JP2010080902A - ファイバ型発光素子 - Google Patents

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洋 藤安
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【課題】簡便な構成で適切な出力の赤外光を発生させることができるファイバ型発光素子を提供する。
【解決手段】遠赤外線からなる赤外光を発生させるファイバ型レーザ装置1であって、励起光L1を発生させる励起光源3と、励起光源3から励起光L1が入射されて伝搬するクラッド9及びクラッド9を伝搬する励起光L1で励起されるコア11を有する光ファイバ5とを備え、コア11がp型ゲルマニウムからなっている。また、光ファイバ5の両端には一対のレーザミラー7a,7bが配置され、一対のレーザミラー7a,7bと光ファイバ5とによりレーザ共振器が構成される。そして、このレーザ共振器により、ファイバ型レーザ装置1は、赤外レーザ光L3を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線領域の波長成分を含む光を発生させるファイバ型発光素子に関するものである。
従来から、赤外光を発生させる赤外半導体レーザの主な用途として、赤外光を用いたレーザ治療装置が知られている(例えば特許文献1)。この赤外光を用いたレーザ治療装置では、赤外半導体レーザからの赤外レーザ光がコリメートレンズなどを介して患部といったレーザ治療装置の外部に照射されて、患部が治療されるようになっている。
特開平6−178822号公報
ところが、従来のレーザ治療装置などに用いられる赤外線や遠赤外線の発光素子では発光パワーが小さいため、特定の波長領域の光を適当なフィルタで選択した場合に強度が小さくなりすぎてしまい、どの波長領域の光が人体の治療にとって最も有効であるかを検討することが困難であった。このため、フィルタで波長領域を選択しても治療用として十分な出力を有する赤外線を簡便な構成で発生させることが可能な赤外光の発光素子が望まれていた。
そこで、本発明の課題は、簡便な構成で適切な出力の赤外光を発生させることができるファイバ型発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るファイバ型発光素子は、赤外線領域の波長成分を含む光を発生させるファイバ型発光素子であって、励起光を発生させる励起光源と、励起光源から励起光が入射されて伝搬するクラッド及び該クラッドを伝搬する励起光で励起されるコアを有する光ファイバとを備え、コアが真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Z(0<Y<1且つ0≦Z<1)の少なくとも一つからなることを特徴とする。
このファイバ型発光素子では、光ファイバのコアが真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Zの少なくとも一つからなり、この真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Zの少なくとも一つの価電子帯の電子を励起光源からの励起光で励起して伝導体に遷移させた後、励起された電子が伝導体から価電子帯に落ちる際に価電子帯からでてくる赤外線を外部に発生し、治療などに適した出力を有する光を外部に向かって発生させるようになっている。このため、励起光源と、真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Zの少なくとも一つからなるコアと、を有する光ファイバといった簡便な構成で適切な出力の赤外光を発生させることができる。
また、ファイバ型発光素子は、光ファイバの両端に配置される一対のレーザミラーを更に備え、一対のレーザミラーと光ファイバとによりレーザ共振器が構成されていることが好ましい。レーザ共振器を備えることにより、ファイバ型発光素子は、赤外レーザ光を生成することができ、より安定した光を外部に供給できる。
また、ファイバ型発光素子は、光ファイバの一端に配置されるレーザミラー共振器を更に備え、励起光が可視光からなることが好ましい。このような構成によれば、励起光で励起されて発生し、コア内を伝播する赤外線が光ファイバの他端から外部に出射される際、クラッドを伝播する可視光からなる励起光を赤外線と共に同じ方向に出射させることができ、励起光を赤外線の出射方向を示す指標として用いることができる。このように励起光を用いることにより、視認できない赤外線の出射方向を擬似的に視認することができ、例えば、赤外線を治療に用いる場合、励起光による指標で治療箇所を確認することができる。また、励起光が赤外線である場合、励起光である赤外線とは別に可視光を透過可能なクラッドに可視光を透過させることにより、上記と同様に、視認できない赤外線の出射方向を擬似的に視認することができる。なお、レーザミラーとしては、先端からコアで発生した赤外線と可視光が放出され、その可視光は、ガン領域等の識別に使用される。
