移動装置として片持梁型の伸縮アーム装置8を備える点において、スプレー塗布装置1Aとスプレー塗布装置1とは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図8および図9は、スプレー塗布装置1Aを示す側面図および平面図である。
スプレー塗布装置1Aは、前述の下部支持構造21のみで構成された装置本体2Aと、装置本体2Aとは別置きで並設される伸縮アーム装置8とを備える。
伸縮アーム装置8は、ノズル本体41をスクリーン素材11の傾斜面に沿って移動させる移動装置であり、支持台83と、支持台83上に固定されたベース84と、片持梁部811を有する旋回ボディ81と、片持梁部811に沿って配置された伸縮アーム82と、伸縮アーム82に沿って移動する直動装置85とを備える。
ベース84上には、旋回ボディ81が、ベース84の中心軸である旋回軸P1周りに略180°の範囲で旋回可能に取り付けられている。旋回ボディ81の上端には、載置台3の上方を旋回する片持梁部811が一体形成されている。この片持梁部811には、当該片持梁部811と略同じ長さのレール装置812が片持ち方向に沿って支持されている。
スプレー塗布装置1Aは、前述の下部支持構造21のみで構成された装置本体2Aと、装置本体2Aとは別置きで並設される伸縮アーム装置8とを備える。
伸縮アーム装置8は、ノズル本体41をスクリーン素材11の傾斜面に沿って移動させる移動装置であり、支持台83と、支持台83上に固定されたベース84と、片持梁部811を有する旋回ボディ81と、片持梁部811に沿って配置された伸縮アーム82と、伸縮アーム82に沿って移動する直動装置85とを備える。
ベース84上には、旋回ボディ81が、ベース84の中心軸である旋回軸P1周りに略180°の範囲で旋回可能に取り付けられている。旋回ボディ81の上端には、載置台3の上方を旋回する片持梁部811が一体形成されている。この片持梁部811には、当該片持梁部811と略同じ長さのレール装置812が片持ち方向に沿って支持されている。
伸縮アーム82の基端部は、レール装置812に、その長手方向にスライド自在に支持されている。このため、伸縮アーム82の先端部は、片持梁部811の先端部から突出して片持ち方向に伸縮自在に移動することができる。
直動装置85は、伸縮アーム82に収納され、その長手方向に移動可能に支持されている。直動装置85は、下方に延設された鉛直ロッド851を有し、この鉛直ロッド851に把持具43を介して前述と同様のスプレー部4を垂下支持している。
従って、伸縮アーム82および直動装置85にて、ノズル本体41を片持ち方向に移動させて、ノズル本体41の旋回軸P1からの半径方向の位置を設定すれは、その状態で旋回ボディ81を旋回軸P1回りに旋回させることで、旋回軸P1を中心とする同心円状の反射層を被投影面12に形成することができる。
直動装置85は、伸縮アーム82に収納され、その長手方向に移動可能に支持されている。直動装置85は、下方に延設された鉛直ロッド851を有し、この鉛直ロッド851に把持具43を介して前述と同様のスプレー部4を垂下支持している。
従って、伸縮アーム82および直動装置85にて、ノズル本体41を片持ち方向に移動させて、ノズル本体41の旋回軸P1からの半径方向の位置を設定すれは、その状態で旋回ボディ81を旋回軸P1回りに旋回させることで、旋回軸P1を中心とする同心円状の反射層を被投影面12に形成することができる。
このような本実施形態によれば、前述の効果と略同様の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(6)ノズル本体41を片持ち方向にスライドさせる構成とし、伸縮アーム装置8の旋回部分を旋回ボディ81にのみ設けたので、前述の多関節アーム装置5に比べて、旋回部分を少なくすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
(7)旋回ボディ81を旋回軸P1周りに略180°旋回可能としたので、図9に示すように、片持梁部811を載置台3上でない位置に移動させることができ、スプレー部4とスクリーン素材11との干渉が生じにくくなり、スクリーン素材11を載置台3に載置または載置台3から取り除く作業の効率化を図ることができる。
(6)ノズル本体41を片持ち方向にスライドさせる構成とし、伸縮アーム装置8の旋回部分を旋回ボディ81にのみ設けたので、前述の多関節アーム装置5に比べて、旋回部分を少なくすることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
(7)旋回ボディ81を旋回軸P1周りに略180°旋回可能としたので、図9に示すように、片持梁部811を載置台3上でない位置に移動させることができ、スプレー部4とスクリーン素材11との干渉が生じにくくなり、スクリーン素材11を載置台3に載置または載置台3から取り除く作業の効率化を図ることができる。
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第1面としての傾斜面が同心円状に形成された場合を説明したが、本発明の層形成装置は、少なくとも互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の第1面に反射層を形成する際に、その効果を発揮できるので、第1面および第2面としては、同心円状のものに限らず、平行な縞状に形成されていてもよい。
