JP2010085855A - 光学部材、それを用いた照明装置及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】輝度を向上でき、色分離も抑制できる光学部材を提供する。
【解決手段】光学シート1はエッジライト型のバックライトに利用可能である。光学シート1の主面10は、複数の柱状レンズ20を備える。各柱状レンズ20は、複数の尾根部30、40を含む。複数の尾根部30及び40は、第1の側縁ED1から第2の側縁ED2に向かって高い順に並設される。各柱状レンズ20内の複数の尾根部30及び40のうち、最も高い尾根部30の頂上は丸みを帯びている。
【選択図】図2
【解決手段】光学シート1はエッジライト型のバックライトに利用可能である。光学シート1の主面10は、複数の柱状レンズ20を備える。各柱状レンズ20は、複数の尾根部30、40を含む。複数の尾根部30及び40は、第1の側縁ED1から第2の側縁ED2に向かって高い順に並設される。各柱状レンズ20内の複数の尾根部30及び40のうち、最も高い尾根部30の頂上は丸みを帯びている。
【選択図】図2
Description
本発明は、光学部材に関し、さらに詳しくは、入射光を屈折して所定の方向に出射する光学部材、その光学部材を用いた照明装置及び表示装置に関する。
液晶ディスプレイに利用されるバックライトユニットに代表される照明装置は、光源からの光の進行方向を制御する。照明装置は、光源からの光の進行方向を所定の方向に変更して出射する光学部材を備える。
代表的な光学部材に特表平10−506500号公報に開示されるプリズムシートがある。プリズムシートは、互いに並設された複数の線状プリズムを有する主面を備える。主面と反対側の裏面から入射した光は、線状プリズムの傾斜面でプリズムシートの法線方向に屈折されて出射する。そのため、プリズムシートは正面輝度を向上できる。
しかしながら、プリズムシートをエッジライト型のバックライトユニットに適用する場合、所定のパターンで出射光の色が分離するという問題が生じる。所定のパターンで色が分離すると、見る角度によって色が異なって見えてしまう。また、プリズムシート1枚では、高い正面輝度を得ることが困難である。そこで、これらの問題を解決するために、従来のバックライトユニットは、互いの線状プリズムが直交するように上下に敷設された2枚のプリズムシートを備える。各プリズムシートの線状プリズムが直交するように2枚のプリズムシートが敷設されることで、色分離のパターン化を抑制でき、正面輝度も向上する。しかしながら、この場合、2枚のプリズムシートを利用しなければならない。
特表平10−506500号公報
本発明の目的は、輝度を向上でき、色分離も抑制できる光学部材を提供することである。
本発明による光学部材は、主面と、主面と反対側の裏面とを有する本体を備える。主面は、複数の柱状レンズを含む。各柱状レンズは、第1及び第2の側縁と、複数の尾根部とを含む。第1の側縁は柱状レンズの長手方向に延在する。第2の側縁は、第1の側縁と反対側に配設する。複数の尾根部は、第1の側縁から第2の側縁に向かって高い順に並設され、最も高い主尾根部と、主尾根部よりも低い1又は複数のサブ尾根部とを含む。主尾根部の頂上は丸みを帯びている、又は、面取りされている。
本発明の光学部材では、光学部材の法線よりも第2の側縁側に傾いて裏面に入射された光がサブ尾根部で屈折して出射するとき、色分離の発生が抑制される。また、主尾根部及びサブ尾根部により輝度が向上する。さらに、主尾根部の頂上は丸みを帯びているか、面取りされているため、製造時及び搬送時に柱状レンズの頂上である主尾根部の頂上が破損したり、損傷したりするのを抑制できる。
好ましくは、サブ尾根部は、第1及び第2の傾斜面を含む。第1の傾斜面は、第1の側縁側に配設される。第2の傾斜面は第2の側縁側に配設される。裏面に入射した光のうち、当該光の輝度特性において輝度が最大となる方向に進行する輝度ピーク光線が第1の傾斜面で屈折して外部に出射する方向が、輝度ピーク光線が第2の傾斜面で屈折して外部に出射する方向と交差するように、第1及び第2の傾斜面が配設される。
この場合、色分離をより抑制でき、正面輝度を向上できる。
