JP2010067401A - 燃料電池構成部品の表面処理 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気抵抗(特に割合として大きいGDLとの接触抵抗)の増加を発生させることなく、ピンホール等の欠陥に対するイオン溶出性の抑制も効果的に行える表面処理を施した燃料電池構成部品を提供する。
【解決手段】金属基材31と、該基材31表面に配置された該基材31より高い撥水性を有するフィラー41を含んだ中間層32と、該中間層32表層に配置された該基材31より高い耐食性と中間層32より高い導電性を有する表面処理層33と、を備える燃料電池構成部品5である。
【選択図】図4

Description

本発明は、セパレータならびに集電板を始めとする導電性と耐食性を必要とする燃料電池の構成部品に関する。
燃料電池システムは、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。詳しくは電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうち陽極に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に、陰極に酸素を含有する酸素剤ガスを供給し、これら一対の電極の電解質膜側表面で生じる下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギーを取り出すものである。各電極では下記(1)、(2)の反応が行われる。
Figure 2010067401
陽極に供給する燃料ガスは、水素貯蔵装置から直接供給する方法、例えばガソリンやアルコール、天然ガス等の燃料を改質した水素含有ガスを供給する方法が知られている。水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等がある。陰極に供給する酸素剤ガスとしては、一般的に空気が利用されている。
この燃料電池システムでは、電解質膜の両面に陽極及び陰極(アノード用及びカソード用の触媒層とガス拡散層(以下、GDLともいう))を配置させて膜電極接合体が形成されている。そして該膜電極接合体(以下、MEAともいう)は更にセパレータにより挟持されて燃料電池システムの単セルユニットが構成されている。
燃料電池用のセパレータは、燃料ガスおよび酸化剤ガス並びに冷媒(冷却水)といった異なる流体を流すガス流路やマニホールドを備え、各膜電極接合体を直列に電気的に接続する機能(導電性)と、燃料電池スタックの機械的強度を保つといった機能を有する。また、固体高分子型の燃料電池の電解質膜には、通常、パーフルオロスルホン酸型の膜を使用することから、膜から溶出する種々の酸性イオンと電池に加湿ガスを投入することから、電池内は湿潤の弱酸性腐食環境下にある。このため、燃料電池用のセパレータには、導電性だけでなく耐食性も必要とされている。
そのため、従来の燃料電池用のセパレータには、耐食性と導電性を兼ね備えたカーボン製が用いられてきたが、近年出力密度を向上させるために薄肉化が求められている。しかしながら、薄肉化によりカーボン製セパレータでは機械的強度が十分得られない。そこで、薄肉化による出力密度の向上と、更には低コスト化を狙ってステンレスなどの金属製のセパレータ(以下、金属セパレータともいう)が用いられるようになってきた。しかしながら、金属セパレータは燃料電池作動環境下、特に酸性雰囲気下における耐食性が劣り、腐食部分の電気抵抗が増大するなど、そのまま用いる場合も抵抗値が高いために発電性能がカーボンに比べて低下するという問題があった。
そのため、耐食性を向上させるために金属セパレータの表面に撥水性材料と金属とを含有させた複合メッキ層を形成させた技術がある(例えば、特許文献1参照)。この構成により、金属セパレータの導電性を維持したまま酸性雰囲気下に曝されても化学的安定性を維持することが出来る、というものである。
特開2000−100452号公報
しかしながら、特許文献1記載の金属セパレータ表面に撥水性材料を含有する複合メッキ層を形成した構成では、撥水性材料自体が導電性を持たないため、導通面積が低下し、結果として電気抵抗(貫通抵抗とガス拡散層との接触抵抗)を増加させる恐れがある。また、撥水性材料に関係なく、金属セパレータ表面の処理層(複合メッキ層)にもピンホール等の欠陥が発生した場合、ピンホールからのイオン溶出も発生する可能性があるという問題があった。
そこで本発明の目的は、電気抵抗、特に割合として大きいガス拡散層との接触抵抗の増加を生じさせることなく、ピンホール等の欠陥に対するイオン溶出性の抑制も効果的に行える表面処理を施した燃料電池構成部品を提供することである。
上記目的を達成するための本発明の燃料電池構成部品は、金属基材と、該基材表面に配置された該基材より高い撥水性を有するフィラーを含んだ中間層と、該中間層表層に配置された該基材より高い耐食性と該中間層より高い導電性を有する表面処理層とを備える。
本発明によれば、最表面に導電性向上を目的とした表面処理層を配置し、最表面の表面処理層と基材金属との間に撥水性を有する中間層を配置することで、中間層で液滴の浸入による基材の腐食を防止しつつ、最表面で抵抗低減を図った燃料電池構成部品を提供できる。
本発明の燃料電池構成部品は、金属基材と、該金属基材の表面に配置された中間層と、該中間層表層に配置された表面処理層とを備えてなる。そして、前記中間層が、フィラーを含む中間層を備えており、該フィラーを含む中間層が、前記金属基材の撥水性よりも高い撥水性を有する。そして、前記表面処理層が、導電性と、金属基材の耐食性よりも高い耐食性を有していることを特徴とするものである。かかる構成とすることで、導電性と耐食性を有する表面処理層として、例えば、金属メッキ層、特にイオン化傾向の低い金属(貴な金属)層を配置することによって、表面処理層自体に導電性(更には耐食性)を持たせることができるため、導通面積の低下を抑制できる。結果として、セパレータや集電板等の燃料電池構成部品最表面と接触するGDL等との接触抵抗を増大させることがなく、電気抵抗、特に割合として大きいGDLとの接触抵抗の増加を効果的に抑制することができる。表面処理層自体に耐食性を持たせることができるため、該表面処理層のピンホール(被覆率)等が、燃料電池作動環境下で拡大するのを防止することができる。そのため中間層のピンホールと表面処理層のピンホールが重なっていなければ、液滴の浸入を防止でき、金属基材の溶出を抑制することができる。また、仮にピンホールが重なっていても、中間層のピンホールの大きさ等を制御することで、該ピンホールを周囲が撥水性であるため、当該ピンホールへの液滴に侵入を防止できる。このように、該表面処理層と金属基材の間に撥水性を有するフィラーを含んだ中間層を設けることで、上記表面処理層にピンホール等の欠陥が生じた場合でも、該中間層の撥水化によってピンホール等の部分からの液滴の侵入を効果的に防止できる。結果として、該液滴が金属基材まで到達するのを抑制・防止することができ、液滴による金属基材の腐食によるイオン溶出性(金属基材成分の液滴中へのイオン溶出)も効果的に抑制することができる。また、燃料電池構成部品の導電性は、GDL等と接触する最表面部分で決まるので(燃料電池構成部品内部の中間層や基材の抵抗に比べ、最表面部分の抵抗の影響が非常に大きい)、中間層として撥水性を有するフィラーを含む金属層を設けても、燃料電池構成部品全体の導電性を阻害することはほとんどない。
ここで、表面処理層の導電性は、フィラーを含む中間層より高い導電性を有するものである。好ましくは、上記したように燃料電池構成部品の導電性に最も影響が大きいGDL等と接触する最表面部分で決まる。よって、表面処理層の導電性としては、燃料電池構成部品とGDL等と接触する最表面部分の抵抗から求めるのが望ましい。具体的には、燃料電池構成部品とGDL等と接触する最表面部分(=表面処理層)の接触抵抗が1MPaの面圧下で10mΩcm以下が望ましく、より好ましくは接触抵抗が5mΩcm以下である。
上記セパレータ等とGDL等と接触する最表面部分の接触抵抗の計測方法については、後述する実施例に記載した通りである。2枚のGDLで燃料電池構成部品を挟持し、これらを電極によって挟む構成とする。電極によって圧縮する面圧は燃料電池の積層条件をもとに決めることが出来るが、本発明では1MPaでの接触抵抗を計測する。電流および電圧端子は4端子法に従って取り付けられており、直流電流一定のもと、2枚のGDL間の電圧降下から抵抗を算出することができる。
上記表面処理層の導電性と、フィラーを含む中間層の導電性の比較も、上記した接触抵抗の計測方法と同様にして求めた電気抵抗(接触抵抗)の逆数として算出し、比較することができる。
但し、表面処理層やフィラーを含む中間層に用いる金属材料の導電率は既に公知である。また撥水性を有するフィラーがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の絶縁性材料の場合、該フィラーを含む中間層全体の導電率よりもフィラーを含む中間層に用いる金属材料の導電率の方が高くなる。そのため、表面処理層に用いる金属材料の導電率が、フィラーを含む中間層に用いる金属材料の導電率よりも高ければ、表面処理層の導電性は、フィラーを含む中間層より高い導電性を有するものとなる。そのため、上記した電気抵抗(接触抵抗)による比較は行う必要はない。例えば、後述する実施例でも、表面処理層に導電率の高いAu(20℃で45.5×10S/m)を用いており、撥水性を有するフィラー(PTFE)を含む中間層では、金属材料にAuよりも導電率が低いNi(20℃で14.5×10S/m)を用いており、表面処理層の導電性が、フィラーを含む中間層より高い導電性を有していることが確認できるため、上記した電気抵抗(接触抵抗)による比較は行っていない。
但し、本発明では、表面処理層から金属基材に電流を流すことができるように、中間層にも積層方向(厚さ方向)の導電性が必要である。かかる観点から、後述する実施例のように、中間層の電気抵抗(貫通抵抗)が1mΩcm以下が望ましく、より好ましくは0.1mΩcm以下である。上記した程度の電気抵抗(貫通抵抗)であれば、燃料電池構成部品(セパレータ)内部の中間層や金属基材の電気抵抗に比べ、最表面部分の表面処理層の電気抵抗の影響が非常に大きい。そのため、該中間層として撥水性を有するフィラーを含む金属層を設けても、燃料電池構成部品全体の導電性を阻害することはほとんどないためである。
表面処理層の耐蝕性は、金属基材より高い耐食性を有するものである。従来の金属セパレータ(=金属基材)は、燃料電池作動環境下、特に酸性雰囲気下における耐食性が劣っており、腐食部分の電気抵抗が増大していた。表面処理層に用いる金属材料が同様の環境下で同じように耐食性が劣る場合には、セパレータ等の燃料電池構成部品の導電性に最も影響が大きいGDL等と接触する最表面部分(表面処理層)が腐食し、該腐食部分の電気抵抗が増大する。その結果、表面処理層が担うべき高い導電性を有効に発現し難くなる恐れがある。そこで、表面処理層及び金属基材の「耐食性」は、燃料電池作動環境下における耐食性が問題となることから、かかる燃料電池作動環境下、即ち、湿潤の弱酸性腐食環境下における耐食性能につき対比するのが望ましい。かかる観点から、表面処理層及び金属基材の耐食性の測定方法としては、後述する実施例に記載した測定方法を用いるのが望ましいといえる。即ち、金属基材単独のセパレータ(燃料電池構成部品)、本発明のセパレータ(燃料電池構成部品)とを、80℃の弱酸の水溶液中に100時間浸漬した場合のイオン溶出量を比較して求めることができる。ここで、表面処理層の耐食性は、本発明の燃料電池構成部品(セパレータ)からのイオン溶出量(具体的には、表面処理層から溶出する金属イオン量)を用いるものとする。一方、金属基材の耐食性は、金属基材単独の燃料電池構成部品(セパレータ)からのイオン溶出量(具体的には、金属基材から溶出する金属イオン量)を用いるものとする。
