JP2010055785A - 電池モジュールの充電状態推定方法およびこれを利用した車両の走行可能距離推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】再現性の高い放電開始時の第1電流ピークに基づいて測定した電池の内部抵抗値を利用することにより、容易かつ高精度に電池の充電状態を推定する方法、および車両の走行可能距離を推定する方法を提供する。
【解決手段】複数の単位電池を電気的に接続してなる電池積層体および温度測定装置を備える電池モジュールの、実際の使用条件における放電開始時と同等の模擬的放電条件によって、前記電池積層体の、電流−電圧特性における第1電流ピークから算出する内部抵抗および電池温度と、充電状態との相関特性を予め用意しておき、当該電池モジュールの放電開始時の、前記電池積層体の電流−電圧特性における第1電流ピークから算出した内部抵抗測定値および温度測定装置により測定した電池温度を、前記相関特性と比較して充電状態を推定し、かつ、この充電状態推定値を利用して車両の走行可能距離を推定する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の単位電池を電気的に接続してなる電池積層体および温度測定装置を備える電池モジュールの、実際の使用条件における放電開始時と同等の模擬的放電条件によって、前記電池積層体の、電流−電圧特性における第1電流ピークから算出する内部抵抗および電池温度と、充電状態との相関特性を予め用意しておき、当該電池モジュールの放電開始時の、前記電池積層体の電流−電圧特性における第1電流ピークから算出した内部抵抗測定値および温度測定装置により測定した電池温度を、前記相関特性と比較して充電状態を推定し、かつ、この充電状態推定値を利用して車両の走行可能距離を推定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、二次電池モジュールの充電状態、特には所定の条件で運転される電車のような車両に搭載される大型の二次電池モジュールの充電状態を、電池の内部抵抗に基づいて推定する方法、および、この内部抵抗推定値を利用して当該車両の走行距離を推定する方法に関する。
従来、主として携帯機器用の電源として使用する充放電可能な種々の二次電池が提案されてきた。さらには、近年、環境への配慮から、自動車や電車などの車両に充放電可能な二次電池を搭載したものが開発されている。車両に二次電池を搭載した場合には、ブレーキ時に生じる回生電力をこの搭載電池に蓄えておき、車両の動力源として使用することができるので、車両のエネルギー効率を高めることができる。このように車両に搭載する二次電池としては、エネルギー密度、負荷変動追従性、耐久性、製造コストなどの諸条件から、例えばニッケル水素二次電池が適しているとされる(特許文献1)。
このような車両、特に、所定の区間を走行する電車のような車両に電池を搭載する場合には、走行区間の途中で停止することのないよう、電池の充電状態(SOC:State of Charge)、つまり電池の残容量を正確に推定する必要がある。
従来、二次電池のSOCを推定する方法として、充放電時の電流値を積算し、この積算値に基づいて推定する技術が知られている(特許文献2)。しかしながら、この方法では、長期間運用すると電流値の検出誤差が蓄積されて、SOCの推定精度が次第に低下していくという問題がある。
また、SOCを推定する別の方法として、電池電圧とSOCの相関関係に基づいて推定する技術も知られている。しかしながら、特にニッケル水素二次電池では、SOCに対する電圧変化が小さい領域が存在し、SOCを精度よく推定することが困難である。この傾向は、電車のような車両に搭載される電池で一般に使用されるSOCの中間領域(例えば20〜80%程度)において特に顕著である。
さらには、放電時の電流−電圧特性から算出した電池の内部抵抗値と、SOCとの相関特性を予め用意しておき、電池使用時に測定した内部抵抗値を相関特性と比較することによってSOCを推定することも提案されている(特許文献3)。しかしながら、実際の電池の使用条件において、内部抵抗値は電池の履歴に大きく影響される。これは、電池の内部抵抗測定値には抵抗成分として反応過電圧、拡散過電圧、およびオーム損などが含まれるが、電池の履歴によって反応律速過程が変化すること、また、電池反応とは関係のないキャパシタ成分も含まれていることによるものと考えられる。したがって、通常、実際の使用における多様な放電パターンに対して精度の高いSOC推定を行おうとすれば、予め用意すべき相関特性のデータ量が膨大になり、推定するためのシステムも複雑化するという課題があった。
