JP2010076230A - 液体吐出装置 - Google Patents

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広和 笠原
透 ▲高▼橋
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Abstract

【課題】ヘッド同士が重なり合う部分の吐出指令データを改善する。
【解決手段】液体吐出装置は、液体の吐出指令を有効にするか無効にするかをノズル毎に示すマスクを用いて、一方の端部側に位置する一部の第1ノズル、及び、他方の端部側に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出を制御するコントローラを有する。このコントローラは、予め定められた制御パターンを有する基準マスクを用いて、一方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行い、かつ、基準マスクの制御パターンを交差方向について対称にした制御パターンの対称マスクを用いて、他方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行う。
【選択図】図8

Description

本発明は、液体吐出装置に関する。
液体吐出装置の一種にインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタともいう。)がある。このプリンタには、複数のヘッドの一部を重複させて継ぎ合わせ、ラインヘッドユニットとして構成したものがある(例えば、特許文献1を参照)。このプリンタでは、ヘッド同士が重なり合う部分での画像データの切り替え位置をランダム化し、画質低下を抑制している。
特開平6−255175号公報
この装置では、ヘッド同士が重なり合う部分におけるデータの切り替え位置を、1種類の基準値データでランダム化している。このため、ヘッドが重なり合う部分におけるデータの最適化について、改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、重なり合う部分のデータを改善することにある。
前記課題を解決するための主たる発明は、
(A)媒体との相対移動方向と交差する交差方向に複数の第1ノズルが並ぶ第1ノズル群を有する第1ヘッドと、
(B)前記交差方向に複数の第2ノズルが並ぶ第2ノズル群を有し、前記第1ヘッドに対して前記相対移動方向にずれた位置で、前記第2ノズル群の端部側に位置する一部の第2ノズルが前記第1ノズル群の一方の端部側に位置する一部の第1ノズルと前記相対移動方向に並ぶように配置される第2ヘッドと、
(C)前記交差方向に複数の第3ノズルが並ぶ第3ノズル群を有し、前記第1ヘッドに対して前記相対移動方向にずれた位置で、前記第3ノズル群の端部側に位置する一部の第3ノズルが前記第1ノズル群の他方の端部側に位置する一部の第1ノズルと前記相対移動方向に並ぶように配置される第3ヘッドと、
(D)液体の吐出指令を有効にするか無効にするかをノズル毎に示すマスクを用いて、前記一方の端部側に位置する一部の第1ノズル、及び、前記他方の端部側に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出を制御するコントローラであって、
予め定められた制御パターンを有する基準マスクを用いて、前記一方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行い、かつ、
前記基準マスクの制御パターンを前記交差方向について対称にした制御パターンの対称マスクを用いて、前記他方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行う、コントローラと、
を有する液体吐出装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
すなわち、媒体との相対移動方向と交差する交差方向に複数の第1ノズルが並ぶ第1ノズル群を有する第1ヘッドと、前記交差方向に複数の第2ノズルが並ぶ第2ノズル群を有し、前記第1ヘッドに対して前記相対移動方向にずれた位置で、前記第2ノズル群の端部側に位置する一部の第2ノズルが前記第1ノズル群の一方の端部側に位置する一部の第1ノズルと前記相対移動方向に並ぶように配置される第2ヘッドと、前記交差方向に複数の第3ノズルが並ぶ第3ノズル群を有し、前記第1ヘッドに対して前記相対移動方向にずれた位置で、前記第3ノズル群の端部側に位置する一部の第3ノズルが前記第1ノズル群の他方の端部側に位置する一部の第1ノズルと前記相対移動方向に並ぶように配置される第3ヘッドと、液体の吐出指令を有効にするか無効にするかをノズル毎に示すマスクを用いて、前記一方の端部側に位置する一部の第1ノズル、及び、前記他方の端部側に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出を制御するコントローラであって、予め定められた制御パターンを有する基準マスクを用いて、前記一方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行い、かつ、前記基準マスクの制御パターンを前記交差方向について対称にした制御パターンの対称マスクを用いて、前記他方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行う、コントローラと、を有する液体吐出装置を実現できることが明らかにされる。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズル群における一方の端部に位置する一部の第1ノズル用の基準マスクと、他方の端部に位置する一部の第1ノズル用の対称マスクとは、制御パターンが交差方向について対称になる。このため、一方の端部に位置する一部の第1ノズルと他方の端部に位置する一部の第1ノズルとの間で、制御パターンを異ならせることができる。その結果、第1ヘッドの両端部分にてデータの改善が図れる。加えて、基準マスクに基づいて対象マスクを作成できるので、処理の簡素化が図れる。
かかる液体吐出装置であって、前記基準マスクの制御パターンは、前記一部の第1ノズルにおける液体の吐出指令を有効にする割合に関し、前記一方の端部側の割合よりも前記他方の端部側の割合の方が高く定められていることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、液体の吐出指令を有効にする割合を段階的に変化させることができるので、第1ヘッドの両端部分においてデータの一層の改善が図れる。
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記一部の第2ノズルに対する液体の吐出を制御するものであって、前記基準マスクの制御パターンにおける有効と無効の関係を反転させた制御パターンの反転基準マスクを用いて、前記一部の第2ノズルに対する液体の吐出を制御することが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、基準マスクに基づいて反転基準マスクを作成できるので、処理の簡素化が図れる。
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記一部の第3ノズルに対する液体の吐出を制御するものであって、前記対称マスクの制御パターンにおける有効と無効の関係を反転させた制御パターンの反転対称マスクを用いて、前記一部の第3ノズルに対する液体の吐出を制御することが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、対称マスクに基づいて反転対象マスクを作成できるので、処理の簡素化が図れる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズル群は、前記交差方向に複数の前記第1ノズルが所定ピッチで列状に並んだ第1ノズル列を、前記相対移動方向に複数並べた状態で備え、前記第2ノズル群は、前記交差方向に複数の前記第2ノズルが前記所定ピッチで列状に並んだ第2ノズル列を、前記相対移動方向に複数並べた状態で備え、前記第3ノズル群は、前記交差方向に複数の前記第3ノズルが前記所定ピッチで列状に並んだ第3ノズル列を、前記相対移動方向に複数並べた状態で備えることが好ましい。そして、前記第1ノズル群は、前記第1ノズル列毎に定めた2種類以上の液体を吐出し、前記第2ノズル群は、前記第2ノズル列毎に定めた2種類以上の液体を吐出し、前記第3ノズル群は、前記第3ノズル列毎に定めた2種類以上の液体を吐出することが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、ノズル列毎に吐出する液体の種類を定めることができる。そして、複数種類の液体を選択的に吐出させることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記基準マスクは、吐出する液体の種類毎に設けられることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、対象マスクも吐出する液体の種類毎に設けられる。これにより、吐出する液体の種類に適した制御が行える。