本発明による光学部材は、主面と、主面と反対側の裏面とを有する本体を備える。主面は、複数の柱状レンズを含む。各柱状レンズは、第1及び第2の側縁と、複数の尾根部とを備える。第1の側縁は、柱状レンズの長手方向に延在する。第2の側縁は、第1の側縁と反対側に配設される。複数の尾根部は、第1の側縁から第2の側縁に向かって高い順に並設される。各尾根部は、第1及び第2の傾斜面を含む。第1の傾斜面は、第1の側縁側に配設される。第2の傾斜面は、第2の側縁側に配設される。複数の尾根部は、最も高い主尾根部と、主尾根部よりも低い1又は複数のサブ尾根部とを含む。主尾根部の第1の傾斜面の横断形状は、凸状又は凹状に曲がっている。
本発明の光学部材では、光学部材の法線よりも第2の側縁に傾いて裏面に入射された光がサブ尾根部で屈折して出射するとき、色分離の発生が抑制される。
好ましくは、各サブ尾根部では、裏面に入射した光のうち、当該光の輝度特性において輝度が最大となる方向に進行する輝度ピーク光線が第1の傾斜面で屈折して外部に出射する方向が、輝度ピーク光線が第2の傾斜面で屈折して外部に出射する方向と交差するように、第1及び第2の傾斜面が配設される。
この場合、色分離をより抑制でき、正面輝度を向上できる。
本発明による照明装置は、光源と、上述の光学部材と、光源からの光を受け、輝度ピーク光線を含む光を光学部材の裏面に出射する導光板とを備える。また、本発明による表示装置は、上述の照明装置に液晶パネルを備える。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[表示装置及び照明装置]
図1を参照して、本発明の実施の形態による表示装置100は、液晶パネル7と、照明装置であるバックライトユニット6とを備える。液晶パネル7は、バックライトユニット6上に敷設される。
図1を参照して、本発明の実施の形態による表示装置100は、液晶パネル7と、照明装置であるバックライトユニット6とを備える。液晶パネル7は、バックライトユニット6上に敷設される。
液晶パネル7は、従来の表示装置で用いられている公知の液晶パネルと同じ構造を有する。具体的には、液晶パネル7は、偏光板、ガラス基板、画素電極を成す透明導電膜、配向膜、液晶層、配向膜、対抗電極を成す透明導電膜、カラーフィルター、ガラス基板、及び、偏光板をこの順で積層した構造を有する。
バックライトユニット6は、いわゆるエッジライト型の照明装置であり、光源2と、導光板3と、反射シート4と、本実施の形態による光学部材である光学シート1と、拡散シート5とを備える。
光源2は、導光板3の側面に配設される。光源2はたとえば冷陰極管(Cold Cathode Fluorescent Lamp)やLED(Light Emitting Diode)である。光源2は可視光帯域の光を出射する。導光板3は、光源2から出射された光(光束)を光学シート1に導く。具体的には、光源2から出射した光50は、導光板3の側面から入射する。そして、導光板3の内部を進行して出射面3aから出射する。ここで、出射光51の輝度特性は、出射面3aの法線N3から光源2と反対側に所定角度A51(°)傾斜した方向に輝度のピークを有する。出射光51のうち、輝度のピーク方向に進行する光成分、つまり、法線N3から角度A51傾斜して出射する光成分を輝度ピーク光線という。ここで、所定角度A51は、たとえば、60°〜85°の範囲である。導光板3はたとえば、ポリカーボネートで形成される。
反射シート4は、導光板3の出射面3aと反対側に配設される。反射シート4は、導光板3の出射面3aと反対側の面から外部に出射しようとする光を反射して、導光板3内部に戻す。これにより、光源2からの出射光の利用効率が向上する。反射シート4はたとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、その表面に蒸着された銀皮膜とからなる。
拡散シート5は、光学シート1と液晶パネル7との間に敷設される。拡散シート5は、たとえば、PETフィルムに代表される樹脂フィルムにビーズコーティングを施したものである。なお、本実施の形態において、反射シート4及び拡散シート5はなくても本願発明の効果を奏することができる。また、光学シート1以外の他の構成は公知のものである。
[光学シート]
図1〜図4を参照して、光学シート1は、導光板3上に敷設される。光学シート1は、シート状またはフィルム状の本体を有する。その本体は、構造化された主面10と、主面10と反対側の裏面11とを有する。裏面11は、導光板3の出射面3aと対向する。裏面11は平面であるのが好ましいが、凹凸を有する構造化された面であってもよい。主面10は、複数の柱状レンズ20を含む。各柱状レンズ20は所定の方向に延在し、互いに並設されている。つまり、各柱状レンズ20の長手方向は並行である。