また、本発明のファイバ型発光素子のコアは、上述した真性ゲルマニウム等の材料からなる中空コアであってもよい。コアが中空コアであることにより、発生した赤外線のうち、コアによって吸収される赤外線の比率が低減され、ファイバ型発光素子から、より強い赤外線を得ることができる。
また、可視光を伝搬させる内蔵光ファイバを更に備え、内蔵光ファイバは、光ファイバにおける伝搬方向と同じ伝搬方向になるように中空コア内に配置されることが好ましい。可視光を伝搬させる内蔵光ファイバを備えることにより、視認できない赤外線の出射方向を擬似的に視認することができる。例えば、赤外線を治療に用いる場合、励起光による指標で治療箇所を確認することができる。なお、可視光は、緑色の光等を含んでいることが好ましい。
また、所定の波長成分の光のみを透過させる光学フィルタを更に備え、光学フィルタは、中空コアの両端を封止するように配置されることが好ましい。光学フィルタが中空コアの両端を封止することから、発生した光のうち、所望の波長を有する光のみを外部に向かって透過させることができる。また、中空コア内への水分やパーティクル等の浸入を防止することもできる。
また、クラッドは、GeSi1−x(0<X<1)を主体とするゲルマニウムシリコン酸化物ガラスであり、コア側に近接するにつれて、GeとSiとの合計に対するGeの割合が高くなり、クラッドの外周表面に近接するにつれて、GeとSiとの合計に対するSiの割合が高くなることが好ましい。このような構成により、クラッドの屈折率をクラッドの外周に向かって小さくすることができる。また、クラッドにおけるコア側のGeの割合が高いことから、コアとクラッドとの境界付近におけるコアとクラッドとの熱膨張係数を略同等程度にすることができ、安定したファイバ型発光素子とすることができる。
また、本発明に係るファイバ型発光素子は、赤外線領域の波長成分を含む光を発生させるファイバ型発光素子であって、熱を発生させる加熱手段と、加熱手段から熱が入射されるクラッド及び該クラッドに入射された熱で励起されるコアを有する光ファイバとを備え、コアが真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Z(0<Y<1且つ0≦Z<1)の少なくとも一つからなることを特徴としてもよい。この場合でも、励起光源を備えた上述のファイバ型発光素子と同様に簡便な構成であり、より高温側から低温側へ赤外光を伝搬させることができ、適切な出力の赤外光を発生させることができる。なお、上述したコアは中空コアであってもよい。
本発明に係るファイバ型発光素子によれば、簡便な構成で適切な出力の赤外光を発生させることができる。この発光素子は、例えば77K以下の低温では赤外線レーザとして、それよりも高温では高効率のハイパワー赤外線発光素子として機能させることができる。
本発明の第1実施形態に係るファイバ型レーザ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るコアの構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るコアの構成を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るコアの構成を示す斜視図である。 本発明に係るファイバ型発光素子の別の構成を示す斜視図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。説明の理解を容易にするため、図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。図1は第1実施形態のファイバ型レーザ装置の構成を示す斜視図である。
[第1実施形態]
図1に示す通り、ファイバ型レーザ装置(ファイバ型発光素子)1は、励起光源3、光ファイバ5、及び一対のレーザミラー7a,7bを備えている。光ファイバ5は、クラッド9及びコア11を有する。
励起光源3は、例えば価電子帯の電子を励起して赤外線を発生させる炭酸ガスレーザや、ゲルマニウムのエネルギーギャップより大きいエネルギーを持つガスレーザであるArレーザや、半導体レーザといった励起用レーザから構成され、可視光や赤外光といった励起光L1を発生させる。励起光源3は、光ファイバ5の所定の位置に励起光L1を入射できるように配置される。