但し、表面処理層や金属基材に用いる金属材料として、単体金属を用いる場合には、化学的に活性の高い(イオン化傾向の高い)金属(卑な金属)と安定な(イオン化傾向の低い)金属(貴な金属)があり、貴な金属ほどさびや腐食に強い(=耐食性の高い)金属と言える。したがって、表面処理層に用いる金属材料のイオン化傾向が、金属基材に用いる金属材料のイオン化傾向よりも低ければ、表面処理層の耐食性は、金属基材より高い耐食性を有するものとなる。そのため、上記した湿潤の弱酸性腐食環境下におけるイオン溶出量による耐食性能の比較は行う必要はない。例えば、後述する実施例でも、表面処理層に用いる金属材料のAuのイオン化傾向は、金属基材に用いる金属材料のAlのイオン化傾向よりも低く、Al(金属基材)よりもAu(表面処理層)の方が、高い耐食性(腐食に強い)を有していることが確認できるため、上記した湿潤の弱酸性腐食環境下におけるイオン溶出量による耐食性能の比較は行っていない。
表面処理層としては、金属基材より高い耐食性を有した上で、上記したイオン溶出量の測定方法による表面処理層から溶出する金属イオン量が0.1ppm以下、より好ましくは表面処理層から溶出する金属イオン量が0.05ppm以下のものを用いるのが望ましい。表面処理層として特に好ましくは、金属基材より高い耐食性を有した上で、燃料電池作動環境下、即ち、湿潤の弱酸性腐食環境下における表面処理層からのイオン溶出が認められない、高い腐食性を有するのが望ましい。なお、後述する実施例では、表面処理層に弱酸性腐食環境下では腐食(溶解)しないAuを用いている為、該Auイオンの溶出量については測定していない。
本発明の燃料電池構成部品は、フィラーを含む中間層が金属基材より高い撥水性を有し、表面処理層がフィラーを含む中間層より高い導電性と金属基材より高い耐食性とを有することで、弱酸性の液滴が金属基材まで到達するのを抑制・防止することができる。具体的には、上記したイオン溶出量の測定方法による燃料電池構成部品からのイオン溶出量のうち、中間層から溶出する金属イオン量が1ppm以下、より好ましくは中間層から溶出する金属イオン量が0.5ppm以下である。更に、セパレータからのイオン溶出量、具体的には金属基材から溶出する金属イオン量が0.1ppm以下、特に基材金属がアルミの場合は、より好ましくはアルミ基材から溶出する金属イオン量が0.01ppm以下であるのが好ましい。かかる範囲であれば、弱酸性の液滴が中間層の撥水化によって中間層自体の腐食によるイオン溶出を抑制・防止することができる。また中間層の撥水化によってピンホール等の部分からの該液滴の侵入も効果的に防止できる。その結果、金属基材まで到達するのを抑制・防止することができ、該液滴による金属基材の腐食によるイオン溶出性も効果的に抑制することができる。
フィラーを含む中間層の撥水性は、金属基材より高い撥水性を有するものである。かかる構成と、上記表面処理層の導電性と耐食性との組み合わせにより、上記したようなセパレータの耐食性を有効に発現し得るものである。かかるフィラーを含む中間層と金属基材の撥水性は、後述する実施例にあるように、中間層と金属基材の各表面における水の静的接触角(度)αから求めることができる。即ち、中間層および金属基材の各表面に微小な水滴を乗せたとき、中間層および金属基材の各表面と水滴のなす角である接触角(即ち、水滴接触角)が大きいほど、高い撥水性を有することになる。ここで、水の静的接触角(水滴接触角)は、従来公知の種々の手段によって測定することができる。例えば、蒸留水の静的接触角(液滴直径約2mm)を液滴法により25℃の雰囲気下で市販の接触角計(例えば、協和界面科学株式会社製の「DM500」等)を用いて測定することができる。
但し、金属基材のような金属層の表面の水の静的接触角や中間層に用いられる金属材料単体の金属層の表面の水の静的接触角は、既に周知であるので、そうした値を用いることができる。更に中間層に用いられる金属材料(マトリックス)に、フィラーとして既知の高撥水性材料(例えば、PTFEの水の静的接触角=110°程度)を分散させた中間層では、該金属材料(マトリックス)単体の金属層よりも水の静的接触角が高くなる(図8参照)。したがって、少なくとも、中間層に用いられる金属材料単体の金属層の表面の水の静的接触角が、金属基材のような金属層の表面の水の静的接触角よりも高ければ、フィラーを含む中間層の撥水性は、金属基材より高い撥水性を有するものといえる。
フィラーを含む中間層は、好ましくは該中間層の表面処理層との界面に当たる表面における水の静的接触角が80〜130°、より好ましくは>90°となる撥水性を有するのが望ましい。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。
<燃料電池の構成ならびに表面処理の特性について>
図1は、本発明に係る燃料電池構成部品の代表的な一実施形態である金属セパレータを用いてなる燃料電池の基本構成、詳しくは固体高分子型の燃料電池(PEFC)のセルユニットの基本構成のみを模式的に示す断面概略図である。図2は、図1のセパレータの基材表面に形成される表面処理のための層の概要を示す部分断面図である。
図1に示す燃料電池のセルユニット1では、固体高分子電解質膜2の両面にアノード及びカソード用触媒層3を配置し、それらを挟持するように、アノード及びカソード用GDL4を配置させて、膜電極接合体(MEA)9が形成されている。MEA(Membrane Electrode Assembly)9は最終的に、導電性を有する一対の金属セパレータ5により挟持されて、PEFCの単セルユニットを構成する。実際の燃料電池では、セパレータ5と電解質膜2の端部の周囲(周縁部)の間、並びに燃料電池のセルユニット1と隣り合う別のセルユニットとの間でガスシールを配置するが、本概略図では省略する。セパレータ5が本発明に係る燃料電池構成部品の代表的な一実施形態である金属セパレータでも、0.5mm以下の薄板をプレスによって波型に成形し、そこに燃料ガス(水素含有ガスや空気)や冷却水を流す。以上のように、セパレータ5は、各MEAを直列に電気的に接続する機能に加えて、燃料ガスおよび酸化剤ガス並びに冷媒といった異なる流体を流すガス流路やマニホールドを備え、さらにはスタックの機械的強度を保つといった機能も有する。また、電解質膜2には、通常、パーフルオロスルホン酸型の膜を使用することから、膜から溶出する種々の酸性イオンと電池に加湿ガスを投入することから、電池内は湿潤の弱酸性腐食環境下にある。このため、図2に示すように、セパレータ5の表面処理は、導電性だけでなく耐食性の両方が必要になる。セパレータ5の金属基材6上に配置される表面処理のための層7は、腐食条件の厳しい反応面に実施されることは必須であるが、反応面とは裏の冷却面においても冷却媒体の種類や環境によっても同様の処理が必要となる。
図3は、図1のセパレータの基材表面に形成される表面処理のための各層の構成・配置を示す部分断面図であって、表面処理のための各層に求められる機能を解説するための簡略図である。
図3に示すように、本発明に係る燃料電池構成部品の代表的な一実施形態である金属セパレータ5の断面構成としては、セパレータ5の金属基材31の両主面(表面)に中間層32と最表層33が配置されている。金属基材31に例えばSUS316Lのような耐食性に優れたステンレスを用いた場合、金属基材31自体が燃料電池内の腐食環境下に耐えられるため、防食を目的とした中間層32は不要である。しかしながら、我々の試験結果から、薄肉化、低コスト化をより強く推し進めるべく、ステンレスよりも薄肉軽量化に優れるアルミニウムを金属基材31とする場合、アルミニウム自体が耐食性に乏しいため中間層31の配置や他何らかの防食手段を講じる必要があると判断した。
金属セパレータの金属基材31材料の腐食は、電池内の弱酸(酸性度)とセパレータ表面電位に左右される。このためアルミニウムをセパレータ5の金属基材31とした場合、酸性度や電位に対する防食が必要となる。しかしながら、腐食自体は水の存在によって始めて発生するため、金属基材31のアルミニウムが水とできるだけ接することの無いような表面処理が腐食の根本を対策することとなり、その効果は非常に大きい。このため、上記最表層33にピンホール等の欠陥が生じた場合でも、中間層32に撥水性を持たせることで中間層32以下のセパレータ内部への水の浸透を抑制することを試み、なされたものである。
図4は、図1のセパレータの基材表面に形成される表面処理のための各層の構成・配置を示す部分断面図であって、本発明の実施形態の基本構成を示す断面概略図である。
図4に示すように、金属セパレータ5の断面構成としては、セパレータ5の金属基材31の両主面(表面)に中間層32と、最表層の表面処理層33が配置されている。そして、中間層32の表層および内部には、撥水性材料を用いたフィラー41が分散されている。即ち、中間層32を構成するマトリックス43中に撥水性を有するフィラー41が分散されているものといえる。これにより、上記したように、該撥水性材料からなるフィラー41を含む中間層32が、前記金属基材31の撥水性よりも高い撥水性を有する。
上記構成のセパレータ5でも、中間層32や表面処理層33には、表面処理の手法によらず、処理直後もしくは処理後の後加工(例えば、波型プレス加工)によってクラックやピンホール42が必ず発生しており、この部位から水の浸入が起こり、腐食が進行する。しかしながら、本発明の上記構成を備える中間層32では、該中間層32が撥水性を持つため、該中間層32の表層での水の濡れ性が低く、且つピンホール42からの水の内部への浸入が抑制される効果がある。
以上が、本発明の燃料電池構成部品の基本構成に関する説明である。以下、各構成ごとに説明する。
(1)金属基材
本発明に用いられる金属基材31の材料としては、金属基材31自体が耐食性に乏しいため中間層を配置や他何らかの防食手段を講じる必要があるものが望ましい。具体的には、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金;純鉄などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本発明は、上記したSUS316Lのような耐食性に優れたステンレス等への適用を排除するものではなく、更なる耐食性の向上が図れるような場合には、十分適用可能である。金属基材31は、金属材料(=導電性材料)を用いており、既存の金属セパレータと同様に導電性を有する。
上記金属基材31の厚さdとしては、何ら制限されるものではない。例えば、燃料電池の使用用途にもよるが、燃料電池車のように移動体に搭載するような利用形態の場合には、電池の軽量化が求められることから、セパレータ基材も薄い方がよく、0.5mm以下の薄板が望ましく、より好ましくは0.05〜0.25mm(50〜250μm)の範囲とするのが望ましい。但し、金属基材31の厚さが、上記範囲を外れても本発明の作用効果を十分に発現し得ることから、本発明が、これらの値に何ら制限されるものではないことはいうまでもない。
上記金属基材31の形状に関しても、使用用途に応じて、適宜決定すればよい。例えば、上記したように、セパレータに利用するような場合には、図1、2に示すように、0.5mm以下の薄板をプレス等によって波型に成形して用いることができる。但し、金属基材31の形状は、上記形状以外であっても本発明の作用効果を発現し得ることから、本発明がかかる形状に何ら制限されるものではないことはいうまでもない。例えば、材質の異なる2枚以上の金属薄板を貼り合わせたものを金属基材31として利用することも可能である。こうした構成は、例えば、腐食条件の厳しい反応面にのみ本発明の構成の表面処理を施し、反応面とは裏の冷却面においては、冷却媒体の種類や環境に適応した金属基材の材質を貼り合せて使用することで、対応し得ることもあり得るためである。
セパレータ5の大きさは、燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
またセパレータは、隣接する単セル間の燃料極側セパレータ5aと酸素極側セパレータ5bとが一体化されたもの(バイポーラ型のセパレータ)を用いてもよい。
金属セパレータ5を波型にすることで形成される燃料ガス流路5a’、酸化剤ガス流路5b’、更には冷却水流路8の形状は、特に制限されないが、燃料電池(スタック)の排水性および発電性能を向上させる観点から種々の波型形状などにすればよい。