図1〜図4を参照して、光学シート1は、導光板3上に敷設される。光学シート1は、シート状またはフィルム状の本体を有する。その本体は、構造化された主面10と、主面10と反対側の裏面11とを有する。裏面11は、導光板3の出射面3aと対向する。裏面11は平面であるのが好ましいが、凹凸を有する構造化された面であってもよい。主面10は、複数の柱状レンズ20を含む。各柱状レンズ20は所定の方向に延在し、互いに並設されている。つまり、各柱状レンズ20の長手方向は並行である。
光学シート1の本体は、図3に示すように、裏面11を有する基材部12と、基材部12上に形成され、主面10を有するレンズ部13とで構成されてもよいし、図4に示すように基材部12のみで構成されてもよい。
図3に示すように光学シート1の本体が基材部12及びレンズ部13で構成される場合、光学シート1の加工の容易性及びハンドリング性等を考慮すると、基材部12の厚さは10〜500μmの範囲が好ましい。基材部12の材料は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ガラスなどの無機透明物質等の任意の光透過性材料である。
レンズ部13の材料は、紫外線や電子線に代表される電離放射線で硬化する電離放射線硬化樹脂が好ましい。電離放射線硬化樹脂は、たとえば、ポリエステル系アクリレート樹脂、ウレタン系アクリレート樹脂、ポリエーテル系アクリレート樹脂、エポキシ系アクリレート樹脂、ポリエステル系メタクリレート樹脂、ウレタン系メタクリレート樹脂、ポリエーテル系メタクリレート樹脂、エポキシ系メタクリレート樹脂である。より好ましくは、芳香族系アクリレートの紫外線硬化型樹脂(屈折率1.60)である。また、レンズ部13を形成可能な他の材料として、屈折率1.3〜1.9の任意の樹脂材料が利用可能である。また、上述した樹脂以外の他のアクリル樹脂やウレタン樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂などの透明プラスチック樹脂を用いてもよい。また、レンズ部13は、基材部12と同じ材料で構成されてもよい。
図4に示すように光学シート1の本体が基材部12のみからなる場合、基材部12の素材は上述のものであってもよいし、電離放射線硬化樹脂や他の透光性を有する樹脂材料であってもよい。
[柱状レンズ]
図2及び図3を参照して、各柱状レンズ20は、側縁ED1及びED2を含む。側縁ED1及びED2は、柱状レンズ20の周縁の一部であり、柱状レンズ20の長手方向に延在する。側縁ED2は側縁ED1の反対側に配設される。
図2及び図3を参照して、各柱状レンズ20は、側縁ED1及びED2を含む。側縁ED1及びED2は、柱状レンズ20の周縁の一部であり、柱状レンズ20の長手方向に延在する。側縁ED2は側縁ED1の反対側に配設される。
各柱状レンズ20はさらに、複数の尾根部30及び40を含む。各尾根部30及び40は、柱状レンズ20の長手方向に延在する。そして、複数の尾根部30及び40は、側縁ED1から側縁ED2に向かって高い順に並設される。つまり、側縁ED1側に最も高い尾根部30が配設され、側縁ED2側に尾根部40が配設される。以降、最も高い尾根部30を主尾根部30といい、主尾根部30よりも低い尾根部40をサブ尾根部40という。
主尾根部30は、側縁ED1側に配設される傾斜面31と、側縁ED2側に傾斜面31と反対を向いて配設される傾斜面32と、傾斜面31及び32により形成され、柱状レンズ20の長手方向に延びる稜線部33とを含む。同様に、サブ尾根部40も、側縁ED1側に配設される傾斜面41と、側縁ED2側に配設される42と、稜線部43とを含む。
図1に示すように、光学シート1は、各柱状レンズ20の主尾根部30の方が、サブ尾根部40よりも光源2に近くなるように、導光板3上に敷設される。換言すれば、第1の側縁ED1が第2の側縁ED2よりも光源に近くなるように光学シート1は敷設される。このように敷設された光学シート1は、照明装置6(つまり、表示装置100)の正面輝度を向上する。さらに、光学シート1は、色分離を抑制できる。
光学シート1が正面輝度を向上し、かつ、色分離を抑制するしくみについて説明する。光源2から出射した光50は、導光板3の側面に入射し、出射面3aから出射光51として出射する。このとき、光50は指向性を有する。出射光51の輝度特性は、出射面3aの法線N3から光源2と反対側に所定角度A51(°)傾斜した方向に輝度のピークを有する。
