JP2010074119A - 化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法、材料表面の面内均一性評価方法、及びスラリー薬液の特性推定方法 - Google Patents

化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法、材料表面の面内均一性評価方法、及びスラリー薬液の特性推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CMPプロセス中に研磨関連物(被研磨物、研磨パッド、研磨粒子等)材料の表面反応層のヤング率を、AFM装置を用いて測定し評価し、更には、その測定結果を用いて事前にCMP特性を推定し、最適な研磨処理液、研磨パッド、研磨粒子等を選択し、CMP技術の開発とCMPプロセスの信頼性の向上に貢献できる化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法を提供すること。
【解決手段】スラリー状の研磨剤を研磨パッド表面に供給して、パッドと半導体ウエハ等の薄板状被被研磨物とを相対運動させる科学的及び機械的な研磨における、被研磨物などの研磨関連物の表面のヤング率を、原子間力顕微鏡装置を用いて評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子間力顕微鏡装置を用いた材料表面の特性評価技術に関するものであり、より具体的には、原子間力顕微鏡装置を用いた材料表面の面内均一性を評価する方法、スラリー状の研磨剤をパッド表面に供給してパッドと半導体ウエハ等の薄板状被研磨物とを相対運動させることで、該被研磨物の表面を化学機械的に研磨する化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish)装置の薄板状被研磨物、研磨パッド、研磨剤の研磨粒子等の化学的及び機械的な研磨に関連する研磨関連物質表面の化学機械研磨特性評価方法、及び、CMP処理中の研磨特性を事前に認識するための化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法に関する。
近年、半導体デバイスの微細化や高密度化に対応して様々な微細加工技術が開発されている。その一つとして、半導体ウエハやLCD用ガラス基板等の薄板状被研磨物の表面を研磨するCMP処理が益々注目されてきている。このCMP処理による研磨は、研磨粒子が懸濁するスラリー状研磨剤をパッド表面に供給して、該パッド表面に薄板状被研磨物を当接し、該パッドと薄板状被研磨物の相対的運動により、該薄板状被研磨物の被研磨面に化学的及び機械的な研磨処理を施すものである。
半導体デバイスの製造プロセスにおける半導体ウエハ表面に所望の微細化や高密度の加工を施すプロセスにおいて、半導体ウエハ表面に形成される段差や凹凸などが存在すると、配線パターンの形成時にステッパ等の焦点深度が悪化し、薄膜写真印刷を行うときのフォトリソグラフィに十分な解像度が得られなくなってしまう。そのため、CMP処理によって、半導体ウエハ上のデバイス形成面(つまり、被研磨表面)の段差部分や凹凸部分を研磨して、表面を高平坦化することが行われている。特に、多層配線構造を必要とする半導体デバイスなどの生産においては、CMP処理による半導体ウエハ表面の高平坦化の重要性が一層増している。
また、このような半導体製造プロセスにおいて実施されるCMP処理によるプロセス管理は研磨速度の測定、表面凹凸の形状、加工終点の検出、表面欠陥の観察などのCMP処理後の被研磨面の表面観察を主として実施している。この表面観察はレーザーなどを利用した光学的な手法によるもの、走査型電子顕微鏡(SEM)などの電子線を利用したもの、原子間力顕微鏡(AFM)装置を利用した微小力の相互作用を検出したものなどがある。これらはいずれも基本的には処理後の表面の形状を観察してCMP処理特性を評価し、その結果をフィードバックしてCMPプロセス条件の変更を実施し、高信頼性のCMPプロセスを実現する方法を行っている。
"Influence of Slurry chemistry in frictional force in copper chemical mechahanical polishing" Journal of the electrochemical society,152(9)G695−G697(2005)
CMPによる被研磨面の平坦化機構は、被研磨面と研磨パッドとの微小空間にスラリーが侵入し、被研磨面がスラリーと化学反応して表面反応層を形成し、この表面反応層をスラリー中の研磨粒子が機械的に研磨して達成されるようになっている。化学反応して得られる表面反応層は、通常は被研磨面材料より脆く、柔らかく、機械的に弱いという特性を有している。スラリー中の研磨粒子はシリカ、アルミナ等の比較的硬い機械的特性を有しているため、表面反応層を研磨できる。研磨パッドは研磨粒子を保持して、被研磨物の研磨面の凸部に強い圧力で接触するため、被研磨面の凸部で研磨が進行し、凹部では接触しないか、若しくは弱い圧力で接触するので研磨の進行が遅くなるため被研磨物研磨面の平坦化が実現できるのである。
このことから被研磨物研磨面に形成される表面反応層の機械的特性をより正確に把握すること、更にこの該被研磨物研磨面に接触する研磨パッド表面の機械的特性、及び研磨粒子表面の機械的特性をより正確に把握すること等がより詳細にCMP研磨現象を理解する助けとなり、CMPの平坦化プロセスの性能及び信頼性向上には有用である。
表面層の機械的特性の測定方法としてインデンテーション法が一般に実施されている。特に薄膜層の評価として、ナノインデンテーション法があり、数十nm以上の膜厚を有する表面層について実施されている。ナノインデンテーション法はダイヤモンド等の硬い微小な圧痕(インデンテーション)の幾何学的寸法と圧子の押し当て時と引き上げ時の応力−変位曲線を用いて表面層の機械的特性を求める。従って、表面層には圧痕を形成させることが必須である。
