[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る情報処理装置としての現金預払システムの構成を模式的に示す図であり、図2はその現金預払システムに備えられるATMのブロック図であり、図3はその現金預払システムに備えられるサーバ装置のブロック図である。
本実施形態に係る現金預払システム100は、図1に示すように、少なくとも1つの現金自動預払機としてのATM(Automated Teller Machine)10と、ATM10とネットワーク30を介して接続されたサーバ装置20とを備えている。
ATM10は、銀行の各支店、コンビニエンスストア等に設置され、利用者からの入力された情報に基づいてネットワーク30を介してサーバ装置20によって制御されることにより、現金の預け払い、及び振り込み等に対応する。ネットワーク30は、専用ネットワーク、インターネット等を仮想的に専用化したネットワーク(Virtual Private Network)、又はそれらの組み合わせ等によって構成される。なお、本実施形態及び後述の実施形態においては、ATM10を用いた構成を具体例として採用しているが、ATM10の代わりに、あるいは、ATM10に追加して、現金自動支払機(Cash Dispenser ; CD)を用いて現金預払システム100を構成してもよい。また、本発明に係る技術を、現金を扱う機能は必須のものではなく、無人契約機、個人情報又は金融情報を扱う各種の端末機器、又は、公共機関(例えば、自治体等)により公衆の便のために設置される端末機器などに適用してもよい。
ATM10は、図2に示すように、ATM制御部11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、表示部15、受付部としての操作部16、通信部17、及び現金取扱部18を備えている。現金取扱部18は必須の構成ではなく、省略してもよい。表示部15と操作部16とは、協働してタッチパネル19を構成している。このようなATM10は、ネットワーク30を介してサーバ装置20により制御されながら、利用者とのインタフェース端末として機能し、現金の預け払い、振り込み等の手続きに対応する。なお、図1中における符号31は、各利用者に付与されたカード(例えば、磁気カード等)の挿入口である。また、符号32は、現金の出し入れ口である。
ATM制御部11は、ATM10の制御を統括するものであり、CPU(Central Processing Unit)等を備えて構成される。このATM制御部11には、機能要素として、主制御部11a及び表示制御部11bが備えられている。
主制御部11aは、ATM10における表示部15の制御以外のすべての制御を行う。表示制御部11bは、ネットワーク30を介してサーバ装置20から与えられた伝送情報に基づいて表示画像を形成し、その表示画像を表示部15に表示させる。ここで、ATM制御部11及び後述するサーバ装置20の制御部21に備えられる主制御部11a,21a、表示制御部11b及び改変処理部21b等の機能要素の機能は、ATM制御部11及び制御部21に読み込まれた1又は複数のソフトウェアに基づく情報処理によって実現される。
ROM12には、ATM制御部11が情報処理のために実行する基本的なプログラム及び設定データ等が保存されている。RAM13は、ATM制御部11が情報処理を行うためのワークエリア等に用いられる。記憶部14は、ハードディスク装置、又は大容量の半導体メモリ等の記憶内容が書換できる記憶装置によって構成され、情報の保存場所として用いられる。この記憶部14には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトウェアに関する情報も保存される。
表示部15は、液晶表示装置等によって構成され、画像信号によって与えられた画像の表示を行う。操作部16は、表示部15の画面に対する利用者の指先の接触(又は接近)を検出する。操作部16の具体例としては、表示部15の表示画面に付与され、指先等が接触された位置を検出する透明なシート状の感圧デバイスなどが用いられる。なお、本実施形態では、タッチパネル19を構成するために、操作部16として感圧デバイス等を用いたが、操作部16として押圧式のキー又はマウス等を用いてもよい。
通信部17は、ATM10がネットワーク30を介した情報通信を行うためのインターフェースである。現金取扱部18は、現金の受け取り及び支払い、及び集計等を行う。
サーバ装置20は、図3に示すように、制御部21、ROM22、RAM23、記憶部24、及び通信部25を備えている。なお、図3に示す構成は一例であり、サーバ装置20に表示部及び操作部等を備えてもよい。
制御部21は、サーバ装置20の制御を統括するものであり、CPU(Central Processing Unit)等を備えて構成される。この制御部21は、機能要素として、主制御部21a及び改変処理部21bが備えられている。これらの機能要素の役割については後述する。ROM22には、制御部21が情報処理のために実行する基本的なプログラム及び設定データ等が保存されている。RAM23は、制御部21が情報処理を行うためのワークエリア等に用いられる。記憶部24は、ハードディスク装置等の記憶内容が書換できる記憶装置によって構成され、情報の保存場所として用いられる。この記憶部24には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトウェアに関する情報も保存される。また、記憶部24には、利用者の口座情報(例えば、口座残高及び取引履歴等)、認証情報(例えば、暗証番号及びパスワード等)、及びその他の関連情報も保存される。通信部25は、サーバ装置20がネットワーク30を介した情報通信を行うためのインターフェースである。
制御部21の主制御部21aは、ネットワーク30を介してATM10から送られてくる情報に基づいてATM10を制御する。この主制御部21aの機能として、ATM10に与えるための伝送情報(例えば、ATM10の表示部15の表示を行うための情報等)を準備し、その伝送情報を通信部17及びネットワーク30を介してATM10に与える機能が含まれる。
改変処理部21bは、主制御部21aによって準備された前記伝送情報に含まれる文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理を施す。改変処理とは、一例を挙げると、改変対象の画像要素の輪郭部に対して改変を施す処理である。この改変処理は、ネットワーク30を介してサーバ装置20からATM10に与えられた情報等に基づいて形成された表示画像がATM10の表示部15に表示されるときの、電磁波の雑音(電磁信号)による表示画像に関する情報の漏洩を防止するためのものである。なお、既に改変が施された画像要素に関する画像データ(例えば、ビットマップデータ)が記憶部24から読み出されてATM10に送られる場合がある。そのような既に改変が施された画像要素については、改変処理部21bによる改変処理は適用されない。
本実施形態では、ATM10の表示部15に表示される漏れ電磁波による情報漏洩の対策が必要な画像要素に対し、後述する画像要素の改変による第1の対策と、画像要素(例えば、ボタン)の色彩の変化に対する第2の対策とによって対応する。
まず、改変処理についてより詳細な説明を行う。ここでは、サーバ装置20からATM10に与えられた伝送情報に基づいて、図4に示すように文字コードによって規定される「A」という文字1が表示部15に表示されるケースを例にして説明を行う。
図5(a)は改変処理の対象となる画像要素の一例である「A」という文字1の画像を示す図であり、図5(b)はその文字1の改変処理後の画像を示す図である。図6は図5(b)の下方部分を拡大して示す図である。なお、改変対象である文字1の画像は改変処理が施された後、改変隅の文字2の画像として表示部15に表示されるため、図5(a)の文字1の画像が表示部15に表示されることはない。
ここで、本発明においては、表示部15の表示画面15aに表示される全体の画像を表示画像と称する。その表示画像のうち、文字コード又はベクトル情報により規定された改変対象の画像要素に対して改変処理が施される。また、表示画像内における改変対象の画像要素の背景となっている部分を背景画像と称する。文字コードにより規定される画像要素とは、文字コードが割り当てられた文字、記号、図形等のすべての画像要素を含む概念である。その具体例としては、漢字、平仮名、カタカナ、数字、アルファベット、ローマ字、及び、他の言語に使用される文字等が挙げられる。また、ベクトル情報により規定される画像要素とは、ベクトル情報として記載された文字、記号、図形等のすべての画像要素を含む概念である。本発明では、文字コード又はベクトル情報により規定された任意の画像要素を、情報の漏洩対策の必要性に応じて改変処理の対象とできる。例えば、静止画に限らず、動画に対しても改変処理を適用してもよい。
図5(a)に示す文字1の画像は、PC等の表示画面において一般的に使用されているフォントのうちの1つで表示されている。例えば、文字1は黒色で、文字1の画像の背景は白色である。図5(b)に示す改変済みの文字2の画像は、改変処理により、文字1の画像の輪郭部に、複数の改変部3(「ヒゲ」)が付与されたものである。なお、改変済みの文字2の画像における改変部3以外の部分(文字2の画像の本体部分)2aは黒色である。