かかる液体吐出装置であって、前記液体は、印刷用のインクであることが好ましい。
このような液体吐出装置によれば、印刷される画像の画質を向上させることができる。
===第1実施形態===
印刷システムは、用紙S(図2B等を参照)に画像を印刷するためのものであり、図1に示すように、コンピュータCPとプリンタ1とを有する。このプリンタ1は、液体状のインク(水性インク,油性インク)を吐出して用紙S等の媒体に画像を印刷する印刷装置の一種である。コンピュータCPは、印刷装置としてのプリンタ1に印刷動作を行わせるための制御をする印刷制御装置の一種である。本実施形態では、コンピュータCPとプリンタ1のセットが液体吐出装置の一種に相当する。
<コンピュータCPについて>
コンピュータCPはホスト側コントローラ100を有する。このホスト側コントローラ100は、インタフェース部101と、CPU102と、メモリ103とを有する。インタフェース部101は、プリンタ1との間でデータの受け渡しを行う。CPU102は、コンピュータCPの全体的な制御を行う。メモリ103は、コンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。このメモリ103には、コンピュータプログラムの一種としてプリンタドライバが記憶されている。このプリンタドライバをCPU102が実行することにより、アプリケーションプログラムの実行によって得られた画像データから、プリンタ1用のデータが生成される。詳しくは後で述べるが、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)からなるCMYK二値画像データが生成される。そして、生成された画像データがプリンタ1へ送信される。
<プリンタ1について>
プリンタ1は、用紙搬送機構10、駆動信号生成回路20、ラインヘッドユニット30、検出器群40、及び、プリンタ側コントローラ50を有する。用紙搬送機構10は用紙Sを搬送方向(相対移動方向の一種)に搬送させる。駆動信号生成回路20は駆動信号COMを生成する。駆動信号COMはラインヘッドユニット30が有する各ヘッドHD(HD1〜HD8,図2Bを参照)からインクを吐出させるために用いられる。ラインヘッドユニット30は複数のヘッドHD1〜HD8とヘッド制御部HCとを有する。ヘッドHDはインクを用紙Sに向けて吐出させる。ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ50からのヘッド制御信号に基づいて各ヘッドHD1〜HD8によるインク滴の吐出を制御する。検出器群40は、プリンタ1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、プリンタ側コントローラ50に出力される。プリンタ側コントローラ50は、プリンタ1における全体的な制御を行う。
用紙搬送機構10は、図2Aに示すように、給紙ローラ11と、搬送ローラ12と、プラテン13と、排紙ローラ14とを有する。給紙ローラ11は、用紙Sを供給するためのローラである。搬送ローラ12は、給紙ローラ11によって給紙された用紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラである。プラテン13は、印刷中の用紙Sを裏面側から支持する部材である。排紙ローラ14は、用紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラである。
図2Bに示すように、ラインヘッドユニット30は複数のヘッドHD1〜HD8を有する。これらのヘッドHD1〜HD8は、ベースプレートBPに対して千鳥状に取り付けられている。この例において、搬送方向の上流側には4つのヘッドHD1,HD3,HD5,HD7が紙幅方向に所定間隔で配置され、搬送方向の下流側にも4つのヘッドHD2,HD4,HD6,HD8が紙幅方向に所定間隔で配置されている。ここで紙幅方向は、搬送方向に交差する交差方向に相当する。この実施形態における紙幅方向は、搬送方向に対して直交する方向である。下流側のヘッド群(HD2〜HD8)は、上流側のヘッド群(HD1〜HD7)に対して、紙幅方向に位置をずらして配置されている。これにより、紙幅方向に対して上流側の各ヘッドHD1,HD3,HD5,HD7と下流側の各ヘッドHD2,HD4,HD6,HD8が交互に並んだ状態になる。各ヘッドHD1〜HD8は同じ種類のインクを吐出するので、1つのヘッドHDから吐出させた場合よりも、広い範囲にインクを吐出させることができる。なお、ラインヘッドユニット30の構成については、後で詳しく説明する。
ヘッド制御部HCは、複数のヘッドHD1〜HD8が有する各ノズルからインク滴を吐出させるための制御を行う。例えば、ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ50からのヘッド制御信号と駆動信号生成回路20からの駆動信号COMとに基づき、各ヘッドHD1〜HD8が有する駆動素子(図示せず)を動作させ、対応するノズルからインクを吐出させる。なお、駆動素子とは、駆動信号COMの印加に伴って駆動され、インク滴を吐出させるための動作をする素子である。この駆動素子はピエゾ素子や発熱素子などである。
プリンタ側コントローラ50は、プリンタ1における全体的な制御を行う。例えば、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙Sに画像を印刷させる。図1Aに示すように、プリンタ側コントローラ50は、インタフェース部51と、CPU52と、メモリ53とを有する。インタフェース部51は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU52は、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ53は、コンピュータプログラムや各種のデータを記憶する領域や作業領域等を確保する。CPU52は、メモリ53に記憶されているコンピュータプログラム(ファームウェア等)に従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU52は用紙搬送機構10の制御を行う。また、CPU52は、ヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路20に送信したりする。
<ラインヘッドユニット30の構成について>
図3に示すように、各ヘッドHDは、複数のノズルからなるノズル群を有する。この図において、ノズルは、記号#を付した番号で示す円形の部分である。各ノズルは、紙幅方向と搬送方向のそれぞれに並んでいる。すなわち、マトリクス状(行列状)に並んでいる。ノズル群を構成する複数のノズルのうち、紙幅方向に所定ピッチで並ぶ複数のノズルは、ノズル列を構成する。この実施形態では、1/360インチピッチでノズルが形成されている。そして、360個のノズルで1つのノズル列が構成され、このノズル列が搬送方向に4つ並んでいる。各ノズル列は、それぞれ定められた種類のインクを吐出させる。具体的には、搬送方向の上流側から1番目のノズル列は、ブラックインク(K)を吐出するブラックインクノズル列であり、2番目のノズル列は、シアンインク(C)を吐出するシアンインクノズル列である。また、3番目のノズル列は、マゼンタインク(M)を吐出するマゼンタインクノズル列であり、4番目のノズル列は、イエローインク(Y)を吐出するイエローインクノズル列である。このように複数種類のインクをノズル列毎に、選択的に吐出させているので