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、電池の履歴の影響を排除するべく、再現性の高い放電開始時の第1電流ピークに基づいて測定した電池の内部抵抗値を利用することにより、容易かつ高精度に電池の充電状態を推定する方法、および、当該推定方法を利用した高精度な車両の走行可能距離推定方法を提供することである。
前記した目的を達成するために、本発明に係る電池モジュールの充電状態推定方法は、複数の単位電池を電気的に接続してなる電池積層体および該電池積層体の電池温度を測定する温度測定装置を備える電池モジュールの充電状態を推定する方法であって、前記電池モジュールの実際の使用条件における放電開始時と同等の模擬的放電条件によって、前記電池積層体の、電流−電圧特性における第1電流ピークから算出する内部抵抗および電池温度と、充電状態との相関特性を予め用意しておき、当該電池モジュールの放電開始時の、前記電池積層体の電流−電圧特性における第1電流ピークから算出した内部抵抗測定値および前記温度測定装置によって測定した電池温度測定値を、前記相関特性と比較して充電状態を算出する。なお、本明細書において、単に「内部抵抗」という場合には、直流内部抵抗を意味する。
この構成によれば、電池モジュールの放電開始直後の第1電流ピークに基づいて算出した内部抵抗測定値を予め用意した相関特性と比較することにより充電状態を推定する。これにより、電池の履歴の影響が可及的に排除された、再現性の高い状態において電池モジュールの内部抵抗の算出が行われるので、精度の高いSOC推定を効率的に行うことができる。
本発明に係る充電状態推定方法において、前記電池モジュールは、例えば、所定の経路を走行する車両に使用される電池モジュールである。このような用途で使用される電池モジュールは放電開始時以降の放電パターンがほぼ一定であるので、上記の第1電流ピークを利用したSOCの推定を行うことによって、より高い精度で充電状態を推定することができる。ここに所定の経路とは、例えば、鉄道車両のために予め敷設されたレール等の軌道上を意味するが、これに限られず、車両が走行する道順、勾配、曲線、発進・停止位置、移動距離等が予め定められているものであればよい。したがって、所定の経路を走行する車両とは、鉄道車両のほかに、例えば、バスや、空港等に設置される乗客輸送用車両であってもよい。このような車両の例としては、トロリーバスやピープルムーバーなどがある。
上記のように、当該充電状態推定方法を、所定の経路を走行する車両に使用する電池モジュールに適用する場合、特に前記車両が電車である場合には、前記相関特性を、電車の加速時のノッチ毎に用意しておいてもよい。電車の実際の走行における加速時の第1電流ピークの立ち上がりにおける放電特性、特に電流変化率は、加速時に投入するノッチの段数によってほぼ決定されるので、相関特性をノッチ毎に測定して用意しておくことにより、少量のデータ取得によって効率的に、精度の高い充電状態推定を行うことができる。
また、本発明に係る車両の走行可能距離推定方法は、充電状態推定方法を含む、前記電池モジュールを搭載した車両の走行可能距離推定方法であって、前記電池積層体の充電状態の推定値と、前記所定の経路の経路情報とに基づいて走行可能距離を算出する。このように構成することにより、精度の高い充電状態推定値および一定の放電パターンを有する経路情報を利用して、容易にかつ高精度に車両の走行可能距離を推定することができる。この場合において、さらに、車両に搭載されている機器の消費電力情報に基づいて当該車両の走行可能距離を算出すれば、一層高い精度で走行可能距離の推定を行うことができる。
また、上記の車両の走行距離推定方法において、前記所定の経路が、複数の停止地点と走行区間とからなる場合、各停止地点において、強制的に前記模擬的放電条件で放電することにより前記充電状態の推定値を算出することができる。このように構成すれば、各停止地点において、次の停止地点まで到達可能か否かを判断することができるので、車両の安全な運行が可能となる。