改変部3は、文字2の本体部分2aの輪郭部における水平方向Hの両側の少なくともいずれか一方側(例えば、両側)から、水平方向Hに沿って線状に延びている。ここで、水平方向Hとは、表示部15の表示画面15aの主走査方向と平行な方向である。なお、この水平方向Hの向きは、表示部15の設置状態に応じて変化する。例えば、図4に示すように表示部15が通常の向きで設置された場合は、水平方向Hは視認者から見て左右方向(横方向)となる。しかし、表示部15が図4の状態から90度回転された状態で配置された場合には、水平方向Hは視認者からみて上下方向(縦方向)となる。
また、改変部3は、文字2の本体部分2aの輪郭部における垂直方向Vについて間隔をあけて複数箇所に付与されている。ここで、垂直方向Vとは、表示部15の表示画面15aの副走査方向と平行な方向である。なお、変形例として、改変部3を、文字2の本体部分2aの輪郭部における垂直方向Vについて間隔をあけないで付与してもよい。
また、図6に示すように、水平方向6に沿った改変部3の幅6、垂直方向Vに沿った改変部3の幅5、及び、垂直方向Vに沿った改変部3間の間隔4は、設定データを変更することにより個別に自在に変更できる。
また、改変部3は、改変済みの文字2の画像の本体部分2aに近い方から順に第1から第3の灰色の領域116〜118に分けられている。第1の灰色の領域116が最も黒に近い灰色で表示され、第3の灰色の領域118が最も白に近い灰色で表示され、第2の灰色の領域117が第1の灰色の領域116と第3の灰色の領域118の中間の灰色で表示される。このように、改変部3は、本体部分2aから水平方向Hに遠ざかるにつれて、マンセル表色法の色相、彩度及び明度の3属性値の少なくとも1つの属性値(例えば、明度)が段階的に変化されている。これによって、改変部3にグラデーションが形成されている。すなわち、改変部3をグラデーション部ということもできる。ここで、本発明において、「グラデーション」とは、異なる2つの明度のうち一方の明度を一端として他方の明度を他端とし、これら両端の間を明度が段階的に変化する表現をいう。その明度が段階的に変化される際の画面上における単位画素数当たりの変化の数が多いほど、グラデーションが滑らかな変化となる。なお、改変部3に施すグラデーションとして、上記の3つの属性値のうちの明度以外のいずれか1つの属性値、あるいは3つの属性値のうちのいずれか2つ又は全部を段階的に変化させてもよい。
図7(a)は図5(a)の水平ライン8に沿った1ライン分のRGB信号を示す図であり、図7(b)は図5(b)の水平ライン9に沿った1ライン分のRGB信号を示す図である。図7(a)及び図7(b)における横軸は時間経過を示し、縦軸は電圧値を示している。
図5(a)の水平ライン8は背景画像の部分(白色部分)と文字1の画像の部分(黒色部分)を走査するラインである。このため、このライン8のRGB信号の測定結果である図7(a)では、RGB信号の電圧値が低いところが黒色であり、その電圧値が高いところが白色である。
図5(b)の水平ライン9は背景画像の部分(白色部分)と、文字2の画像の本体部分2a、及び改正部3を走査するラインである。このため、このライン9のRGB信号の測定結果である図7(b)では、RGB信号の電圧値が一番低いところが黒色、2番目に低いところが第1の灰色の領域116、中間のところが第2の灰色の領域117、2番目に高いところが第3の灰色の領域118、一番高いところが白色である。
図8(a)は図7(a)のRGB信号により放出される電磁信号の測定結果を示す図であり、図8(b)は図7(b)のRGB信号により放出される電磁信号の測定結果を示す図である。図8(a)及び図8(b)における横軸は表示画面の水平ライン8,9上のピクセル数を示し、縦軸は放出される電磁信号の電圧値を示している。
図8(a)において電圧値が1mVを超えるレベルの電磁信号が放出されているところは、図5(a)においてRGB信号の電圧値が低いところと高いところとの境界、即ち黒色と白色との境界である。
これに対し、図8(b)においては電圧値が1mVを超える電磁信号は放出されていない。つまり、図8(a)で示される1mVを超えるレベルの電磁信号は、図5(b)のように白色部分から黒色部分へと画像の明度の変化が滑らかな場合、図8(b)のように観測できない程度まで低減する。
このように改変済みの文字2の輪郭部に対応する画像信号に基づいて放出される電磁信号を殆ど観測できないレベルに低減すれば、放出される電磁信号の観測結果から文字2の画像を復元することができない。その結果、文字2の画像信号に基づいて放出される電磁信号から文字2に関する情報が漏洩するのを防止できる。
したがって、上述のような改変処理を改変対象の画像要素に施すことにより、その画像要素の画像信号に基づいて放出される電磁信号から画像要素に関する情報が漏洩するのを確実に防止できる。
ここで、上述の改変部3に施すグラデーションは、複数段階で直線的(換言すると線形的に(リニア的に))に変化することが好ましい。このように直線的にグラデーションが変化する場合、一次関数のみで計算処理することができるため、処理量が比較的少なく、計算処理を促進して、数多くの画像要素を迅速に改変できる。そして、計算処理量を抑制することによって、計算処理のための特別な追加ハードウェア等を備えなくとも、改変処理をソフトウェアのみで実現することができる。従って、特別な装置を必要とせず、種々の情報処理装置に改変処理を行わせることができる。
図9はグラデーションが施される領域の水平方向の幅を変更した場合を示す模式図であり、(a)は前記幅が狭い場合を示し、(b)は前記幅が広い場合を示す。ここでは、改変対象の画像要素が黒100%で、背景画像が黒0%(白色)である場合を例にして説明する。図9(a)では、黒100%のドットと黒0%のドットとの間に1つの中間レベルのドットを挿入することによってグラデーションを施している。また、図9(a)では、黒100%のドットと黒0%のドットとの間に段階的に変化する3つの中間レベルのドットを挿入することによってグラデーションを施している。図9(a)のように、グラデーションの変化率が50%と高い場合、グラデーションが施される領域の水平方向の幅は狭い。これに対し、図9(b)のようにグラデーションの変化率を25%と低くすると、グラデーションが施される領域の水平方向の幅は広くなる。
このようにグラデーションが施される改変部3における水平方向の幅を変更させることによって、グラデーションの変化率を変更することができる。これによって、改変処理後の画像要素の電磁信号による傍受のされ難さと、画像要素の見易さとのバランスを調整することができる。すなわち、改変部3の水平方向の幅を広くしてグラデーションの変化率を低くすると傍受され難くすることができるが、画像としては見難くなる。一方、幅を狭くしてグラデーションの変化率を高くすると見易くなるが、傍受されやすくなる。
また、表示画像内の改変対象の画像要素と背景画像とを一定の変化率のグラデーションでつなぐように改変部3を形成してもよい。この場合、改変対象の画像要素と背景画像とのコントラスト等の大きさ応じて、改変部3の水平方向の幅が広くなる。例えば、文字の画像が表示画面内に表示されている場合、改変部3の水平方向の幅が広くなると、隣接する文字間で改変部3同士が重なる場合がある。このような場合には、文字と背景のコントラスト等を予め小さくした後、改変部3を付与すればよい。文字等の改変対象の画像要素と背景画像の明度の差を小さくする方法としては、例えば文字が黒100%で背景が黒0%(白)である場合に、文字を黒50%の灰色に変えて、文字と背景とのコントラストを小さくする方法が挙げられる。
なお、文字等の画像要素に改変(修飾)を施す方法としては、放出される電磁信号が殆ど観測できない程度まで低減できれば、改変部(ヒゲ)を付けるという方法に限定されるものではない。例えば、改変対象の画像要素の本体部分(非修飾部分)の周りを全周に渡って取り囲むように、あるいは本体部分の周囲を部分的に取囲むように改変部を付加してもよい。この方法では、ヒゲ状の改変部を付与する方法よりも、より確実に放出される電磁信号を低減することができ、より画像が推定され難くすることができる。
また例えば、上述のヒゲ状の改変部3の周辺にさらに複数のドットを付加してもよい。これによって、より高い目くらまし効果が得られ、画像をより推定され難くできる。
以上では、画像信号に基づいて放出される電磁信号を低減することにより、画面表示されている画像が推定されるのを防止する方法について説明した。しかし、結果として画面に表示されている画像が推定されないようにできれば、必ずしも電磁信号を低減することにこだわる必要はない。
上述のヒゲ状の改変部3を、例えば、赤、黄、青、赤、緑のように異なる1又は複数の色で構成してもよい。この場合、改変部3の各部分の色をランダムに変えてもよい。あるいは、改変部3を単一の中間明度(例えば、黒70%の灰色)だけで構成してもよい。この場合、ある改変部3の明度を黒70%の灰色にし、別の改変部3の明度を黒30%の灰色にするという具合に、改変部3の明度を改変部3ごとにランダムに変化させてもよい。