また各セパレータ5a、5bに形成される燃料ガス流路5a’および酸化剤ガス流路5b’の流路幅も、特に制限されないが、好ましくは0.5〜1.5mmとするのがよい。前記ガス流路5a’、5b’の流路幅が、0.5mm未満であると、燃料ガスや酸化剤ガスや水分の流れを低下させ、排水性や発電性能の低下を招く恐れがある。また、ガス流路5a’、5b’の流路幅が、1.5mmを超えると、ガス拡散層4a、4bなどの電極の構成材料が流路に落ち込み、燃料ガスや酸化剤ガスや水分の流れを低下させ、排水性や発電性能の低下を招く恐れがある。
各セパレータ5a、5bに形成される燃料ガス流路5a’および酸化剤ガス流路5b’の流路深さも、特に制限されないが、好ましくは0.1〜1.2mmとするのがよい。ガス流路5a’、5b’の流路深さが、0.1mm未満であると、ガス拡散層4a、4bなど電極の構成材料が流路に落ち込み、燃料ガスや酸化剤ガスや水分の流れを低下させ、排水性や発電性能の低下を招く恐れがある。また、ガス流路5a’、5b’の流路深さが、1.2mmを超えると、単セル(セルユニット)1を積層させた際に燃料電池内部の積層スタック(スタック部20)のサイズが大型化する恐れがあるため望ましくない。
(2)中間層
(a)中間層の層構造・配置
本発明の中間層は、上記したように、フィラーを含む中間層を備えており、該フィラーを含む中間層が、前記金属基材より高い撥水性を有するものであればよい。
かかる中間層の層構造としては、図4に示すように、撥水性を有するフィラー41を含んだ中間層32のみの単層構造であってもよいし、該撥水性を有するフィラー41を含んだ中間層32を含む多層構造であってもよい。例えば、図13に示すように、中間層が多層構造の場合、撥水性を有するフィラー41を含んだ中間層32以外の他の中間層32aは、少なくとも導電性を有するものであればよいが、更に耐食性等の特性を有するものがより好ましい。具体的には、上記中間層32aは、後述する撥水性材料を用いたフィラー41を含んだ中間層32のマトリックス43の材料と同様の材料を用いて構成することができる。なお、中間層が多層構造の場合、図13に示すように、撥水性を有するフィラー41を含んだ中間層32は、最表面の表面処理層33に近い側の層であるのが望ましい。表面処理層33のピンホールからの液滴の浸入を、表面処理層33に近い側に配置した撥水性を有する中間層32により防止することができためである。また、中間層32に所望の撥水性を持たせるには、金属マトリックス43中に、従来公知の各種撥水性材料(詳しくは後述する)を用いてなるフィラー41を適量分散(含有)させるのが望ましい(図6、図14参照)。
また、中間層が多層構造の場合、撥水性を有するフィラー41を含んだ中間層32も単層でなければならないわけではなく、2層以上の多層であってもよい(図示せず)。該フィラー41を含んだ中間層32が多層の場合、これらの層のフィラー41の材料は、各層で同じであってもよいし、各層ごとに異なっていてもよい。またフィラー41を含んだ中間層32が多層の場合、これらの層のフィラー41の含有量も、各層で同じであってもよいし、各層ごとに異なっていてもよい。またフィラー41を含んだ中間層32が多層の場合、これらの層のマトリックス43材料やその含有量も各層で同じであってもよいし、各層ごとに異なっていてもよい。
さらに、中間層を複数設ける場合、該層数は2層以上であればよく、上限については特に制限されるものではない。例えば、表層から金属基材に向けて連続的に撥水性あるいは導電性が増加するような構成(機能傾斜層=非常に多くの層が積層されたものともいえる構成)としてもよいなど、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、何ら制限されるものではない。
以上のことから、本発明では、前記フィラー41を含む中間層32断面方向(更には中間層全体の断面方向)におけるフィラー41の分散量(含有量)は、均等であるか表層ほど多くなっているのが望ましい。フィラー41を含む中間層32の防食効果をより効果的に発現できるためである。すなわち、中間層32より内部まで水の浸入を防ぐことが目的であるためフィラー量を中間層断面方向に傾斜をつけて(表層側ほど高濃度に)分散させたり均等分散させることで効果的に撥水させることができる。
また、中間層の配置は、上記したように腐食条件の厳しい反応面側に配置すればよい。好ましくは、反応面とは裏の冷却面側にも設置するのが望ましいい。但し、冷却面側は、反応面に比して腐食条件が穏やかである為、当該中間層を省略した構成や撥水性材料のフィラーを含まない中間層を設けてもよい。撥水性材料のフィラーを含まない中間層としては、中間層32のマトリックス43材料と同様の材料を用いて構成することができる。
(b)中間層が複数ある場合の「フィラーを含む中間層」の配置
上記のように中間層が複数ある場合、前記フィラー41を含む中間層32は、最表面の表面処理層33に近い側の層であるのが望ましい。かかる構成とすることで、複数ある中間層のできるだけ表層に近い層32にて撥水性を保持させることができ、表面処理層33内への水の浸入を防止することができるためである。
(c)フィラーを含む中間層の厚さd
前記フィラー41を含む中間層32の厚さdは、表面処理層33よりもピンホール42が少なくなるように設定するのが望ましい。かかる構成とすることで、該中間層32にてピンホール42の少ない仕様にコントロールすることができ、耐食性を向上できるためである。最表層である表面処理層33は、耐食性と、導電性、特に低い接触抵抗を確保する目的で配置されるものであり、耐食性および導電性の良い表面処理材を必要最低限配置すればよい。従って、この場合、例えば、耐食性に優れ、尚且つ導電性の良い高価な貴金属を含有する表面処理材を極僅かに(=極薄く)配置することで、表面処理層33の目的である、耐食性と、導電性、特に低い接触抵抗の確保は実現できる。その反面、極僅かに(=極薄く)表面処理層33を配置しようとすると、どうしても表面処理層33でのピンホール42の発生を抑えるのは難しくなる。このため、フィラー41を含む中間層32では、金属基材31の防食が主目的であり、表面処理層33に発生したピンホールからの水の浸入を防止する観点からも、当該中間層32でのピンホール42を極力減らした仕様であることが望ましい。そこで、中間層32でも厚さdを薄くしていくとピンホールの発生数が多くなる傾向に変わりはないことから、上記に規定のように表面処理層33よりもピンホール42が少なくなるように、当該中間層32の厚さを設定するのが望ましいものである。即ち、上記したように最表面層の表面処理層33にもピンホール42が存在する場合、これよりもピンホール数が少ない撥水性の中間層32を配置することで、より金属基材31に対する防食効果が向上する。
また、前記フィラーを含む中間層32の厚さdは、該フィラー41の少なくとも平均粒子径以上に設定されていることが望ましい。中間層32の厚みdをフィラー41の平均粒子径以上とすることで、中間層32の厚さ方向に複数のフィラー41を含ませることが出来る(図4参照のこと)。中間層32の厚さ方向に、フィラー41が1つ分以下しか保持できない中間層32では、フィラー41の分散量によって耐食性が大きく変化する。このため、中間層32の厚さ方向には少なくとも1つ以上のフィラー41が含まれるように設定することによって、例えばプレス加工などによってミクロなクラックが出来ても、中間層32内部に存在するフィラー41が水の浸入を抑制し、結果として腐食も防止できる。
フィラーを含む中間層32の厚さdとしては、上記要件を満足するものであればよいが、概ね10〜1000nm程度であればよく、好ましくは20〜200nmであり、より好ましくは50〜100nmである。
(d)フィラー41を含む中間層32表面における水の静的接触角α
本発明では、前記フィラー41を含む中間層32の表面処理層33との界面に当たる中間層32表面における水の静的接触角が80〜130°であるようにフィラー41が含有(分散)していることが望ましい。言い換えれば、図4に示すように、フィラー41を含む中間層32が表面処理層33と接するように配置され、該中間層32と表面処理層33との界面に当たる中間層32表面における水の静的接触角が80〜130°であるのが望ましいといえる。中間層32の表面処理層33と接する側の水との接触角αが、80≦α≦130°の範囲になるようにフィラー41を添加すると、フィラー41の無添加品に対して導電性を低下させること無しに、イオン溶出性を改善させることができるためである。水との接触角αが80°未満の場合には、中間層32表面の撥水性が低下し、親水化になることで水が浸入を招き易くなる傾向がある。一方、水との接触角αが130°を超えるものは、フィラー41の材質が制限されるほか、該フィラー41を多量に含有させる必要があり、導電性を十分に確保し難くなる恐れがある。
(e)フィラー41を含む中間層32中のマトリックス43の材料
中間層32のマトリックス43の材料としては、該中間層に必要な導電性を付与し得るのが望ましい。より望ましくは、金属基材31に用いた材料よりも耐食性に優れる材料が望ましいといえる。一方、表面処理層33に用いられる導電性および耐食性に優れた材料を用いてもよいが、該表面処理層33に用いられる材料ほどの導電性および耐食性がなくてもよい。これは、該表面処理層33に用いられる材料には、通常、金などの貴金属が用いられる為、高価であり、こうした材料を中間層のマトリックス材料に利用するのは、製品コストの上昇を招く恐れがある。そのため、該表面処理層33に用いられる材料を中間層32にも利用する場合には、該中間層32を多層化し、その一部に利用したり、他の遷移金属等と合金化するなどして、その使用量を軽減するのが経済的に有利である。マトリックス43の材料としては、具体的には、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびこれらの合金;Ni−P、Ni−Co−P、Zn−Ni、Sn−Ni−Cu、Fe−Ni、Pd−Ni、Cr−P−Cなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。メッキ方法も電解、無電解等の公知のいずれの方法を用いても構わない。
なお、上記マトリックス43には、後述するフィラー41以外にも、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、他の成分を含有させてもよい。
(f)フィラー41を含む中間層32中の該フィラー材料
中間層32に含有される撥水性を有するフィラー41の材料としては、該中間層に必要な撥水性を付与し得るものであればよく、特に制限されるものではない。具体的には、フッ素樹脂、シリコン系化合物、もしくはフッ化した各種化合物(フッ素系化合物)などが好適に利用可能であるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。フィラー41としてフッ素樹脂、シリコン樹脂、もしくはフッ素系化合物を添加することで金属基材31の防食が可能になるものである。ここで、上記フッ化した各種化合物(フッ素系化合物)としては、例えば、フッ化ピッチ、フッ化黒鉛などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。フッ素樹脂としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フルオロネイティッドエチレンプロピレン)、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、ECTFE(エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体)などのフッ素化した樹脂の微細粉(約10〜1000nm粒径)が好適に使用できる。シリコン系化合物(ケイ素化合物を主成分とする化合物)としては、例えば、シリコン樹脂、シラン系化合物が好適に使用できる。また、フィラー41では、コア部分に汎用性の樹脂(撥水性材料でなくともよい)を用い、その表面にのみ上記フッ素化した樹脂(膜)をコーティングしてもよい。あるいは汎用性の樹脂(撥水性材料でなくともよい)を用い、その表面をフッ素化処理して、該表面の樹脂をフッ素化した樹脂に改質してもよい等、特に制限されるものではない。