クラッド9は、例えばGeSi1−x(0<X<1)を主体としたゲルマニウムシリコン酸化物ガラスからなる透明な円柱体である。クラッド9は、外周表面にAgコーティングが施されており、励起光源3から光ファイバ5に入射された励起光L1が光ファイバ5の周面から出ることなくクラッド9内を屈折しながら伝搬するようになっている。また、クラッド9が透明であることから、例えば可視光がクラッド9内を伝搬しやすくなっている。なお、クラッド9の屈折率は1.5〜1.99程度である。
また、クラッド9において、コア11側に近接するにつれて、GeとSiとの合計に対するGeの割合を高くし、クラッド9の外周表面に近接するにつれて、GeとSiとの合計に対するSiの割合を高くするようにしてもよい。この構成によれば、クラッド9の外周表面に向かって屈折率を小さくすることができる。しかも、クラッド9におけるコア11側のGeの割合が高いことから、コア11とクラッド9との境界付近におけるコア11とクラッド9との熱膨張係数を略同等程度にすることができ、安定したファイバ型レーザ装置1とすることができる。
コア11は、p型ゲルマニウムを主体とした直径1〜30μmの丸線からなり、クラッド9の中心軸線上に沿って配置される。このp型ゲルマニウムは、クラッド9内を屈折しながら伝搬する励起光L1を吸収し、p型ゲルマニウムの価電子帯の正孔または電子の励起により波長100μm帯の遠赤外線からなる赤外光L2を発生する。なお、p型ゲルマニウムからなるコア11に代えて、真性ゲルマニウムからなるコア11としてもよく、コア11は、少なくとも真性ゲルマニウム及びp型ゲルマニウムの一方からなっていればよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウムとは異なる不純物を含んでいてもよい。また、コア11は、GeSiSn1−Y−Z(0<Y<1且つ0≦Z<1)からなってもよい。つまり、コア11は、ゲルマニウムとシリコンとすずとの混晶でもよいし、ゲルマニウムとシリコンとの混晶でもよいし、ゲルマニウムとすずとの混晶でもよい。この場合でも、真性ゲルマニウム及びp型ゲルマニウムの少なくとも一方からなるコア11と同様に簡便な構成で適切な出力の赤外光を発生させることができる。
また、コア11の屈折率は4程度であり、クラッド9よりも高い。この屈折率の違いにより、コア11で発生した赤外光L2がコア11内から出ることなくコア11の内部で屈折しながら伝搬するようになっている。なお、上述したクラッド9やコア11を有する光ファイバ5は、例えば既存の外付け法を用いて、p型ゲルマニウムからなる丸線の心棒を回転させながらGeSiOを主体としたガラスをその芯棒上に付着堆積させて母在を形成し、その後、この母材を引き伸ばすことにより容易に得ることができる。また、光ファイバ5を得る別の方法としては、中空のクラッド9を所定の方法で形成し、その中空部にp型ゲルマニウムからなる丸線のコア11を挿入し、その後、両者を溶融して一体化させる方法がある。
一対のレーザミラー7a,7bは、赤外光L2を所定の反射率で反射させる反射面をそれぞれが一面に有する光反射板であり、各反射面が光ファイバ5の端面に面するように、光ファイバ5の両端に配置される。一対のレーザミラー7a,7bのうち一方のレーザミラー7aの反射面における赤外光反射率は例えば略100%であり、他方のレーザミラー7bの反射面における赤外光反射率は例えば80%以上である。このため、他方のレーザミラー7bからは一部の赤外光が透過されるようになっており、一対のレーザミラー7a,7bと光ファイバ5とによりレーザ共振器が構成される。
ここで、参考までにp型ゲルマニウムが遠赤外線からなる赤外光を発生させる原理とメカニズムについて概説すると、次のようになる。
ゲルマニウムは、間接遷移型の半導体であり、そのバンドギャップエネルギーが0.67eV(近赤外相当)であるが、ホール(正孔)には重いホールと軽いホールの二種類があり、液体ヘリウム温度に冷却して電場と磁場とを印加すると、これらのホールに関係した波長100μmオーダの遠赤外線からなる赤外光を放射することが知られている。例えば、小宮山進はIII族原子の不純物を含むp型ゲルマニウムを用いて半導体レーザを試作し、液体ヘリウムで冷却しながら波長80〜120μmの遠赤外線レーザ発振を確認している(「固体物理」,第31巻第4号,1996年)。