図10(a)は改変前の線分の画像を示す図であり、図10(b)は改変後の線分の画像を示す図である。このように、改変対象の画像要素として水平方向Hに延びる線分を設定してもよい。この場合の改変処理では、線分に水平方向Hに延びる少なくとも1つの改変部が設けられる。
例えば、図10(a)のように、黒0%(白色)の背景として、改変前の線分201が水平方向Hに黒100%の明度で連続している場合について、改変処理の具体例を説明する。この場合、図10(b)に示すように、線分202の複数箇所に改変部203が設けられている。そして、この改変部203では、線分202の改変部203が設けられた部分では、線分202の明度が、水平方向Hに進むにつれて、元の線分201の明度である黒100%から背景の明度である黒0%との間で段階的に変化されている。この図10(b)の例では、改変部203において、水平方向Hに進むにつれて、明度が黒75%、黒50%、黒25%、黒0%、黒25%、黒50%、黒75%の順に段階的に変化されている。より詳細には、図10(b)の例では改変後の線分202の全体が明度が周期的に変化する改変部203とされている。そして、線分202の明度が、水平方向Hに進むにつれて、黒100%、黒75%、黒50%、黒25%、黒0%、黒25%、黒50%、黒75%、黒100%、黒75%、・・・の順に段階的かつ周期的に変化されている。
線分202に設ける改変部203の数は、改変前の線分201の水平方向Hの幅、及び改変部203の水平方向Hの幅等に応じて調節される。例えば、改変前の線分201の水平方向Hの幅が小さい場合には、1つの改変部203を設けるようにしてもよい。
ここで、改変対象とされる線分には、漢字の「一」、カタカナの長音文字「ー」、ハイフン記号又は引き算記号「−」 及び水平方向Hに延びる罫線又は直線など、水平方向Hに沿って線状に延びる種々の画像要素が含まれる。
以上のような改変処理は、記憶部24等に保存された改変処理の内容を規定する設定データに基づいて行われる。この規定データの内容について、文字コードによって与えられる文字画像(フォント画像)に対して改変処理を行う場合を例に具体的に説明する。設定データは、例えばデータファイル化されて記憶部24等に保存されており、改変処理の際に改変処理部21bによって読み出されて改変処理に用いられる。
設定データによる規定内容の例としては、<対象フォント>、<対象pt数>、<改変部の縦方向の間隔>、<改変部の縦方向の幅>、<改変部の横方向の幅>、<非修飾部分の幅>等が挙げられる。<対象フォント>は、通常のPC等で用いられるフォントのうち、改変対象とされるフォントを示している。この場合、全てのフォントが改変対象とされる場合もあれば、一部のフォントが改変対象から除外される場合もある。
<対象pt数>は、改変対象とされるフォントサイズを示し、ここに記述されたフォントサイズ以上であれば改変対象となることを示す。一定のフォントサイズ以上のものを改変対象とするのは、例えば16pt(ポイント)程度より小さいフォントサイズでは、表示画像を再現できる程度の電磁信号は発生し難いので、改変処理を行う意義が乏しいからである。
<改変部の縦方向の間隔>は、図6に示す表示画面上における隣接する改変部3間の垂直方向Vの間隔4を規定するものであり、ここに記述された値によって間隔4が規定される。<改変部の縦方向の幅>は、図6に示す表示画面上における改変部3の垂直方向の幅5を規定するものであり、ここに記述された値によって幅5が規定される。<改変部の横方向の幅>は、図6に示す表示画面上における改変部3の水平方向Hの幅6を規定するためのものであり、ここに記述された値によって幅6が規定される。<非修飾部分の幅>は、図6に示す表示画面上における改変部3を付与すべき画像要素の本体部分2a(非修飾部分)の水平方向Hの幅7を規定するためのものであり、本体部分2aの幅7がここに記述された値以上である場合に改変部3を付与する。本体部分2aの幅7が所定の値以上でなければ改変部3を付与しないのは、本体部分2aの幅7が所定の値以下であれば、明確な電磁信号が表れ難いため、改変部3を付ける意義が乏しいからである。
なお、<対象pt数>及び<改変部の縦方向の間隔>等は、<対象フォント>に応じて異なる値を設定することができる。
サーバ装置20の主制御部21aは、前記伝送情報として、例えばウェブページに関するウェブ情報を準備し、そのウェブ情報を、ウェブサーバとウェブクライアントとの情報通信に用いられる通信プロトコルを用いてネットワーク30を介してATM10に送信する。通信プロトコルには、例えばHTTP(HyperText Transfer Protocol)、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)、又はGopherプロトコル等が用いられる。これに対して、ATM10の表示制御部11bは、ネットワーク30を介して与えられたウェブ情報に基づき、表示画像としてのウェブページの画像を形成し、その画像を表示部15に表示させる。
このため、漏洩を防止すべき情報が含まれたウェブ情報がATM10にて表示される際に、漏洩を防止すべき情報が放出される電磁信号により漏洩するのを防止できる。
また、サーバ装置20からATM10に与える伝送情報がウェブ情報として与えられる。このため、ウェブページの閲覧が可能なATM10であれば任意のATM10に対し、表示画像の画像要素に対して改変処理を施したウェブ情報をサーバ装置20からネットワーク30を介して送ることができる。
なお、上記の例では、サーバ装置20からATM10にウェブ情報が送信される構成としたが、送信される伝送情報は、ウェブ情報に限らない。例えば、電子メール及び種々のドキュメント情報等が、伝送情報として送信されるようにしてもよい。この場合にも、その伝送情報に含まれる画像要素に上述の改変処理を施すことにより、その伝送情報に関する画像がATM10によって表示されたときに、表示画像に含まれる重要情報等が電磁信号によって漏洩するのを防止できる。
ここで、フォントシステムとしていわゆるビットマップフォントシステムが採用されている場合の改変処理について説明する。この場合は、改変対象の画像要素が文字コード(フォントに関するデータも含む)によって規定されているため、その文字コードに基づいてビットマップ形式の文字等の画像要素が一旦生成される。そして、そのビットマップ形式の画像要素に対して改変処理が施される。改変処理後の画像要素はビットマップデータとして記載されて、他の伝送情報とともにサーバ装置20からATM10に与えられる。このビットマップデータで記述された改変処理後の文字画像等の形態を、「CrypTypeフォント」と称する。この改変処理により、伝送情報中の改変対象とされた画像要素に対応する文字コードに関する情報が、改変処理後の画像要素のビットマップデータに置き換えられる。
次に、フォントシステムにいわゆるアウトラインフォントシステムが採用され、改変対象の画像要素がベクトル情報によって規定されている場合の改変処理について説明する。この場合の改変処理の方法としては、2つの方法があり得る。1つは、アウトラインフォントのベクトル情報からビットマップ形式で改変対象の画像要素を生成し、その生成した画像要素に改変処理を行う方法である。もう1つは、アウトラインフォントに、そのベクトル情報に基づいて改変部を付与した後、ビットマップに変換する方法である。なお、後者の方法では、改変処理を規定する設定データの内容として、ベクトル情報に対応した改変部の付け方が記述されていれば、ベクトル情報を有効に活用して効率的に改変部を付与できる。
図11は、ベクトル情報を利用した改変部の付け方を説明するための模式図である。ベクトルα,β,γは、x軸、y軸を基準として、「A」という文字を構成する各ラインの方向を示している。x軸が走査線方向に相当する。改変処理を規定する設定データの記述における縦方向及び横方向は、それぞれy軸方向及びx軸方向に相当するので、ベクトルの方向から改変部を付ける位置を容易に把握できる。特に、ベクトル情報によれば、ベクトルγがx軸方向と一致することを把握することができるので、このベクトルγには改変部を付与しないようにすることもできる。これは、x軸方向と一致するラインの部分(線分)では、RGB信号の電圧値変化が表れず、放出される電磁信号も微弱であるため、改変部を付与する意義が乏しいからである。
なお、x軸方向と一致する比較的長い線分は、その存在自体が画像を再現させる電磁信号を発生してしまうので、上述の図10(b)で示す方法で改変処理を施すのが好ましい。
ここまで、改変処理の例として、フォント文字を修飾する場合について説明したが、フォント文字以外の直線や円形等の描画ラインについても同様に修飾することが可能である。また、改変処理の方法として、フォントや描画ラインを改変する方法を説明し、具体的なフォントの改変方法として、ビットマップに改変を施す方法及びアウトラインフォントのベクトル情報を利用する方法等種々の改変方法を説明した。また、それらの変更方法において、改変対象の文字のポイント数、改変部の横方向の幅等種々の改変用パラメータを設定することも説明した。
これらの改変方法や改変用のパラメータは、改変対象の画像要素に対して一律に適用する必要はない。むしろ、改変対象の画像要素ごと、あるいは画像要素内の部分ごとに異なるものを不規則に適用してもよい。これによって、より改変前の画像を推定し難くすることができる。具体的には、例えば文字の複雑さ(例えば、画数(ストローク数))に応じて改変用のパラメータの値を変えて適用してもよい。すなわち、漢字の「難」とひらがなの「し」とでは、「難」の方が複雑であり、改変前であっても推定し難くい。このため、「難」のように複雑な文字については、「し」と同じ間隔等で改変部を付ける必要はない。