或るノズル列に属する複数のノズルと他のノズル列に属する複数のノズル列において、対応するノズル同士は紙幅方向の位置が揃っている。言い換えれば、このラインヘッドユニット30において、同じラスタラインを担当するノズルは、搬送方向に並んでいる。例えば、ブラックインクノズル列の1番目のノズル#1、シアンインクノズル列の1番目のノズル#1、マゼンタインクノズル列の1番目のノズル#1、及び、イエローインクノズル列の1番目のノズル#1は、互いに対応した関係にあり、搬送方向に沿って並んでいる。この関係は、各ノズル列における同じ番号のノズル同士についても同様にあてはまる。このため、媒体における或る場所に異なる色のドットを重ねて形成する場合、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクが吐出されることになる。
各ヘッドHDにおける紙幅方向の端部に位置する一部のノズルは、隣接するヘッドHDにおける紙幅方向の端部に位置する一部のノズルと、紙幅方向において重なっている。そして、重なっているノズル同士は搬送方向に並んでいる。
例えば、ヘッドHD3とヘッドHD4は、ヘッドHD3の各ノズル列が有する1番目のノズル#1から8番目のノズル#8と、ヘッドHD4の各ノズル列が有する353番目のノズル#353から360番目のノズル#360が紙幅方向において重なっている。すなわち、ヘッドHD3の各ノズル列が有する1番目のノズル#1は、ヘッドHD4の各ノズル列が有する353番目のノズル#353と紙幅方向において重なっている。同様に、ヘッドHD3の2番目のノズル#2はヘッドHD4の354番目のノズル#354と、ヘッドHD3の3番目のノズル#3はヘッドHD4の355番目のノズル#355と、それぞれ紙幅方向において重なっている。紙幅方向で重なる8個のノズルは、搬送方向に沿って一列に並んでいる。
同様に、ヘッドHD3とヘッドHD2は、ヘッドHD3の各ノズル列が有する353番目のノズル#353から360番目のノズル#360と、ヘッドHD2の各ノズル列が有する1番目のノズル#1から8番目のノズル#8が紙幅方向において重なっている。すなわち、第3ヘッドHDの各ノズル列が有する353番目のノズル#353は、ヘッドHD2の各ノズル列が有する1番目のノズル#1と紙幅方向において重なっている。同様に、ヘッドHD3の354番目のノズル#354はヘッドHD2の2番目のノズル#2と、ヘッドHD3の355番目のノズル#355はヘッドHD2の3番目のノズル#3と、それぞれ紙幅方向において重なっている。これらのヘッドHDにおいても、紙幅方向で重なる8個のノズルは、搬送方向に沿って一列に並んでいる。
このラインヘッドユニット30では、搬送方向の上流側に位置する各ヘッドHD1,HD3,HD5,HD7が先行ヘッドに相当し、下流側に位置する各ヘッドHD2,HD4,HD6,HD8が後行ヘッドに相当する。これは、用紙Sの搬送方向における或る場所にドットを形成する場合、先行ヘッドによるインク滴の吐出が、後行ヘッドによるインク滴の吐出に先行して行われるからである。そして、先行ヘッドとしての各ヘッドHD1〜HD7が有するノズル群は先行ノズル群に相当し、後行ヘッドとしての各ヘッドHD2〜HD8が有するノズル群は後行ノズル群に相当する。加えて、後行ヘッドとしての各ヘッドHD2〜HD8は、先行ヘッドとしての各ヘッドHD1〜HD7よりも搬送方向における下流側にて、後行ノズル群の一方の端部側に位置する一部のノズルが先行ノズル群の他方の端部側に位置する一部のノズルと搬送方向に並ぶ位置に配置される。
また、このラインヘッドユニット30において、紙幅方向の両端に位置する2つのヘッドHD1,HD8を除く各ヘッドHD2〜HD7では、紙幅方向の一方の端部側に位置する一部のノズルが、他のヘッドHDが有するノズル群であって紙幅方向の他方の端部側に位置する一部のノズルと紙幅方向において重なり、重なっている各ノズルが搬送方向に並んでいる。同様に、紙幅方向の他方の端部側に位置する一部のノズルが、さらに他のヘッドHDが有するノズル群であって紙幅方向の一方の端部側に位置する一部のノズルと紙幅方向において重なり、重なっている各ノズルが搬送方向に並んでいる。
例えば、ヘッドHD4(第1ヘッド)が有するノズル群(4つの第1ノズル列からなる第1ノズル群)は、一方の端部でヘッドHD3(第2ヘッド)が有するノズル群(4つの第2ノズル列からなる第2ノズル群)の一部と紙幅方向において重なり、他方の端部でヘッドHD5(第3ヘッド)が有するノズル群(4つの第3ノズル列からなる第3ノズル群)の一部と紙幅方向において重なっている。同様に、ヘッドHD3(第1ヘッド)が有するノズル群(第1ノズル群)は、一方の端部でヘッドHD2(第2ヘッド)が有するノズル群(第2ノズル群)の一部と紙幅方向において重なり、他方の端部でヘッドHD4(第3ヘッド)が有するノズル群(第3ノズル群)の一部と紙幅方向において重なっている。説明は省略するが、他のヘッドHDについても同様である。
この説明から判るように、本実施形態のラインヘッドユニット30において、第2ヘッド及び第3ヘッドとなる各ヘッドHDは、第1ヘッドとなる各ヘッドHDに対し、搬送方向における同じ側に配置される。すなわち、第2ヘッドが第1ヘッドに対して搬送方向の下流側に配置されるとき、第3ヘッドも第1ヘッドに対して搬送方向の下流側に配置される。例えば、ヘッドHD3が第1ヘッドとなるとき、第2ヘッドとなるヘッドHD2、及び、第3ヘッドとなるヘッドHD4は、ともにヘッドHD3よりも搬送方向の下流側に位置する。また、第2ヘッドが第1ヘッドに対して搬送方向の上流側に配置されるとき、第3ヘッドも第1ヘッドに対して搬送方向の上流側に配置される。例えば、ヘッドHD4が第1ヘッドとなるとき、第2ヘッドとなるヘッドHD3、及び、第3ヘッドとなるヘッドHD5は、ともにヘッドHD4よりも搬送方向の上流側に位置する。
<印刷動作について>
次に、この印刷システムにおける印刷動作について説明する。この印刷システムでは、画像データから印刷用のデータを生成し、印刷用のデータに基づいてインク滴の吐出制御が行われる。例えば、ホスト側コントローラ100は、アプリケーションプログラムを実行することで、印刷対象の画像データを生成する。また、ホスト側コントローラ100は、プリンタドライバを実行することで、印刷対象の画像データから、ドットの形成或いは非形成を示す二値画像データをインクの種類毎に生成し、プリンタ1へ転送する。プリンタ1では、プリンタ側コントローラ50が二値画像データを各ヘッドHDに分配して転送する。転送された二値画像データに基づき、各ヘッドHDは、対応するノズルからインクを吐出させる。すなわち、二値画像データを構成する画素データがドットの形成を示す場合、対応するノズルからインクを吐出させる。一方、この画素データがドットの非形成を示す場合、対応するノズルからはインクを吐出させない。このとき、ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ50からのヘッド制御信号に基づき、駆動信号COMの駆動素子への印加を制御する。
このように、この印刷システムにおけるインク滴の吐出制御は、二値画像データを構成するノズル毎の画素データ(二値の画素データ)に基づいて行われる。このため、ノズル毎の画素データは、インクの吐出量をノズル毎に示す吐出指令に相当する。ここで、二値画像データは、印刷用の解像度に変換された画像データから生成される。従って、解像度変換後の画像データを構成する各画素データ(多階調の画素データ)も、インクの吐出量をノズル毎に示す吐出指令といえる。
以上より、ホスト側コントローラ100、プリンタ側コントローラ50、ヘッド制御部HCの組は、インク(液体)の吐出量を示す吐出指令群に基づき、インクの吐出をノズル毎に制御するコントローラに相当するといえる。
<印刷動作の具体例について>
次に、印刷動作の具体例を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
アプリケーションプログラム上で印刷の指示がなされると、ホスト側コントローラ100は解像度変換処理を行う(S11)。解像度変換処理は、印刷対象の画像データ(テキストデータ,イメージデータ)を、用紙Sへの印刷時の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。このプリンタ1における印刷解像度は360dpi×360dpiであり、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータである。そして、この画像データは、画素毎に階調値を示す画素データ群によって構成される。このため、ホスト側コントローラ100は、アプリケーションプログラムから受け取った印刷対象の画像データを、360dpi×360dpiの印刷解像度に変換するとともに、各画素データの階調を256階調に変換する。