以上のように、本発明に係る電池モジュールの充電状態推定方法およびこの推定方法を利用した車両の走行可能距離推定方法によれば、再現性の高い放電開始時の第1電流ピークに基づいて測定した電池の内部抵抗値を利用して、容易かつ高精度に電池の充電状態を推定することができるとともに、当該推定方法を利用して高精度に車両の走行可能距離を推定することができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る充電状態推定方法を実行するためのSOC推定システムおよび電池モジュールの概略構成を示す図である。本実施形態に係る電池モジュールBは、電池積層体1および温度測定装置3を主要な構成要素としている。一方、SOC推定システムSEは、電池モジュールBで測定されたパラメータを基に電池モジュールBの内部抵抗を算出する内部抵抗算出手段5およびSOCを算出するSOC算出手段7を主要な構成要素としている。
図2は、本実施形態に係る電池モジュールBを示す部分破断側面図である。この電池モジュールBは、例えば、所定の経路を走行する電車のような車両に搭載されてその動力源として使用される。電池モジュールBの電池積層体1は、大型の角形二次電池である単位電池Cを、単位電池Cの厚み方向に複数個(本実施形態では30個)積層し、さらに、単位電池C間に放熱板13を介在させて構成されている。また、電池モジュールBは、電池積層体1の電圧および電流をそれぞれ測定する電圧計15および電流計17を有している。
なお、本実施形態における単位電池Cは、水酸化ニッケルを主要な正極活物質とし、水素吸蔵合金を主要な負極活物質とし、アルカリ系水溶液を電解液とする、繰り返し充放電が可能なニッケル水素二次電池として構成している。また、単位電池Cは、厚み方向の一端面に正極端子33が形成され、他端面に負極端子35が形成されている構造を有している。
電池モジュールBの電池積層体1においては、図2に示すように、隣接する単位電池Cの間に介在して、放熱板13が積層されている。単位電池Cは、隣接する単位電池Cの一方の正極集電体33と、他方の負極集電体35とが互いに対向する方向に積層されており、さらに、2つの単位電池Cに1つの割合で、放熱板13が介在している。放熱板13は、これら2つの単位電池Cを電気的に接続するべく、電気導電性を有する物質、例えば、ニッケルメッキを施したアルミニウム素材で形成されている。
図3(a)に示すように、放熱板13は、電池積層体1の積層方向Xに直交する方向に延びる直線状の貫通孔として形成された、冷却用の空気を通すための複数の通風孔13aを有している。なお、図示しないが、電池モジュールBには、冷却用の送風装置である電動ファンが設置されており、この電動ファンから放熱板13の通風孔13aに冷却空気が送られる。
さらに、電池積層体1の積層方向Xの中央付近に配置される放熱板13の複数の通風孔13aの一つに、本実施形態における温度測定装置3である熱電対の温度検知部3aを配置している。熱電対の温度検知部3aは、通風孔13aをほぼ塞ぐような状態で、通風孔13aの上下方向(貫通方向)のほぼ中央に配置される。なお、図3(b)に示すように、放熱板13の複数の通風孔13aの1つの孔を、その下側開口をパテなどで塞いで温度検知穴13bとして形成し、この温度検知穴13b内の底部付近に、温度検知部3aを配置してもよい。また、電池温度を精度よくかつ遅れなく検出するために、通風孔13aまたは温度検知穴13bに、例えば、バネのような弾性部材を充填して、温度検知部3aが放熱板13に強く接触するようにしてもよい。なお、本実施形態においては、温度検知部3aの取り付けの便宜を考慮して、温度検知部3aを、放熱板13の幅方向中央から外側にずれた位置の通風孔13aに配置しているが、放熱板13の幅方向中央付近に位置する通風孔13aに配置してもよい。
次に、本発明の一実施形態に係るSOC推定方法について説明する。このSOC推定方法は、上記で説明した図1の電池モジュールBのSOCを推定する方法であって、電池モジュールBの実際の使用条件における放電開始時と同等の模擬的放電条件によって、電池積層体1の、電流−電圧特性における第1電流ピークから算出する内部抵抗rおよび電池温度tと、充電状態との相関特性St(r)を予め用意しておき、電池モジュールBの放電開始時の電流−電圧特性における第1電流ピークから算出した内部抵抗測定値riおよび電池温度測定値tiを、相関特性St(r)と比較して充電状態を算出するものであり、図4のフロー図に示すように、主に以下のステップ(1)〜(6)で構成されている。
(1)準備段階として、実験などによって、電池モジュールBの使用環境に応じた充電条件における、電池積層体1(図1)の内部抵抗rおよび電池温度tと充電状態との相関特性St(r)を用意するステップ。
(2)電池温度測定装置3によって、電池積層体1の電池温度を測定し、温度測定値tiをSOC算出手段7へ出力するステップ。