一方、ATM10側では、表示制御部11bがサーバ装置20から与えられたそのビットマップデータに基づいて改変済みの画像要素を生成し、その画像要素を表示部15に表示させる。なお、伝送情報に含まれる改変対象以外の文字コード及びベクトル情報等は、そのままサーバ装置20からATM10に与えられる。ATM10の制御部22は、伝送情報に含まれる文字コード及びベクトル情報に基づいて画像要素を形成し、その画像要素を表示部15に表示させる。伝送情報中の文字コード及びベクトル情報以外の情報(例えば、ビットマップデータ等)で与えられた画像要素は、改変対象とされることなく、そのままサーバ装置20からATM10に送られる。
上記の構成では、文字コード又はベクトル情報により特定される画像要素に対して改変処理が行われ、それによって改変済み画像要素に対応するビットマップデータが作成される。このため、文字コード又はベクトル情報により規定される任意の画像要素に対して改変処理を行えるという利点がある。
ここで、上記の改変処理において、一度改変処理を行った画像要素については、その改変済みの画像要素に関する情報(例えば、改変済みの画像要素のビットマップデータ)を保存しておき、その保存情報を以後の処理に利用するようにしてもよい。この場合、例えば、同じ画像要素に対する改変処理を行うときには、改変対象の画像要素に関する情報(文字コードに関する情報等)が、保存しておいた改変済みの画像要素を表すビットマップデータに置き換えられる。これによって、改変処理の迅速化及び効率化が図れる。
なお、保存情報の保存は、例えば一次保存用の記憶領域(例えば、キャッシュ領域等)が用いられる。また、保存情報の情報量を抑制するため、一次保存用の記憶領域が一杯になった場合、又は、使われなくなった保存情報が含まれている場合等には、保存情報に優先順位を設定し、優先順位の低いものから順に削除するようにしてもよい。この場合に手法として、いわゆるGarbage Collectionの手法が用いられる。
図12は、ATMのタッチパネルの具体的な構成例を示す図である。ここでは、この図12を参照しながら、ATM10のタッチパネル19の操作画面33の関連した漏れ電磁波による情報の漏洩対策についてより具体的に説明する。
このタッチパネル19の操作画面33は、図12に示すように、第1表示領域34、第2表示領域35、複数の入力ボタン36、訂正ボタン37、及び、取消ボタン38が設けられている。なお、操作画面33の表示画像は、ネットワーク30を介してサーバ装置20から与えられた伝送情報(例えば、ウェブデータ)に基づいてATM10の表示制御部11bが作成したものであり、サーバ装置20から与えられる伝送情報に基づいて順次更新される。ボタン36〜38に対する操作により入力された操作情報は、ATM10からネットワーク30を介してサーバ装置20に与えられる。
第1表示領域34には、その操作画面33にて利用者が入力すべき内容等の画像要素39(例えば、案内メッセージ等)が表示される。第2表示領域35には、例えば、その操作画面33にて利用者が入力した情報(例えば、引き出し又は振り込みの際の金額、暗証番号、又はパスワード等)に関する画像要素40が表示される。なお、第2表示領域35に暗証番号又はパスワードが表示される際には、入力内容が星印「*」等に置き換えて表示が行われる。
この第2表示領域35に表示される画像要素40は、本発明に係る第2の画像要素に相当しており、サーバ装置20の改変処理部21bによる上記の改変処理の対象される。その改変処理により、画像要素40には、その画像要素40に含まれる文字(数字を含む)、記号等の輪郭部に複数の改変部3が付与される等の改変が施されている。なお、変形例として、操作画面33内における第2表示領域35以外の領域に表示される画像要素に対しても、改変処理を施してもよい。
複数の入力ボタン36は、例えば0から9の数字がそれぞれ割り当てられており、数字の入力に用いられる。本実施形態では、入力ボタン36にボタン識別用の第1の画像要素として0から9の数字からなる画像要素41がそれぞれ付与されている。
訂正ボタン37は、入力内容を訂正する際に用いられる。この訂正ボタン35には、ボタン識別用の第1の画像要素として「訂正」の文字からなる画像要素42が付与されている。取消ボタン36は、この操作画面33が呼び出されたモードを取り消して、図示しない他の操作画面に戻るときに用いられる。この取消ボタン36には、ボタン識別用の第1の画像要素として「取消」の文字からなる画像要素43が付与されている。
ボタン34〜36に付されたボタン識別用の画像要素41〜43は、漏れ電磁波を傍受した不正な第三者にボタン34〜36の役割等が認識されるのを阻止するため、上記の改変が施されている。より具他的には、画像要素41〜43に対し、それらの輪郭部に複数の改変部3が付される等の改変が施されている。
ボタン34〜36は、利用者が指等を接触させることにより、そのボタン34〜36に対応した入力が行われる。ATM10の主制御部11aは、操作部11bを介してボタン34〜36に対する操作を検知したときに、操作されたボタン34〜36に関する情報(操作情報)を通信部17及びネットワーク30を介してサーバ装置20に送る。あるいは、データ転送の回数を減らすため、ボタン34〜36から入力された複数の桁の情報を一度にまとめてATM10からサーバ装置20に送ってもよい。
サーバ装置20の主制御部21aは、ATM10から送られてきた操作情報を通信部25を介して受け取り、その操作情報に応じた情報処理を行う。例えば、その情報処理により、操作情報に基づいてATM10の操作画面33の第2表示領域35に表示すべき文字(又は文字列)等に関する情報が準備される。その際、第2表示領域35に表示すべき文字(又は文字列)等に関する情報は、文字コード又はベクトル情報によって規定される。
続いて、その主制御部11aによって準備された文字(又は文字列)等に関する文字コード又はベクトル情報に基づいて、改変処理部21bによる上記の改変処理が施される。そして、主制御部11aが、改変後の画像要素40に関する伝送情報を通信部25及びネットワーク30を介してATM10に送り出す。
ATM10の主制御部11aは、改変後の画像要素40に関する伝送情報を、通信部17を介して受け取り、表示制御部11bに与える。表示制御部11bは、その伝送情報に基づいて第2表示領域35に表示すべき画像要素40を作成し、第2表示領域35に表示する。これによって、ボタン36等を介して入力された振込金額又は引出金額等に関する情報が、改変済みの画像要素40によって第2表示領域35に表示される。その結果、振込金額又は引出金額等の秘密にすべき情報が、漏れ電磁波を傍受した不正な第三者に漏洩するのが防止される。
なお、ボタン36〜38に付与されたボタン識別用の画像要素41〜43については、サーバ装置20の改変処理部21bによる改変処理を用いずに、予め改変された画像データ(例えば、ビットマップデータ)を用いて画像要素41〜43が形成されるようにしてもよい。この場合、予め記憶部24に保存されている画像要素41〜43を含むボタン36〜38の画像データ(例えば、ビットマップデータ)が、主制御部21aによって読み出され、伝送情報としてネットワーク30を介してATM10に送られる。
あるいは、画像要素41〜43についても、第2表示領域35に表示される画像要素40と同様に、主制御部21aが準備した文字コード等に基づいて改変処理部21bが改変処理を施すことによって得られた画像データを用いてもよい。
また、本実施形態では、図13(a)及び図13(b)に示すように、タッチパネル19の操作画面33に設けられたボタン36の色彩が操作されたときに変化される。無防備にボタン36の色彩が変化された場合には、色彩の変化に伴って画像信号に基づく漏れ電磁波も変化する。そのため、その漏れ電磁波の変化に基づいて、どのボタン36が操作されたかが不正な第三者に認識されるおそれがある。この点に関し、本実施形態では以下の対策が施されている。
なお、図13(a)及び図13(b)では、画像要素41〜43(図13(a)及び図13(b)では画像要素41を例に図示している)に付与された改変部3における画像要素41〜43の本体部と最も離反している末端部の色が、画像要素41の背景であるボタン36〜38の後述する部分45aの色とあたかも異なっているかのように描かれている。しかし、これは図示の簡単化のためにそのように描いたのであって、実際には、改変部3の各部分の色は、画像要素41〜43の本体部から前記末端部にいくに従って、画像要素41〜43の本体部の色から部分45aの色へと段階的に移行する。
本実施形態では、操作されたボタン36の画像の色彩が、初期状態の色彩(図13(a)に模式的に示す状態)から他の色彩(図13(b)に模式的に示す状態)に、所定期間だけ(あるいは、指等の接触が続いている期間だけ)変化される。このとき、操作されたボタン36の画像の色彩は、その画像の色彩を規定する複数の表色成分値の和をほぼ一定に保ちながら変化される。ここでは、簡単化のため、10個の入力ボタン36に基づいて説明するが、この技術は、操作画面33に設けられるすべてのボタン36〜38に適用できる。