解像度変換処理を行ったならば、ホスト側コントローラ100は、色変換処理を行う(S12)。色変換処理は、解像度変換処理を行った画像データの色空間を、インクの色空間に変換する処理である。この印刷システムでは、RGB色空間で表された256階調の画像データが、CMYK色空間で表される256階調の画像データに変換される。
次に、ホスト側コントローラ100は、濃度ムラ補正処理を行う(S13)。濃度ムラ補正処理は、印刷画像の濃度ムラを抑制する目的で、色変換処理後の画像データ(CMYK色空間,256階調)が有する各画素データの階調値を、補正値に基づいて補正する処理である。この補正値は、印刷されたテストパターンの濃度に基づき、ラスタライン毎に取得される。簡単に説明すると、所定濃度のテストパターンを用紙Sに印刷し、テストパターンの濃度(色の濃さ)をラスタライン毎に取得する。ラスタライン毎の濃度から平均濃度を算出し、算出した平均濃度との差に基づいて補正値を取得する。例えば、異なる複数種類の階調値について、横軸に指令階調値を、縦軸に指令階調値毎の平均濃度をそれぞれプロットし、得られた一次式に基づいて補正値を取得する。すなわち、ラスタライン毎の濃度を一次式にあてはめ、一次補間によって補正値を算出する。算出された補正値は、プリンタ側コントローラ50のメモリ53に記憶される。そして、この補正値は、ホスト側コントローラ100がプリンタドライバを実行する際に、プリンタ側コントローラ50のメモリ53から読み出される。
濃度ムラ補正処理を行ったならば、ホスト側コントローラ100は、ハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理は、高階調数の画像データ(画素データ群)を低階調数の画像データに変換する処理である。このハーフトーン処理を行うことで、プリンタ1で扱うことのできる階調数の印刷画像データが得られる。例えば、256階調の画像データがプリンタ1で表現可能な2階調の画像データ(以下、二値画像データともいう)に変換される。この二値画像データは、画素の形成と非形成の2種類を示す画素データ群によって構成される。このため、インク滴の吐出制御としては、吐出と非吐出からなる2種類の制御ができる。なお、プリンタ1によっては、このハーフトーン処理で、大ドット、中ドット、小ドット、及び、ドットの非形成からなる4階調の画像データに変換される。ハーフトーン処理を行ったならば、ホスト側コントローラ100は、得られた二値画像データをプリンタ1(プリンタ側コントローラ50)に送信する。
二値画像データを受信したプリンタ側コントローラ50は、データコピー処理(S15)を行う。データコピー処理は、ハーフトーン処理で得られた二値画像データ(画素データ群)のうち、先行ヘッドが有する一部のノズルと後行ヘッドが有する一部のノズルのそれぞれに対応する二値画像データを、先行ヘッド用の二値画像データに含ませると共に、後行ヘッド用の二値画像データにも含ませる処理である。なお、データコピー処理については、後で説明する。
次に、プリンタ側コントローラ50は、データ分配処理を行う(S16)。データ分配処理は、データコピー処理後の二値画像データから、各ヘッドHD用の二値画像データを得る処理である。この印刷システムでは、データ分配処理が行われると、ヘッドHD1からヘッドHD8までの8個のヘッドHD1〜HD8に用いられる二値画像データが得られる。データ分配処理を行ったならば、プリンタ側コントローラ50は、マスキング処理を行う(S17)。マスキング処理は、先行ヘッド用の二値画像データに含まれ、後行ヘッド用の二値画像データにも含まれる二値の画素データに関し、どちらを有効にするかを定める処理である。このマスキング処理により、一方のヘッドHDの画素データが有効とされ、他方のヘッドHDの画素データが無効にされる。その結果、先行ノズル群に属するノズルでドットを形成することができ、後行ノズル群に属するノズルでもドットを形成することができる場合に、どちらのノズルを使ってドットを形成するかが定められる。なお、マスキング処理、及び、使用するマスクデータについては、後で説明する。
マスキング処理を行ったならば、プリンタ側コントローラ50はデータ転送処理を行う(S18)。データ転送処理は、マスキング処理が施されたヘッド毎の二値画像データを、対応するヘッドHD1〜HD8に転送する処理である。二値画像データが対応するヘッドHD1〜HD8に転送されると、ドット形成処理が行われる(S19)。ドット形成処理では、転送された二値画像データに基づき、インク滴の吐出制御が行われる。例えば、二値画像データを構成する画素データがドットの形成(インク滴の吐出)を示す場合、ヘッド制御部HCは、そのノズルに対応する駆動素子に、駆動信号COMを印加させる。これにより、駆動素子が動作して、対応するノズルからインク滴が吐出される。一方、画素データがドットの非形成(インクの不吐出)を示す場合、ヘッド制御部HCは、そのノズルに対応する駆動素子に、駆動信号COMを印加させない。この場合、駆動素子は動作しないので、対応するノズルからインク滴は吐出されない。
なお、駆動信号生成回路20に、インク滴を吐出させるため動作を駆動素子に行わせる吐出パルスと、インクの増粘を抑制するための動作を駆動素子に行わせる増粘抑制パルスとを有する駆動信号COMを生成させることもある。この場合、ヘッド制御部HCは、ドットの形成を示す画素データに対応させて、吐出パルスを駆動素子に印加させ、ドットの非形成を示す画素データに対応させて、増粘抑制パルスを駆動素子に印加させる。
解像度変換処理(S11)からドット形成処理(S19)までの一連の処理は、印刷対象となる画像データがなくなるまで繰り返し行われる(S20)。そして、この一連の処理は、用紙Sの搬送に同期して行われる。すなわち、プリンタ側コントローラ50は、用紙搬送機構10を制御して用紙Sを搬送させる。その結果、用紙Sには、画像データによって定められる画像が印刷される。
<データコピー処理について>
次にデータコピー処理(S15)について説明する。前述したように、データコピー処理は、所定の二値画像データ(二値の画素データ群)を、先行ヘッド(HD1〜HD7)用の二値画像データ群と後行ヘッド(HD2〜HD8)用の二値画像データ群のそれぞれに含ませる処理である。
図5の最上段に示すように、データコピー処理を施す前の二値画像データ(入力画像)は、ラスタライン毎のデータになっている。このため、図中、符号L1〜L8で示すラスタラインについては、先行ヘッドとなる各ヘッドHD1〜HD7の353番目のノズル#353から360番目のノズル#360でドットを形成することもできるし、後行ヘッドとなる各ヘッドHD2〜HD8の1番目のノズル#1から8番目のノズル#8でドットを形成することもできる。
ここで、従来技術のように、紙幅方向の位置(すなわちラスタライン)に応じて担当するヘッドを切り替えてランダム化をした場合、処理の効率が悪くなってしまう。これは、紙幅方向全体の二値画像データを、一括して処理する必要が生じるからである。この点に関し、本実施形態のプリンタ1では、二値画像データをヘッドHD毎に分割している。これにより、扱うデータの単位が小さくなり、事後のデータの処理をヘッドHD毎に行うことができる。その結果、処理の効率を向上させることができる。
この際、先行ノズル群の端部側に位置する一部のノズルと後行ノズル群の端部側に位置する一部のノズルのそれぞれに対応する二値画像データについては、先行ヘッド用の二値画像データ群に含ませるとともに、後行ヘッド用の二値画像データ群にも含ませている。これにより、データのサイズや並び順が揃えられ、先行ヘッド用の二値画像データ群と後行ヘッド用の二値画像データ群とを同等に扱うことができる。この点でも、処理の効率を向上させることができる。
ここで、二値画像データを構成する二値の画素データ群は、インク滴の吐出と非吐出を表すため吐出指令に相当する。従って、データコピー処理は、吐出指令群のうち、先行ノズル群が有する一部のノズルと後行ノズル群が有する一部のノズルのそれぞれに対応する吐出指令を、先行ヘッド用の吐出指令群に含ませるとともに後行ヘッド用の吐出指令群にも含ませる処理に相当する。
なお、以上は、先行ヘッドの353番目から360番目のノズル#353〜#360と、後行ヘッドの1番目から8番目のノズル#1〜#8の場合について説明したが、先行ヘッドの1番目から8番目のノズル#1〜#8と後行ヘッドの353番目から360番目のノズル#353〜#360についても同様の関係が成立する。このため、データコピー処理では、これらのノズルに対応する範囲の二値画像データについても同様に処理がなされる。すなわち、この範囲の二値画像データは、先行ヘッド用の二値画像データ群と後行ヘッド用の二値画像データ群のそれぞれに含まれる。