(3)電圧計15および電流計17によって、電池積層体1の電圧値および電流値をそれぞれ測定し、電圧測定値Viおよび電流測定値Iiを内部抵抗算出手段5へ出力するステップ。
(4)内部抵抗算出手段5によって、充電時の電池積層体1の内部抵抗を算出し、内部抵抗測定値riとしてSOC算出手段7へ出力するステップ。
(5)SOC算出手段7において、温度測定値tiおよび内部抵抗測定値riを、予め用意された内部抵抗および電池温度と充電状態との相関特性St(r)と比較して、電池モジュールBのSOC推定値Esを算出するステップ。
(6)SOC算出手段7で算出されたSOC推定値EsをSOC表示手段41、または後述の走行可能距離算出手段71へ出力するステップ。
(1)準備段階として、実験などによって、電池モジュールBの使用環境に応じた充電条件における、電池積層体1(図1)の内部抵抗rおよび電池温度tと充電状態との相関特性St(r)を用意するステップ。
(2)電池温度測定装置3によって、電池積層体1の電池温度を測定し、温度測定値tiをSOC算出手段7へ出力するステップ。
(3)電圧計15および電流計17によって、電池積層体1の電圧値および電流値をそれぞれ測定し、電圧測定値Viおよび電流測定値Iiを内部抵抗算出手段5へ出力するステップ。
(4)内部抵抗算出手段5によって、充電時の電池積層体1の内部抵抗を算出し、内部抵抗測定値riとしてSOC算出手段7へ出力するステップ。
(5)SOC算出手段7において、温度測定値tiおよび内部抵抗測定値riを、予め用意された内部抵抗および電池温度と充電状態との相関特性St(r)と比較して、電池モジュールBのSOC推定値Esを算出するステップ。
(6)SOC算出手段7で算出されたSOC推定値EsをSOC表示手段41、または後述の走行可能距離算出手段71へ出力するステップ。
上記(1)〜(6)の各ステップについて、以下に具体的に説明する。
本実施形態におけるステップ(1)では、実験により相関特性St(r)を求める。相関特性St(r)は、電池モジュールBの、実際の使用における放電条件や環境温度を考慮して、その条件の範囲で行うことが好ましい。特に、本実施形態では、電車の走行における放電開始時の放電パターンを模擬した、電車の加速時のノッチに応じた複数の放電条件によって、SOC30〜90%の範囲で相関特性St(r)を異なる温度t1〜t3ごとに求める実験を行った。
本実施形態に係る電池モジュールBが搭載される電車の走行時の放電パターンの一例を、図5に模式的に示す。図5において縦軸は放電電流値を、横軸は走行時間を示している。また、縦軸が示す電流値における正の値(+)は放電における電流値であることを示し、負の値(−)は走行中のブレーキ作動による回生充電による電流値であることを示している。
この図5に示すように、走行開始時には、大きな加速の必要な力行領域L1において、大電流での放電が行われる。電車が十分に加速した後は、ほとんど電力を要しない走行を行う惰行領域Mに移行し、減速のためにブレーキを作動させる減速領域Nでは回生充電電流が流れ、電池モジュールBの充電が行われる。その後さらに惰行領域Mに移行し、必要に応じて、加速が行われる力行領域L2に移行して再び放電が行われる。
本実施形態においては、力行領域L1,L2における、放電開始時の最初の放電電流ピークである第1電流ピークP1部分を模擬した放電パターンを用いて、電池積層体1の内部抵抗rとSOCの相関特性St(r)を用意し、実際の走行における第1電流ピークにおける電流−電圧特性から算出した内部抵抗測定値riとの比較によってSOC推定値Esを算出する。通常、電池の内部抵抗値は、同一のSOCに対応するものであっても、電池の履歴によって値が異なる。したがって、放電状態が一定時間継続した後の、力行領域L1における電流ピークPnを用いて精度の高いSOC推定を行おうとすれば、準備すべき相関特性St(r)の量が膨大となり、算出処理するためのシステムも複雑化する。しかしながら、放電開始直後や、惰行後の加速による第1電流ピークP1は、電池履歴による影響が小さく、実験において再現を取り易いので、これを用いることにより精度の高いSOC推定を容易に行うことができる。
本実施形態において、内部抵抗rの測定は、一般的に知られている、電流−電圧特性を測定することにより行っている。すなわち、図6(a)に示すように、所定の異なる充電状態にある電池モジュールBについて、それぞれ何点かの異なる電流値に対して電池電圧の値をプロットし、得られる直線の傾きから内部抵抗rを求める。