ここで、上記論文の筆者(小宮山)が推測する遠赤外線の放射メカニズムを概説すると、p型ゲルマニウム(間接遷移型半導体)が極低温の状態では多量のホールはガンマ点(バンドの頂上)に縮退しているが、直交する電場と磁場とを印加すると、いわゆるサイクロトン運動を始める。このとき、軽いホールは重いホールに比べると1/8倍程度も有効質量が小さいため容易に高エネルギー側に励起されやすく、重いホールのレベルから励起光によって軽いホールのバンドに次々と励起されて反転分布が生じ、軽いホールは電場により運動エネルギーを得て、これが所定のエネルギーレベルに達すると重いホール帯に直接光学遷移し、波長100μm帯の遠赤外線の赤外光を放射することになる。
次に、このファイバ型レーザ装置1の動作について説明する。励起光源3で発生した励起光L1は、不図示のコリメートレンズや集光レンズを用いた所定の方法によって光ファイバ5に入射される。光ファイバ5では、入射した励起光L1がクラッド9内を中心軸線方向に屈折しながら伝搬し、この励起光L1の伝搬に伴ってコア11のp型ゲルマニウムの価電子帯が励起され、別の励起光である赤外光L2が発生させられる。コア11内で発生した赤外光L2は、光ファイバ5の端面でレーザミラー7a,7bによって反射させられることでコア11内を往復して増幅し、増幅されたレーザ光が他方のレーザミラー7bを通過して、ファイバ型レーザ装置1から赤外レーザ光L3として照射される。
このようなファイバ型レーザ装置1は、例えばレーザ治療装置の赤外レーザ光の発生源として用いられる。遠赤外線を含む電磁波の生体(人体)に対する作用としては、例えばイオン化作用と非イオン化作用とがあり、紫外線のような短波長の電磁波によりイオン化作用がもたらされ、赤外線のような長波長の電磁波により非イオン化作用である熱作用と非熱作用とがもたらされることが知られている。このような赤外線が生体に照射された場合、吸収したエネルギーにより生体内で温度上昇が起こり、いわゆる温熱効果が発揮される。しかも、波長が100μm程度の遠赤外線からなる赤外光の場合には、この温熱効果に加えて、照射された微弱な電磁波が生体に直接作用することにより、いわゆる非熱作用が発揮される。
このような非熱作用としては、例えば、Frohlichが1960年代から提唱しているモデルがある。このモデルでは、生体にはコヒーレントな多数の振動モードが存在しており、エネルギーが供給されると振動が特定のモードに集中して、マクロな秩序を持った励起が生じ得たり、同一振動数のモード間に遠距離の相互作用が生じ得たりすることが示されている。そして、このモデルに基いて、遠赤外線からマイクロ波にかけての波長領域で生体に非熱作用がもたらされる可能性があることを示唆している。例えば、重要な生体構成物質であるミトコンドリアは、電子伝達系及びこれに共役してADPからATPを合成するが、このATPの生成過程において上記の非熱作用が関与することが予想される。ちなみに、布施正らは「赤外線技術」第12号(1997年)において、細胞内のオルガネラであるミトコンドリアに対する波長100μm帯の遠赤外線からなる赤外光の非熱作用を実験的に確認・検討している。
このように、赤外光がレーザ治療装置に用いられ、上述したファイバ型レーザ装置1をレーザ治療装置に用いることができる。そして、本実施形態では、このファイバ型レーザ装置1の光ファイバ5のコア11がp型ゲルマニウムからなり、このp型ゲルマニウムの価電子帯の電子を励起光源3からの励起光L1で励起して、治療などに適した出力を有する赤外レーザ光L3を外部に向かって発生させるようになっている。このため、励起光源3とp型ゲルマニウムからなるコア11を有する光ファイバ5といった簡便な構成で適切な出力の赤外レーザ光L3を発生させることができる。また、赤外レーザ光L3を発生させる光ファイバ5が、例えば半導体レーザなどで構成される励起光源3と外部との間に位置する構成になっていることから、外部から励起光源3へのいわゆる戻り光を光ファイバ5が防止することもできる。
また、本実施形態では、光ファイバ5の両端に配置される一対のレーザミラー7a,7bを更に備え、一対のレーザミラー7a,7bと光ファイバ5とによりレーザ共振器が構成されている。レーザ共振器を備えることにより、ファイバ型レーザ装置は、赤外レーザ光L3を生成することができ、より安定した光を外部に供給できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図2を用いて説明する。本実施形態では、第1実施形態のコア11に代えて中空コア13を設けている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