ところが、CMP平坦化のプロセスにおける表面層は、スラリーによる反応層が形成後に直ちに研磨され、新鮮な研磨面に直ちに表面反応層が生成し、またすぐに研磨されるというように、実際の反応層の厚さは、薄い場合にはnmレベル、厚い場合でも10nm程度と予測される。このようなnm膜厚の薄い表面層に対して明瞭な圧痕を形成することは困難であり、現状のナノインデンテーション法の信頼度の高い適用は100nm以上の膜厚レベルである。このためnmレベルの平坦性能が求められる最先端のCMP技術においては、必ずしも従来のインデンテーション法をそのまま使用することはできず、新たなnm膜厚の表面層の機械的特性を測定する技術が必要とされてきている。また、研磨装置そのものの研磨性能を評価する方法として、被研磨物材料表面の面内均一性をより簡便に、ないし視覚的に評価しうる二次元的なマッピングを行う手法も、必要とされてきている。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、CMPプロセス中に研磨関連物(被研磨物、研磨パッド、研磨粒子等)材料の表面反応層のヤング率を、AFM装置を用いて測定し評価し、更には、その測定結果を用いて事前にCMP特性を推定し、最適な研磨処理液、研磨パッド、研磨粒子等を選択し、CMP技術の開発とCMPプロセスの信頼性の向上に貢献できる化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、化学的機械的研磨における被研磨物材料表面の面内均一性を評価する方法、及びスラリー薬液の特性推定方法を提供することも一つの目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一実施態様では、スラリー状の研磨剤を研磨パッド表面に供給して、被研磨物の表面を化学的及び機械的に研磨する化学機械研磨装置の化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率を原子間力顕微鏡装置を用いて評価することを特徴とする化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法にある。
また、本発明の一実施態様では、上記化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、被研磨物は半導体ウエハであり、化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面は該半導体ウエハの被研磨面である表面に形成された絶縁膜、金属膜の表面であって、AFM装置の探針を被研磨面に押し付けることにより生じる該探針の変形量から、被研磨表面のヤング率を評価することを特徴とする。
また、本発明の一実施態様では、上記化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率の評価は、AFM装置の探針を該化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面に押し付けるときに得られる力−探針変曲線を力−該化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面変形量曲線に変換し、ヘルツの接触式を用いて被研磨表面のヤング率を定量的に評価することを特徴とする。
また、本発明の一実施態様では、上記化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、AFM装置の探針材料は、化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面に形成された絶縁膜、金属膜の材料に対して、ヤング率の大きい機械的特性を有することを特徴とする。
また、本発明の一実施態様では、上記化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、AFM装置による化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率の評価は、該化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面を二次元的に走査測定した、二次元的な分布評価であることを特徴とする。
また、本発明の一実施態様では、評価対象となる材料をスラリーを含んだ処理液に浸漬し、該材料の表面に反応層を形成する浸漬工程と、浸漬工程で材料の表面に形成された前記表面反応層に対して、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の多数点においてフォースカーブを測定する測定工程と、測定工程で得られたフォースカーブを基に、表面反応層のマッピングを行うマッピング工程と、を備え、マッピング工程で得られたマッピングを基に、材料表面の面内均一性を評価することを特徴とする材料表面の面内均一性評価方法にある。
また、本発明の一実施態様では、材料をスラリーを含んだスラリー薬液に浸漬し、該材料の表面に反応層を形成する浸漬工程と、浸漬工程で材料の表面に形成された前記表面反応層に対して、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の多数点においてフォースカーブを測定する測定工程と、測定工程で得られたフォースカーブを基に、表面反応層のヤング率を推定するヤング率推定工程と、ヤング率推定工程で推定したヤング率からスラリー薬液の研磨特性を推定する工程と、を備えたことを特徴とするスラリー薬液の特性推定方法にある。
