JP2010071716A - Qcmデバイスとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水晶振動子の表面にニオイ吸着膜を具えたQCMデバイスにおいて、そのニオイ感度が測定環境の湿度に影響を受けないQCMデバイスを提供する。
【解決手段】QCMデバイスは、ニオイ吸着膜として有機ポリマー膜が用いられ、前記有機ポリマー膜が水晶振動子の少なくとも片方の面に形成され、前記有機ポリマー膜の表面がフッ素で改質されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、共振状態にある水晶振動子の表面に何らかの分子が吸着すると、その吸着量(重さ)に応じて共振周波数が変化(減少)する現象を利用して分子の存在やその量を検出するQCM(Quartz Crystal Microbalance)デバイスとその製造方法に関する。
一般にQCMデバイスにはATカット型の水晶振動子が用いられる。ATカットとは水晶結晶軸に対し、ある特定の方位のカット基板のことで、室温近傍で温度係数変化が極小になり温度安定性に優れている。
ATカット水晶振動子は、基板表裏に形成した励振電極間に電圧を印加すると表面と裏面が互い違いにスライドするいわゆる厚みすべり振動モードで動作する。その共振振動数f0は表裏の電極に挟まれた部位の水晶板厚に反比例し、一般に次の式(1)のような関係がある。
Figure 2010071716
ここで、tは水晶の板厚を示し、単位はμmである。
そして、このATカット水晶振動子を用いたQCMデバイスの吸着物質量変化ΔMと共振周波数変化Δfの関係は次のSauerbreyの式(2)で表されることが知られている。
Figure 2010071716
ここで、f0:振動子の共振周波数、ρ:水晶の密度、μ:水晶のせん断弾性定数、A:有効振動面積(略電極面積)である。
QCMデバイスは様々な用途に用いることができるが、振動子の表面に、気相中の分子として、たとえばニオイ分子のような特定の分子を選択的に吸着するニオイ吸着膜を形成しておくことで、特定のニオイを検出するニオイセンサ、あるいはガスセンサとして応用することができる。このようなセンサは、大気中で使用され、大気に含まれるニオイ分子あるいはガス分子をニオイ吸着膜に吸着することで生じた吸着物質量変化ΔMに伴う共振周波数変化Δfを計測するものである。
QCMデバイスでは、同じ濃度の検出対象分子を含む気体に接触したときの共振周波数変化Δfが大きいほど高感度であるといえる。水晶振動子が同じ場合、吸着物質量変化ΔMと共振周波数変化Δfの関係は一定であるから、膜重量が吸着物質量変化ΔMとして増加、すなわち検出対象分子をいかに効率的に検出対象分子吸着膜に吸着して内部へ取り込むかという検出対象分子吸着膜の性能で感度が決まる。
QCMデバイスをニオイセンサに応用した例として、ATカット水晶振動子の電極上に検出対象分子吸着膜としてジアルキルアンモニウム塩とポリスチレンスルホン酸からなる二分子膜フィルムを形成した素子を用いて、空気に飽和した検出対象分子としてβヨノンなどの存在を振動数の変化として検出した技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
このようなQCMデバイスでは、水晶振動子の共振周波数変化Δfから検出対象分子の濃度を算出することも可能である。そのためには振動数の変化Δfが純粋に検出対象分子の吸着のみによることが求められる。検出対象分子の吸着以外に振動数に変化を及ぼす要因として温度と湿度の寄与がある。
温度に関して前述のようにATカット型の水晶振動子を用いることで、ある程度の温度安定性が得られること、またヒーターなどを用いて水晶振動子を一定温度に保つこと、という非常に簡単な手段で温度変動の影響を回避することが可能であるため大きな問題ではない。