(g)フィラーを含む中間層中のフィラーの大きさ・形状
フィラー41を含む中間層32中のフィラー41の形状は、特に制限されるものではなく、製造方法などにより、球状、断面楕円形状(ラグビーボール状)、柱状、不定形状などが挙げられる。
また、フィラー41の大きさ(平均粒子径)は、特に制限されるものではなく、10〜1000nm程度であればよいが、中間層の薄肉化等の観点からは、20〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜100nmである(詳しくは、下記(j)参照のこと)。尚、下限値は、PTFE等の樹脂粒子を安価に作製し得ることができるおおよその限界粒径といえるものである。但し、本発明では、20nmよりも小さいものも利用可能であり、作製できる。但し、ナノサイズ化させることでフィラー41が高価になる傾向にあり、またナノレベルになってくると特異な性質が発現することもあり、予め、予備実験などを行うのが望ましい。
(h)フィラーを含む中間層中のフィラー含有量
フィラー41を含む中間層32中のフィラー41の含有量は、中間層32の表面処理層33と接する側の表面の撥水性と、表面処理層33とGDL(図1の符号4;セパレータ5との位置関係を参照のこと)との接触抵抗との関係から決定されていることが望ましい。詳しくは、図6、7を用いて後述する。撥水性フィラー41の添加量を撥水性保持と導電性保持の面から決定することによって、導電性と耐食性の2つを両立することが出来る。特に部品対象がセパレータである場合、セパレータと隣接するGDLとの接触抵抗が重要で、撥水性を保持するために単にフィラー41を多量に添加すると、PTFE等を用いたフィラー41自体は電気を通さないために、抵抗値が増加させる場合があるためである。
前記表面処理層33が貴金属もしくは貴金属が主成分である材料である場合であって、且つ前記フィラー41がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である場合、前記フィラー41を含む中間層32の該フィラー41の含有量は、3〜33V/V%であることが望ましい。これは、後述する図7のPTFE濃度と接触角の関係から、高い撥水性が得られる領域が3V/V%以上であって、33V/V%を超える場合には撥水性に変化は無いためである。即ち、フィラーの含有量を3〜33V/V%とすることで、高い撥水性が得られる。そのため、中間層内部にフィラーが3〜33V/V%存在することで、より効果的に水の浸入を抑制し、結果として腐食も効果的に防止できる。なお、33V/V%を超えて更にフィラー41を増量しても更なる効果の向上が得られ難くなる反面、中間層32の導電性を十分確保し難くなる。ただし、用途によって求められる導電性がそれほど高くなくてもよい場合には、中間層内部のフィラーの含有量が33V/V%を超えてもよいといえる。
(i)中間層の表面処理層33と接する側の表面の被覆率
また、貴金属もしくは貴金属が主成分である材料による表面処理層33と接する側の中間層32の表面の被覆率(中間層32表面への当該表面処理層33の被覆率)は、20%以上確保できれば良く、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。特に表面処理層33が貴金属もしくは貴金属が主成分である材料である場合であって、且つ前記フィラー41がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である場合に、当該被覆率を有することが望ましいといえる。これは中間層32上に表面処理層33を形成すべく貴金属もしくは貴金属が主成分である材料(例えば、金)のメッキをした場合、フィラー41であるPTFE上に金は載らない。そこで、図8の被覆率−接触抵抗の関係からも明らかなように、接触抵抗が劇的に変化しない領域=被覆率として上記範囲(特に20%以上)確保できれば良いためである。裏返すと、表面処理層33のピンホール(基材の中間層露出率)は、80%未満、好ましくは75%未満、より好ましくは70%未満である。ピンホール(基材の中間層露出率)が上記範囲内となるまでは、中間層32の表面処理層33と接する側の表面、特にフィラー41であるPTFEが露出してよい。
ここで、ピンホール(基材露出率)もしくは被覆率の算出方法は、下記により求めることができる。以下の実施例でも同様にして行った。
試料の面分析をAESにより行う。AESにて得られた表面処理材元素もしくは基材元素の面内分布を画像処理することによって、その面積比から被覆率を算出した。
ここで、中間層のピンホール(基材露出率)もしくは被覆率を調べるには、AESにて得られた表面処理材(中間層)元素もしくは基材(金属基材)元素の面内分布を画像処理することによって、その面積比から被覆率(基材露出率)を算出すればよい。最表層の表面処理層のピンホール(基材露出率)もしくは被覆率を調べるには、AESにて得られた表面処理材(表面処理層)元素もしくは基材(中間層)元素の面内分布を画像処理することによって、その面積比から被覆率(基材露出率)を算出すればよい。
AES装置名:電界放射型オージェ電子分分光装置 PHI製 Model−680
データポイント数は256×256 電子線加速電圧10kV
画像処理による被覆率算出:高速画像処理装置 カールツァイス製KS400
デジタル画像に取り込み、ターゲット元素の面積比を算出。
(j)中間層の製造方法
中間層は、例えば、上記したNi等の金属材料(マトリックス材料)とPTFE等のフィラーを複合メッキ(下記(k)参照)、蒸着、スパッタリング、またはイオンプレーティングなどの気相成膜法によって、形成することができる。また、上記したNi等の金属材料とPTFEやフッ化ピッチ、フッ化黒鉛等のフィラー、更にこれらを結着するバインダ樹脂を混合させた塗料を作製し、金属基材上に塗布して、中間層を形成させてもよい。具体的には、バインダ、金属材料、PTFE粒等のフィラー、硬化促進剤等を溶媒(水、アルコール等)に分散させたスラリーを金属基材の表面に塗布し、乾燥させた後、ロールプレス等の手法を用いてプレス処理を施すことによって得られる。PTFE粒等のフィラーの粒子径としては、中間層の厚さを抑える意味から、粒子径が小さいほど好ましく、平均粒子径が20nm〜200nm程度であることが好ましく、より好ましくは20nm〜100nmである。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味するものとする。また「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
(k)複合メッキによる中間層を形成する製造例(実施例)
以下に、実施例などで用いた、中間層32としてNi層内にPTFE(フィラー)を分散させた複合メッキ層の製造例を示す。PTFEは公知の各種界面活性剤にてメッキ液に分散させることで、面内の分散性の良い中間層が得られる。
めっき浴中のPTFE含有量は中間層への分散量によって変えることが出来、10〜35V/V%が好ましい。
中間層をNiメッキベースとする場合、Niメッキの条件に合わせてPTFEを共析させるのが最も簡便で、以下の実施例では、最もよく知られるスルファミン酸浴を用いた。Ni(NHSO・HO、NiCl・6HO等を主成分とし、浴温50℃、電流密度はPTFEの析出量に合わせて0.5〜10A/dm、アノードをNiとして中間層を形成した。Ni浴についてはワット浴、ホウフッ化浴等の別途知られる浴を用いても構わない。
(3)表面処理層(図中の表面処理層33)
本発明では、表面処理層33が、上記したように、フィラー41を含む中間層32より高い導電性と、金属基材31より高い耐食性と、を有するものであればよい。表面処理層33に導電性を持たせることで、導通面積の低下を抑制でき、燃料電池構成部品最表面と接触するGDL等との接触抵抗を増大させることがなく、電気抵抗、特にGDLとの接触抵抗の増加を効果的に抑制できる。また、表面処理層33に耐食性を持たせることで、表面処理層33のピンホール(被覆率)等が燃料電池作動環境下で経時的に拡大するのを防止できる。更に中間層32の撥水化との相乗効果によりピンホール等の部分から金属基材31に液滴が浸入するのを抑制・防止でき、金属基材31からのイオン溶出を抑制できる。
(a)表面処理層33を構成する材料及び製造方法
本発明に用いられる表面処理層33を構成する材料としては、導電性と耐食性を有するものが望ましく、貴金属もしくは貴金属(とその合金)が主成分である材料、カーボン、などが好ましく利用可能である。具体的には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの貴金属及びこれらを主成分とする材料;カーボンブラック、グラファイト、緻密カーボングラファイト、非晶質カーボン、炭素繊維などのカーボン材料などが挙げられる。但し、これらに何ら制限されるものではない。ここで主成分とは、50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、貴金属と併用できる材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、貴金属以外の遷移金属材料やカーボンブラック等のカーボン材料などを用いることができる。貴金属と遷移金属を併用する場合にはメッキや導電性塗料化することにより、貴金属とカーボン材料を併用する場合には複合メッキや導電性塗料化することにより、表面処理層33を形成・配置することができる。
(b)表面処理層33の厚さd
上記表面処理層33の厚さdとしては、特に制限されるものではないが、燃料電池用のセパレータの場合、上記したように、近年出力密度を向上させるために薄肉化が求められており、更に、低コスト化を狙って金属セパレータが用いられるようになっている。かかる薄肉化、低コスト化の観点から、燃料電池用のセパレータの場合には、表面処理層33の厚さdは、上限は80nm以下、好ましくは60nm以下、より好ましくは30nm以下である。また、表面処理層が80nm以下の場合、ピンホール42(欠陥部)が存在するようになり、接触抵抗が増加するため、かような場合に本発明の撥水性の中間層32設置効果が顕著に発揮し得る点でも優れている。但し、本発明では、表面処理層が80nmを超える場合でも、本発明の作用効果を有効に発現し得るものであり、本発明の技術範囲に含まれるものである。とりわけ、薄肉化、更には低コスト化が求められないような部品であって、カーボン製品の代用ができないような場合においては、特に有効である。
図9は、表面処理層の厚さ(横軸、単位mm)と表面被覆率(縦軸、単位%)との関係を示している。金属基材としては、SUS316L(厚さ0.25mm)を用いている。図9において、表面処理としては、3つの曲線A〜Cのいずれも金メッキを用いている。図9から理解されるように、表面処理層の厚さが一定以下の場合、中間層が表面処理層によって被覆されず、ピンホール42(欠陥部)が生ずる。なお、被覆率はAES(オージェ電子分光法)による面マッピングと、画像解析によって例えば基材金属の組成比の高いNiの面内分布割合を算出することで得ることができる。
また、図8は、表面被覆率(横軸、単位%)を変更した場合の、セパレータとGDLとの間の接触抵抗(縦軸、単位mΩ/cm)を示した図である。表面処理層32のAu被覆率の減少とともに、接触抵抗が増加する傾向がある。図8および図9から理解されるように、表面処理層33が80nm以下の場合、曲線Cでは被覆率80%以下となり、ピンホール(欠陥部)が20%近く存在するようになり、接触抵抗が増加するため、かような場合に本願発明の効果が顕著に発揮される為である。