次に、図6(b)に示すように、上記のような測定を異なる温度ごと(本実施形態ではt1〜t3)に行って、各温度に対する相関特性St1(r)〜St3(r)を求める。さらに、上述のように、このようにして求める相関特性St(r)を、電車の実際の走行で使用される加速時のノッチ毎に用意する。
なお、相関特性St(r)を用意する際に、上記のようにノッチ毎にデータを取得するのに加えて、または代えて、下記の過程i)〜v)のいずれかを単独でまたは組み合わせて取り入れることにより、一層高い精度でのSOC推定が可能となる。
i) 第1電流ピークの立ち上がりにおける電流変化率毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、10A/s、20A/s、50A/s…)。なお、各ノッチに対する電流変化率はほぼ一定であるので、上述のようにノッチ毎に相関特性St(r)を測定することによっても、電流変化率による区分けが可能である。
ii) 電車の加速時間毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、5秒以上、10秒以上…)。
iii) 第1電流ピークにおけるピーク電流値毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、100A、200A、…)。
iv) 放電が開始されるまでの放電停止時間毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、20秒以上、30秒以上、…)。放電停止時間には、電車が停止している時間のみならず、惰行運転によって放電が停止されている時間も含む。
v) 図6(a)の電流−電圧特性から内部抵抗rを算出する際に同時に求められる開放電圧E毎に区分けして相関特性St(r)を用意する。
i) 第1電流ピークの立ち上がりにおける電流変化率毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、10A/s、20A/s、50A/s…)。なお、各ノッチに対する電流変化率はほぼ一定であるので、上述のようにノッチ毎に相関特性St(r)を測定することによっても、電流変化率による区分けが可能である。
ii) 電車の加速時間毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、5秒以上、10秒以上…)。
iii) 第1電流ピークにおけるピーク電流値毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、100A、200A、…)。
iv) 放電が開始されるまでの放電停止時間毎に区分けした相関特性の測定を行う(例えば、20秒以上、30秒以上、…)。放電停止時間には、電車が停止している時間のみならず、惰行運転によって放電が停止されている時間も含む。
v) 図6(a)の電流−電圧特性から内部抵抗rを算出する際に同時に求められる開放電圧E毎に区分けして相関特性St(r)を用意する。
さらには、実際の走行時に得られた相関特性St(r)を上記のように区分してデータベースのデータを順次補充していくことにより、SOC推定の精度を一層向上させることができる。
なお、この実験におけるSOCの測定は、例えば、充電電流値を計測し、これを積算することにより求めることができる。また、相関特性St(r)は、テーブル状のマップとして求めてもよく、各測定値から近似的に導き出した数式として求めてもよい。このようにして求めた相関特性St(r)は、SOC算出手段7内の図示しない記憶手段に記憶される。
次に、本実施形態に係るステップ(2)では、放電開始時点における図1の電池積層体1の電池温度を測定し、その測定値tiをSOC算出手段7へ出力する。また、ステップ(3)では、電圧計15および電流計17でそれぞれ測定した電池積層体1の電圧測定値Viおよび電流測定値Iiを内部抵抗算出手段5に出力する。
ステップ(4)では、内部抵抗算出手段5が、電圧測定値Viおよび電流測定値Iiに基づいて電池積層体1の内部抵抗測定値riを算出し、SOC算出手段7に出力する。