中空コア13は、p型ゲルマニウムを主体とした外径20〜30μm、内径10〜20μmの中空管からなり、クラッド9の中心軸線上に沿って配置される。このp型ゲルマニウムは、第1実施形態と同様に、クラッド9内を屈折しながら伝搬する励起光L1を吸収し、p型ゲルマニウムの価電子帯の正孔または電子の励起により波長100μm帯の遠赤外線からなる赤外光L2を発生する。なお、p型ゲルマニウムからなる中空コア13に代えて、第1実施形態で示した他の材料から構成された中空コア13としてもよい。中空コア13を有する光ファイバを得るには、中空のクラッド9を所定の方法で形成し、その中空部にゲルマニウムを融着又は蒸着させる方法がある。
中空コア13の内部孔13aは、真空状態となっている。このため、中空コア13で発生した赤外光L2のうち、コア内部で吸収される赤外光L2の比率が低減されている。その結果、中空コア13によれば、ファイバ型発光素子から、より強い赤外光L2を得ることができる。なお、中空コア13の内部孔13aは、真空状態に限定されるものではなく、例えば中空コア13の内部に不活性ガスや特殊波長吸収ガス等を充填して封止するようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図3を用いて説明する。本実施形態では、第2実施形態の中空コア13の内部孔13a内に、更に、石英等からなる内蔵光ファイバ15を備えている。内蔵光ファイバ15は、例えば直径5μm程度のガラスファイバであり、可視光(例えば緑色の光等を含む)を伝搬させる。内蔵光ファイバ15は、光ファイバ5における伝搬方向と同じ伝搬方向になるように中空コア13の内部孔13a内に配置される。その他の構成は第2実施形態と同様である。
このように中空コア13内に可視光を伝搬させる内蔵光ファイバ15を備えることにより、視認できない赤外線の出射方向を擬似的に視認することができる。例えば、赤外線を治療に用いる場合、治療箇所の確認や観察をしたりすることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について図4を用いて説明する。本実施形態では、第3実施形態の中空コア13及びその内部に配置される内蔵光ファイバ15の両端部に、更に、所定の波長成分の光のみを透過させる光学フィルタ17a,17bを備えている。光学フィルタ17a,17bは、発生した光のうち、所望の波長を有する光のみを外部に向かって透過させる。また、光学フィルタ17a,17bは、中空コア13の両端を封止するように配置されており、中空コア13内への水分やパーティクル等の浸入を防止するようになっている。つまり、中空コア13の内部孔13aは、密封されている。その他の構成は第3実施形態と同様である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、一対のレーザミラー7a,7bを光ファイバ5の両端に配置してレーザ共振器を構成して、赤外レーザ光L3を外部に照射できるようにしたが、所定強度の赤外光を照射できればよく、一対のレーザミラー7a,7bを含まない構成のファイバ型赤外光発光素子であってもよい。この場合、ファイバ型発光素子はハイパワーの赤外線を発光することができる。また、レーザミラー7a、7bのいずれか一方を光ファイバ5の一端に配置し、励起光を可視光からなるようにしてもよい。このような構成によれば、励起光で励起されて発生し、コア内を伝播する赤外線が光ファイバ5の他端から外部に出射される際、クラッド9を伝播する可視光からなる励起光L1を赤外線と共に同じ方向に出射させることができ、励起光L1を赤外線L2の出射方向を示す指標として用いることができる。このように励起光L1を用いることにより、視認できない赤外線L2の出射方向を擬似的に視認することができ、例えば、赤外線を治療に用いる場合、励起光L1による指標で治療箇所を確認することができる。さらに、一対のレーザミラー7a,7bに代えて、反射層を光ファイバ5の両端面に形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、波長100μm帯といった遠赤外線からなる赤外光を発生させる場合について説明したが、コア11を構成する材料のバンド間遷移に基づく他の波長やそれより長い波長の遠赤外線からなる赤外光を発生させるようにしてもよい。なお、上記実施形態では、ファイバ型レーザ装置1をレーザ治療装置に用いる場合を例として説明したが、このファイバ型レーザ装置は、レーザ治療装置以外の用途に用いられてもよく、用途は限定されない。