例えば、操作されたボタン36の画像の色彩が、色彩を規定する複数の表色成分値の和をほぼ一定に保ちながら、青系統の色彩から緑系統の色彩へと所定期間だけ(あるいは、指等の接触が続いている期間だけ)変化される。所定期間の経過後は、そのボタン36の画像の色彩が緑系統の色彩から元の青系統の色彩に戻される。このとき、操作が行われていない他のボタン36の色彩は、青系統の色彩のまま維持される。すなわち、例えばボタン36A(図12参照)が操作されたときは、ボタン36Aの色彩だけが変化され、それ以外のボタン36の色彩はそのままの状態に維持される。
なお、ボタン36の色彩を変化させるときに、ボタン36に付された画像要素41の背景となる部分45(図13(a)参照)の色彩のみを変化させ、画像要素41の部分46の色彩に関しては、変化させずにそのままの色彩に維持してもよい。あるいは、画像要素41の部分46の色彩についても、ボタン36の他の部分45の色彩の変化に伴って変化させてもよい。この場合、画像要素41の部分46の色彩も、その色彩を規定する複数の表色成分値の和がほぼ一定に保たれるように変化される。
また、ボタン36の画像における画像要素41の背景となる部分45を複数の領域に分け、各領域に異なる色彩を付与してもよい。例えば、本実施形態では、部分45が、内方領域45aとその内方領域45aを外囲する外縁領域45bとに分けられている。より具体的には、初期状態では内方領域45aの色彩が濃い青系統の色彩、外縁領域45bの色彩が薄い青系統の色彩になっている。そして、ボタン36が操作されたときに、内方領域45aの色彩が濃い緑系統の色彩、外縁領域45bの色彩が薄い緑系統の色彩に変化される。
ボタン36の色彩を規定する表色成分値としては、種々の表色系のパラメータ(成分値)が採用可能である。具体例としては、RGB、RGBA、CMY、YCbCr、CMYK、L*a*b*等の表色パラメータが挙げられる。
本実施形態では、例えばRGBパラメータが採用されている。そして、操作されたボタン36の画像の色彩が、RGBの各信号パラメータ(成分値)の和をほぼ一定に保ちながら変化される。
色彩を規定する表色成分値の和については、単純和又は加重和のいずれかが採用される。ここで、単純和とは、複数の表色成分値を単純に加算するものである。加重和とは、加算対象の各表色成分値に重み係数を掛けて加算をするものである。各表色成分値に掛けられる重み係数の値は、ATM10に採用されている表示部15等の特性(例えば、画像信号又は画像信号に基づく電磁波の漏れ特性等)に応じて最適な値が設定される。なお変形例として、表色成分値の和を表色成分値の和で割り算して得られる平均値をほぼ一定に保つように、操作されたボタン36の画像の色彩を変化させてもよい。この場合、表色成分値の平均値の算出方法として、単純平均又は加重平均が採用できる。
本実施形態では、例えば加重和方式が採用されている。そして、R、G、Bの各信号のパラメータ値(階調値)を、それぞれR,G,Bとし、各パラメータ値の重み係数をα,β,γとしたときに、
αR+βG+γB (1)
の値をほぼ一定に保ちながら、操作されたボタン36〜38が色彩が変化される。R、G、Bの各パラメータ値には、例えば十進数表記で0〜255の範囲で変化する階調値が用いられる。
具体例として、図13(a)に示す状態のボタン36の部分45aの色彩を規定するR、G、Bの各信号のパラメータ値を、R1a,G1a,B1aとし、部分45bの色彩を規定するR、G、Bの各信号のパラメータ値を、R1b,G1b,B1bとする。また、図13(b)に示す状態のボタン36の部分45aの色彩を規定するR、G、Bの各信号のパラメータ値を、R2a,G2a,B2aとし、部分45bの色彩を規定するR、G、Bの各信号のパラメータ値を、R2b,G2b,B2bとする。このとき、これらのパラメータ値について、
αR1a+βG1a+γB1a=αR2a+βG2a+γB2a (2)
αR1b+βG1b+γB1b=αR2b+βG2b+γB2b (3)
の関係が成立するように、色彩の変化の前後における部分45a,45bの色彩が設定される。なお、上の式(2),(3)は、左辺と右辺とが完全に等しい関係にある場合だけでなく、左辺と右辺とが近似的に等しい関係にある場合も含むものとする。
次に、色彩の前後におけるボタン36の部分45a,45bの色彩の具体的な設定手法について説明する。この設定は、人間の色の弁別限界(例えば、色空間上におけるMacAdamの楕円等により与えられる弁別限界)を考慮しつつ行われる。すなわち、色彩の変化前の部分45a,45bの色彩(R1a,G1a,B1a),(R1b,G1b,B1b)と、色彩の変化後の部分45a,45bの色彩(R2a,G2a,B2a),(R2b,G2b,B2b)とが、人間によって色の弁別が可能であって、かつ、上の式(2),(3)の関係を満たすように設定される。このとき、色彩の変化が容易に認識できるように、変化の前後の色彩同士について、色空間上における距離が可能な限り大きくなるように(例えば、最大になるように)、変化の前後の色彩が設定される。
より具体的には、部分45aの色彩については、色彩(R1a,G1a,B1a)と色彩(R2a,G2a,B2a)とが、上の式(2)の関係を満たし、かつ、所定の色度表(Color Names)において互いに異なる色に属するように設定される。同様に、部分45bの色彩についても、色彩(R1b,G1b,B1b)と色彩(R2b,G2b,B2b)とが、上の式(3)の関係を満たし、かつ、所定の色度表において互いに異なる色に属するように設定される。
色度表としては、種々のものが採用できるが、具体例としてX11 Color Names等が挙げられる。例えば、X11 Color Namesによって規定された複数の色のうちから、上式(2),(3)の関係を満たすものを、ランダムに、あるいは、所定の選択規則で選択し、ボタン36の部分45a,45bの色彩の変化の前後の色彩として採用する。
次に、図14のフローチャートを用いて、タッチパネル19の操作画面33に関連するATM10とサーバ装置20との動作の流れについて簡単に説明する。図14は図1のATM及びサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図14に示すように、ATM10に操作画面33を表示させるための伝送情報が、操作画面33サーバ装置20の主制御部21aによって準備され、通信部25及びネットワーク30を介してATM10に送信される(ステップS20)。このとき、初期状態の操作画面33に含まれる改変対象の画像要素について、改変処理が必要な場合は、その画像要素に対する改変処理が改変処理部21bによって行われる。なお、本実施形態では、ボタン36〜38に付与される画像要素41〜43については、予め改変が施されているため、改変処理は行われない。
ATM10の主制御部11aは、サーバ装置20から送信されてきた伝送情報を通信部17を介して受信し、表示制御部11bにその伝送情報に基づいて操作画面33を形成させる(ステップS10)。形成された操作画面33はタッチパネル19を構成する表示部15に表示される。
操作画面33のボタン36〜38に対して操作が行われた場合には、その操作が操作部16によって受け付けられる(ステップS11)。そして、その操作に関する操作情報が主制御部11aによって通信部17及びネットワーク30を介してサーバ装置20に送られる(ステップS12)。
サーバ装置20の主制御部21aは、ATM10から与えられた操作情報に基づいて、伝送情報を準備する(ステップS21)。例えば、操作されたボタン36の色彩を変化させるために、操作されたボタン36の色彩が変化された操作画面33に関する伝送情報が準備される。また、操作によって操作画面33の第2表示領域35に文字(数字を含む)等の画像要素40を表示すべき場合には、その画像要素40に関する伝送情報が準備される。この画像要素40については、後のステップS22で改変処理が施される。
続いて、サーバ装置20の改変処理部21bが、主制御部21aによって準備された伝送情報に含まれる改変対象の画像要素(例えば、画像要素40)に対して改変処理を行う(ステップS22)。なお、改変処理を行う必要がない場合は、このステップS22の改変処理が行われることなく、次のステップS23に進む。
ステップS22の処理では、まず改変処理部21bが伝送情報中に改変対象の画像要素が含まれているか否かを判断する。この判断は、伝送情報中に改変処理部21bによる改変処理を喚起する改変指示情報(コマンド)が設定されているか否かに基づいて行われる。改変指示情報は、予め設定された設定情報に基づいて主制御部21aが伝送情報を準備するときに伝送情報中の改変対象となる部分に自動的に付与するようにしてもよい。あるいは、伝送情報を構成する情報要素中に改変指示情報が予め設定されていてもよい。
その判断の結果、伝送情報中に改変指示情報が設定されている場合には、改変処理のためのフック(hook)が設定される一方、改変指示情報が設定されていない場合には、フックの設定及び改変処理が行われることなく、図12のステップS23に進む。改変処理のためのフックが設定された場合には、改変対象の文字等の画像に上述のように改変部3が付与された後、ステップS23に進む。