なお、マクロ的な被覆率が同一であった場合でも、接触抵抗の大小はミクロな接点の数や接点を構成する材料の比抵抗、すなわち表面処理層自体の比抵抗に依存する。また、図9において、曲線A〜Cのいずれにおいても、表面処理層の厚さを下げると被覆率が低下する傾向がある。金メッキの場合には、成膜条件(浴種、浴条件ならびに電流・対極・温度等)によって表面処理層の性能(厚さと被覆率の関係)が大きく異なる。図9は成膜条件を変えた3つの膜厚−被覆率の関係を示したものである。全て共通の金を用いているためGDLと金粒子間のミクロな接点抵抗は同じであるため、見かけの接触抵抗は被覆率で一意的に決定する。ナノオーダーの金膜層においては被覆率が非常に重要なパラメータになる。更に、表面処理層の材料の特性(粘性、濡れ性、処理方法など)によってそれぞれ変わりうる。
一方、表面処理層の厚さdの下限は、表面処理層の機能を発揮させるためには、5nm以上、好ましく10nm以上、より好ましくは20nm以上である。表面処理層の厚さが5nm以上であれば、中間層の表面が表面処理層によって所望の被覆率(20%)以上に被覆でき、接触抵抗の増加を抑制することができるものである。
但し、表面処理層の厚さdが、上記範囲を外れても本発明の作用効果を十分に発現し得る場合には、本発明の技術範囲に含まれるものであることはいうまでもない。
カーボンブラックなどのカーボンを用いる場合には、カーボンブラック等のカーボン材料の平均粒径(大きさ)は、上記表面処理層の厚さd以下のものを用いる必要がある。
かかるカーボンブラック等のカーボン材料の平均粒径の出し方は、下記の通りである。以下の実施例でも同様とする。
透過型電子顕微鏡(TEM)等により、カーボンブラック等のカーボン材料の観察を行うとともに、粒の平均的な径を算出する。粒径は最も長い方向と短い方向の長さの平均をとるのがよいが、原料、製造方法もしくは条件によって形状に特徴があるため、その都度定義した算出方法で構わない。また、表面処理層の製造方法(塗装法など)によっては、こうしたカーボンブラック等が、いわば立った状態から寝た状態になり、厚さ方向(短い方向)の長さ(厚さ)が、上記表面処理層の厚さd以下のものであれば使用可能である。
(c)表面処理層33の配置
表面処理層は、金属基材の少なくとも一方に形成される。セパレータの場合には、表面処理層の機能から、少なくとも反応面側(燃料ガス側ないしガス拡散層側)に形成されていればよいが、双方に形成されることが好ましい。
(d)表面処理層33の製造方法
表面処理層33は、例えば、貴金属をメッキ(電解メッキ、無電解メッキ)、蒸着、スパッタリング、またはイオンプレーティングなどの気相成膜法によって、形成することができる。また、貴金属を主成分とし、他カーボン等の導電性材やこれらを結着するバインダ樹脂を混合させた塗料を作製し、中間層表面に塗布して、表面処理層を形成させてもよい。具体的には、バインダ、貴金属、カーボン、硬化促進剤等を溶媒(水、アルコール等)に分散させたスラリーを中間層表面に塗布し、乾燥させた後、ロールプレス等の手法を用いてプレス処理を施すことによって得られる。ここで用いられるカーボンとしては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。カーボンの粒子径としては、表面処理層の厚さを抑える意味から、粒子径が小さいほど好ましく、平均粒子径が数nm〜数十nm程度であることが好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味するものとする。また「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
(e)金(Au)メッキして表面処理層を形成する製法例(実施例)
以下に、実施例などで用いた、金(Au)をメッキして表面処理層を形成する製法例を示す。
金メッキは、例えば、シアン化金カリウム始めとする公知で知られたメッキ液を使用できる。メッキ液はメッキする用途によって各種の仕様が知られるが、燃料電池内の弱酸性雰囲気を考慮して、メッキ液は酸性〜弱酸性で処理するものが望ましい。中性環境下で処理するメッキ液の中には、選別試験もしくは発電試験中に一部剥離を起こす場合がある。
更に金属基材がアルミニウムないしアルミ合金である場合、メッキ液の酸性度によってはアルミ自体が溶解するため、酸性メッキ液が使用できる中間層種が必須であるとともに、中間層形成の時点で中間層の被覆率をできるだけ高めるのが好ましい。
以下の実施例では、浴組成としてKAu(CN)などの金イオン源、有機酸を用いpH=3.0〜4.5に入るようにコントロールし、陽極をPtメッキしたチタン材を配置した。浴を室温に保ちながら、成膜速度を考慮しつつ0.5〜2A/dmの電流で制御してAuメッキ層を形成したところ、純度99.9%以上の表面処理層33が得られることが確認できた。
以上が、本発明の燃料電池構成部品の基本構成に関する説明である。次に、本発明の燃料電池構成部品の製造方法につき、セパレータを例にとり、説明する。
本発明の燃料電池セパレータの製造方法は、特に限定されるものではなく、処理手順の一例を以下に記載する。
まず、金属基材31であるアルミプレートを適切な溶媒(例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、トリクロロエチレン、苛性アルカリ剤等)を用いてプレート表面の脱脂および洗浄を行う。続いて、プレート表面に形成されている酸化皮膜の除去を行う。酸化皮膜の除去は酸洗や、電位を印加して溶解することも可能である。
次に、中間層および表面処理層の順にアルミプレートの表面処理を行う。表面処理は通常公知の方法で行われる。この際、表面処理は、金属基材の少なくとも一方、好ましくは双方に処理を行う。
上記表面処理のうち、中間層では金属マトリックス材料(Ni、Crなど)をベースとした撥水性を有するフィラー41(フッ素樹脂粒など)分散の複合メッキ、表面処理層33では貴金属材料(金など)のメッキなどの電気化学的処理を行うことができる。ここで、上記メッキや複合メッキなどの電気化学的処理では、図9の説明に記載したように、浴種、浴条件並びに電流・対極・温度等によって中間層や表面処理層の性能、例えば、膜厚−被覆率等の関係が大きく異なる。そのため、予め図9などの予備実験を行って、最適な処理(成膜)条件を選定するのが望ましい。電気化学的処理としては、金属基材等のプレートを電極によって挟んでもよいし、電解質浴に浸漬し、所定の電圧または電流を金属基材等と補助電極との間に通してもよい。処理条件は、金属基材によって異なり、好ましい形態であるアルミニウムの場合は、電気化学的処理は、通常室温(20〜25℃)〜60℃で行われ、また処理時間としては、電流値とメッキ種から決定される析出速度と必要メッキ厚との関係から決定され、通常数秒〜数十分程度、好ましくは連続的に効率よく処理のできる数秒〜10分以内である。このほかにも表面処理として、上記材料を含む導電性塗料をスプレーガンなどを用いて霧化噴霧して表面塗膜形成するなどの表面処理などを行ってもよい。
上記表面処理を行った後、表面処理が施された金属基材を脱イオン水又は弱アルカリ性の脱イオン水で洗浄し、乾燥することによって、本発明のセパレータを得ることができる。
次に、本発明の燃料電池は、本発明に係る燃料電池構成部品を用いてなることを特徴とするものである。そこで、上述したセパレータ以外の燃料電池ユニットセルの構成、および本発明の燃料電池構成部品を用いてなる燃料電池ユニットセルを複数積層してなる燃料電池(スタック)構成を図面を用いて以下にまとめて説明する。なお、セパレータや集電板等の導電性と耐食性を必要とする本発明の燃料電池構成部品以外の部材は従来公知のものを使用することができるものであり、以下に説明するものに何ら制限されるものではない。
図11は、図1の燃料電池のユニットセル構成を複数積層してなる燃料電池スタック構成の一例を説明するための断面概略図であり、図12は、図11の燃料電池スタック構成の斜視図である。
[電解質膜]
図1、11に示す電解質膜2としては、従来公知の電解質膜を用いることができるが、好ましくは、高分子電解質膜である。高分子電解質膜は、構成材料であるイオン交換樹脂の種類によって、フッ素系高分子電解質膜と炭化水素系高分子電解質膜とに大別される。フッ素系高分子電解質膜を構成するイオン交換樹脂としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。耐熱性、化学的安定性などの発電性能上の観点からはこれらのフッ素系高分子電解質膜が好ましく用いられ、特に好ましくはパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系高分子電解質膜が用いられる。
炭化水素系電解質として、具体的には、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S−PPP)などが挙げられる。原料が安価で製造工程が簡便であり、かつ材料の選択性が高いといった製造上の観点からは、これらの炭化水素系高分子電解質膜が好ましく用いられる。なお、上述したイオン交換樹脂は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、上述した材料のみに制限されず、その他の材料が用いられてもよい。
高分子電解質膜の厚さは、得られる燃料電池の特性を考慮して適宜決定すればよく、制限されないが、通常5〜300μm程度である厚さがかような範囲内の値であると、製膜時の強度や使用時の耐久性および使用時の出力特性のバランスが適切に制御されうる。
[触媒層]
図1、11に示す触媒層3は、触媒成分、触媒成分を担持する導電性触媒担体、および電解質を有する。
アノード触媒層に用いられる触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、カソード触媒層に用いられる触媒成分もまた、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、およびそれらの合金等などから選択されうる。
これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード触媒として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、アノード触媒層に用いられる触媒成分およびカソード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、アノード触媒層およびカソード触媒層用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、アノード触媒層およびカソード触媒層の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状および大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜30nmである。触媒粒子の平均粒子径がかような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスが適切に制御されうる。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒子径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として測定されうる。
触媒担体は、上述した触媒成分を担持するための担体、および触媒成分との電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。
触媒担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであることが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されうることを意味する。
触媒担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gである。触媒担体の比表面積がかような範囲内の値であると、触媒担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスが適切に制御されうる。