出射光51は、光学シート1の裏面11に入射する。このとき、出射光51は、光学シート1の法線よりも側縁ED2方向に傾いて入射する。図5を参照して、出射光51のうちの輝度ピーク光線52がサブ尾根部40の傾斜面41及び42で屈折する。具体的には、傾斜面42に入射した輝度ピーク光線52は、光学シート1の厚さ方向側(光学シート1の法線N1側)に屈折して出射光53として外部に出射する。一方、傾斜面41に入射した輝度ピーク光線52は、法線N1と反対側に屈折して出射光54として外部に出射する。つまり、傾斜面42に入射した輝度ピーク光線52の屈折方向は、傾斜面41に入射した輝度ピーク光線52の屈折方向と交差する。
光学シート1の屈折率は入射光線の波長に依存する。輝度ピーク光線52が複数の波長成分を含む場合、各波長成分により屈折率が変化する。そのため、図5に示すように出射光53及び54に色分離が生じる。図5では、輝度ピーク光線52が2つの異なる波長A及びB(波長A>波長B)を有し、波長B成分の屈折角が波長A成分の屈折角よりも大きい場合の色分離を示す。
傾斜面42では、輝度ピーク光線52の波長B成分は波長A成分よりも大きく屈折する。そのため、出射光成分53Bは、出射光成分53Aよりもさらに法線N1側(矢印A1方向)に屈折する。一方、傾斜面41では、波長B成分に相当する出射光成分54Bは、波長A成分に相当する出射光成分54Aよりも法線N1と反対側(矢印A2方向)に屈折する。要するに、傾斜面42から出射した光線53の色(波長)の分離パターンと傾斜面41から出射した光線54の色分離パターンとは、輝度ピーク光線52の進行方向に対して互いに逆のパターンとなる。そのため、光線53の色分離パターンは、光線54の色分離パターンと互いに相殺される。その結果、光学シート1からの出射光における色分離が抑制される。
さらに、光学シート1は、傾斜面32及び42により、所定の傾斜角に輝度のピークを有する輝度特性を示す入射光51を光学シート1の正面方向(法線N1方向)に直接コリメートし、正面輝度を向上する。そのため、従来のように、プリズムシートに代表される光学シートと導光板との間に下部拡散シートを敷設し、導光板からの出射光を一旦ブロードな光に変換しなくてもよい。したがって、光学シート1は、導光板からの出射光の利用効率を向上し、輝度を向上できる。
表示装置100及びバックライトユニット6は、光学シート1を利用するため、出射光の色分離を抑制する。そのため、従来のように2枚のプリズムシートを用いなくてもよい。また、上述のとおり、下部拡散シートを用いなくてもよい。そのため、従来の表示装置やバックライトユニットと比較して光学部材の利用数を減らすことができる。
上述の色分離の効果を奏するために、好ましくは、輝度ピーク光線52が傾斜面42で屈折して出射する方向が、輝度ピーク光線52が傾斜面41で屈折して出射する方向と交差するように、裏面11と平行な仮想面110と傾斜面41とがなす角度β2と、仮想面110と傾斜面42とがなす角度α1とが決定され、傾斜面41及び42が配設される。より好ましくは、輝度ピーク光線52に対する光線53の角度γ1と、輝度ピーク光線52に対する光線54との角度γ2が略同じになるように、角度α1及びβ2が決定され、傾斜面41及び42が配設される。ただし、γ1とγ2とが異なっていても本願発明の効果をある程度奏することができる。
なお、サブ尾根部40の傾斜面42は傾斜面41よりも大きい方がこのましい。傾斜面42が大きいほど、より正面輝度を向上できるからである。
光学シート1ではさらに、図2及び図3に示すように、各柱状レンズ20の主尾根部30の頂上(稜線部33)が丸みを帯びている。プリズムシートの場合、製造時、搬送時、及びバックライト装置への敷設時にプリズムに疵がつきやすく、特にその頂点が破損しやすい。このような疵は、ディスプレイ上で輝点や暗点となりやすい。このような疵の発生を防止するため、表示装置に組み込む前のプリズムシートには通常、保護フィルムを敷設しなければならない。一方、光学シート1では、各柱状レンズ20内で最も高い主尾根部30の頂上が丸みを帯びている。そのため、主尾根部30の頂上に外力が負荷されたとき、頂上に掛かる応力集中を緩和できる。そのため、柱状レンズ20は製造時及び搬送時に破損しにくく、保護フィルムを光学シート1上に敷設しなくてよい。