ここで、フックとは、特定のAPI(Application Program Interface)又は関数が制御を実行しているときに、その特定のAPI又は関数の制御を他のAPI又は関数に横取りさせ、代わりに実行させるためものものである。フックによって呼び出された他のAPI又は関数による制御が終了すると、制御が元のAPI又は関数に戻される。本実施形態では、前記フックが設定されることにより、例えば主制御部21aの制御を担っているAPIの制御が、改変処理部21bの制御を担っているAPIに横取りされるようになっている。あるいは、この点に関する変形例として、制御部21が改変処理用の外部プログラム(いわゆるフィルターと呼ばれるようなプログラム)に改変処理を行わせるようにしてもよい。
ステップS23では、サーバ装置20の主制御部21aが、ATM10から与えられた操作情報に応じて作成された伝送情報を通信部25及びネットワーク30を介してATM10に送信する。
これに続き、ステップS13でATM10の主制御部11aは、サーバ装置20から与えられた伝送情報を通信部17を介して受信し、その伝送情報に基づいた所定の処理動作(例えば、現金の受け渡し等)を行う。また、主制御部11aは、受信した伝送情報に基づいて表示制御部11bに操作画面33を更新させる。これによって、ステップS11にて操作されたボタン36の色彩の切り替え、又は、第2表示領域35への画像要素40の表示等が行われる。
以下、ステップS11〜S13,S21〜S23の処理が繰り返されることによって、操作画面33の更新、又は、現金の受け渡し等の処理が行われる。
ここで、サーバ装置20の主制御部21a及び改変処理部21bは、サーバ装置20にインストールされたプログラム(ソフトウェア)によって制御部21内に生成される機能要素(処理モジュール)である。このため、そのプログラムをインストールすることにより、種々のコンピュータを本実施形態に係るサーバ装置20の機能を持たせることができる。なお、プログラムのサーバ装置20への読み込みは、CDROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記録媒体からサーバ装置20の図示しない読み込み装置によって読み込まれる場合、及び、ネットワーク30を介して読み込まれる場合等がある。読み込まれたプログラムは、記憶部24等に保存される。
また、ATM10の主制御部11a及び表示制御部11bも、ATM10にインストールされたプログラム(ソフトウェア)によって制御部11内に生成される機能要素(処理モジュール)である。プログラムのATM10への読み込みは、CDROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記録媒体からATM10の図示しない読み込み装置によって読み込まれる場合、USB(Universal Serial Bus)メモリから読み込まれる場合、又は、ネットワーク30を介して読み込まれる場合等がある。
以上のように、本実施形態によれば、ATM10の表示部15(タッチパネル19)に表示されたボタン36〜38にはボタン識別用の画像要素41〜43が付与される。そして、その画像要素41〜43に対し、その輪郭部に複数の改変部3が付与されること等により改変が施されている。これによって、画像要素41〜43の画像信号に基づいて放出される漏れ電磁信号の強度が低減される。それ故、仮にボタン36〜38の画像の画像信号に基づく漏れ電磁波が不正な第三者に傍受されても、傍受された電磁波に基づいてボタン36〜38に付与された画像要素41〜43を正確に復元するのは困難であり、第三者はボタン36〜37の役割及びボタン36〜38に対する操作内容等を認識できない。よって、表示部15に表示されたボタン36〜38を操作して秘密にすべき情報(例えば、暗証番号又はパスワード等)を入力する際に、表示されたボタン36〜38の画像に基づく漏れ電磁波によって情報の漏洩が生じるのを防止できる。
また、ATM10の表示部15において、ボタン36〜38以外の領域(例えば、第2表示領域35)に表示される画像要素40等に対しても、その輪郭部に複数の改変部3が付与されること等により改変が施されている。それ故、ATM10の表示部15に表示されたボタン36〜38以外の表示内容についても、表示内容がその画像に基づく漏れ電磁波によって漏洩するのを防止できる。例えば、ボタン36〜38に対する操作に応じて表示部15に表示された秘密にすべき情報(振込金額、引出金額等)が漏れ電磁波により漏洩するのを防止できる。
また、操作に応じてATM10の表示部15に表示されたボタン36の色彩が変化される際に、操作されたボタン36の画像の色彩を規定する複数の表色成分値の和がほぼ一定に保たれるように、ボタン36の色彩が変化される。それ故、ボタン36の色彩が変化される際に漏れる電磁波の強さを有効に抑制でき、漏れ電磁波を傍受した第三者がどのボタン36が操作されたかを認識するのを有効に阻止できる。
また、表色成分値についての和に単純和を採用した場合には、加重和のように重み係数の設定等を行う必要がなく、簡単に加算処理を行えるという利点がある。一方、表色成分値についての和に加重和を採用した場合には、ATM10の表示部15等の特性(例えば、画像信号又は画像信号に基づく電磁波の漏れ特性等)に応じて表色成分値の加算処理の際の重み係数を調節でき、ATM10の表示部15等の特性に応じた漏れ電磁波に対する対策を行える。
また、改変の必要な画像要素に対する改変処理がサーバ装置20にて行われる。このため、サーバ装置20からATM10にネットワーク30を介して個人情報及び秘匿情報等が送信され、それらの情報がATM10で表示されるときに、それらの情報がATM10から放出される電磁信号によって漏洩するのを確実に防止できる。
また、画像要素に対する改変処理がサーバ装置20にて行われるため、ATM10に改変処理のための特別な構成(例えば、改変処理用のソフトウェア等)を設ける必要がない。それ故、一般的に使用されている既存のATM10を用いて本実施形態に係る現金預払システム10を容易に構成できる。
また、本実施形態では、タッチパネル19の表示画像に対して漏れ電磁波による情報の漏洩対策を行っている。これによって、タッチパネル式のユーザインターフェースを有するATM10に対して、ボタン操作が行われるときの漏れ電磁波による情報の漏洩を有効に防止できる。
[変形例]
上記実施形態では、ATM10の表示部15に表示されたボタン36のいずれかが操作されたときに、操作されたボタン36の色彩だけを変化させ、操作されないボタン36の色彩はそのままに維持される。この点に関する変形例として、次の構成が挙げられる。
まず最初の変形例として、ATM10の表示部15に表示されたボタン36のいずれかが操作されたときに、操作されたボタン36の色彩だけでなく、操作されないボタン36の色彩も変化させてもよい。この場合、操作されたボタン36の色彩と操作されないボタン36の色彩とは、利用者が識別できるように異なった態様で変化される。また、操作されないボタン36の色彩も操作されたボタン36と同様に表色成分の和(例えば、加重和又は単純和)がほぼ一定に保たれるように変化される必要がある。
次の変形例としては、以下に述べる構成が挙げられる。但しここでは、簡単化のため、10個の入力ボタン36に基づいて説明するが、この変形例に係る技術は、操作画面33に設けられるすべてのボタン36〜38に適用できる。この変形例に係る構成では、いずれかの入力ボタン36に対する操作が行われた際に、入力ボタン36の背景部分45の色彩が以下の手順で切り替えられる。
(a)入力ボタン36に対する操作が行われる前の状態では、10個の入力ボタン36の背景部分45の色彩が、第1の色彩(例えば、薄灰色)に設定されている(初期状態)。
(b)続いて、いずれかの入力ボタン36(例えば、入力ボタン36A)が操作された場合には、すべての入力ボタン36の背景部分45の色彩が第1の色彩から第2の色彩(例えば、第1の色彩(薄灰色)と第3の色彩(例えば、濃灰色)の中間色)に一旦変化される。
(c)続いて、10個の入力ボタン36のうちの指示が行われた入力ボタン36(例えば、入力ボタン36A)については、その背景部分45の色彩が第2の色彩から第3の色彩に変化される。これと同時に、10個の入力ボタン36のうちの指示が行われていない入力ボタン36(例えば、入力ボタン36A以外の入力ボタン36)については、その背景部分45の色彩が第2の色彩から第1の色彩に戻される。
(d)続いて、すべての入力ボタン36の背景部分45の色彩が第2の色彩に一旦変化される。
(e)続いて、すべての入力ボタン36の背景部分45の色彩が第2の色彩から第1の色彩に戻され、初期状態に戻る。
上記手順において、第1の色彩と第2の色彩の相違と、第3の色彩と第2の色彩との相違とはほぼ等しく設定される。例えば、第2の色彩が、第1の色彩(例えば、薄灰色)と第3の色彩(例えば、濃灰色)の中間色に設定される。これによって、ATM10の表示部15に表示される入力ボタン36の色彩が、第1の色彩と第2の色彩との間で変化されるときの漏れ電磁信号の強度の変化の大きさと、第2の色彩と第3の色彩との間で変化されるときの漏れ電磁信号の変化の大きさとが、ほぼ等しくなる。
