JP2010053462A - 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート - Google Patents

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【課題】本発明は、フレキソ印刷インキ、特に水性フレキソインキに対して優れたインキ発色性と印刷仕上がりを持ち、多段に積載された状態での運搬、保管時の荷崩れに対して良好なライナーおよびそれを用いた段ボールシートを提供することにある。
【解決手段】少なくとも2層以上の多層抄きで構成される原紙の片面に顔料と接着剤とを含有する塗工層を設けてなる塗工ライナーにおいて、該塗工層中の顔料として焼成カオリン及びタルクを含有し、且つ塗工ライナーの塗工面の滑り角度が18〜50度であることを特徴とする塗工ライナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗工ライナー及びそのライナーを用いた段ボールシートに関する。特に、フレキソ印刷のインキ発色性が優れ、多段に積載された状態での運搬、保管時の荷崩れに対して良好な美粧段ボール用のライナーとして用いることが出来るものである。
一般に、ライナーは2〜9層程度の多層抄きされた厚紙で、2層の場合は裏層、3層以上の場合は中層にコスト及び省資源を目的として、脱墨されない古紙パルプが使用される。ライナーは中芯原紙と組み合わせて段ボールシートに加工され、各種包装箱等に使用されるが、近年段ボール箱の機能が、商品を保管・輸送などの流通過程で受ける物理的な力から守るだけでなく、商品が詰められたまま展示、あるいはセリ等に見られるように商品の顔としての機能を付加するために多色印刷が多く行われようになった。このため印刷方式のなかでもオフセットやグラビア印刷と比べ、技術進歩が目覚ましいフレキソ印刷が、小ロット多品種化や環境と安全性問題、コスト削減などの市場課題に対して、近年のデジタル化の波とともに、画期的で斬新な技術でもって注目されている。さらに印刷品質についても、他の印刷方式と比較しても遜色なく、水性化や無溶剤化の面で大きな優位性が認められ、欧米の包装分野では既にフレキソ印刷が主流となっており、日本においても普及の兆しがある。このような情勢のなかで、通常のクラフト色以外に、見栄えのある目立つ多色印刷が行われる美粧ライナーと呼ばれるライナーは、表層に晒パルプや上白古紙パルプを配合したり、白色顔料塗料を塗工し、表面の白色度を高めるたりすることによって製造されていた。また、表層のみの対策はコストがかかることから、表下層(表層の直下の層)にもある程度白色度のあるパルプを用いて、中層の色を隠蔽する作用を持たせることもある。この様な白色度の高い外観を持ったものは、白紙面だけでなく、これに印刷した場合、印刷面が美麗かつ鮮やかに見える効果を与える。このため、この種のライナーを使用して、カラー印刷を施した段ボ−ル箱は、人の目を引く効果が高く、更に、内容物を忠実に表するために、内容物の優良性を強く訴えることが出来る優れた面がある。近年、量販店を中心に、店頭に段ボ−ル箱に製品を詰めたまま販売するということがよく見受けられるようになって来ており、この点からも印刷面が美麗で鮮やかなライナーが求められている。
このため、ライナー表面の白色度と色相を所定の範囲に調整することにより、白紙外観、印刷外観も深みのある落ち着いた視覚効果を与えるライナーが開示されている(特許文献1参照)。さらに、白紙外観、及び印刷画像の鮮明性に優れるライナーとして、表層の明度をある一定の範囲内(60−73)でかつ、表層の灰分含有量が3重量%以上、9%未満が開示されている(特許文献2参照)。また、顔料とバインダーを主成分として含有する塗工層により、白色度と色相及び光沢を特定範囲に調整することにより白紙面では落ち着いた視覚効果を与えるとともに、印刷の文字が読み易く、さらにカラー印刷するとインキ発色性、印刷光沢が良好で印刷面が鮮明な美粧ライナーが開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、これらの開示はいずれもライナーとしての色相や明度を規定しているだけで、フレキソ印刷における印刷適性を十分満足させる提案になっていない。また、一般の茶ライナーに白インキを多量に印刷した上に、多色印刷して、美粧性を付加する方法が行われているが、この場合、茶ライナー表面を白くし、赤や藍など多色インキの仕上がりをよくするために、高価な白インキを多量に印刷する必要がありこの方法も経済的に大きな負担となっている。ライナーの表層に顔料とバインダーを含む塗被層を設け、耐油度(キット数)を12級以上としたライナーが開示されている(特許文献4参照)。このライナーは耐油度レベルが高すぎ、優れたフレキソインキ発色性は得られない。