また、図6に示すように、サブ尾根部40の頂上(稜線部43)も主尾根部30と同様に丸みを帯びていてもよい。ただし、表示装置100内で他の構成と接触するのは、柱状レンズ20内で最も高い主尾根部30であり、サブ尾根部40は他の構成と接触しにくい。そのため、サブ尾根部40の頂上は丸みを帯びていなくてもよく、少なくとも主尾根部30の頂上が丸みを帯びていればよい。
また、図7に示すように、主尾根部30の頂上(稜線部33)が面取りされていてもよい。この場合も、図3と同様に、主尾根部30の頂上に掛かる応力集中を緩和できる。そのため、柱状レンズ20が製造時及び搬送時に破損しにくい。
柱状レンズ20の主尾根部30の傾斜面31の形状は特に限定されない。傾斜面31は平面であってもよいし、横断形状において、凸状又は凹状に曲がっていてもよい。たとえば、図8に示すように、柱状レンズ20の横断形状において、傾斜面31が凸状に屈曲していてもよい。また、図9に示すように、傾斜面31が凹状に屈曲していてもよい。また、図10に示すように、柱状レンズ20の横断形状において、傾斜面31が凸状に湾曲していてもよいし、図示しないが、傾斜面31が凹状に湾曲していてもよい。
傾斜面31がこれらの形状を有していても、光学シート1は、上述の輝度向上及び色分離の作用を奏することができる。なぜなら、傾斜面32、41及び42が輝度向上及び色分離に寄与するのに対して、傾斜面31は輝度向上及び色分離に寄与しにくく、傾斜面31の形状は輝度向上及び色分離にあまり影響しないからである。
図5を参照して、傾斜面31と仮想面110とがなす角度β1は、輝度ピーク光線52と仮想面110とがなす角度(90°−θ52)以上であるのが好ましく、より好ましくは、角度(90°−θ52)と略同じである。換言すれば、傾斜面31は、輝度ピーク光線52と略並行であるのがより好ましい。上述のとおり、光学シート1の傾斜面32、41及び42は、輝度向上及び色分離の抑制に寄与するが、傾斜面31は、輝度向上及び色分離の抑制に寄与しにくい。そのため、輝度ピーク光線52は可能な限り傾斜面32、41及び42に入射し、傾斜面31に入射しない方がこのましい。角度β1が角度(90°−θ52)以上であれば、傾斜面31に輝度ピーク光線52が入射しにくくなる。
隣り合う柱状レンズ20が互いに接触しており、各柱状レンズ20の高さが同じであれば、複数の柱状レンズの配置間隔は7〜100μm程度であることが好ましい。ここでいう配置間隔は、次のとおり定義する。図3に示すように、柱状レンズ20の幅の中央Cを求め、隣り合う柱状レンズ20の中央C間の距離を配置間隔Pと定義する。配置間隔Pが7μmより小さくなると、ロール金型を用いて光学シート1を製造する場合に精度の高い金型加工が必要となり、金型加工しにくくなる。一方、配置間隔Pが100μmより大きくなると、柱状レンズ20のサイズも相対的に大きくなり、柱状レンズ20を形成する樹脂材料の体積が増大する。この結果、樹脂材料を硬化させて柱状レンズ20を形成したとき、樹脂材料の硬化収縮量も増大する。その結果、金型に対する樹脂材料のいわゆる「食いつき」が強くなり、硬化した樹脂材料が金型から剥離し難くなる。特に、ロール状の金型を用いた場合には、剥離時に柱状レンズ20が破壊されたり、柱状レンズ20の一部が金型表面に残留したりする。さらに、配置間隔Pが100μmより大きくなると、柱状レンズ20の高さが高くなるため光学シート1が厚くなる。柱状レンズ20の好ましい幅は30〜100μmであり、高さは10〜90μmである。
図2〜図4では、各柱状レンズ20が有する尾根部は2つであったが、各柱状レンズ20が3以上の尾根部を有していてもよい。たとえば、図11に示すように、各柱状レンズ20は主尾根部30と、2つのサブ尾根部40A、40Bとを含む。このとき、複数の尾根部30、40A及び40Bは、側縁ED1からED2に向かって高い順に並設される。つまり、尾根部30、40A、40Bの順に並設される。サブ尾根部40A及び40Bは、輝度を向上する傾斜面42と、色分離を抑える傾斜面41とを備える。そして、各傾斜面42が仮想面110となす角度α1及び各傾斜面41が仮想面110となす角度β2は、互いに同じであるのが好ましい。
また、図2〜図4では、隣り合う柱状レンズ20は互いに接触しているが、隣り合う柱状レンズ20の間に隙間を設けてもよい。
[光学シートの製造方法]