本発明の一実施態様によれば、化学的及び機械的な研磨に関連する化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率を原子間力顕微鏡装置を用いて評価するので、CMP中すなわちCMPを行っている状態での被研磨物の表面反応層の機械的特性を総合的に判断できることから、スラリー、研磨パッド、研磨粒子等の化学的及び機械的な研磨に用いられる物の最適な組合せを事前に選択することができ、CMPプロセスの開発速度を向上させると共に、CMPプロセスの信頼性も向上させることができる。
また、本発明の一実施態様によれば、評価対象となる材料をスラリーを含んだ処理液に浸漬し、表面に反応層を形成し、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の多数点においてフォースカーブを測定し、表面反応層のマッピングを行い、このマッピングを基に、材料表面の面内均一性を評価するので、実際の化学機械的研磨を経なくても、材料表面の面内均一性を予め評価できる。
また、本発明の一実施態様によれば、材料をスラリーを含んだスラリー薬液に浸漬し、表面に反応層を形成し、表面反応層に対して、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の多数点においてフォースカーブを測定し、該フォースカーブを基に、表面反応層のヤング率を推定し、該推定したヤング率からスラリー薬液の研磨特性を推定するので、実際の化学機械的研磨を経なくても、スラリー薬液の特性を推定することができ、新しいスラリー成分の開発時に、実際の化学機械的研磨を使用することなく、簡単にスラリー薬液の特性を推定でき、スラリー薬液の開発が速くなる。
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。先ず、図1を用いてAFM装置を用いた評価方法とそのデータに基づくCMPプロセス開発の手順の全体像を説明する。
最初は研磨対象材料を種々のスラリーなどの処理液に浸漬して、該研磨対象材料の表面に表面反応層を形成させる(ステップST101)。このときスラリー組成などの濃度、pHなどの特性を変えたもの、さらに浸漬時間を変えた場合について、半導体ウエハ等の薄板状被研磨物の研磨面に形成され、CMPプロセスで研磨する材料、例えば配線材料、絶縁層材料等の被研磨対象材料の全てについて表面反応層を形成させる処理をする。更に、被研磨対象材料のみでなく、研磨パッド、研磨粒子などの研磨に関連する材料についてもスラリーなどの処理液などに浸漬して処理を実施する(ステップST201)。なお、CMPに用いられるスラリーには、研磨粒子(シリカ、アルミナ、セリア等)、酸化剤(過酸化水素、過硫酸アンモニウム等)、インヒビター(BTA等)、キレート剤(キナルジン等)、界面活性剤が含まれる。
次に浸漬処理で形成された表面反応層に対して、AFM装置を用いてフォースカーブの測定を実施する。即ち、表面反応層のヤング率評価を目的として、フォースカーブを測定し、更に測定に用いたAFM装置の探針のバネ定数、先端曲率半径についても測定しておく(ステップST102)。その後、フォースカーブからフォースインデンテーション(カー変形量)カーブに変換する(ステップST103)。次いで、ヘルツコンタクトモデル(後に詳述)を適用する(ステップST104)。そしてその結果に基づいてヤング率を推定する(ステップST105)。
上記ステップST101〜ST105、ステップST201とは別に、種々の処理液に浸漬した研磨対象材料のフォースカーブを面内で多数点測定する(ステップST301)。多数点測定したデータをマッピング化する(ステップST302)。このマッピング化したデータを基に表面反応層の機械的特性の面内不均一性を論評する(ステップST303)。最後にヤング率の定量的測定データ、面内不均一性データを基に、最適スラリー条件、研磨パッド材料、研磨粒子の組合わせを選択し、最適なCMPプロセス条件を決定する(ステップST106)。例えばInternational Technology Roadmap(ITRS)によれば、銅配線の許容エロージョン量は22nmデザインルールのデバイスにおいては4nm、16nmルールのデバイスでは3nmとなっており、およそ配線高さの10%以内である。研磨量は表面反応層の硬さにほぼ比例するので、硬さの面内不均一性は10%以内が目標である。さらに研磨速度は速いほど、プロセスタイムが短くでき、低コスト化に寄与できる。現在のところ、300mmウエハ1枚あたり30秒以内で処理することが求められており、約2μ/minの研磨速度が必要である。このためには、3GPa以下のヤング率を有する表面反応層を形成するスラリーを開発し、粒径20nmのシリカスラリーでIC−1000パッドで0.5psiの研磨圧力で実現できる。
図2はAFM装置の外観概略構成を示す図であり、図3は典型的なカンチレバー12の変位Zcに対する電圧変位変換器(PZT)11で検出された電圧Zpの関係を示す図である。図示するように、AFM装置10は、電圧変位変換器(PZT)11、探針15を具備するカンチレバー12、半導体レーザー装置13、光センサー14を備えている。電圧変位変換器(PZT)11上に載置された試料16にカンチレバー12の探針15が半導体レーザー装置13から発するレーザー光Lは、カンチレバー12の表面で反射され、光センサー(四つ割フォトディテクター)14に入射するようになっている。カンチレバー12の変位は、カンチレバー12で反射されるレーザー光Lを光センサー14で検出することにより検出されるようになっている。カンチレバー12の探針15にかかる力Fと該探針15と試料16との間の距離Dの曲線(フォースカーブ)を得るためには、カンチレバー12の変位Zc及び電圧変位変換器11(PZT)で変換された電圧Zpを力Fと試料16と探針15との距離Dに変換しなくてはならない。探針15にかかる力Fはカンチレバー12の変位Zcとバネ定数Kcの積、即ちF=KcZcとなる。