これによって、入力ボタン36に対して操作が行われたときに、操作が行われた入力ボタン36の色彩の変化の度合いと、操作が行われていない入力ボタン36の色彩の変化の度合いがほぼ等しくなる。このため、入力ボタン36が操作されたときに、漏れ電磁波を傍受した第三者がどの入力ボタン36が操作されたかを認識するのを有効に阻止できる。
また、入力ボタン36に対する操作が行われたときに、操作された入力ボタン36の色彩だけでなく、指示されていない入力ボタン36の色彩も同時に変化されるため、漏れ電磁波を傍受した第三者がいずれの入力ボタン36が操作されたかの識別するのがより困難になる。
上記の第1から第3の色彩の設定手法に関する第1の具体例として、次の構成が挙げられる。すなわち、第2の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q2が、第1の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q1と、第3の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q3との平均値とほぼ等しくなるように、第1から第3の色彩が設定される。すなわち、平均値Q2が平均値Q1と平均値Q3との平均値とほぼ等しくなるように、第1から第3の色彩が設定される。
また、第2の具体例として、第1の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q1と第2の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q2との差と、第3の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q3と第2の色彩を規定する複数の表色成分値の平均値Q2との差とがほぼ等しくなるように、第1から第3の色彩が設定される。すなわち、平均値Q1と平均値Q2との差と、平均値Q3と平均値Q2との差とがほぼ等しくなるように、第1から第3の色彩が設定される。
上記の第1及び第2の具体例において、表色成分値の具体例としては、RGB、RGBA、CMY、YCbCr、CMYK、L*a*b*等の表色パラメータが挙げられる。例えば、これらの表色パラメータの中からRGBパラメータが採用される。
また、上記の第1及び第2の具体例において、表色成分値についての平均値には、平均処理の対象とする複数の表色成分値の単純平均値、又は加重平均値が採用される。単純平均を用いた場合は、加重平均のように重み係数の設定等を行う必要がなく、簡単に平均処理を行える。一方、加重平均を用いた場合には、ATM10の表示部15等の特性(例えば、画像信号又は画像信号に基づく電磁波の漏れ特性等)に応じて表色成分値の加算平均処理の際の重み係数を調節でき、ATM10の表示部15等の特性に応じた漏れ電磁波に対する対策を行える。なお、上記の第1及び第2の具体例に関する変形例として、表色成分値の平均値の変わりに表色成分値の和(例えば、単純和又は加重和)を用いてもよい。
また、上記の第1実施形態の他の変形例として、サーバ装置20の改変処理部21bの機能を、ATM10の制御部11に持たせてもよい。ATM10の制御部11に追加の機能要素として、改変処理部が備えられる。なお、制御部11に備えられる改変処理部は、サーバ装置20の主制御部21aによってネットワーク30を介して与えられた改変処理用のプログラムが制御部11に読み込まれている間だけ生成される機能要素であり、その改変処理用のプログラムの処理の終了等によって消失する。
ATM10の制御部11内に生成された改変処理部は、サーバ装置20から与えられた改変処理用のプログラムに基づき、表示部15に表示させる表示画像に含まれる改変対象の画像要素に対する改変処理の少なくとも一部をサーバ装置20に代わって行う。
この変形例に係る構成によれば、改変処理の少なくとも一部をサーバ装置20に代わってATM10に行わせることができ、これによってサーバ装置20の負荷の低減が図れる。
また、ATM10が改変処理を実行するために用いられる改変処理用のプログラムは、サーバ装置20から自動的に供給されるため、予めATM10側で準備しておく必要がない。それ故、一般的に使用されているATM10を用いて現金預払システム100を容易に構成できる。
また、上記の第1実施形態に対するさらに他の変形例として、図15に示す構成が挙げられる。すなわち、この変形例に係る構成では、図15に示すように、ネットワーク30又は他のネットワーク30aによって接続された複数のサーバ装置61〜63によって上述のサーバ装置20が構成されている。これによって、上述の第1実施形態におけるサーバ装置20の機能が複数のサーバ装置61〜63に分担されている。
例えば、複数のサーバ装置61〜63のいずれか1つ(例えば、サーバ装置61)がメインサーバ装置とされ、それ以外(例えば、サーバ装置62,63)がサブサーバ装置とされる。メインサーバ装置61には、ATM10に対する窓口としての役割が与えられるとともに、上述の改変処理部21bに関する機能が与えられる。上述の主制御部21aに関する機能は、例えばすべてのサーバ装置61〜63に備えられる。そして、メインサーバ装置61に設けられた改変処理部21bが、各サーバ装置61〜63の主制御部21aによって準備された伝送情報に含まれる改変対象の画像要素に対する改変処理を行う。また、各サーバ装置61〜63の主制御部21aによって準備された伝送情報のATM10への送信は、メインサーバ装置61に設けられる主制御部21aによって行われる。
このような構成により、改変処理に必要なプログラム等をメインサーバ装置61にインストールしておけばよい等の利点がある。
図15に示す構成の具体例として、例えば図16に示す構成が挙げられる。この図16に示す例では、ATM10としてコンビニエンスストアに設置されたコンビニATMが適用され、サーバ装置61としてABC銀行のサーバ装置が適用され、サーバ装置63としてXYZ信用金庫のサーバ装置が適用されている。そして、ABC銀行のサーバ装置61には、上述の主制御部21a及び改変処理部21bに関する機能が与えられ、XYZ信用金庫のサーバ装置63には、上述の主制御部21aに関するのみが与えられ、改変処理部21bに関する機能は与えられていない。このため、XYZ信用金庫のサーバ装置63からネットワーク30,30aを介してコンビニATM10に与えられる伝送情報に対する改変処理は、ABC銀行のサーバ装置61によって行われるようになっている。
このような図15及び図16に示す構成において、サーバ装置61の改変処理に関する処理を専用のアプライアンスに行わせるようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態のさらに別の変形例として、サーバ装置20の主制御部21a及び改変処理部21bの機能をATM10の制御部11に持たせて、ATM10単体で操作画面33の形成、及び操作画面33の形成に必要な改変処理等を行うようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態で本発明に係る技術を現金預払システム100に適用したが、本発明に係る技術は、画像信号に基づく漏れ電磁波による情報の漏洩対策が必要な種々の情報処理装置(又は情報処理システム)に適用できる。他の適用例としては、例えば、消費者金融機関等の無人契約機、電子投票システム、又は、公的な登録情報(住民登録情報、戸籍情報等)に関する書類発行システムなどが挙げられる。
[第2実施形態]
図17は本発明の第2実施形態に係る画像設定支援装置の構成を模式的に示す図であり、図18はその画像設定支援装置に備えられるPCのブロック図であり、図19はその画像設定支援装置に備えられる解析装置のブロック図である。
本実施形態に係る画像設定支援装置200は、画像信号に基づく漏れ電磁波により情報の漏洩が生じにくい画像を作成する際に作成作業の支援を行う。なお、本実施形態では、本実施形態に係る技術を上述のATM10のタッチパネル19等に表示されるボタンの画像の作成に適用した場合について説明するが、ボタンの画像に限らず、種々の画像の作成に適用できる。
具体的な構成として、画像設定支援装置200は、図17に示すように、PC70と解析装置80とを備えている。PC70は、図18に示すように、制御部71、ROM72、RAM73、記憶部74、表示部75、受付部としての操作部76、及びインターフェース77を備えている。また、解析装置80は、図19に示すように、解析処理部としての制御部81、ROM82、RAM83、記憶部84、受信部85、インターフェース86、及びアンテナ87を備えている。PC70と解析装置80とは、それらのインターフェース77,86に接続されて接続ケーブル90によって接続されている(なお、変形例として無線による接続でもよい)。
PC70及び解析装置80の制御部71,81は、PC70及び解析装置80の制御を統括するものであり、CPU等を備えて構成される。ROM72,82には、制御部71,81が情報処理のために実行する基本的なプログラム及び設定データ等が保存されている。RAM73,83は、制御部71,81が情報処理を行うためのワークエリア等に用いられる。記憶部74,84は、ハードディスク装置、又は大容量の半導体メモリ等の記憶内容が書換できる記憶装置によって構成され、情報の保存場所として用いられる。この記憶部74,84には、オペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトウェアに関する情報も保存される。インターフェース77,78は、外部接続のためのものである。