光学シート1の製造方法は次の通りである。初めに、ロール状の金型を準備する。ロール状金型の表面には、複数の柱状レンズ20に対応するパターン溝が切削加工により形成されている。続いて、用意された基材フィルムと金型表面との間に、電離放射線硬化樹脂を充填し、電離放射線を照射して硬化する。続いて、硬化した電離放射線硬化樹脂が形成された基材フィルムをロール金型から剥離する。以上の方法により、光学シート1が得られる。
光学シート1の製造方法は次の通りである。初めに、ロール状の金型を準備する。ロール状金型の表面には、複数の柱状レンズ20に対応するパターン溝が切削加工により形成されている。続いて、用意された基材フィルムと金型表面との間に、電離放射線硬化樹脂を充填し、電離放射線を照射して硬化する。続いて、硬化した電離放射線硬化樹脂が形成された基材フィルムをロール金型から剥離する。以上の方法により、光学シート1が得られる。
本体が基材部12のみからなる光学シート1は、以下の方法で製造できる。たとえば、熱可塑性樹脂で基材12を作製する。続いて、柱状レンズ20に対応する凹凸パターンが切削加工により表面に形成された金型を基材に加熱押圧して、凹凸パターンを基材表面に転写する。以上の工程により光学シート1が製造される。また、周知の押出成型法やプレス成型法、あるいは金型に溶融樹脂を注入する射出成形法等により光学シート1を製造してもよい。
以上のとおり、光学シート1は、柱状レンズ20に対応する凹凸パターンを有する金型を用いて製造される。柱状レンズ20が、図3、図6〜図8及び図10に示す形状である場合、柱状レンズ20は金型から抜けやすい。そのため、金型から抜くときに主尾根部30の頂上が破損しにくい。
種々の光学シートを用いた表示装置を準備し、光学特性を調査した。以下、本発明例1、本発明例2及び比較例1、比較例2のバックライト及び表示装置の製造方法および光学特性の評価方法を説明する。
[本発明例1]
本発明例1の光学シートは図2及び図3と同じ構造とした。具体的には、各柱状レンズ20の幅は35μmとした。角度β1は58°であった。また、角度α1は69°であり、角度β2は38°であった。図3に示すとおり、主尾根部30の頂上は丸みを帯びており、その曲率半径は1μmであった。また、隣り合う柱状レンズ20の間には、1μm幅の隙間(平坦部)を設けた。
本発明例1の光学シートは図2及び図3と同じ構造とした。具体的には、各柱状レンズ20の幅は35μmとした。角度β1は58°であった。また、角度α1は69°であり、角度β2は38°であった。図3に示すとおり、主尾根部30の頂上は丸みを帯びており、その曲率半径は1μmであった。また、隣り合う柱状レンズ20の間には、1μm幅の隙間(平坦部)を設けた。
本発明例1の光学シートは、上述の製造方法で説明したとおり、ロール金型を用いて製造した。具体的には、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。続いて、ロール金型表面の溝に芳香族系アクリレートの紫外線硬化樹脂(屈折率1.60)を充填した。続いて、ロール金型表面をPETフィルムに押しつけながら、紫外線(波長340〜420nm)を照射して紫外線硬化樹脂を硬化し、光学シートを製造した。
製造された光学シートを用いて、本発明例1の表示装置を製造した。本発明例1の表示装置は図1と同じ構成であり、光学シート以外の他の光学部材は公知のものを用いた。具体的には、光源にはLEDを用いた。導光板3はポリカーボネートで形成した。導光板3の出射面3aからの出射光のうち、輝度ピーク光線と出射面3aの法線N3との角度A51は70°であった。反射シートにはPETフィルムの表面に銀が蒸着されたシートを用いた。また、拡散シートにはPETフィルムをビーズコーティングしたものを用い、その厚さは70μmとし、ヘイズは30%とした。以上の光学部材を用いて、図1に示した構成の液晶装置を製造した。
[本発明例2]
本発明例2の光学シートは図8と同じ構造とした。具体的には、各柱状レンズ20の幅は35μmとした。角度β1は55°であった。また、角度α1は69°であり、角度β2は31°であった。図8に示すとおり、傾斜面31は凸状に屈曲していた。
本発明例2の光学シートは図8と同じ構造とした。具体的には、各柱状レンズ20の幅は35μmとした。角度β1は55°であった。また、角度α1は69°であり、角度β2は31°であった。図8に示すとおり、傾斜面31は凸状に屈曲していた。