一方、湿度は、精密な制御が非常に困難であるため、一定に保つという方法は現実的ではない。そこでこの問題を解決する手段として、温湿度検出子を用いて湿度を計測し、その値を元に水晶振動子の濃度演算に補正を加える方法が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開昭63−222248号公報(3頁〜5頁、図1〜図5) 実用新案登録第3094415号公報
しかしこの方法では、温湿度検出子を水晶振動子とは別に設ける必要があるため、測定位置のずれが生じる。そのため、実際に検出対象分子濃度計測に影響する水晶振動子表面における湿度と温湿度検出子の値の間に誤差が生じるという問題があった。また補正は近似的にしか行えず精度に不安が残る点や構成や回路が複雑になるという問題も無視できない。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。以下の形態または適用例により実現することが可能である。
[適用例1]本適用例にかかるQCMデバイスは、水晶基板と、前記水晶基板の第1の面及び前記水晶基板に対して反対側の第2の面に形成された2つの電極と、前記電極に接続された引き出し線と、前記水晶基板の少なくとも一方の面に形成された有機ポリマー膜とを備え前記有機ポリマー膜の表面にフッ素を含有するフッ素改質層を有していることを要旨とする。
かかる構成にすることによって、有機ポリマー膜の表面が強い疎水性となる。そのため水蒸気の存在する環境下で使用した場合、有機ポリマー膜表面への水蒸気の吸着を抑制することができ、有機ポリマー膜表面に吸着した水蒸気分子が疎水性の検出対象分子の吸着を阻害するという現象を回避できる。その結果、QCMデバイスは、水蒸気が存在する環境下でも、検出対象分子、特に疎水性の検出対象分子に対して検出感度が低下することがない。QCMデバイスでは、QCMデバイス自体が湿度または水蒸気の干渉を受けないので、複雑な補正や制御機構を必要としない。
[適用例2]上記適用例にかかるQCMデバイスにおいて、前記有機ポリマー膜の表面の純水に対する接触角が90°以上であることが好ましい。
これによれば、接触角は表面の疎水性度合いの目安となるものであり、90°以上あれば十分な疎水性であるとみなせ、前述の湿度または水蒸気による感度低下の抑制効果が期待できる。これにより、QCMデバイスは、水蒸気が存在する環境下でも、検出対象分子、特に疎水性の検出対象分子に対して検出感度が低下することがない。
[適用例3]上記適用例にかかるQCMデバイスにおいて、前記有機ポリマー膜の表面から深さ20nm以内のフッ素原子の濃度が前記有機ポリマー膜内部のフッ素原子濃度より高いことが好ましい。
これによれば、有機ポリマー膜の表面への水蒸気の吸着を阻止できれば、有機ポリマー膜内部への水蒸気分子の侵入は起こらないため、湿度または水蒸気の干渉防止の観点からは少なくとも有機ポリマー膜表面が疎水性に改質していることが必要となる。フッ素原子を混入させることで有機ポリマーを疎水性に改質するので、少なくとも有機ポリマー膜表面近傍のフッ素原子濃度を高める必要がある。そして有機ポリマー膜内部は、有機ポリマー膜本来の検出対象分子親和性が保持されるようフッ素改質すなわちフッ素原子の混入ができる限り少ないことが望ましい。そのフッ素改質の範囲は有機ポリマー膜表面から20nm程度が好ましい。
[適用例4]上記適用例にかかるQCMデバイスにおいて、前記有機ポリマー膜の表面から深さ20nm以内のフッ素原子の濃度が1%以上であることが好ましい。
これによれば、有機ポリマー膜の表面のフッ素原子濃度が1%以上あれば十分な非極性状態すなわち疎水性となり水蒸気の吸着を効果的に抑制できる。これにより、QCMデバイスは、水蒸気が存在する環境下でも、検出対象分子、特に疎水性の検出対象分子に対して検出感度が低下することがない。