また、前記実施形態では、第1面を傾斜面とし、第2面を直交面として説明したが、第1面および第2面については前記実施形態の傾斜面および直行面に限られるものではない。また、第1面を被形成面として第1面に反射層を形成し、第2面には反射層を形成しない場合を説明したが、これに限られず、第2面に反射層を形成し、第1面には反射層を形成しない場合であってもよい。
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第1面としての傾斜面が同心円状に形成された場合を説明したが、本発明の層形成装置は、少なくとも互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の第1面に反射層を形成する際に、その効果を発揮できるので、第1面および第2面としては、同心円状のものに限らず、平行な縞状に形成されていてもよい。
また、前記実施形態では、第1面を傾斜面とし、第2面を直交面として説明したが、第1面および第2面については前記実施形態の傾斜面および直行面に限られるものではない。また、第1面を被形成面として第1面に反射層を形成し、第2面には反射層を形成しない場合を説明したが、これに限られず、第2面に反射層を形成し、第1面には反射層を形成しない場合であってもよい。
また、前記実施形態では、支持部材としてノズル傾斜装置の場合について説明したが、支持部材としてはノズル本体を傾斜させる機能を有するものに限られず、少なくともノズル本体を支持できるものであればよい。
また、本発明の層形成装置としては、前記実施形態のような吸引装置を備えていないものも含まれる。
前記実施形態では、第1面の傾斜角が大きくなるように形成されたスクリーン素材について説明したが、傾斜角が一定の第1面を有するスクリーン素材であってもよい。
また、前記実施形態では、スクリーン素材を水平に支持して反射層を形成する場合について説明したが、スクリーン素材を垂直に支持させた状態、あるいは水平面に対して傾斜させた状態で、反射層を形成することも可能である。
なお、前記実施形態では、反射層を形成する場合の説明をしたが、本発明の層形成装置は、スクリーン素材の第1面に、例えば、表面を保護する保護層や、色彩を付する目的でコーティングされる層など、各種の層を形成する場合に適用できる。
また、本発明の層形成装置としては、前記実施形態のような吸引装置を備えていないものも含まれる。
前記実施形態では、第1面の傾斜角が大きくなるように形成されたスクリーン素材について説明したが、傾斜角が一定の第1面を有するスクリーン素材であってもよい。
また、前記実施形態では、スクリーン素材を水平に支持して反射層を形成する場合について説明したが、スクリーン素材を垂直に支持させた状態、あるいは水平面に対して傾斜させた状態で、反射層を形成することも可能である。
なお、前記実施形態では、反射層を形成する場合の説明をしたが、本発明の層形成装置は、スクリーン素材の第1面に、例えば、表面を保護する保護層や、色彩を付する目的でコーティングされる層など、各種の層を形成する場合に適用できる。
本発明は、スクリーンに反射層を形成する層形成装置に利用できる。
1,1A…スプレー塗布装置(層形成装置)、3…載置台、5…多関節アーム装置(移動装置)、6…吸引装置、7…制御装置、8…伸縮アーム装置(移動装置)、11,11A…スクリーン素材、12…被投影面、14…傾斜面(第1面)、15…直交面(第2面)、16…反射層、41…ノズル本体(ノズル)、44…ノズル傾斜装置(支持部材)、θ1…第1傾斜角、A〜C…領域、C2…仮想点。
Claims (6)
- 互いに交差する第1面および第2面が所定方向に沿って交互に形成された被投影面を有するスクリーン素材の前記第1面および前記第2面のいずれか一方の面を被形成面とし、当該被形成面に反射層を形成する層形成装置であって、
前記被投影面が略平坦な状態となるように前記スクリーン素材を載置する載置台と、
前記反射層を形成するスプレー材料をスプレーするノズルと、
前記ノズルによるスプレー方向を前記被投影面に対して傾斜させ、かつ、前記被形成面に対向する姿勢で前記ノズルを支持する支持部材と、
前記支持部材を前記被投影面に沿って移動させる移動装置と、を備えることを特徴とする層形成装置。 - 請求項1に記載の層形成装置において、
前記移動装置は、前記支持部材を前記被形成面に沿って移動させることを特徴とする層形成装置。 - 請求項2に記載の層形成装置において、
前記第1面および前記第2面は、前記被投影面を含む平面上で、かつ、当該被投影面の領域外の仮想点を中心とする同心円状に、当該同心円の直径方向に沿って交互に形成されていることを特徴とする層形成装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の層形成装置において、
前記ノズルに対向配置され、前記支持部材により前記ノズルとともに支持される吸引装置を備えることを特徴とする層形成装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の層形成装置において、
前記被形成面は、前記所定方向の一方の端部から他方の端部に向かうに従って、当該被形成面と前記被投影面との傾斜角が大きくなるように形成され、
前記支持部材は、前記傾斜角に応じて前記被形成面に対する角度を調整自在に、前記ノズルを支持することを特徴とする層形成装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の層形成装置において、
前記スクリーン素材を複数の領域に区分し、当該領域ごとに、前記移動装置を動作させる制御装置を備えることを特徴とする層形成装置。
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