上記探針15にかかる力Fは、探針15と試料16の間の距離Dが大きいときは、電圧変位変換器(PZT)11の位置を変えて、試料16を探針15に近づけても、カンチレバー12の変位Zcはゼロ(即ち、探針15にかかる力Fはゼロ)であり、試料16を探針15に近づけ、Aの位置になると探針15に力Fがかかりはじめる。更に近づけBの位置になると探針15が試料16に接触し、このときの変位Zcはカンチレバー12のバネ定数による。通常タンパク質などのヤング率を測定する場合は、0.02〜1N/mのバネ定数のカンチレバー12を使用するが、ここでは比較的ヤング率の大きな研磨対象材料の(半導体ウエハ表面に形成された金属層や絶縁層の反応層)を評価するのに使用するので、バネ定数が40N/mのカンチレバー12を使用している。
上記のように研磨対象材料の表面反応層を評価対象とした場合、表面反応層の変形とカンチレバー12の変形が同時に生じている状態がAの位置で、Bの位置では、表面反応層の下の固い研磨対象材料に探針15が達し、試料16である研磨対象材料が殆ど変形しない状態となる。後述するように、ヘルツの接触(弾性接触)理論を適用するには、図3(a)に示すフォース曲線を図3(b)に示すフォースインデンテーション(変形量:D)に変換する必要がある。ここで、Bでは研磨対象材料の変形が無いから、カンチレバー12のバネ定数を表す傾き(F=Kc・Zcの関係)となる。即ち、図3(b)のように変形量Dは、Zp+Zcとなる。
具体的なフォースカーブの例を図4に示す。図4において、横軸Pは試料台(電圧変位変換器(PZT)11)又はAFM装置10の探針の位置(nm)を、縦軸FはAFM装置10のカンチレバー12の探針15にかかる力F(nN)を示す。実際の測定は、AFM装置10の探針15と試料16との間に相互作用が働かない十分に離れた位置から始め、AFM装置10の探針15と試料16とを近づける。図4では横軸Pの右端が始めの位置で、左に行くに従い位置Pの数値が小さくなる。ここでは具体的なフォースカーブを3種類示している。一つは清浄なCu面、他の一つはCuの腐食防止材(インヒビター)であるベンゾトリアゾール(BTA)水溶液に浸漬したCu膜(Cu−BTA)、残りの一つは酸化剤である過酸化水素(H22)に浸漬したCu膜(Cu−H22)である。
いずれの場合も最初はAFM装置10の探針15にかかる力がゼロであり、探針15と試料16が近づいて接触し、更に探針15が試料16に押し付けられると、探針15に加わる力が増大する。清浄Cu膜とBTA浸漬Cu膜の場合、探針15が試料16に接触する前に探針15が試料16に引き付けられるため、探針15に加わる力がマイナス側に少し変化(C部分を参照)している。その後は直線的に力が増大している。一方、過酸化水素水に浸漬したCu膜(Cu−H22)の場合は、マイナス側への変化がなく、単調に探針15に加わる力が増加しているが、探針15が試料16に接触した後の初期の段階では傾きが緩やかで、次第にその傾きが増大している。このフォースカーブの変化形状だけからも、過酸化水素(H22)に浸漬したCu膜表面は柔らかく、ヤング率が小さい機械的特性を示すことが容易に予測される。図4に示すデータから、フォースカーブは試料表面のヤング率、即ち機械的特性を示していることがわかる。
次に、このフォースカーブを利用して、表面反応層の機械的特性を定量的に評価する手法について説明する。これはヘルツの接触(弾性接触)理論を応用する。図6は二つの異なる物質(ここではCuのヤング率E:120GPaのCuと、Taのヤング率E:185GpaのTa)が弾性接触して変形した状態を示したもので、二つの物質は異なる曲率半径(rとr’)を有しており、接触して変形した部分の変形深さをh、変形部の半径をaとする。この状態の場合、二つの物質間に作用する力は下記の式(1−1)で表される。
F=Ka3/R=Kh3/21/2 (1−1)
ここでK、R、hは下記の式(1−2)、(1−3)、(1−4)で表される。
1/K=3/4〔{(1−μ2)/E}+{(1−μ’2)/E’}〕 (1−2)
ここで、μ、μ’はポアソン比、E、E’はヤング率を示す。
1/R=(1/r)+(1/r’) (1−3)
AFM装置10の探針15と被研磨材料膜との接触の場合、膜面が平面であるため、r’=∞となり、Rは探針15の曲率半径となりR=rとなる。
h=a2/R (1−4)
ヘルツの接触式、(1−1)式を応用して、AFM装置10の探針15に作用する力Fは、探針15の材料のポアソン比μとヤング率E、表面反応膜のポアソン比μ’とヤング率E’、探針15の曲率半径R、変形深さhで表される。表面反応膜のポアソン比は本質的には未知であるが、基板材料と同一な値であると考えることで、表面反応膜のヤング率が求められる。ここで変形深さhを求めることが必要になる。フォースカーブ測定で得られる図4のデータは、力F−位置Pの関係を示す図である。これを力F−変形量hの関係をグラフに変換する必要がある。その方法として、二つの場合について説明する。
一つの方法を図5に示す。この方法は、ヤング率の大きい物質を参照材料として用いる方法である。例えば被研磨材料であるCuはヤング率が120GPa程度であり、Taの場合は185GPaと大きい。従って、CuとTaとのフォースカーブを測定した場合、図5(a)に示すように傾きはTaの方が大きくなる。Taの場合の変形が小さいと仮定することにより、Cu膜の変形量を、図中の矢印に示すフォースカーブの差分を取ることで図5(b)に示した力F−変形量hの関係を求めることができる。
これとは異なる別の方法を図7に示す。これは既存の解析ソフトウエアSPIPTM(登録商標)を使うもので、図7(a)がフォースカーブの測定データを示し、該測定データを力F−間隔Dの関係に変換した結果を図7(b)に示している。この変換は、フォースカーブの直線部分から、AFM装置10による測定時の感度と探針15の無変形時の位置を求めている。実際の力−変形量のデータは図7(b)に示す力F−間隔Dのデータにおいて、間隔がゼロのときの大きな力から減少しても力がゼロとなる点での間隔位置が変形量ゼロとして、プロットし直して力−変形量データとする。