<マスキング処理について>
次に、マスキング処理(S17)について説明する。前述したように、マスキング処理は、先行ヘッドの一部のノズルと後行ヘッドの一部のノズルが、紙幅方向に重なっている範囲において、どちらのノズルを使ってドットを形成するかを定める処理である。このマスキング処理は、マスクデータMDを用いて行う。
マスクデータMDは、概念的には、図5の中段や図6の中央部に示されるものである。このマスクデータMDは、1つの正方形が1つの単位領域に対応している。ここで、単位領域とは、1つのドットを形成し得る仮想の小領域を意味する。このプリンタ1では、二値の画素データに基づく吐出制御により、1つの単位領域に対するドットの形成又は非形成が定められる。言い換えれば、1つのノズルによるインク滴の吐出若しくは非吐出が定められる。このため、マスクデータMDは、二値の画素データの有効と無効をノズル毎に示すマスクに相当する。
図6のマスクデータMDでは、紙幅方向にL1〜L8からなる8個の単位領域が並び、搬送方向にn1〜n8からなる8個の単位領域が並んでいる。なお、符号L1〜L8はラスタラインを示す符号として用いたが、単位領域を特定するための符号としても用いる。これは、単位領域における紙幅方向の大きさと各ラスタラインの幅が同じになると考えられるからである。このマスクデータMDにおいて、黒い部分はその画素データを有効にするデータを意味し、白い部分はその画素データを無効にするデータを意味する。従って、このマスクデータMDを或るヘッドHDに適用すると、図6の右部に示すように、[1]が付された単位領域については、そのヘッドHDが有するノズルでドットが形成される。一方、[2]が付された単位領域については、他のヘッドHDが有するノズルでドットが形成される。
例えば、このマスクデータMDが、ヘッドHD3における1番目から8番目のノズル#1〜#8に適用されたとする(図3を参照)。この場合、図6の右部に示す[1]の単位領域については、ヘッドHD3における1番目から8番目のノズル#1〜#8でドットが形成される。そして、ヘッドHD4における353番目から360番目のノズル#353〜#360については、図6の中央部のマスクデータMDにおける有効と無効の関係を反転したマスクデータMD(図中の白黒を反転させたマスクデータ)が適用される。これにより、図6の右部に示す[2]の単位領域については、ヘッドHD4における353番目から360番目のノズル#353〜#360でドットが形成される。そして、図5には、データコピー処理で先行ヘッド用と後行ヘッド用とに分けられた二値画像データ(入力画像)に対し、データの有効と無効の関係を反転させた2種類のマスクデータMDを適用し、ヘッドHD毎の二値画像データを取得する処理が記載されている。
このようなマスクデータMDは、前述のハーフトーン処理と同様の技術を用いて作成される。まず、図6の左部に示すマスクデータ作成用画像(以下、単に作成用画像ともいう)に対応した画像データを作成する。この作成用画像はM個×N個の画素から構成される。そして、対応する画像データにおいて、個々の画素データは多階調(例えば、0〜255)である。例示した作成用画像は、M種類の濃度の帯状パターンにより構成されている。すなわち、同じ帯状パターンに属するN個の画素について、その画素データの階調値はどれも同じ値となっている。一方、M個の帯状パターンについて、その画素データの階調値は互いに異なっている。すなわち、右側に向かうほど高い階調値になっている。この多階調の画素データに対して、一般的に知られているディザ法や誤差拡散法等によるハーフトーン処理を実行し、二値化された画素データ群を得る。得られた二値の画素データ群がマスクデータMDとなる。
ここで、作成用画像におけるM個の帯状パターンに関し、その階調値(濃度)を段階的に変化させた理由について説明する。一部のノズルが紙幅方向に重なっているヘッドHD同士において、ヘッドHD毎の特性差を目立たなくする観点からすれば、これらのノズルが担当するラスタラインについては、先行ヘッドが有するノズル群と後行ヘッドが有するノズル群とからランダムに選択されることが好ましい。しかし、先行ヘッドにおける352番目のノズル#2から9番目のノズルに対応するラスタラインは、先行ノズル群のみでドットが形成される。同様に、後行ヘッドにおける9番目のノズルから352番目のノズル#2に対応するラスタラインは、後行ノズル群のみでドットが形成される。これらのことを考慮すると、ラスタラインL1〜L8において、ラスタラインL1に近付くほど先行ノズル群の使用比率が高くなり、ラスタラインL8に近付くほど後行ノズル群の使用比率が高くなることが好ましいといえる。これは、専らそのヘッドHDのノズル群で形成されるラスタラインに近いラスタラインほど、そのヘッドHDの特性が色濃く反映されるからである。
そこで、この印刷システムでは、マスクデータMDを作成するに際して、階調値を段階的に変化させた複数の帯状パターンを用いている。これにより、得られたマスクデータMDの制御パターンは、各ノズル列(ノズル群に相当する)における一方の端部側のノズルの使用比率(液体の吐出指令を有効にする割合に相当する)よりも、他方の端部側のノズルの使用比率の方が高くなるように定められる。その結果、ヘッドHD同士が紙幅方向に重なっている部分の、ヘッドHD同士の特性差に起因する画質低下を抑制できる。
<色の重ね順について>
前述の説明から判るように、このラインヘッドユニット30では、搬送方向の上流側に位置する先行ヘッド(ヘッドHD1〜HD7)の各ノズルだけでドットを形成するラスタラインと、搬送方向の下流側に位置する後行ヘッド(各ヘッドHD2〜HD8)の各ノズルだけでドットを形成するラスタラインと、先行ヘッド及び後行ヘッド(HD1〜HD8)が有するノズルでドットを形成するラスタラインとが混在する。
ここで、或る単位領域に対して、シアン、マゼンタ、イエローの各インクでドットを重ねて形成する場合について考察する。ドットの重ね合わせの順序に関しては、先行ヘッドのノズルだけ、或いは、後行ヘッドのノズルだけでドットを形成するラスタラインと、先行ヘッドと後行ヘッドの両方のノズルでドットを形成するラスタラインとで相違する。
前者のラスタラインについて説明する。このラスタラインに関し、用紙Sが搬送方向に搬送されることを考慮すると、搬送方向における上流側のノズルから吐出されるインクほど早いタイミングで用紙Sに着弾される。前述したように、各ヘッドHD1〜HD8が有するノズル列は、搬送方向の上流側から順にブラックインクノズル列、シアンインクノズル列、マゼンタインクノズル列、及び、イエローインクノズル列の順に並んでいる。このため、上記3色のドットの重ね順は、最初にシアンインクとなり、次にマゼンタインクとなり、最後にイエローインクとなる。
一方、後者のラスタラインでは、4色分のノズル列が2組搬送方向に並んでいる。すなわち、同じ色を吐出するノズル列が、先行ヘッド側の組(上流側の組)と後行ヘッド側の組(下流側の組)とに1つずつある。そして、何れのノズル列に属するノズルが選択されるかは、前述したマスクデータMDによって定められる。このため、各色のドットは種々の重ね順を取り得る。例えば、シアンインクを吐出するノズルが下流側の組とされ、マゼンタインクとイエローインクを吐出するノズルが上流側の組とされた場合、ドットの重ね順は、最初にマゼンタインクとなり、次にイエローインクとなり、最後にシアンインクとなる。また、シアンインクとイエローインクを吐出するノズルが先行ヘッド側の組とされ、マゼンタインクを吐出するノズルが後行ヘッド側の組とされた場合、ドットの重ね順は、最初にシアンインクとなり、次にイエローインクとなり、最後にマゼンタインクとなる。
ドットの重ね順の違いは、色合いの違いを生じさせ得る。これは、最初に用紙Sに着弾するインクは比較的滲み難いのに対し、先に形成されたドットの上に着弾するインクは比較的滲みやすいことに起因すると考えられる。このような色合いの違いにより、先行ヘッドのノズルだけ、或いは、後行ヘッドのノズルだけでドットを形成するラスタラインと、先行ヘッドと後行ヘッドの両方のノズルでドットを形成するラスタラインとで色の違いが目立ち、画質を損なう要因になっていた。このため、後者のラスタラインにおけるドットの重ね順に関し、前者のラスタラインにおけるドットの重ね順とできるだけ揃えることが求められる。
<色毎のマスクデータMDについて>