[適用例5]本適用例にかかるQCMデバイスの製造方法は、水晶振動子の少なくとも片方の面に有機ポリマー膜が形成されたQCMデバイスの製造方法であって、水晶振動子の電極の少なくとも片面に液状の有機ポリマー溶液を塗布する工程と、前記有機ポリマー溶液を乾燥して有機ポリマー膜を形成する工程と、前記有機ポリマー膜表面に対してフッ素またはフッ素化合物を含むガスを用いてプラズマ処理を行う工程と、を備えることを要旨とする。
これによれば、従来のQCMデバイスの製造方法に、大幅な変更を加えることなく容易に適用可能なQCMデバイスの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態であるQCMデバイスの例としてニオイセンサを示している概略図である。図1(a)は、ニオイセンサの概略平面図であり、図1(b)は、(a)のA−A断面を示す概略断面図である。図2は、本実施形態であるQCMデバイスの製造方法の例を示している。
以下、QCMデバイスとして、ニオイセンサを一例に挙げて説明する。
(実施形態)
図1に示すように、本実施形態のニオイセンサ1は、ATカット水晶振動子2と、有機ポリマー膜としてのニオイ吸着膜3とを備えている。ニオイ吸着膜3の表面には、フッ素改質層6を有している。ATカット水晶振動子2は、水晶基板4と、電極5を備えている。1つのATカット水晶振動子2(圧電振動子)の片面に、ニオイ吸着膜3の表面がフッ素改質されたフッ素改質層6ニオイ吸着膜3が形成されている。ATカット水晶振動子2は、水晶基板4の表裏に対向するように形成した2つの電極5に電圧を印加すると表面および裏面が互いに逆方向へスライドするように変形する現象を利用した厚みすべり振動子である。その共振周波数f0は励振電極部の水晶基板4の厚さに反比例する。ここでは共振周波数f0が、9MHzのATカット水晶振動子2を用いた。
ATカット水晶振動子2は、水晶基板4の表裏に形成した電極5間に電圧を印加すると表面と裏面が互い違いにスライドする、いわゆる厚みすべり振動モードで動作する。その共振振動数f0は表面および裏面それぞれの電極5に挟まれた部位の水晶基板4の厚さtに反比例し、一般に式(1)のような関係がある。
Figure 2010071716
ここで、tは水晶基板4の厚さを示し、単位はμmである。f0はATカット水晶振動子2の共振周波数を示し、単位はMHzである。
このATカット水晶振動子2を用いたニオイセンサ1の吸着物質量変化ΔMと共振周波数変化Δfの関係は、以下に示すSauerbreyの式(2)で表される。
Figure 2010071716
ここで、ρ:水晶の密度、μ:水晶のせん断弾性定数、A:有効振動面積(略電極面積)である。
ニオイ吸着膜3としては有機ポリマー膜が好適である。ここでは有機ポリマー材料としてポリスチレンを用いた。ポリスチレンは、トルエンなどの疎水性の有機分子に対して親和性の高いニオイ吸着膜材である。有機ポリマー膜のコーティングは、トルエンなどの有機溶媒中にポリスチレンを溶解させ、スピンコートや噴霧などの方法で塗布し、乾燥させることで形成される。溶液の濃度や塗布条件を調節することで所望の有機ポリマー膜厚を得ることができる。ここでは500nmのポリスチレン膜を形成した。
次に、コーティングされたニオイ吸着膜3の表面を改質したフッ素改質層6を、ニオイ吸着膜3の表面に有する。有機物質表面の改質方法として、プラズマ処理を行うことが好適である。この工程を図2に示す。例えば導入ガスにフッ素またはフッ素化合物を含んだガスを使用し、減圧雰囲気下や大気圧雰囲気下でプラズマ7を照射する減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理を行う。フッ素またはフッ素化合物を含んだガスとしては、例えばCF4、SF6、CHF3、NF3等のハロゲンガスを用いる。プラズマ化したフッ素系化合物ガスに有機物が晒されると、ニオイ吸着膜3の表面に露出しているC−H結合またはC−OH結合がC−F結合に置換され、非極性化、すなわち疎水化する。ここではCF4を10%含むアルゴンとの混合ガスを用い、圧力1Torr、RF500Wの条件下で2分間プラズマに晒した。