上記力−位置の関係を力−変形量の関係に変換する二つの方法を用いて得た力−変形量のデータを図8、図9に示す。図8はTa膜を参照試料として用いて求めた力F−変形量hデータとヘルツ理論の計算曲線を示す。図8において、Aは過酸化水素水浸漬Cu膜(Cu−H22)の実験例を、Bはクエン酸洗浄液で清浄した配線用Cu膜実験例を、Cはヤング率1GPa(CaPron)の計算例、Dはヤング率3GPaの計算例、Eはヤング率10GPaの計算例、Fはヤング率30GPaの計算例、Gはヤング率120(Cu)の計算例をそれぞれ示す。また、測定に使用したAFM装置10の探針であるSi探針について、バネ定数36N/m、ヤング率150GPa、先端曲率半径10nmの場合の種々のヤング率についての計算値も同時にプロットした。
図9はSPIPTM解析ソフトを用いて求めたデータを同じようにプロットした結果を示す図である。図9において、Aは過酸化水素水浸漬Cu膜(Cu−H22)の実験例を、BはCu−BTAの実験例を、CはBD#2(SiCOH(Hydrogenated Silicon Oxycarbide))の実験例を、DはQuinaldic Ac.の実験例を、EはCuの実験例を、Fはヤング率1GPaの計算例、Gはヤング率3GPaの計算例、Hはヤング率10GPaの計算例を、Iはヤング率30GPaの計算例を、Jはヤング率50GPaの計算例を、Kはヤング率100GPaの計算例を、Lはヤング率120GPaの計算例をそれぞれ示す。
上記二つの解析結果から、過酸化水素水で処理したCu膜(Cu−H22)の表面は、異なる二つの解析手法でも略同じヤング率30GPaの機械的特性は一致している。一方、清浄なCu面に対しては、Taを参照試料とした場合は、30GPaと小さく出ており、SPIPTM解析ソフトを用いた場合では120GPaより大きな値となっている。このCu膜のヤング率の不一致は、参照試料としたTaのヤング率185GPaとCuのヤング率120GPaとの差がそれほど大きくないこと、さらにCuのヤング率と探針材料であるSiのヤング率との差が小さいことに起因している。
図9中には、インヒビターであるBTA浸漬Cu膜の実験データもプロットとしてあり、そのヤング率が30GPaに近いことが分かった。更に錯体であるキナルジン酸(キノリン−2−カルボン酸:Quinoline−2−carboxylic acid)浸漬Cu膜は100GPaに近く、低誘電率絶縁膜表面が50GPaに近いことが分かる。より真の値に近い評価のために、Siよりヤング率の大きい探針材料、参照試料としてWなどのさらに大きいヤング率を有する材料を用いることで正確な値を求めることが出来るようになる。
本測定法を用いることで、CMP中での研磨に主に寄与する表面反応層は過酸化水素浸漬Cu膜のように数GPaレベルの小さなヤング率であることが明確となり、その他の材料のCMP中での研磨面の表面反応層はこの値に近いヤング率を有すると考えられる。従って、本測定方法はCMPで研磨する薄膜状被研磨物、研磨パッド、研磨粒子等の研磨処理で使用される材料の表面状態を測定するのに使用できる。
図1のステップST102の表面反応層のAFM測定では、フォースカーブ測定の他に、AFM装置の探針のバネ定数と先端曲率半径も評価している。このステップST102では、フォースカーブ測定だけではなく、表面形状、摩擦力、吸着力等も同時に評価でき、これらの情報は表面反応層の他の物性を表わしており、機械的特性とも関連があるので、同時に評価しておくことが望ましい。このステップST102に続いて、既に述べたように、力−変形量を表すフォースインデンテーションに変換するステップST103を実行する。
その後、このフォースインデンテーションに変換したデータをヘルツ接触理論式である式(1−1)に適用するステップST104を実施する。この結果によって、ステップST105で表面反応層のヤング率を推定できるのである。ヤング率が推定できれば、実際のCMPの研磨速度はヤング率に正の相関関係があるので、ヤング率から研磨速度が推定できる。この結果、研磨速度の速いスラリー等、実際のCMPプロセスを実施する前に、選択することができることになる。
更に、他のフォース測定の実用上の大きな利点として、表面反応層の二次元評価手法について説明する。これによれば、原子間力顕微鏡装置を用いて材料表面の面内均一性を評価することができる。従って、例えば、被研磨対象物の処理前の面内均一性を評価することや、研磨を終了した後の被研磨物の面内均一性を評価することができ、研磨装置の性能評価にも応用が可能である。具体的には、評価対象となる材料をスラリーを含んだ処理液に浸漬して、該材料の表面に表面反応層を形成し、該浸漬工程で該材料の表面に形成された表面反応層に対して、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の少なくとも2つの測定点においてフォースカーブを測定し、次いで、この測定工程で得られたフォースカーブをもとに、表面反応層のマッピング化を行うことで、材料表面の面内均一性を評価するものである。以下に、その詳細を説明する。
図10はこの二次元評価方法の結果を示す図である。図10はダマシン構造のCu配線パターンのヤング率分布を示す図である。図10のA部分が過酸化水素に浸漬したCu配線部で低いヤング率の表面層を表している。その右側のB部分はTEOS絶縁層の部分で、60〜70GPaの大きなヤング率の部分を表わしており、明確なヤング率の差が表わされている。