PC70の表示部75は、液晶表示装置等によって構成され、画像信号によって与えられた画像の表示を行う。操作部76は、PC70に対する操作を受け付ける。
解析装置80の受信部85は、PC70の表示部75に表示される画像の画像信号に基づいて放出される漏れ電磁信号をアンテナ87を介して受信する。
PC70の記憶部74には、設定対象の項目に関する項目画像としての複数のボタン画像91(図20参照)に関するボタン画像情報が予め記憶されている。これらのボタン画像91は、タッチパネルの操作用のボタン等を構成するのに用いられるものであり、色彩及び形状の少なくともいずれか一方が互いに異なっている。そして、これらのボタン画像91について、漏れ電磁波による漏洩状態、及び、利用者が見たときの視認性及びデザイン性を検討することにより、最も好ましいボタン画像91が選択される。なお、図20及び後述する図22に示す複数のボタン画像91は、図示の簡単化のため、同じような図で描いているが、実際にはそれぞれ異なっている。
各ボタン画像91には、ボタン識別用の画像要素(文字、数字、希望等)が付与されている。また、そのボタン識別用の画像要素には、漏れ電磁波による情報の漏洩対策のための上述のような改変が施されている。
また、記憶部74には、記憶された複数のボタン画像91の色彩を変化させる際の変化態様に関する変化態様情報が各ボタン画像91ごとに対応付けて記憶されている。この変化態様情報を用いることにより、表示部75に表示された各ボタン画像91の色彩を変化させることができる。
その他、記憶部74には、図20に示すボタン表示画面92中の所定位置に表示される基準画像93に関する基準画像情報も記憶されている。本実施形態では、基準画像93として、複数のボタン画像91を取り囲むようにして所定の色彩で描かれた四角枠状の囲み線が採用されているが、基準となり得る画像であれば任意の画像を採用できる。なお、基準画像93(囲み線)の色彩は、漏れ電磁波により検出が容易な色(例えば、白又は青)が採用される。この基準画像93に関する情報は、解析装置80の記憶部84にも記憶される。この基準画像93に関する情報としては、例えば、基準画像情報、基準画像93のボタン表示画面92上における座標情報(あるいは、ボタン画像91との位置関係に関する情報)などが含まれる。そして、後述するように、基準画像93が、解析装置80の制御部81が受信した漏れ電磁波中の検出対象のボタン画像91に対応する信号部分を検出する際の目印として用いられる。
PC70の制御部71は、記憶部74に記憶されたボタン画像情報及び基準画像情報を用いて、図20に示すようなボタン表示画面92を形成して表示部75に表示させる。ボタン表示画面92には、複数のボタン画像91が配列されて表示されるとともに、それらのボタン画像91を取り囲むように上記の基準画像93(囲み線)が表示されている。また、制御部71は、後述する解析装置80の制御部81が生成した各ボタン画像91に対応する漏れ電磁波の受信画像94(図21参照)を表示部15に表示する。この点に関しては後に詳述する。
解析装置80の制御部81は、受信部75がアンテナ87を介して受信したPC70の画像信号に基づく漏れ電磁信号を解析することにより、PC70の表示部75に表示されたボタン画像91に関する受信画像94を生成する。生成された受信画像94に関する情報は、制御部81によって、接続ケーブル90を介してPC10に与えられる。本実施形態では、受信画像94を含む後述する画像95の情報(復元画像情報)が、解析装置80からPC70に与えられる。なお、解析装置80の制御部81に漏れ電磁波の受信及び解析を行うタイミングを認知させるために、PC70の制御部71に接続ケーブル90を介してトリガー信号等を出力させるようにしてもよい。
例えば、図20のボタン表示画面92を表示しているPC70から漏れた漏れ電磁波に基づいて、解析装置80の制御部81にボタン表示画面92の画像を復元させた場合、図21に示すような画像95が得られる。制御部80は、図21に示すような画像95を生成する際に、基準画像93に対応する漏れ電磁信号に基づいて、検出すべき表示部75に表示されている画像(例えば、ボタン表示画面92の全体、又は、その画面92に含まれる複数のボタン画像91)に関する漏れ電磁信号を特定する。そして、制御部90は、その特定した漏れ電磁信号に基づいて、例えば図22に示すような画像95を復元する。画像95には、基準画像93に対応した受信画像96が含まれている。なお、図21及び後述する図22では、各ボタン画像91に対応する受信画像94が、図示の簡単化のため、抽象的に破線枠等を用いて簡単化して描かれているが、実際には各ボタン画像91の漏れ電磁波に応じた受信画像94が得られる。
PC70の制御部71は、記憶部74に記憶されているボタン画像情報と、解析装置80から与えられた画像95に関する復元画像情報とに基づいて、図22に示すような漏洩評価画面97を作成して、その漏洩評価画面97を表示部75に表示させる。この漏洩評価画面97では、評価対象の複数のボタン画像91と、それらのボタン画像91にそれぞれ対応する複数の受信画像94とが上下(又は左右)に並べられて表示される。これによって、ボタン画像91の設定作業者が、この漏洩評価画面97を参照することにより、各ボタン画像91の漏れ電磁波による漏洩度合いを一目で把握できる。
また、PC70の制御部71は、表示部75に表示させている複数のボタン画像91のうちの少なくともいずれか1つの色彩を、記憶部74に記憶されている変化態様情報に基づいて変化させる。このとき、ボタン画像91の色彩を変化させる際の手順を、作業者が操作部76を介して指示するようにしてもよいし、あるいは、制御部71が予め設定された手順で自動的に決定するようにしてもよい。具体例としては、表示部75に表示されている複数のボタン画像91のうちのいずれのボタン画像91の色彩を変化させるかを、作業者に操作部76を介して指定させる構成が挙げられる。この場合、そのボタン画像91の色彩を変化させるかを作業者がその場で自由に決定できるため、便利である。
これに対応して、表示部75に表示されたボタン画像91の色彩が変化されたときに、解析装置80の制御部81に、その色彩が変化されるボタン画像91に対応する受信画像94を生成させ、PC10に送らせる。そして、PC70の制御部71に、解析装置80から送られてきた受信画像94が変化する様子を表示部75に表示させる。このとき、色彩が変化されるボタン画像91とそれに伴って変化する受信画像94とが、図22に示すように並べて表示されるのが好ましい。
これによって、作業者は、ボタン画像91の色彩の変化に伴って、そのボタン画像91に対応する受信画像94の状態を容易に認識できる。
以上のように、本実施形態によれば、PC10の表示部75に表示された漏洩評価画面97には、画像構成の設定対象であるボタン画像91と、そのボタン画像91に対応する漏れ電磁波から復元された受信画像94とが表示される。それ故、その漏洩評価画面97を参照してボタン画像91に関する設定作業を行うことにより、漏れ電磁波による傍受が困難で、かつ、見やすさ及びデザイン性等の点で優れたボタン画像91を容易に設定することができる。
また、その漏洩評価画面97では、画像構成の設定対象である複数のボタン画像91と、そのボタン画像91に対応する複数の受信画像94とが並べて表示される。それ故、各ボタン画像91に対応する受信画像94を容易に認識でき、ボタン画像91の設定作業を効率よく行える。
また、上記の如く、表示部75に表示されるボタン画像91の色彩が変化され、その色彩の変化されるときの受信画像94の状態が表示部75で表示される。このため、どのような変化態様で色彩を変化させれば、ボタン画像91の色彩が変化されるときに漏れる漏れ電磁波を抑制できるかを効率よく判断できる。
また、ボタン表示画面92に設けた基準画像93(囲み線)によって、解析装置80の制御部81にボタン表示画面92に対応する漏れ電磁波信号を容易かつ確実に特定させることができる。
なお、上記の第2実施形態ではPC70と解析装置80とによって画像設定支援装置200を構成した。この点に関する変形例として、解析装置80の設備及び機能をPC70に持たせて、PC70単体で画像設定支援装置200を構成してもよい。
3 改変部、10 ATM、11 ATM制御部、11a 主制御部、11b 表示制御部、14 記憶部、15 表示部、16 操作部、19 タッチパネル、20 サーバ装置、21 制御部、21a 主制御部、21b 改変処理部、24 記憶部、30,30a ネットワーク、33 操作画面、34 第1表示領域、35 第2表示領域、36 入力ボタン、37 訂正ボタン、38 取消ボタン、40〜43 画像要素、100 現金預払システム、70 PC、71 制御部、74 記憶部、75 表示部、76 操作部、80 解析装置、81 制御部、84 記憶部、85 受信部、87 アンテナ、91 ボタン画像、92 ボタン表示画面、93 基準画像、94 受信画像、97 漏洩評価画面、200 画像設定支援装置。