このようにして得られたニオイ吸着膜3であるポリスチレン膜の表面は、純水に対する接触角が100°に達する良好な疎水性を示した。表面改質による疎水性の目安としては純水に対する接触角が少なくとも90°、好ましくは100°以上であることが望ましい。
またはポリマー表面のH基やOH基に対するフッ素置換率は10%以上100%以下であることが望ましい。より好ましくは20%以上100%以下である。ニオイ吸着膜3表面のH基やOH基に対するF基の置換率はX線光電子分光により確認することができる。これによりフッ素置換率を調べたところ約10%のフッ素置換率である程度の疎水化の効果が現れはじめることがわかった。疎水化効果はフッ素置換率の増加とともに高まる。ちなみに上記のプラズマ処理の条件では、フッ素置換率60%であった。
この方法では、ニオイ吸着膜3の極表層のみにフッ素原子が付与され、ニオイ吸着膜3内部には変化を及ぼさないため、疎水性の分子に対する基本的な親和性は保たれる。ニオイ吸着膜3自体を改質するので、別の膜を追加形成する場合にしばしば見られる、溶媒によるニオイ吸着膜3深部へのダメージや膜の溶解混合、膜界面での密着不良などの問題も生じない。またほとんどの有機膜に対して適用可能な簡便で汎用性が高い方法である。
次に、上述した、プラズマ処理によりニオイ吸着膜3の表面に改質を行ったポリスチレンからなるフッ素改質層6を具えたQCMデバイスを使用したニオイセンサ1の例について説明する。図3は、本実施形態のQCMデバイスを用いたニオイセンサ1の構成例を示している。
ニオイ吸着膜3を具えたニオイセンサ1は発振回路8に接続されて共振振動状態にある。発振回路8の振動信号は周波数カウンタ9に供給され、共振周波数f0が計測されている。データ処理装置10は共振周波数f0の時間変化を記録、解析処理して、ニオイ物質の検出を行う。
ポリスチレンは、トルエンなどの疎水性の有機分子に対して親和性の高いニオイ吸着膜材であるため、例えばトルエン蒸気を含む空気に触れるとトルエン分子を膜内部へ取り込み膜重量が、吸着物質量変化ΔMとして増加する。その結果、前述のSauerbreyの式(2)に従う共振周波数変化Δfが観測される。ニオイセンサ1では、同じ濃度のニオイ分子を含む気体に接触したときの共振周波数変化Δfが大きいほど高感度であるといえる。水晶振動子が同じ場合、吸着物質量変化ΔMと共振周波数変化Δfの関係は一定であるから、吸着物質量変化ΔMの増加、すなわちニオイ分子をいかに効率的にニオイ吸着膜3に吸着して内部へ取り込むかというニオイ吸着膜3の性能で感度が決まる。
そこで水蒸気の有無による条件下で、一定濃度のニオイ物質に一定時間暴露した時の共振周波数変化Δfを比較することで、水蒸気がニオイ感度に及ぼす影響を調べた。図4にその結果を示す。温度20℃の条件下で湿度0%の乾燥空気と湿度50%の空気ベースガスに、それぞれにトルエン蒸気を濃度100ppm混合した2種類のサンプルガスを用意した。このサンプルガスにプラズマ処理により表面改質を行ったポリスチレン吸着膜を具えたニオイセンサ1を10分間暴露した時の振動数変化量の絶対値を計測した結果である。比較のため表面改質していないニオイセンサ1の結果も併せて示した。
湿度0%の空気をベースにしたサンプルガスに対する共振周波数変化Δfはどちらのニオイセンサ1も約25Hzとほぼ同じ感度を示した。このことはフッ素プラズマ処理による表面改質はトルエンの吸着特性に全く影響していないことを示している。次に湿度50%の空気をベースにしたサンプルガスに対する共振周波数変化Δfは、表面改質していないポリスチレン膜を形成したニオイセンサ1では、15Hzと大幅に低下しており、水蒸気の影響で感度が大きく低下していることがわかる。一方、本実施形態の表面処理を施したニオイセンサ1では23Hzと感度低下は僅かであり、水蒸気の影響が抑えられている。