上述の光学シートを本発明例1と同じ方法で製造した。そして、本発明例1と同様の表示装置を製造した。表示装置の各構成のうち光学シート以外のものは本発明例1と同じとした。
[本発明例3]
本発明例3の光学シートは図9と同じ構造とした。具体的には、各柱状レンズ20の幅は35μmとした。角度β1は61°であった。また、角度α1は69°であり、角度β2は31°であった。図9に示すとおり、傾斜面31は凹状に屈曲していた。
本発明例3の光学シートは図9と同じ構造とした。具体的には、各柱状レンズ20の幅は35μmとした。角度β1は61°であった。また、角度α1は69°であり、角度β2は31°であった。図9に示すとおり、傾斜面31は凹状に屈曲していた。
上述の光学シートを本発明例1と同じ方法で製造した。そして、本発明例1と同様の表示装置を製造した。表示装置の各構成のうち光学シート以外のものは本発明例1と同じとした。
[比較例]
図12に示す比較例の表示装置500を製造した。形状を有する比較例内の2枚の光学シート300はいずれもプリズムシートとした。プリズムシート内の各線状プリズム301の横断形状は二等辺三角形であり、その幅(底辺長さ)は30μm、高さは15μmであった。また、頂角は90°であった。隣り合う線状プリズム301は互いに接触して配列された。下部拡散シート506はPETフィルムをビーズコーティングしたものを用い、その厚さは70μmとし、ヘイズは85%とした。光学シート300及び拡散シート506以外の他の構成は本発明例1と同じとした。
図12に示す比較例の表示装置500を製造した。形状を有する比較例内の2枚の光学シート300はいずれもプリズムシートとした。プリズムシート内の各線状プリズム301の横断形状は二等辺三角形であり、その幅(底辺長さ)は30μm、高さは15μmであった。また、頂角は90°であった。隣り合う線状プリズム301は互いに接触して配列された。下部拡散シート506はPETフィルムをビーズコーティングしたものを用い、その厚さは70μmとし、ヘイズは85%とした。光学シート300及び拡散シート506以外の他の構成は本発明例1と同じとした。
図12に示すとおり、下部拡散シート506は導光板3上に敷設され、2枚の光学シート300は下部拡散シート506上に重ねて敷設された。このとき、各光学シート300内のプリズム301が互いに直交するように、2枚の光学シート300を重ねて敷設した。なお、光学シート300は本発明例1と同様の方法で製造した。
[正面輝度評価]
上述の本発明例1〜3及び比較例の表示装置の正面輝度を調査した。具体的には、各表示装置で輝度の角度依存性を調査した。具体的には、表示装置の表示画面の法線方向(正面)を0度軸とし、0度軸から±x方向(図1及び図12参照)への傾き角(視野角)における輝度を輝度計により測定した。輝度の測定箇所は表示画面の中央とした。
上述の本発明例1〜3及び比較例の表示装置の正面輝度を調査した。具体的には、各表示装置で輝度の角度依存性を調査した。具体的には、表示装置の表示画面の法線方向(正面)を0度軸とし、0度軸から±x方向(図1及び図12参照)への傾き角(視野角)における輝度を輝度計により測定した。輝度の測定箇所は表示画面の中央とした。
図13に各表示装置の輝度の角度依存性を示す。図13の横軸は視野角(°)を示す。図1及び図12において表示画面の法線方向からx方向に傾けた場合の視野角をプラス(+)で示し、−x方向に傾けた場合の視野角をマイナス(−)で示す。また、図13の縦軸は、比較例の表示装置の正面輝度(視野角0°の輝度)を基準(1.0)とした相対輝度である。図中の実線の曲線が比較例の輝度角度依存性である。また、破線の曲線が本発明例1の輝度角度依存性であり、一点鎖線の曲線が本発明例2、二点鎖線の曲線が本発明例3の輝度角度依存性を示す。
図13を参照して、本発明例1〜3の表示装置の正面輝度(視野角0°の輝度)は、いずれも比較例の正面輝度よりも高かった。つまり、2枚のプリズムシートを敷設した表示装置よりも、本発明による1枚の光学シートを用いることで、より高い正面輝度が得られた。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1 光学シート
2 光源
3 導光板
7 液晶パネル
10 主面
11 裏面
20 柱状レンズ
30 主尾根部
31,32,41,42 傾斜面
33,43 稜線部
40 サブ尾根部
100,500 表示装置
110 仮想面
2 光源
3 導光板
7 液晶パネル
10 主面
11 裏面