図11は評価対象物の表面について、原子間力顕微鏡装置を用いて2つの測定点で測定した結果の、フォースカーブを示す図である。図11のフォースカーブから、図10の結果を得るには、次のような処理を行う。即ち、ある測定点における押し付けた量(図11のX軸に対応する)で、Y軸の値が異なることに注目し、2つの測定点に対応した2本のカーブで差が現れているところ、例えば−100nmのところ(X1)での力を求める。そして、図11の例えばY1とY2とでY軸の値が異なるので、面内の多くの測定点でフォースカーブをたくさん収集すると、多くのY1・・・Ynの値が得られる。以上の説明から明らかなように、測定点は、評価対象表面のうち少なくとも2点以上必要であり、それを、明暗のコントラストで画像化すると、図10の結果が得られるのである。
図10の過酸化水素水に浸漬したCu配線部(A部分)とTEOS絶縁層部(B部分)を示しており、傾きの大きな部分がTEOS絶縁層の部分を、それより傾きが小さい部分がCu配線部を示す。フォースカーブにおいても、Cu配線部とTEOS絶縁層部では明確な差がでている。
図12は、AFMの形状像を示す図であり、A部分は過酸化水素に浸漬したCu配線部を、その右側のB部分はTEOS絶縁層の部分を示す。Cu配線部(A部分)の表面は凹凸の大きな荒れた面となっており、これがヤング率を小さくしていると考えられる。図10のヤング率の二次元分布を更に詳細に見ると、完全には均一になっていないことが分かる。これらの不均一性は、ディシング、エロージョンなどのCMP欠陥の生成原因の究明に利用できる。
上記評価方法を、上述のヤング率の定量評価手法と組合せ、図1のステップST301において、種々の処理液に浸漬した研磨対象材料のフォースカーブを多数点測定し、これをステップST302でマッピング化することにより、該マッピング結果からステップST303において表面反応層の面内不均一性を評価し、ステップST106において、研磨速度のみではなく、面内の不均一性も評価できる。
図13は上記最適組合せを説明するための図であり、縦軸に面内均一性を横軸にヤング率を示す。一般に面内均一性は90%以上の値が求められる。例えば加工後の膜厚が100nmの場合、ばらつきの範囲が10%内で、100nm±5nmの膜厚分布の範囲に入っていることが要求されている。また、Cuの場合、表面反応層のヤング率がCuのヤング率のおよそ半分の値である50GPaを境界として、それより低いヤング率の表面反応層が形成される場合は柔らかいので高速研磨に適している。
ヤング率が50GPaより大きい場合は、表面反応層が硬いので、研磨速度は低下する。この場合は、異なる材料の組合せで、一方の材料のみを研磨した場合、例えばCu膜を研磨しないでバリアメタルのみを研磨したい選択的研磨プロセスに適しており、バリアメタルの表面反応層のヤング率が50GPa以下で柔らかく、Cuの表面反応層が50GPaより大きくて硬くなるような特性を示すスラリーを採用する。一般にこの研磨の選択比は、5以上の値が望ましいとされており、例えばCu表面反応層のヤング率が70GPaなら、バリアメタル表面反応層のヤング率は70÷5=14以下となるようなスラリー特性を示すものを作成するのが望ましい。図13の均一性が比較的高く、ヤング率の低い領域Aは高速研磨に適し、均一性が比較的高く、ヤング率の高い領域Bは低速あるいは選択研磨に適する。均一性の低い領域Cは不適な領域である。
下記にヤング率を求めた各種Cu反応層の実測膜厚(エリプソメーター評価の結果)を示す。
Cu−キナルジン反応層:約1.1nm
Cu−BTA反応層:約1.8nm
Cu−H22反応層:約5nm
上記のような薄膜層の場合は、従来のナノインデンテーション法では測定できない。
本発明に係る化学機械研磨特性評価方法には、例えば図14に示すような概略外観構成の研磨装置が用いられる。この研磨装置では、シリカ(SiO2)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッド等の研磨面上に供給しつつ半導体ウエハ等の基板を研磨面に摺接させて研磨を行う。
図14に示すように、研磨装置20は、研磨テーブル22と、支軸24の上端に連結されたトップリングヘッド26と、トップリングヘッド26の自由端に取り付けられたトップリングシャフト28と、該トップリングシャフト28の下端に連結された略円盤状のトップリング30とを備えている。なお、トップリングシャフト28は、タイミングベルト等の連結手段を介してトップリング回転モータに連結されて回転駆動されるようになっているが、図14においては、トップリング回転モータ及びタイミングベルト等の図示は省略している。
研磨テーブル22は、テーブル軸22aを介してその下方に配置されるモータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸22a周りに回転可能になっている。この研磨テーブル22の上面には研磨パッド32が貼付されており、該研磨パッド32の上面(研磨面)32aがトップリング30の下面に保持される半導体ウエハW(図示せず)を研磨する研磨面を構成している。
なお、市場で入手できる研磨パッドとしては種々のものがあり、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx−5、Surfin 000等がある。SUBA800、Surfin xxx−5、Surfin 000は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC−1000は硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、ポーラス(多孔質状)になっており、その表面に多数の微細なへこみ又は孔を有している。トップリング30はその下面に半導体ウエハWなどの基板を保持できるようになっている。
トップリングシャフト28は、図示しないモータの駆動により回転するようになっている。トップリングシャフト28の回転により、トップリング30がトップリングシャフト28周りを回転するようになっている。また、トップリングシャフト28は、上下動機構34によりトップリングヘッド26に対して上下動するようになっており、このトップリングシャフト28の上下動によりトップリング30がトップリングヘッド26に対して上下動するようになっている。