触媒担体のサイズについても特に限定されないが、担持の簡便さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径を5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするとよい。
触媒担体に触媒成分が担持されてなる電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。触媒成分の担持量がかような範囲内の値であると、触媒担体上での触媒成分の分散度と触媒性能とのバランスが適切に制御されうる。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定されうる。
触媒層には、電極触媒に加えて、イオン伝導性の高分子電解質が含まれる。当該高分子電解質は特に限定されず従来公知の知見が適宜参照されうるが、例えば、前述の高分子電解質膜を構成するイオン交換樹脂が前記高分子電解質として触媒層に添加されうる。
[ガス拡散層]
図1、11に示すアノードおよびカソードにおける各電極は、上述した電極触媒層の他にガス拡散層(GDL)4を有していてもよい。前記ガス拡散層は、電極触媒層の電解質膜が接する面とは反対の面に配置される。
電極触媒層3およびガス拡散層4を有する電極において、電極触媒層3はガス拡散層4上に形成されてもよい他、ガス拡散層4中の一部に電極触媒層3が形成されていてもよい。後者の場合、後述するガス拡散基材の所望する部位に、電極触媒および電解質材料が含浸されたものなどが挙げられる。
前記ガス拡散層は、特に限定されず公知のものが同様にして使用でき、例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状のガス拡散基材からなるものなどが挙げられる。
前記ガス拡散基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。
前記ガス拡散基材には、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐことを目的として、撥水剤を含んでいてもよい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
また、撥水性をより向上させるために、前記ガス拡散層は、前記ガス拡散基材上に撥水剤を含むカーボン粒子の集合体からなるカーボン粒子層を有するものであってもよい。
前記カーボン粒子としては、特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来一般的なものであればよい。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。
前記カーボン粒子層に用いられる撥水剤としては、前記ガス拡散基材に用いられる上述した撥水剤と同様のものが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられる。
前記カーボン粒子層におけるカーボン粒子と、撥水剤との混合比は、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性が得られない恐れがあり、撥水剤が多過ぎると十分な電子伝導性が得られない恐れがある。これらを考慮して、カーボン層におけるカーボン粒子と撥水剤との混合比は、質量比で、90:10〜40:60程度とするのがよい。
前記カーボン粒子層の厚さは、得られるガス拡散層の撥水性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは10〜1000μm、より好ましくは50〜500μmとするのがよい。
[セパレータ]
図1、11に示す金属セパレータ5については、図2〜9及び後述する実施例にて説明したとおりである。
[セルユニットの基本的な構成]
図1、11において、固体高分子型燃料電池の単セル(セルユニット)1の基本的な構成は、固体高分子電解質膜2の両側に、燃料極側電極触媒層3aおよび燃料極側ガス拡散層4aからなる燃料極と、酸素極側電極触媒層3bおよび酸素極側ガス拡散層4bからなる酸素極とが、それぞれ対向して配置されてなるMEAを有しており、さらにMEAを、燃料極側セパレータ5aおよび酸素極側セパレータ5bで挟持されてなるものである。また、MEAに供給される燃料ガス(水素含有ガス)および酸化剤ガス(空気)は、燃料極側セパレータ5aおよび酸素極側セパレータ5bに、燃料極側電極触媒層3aおよび酸素極側電極触媒層3bと対向する面にそれぞれ複数箇所形成された燃料ガス流路5a’および酸化剤ガス流路5b’などを介して供給される。
前記単セル(セルユニット)1を燃料電池(スタック)20に用いるには、前記単セル1を単独または2以上積層したスタック(積層スタック)を、さらに前記単セル1ないし積層スタックの厚さ方向の両側(両端)から一対のエンドプレート、すなわち燃料極側エンドプレート70および酸素極側エンドプレート80で締結することにより用いられる(図12参照のこと)。
燃料電池スタック20の構成(集電板で挟持された部分とする)として、より詳しくは、図11に示すように、複数の燃料電池の単セル(セルユニット)1が積層されたスタック部20を有しており、電源として利用される。電源の用途は、例えば、定置用、携帯電話などの民生用携帯機器用、非常用、レジャーや工事用電源などの屋外用、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用である。特に、移動体用電源は、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されるため、適用が好ましい。また、本発明の燃料電池を搭載してなる車両では、燃料電池セパレータ、集電板等の構成部品を通じて薄肉化、低コスト化が図れ、燃料電池の出力密度の向上に寄与し得る。そのため、車両重量の軽減や車両コストの低減が図れ、また同じ体積の燃料電池を搭載した際に、より長い走行距離を走ることができ、また加速性能のなどの向上にもつながる。
本発明の燃料電池単セル(セルユニット)1では、燃料電池セパレータ、集電板等の構成部品を通じて薄肉化、低コスト化が図れ、スタックを形成した際に、燃料電池スタック20の出力密度の向上に寄与し得るものである。加えて、燃料電池セパレータ、集電板等の構成部品の耐食性にも優れ、燃料電池スタック20の耐久性(長寿命化)も図れる。
スタック部20の両側には、集電板30、40、絶縁板50、60およびエンドプレート70、80が配置される。集電板30、40は、緻密質カーボンや銅板やアルミ板などガス不透過な導電性部材から形成され、また、スタック部20で生じた起電力を出力するための出力端子35、45が設けられている。絶縁板50、60は、ゴムや樹脂等の絶縁性部材から形成される。
ここで、上記集電板30、40として、上記したカーボン等に変えて、薄肉化、低コスト化の観点から、ステンレスよりも薄肉軽量化に優れる反面、耐食性に乏しい銅板やアルミ板等を集電板30、40に用いる場合には、本発明の構成を採用することができる。かかる構成とすることで、中間層で液滴の浸入による基材の腐食を防止しつつ、最表面で抵抗低減を図った表面処理層を形成できる。その結果、金属製集電板30、40の導電性を維持したまま酸性雰囲気下に曝されても化学的安定性を維持することが出来る。詳しくは、電気抵抗(ここでは、図11に示すように、セパレータ5との接触抵抗)の増加を発生させることなく、ピンホール等の欠陥に対するイオン溶出性の抑制も効果的に行える表面処理を施した集電板30、40を提供することができる。
また、図12に示すように、エンドプレート70、80は、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料から形成される。エンドプレート70、80は、燃料ガス(例えば、水素)、酸化剤ガス(例えば、酸素)および冷却水を流通させるために、燃料ガス導入口71、燃料ガス排出口72、酸化剤ガス導入口74、酸化剤ガス排出口75、冷却水導入口77、および冷却水排出口78を有する。
スタック部20、集電板30、40、絶縁板50、60およびエンドプレート70、80の四隅には、タイロッド90が挿通される貫通孔が配置される。タイロッド90は、その端部に形成される雄ねじ部に、ナット(図示せず)が螺合され、燃料電池スタック200の内部(スタック部20)をエンドプレート70、80により締結する。スタック形成のための荷重は、燃料電池単セル(セルユニット)1(MEA9)の積層方向に作用し、燃料電池単セル(セルユニット)1を押し圧状態に保持する。
タイロッド90は、剛性を備えた材料、例えば、鋼などの金属材料から形成され、また、燃料電池単セル201同士の電気的短絡を防止するため、絶縁処理された表面部を有する。タイロッド90の設置本数は、4本(四隅)に限定されない。タイロッド90の締結機構は、螺合に限定されず、他の手段を適用することも可能である
燃料電池単セル(セルユニット)1は、上述したように、MEA9、セパレータ5a,5bを有し、更にガスケット(図示せず)を有してなる構成が望ましい。MEA9は、電解質膜2と、電解質膜2を挟んで配置される燃料極側電極(触媒層3a及びガス拡散層4a)及び酸素極側電極(触媒層3b及びガス拡散層4b)を有する。セパレータ5a、5bは、MEA9の外面に配置される。セパレータ5aは、燃料ガスを流通させるための流路5a’を有し、エンドプレート70に配置される燃料ガス導入口71および燃料ガス排出口72に接続されている。セパレータ5bは、酸化剤ガスを流通させるための流路5b’を有し、エンドプレート80に配置される酸化剤ガス導入口74および酸化剤ガス排出口75に接続されている。
なお、セパレータ5a、5bは、冷却水を流通させるための流路8を有しており、エンドプレート70、80に配置される冷却水導入口77および冷却水排出口78に接続されている。
次に、ガスケットは、MEA9の表面に位置する電極の外周を、取り囲むように配置されるシール部材であり、接着層(図示せず)を介して、MEA9の電解質膜2の外面に固定される構成を有していてもよい。ガスケットは、セパレータ5とMEA9とのシール性を確保する機能を有している。なお、必要に応じて用いられる接着層は、接着性を確保することを考慮すると、ガスケットの形状に対応し、電解質膜の全周縁部に、額縁状に配置されることが好ましい。
又、本発明の燃料電池構成部品を用いてなる燃料電池スタック200では、集電板30、40に貫通した状態で形成されるマニホールド(アノード、カソードならびに冷却水それぞれの入り口出口1箇所ずつ計6箇所)の貫通部内壁にも、本発明で見出された中間層を形成するのが望ましい実施形態である。即ち、マニホールドの貫通部内壁では、導電性が不要であるため、金メッキのような表面処理層を設けることなく、PTFE粒などの撥水性を有するフィラー41を含有した中間層(Ni層)を形成するのが望ましい。これにより、マニホールドの貫通部の基材の腐食を効果的に防止できる点で極めて有効である。
以上が、本発明の燃料電池構成部品を用いてなる燃料電池スタック200の構成の概要であり、セパレータ及び集電板以外にも、導電性と耐食性を必要とする燃料電池の構成部品については、本発明の構成を採用し得るものである。これにより、当該燃料電池の構成部品、ひいては燃料電池スタックの薄肉・軽量化を図ることができ、出力密度を向上させることに貢献し得るものである。更に、低コスト化にもつながる為、価格低減が強く求められている燃料電池車に搭載する電池要素技術としても有用である。
本発明の燃料電池の製造方法は特に制限されず、燃料電池の分野において従来公知の知見を適宜参照することにより製造可能である。
前記燃料電池の燃料ガス(水素含有ガス)の種類としては、上記した説明中では水素を例に挙げて説明したが、特に限定されない。水素以外にも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2級ブタノール、3級ブタノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールを用いることができる。なかでも高出力化が可能である点で、水素とメタノールが好ましく挙げられる。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい(図11、12参照)。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