また、上記各実施形態では、励起光源3で発生させた励起光を用いて赤外線を発生させるようにしていたが、励起光源3に代えて、図5に示すように、加熱手段23を備え、加熱手段23から発せられた熱Hで、光ファイバ5の一端を熱し、これにより、コア11で赤外光L2を発生させるようにしてもよい。この場合、熱Hで熱せられる光ファイバ5の一端の温度は、例えば40〜50℃であり、赤外光L2を発する先端となる他端の温度は36〜37℃である。つまり、一端と他端との温度差が10℃以上となっている。したがって、加熱手段を備えたファイバ型レーザ装置によれば、より高温側から低温側へ赤外光を伝搬させることができ、適切な出力の赤外光を発生させることができる。
また、上記各実施形態では、ファイバ型レーザ装置となっているが、ファイバ型でなく、真性ゲルマニウム等からなる直径1〜3μmの円盤状の本体部の表面に、赤外光を透過させ得るガラスからなる光透過体(長さ1〜5μm)を設けると共に、光透過体の本体部とは逆の面に発光ダイオードを設けて、発光装置としてもよい。この場合でも、好適に赤外光を発生させることができる。なお、光透過体は、石英や透明樹脂等からなってもよく、また、発光ダイオードに代えて、可視光レーザやヒータ等の加熱手段や赤外線レーザダイオード等としてもよい。
また、上記実施形態で示したファイバ型レーザ装置を用いて、頭部のつぼを赤外光で刺激するようにしてもよい。はり等でつぼを刺激する場合、施術者が熟練している必要があるが、赤外光を用いてつぼを刺激する場合であれば熟練までいかない施術者であっても安全に行うことができる。
1…ファイバ型レーザ装置(ファイバ型発光素子)、3…励起光源、5…光ファイバ、7a,7b…レーザミラー、9…クラッド、11…コア、13…中空コア、13a…内部孔、15…内蔵光ファイバ、17a,17b…光学フィルタ、23…加熱手段、L1…励起光、L2…赤外光、L3…赤外レーザ光。

Claims (9)

  1. 赤外線領域の波長成分を含む光を発生させるファイバ型発光素子であって、
    励起光を発生させる励起光源と、
    前記励起光源から前記励起光が入射されて伝搬するクラッド及び該クラッドを伝搬する前記励起光で励起されるコアを有する光ファイバとを備え、
    前記コアが、真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Z(0<Y<1且つ0≦Z<1)の少なくとも一つからなることを特徴とするファイバ型発光素子。
  2. 前記光ファイバの両端に配置される一対のレーザミラーを更に備え、
    前記一対のレーザミラーと前記光ファイバとによりレーザ共振器が構成されることを特徴とする請求項1に記載のファイバ型発光素子。
  3. 前記光ファイバの一端に配置されるレーザミラー共振器を更に備え、前記励起光が可視光からなることを特徴とする請求項1に記載のファイバ型発光素子。
  4. 前記光ファイバの一端に配置されるレーザミラー共振器を更に備え、
    前記励起光が赤外線からなり、前記光ファイバの前記クラッドは、可視光が透過可能であることを特徴とする請求項1に記載のファイバ型発光素子。
  5. 前記コアが中空コアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のファイバ型発光素子。
  6. 可視光を伝搬させる内蔵光ファイバを更に備え、
    前記内蔵光ファイバは、前記光ファイバにおける伝搬方向と同じ伝搬方向になるように前記中空コア内に配置されることを特徴とする請求項5に記載のファイバ型発光素子。
  7. 所定の波長成分の光のみを透過させる光学フィルタを更に備え、
    前記光学フィルタは、前記中空コアの両端を封止するように配置されることを特徴とする請求項5又は6に記載のファイバ型発光素子。
  8. 前記クラッドは、GeSi1−x(0<X<1)を主体とするゲルマニウムシリコン酸化物ガラスであり、前記コア側に近接するにつれて、GeとSiとの合計に対するGeの割合が高くなり、前記クラッドの外周表面に近接するにつれて、GeとSiとの合計に対するSiの割合が高くなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のファイバ型発光素子。
  9. 赤外線領域の波長成分を含む光を発生させるファイバ型発光素子であって、
    熱を発生させる加熱手段と、
    前記加熱手段から前記熱が入射されるクラッド及び該クラッドに入射された前記熱で励起されるコアを有する光ファイバとを備え、
    前記コアが、真性ゲルマニウム、p型ゲルマニウム及びGeSiSn1−Y−Z(0<Y<1且つ0≦Z<1)の少なくとも一つからなることを特徴とするファイバ型発光素子。
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