トップリングヘッド26は支軸24を中心として旋回可能に構成されており、下面に半導体ウエハWを保持したトップリング30は、トップリングヘッド26の旋回により半導体ウエハWの受取位置から研磨テーブル22の上方に移動される。そして、トップリング30を上下動機構34により下降させて半導体ウエハWを研磨パッド32の上面(研磨面)32aに押圧する。このとき、トップリング30及び研磨テーブル22をそれぞれ回転させ、研磨テーブル22の上方に設けられた研磨液供給ノズル(図示せず)から研磨パッド32の上面32aに研磨液を供給する。このように、半導体ウエハWを研磨パッド22の研磨面22aに摺接させて半導体ウエハWの表面を研磨する。
40は研磨テーブル22の研磨パッド32の研磨面32aをドレッシングするドレッシングユニットである。ドレッシングユニット40は、研磨面32aに摺接されるドレッサ50と、該ドレッサ50が連結されるドレッサシャフト51と、該ドレッサシャフト51の上端に設けられたエアシリンダ53と、ドレッサシャフト51を回転自在に支持する揺動アーム55とを備えている。ドレッサ50の下部にはドレッシング部材50aにより構成され、このドレッシング部材50aの下面には針状のダイヤモンド粒子が付着している。エアシリンダ53は、支柱56に支持された支持台57上に配置されており、これらの支柱56は揺動アーム55に固定されている。
揺動アーム55は図示しないモータに駆動されて、支軸58を中心として旋回するように構成されている。ドレッサシャフト51は、図示しないモータの駆動により回転し、このドレッサシャフト51の回転により、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転するようになっている。エアシリンダ53は、ドレッサシャフト51を介してドレッサー50を上下動させ、ドレッサ50を所定の押圧力で研磨パッド32の研磨面32aに押圧する。これと同時に図示しない純水供給ノズルから純水が研磨面32aに供給される。この状態で、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転し、ドレッシング部材50aの下面(ダイヤモンド粒子)を研磨面32aに摺接させる。これによりドレッシング部材50aで研磨パッド32が削り取られ、研磨面32aがドレッシングされる。
上記のような研磨装置を用いた化学的機械的研磨プロセスにおいて、スラリー状の研磨剤を研磨パッド32の表面に供給した状態で、半導体ウエハW等の被研磨物の表面特性がどのようになっているかを解明することは、研磨プロセスを向上させるためには有用である。そこで、近年、本願発明者以外にも、これを評価する試みもなされている。例えば、研磨対象物を研磨する処理速度(単位時間あたりの平坦化される量)、即ち、研磨レートと、研磨中にウエハ表面に生じる摩擦力との関係を評価する先行例として、非特許文献1に開示された石川等が研究した先行例がある。
上記先行例では、Gグリシン、Qキナルジン、BTA、H22、4種類のスラリー主成分についての混合液で、Qキナルジン濃度のみを変えた場合の研磨レートと研磨中の摩擦力との関係を実験した結果を得ている。この結果によると、Qキナルジン濃度の増加に比例して、研磨に要する摩擦力が大きくなることを示している。また、この例では、ある閾値を超えると研磨レートが急変して大きくなる傾向を示し、Qキナルジン濃度が上がると、膜が硬くなり、研磨には大きな摩擦力が必要なことを示している。
本願発明者は、上記先行例と同様の実験条件において、Gグリシン、Qキナルジン、BTA、H22、4種類のスラリー主成分についての混合液で、Qキナルジン濃度のみを変えた場合にCu表面のヤング率の変化を見るために原子間力顕微鏡(AFM)装置を用いて測定したフォース−インデンテーションのデータをプロットした結果を図15に示す。図15において、プロット記号の◇、○、△、□、■、▲、●は、それぞ下記のスラリーの混合比を示す。
◇:0.1MのGグリシン+2.81mMのQキナルジン+0.5mMのBTA+
2.9vol%のH22
○:0.1MのGグリシン+5.61mMのQキナルジン+0.5mMのBTA+
2.9vol%のH22
△:0.1MのGグリシン+8.42mMのQキナルジン+0.5mMのBTA+
2.9vol%のH22
□:0.1MのGグリシン+11.2mMのQキナルジン+0.5mMのBTA+
2.9vol%のH22
■:5.61mMのQキナルジン
▲:0.5mMのBTA
●:2.9vol%のH22
キナルジン(Quinaldine、もしくは、2-Methylquinolineともいう)を2.81mMから11.2mMまで変化させた場合の図15に示す結果から明らかなように、Q(キナルジン)の濃度の増加に比例して、ヤング率が大きくなっている(グラフの曲線が立ってくる傾向)ことがわかる。Cu表面反応層のヤング率が大きくなることは、即ち反応層(反応膜)の表面が硬くなることがわかる。従って、研磨レート実験前に、AFMフォーカスカーブを利用して研磨対象材料の反応層のヤング率(略硬さに比例)を推定しておくことで、研磨特性を推定できることがわかった。これにより、新しいスラリー成分の開発時に、実際の研磨装置を使用することなく、簡単に新しい研磨液の特性を推定できるので開発速度が速くなる。
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