本発明の燃料電池の用途としては特に制限されないが、発電性能に優れることから、自動車などの車両における駆動用電源として用いられることが好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
以下に示す実施例では、図4に示す断面構造のプレートサンプル(燃料電池構成部品:セパレータ)5を用いて行った。詳しくは、該プレートサンプル5は、金属基材31を純アルミ1050材(厚さt:0.25mm)、中間層32にNiをベース(マトリックス43材料)としたフッ素樹脂粒(撥水性を有するフィラー41)分散の複合メッキ、最表層の表面処理層33は金メッキした処理層を基本に詳細な実施検討を行った。また、フッ素樹脂粒として、平均粒子径200nmのPTFE粒(フィラー41)を用いた。
また、複合メッキによる中間層の形成は、上記した通りである。即ち、本実施例では、中間層としてNi層内にPTFEを分散させた複合メッキ層を試作した。PTFEは公知の各種界面活性剤にてメッキ液に分散させることで、面内の分散性の良い中間層が得られる。
めっき浴中のPTFE含有量は中間層への分散量によって変えることが出来、10〜35V/V%が好ましく、以下の実施例でも当該範囲内で試作した。
中間層をNiメッキベースとする場合、Niメッキの条件に合わせてPTFEを共析させるのが最も簡便で、以下の実施例では、最もよく知られるスルファミン酸浴を用いた。Ni(NHSO・HO、NiCl・6HO等を主成分とし、浴温50℃、電流密度はPTFEの析出量に合わせて0.5〜10A/dm、アノードをNiとして中間層を形成した。なお、Ni浴についてはワット浴、ホウフッ化浴等の別途知られる浴を用いても構わない。
また、金(Au)メッキによる表面処理層の形成は、上記した通りである。即ち、本実施例では、浴組成としてKAu(CN)などの金イオン源、有機酸を用いpH=3.0〜4.5に入るようにコントロールし、陽極をPtメッキしたチタン材を配置した。浴を室温に保ちながら、成膜速度を考慮しつつ0.5〜2A/dmの電流で制御してAuメッキ層を形成したところ、純度99.9%以上の表面処理層33が得られた。
また、以下の実施例での金属セパレータとGDLとの接触抵抗の計測方法は下記の通りである。2枚のGDLでセパレータを挟持し、これらを電極によって挟む構成である。電極によって圧縮する面圧は燃料電池の積層条件をもとに決めることが出来るが、以下の実施例では1MPaでの接触抵抗を計測した。電流および電圧端子は4端子法に従って取り付けられており、直流電流一定のもと、2枚のGDL間の電圧降下から抵抗を算出している。同様に、金属セパレータ等の貫通(バルク)抵抗の計測方法は下記の通りである。金属セパレータ等の貫通(バルク)抵抗も同様の計測形態で、セパレータ単体を電極によって挟み、電極間で発生する電圧降下から算出することが出来る。
(実施例1)
図5及び図6は、中間層の仕様について検討した結果である。本発明では中間層32にNiを主とした複合メッキを行っている。図5はNi層(=中間層32)の厚さdを増した際のプレート5の貫通抵抗の変化を示したものであり、Ni層の厚さdの増加とともに貫通抵抗も直線的に増加している。図6では、複合メッキにより、同Niメッキ(マトリックス43)内に平均粒径200nmのPTFE粒(フィラー41)を中間層(Ni層)断面方向に均等分散させた場合の抵抗変化を示したものである。
図6では、撥水性を有するPTFE粒(フィラー41)自体が絶縁性であることから、PTFE粒(フィラー41)の含有量に従って、プレート5の貫通抵抗が増える傾向を示している。但し、極微量添加の領域ではPTFE粒(フィラー41)の添加による抵抗増加の感度は少ない。抵抗増加の許容量と次に示す濡れ性との関係(図7)からPTFEの添加量を決定するのが望ましい。かかる知見に基づき本発明では、上記したように、フィラーを含む中間層中の該フィラーの含有量は、該中間層の前記表面処理層と接する側の表面の撥水性と、該表面処理層とガス拡散層との接触抵抗との関係から決定するのが望ましい旨を規定したものである。
図7は、PTFE粒(フィラー41)の添加量(=PTFE濃度(V/V%))による、中間層(Ni層)32の表面処理層33との界面に当たる表面における水の静的接触角(度)αの変化を示したものである。PTFE粒(フィラー41)の添加とともに該接触角αが増加、すなわち撥水化の傾向を示した。但し、PTFE粒(フィラー41)が一定以上の添加量では接触角αに殆ど変化が見られなかった。かかる知見に基づき本発明では、上記したように、中間層32の表面処理層33との界面に当たる表面における水の静的接触角が80〜130°であるようにフィラー41が分散していることが望ましい旨を規定したものである。但し、当該接触角αは、材料だけでなく、プレート表層(中間層の表面処理層との界面に当たる表面ないし表層)の粗さに対しても感度があるため、PTFE粒(フィラー41)の添加のみならず粗さ調整(例えば、ブラスト処理など)によって必要な撥水量を確保するようにしてもよい。また、本実施例では中間層32にNiメッキを用いたが、Ni以外のメッキ可能な金属(例えば、上記したCrなどの遷移金属など)を用いても構わなく、また、メッキだけでなく撥水性材料を含んだ塗料の塗布でも可能である。
(実施例2)
図8及び図9は、最表面の導電性と耐食性を有する表面処理層33について検討した図である。本実施例では、プレートサンプル5の表面処理層33として、上記した通り、導電性及び耐食性に優れる金(Au)メッキを行ったものを用いた。また、中間層32には、Niをベース(マトリックス43材料)としたPTFE粒(フィラー41)分散の複合メッキし、水の静的接触角が80〜130°の範囲となるように、PTFE粒(フィラー41)の含有量(濃度)を5V/V%に調整したものを用いた。
図8の縦軸は、本材料がセパレータとして用いる場合に隣接して配置されるガス拡散層(GDLと略す。本実施例では、GDLにカーボンペーパーを用いた)との接触抵抗(mΩcm)を示している。また、図8の横軸は、中間層(PTFE粒含有Ni層)32の表面処理層33と接する側の表面の被覆率(%)を示している。
図8より、金(=表面処理層33)の被覆率(%)が非常に小さい場合は高い接触抵抗を示すが、被覆率が増すに従い急激な抵抗低減が確認された。更に一定以上の金被覆率では抵抗値に変化が見られなかった。
図8の抵抗低減は金の被覆率だけでなく、プレート上の金(=表面処理層33)の厚さdも大きく関与していることを図9で示している。このことから、金(=表面処理層33)の厚さdが非常に薄い場合は高い接触抵抗を示すが、厚さdを増すに従い急激な抵抗低減が見られ、更に一定以上の金(=表面処理層33)の厚さdでは抵抗値に変化が見られないことがわかる。金層(=表面処理層33)の厚みdの上昇とともに被覆率が急激に増加することでGDLとの接点が急激に増え、結果として接触抵抗も低減していることを示している。
中間層32にPTFE粒(フィラー41)を添加する場合、中間層32表層にもPTFEの粒(フィラー41)が顔を出す状態になる。表面処理層33として金(Au)をメッキする場合、PTFE粒(フィラー41)には電流が流れないためにメッキされない状態になる。したがって、図8及び図9の関係を鑑みて粒(フィラー41)の添加量を決定することが好ましい。かかる知見に基づき本発明では、上記したように、前記表面処理層32が貴金属もしくは貴金属が主成分である材料である場合であって、且つ前記フィラー41がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である場合、前記フィラー41を含む中間層32の該フィラー41の含有量が3〜33V/V%であることが望ましい旨を規定したものである。但し、本発明では、フィラー41の含有量が上記範囲を外れる場合あっても、本発明の作用効果を有効に発現し得る場合には、本発明に含まれ得ることはいうまでもない。例えば、上記したように、プレートの表層の粗さなどの調整などによっては、フィラー41の含有量がより少ない場合やより多い場合でも本発明の目的を十分に達し得ることがあり得るためである。
本実施例では金メッキを表面処理層33として用いているが、導電性と耐食性を兼ね備える材料であればなんでも良い。但し、化学的に安定なPTFE自体の上に密着性良く表面処理することが難しいため、少なくとも中間層の露出を可能な限り押さえながら表面処理することが好ましい。
また、図9の結果から、以下のことがいえる。金メッキは浴種、浴条件ならびに電流・対極・温度等によって表面処理層の性能が大きく異なる。図9は、金メッキの成膜条件を変えた3つの膜厚−被覆率の関係を示したものである。全て共通の金を用いているためGDLと金粒子間のミクロな接点抵抗は同じであるため、見かけの接触抵抗は被覆率で一意的に決定する。ナノオーダーの金層においては被覆率が非常に重要なパラメータになる。そのため、本実施例を含めた全ての実施例(実験例など)では、図9中の曲線Aの成膜条件を採用して金メッキを行い金層(=表面処理層33)を形成した。
(実施例3)
下記表1にPTFE粒(フィラー41)添加の有無の効果を確認する評価結果を纏める。表1では、中間層種(マトリックス43)と厚さを一定にしながら、PTFE(フィラー41)の添加有無、及び金層(表面処理層33)の厚さを変えた場合の比較を示している。
実験例1、2としてPTFE粒(フィラー41)添加量2水準、PTFE粒(フィラー41)を添加しない比較実験例1、2として金層(表面処理層33)厚さを変えた2水準を評価している。評価は80℃の弱酸の水溶液中に100時間浸漬した場合のイオン溶出ならびに外観を比較している。
Figure 2010067401
PTFEを含まない比較実験例1、2ではNiの溶出が大きく、表層が白濁した変色を示した。これはNiが選択溶解したためで、Ni−Au間にも隙間やNiの酸化物が生成したためであると考えられる。これは今回の比較実験例1、2の金層(表面処理層33)厚さに依存せず、同様の結果が得られた。一方、PTFE粒(フィラー41)を添加した実験例1、2では外観に変化は無く、Niの溶出量も低減した。PTFE粒(フィラー41)添加による中間層の絶対的な露出量が減少しただけでなく、撥水性効果による腐食反応の減少も起因していると考えられる。
(実施例4)
実際にPTFE(フィラー)を添加した中間層を配置する場合、撥水効果が最も求められる部位は中間層のうちの、表層に近い界面側である。このため、PTFEを中間層内部に分散させる場合は、PTFE分散に傾斜を付けることが出来る。最も簡便な方法として、PTFE(フィラー41)を含まない中間層32aと、含む中間層32を配置することである(図13)。実際のメッキ工程では、ロール状に巻かれた金属コイルが連続してメッキ浴内でメッキされる。PTFE/Niにより複合メッキ処理される手前でNiの中間層32aを設け、続けてPTFE/Ni(複合メッキ)層32を配置することで見かけ上、Niでできた中間層(32a+32)全体の断面方向の表層付近にPTFE(フィラー41)が分散する形をとる(図13参照)。中間層を複数設ける場合、目的に応じて多種のメッキを使うことも鑑みると、メッキ浴を分けることで対応できる。
中間層を単層とした場合にPTFEの分散傾斜を設ける場合は、メッキを制御する電流を制御することで分散量を変えることが出来る。しかしながら、電流に対するPTFE共析速度やメッキ浴中のPTFE濃度バラツキによって効果的な分散傾斜が難しい。このため、上述した独立した複数のメッキを実施した方がメッキ処理速度を考えると有効であると考えられる。
本発明の表面処理では、最表面の表面処理層33は導電性機能を、中間層32は防錆機能を持つ。このため、中間層32は金属基材31を守るために十分な緻密性を要求される。