次のステップ(5)では、SOC算出手段7が、温度測定値tiおよび内部抵抗測定値riを、上記ステップ(1)で用意した相関特性St(r)と比較することによって、SOCの推定値Esを算出する。このステップ(5)におけるSOC推定値Esの算出手法の最も簡単な例としては、SOC算出手段7は、まず、温度ごとに用意された複数の相関特性St(r)(本実施形態ではSt1(r)〜St3(r))から、温度測定値tiに最も近い、例えば温度t2に対応する相関特性St2(r)を選択し、次に、この相関特性St2(r)を利用して、現在の内部抵抗測定値riに対応するSt2(ri)をSOC推定値Esとして算出する。
SOC算出手段7におけるSOC推定値Esの算出方法としては、SOC推定値Esに要求される精度とSOC算出手段7に許容されるプログラムサイズやコストとのバランスを考慮して、上記で説明したほかにも一般的に用いられている種々の手法を採用することができる。例えば、相関特性として用意したうちで温度測定値tiに最も近い温度t2と、温度測定値tiとの差が所定の範囲±Δt2である場合には、相関特性としてこのSt2(ri)を用いてSOC推定値Esを算出し、最も近い温度t2と、温度測定値tiとの差が所定の範囲±Δt2を超える場合には、温度測定値tiの直近の上下2つの温度t2とt3に対応する各相関特性から求めたSt2(ri)とSt3(ri)との平均値をSOC推定値Esとして算出してもよい。また、最も近い温度に対応する相関特性を選択する代わりに、近傍の温度に対応する2つの相関特性から、線形近似により内挿もしくは外挿補間して求めてもよい。さらには、ステップ(1)において用意する相関特性を、実験で得られた実測値から、内部抵抗測定値riおよび温度測定値tiの関数S(t,r)として用意しておいてもよい。
なお、図1に示すSOC算出手段7としては、上記で説明した方法を実行できる装置であれば特に限定されることなく使用することが可能であり、例えば、CPUおよびメモリ等を備えたマイクロコンピュータによって構成することができる。
最後に、ステップ(6)において、SOC推定値EsをSOC表示手段41に出力する。SOC表示手段41は、SOCを単にパーセントで表示するものであってもよく、他の表示形式、例えば、数段階に分けたランプを点灯させて表示するものであってもよい。
次に、本発明の一実施形態に係る車両の走行距離推定方法について説明する。本実施形態に係る走行距離推定方法は、上記で説明した充電状態推定方法によって得られた充電状態推定値Esを利用して、車両の走行可能距離を推定するものであって、図4のフロー図に示した充電方法を構成するステップ(1)〜(6)に、後述のステップ(7)、(8)を追加したものである。また、この走行可能距離推定方法を実行する走行可能距離推定システムDEは、図7に示すように、充電状態推定システムSEに、経路情報記憶手段51、消費電力情報記憶手段53、走行可能距離算出手段55、および走行可能距離表示手段57を追加したものである。
経路情報記憶手段51には、電池モジュールBが搭載される車両が走行する経路に関する情報、特には、電池モジュールBの放電パターンに影響を与える、走行距離、傾斜、カーブ、停止地点(例えば電車の駅など)などに関する情報が記憶されている。また、消費電力情報記憶手段53には、車両に搭載されている電気機器、例えば、照明装置や空調装置などの消費電力に関する情報が記憶されている。
走行可能距離算出手段55は、SOC算出手段7から入力されたSOC推定値Es、経路情報記憶手段51から読み出した経路情報R、および消費電力情報記憶手段53から読み出した消費電力情報Wに基づいて、車両の走行可能距離を算出する(ステップ(7))。この走行可能距離推定値Edに基づいて、走行可能距離表示手段57が走行可能距離を表示するが(ステップ(8))、表示の形式は、単に走行可能距離として表示してもよく、あるいは、到達可能な停止地点として表示してもよく、さらには、次の停止地点まで到達不可能と判断した場合に警告を表示してもよい。
特に、車両の走行経路が、電車の走路と駅のように、複数の停止地点と走行区間とからなる場合、各停止地点において、強制的に第1電流ピークP1の模擬的な放電条件で放電することによりSOC推定値Esを算出して、走行可能距離推定値Edを得るようにしてもよい。
上記実施形態に係る電池モジュールBの充電状態推定方法、およびこの充電状態推定方法を利用した走行可能距離推定方法によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態に係る電池モジュールBの充電状態推定方法では、電池積層体1の放電開始時における第1電流ピークP1を模擬した放電パターンから算出する内部抵抗r、および電池温度tと、充電状態との相関特性St(r)を予め用意しておき、電池モジュールBの放電開始時の、電池積層体1の第1電流ピークP1から算出した内部抵抗測定値riおよび温度測定装置3によって測定した電池温度測定値tiを、相関特性St(r)と比較して充電状態を算出する。したがって、電池の履歴の影響が可及的に排除された、再現性の高い状態において電池積層体1の内部抵抗の算出が行われるので、精度の高いSOC推定を容易に行うことができる。