さらに、フレキソ印刷性の優れたライナーを得る方法として、ライナー表面にカチオン性の樹脂を塗布することにより印刷効果を向上させる技術が開示されている(特許文献5、6参照)。しかしながら、インキの発色や印刷面の仕上がりに関して、十分満足できるものではない。
また、顔料と接着剤を主成分とする水性組成物をライナー原紙に塗工する際のその水性組成物中の顔料組成として(a)焼成カオリンが20〜70重量部、(b)構造化カオリンおよび/またはデラミネーテッドカオリンが15〜77重量部、および(c)プラスチックピグメントが3〜20重量部含有せしめられ、かつ(a)+(b)+(c)の合計が70重量部以上である塗工ライナーが開示されている(特許文献7参照)。しかしながら、その目的とするところは、グラビア印刷に適した、かつ白紙光沢、印刷光沢に優れた塗工ライナーを得ることにあり、この顔料組成の塗工層を持ったライナーを水性フレキソ印刷すると、インキ濃度が劣り、印刷仕上がりに劣るものしか得られない。さらに、フレキソ印刷のモトリングの発生がない、白紙光沢および印刷光沢に優れた塗工ライナーを得るために、塗被層面の平滑度特性として、加圧型平滑度計で加圧条件5kgf/cmで測定したときの平滑度が3.0μm以下で、20kgf/cmで測定した平滑度との比が0.3〜0.8である塗工ライナーが提案されている(特許文献8参照)。この提案は、通常の塗工ライナーは平滑が低くモトリングが発生しやすいこと、印刷光沢を高めたいことから、適正な平滑化を規定することで課題を解決したものであるが、規定の平滑性では塗被層のインキ吸収性が劣り、特にインキの発色性が不十分なレベルでしか得られない。表層の表面に無機顔料、バインダー、及び表面サイズ剤の3つを配合した塗布剤を塗布することが提案されている(特許文献9参照)。この塗布層の目的は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、及びインクジェット記録方式において、高い印刷光沢が得られ、印刷後の摩擦によりインクの剥がれ落ちが生じないことを目的としている。特に、ここで使用されている表面サイズ剤は、水、溶剤の吸収を抑制するために配合されており、フレキソインキの吸収を抑制させると、高いインキ発色性は得られない。
ライナーは、貼合工程、製函工程を経て段ボール箱に加工され、商品の運搬、保護に使用される。この際に荷崩れが発生すると、運搬に支障をきたすうえ、中身の商品が破損してしまう恐れがある。
荷崩れを防ぐ方法として、段ボール箱表面に紫外線もしくは電子線硬化樹脂からなる防滑性樹脂層を設けた段ボールが開示されている(特許文献10参照)。しかしながら、この方法では、防滑性樹脂層を印刷機にて塗布後、紫外線もしくは電子線照射せねばならず、全ての印刷機で製造できる方法ではない。また、コロイダルシリカを含有する防滑剤組成物を塗布する方法が開示されている(特許文献11参照)。このタイプの防滑剤組成物は、積み替え等の作業が繰り返されると、粒子が剥がれ落ちるため、十分な防滑効果が得られない。
特開2001−146697号公報 特開2007−100278号公報 特開2002−317395号公報 特開2007−154360号公報 特開2004−232158号公報 特開2004−231901号公報 特開平11−279989号公報 特開2000−314095号公報 特開2005−089931号公報 特開平05−162740号公報 特開2002−105403号公報
本発明は、フレキソ印刷インキ、特に水性フレキソインキに対して優れたインキ発色性と印刷均一性を有し、且つ段ボール箱を多段に積載した状態での運搬、保管作業時において荷崩れし難いライナーおよびそれを用いた段ボールシートを提供するものである。