この結果は以下のように考えることができる。ポリスチレン膜を具えたニオイセンサ1を水蒸気が存在する環境においた場合、ポリススチレン表面に多数の水蒸気が付着する。トルエンは疎水性であるため、ポリススチレン表面に水蒸気分子が付着していると吸着、侵入を阻害される。そのため水蒸気存在下ではトルエンに対する感度が低下すると考えられる。本実施形態の表面処理を施すとポリスチレン表面が強い疎水性となるため、表面への水蒸気の吸着が抑えられ、水蒸気によるトルエン分子の吸着阻害を生じなかった。またフッ化素することで表面は非極性の度合いが強くなるが、トルエン分子が非極性であるために親和性にはほとんど影響しなかった。その結果、水蒸気存在下でも変わらぬ感度を示したと考えられる。
以上説明したように本実施形態によれば、ニオイ吸着膜3の表面をプラズマ処理によりフッ素化したことにより、水蒸気の干渉を抑えることができ、湿度によらない検出感度を安定して得ることができる。
このように、本実施形態によれば、ニオイセンサ1のニオイ吸着膜3の表面をプラズマ処理によりフッ素化することによりニオイ感度の湿度に対する影響を除去できるため、湿度補正や湿度管理が必要なく、実用的なニオイセンサ1を提供できる。
これによれば、ニオイ吸着膜3としての有機ポリマー膜の表面が強い疎水性となる。そのため水蒸気の存在する環境下で使用した場合、有機ポリマー膜表面への水蒸気の吸着を抑制することができ、有機ポリマー膜表面に吸着した水蒸気分子が疎水性のニオイ分子の吸着を阻害するという現象を回避できる。その結果、水蒸気が存在する環境下でも、ニオイセンサ1を用いたニオイセンサは、ニオイ分子、特に疎水性のニオイ分子に対して検出感度が低下することがない。本実施形態のQCMデバイスを用いたニオイセンサ1では、ニオイセンサ1自体が湿度または水蒸気の干渉を受けないので、複雑な補正や制御機構を必要としない。
これによれば、接触角は表面の疎水性度合いの目安となるものであり、90°以上あれば十分な疎水性であるとみなせ、前述の湿度または水蒸気による感度低下の抑制効果が期待できる。これにより、QCMデバイスを用いたニオイセンサ1は、水蒸気が存在する環境下でも、ニオイ分子、特に疎水性のニオイ分子に対して検出感度が低下することがない。
これによれば、ニオイ吸着膜3としての有機ポリマー膜の表面への水蒸気吸着を阻止できれば有機ポリマー膜内部への水蒸気分子の侵入は起こらないため、湿度または水蒸気の干渉防止の観点からは少なくとも有機ポリマー膜表面が疎水性に改質していることが必要となる。フッ素原子を混入させることで有機ポリマーを疎水性に改質するので、少なくとも有機ポリマー膜表面近傍のフッ素原子濃度を高める必要がある。そして有機ポリマー膜内部は、有機ポリマー膜本来のニオイ物質親和性が保持されるようフッ素改質すなわちフッ素原子の混入ができる限り少ないことが望ましい。そのフッ素改質の範囲は有機ポリマー膜表面から20nm程度が好ましい。
これによれば、ニオイ吸着膜3としての有機ポリマー膜表面のフッ素原子濃度が1%以上あれば十分な非極性状態、すなわち疎水性となり水蒸気の吸着を効果的に抑制できる。これにより、QCMデバイスを用いたニオイセンサ1は、水蒸気が存在する環境下でも、ニオイ分子、特に疎水性のニオイ分子に対して検出感度が低下することがない。
これによれば、従来のQCMデバイスを用いたニオイセンサ1の製造方法に、大幅な変更を加えることなく容易に適用可能なニオイセンサ1の製造方法を提供することができる。
なお、上記課題の少なくとも一部を解決できる範囲での変形、改良などは前述の実施形態に含まれるものである。