本発明に係るAFM装置を用いた評価方法の手順を示す図である。 AFM装置の外観概略構成を示す図である。 AFM装置のカンチレバーの変位Zcに対する電圧変位変換器で検出された電圧Zpの関係を示す図である。 具体的なフォースカーブの例を示す図である。 ヤング率の大きい物質を参照材料とし、力F−位置Pを力F−変形量hに変換するための図である。 二つの異なる物質が弾性接触して変形した状態を示す図である。 力F−位置Pを力F−変形量hに変換するための図である。 Ta膜を参照試料として用いて求めた力F−変形量hデータとヘルツ理論の計算曲線を示す図である。 SPIPTM解析ソフトを用いて求めたデータをプロットした結果を示す図である。 表面反応層の二次元評価方法の結果を示す図である。 評価対象物の表面について、原子間力顕微鏡装置を用いて2つの測定点で測定した結果のフォースカーブを示す図である。 AFM装置の形状像を示す図である。 最適組合せ選択を説明するための図である。 化学機械研磨装置の概略外観構成例を示す図である。 スラリー薬液のQキナルジン濃度を変えてCu表面のフォース−インデンテーションのデータをプロットした結果を示す図である。
符号の説明
10 AFM装置
11 電圧変位変換器(PZI)
12 カンチレバー
13 半導体レーザー装置
14 光センサー(四つ割りフォトディレクター)
15 探針
16 試料
20 研磨装置
22 研磨テーブル
24 支軸
26 トップリングヘッド
28 トップリングシャフト
30 トップリング
32 研磨パッド
34 上下動機構
40 ドレッシングユニット
50 ドレッサ
51 ドレッサシャフト
53 エアシリンダ
55 揺動アーム
56 支柱
57 支持台
58 支軸

Claims (7)

  1. スラリー状の研磨剤を研磨パッド表面に供給して、被研磨物の表面を化学的及び機械的に研磨する化学機械研磨装置の化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率を原子間力顕微鏡装置を用いて評価することを特徴とする化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法。
  2. 請求項1に記載の化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、
    前記被研磨物は半導体ウエハであり、前記化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面は該半導体ウエハの被研磨面である表面に形成された絶縁膜、金属膜の表面であって、前記原子間力顕微鏡装置の探針を前記被研磨面に押し付けることにより生じる該探針の変形量から、前記被研磨表面のヤング率を評価することを特徴とする化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法。
  3. 請求項1に記載の化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、
    前記化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率の評価は、前記原子間力顕微鏡装置の探針を該化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面に押し付けるときに得られる力−探針変曲線を力−該化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面変形量曲線に変換し、ヘルツの接触式を用いて前記被研磨表面のヤング率を定量的に評価することを特徴とする化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法。
  4. 請求項2に記載の化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、
    前記原子間力顕微鏡装置の探針材料は、前記化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面に形成された絶縁膜、金属膜の材料に対して、ヤング率の大きい機械的特性を有することを特徴とする化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法。
  5. 請求項1に記載の化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法において、
    前記原子間力顕微鏡装置による前記化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面のヤング率の評価は、該化学的及び機械的な研磨に用いられる物の表面を二次元的に走査測定した、二次元的な分布評価であることを特徴とする化学機械研磨装置の化学機械研磨特性評価方法。
  6. 評価対象となる材料をスラリーを含んだ処理液に浸漬し、該材料の表面に反応層を形成する浸漬工程と、
    前記浸漬工程で材料の表面に形成された前記表面反応層に対して、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の多数点においてフォースカーブを測定する測定工程と、
    前記測定工程で得られたフォースカーブを基に、前記表面反応層のマッピングを行うマッピング工程と、を備え、
    前記マッピング工程で得られたマッピングを基に、前記材料表面の面内均一性を評価することを特徴とする材料表面の面内均一性評価方法。
  7. 材料をスラリーを含んだスラリー薬液に浸漬し、該材料の表面に反応層を形成する浸漬工程と、
    前記浸漬工程で材料の表面に形成された前記表面反応層に対して、原子間力顕微鏡装置を用いて該反応層の多数点においてフォースカーブを測定する測定工程と、
    前記測定工程で得られたフォースカーブを基に、前記表面反応層のヤング率を推定するヤング率推定工程と、
    前記ヤング率推定工程で推定したヤング率から前記スラリー薬液の研磨特性を推定する工程と、を備えたことを特徴とするスラリー薬液の特性推定方法。
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