このような事情に鑑み、この印刷システムでは、マスクデータMDをインクの色毎に用意し、ノズル群の使用比率をインクの色毎に異ならせている。図7A及び図7Bに示すように、先行ヘッド用のマスクデータMDについては、第1色(例えば、シアン)のインクの選択率が、搬送方向においてこの第1色よりも後の色順である第2色(例えば、マゼンタ)のインクの選択率よりも大きくなるようにしている。
すなわち、プリンタ側コントローラ50は、或るラスタラインを担当する先行ヘッドの各ノズル(便宜上、先行ノズルセットともいう)から吐出される第1色のインクにより形成されるドットの数の、ラスタラインに属しこの第1色のインクにより形成される全ドットの数に対する比率が、先行ノズルセットから吐出される第2色のインクにより形成されるドットの数の、ラスタラインに属しこの第2色のインクにより形成される全ドットの数に対する比率よりも大きくなるようにインクを吐出させて、ラスタラインを形成する。
言い換えれば、プリンタ側コントローラ50は、先行ノズルセットから吐出される第1色のインクのラスタライン上の量をA1、そのラスタラインを担当する後行ヘッドの各ノズル(便宜上、後行ノズルセットともいう)から吐出される第1色のインクのラスタライン上の量をA2、先行ノズルセットから吐出される第2色のインクのラスタライン上の量をB1、後行ノズルセットから吐出される第2色のインクのラスタライン上の量をB2、としたときに、A1のA1+A2に対する比率(以下、第1比率とも呼ぶ)がB1のB1+B2に対する比率(以下、第2比率とも呼ぶ)よりも大きくなるようにインクを吐出させて、ラスタラインを形成する。
なお、以上は、第1色のインクとしてシアンインクを、第2色のインクとしてマゼンタインクを例示した。ここで、第1色のインクがマゼンタインクであり、第2色のインクがイエローインクであっても同様である。
このようにすることで、先行ヘッドと後行ヘッドの両方のノズルでドットを形成するラスタラインにおいては、搬送方向の上流側に位置するノズル列のノズルほど、先行ヘッド側のノズル群から選択される確率が高くなる。従って、このラスタラインにおけるドットの重ね順が、先行ヘッドのノズルだけ、或いは、後行ヘッドのノズルだけでドットを形成するラスタラインにおけるドットの重ね順と同じになる確率が高くなる。その結果、画質の劣化を抑制できる。
図7Bは、上記の関係を満たすノズルの使用比率(選択率)の具体例を示した図である。この図のX軸においては、S2、L1〜L8、S1が等間隔に座標上に配置されている。このため、S2のX軸上の値を0,S1のX軸上の値を9としたときに、L1〜L8のX軸上の値は1〜8となる。また、この図のY軸にはノズルの使用比率が示されている。
この図には、インクの色毎に二次曲線が表されており、どの二次曲線も点(0,0)、点(9,100)を通っている。また、ブラック、シアンの二次曲線については、さらに点(4.5,65)を、マゼンタの二次曲線については、さらに点(4.5,35)を、イエローについては、さらに点(4.5,19)を通っている。
そして、各ノズルの使用比率は、これらの二次曲線に基づいて設定されている。すなわち、或るラスタラインLi(i=1〜8)を担当する先行ノズルセットに関し、シアンについての使用比率は、点(0,0)、点(9,100)、点(4.5,65)を通る二次曲線において、X軸上の値がiであるときのY軸上の値となる。また、マゼンタについての使用比率は、点(0,0)、点(9,100)、点(4.5,35)を通る二次曲線において、X軸上の値がiであるときのY軸上の値となる。同様に、イエローについての使用比率は、点(0,0)、点(9,100)、点(4.5,19)を通る二次曲線において、X軸上の値がiであるときのY軸上の値となる。
なお、本実施形態においては、ブラックインクは色重ねの対象色としていない。ブラックインクについて選択率が上記の値であることは、モノクロ印刷をする場合などにその使用比率となることを意味している。
<マスクデータMDの反転や対称化について>
ところで、マスクデータMDは、先行ヘッドにおける一方の端部用、先行ヘッドにおける他方の端部用、後行ヘッドにおける一方の端部用、及び、後行ヘッドにおける他方の端部用の4種類が必要になることが判る。さらに、各色毎に専用のマスクデータMDを用いる場合、各種類について更に各色分のマスクデータMDが必要になる。これら全ての種類及び色についてマスクデータMDを予め準備し、メモリ53に格納することも可能である。しかし、プリンタ側コントローラ50に実装できるメモリ53の容量には限りがある。このため、マスクデータMDに割りあてるメモリ53の容量は、できるだけ少ないことが好ましい。
このような事情に鑑み、このプリンタ1では、図8に示すように、予め定められた制御パターンを有し、他のマスクパターンの基準となる基準マスクデータMD1(基準マスクに相当する)を用意する。プリンタ側コントローラ50は、この基準マスクデータMD1における画素データ(吐出指令に相当する)の有効と無効の関係を反転させることで、反転基準マスクデータMD3を生成する。また、プリンタ側コントローラ50は、基準マスクデータMD1における画素データの有効と無効の関係を、紙幅方向(交差方向)に対称化することで、対称マスクデータMD2を生成する。さらに、対称マスクデータMD2における画素データの有効と無効の関係を反転させることで、反転対称マスクデータMD4を生成する。
このような構成を採ることで、先行ヘッドにおける両端部用のマスクデータMD1,MD2、及び、後行ヘッドにおける両端部用のマスクデータMD3,MD4を、基準マスクデータMD1から生成できる。従って、基準マスクデータMD1をインクの種類毎に用意すればよく、メモリ53に記憶させるマスクデータMDの量を少なくすることができる。
以下、具体例について説明する。ここでは、ヘッドHD5における1番目から8番目の各ノズル#1〜#8用のマスクデータを基準マスクデータMD1とする。そして、ヘッドHD5は、先行ヘッド群に属する先行ヘッドである。また、基準マスクデータMD1の内容は、図7Bで説明した通りである。簡単に説明すると、1番目のノズル#1から8番目のノズル#8に向かうほど、ヘッドHD5が有する各ノズルの使用比率が高くなっている。そして、マゼンタインクノズル列の各ノズルの使用比率は、イエローインクノズル列の各ノズルの使用比率よりも高くなっている。同様に、ブラックインクノズル列及びシアンインクノズル列の各ノズルの使用比率は、マゼンタインクノズル列の使用比率よりも高くなっている。
ヘッドHD5における353番目から360番目の各ノズル#353〜#360用のマスクデータMDは、基準マスクデータMD1における、二値の画素データが有効か無効かを示すデータの内容を、紙幅方向(交差方向)について対称化した対称マスクデータMD2である。なお、以下の説明において、各マスクデータMDにおける、二値の画素データが有効か無効かを示すデータの内容のことを、便宜上、制御パターンともいう。そして、図8では紙幅方向が左右方向に対応している。このため、図8では、紙幅方向について対称化することを、左右対称と表示している。
図8から判るように、対称マスクデータMD2の制御パターンは、基準マスクデータMD1の制御パターンに対し、ノズル列の方向とは直交する方向の仮想線を軸とする線対称の関係になる。このため、対称マスクデータMD2の内容は、360番目のノズル#360から353番目のノズル#353に向かうほど、ヘッドHD5が有する各ノズルの使用比率が高くなる。そして、ブラックインクノズル列及びシアンインクノズル列の各ノズルの使用比率は、マゼンタインクノズル列の使用比率よりも高くなり、マゼンタインクノズル列の各ノズルの使用比率は、イエローインクノズル列の各ノズルの使用比率よりも高くなる。
ヘッドHD6における353番目から360番目の各ノズル#353〜#360用のマスクデータMDは、基準マスクデータMD1における制御パターンに対して、有効無効の関係を反転させた制御パターンを有する反転基準マスクデータMD3である。なお、図8のマスクデータMDにおいても、黒の正方形は画素データを有効にすることを意味し、白の正方形は画素データを無効にすることを意味する。このため、図8では、有効と無効の関係を反転させることを、白黒反転と表示している。
図8から判るように、反転基準マスクデータMD3の制御パターンは、基準マスクデータMD1の制御パターンに対し、ノズルの使用比率が50%の線を軸とする線対称の関係になる。このため、反転基準マスクデータMD3の内容は、353番目のノズル#353から360番目のノズル#360に向かうほど、ヘッドHD6が有する各ノズルの使用比率が低くなる。そして、イエローインクノズル列の各ノズルの使用比率は、マゼンタインクノズル列の使用比率よりも高くなり、マゼンタインクノズル列の各ノズルの使用比率は、ブラックインクノズル列及びシアンインクノズル列の各ノズルの使用比率よりも高くなる。