特に、電池モジュールBが、所定の経路を走行する車両に使用される電池モジュールである場合には、放電開始時以降の放電パターンがほぼ一定であるので、より高い精度で充電状態を推定することができる。
特に、車両が電車である場合には、相関特性St(r)を、電車の加速時のノッチ毎に用意しておくことが好ましい。電車の実際の走行における加速時の第1電流ピークの立ち上がりにおける電流変化率のような放電特性は、加速時に投入するノッチによってほぼ決定されるので、相関特性St(r)をノッチ毎に測定して用意しておけば、少量のデータ取得によって効率的に、精度の高い充電状態推定を行うことができる。
また、本実施形態に係る車両の走行可能距離推定方法は、上記の充電状態推定方法を利用し、さらに所定の経路の経路情報Rおよび車両に搭載されている機器の消費電力情報Wに基づいて走行可能距離を算出するので、容易にかつ高精度に車両の走行可能距離を推定することができる。なお、車両の種類や使用環境などによって、車両に搭載される機器の消費電力が、車両を駆動するのに要する電力に比較して、走行可能距離への影響が無視できる程度に小さい場合には、消費電力情報Wを省略してもよい。
さらには、電池モジュールBが搭載される車両が走行する所定の経路が、複数の停止地点と走行区間とからなる場合には、強制的に第1電流ピークP1の模擬的な放電条件で放電することによりSOC推定値Esを算出して走行可能距離推定値Edを得るようにすることで、次の停止地点まで到達可能か否かを判断することができるので、車両の安全な運行が可能となる。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 電池積層体
3 電池温度測定装置
5 内部抵抗算出手段
7 SOC算出手段
C 単位電池
B 電池モジュール
P1 第1電流ピーク
St(r) 相関特性
3 電池温度測定装置
5 内部抵抗算出手段
7 SOC算出手段
C 単位電池
B 電池モジュール
P1 第1電流ピーク
St(r) 相関特性
Claims (6)
- 複数の単位電池を電気的に接続してなる電池積層体および該電池積層体の電池温度を測定する温度測定装置を備える電池モジュールの充電状態を推定する方法であって、
前記電池モジュールの実際の使用条件における放電開始時と同等の模擬的放電条件によって、前記電池積層体の、電流−電圧特性における第1電流ピークから算出する内部抵抗および電池温度と、充電状態との相関特性を予め用意しておき、
当該電池モジュールの放電開始時の、前記電池積層体の電流−電圧特性における第1電流ピークから算出した内部抵抗測定値および前記温度測定装置によって測定した電池温度測定値を、前記相関特性と比較して充電状態を算出する電池モジュールの充電状態推定方法。 - 請求項1において、前記電池モジュールは、所定の経路を走行する車両に使用される電池モジュールである電池モジュールの充電状態推定方法。
- 請求項2において、前記車両が電車であって、前記相関特性を、電車の加速時のノッチ毎に用意しておくことを含む電池モジュールの充電状態推定方法。
- 請求項3に記載の充電状態推定方法を含む、前記電池モジュールを搭載した車両の走行可能距離推定方法であって、前記電池積層体の充電状態の推定値と、前記所定の経路の経路情報とに基づいて走行可能距離を算出する車両の走行可能距離推定方法。
- 請求項4において、さらに、車両に搭載されている機器の消費電力情報に基づいて当該車両の走行可能距離を算出する車両の走行可能距離推定方法。
- 請求項4または5において、前記所定の経路が、複数の停止地点と走行区間とからなり、各停止地点において、強制的に前記模擬的放電条件で放電することにより前記充電状態の推定値を算出する車両の走行可能距離推定方法。
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-
2008
- 2008-08-26 JP JP2008216494A patent/JP2010055785A/ja active Pending
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