たとえば、前述の実施形態では有機ポリマー膜としてポリスチレンを用いたが、これ以外の材質の有機ポリマー膜に適用できることはいうまでもない。例えば、ポリアクリル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリビニル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、ポリエーテル系、ポリプロピレン系、ポリハロオレフィン系、ポリジエン系、ポリスルフィド系、ポリアミド系、ポリ尿素系、ポリイミド系、ポリ酸無水物系、ポリホスファゼン系、ポリケトン系、ポリシロキサン系、ポリスルホン系、ポリフェニレン系、これら主だった分類に属さない有機ポリマー、無機ポリマーに適用可能である。またこれらポリマーを混ぜたブレンドポリマー、共重合させたコポリマーにも適用可能である。
また、QCMデバイスとしてニオイセンサを一例に挙げ、気相中の分子としてニオイ分子を検出対象として説明したが、これに限るものではなく、水素、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)などの気体を検出対象とするガスセンサなどに適用することができる。
そして、図1(a)において、ニオイ吸着膜3およびフッ素改質層6を、電極5の円形部分を覆い隠すように、電極5より大きく図示したが、これに限るものではなく、ニオイ吸着膜3およびフッ素改質層6は、電極5のほぼ全てあるいは水晶基板4の全てを覆うように形成されていてもよい。また、ニオイ吸着膜3およびフッ素改質層6は、水晶基板4の片面にだけ形成するとしたが、これに限るものではなく、水晶基板4の両面(片面および片面と対向する面)に形成されていてもよい。
また、図1から図3において、水晶基板4を円形の面を有する円盤形状に示したが、これに限るものではなく、たとえば矩形、多角形、または楕円形などの面を有する形状などであってもよい。また、電極5を円形に示したが、これに限るものではなく、たとえば矩形、多角形、または楕円形などであってもよい。
本実施形態のQCMデバイスの構造を示す概略図。 本実施形態のQCMデバイスの製造工程を示す断面図。 本実施形態のQCMデバイスを用いたニオイセンサの構成例を説明するブロック図。 本実施形態の特性例を説明するグラフ。
符号の説明
1…ニオイセンサ、2…ATカット水晶振動子、3…ニオイ吸着膜、4…水晶基板、5…電極、6…フッ素改質層、7…プラズマ、8…発振回路、9…周波数カウンタ、10…データ処理装置。

Claims (5)

  1. 水晶基板と、
    前記水晶基板の第1の面及び前記水晶基板に対して反対側の第2の面に形成された2つの電極と、前記電極に接続された引き出し線と、
    前記水晶基板の少なくとも一方の面に形成された有機ポリマー膜とを備え
    前記有機ポリマー膜の表面にフッ素を含有するフッ素改質層を有していることを特徴とするQCMデバイス。
  2. 前記有機ポリマー膜の表面の純水に対する接触角が90°以上であることを特徴とする請求項1に記載のQCMデバイス。
  3. 前記有機ポリマー膜の表面から深さ20nm以内のフッ素原子の濃度が前記有機ポリマー膜内部のフッ素原子濃度より高いことを特徴とする請求項1に記載のQCMデバイス。
  4. 前記有機ポリマー膜の表面から深さ20nm以内のフッ素原子の濃度が1%以上であることを特徴とする請求項1に記載のQCMデバイス。
  5. 水晶振動子の少なくとも片方の面に有機ポリマー膜が形成されたQCMデバイスの製造方法であって、
    前記水晶振動子の電極の少なくとも片面に液状の有機ポリマー溶液を塗布する工程と、
    前記有機ポリマー溶液を乾燥して有機ポリマー膜を形成する工程と、
    前記有機ポリマー膜表面に対してフッ素またはフッ素化合物を含むガスを用いてプラズマ処理を行う工程と、を備えることを特徴とするQCMデバイスの製造方法。
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