ヘッドHD4における1番目から8番目の各ノズル#1〜#8用のマスクデータMDは、対称マスクデータMD2における制御パターンに対して、有効無効の関係を反転させた制御パターンを有する反転対称マスクデータMD4である。
図8から判るように、反転対称マスクデータMD4の制御パターンは、対称マスクデータMD2の制御パターンに対し、ノズルの使用比率が50%の線を軸とする線対称の関係になる。このため、反転対称マスクデータMD4の内容は、1番目のノズル#1から8番目のノズル#8に向かうほど、ヘッドHD4が有する各ノズルの使用比率が高くなる。そして、イエローインクノズル列の各ノズルの使用比率は、マゼンタインクノズル列の使用比率よりも高くなり、マゼンタインクノズル列の各ノズルの使用比率は、ブラックインクノズル列及びシアンインクノズル列の各ノズルの使用比率よりも高くなる。
従って、基準マスクデータMD1、及び、反転基準マスクデータMD3を適用することにより、ヘッドHD5における1番目から8番目の各ノズル#1〜#8とヘッドHD6における353番目から360番目の各ノズル#353〜#360とが選択可能なラスタラインについては、ヘッドHD5のノズルのみで形成されるラスタライン(9番目から352番目のノズル#9〜#352のみで形成されるラスタライン)に近付くほど、ヘッドHD5のノズルの使用比率が高くなる。そして、ヘッドHD6のノズルのみで形成されるラスタラインに近付くほど、ヘッドHD6のノズルの使用比率が高くなる。加えて、シアンインクノズル列に属する各ノズルは、マゼンタインクノズル列に属する各ノズルよりも、ヘッドHD5の各ノズルが選択される確率が高くなる。また、イエローインクノズル列に属する各ノズルは、マゼンタインクノズル列に属する各ノズル列よりも、ヘッドHD6の各ノズルが選択される確率が高くなる。
同様に、対称マスクデータMD2、及び、反転対称マスクデータMD4を適用することにより、ヘッドHD5における353番目から360番目の各ノズル#353〜#360とヘッドHD4における1番目から8番目の各ノズル#1〜#8とが選択可能なラスタラインについても、ヘッドHD5のノズルのみで形成されるラスタラインに近付くほど、ヘッドHD5のノズルの使用比率が高くなる。そして、ヘッドHD4のノズルのみで形成されるラスタラインに近付くほど、ヘッドHD4のノズルの使用比率が高くなる。また、シアンインクノズル列に属する各ノズルは、マゼンタインクノズル列に属する各ノズルよりも、ヘッドHD5の各ノズルが選択される確率が高くなる。また、イエローインクノズル列に属する各ノズルは、マゼンタインクノズル列に属する各ノズル列よりも、ヘッドHD4の各ノズルが選択される確率が高くなる。
なお、詳しい説明は省略するが、他のヘッドHDについても同様の関係が成立する。例えば、図8に示すヘッドHD3に関しては、1番目から8番目の各ノズル#1〜#8に対して基準マスクデータMD1が適用される。同様に、ヘッドHD4における353番目から360番目の各ノズル#353〜#360に対して反転基準マスクデータMD3が適用される。従って、このラインヘッドユニット30については、3種類の基準マスクデータMD1をプリンタ側コントローラ50のメモリ53に記憶させておけばよい。
そして、基準マスクデータMD1以外の他のマスクデータMD2〜MD4については、この基準マスクデータMD1から容易に生成できる。例えば、基準マスクデータMD1を構成する単位領域毎のデータに対する読み出し順序(読み出し対象となるすアドレスの順序)を変更したり、基準マスクデータMD1の反転や対称化で得られたマスクデータをメモリ53のワークエリアに一時的に記憶したりすることで、他のマスクデータMD2〜MD4を生成できる。このため、必要となるメモリ53の容量を削減できる。ここで、単位領域毎のデータの読み出し順序を変更することで他のマスクデータMD2〜MD4を生成すると、データの並べ替え等の処理が不要となるので処理が簡素化でき、高速化に適する。
また、この実施形態では、反転対称マスクデータMD4を対称マスクデータMD2に基づいて生成しているが、これに限定されない。図8に示すように、反転対称マスクデータMD4は、反転基準マスクデータMD3の制御パターンを、紙幅方向に対称化したものでもある。このため、反転対称マスクデータMD4を、反転基準マスクデータMD3から生成してもよい。

===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタ1を有する印刷システムについて記載されているが、液体吐出方法、液体吐出装置の制御方法、制御プログラム、制御コード、制御プログラムを記憶した記憶媒体等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<ヘッドHD及びノズルについて>
ヘッドHDの数や配置は種々定めることができる。例えば、図9Aに示すように、搬送方向に位置をずらした9個のヘッドHD11〜HD19を設けてもよい。図9Aの例では、ヘッドHD12を第1ヘッドとしたとき、ヘッドHD11が第2ヘッドとなり、ヘッドHD13が第3ヘッドとなる。この場合、ヘッドHD11は、ヘッドHD12よりも搬送方向の上流側に位置し、ヘッドHD13は、ヘッドHD12よりも搬送方向の下流側に位置する。そして、ヘッドHD15を第1ヘッドとしたとき、ヘッドHD14が第2ヘッドとなり、ヘッドHD16が第3ヘッドとなる。この場合、ヘッドHD14及びヘッドHD16のいずれも、ヘッドHD15よりも搬送方向の下流側に位置する。同様に、ヘッドHD17を第1ヘッドとしたとき、ヘッドHD16が第2ヘッドとなり、ヘッドHD18が第3ヘッドとなる。この場合、ヘッドHD16及びヘッドHD18のいずれも、ヘッドHD17よりも搬送方向の上流側に位置する。このように構成しても、前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、図9Bに示すように、千鳥状に配置したヘッド群を2組(HD21〜HD29,HD31〜HD39)設けてもよい。このように構成しても、前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
また、1つのヘッドHDが有するノズル列の数は4列に限られない。例えば、1列や2列であってもよいし、5列以上であってもよい。このノズル列に関し、同じインクを吐出するノズルを千鳥状に配置して1つのノズル列を構成してもよい。また、ノズルピッチ(印刷解像度)や1つのノズル列を構成するノズルの数も適宜定めることができる。加えて、紙幅方向にて重なっているノズルの数は適宜定められる。すなわち、8個より多くてもよいし少なくてもよい。要するに、2個以上であって、ノズル列を構成するノズルの数の半分未満の数であればよい。
<マスクデータMDについて>
前述の実施形態では、ブラックインク及びシアンインク用の基準マスクデータMD1と、マゼンタインク用の基準マスクデータMD1と、イエローインク用の基準マスクデータMD1とを用意することで、インクの着弾順序をラインヘッドユニット30の全体にわたってできるだけ揃えるようにしていた。ここで、インク滴の着弾順序を考慮しなくてもよい場合には、例えば、図10A及び図10Bに示すように、1種類の基準マスクデータMD1を用意すればよい。このようにすると、必要とされるメモリ53の容量を少なくできる。
また、前述の実施形態において、基準マスクデータMD1は、各ノズル列における端部(一方の端部に相当する)から反対側の端部(他方の端部に相当する)に向かうほど、ノズルの使用比率が高くなる制御パターンに定められていた。ここで、使用比率に関して、ステップ状(階段状)に変化させてもよい。このようにしても、専らそのヘッドHDのノズル群で形成されるラスタラインに近づくにつれて、そのヘッドHDの特性が色濃く反映されるので、画質の向上(データの改善)が図れる。
また、前述の実施形態において、基準マスクデータMD1は、ノズルの使用比率をランダムに決める制御パターンであってもよい。この場合も、対称マスクデータMD2は、基準マスクデータMD1の制御パターンを紙幅方向に対称化した制御パターンを有する。また、反転基準マスクデータMD3は、基準マスクデータMD1の制御パターンを反転した制御パターンを有し、反転対称マスクデータMD4は、対称マスクデータMD2の制御パターンを反転した制御パターンを有する。このため、これらのマスクデータを使用する各ノズル列の各端部に共通のマスクパターンを適用した場合よりも、使用されるノズルが固定化され難くなる。その結果、各端部における画質の向上が図れる。