図14は、中間層として、(i)Ni層単体、(ii)PTFE/Ni層、(iii)Ni層−PTFE/Ni層の複層(図13参照)のそれぞれの厚さを変えて耐食性試験をした場合の金属基材31(Al)からのイオン溶出量を確認したものである。Ni単層の場合でも層厚さを増すことでピンホールの数が減るため、イオン溶出は劇的に減少する。PTFEがある場合もNi単層と同様な結果である。本試験では水溶液中への浸漬試験であるため、効果的な撥水効果が僅かしか見えないが、実際の気液混在の燃料電池内では撥水効果が顕著である。即ち、PTFE/Ni層による撥水機能によりNi単層よりもイオン溶出抑制効果が顕著となる。
一方、Ni−PTFE/Ni複層では、それぞれの層のピンホール位置が同一にならない限り水溶液が金属基材31まで浸透することが無いため、基材金属の溶出を効果的に抑えることが出来る。ピンホールを確認する方法はSEM等の観察が知られるが、本実施例ではメッキプレートの実際の使われ方を考慮して水溶液への浸漬を行い、ピンホールからのイオン溶出有無で判断した。
金属基材31の防錆をする場合、燃料電池の形状や運転条件から必要とされる防錆能力が決まるため、図14を参考に必要な中間層の厚さが決定される。一方、図8および図9に示されるように、最表層は僅かな被覆率で抵抗低減が可能なため、ピンホールが無数に存在しても導電性機能としては成立する。上記したように、フィラー41を含む中間層32の厚さは、表面処理層33よりもピンホールが少なくなるように設定するのが望ましく、該表面処理層33と中間層32の厚さは、図8、9、14などの特性を鑑みて導電性と耐食性の両立を図ることが出来る。
(実施例5)
図10はアルミ基材31の上にNiメッキによる中間層32ならびに内部にPTFE粒(フィラー41)を分散させた金メッキ層33(マトリックス43=Auである)を配置したセパレータ5の表面処理構成を示したものである。
PTFEを金層(表面処理層33)に添加した場合、図4に比べて金層(表面処理層33)を厚くする必要がある。これは表面処理層33の厚さ方向に少なくとも1つ以上のPTFE粒(フィラー41)を確保する場合、PTFE粒(フィラー41)の平均粒径を考慮した処理厚さを確保しなければならない。本実施例では、PTFE粒(フィラー41)の平均粒径が200nmであるため、金層(表面処理層33)厚さも少なくとも200nm以上必要である。このため、図4の構成と比較して、高価な貴金属を使った場合はコスト的に顕著な違いが発生する。
下記表2は、比較実験例3、4として金層33内にPTFE粒41を分散させた場合(PTFE粒添加量2水準)の電気的特性を、本発明の実験例3として中間層内へのPTFE粒分散の場合と比較した場合(実験例1と同条件)と比較した結果を示したものである。更に、比較実験例5として、金層33及び中間層32内のいずれにもPTFE粒41を分散させていない場合の電気的特性を実験例3と比較した結果も併せて示した。
Figure 2010067401
金層(表面処理層33)にPTFE粒(フィラー41)を分散させた場合、PTFEが絶縁性であることから通電面積はPTFE粒41の添加量に反比例する。PTFE粒41を10%ならびに25%添加した際のGDLとの接触抵抗は6ならびに10.5mΩcmであった。一方、本実験例3の中間層にPTFE粒41を添加した際の接触抵抗とPTFE粒41を添加しない比較実験例5の場合は接触抵抗が4.1ならびに3.2mΩcmであり、低い値を示した。
セパレータで発生する抵抗は2種類あり、1つは接触抵抗でもう1つは貫通(バルク)抵抗である。これらの抵抗値の大きさには差があり、燃料電池の発電性能に大きく影響を与えるのは前者(接触抵抗)である。PTFE粒(フィラー41)を中間層に添加することで後者(貫通(バルク)抵抗)が増加するものの、その絶対値としては電池の発電性能に対する影響としては少ない。金層(表面処理層33)へのPTFE粒(フィラー41)添加は前者(接触抵抗)を増加させるものであり、セパレータ自体の耐食性向上には効果があるが、跳ね返りとして抵抗増加による発電性能の低下をもたらす。
(実施例6)
図11は複数の燃料電池の単位ユニットセル及びそれらを挟持する集電板との関係を示した概略図である。集電板30、40は複数のセル1で発電した電流を外部へつなぐ部品であり、セパレータ5と同様に導電性と耐食性が求められる。また、電流の取り出し部では電流が集中するために低抵抗な金属材料を必要とする。このため、従来のステンレスを用いた場合はステンレス自体の抵抗が高いために、より抵抗が低いCuやAlが良いとされてきたが、これらの材料は腐食感度が高いために優れた防食処理が必要であった。
但し、セパレータと異なるのは、電解質膜と向かい合うことなく、冷却水や加湿ガスもしくは発電で生成した液水のみが触れる環境であり、相対的にマイルドな腐食環境下にあることである。
本実施例では、セパレータと向き合う集電板の主面全体を上記表1に示す実験例1の表面処理にて中間層及び表面処理層の形成を行った。本実施例では、集電板30、40が冷却水と接する場合、図11の冷却水流路8には防食のために、中間層のNi等のマトリックス中にPTFE等のフィラー41を分散(含有)させる必要があるが、セパレータ5と接する面で気液と接しない電池構造をしている場合はPTFE等のフィラー41の分散(含有)は不要である。
本発明に係る部品構成を適用したセパレータを用いてなる燃料電池のセルユニットの構成を示す断面概略図である。 図1の燃料電池セルユニットに用いたセパレータの金属基材と該基材上に形成された処理層の構成を模式的に示す断面概略図である。 図1の燃料電池セルユニットに用いたセパレータの金属基材、撥水性の中間層及び表面処理層の構成を模式的に示す断面概略図である。 図3の撥水性の中間層の構成として、撥水性を有するフィラーがNiベース(マトリックス)中に分散(含有)された様子を模式的に表した断面概略図である。 本発明を適用した実施例の金属基材、中間層及び表面処理層の構成を有するプレートサンプル(セパレータ)の中間層−貫通抵抗の関係を示す図面である。 本発明を適用した実施例の金属基材、中間層及び表面処理層の構成を有するプレートサンプル(セパレータ)の中間層のPTFE(撥水性を有するフィラー)含有率(濃度)−貫通抵抗の関係を示す図面である。 本発明を適用した実施例の金属基材、中間層及び表面処理層の構成を有するプレートサンプル(セパレータ)の中間層のPTFE(撥水性を有するフィラー)含有率(濃度)−接触角の関係を示す図面である。 本発明を適用した実施例の金属基材、中間層及び表面処理層の構成を有するプレートサンプル(セパレータ)の表面処理層(Au)による中間層表面の被覆率−接触抵抗の関係を示す図面である。 本発明を適用した実施例の金属基材、中間層及び表面処理層の構成を有するプレートサンプル(セパレータ)の表面処理層(Au層)厚さ−中間層表面の被覆率の関係を示す図面である。 比較例の金属基材、中間層及び表面処理層の構成を有するプレートサンプル(セパレータ)として、表面処理層(Au層)にPTFE(撥水性を有するフィラー)を添加した構成を示す断面概略図である。 本発明を適用した実施形態1の燃料電池セルの集電板を含めた燃料電池(スタック)を示す概略図である。 図11の燃料電池(スタック)の斜視図である。 図4の単層の中間層に変えて、PTFE(フィラー)を含まない中間層と、含む中間層とからなる複層の中間層として、断面方向の表面処理層付近にPTFE(フィラー)が分散する形をとるように配置した様子を模式的に表した断面概略図である。 中間層として、(i)Ni層単体、(ii)PTFE/Ni層、(iii)Ni層−PTFE/Ni層の複層のそれぞれの厚さを変えて耐食性試験をした場合の金属基材からのイオン溶出量を確認し、これら中間層の厚さ−金属基材からのイオン溶出量の関係を示す図面である。
符号の説明
1、201 燃料電池の単セル(ユニットセル)、
2 電解質膜(固体高分子電解質膜)、
3 触媒層、
3a アノード触媒層(燃料極側電極触媒層)、
3b カソード触媒層(酸素極側電極触媒層)、
4 ガス拡散層(GDL)、
4a アノードガス拡散層(燃料極側ガス拡散層)、
4b カソードガス拡散層(酸素極側ガス拡散層)、
5 セパレータ、
5a アノードセパレータ(燃料極側セパレータ)、
5b カソードセパレータ(酸素極側セパレータ)、
5a’ 燃料ガス流路(水素含有ガス流路)、
5b’ 酸化剤ガス流路(酸素ガス流路)、
6 金属基材、
7 表面処理のための層、
8 冷却水流路、
9 膜−電極接合体(MEA)、
10 燃料電池スタック、
20 スタック部(積層スタック)、
30、40 集電板、
31 金属基材、
32 撥水性を有するフィラーを含んだ中間層、
32a フィラーを含まない中間層、
33 最表層(表面処理層)、
35、45 出力端子、
41 撥水性を有するフィラー、
42 ピンホール、
43 マトリックス、
50、60 絶縁板、
70 燃料極側エンドプレート、
80 酸素極側エンドプレート、
71 燃料ガス導入口、
72 燃料ガス排出口、
74 酸化剤ガス導入口、
75 酸化剤ガス排出口、
77 冷却水導入口、
78 冷却水排出口、
90 タイロッド、
200 燃料電池(スタック)、
金属基材の厚さ、
中間層(撥水性を有するフィラーを含んだ中間層)の厚さ、
表面処理層の厚さ。

Claims (11)

  1. 金属基材と、該金属基材の表面に配置された中間層と、該中間層表層に配置された表面処理層と、を備えてなり、
    前記中間層が、フィラーを含む中間層を備えており、該フィラーを含む中間層が、前記金属基材より高い撥水性を有し、
    前記表面処理層が、フィラーを含む中間層より高い導電性と、金属基材より高い耐食性とを有していることを特徴とする燃料電池構成部品。
  2. 中間層が複数ある場合、前記フィラーを含む中間層は、最表面の表面処理層に近い側の層であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池構成部品。
  3. 前記フィラーを含む中間層の厚さは、表面処理層よりもピンホールが少なくなるように設定することを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池構成部品。
  4. 前記フィラーは、フッ素樹脂、シリコン系化合物およびフッ化した化合物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池構成部品。
  5. 前記フィラーを含む中間層中のフィラーの含有量は、該中間層の表面処理層と接する側の表面の撥水性と、表面処理層とガス拡散層との接触抵抗との関係から決定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池構成部品。
  6. 前記中間層の表面処理層との界面に当たる表面における水の静的接触角が80〜130°であるようにフィラーが分散していることを特徴とする請求項5記載の燃料電池構成部品。
  7. 前記フィラーを含む中間層の厚さは、フィラーの少なくとも平均粒子径以上に設定されていることを特徴とする請求項5記載の燃料電池構成部品。
  8. 前記表面処理層が貴金属もしくは貴金属が主成分である材料である場合であって、且つ前記フィラーがポリテトラフルオロエチレンもしくはポリテトラフルオロエチレンを主成分とするフッ素樹脂である場合、
    前記フィラーを含む中間層の該フィラーの含有量が、3〜33V/V%であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の燃料電池構成部品。
  9. 前記フィラーを含む中間層断面方向におけるフィラーの分散量は、均等であるか表層ほど多くなっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池構成部品。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料電池構成部品を用いてなることを特徴とする燃料電池。
  11. 請求項10に記載の燃料電池を搭載してなることを特徴とする車両。
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