20 柱状レンズ
30 主尾根部
31,32,41,42 傾斜面
33,43 稜線部
40 サブ尾根部
100,500 表示装置
110 仮想面
Claims (6)
- 主面と、主面と反対側の裏面とを有する本体を備え、
前記主面は、複数の柱状レンズを含み、
前記各柱状レンズは、
前記柱状レンズの長手方向に延在する第1の側縁と、
前記第1の側縁と反対側の第2の側縁と、
前記第1の側縁から前記第2の側縁に向かって高い順に並設される複数の尾根部とを含み、
前記複数の尾根部は、
最も高い主尾根部と、前記主尾根部よりも低い1又は複数のサブ尾根部とを含み、
前記主尾根部の頂上は丸みを帯びている、又は、面取りされていることを特徴とする光学部材。 - 請求項1に記載の光学部材であって、
前記各サブ尾根部は、
前記第1の側縁側に配設された第1の傾斜面と、
前記第2の側縁側に配設された第2の傾斜面とを含み、
前記裏面に入射した光のうち、当該光の輝度特性において輝度が最大となる方向に進行する輝度ピーク光線が前記第1の傾斜面で屈折して外部に出射する方向が、前記輝度ピーク光線が前記第2の傾斜面で屈折して外部に出射する方向と交差するように、前記第1及び第2の傾斜面が配設されることを特徴とする光学部材。 - 主面と、主面と反対側の裏面とを有する本体を備え、
前記主面は、複数の柱状レンズを含み、
前記各柱状レンズは、
前記柱状レンズの長手方向に延在する第1の側縁と、
前記第1の側縁と反対側の第2の側縁と、
前記第1の側縁から前記第2の側縁に向かって高い順に並設される複数の尾根部とを含み、
前記各尾根部は、
前記第1の側縁側に配設された第1の傾斜面と、
前記第2の側縁側に配設された第2の傾斜面とを含み、
前記複数の尾根部は、
最も高い主尾根部と、前記主尾根部よりも低い1又は複数のサブ尾根部とを含み、
前記主尾根部の第1の傾斜面の横断形状は、凸状又は凹状に曲がっていることを特徴とする光学部材。 - 請求項3に記載の光学部材であって、
前記各サブ尾根部では、前記裏面に入射した光のうち、当該光の輝度特性において輝度が最大となる方向に進行する輝度ピーク光線が前記第1の傾斜面で屈折して外部に出射する方向が、前記輝度ピーク光線が前記第2の傾斜面で屈折して外部に出射する方向と交差するように、前記第1及び第2の傾斜面が配設されることを特徴とする光学部材。 - 光源と、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材と、
前記光源からの光を受け、前記受けた光を前記光学部材の前記裏面に出射する導光板とを備えることを特徴とする照明装置。 - 請求項5に記載の照明装置と、
前記照明装置上に敷設される液晶パネルとを備えることを特徴とする表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008256702A JP2010085855A (ja) | 2008-10-01 | 2008-10-01 | 光学部材、それを用いた照明装置及び表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008256702A JP2010085855A (ja) | 2008-10-01 | 2008-10-01 | 光学部材、それを用いた照明装置及び表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010085855A true JP2010085855A (ja) | 2010-04-15 |
Family
ID=42249849
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008256702A Withdrawn JP2010085855A (ja) | 2008-10-01 | 2008-10-01 | 光学部材、それを用いた照明装置及び表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010085855A (ja) |
-
2008
- 2008-10-01 JP JP2008256702A patent/JP2010085855A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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