<交差方向について>
前述の実施形態では、同じノズル列に属する複数のノズルが、用紙Sの搬送方向に直交する紙幅方向に並んでいた。言い換えれば、各ノズルが並ぶ交差方向は、搬送方向に対して直交する方向であった。ここで、紙幅方向におけるドットの形成ピッチをノズルピッチよりも高くするため、ラインヘッドユニット30を紙幅方向に対して斜めに配置する構成が考えられる。この場合の交差方向は、紙幅方向に対して斜めの方向になる。そして、同じラスタラインを担当するノズル同士は、搬送方向に沿って一列に並ぶ。
<相対移動方向について>
媒体としての用紙Sを搬送する装置に限定されず、用紙Sが固定されラインヘッドユニット30を移動させる装置であってもよい。この場合、ラインヘッドユニット30の移動方向が相対移動方向に相当する。さらに、用紙Sを搬送しつつラインヘッドユニット30を移動させる装置であってもよい。また、用紙搬送機構10を有するプリンタ1において、ラインヘッドユニット30を紙幅方向に移動させるようにしてもよい。この場合、各ノズル列が搬送方向に沿って配置される。そして、ラインヘッドユニット30の移動方向が相対移動方向に相当する。
<液体吐出装置について>
上述の実施形態においては、液体吐出装置として、コンピュータCPとプリンタ1を有する印刷システムを例示したが、これに限定されない。スキャナ機能と印刷機能とを併せ持つ複合機や、画像データを記憶した記憶媒体(メモリカードやCD−ROM等)から画像データを読み出し、対応する画像を印刷するダイレクト印刷機能を有するプリンタ1であってもよい。これらの装置では、プリンタドライバが行う処理、すなわち、RGB画像からCMYK二値画像を得る処理を、これらの装置が有するコントローラが行う。
また、液体吐出装置であれば、様々な工業用装置についても適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルタ製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本発明を適用できる。
<媒体について>
前述の実施形態では、媒体として用紙Sを例示したが、用紙Sに限定されない。例えば、コンパクトディスクやOHP用のフィルムであってもよい。要するに、媒体は、液体が着弾するものであれば、種々のものを用いることができる。
<液体について>
前述の実施形態ではプリンタ1を例示したので、液体はインク(水性インク,油性インク)であった。液体に関しては、装置に適したものが適宜用いられる。そして、吐出される液体の種類は、複数種類に限らず1種類であってもよい。
印刷システムの構成を説明するブロック図である。 図2Aは、プリンタ1の断面図である。図2Bは、プリンタ1が用紙Sを搬送する様子を示す図である。 ラインヘッドユニットの下面におけるノズルの配列を模式的に示した図である。 印刷動作を説明するフローチャートである。 データコピー処理及びマスキング処理を模式的に説明する図である。 マスクデータMD及びマスキング処理を模式的に説明する図である。 図7Aは、先行ノズル群と後行ノズル群とが紙幅方向に重なっている部分とラスタラインの位置関係を示す図である。図7Bは、各色毎のマスクデータMDにおけるノズルの使用比率(選択率)をラスタライン毎に示す図である。 マスクデータMDの対称化及び反転を模式的に説明する図である。 図9Aは、ラインヘッドユニット30の他の形態を説明する図である。図9Bは、ラインヘッドユニット30のさらに他の形態を説明する図である。 図10Aは、先行ノズル群と後行ノズル群とが紙幅方向に重なっている部分とラスタラインの位置関係を示す図である。図7Bは、各色で共通化されたマスクデータMDにおけるノズルの使用比率(選択率)をラスタライン毎に示す図である。
符号の説明
1 プリンタ,10 用紙搬送機構,20 駆動信号生成回路,
30 ラインヘッドユニット,40 検出器群,
50 プリンタ側コントローラ,100 ホスト側コントローラ,
CP コンピュータ,
HD1〜HD8 ヘッド,HD11〜HD19 ヘッド,
HD21〜HD29 ヘッド,HD31〜HD39 ヘッド,
#1〜#360 ノズル,HC ヘッド制御部,
MD マスクデータ

Claims (8)

  1. (A)媒体との相対移動方向と交差する交差方向に複数の第1ノズルが並ぶ第1ノズル群を有する第1ヘッドと、
    (B)前記交差方向に複数の第2ノズルが並ぶ第2ノズル群を有し、前記第1ヘッドに対して前記相対移動方向にずれた位置で、前記第2ノズル群の端部側に位置する一部の第2ノズルが前記第1ノズル群の一方の端部側に位置する一部の第1ノズルと前記相対移動方向に並ぶように配置される第2ヘッドと、
    (C)前記交差方向に複数の第3ノズルが並ぶ第3ノズル群を有し、前記第1ヘッドに対して前記相対移動方向にずれた位置で、前記第3ノズル群の端部側に位置する一部の第3ノズルが前記第1ノズル群の他方の端部側に位置する一部の第1ノズルと前記相対移動方向に並ぶように配置される第3ヘッドと、
    (D)液体の吐出指令を有効にするか無効にするかをノズル毎に示すマスクを用いて、前記一方の端部側に位置する一部の第1ノズル、及び、前記他方の端部側に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出を制御するコントローラであって、
    予め定められた制御パターンを有する基準マスクを用いて、前記一方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行い、かつ、
    前記基準マスクの制御パターンを前記交差方向について対称にした制御パターンの対称マスクを用いて、前記他方の端部に位置する一部の第1ノズルに対する液体の吐出制御を行う、コントローラと、
    を有する液体吐出装置。
  2. 前記基準マスクの制御パターンは、
    前記一部の第1ノズルにおける液体の吐出指令を有効にする割合に関し、前記一方の端部側の割合よりも前記他方の端部側の割合の方が高く定められている、請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記コントローラは、
    前記一部の第2ノズルに対する液体の吐出を制御するものであって、
    前記基準マスクの制御パターンにおける有効と無効の関係を反転させた制御パターンの反転基準マスクを用いて、前記一部の第2ノズルに対する液体の吐出を制御する、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記コントローラは、
    前記一部の第3ノズルに対する液体の吐出を制御するものであって、
    前記対称マスクの制御パターンにおける有効と無効の関係を反転させた制御パターンの反転対称マスクを用いて、前記一部の第3ノズルに対する液体の吐出を制御する、請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記第1ノズル群は、
    前記交差方向に複数の前記第1ノズルが所定ピッチで列状に並んだ第1ノズル列を、前記相対移動方向に複数並べた状態で備え、
    前記第2ノズル群は、
    前記交差方向に複数の前記第2ノズルが前記所定ピッチで列状に並んだ第2ノズル列を、前記相対移動方向に複数並べた状態で備え、
    前記第3ノズル群は、
    前記交差方向に複数の前記第3ノズルが前記所定ピッチで列状に並んだ第3ノズル列を、前記相対移動方向に複数並べた状態で備える、請求項1から4の何れか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記第1ノズル群は、
    前記第1ノズル列毎に定めた2種類以上の液体を吐出し、
    前記第2ノズル群は、
    前記第2ノズル列毎に定めた2種類以上の液体を吐出し、
    前記第3ノズル群は、
    前記第3ノズル列毎に定めた2種類以上の液体を吐出する、請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 前記基準マスクは、
    吐出する液体の種類毎に設けられる、請求項6に記載の液体吐出装置。
  8. 前記液体は、
    印刷用のインクである、請求項1から7の何れか1項に記載の液体吐出装置。
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