本発明は、少なくとも2層以上の多層抄きで構成される原紙の片面に顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を有する塗工ライナーにおいて、該塗工層中の顔料として焼成カオリン及びタルクを含有し、且つ塗工ライナーの塗工面の滑り角度が18〜50度であることを特徴とする塗工ライナーである。
前記塗工ライナーの表面の白色度が50〜85%であることが好ましい。
前記塗工層中の焼成カオリンの含有量が全顔料100質量部当たり30〜95質量部であることが好ましい。
前記塗工層中のタルクの含有量が顔料100重量部に対して5〜50重量部であることが好ましい。
前記塗工ライナーを用いた段ボールシートであることが好ましい。
本発明によって、フレキソ印刷におけるインキ発色性に優れ、印刷均一性が良好であり、段ボール箱加工後、商品入れて運搬、保管する際に荷崩れが発生し難いライナーおよびそれを用いた段ボールシートを提供することが可能となった。
一般に、フレキソ印刷は水性タイプのインキを使用して印刷が実施されることから、印刷面の吸水性度合いによりインキの浸み込みが異なる。このため、フレキソインキにおける発色性、印刷均一性および網点再現性は、印刷される面の吸水性の度合いとフレキソインキ量に大いに影響される。ライナー表面に形成する塗工層中に焼成カオリンが存在するとフレキソインキ吸収性が極めてよくなり、この焼成カオリンの配合量、及びその他の顔料配合量を調整することにより、各種のフレキソ印刷機に適応したインキ発色性のよいライナーを得ることができる。
ここで、焼成カオリンを塗工層中に含有するとフレキソ印刷適性を改善する理由は必ずしも定かではないが、焼成カオリンは、天然に産するカオリンをキルンなどで約800℃程度の高温処理することにより、カオリンの結晶構造中に存在する結晶水を放出させたもので、結晶構造が崩壊して非晶質な構造となり、不透明性、多孔質でインキ吸収性に優れた性質を持っている。このことから、焼成カオリンのもつ空隙性によって、顔料中にインキを取り込み、またインキ中の溶剤が均一に吸収されて、インキの発色性と均一性が得られ、また密着性の向上による網点の再現性も得られるものと考える。焼成カオリンの含有量は30〜95質量部が好ましく、より好ましくは60〜90重量部である。
ライナーは貼合工程、製函工程を経て段ボール箱に加工された後、商品を梱包して、商品の保護、運搬に使用される。その際、塗工ライナーの滑り角度が18〜50度の範囲であれば、多段に積載された状態での運搬、保管時に荷崩れする恐れがない。ここでいう滑り角度とは、段ボール業界規格JCS T0005:2000に準じて測定されたもので、段ボールシートもしくは段ボール箱を一定荷重をかけて重ね合わせ、傾斜台にセットした後、傾斜台を傾けたときに上部の段ボールシートまたは段ボール箱が滑り始めた時の角度のことである。塗工ライナーの滑り角度が18度未満では滑りやすいため、運搬、保管時に荷崩れを起こし、作業性に影響を与える恐れがある。また、滑り角度が50度以上では、荷崩れの恐れはないが、滑りにくいため、貼合工程、製函工程で段ボールシートや段ボール箱に加工される際に、汚れが発生したり、重量物など内容物を入れた状態での運搬の際に、段ボール箱を滑らせて所定の場所に運ぶ場合があるが、段ボール箱が滑らないため、持ち上げて運搬しなくてはならず、作業者にとって大きな負担となる恐れがある。段ボール塗工ライナー表面の滑り角度を上記範囲内に調整する方法としては、顔料としてタルクを含有させる必要がある。その理由として、タルクが扁平顔料で、塗工層に存在すると摩擦抵抗を低減させる性質を有しているためである。一般的に製紙用のタルクは、セディグラフによって測定した平均粒径が1〜5μm、クロライト含有率は0〜90%であるが、中でもクロライト含有率5〜50%のタルクの使用は、顔料の分散性と加工時の汚れを軽減させる効果のバランスがとれているため、より好ましい。また、タルク配合部数は顔料100質量部当たり、5〜50質量部が好ましい。クロライト含有率によりタルク配合部数は変わるものの、さらに好ましくは15〜40質量部である。ここで、タルクを配合した場合の焼成カオリンの配合部数としては、40〜95重量部、より好ましくは60〜85重量部である。
本発明において、焼成カオリン、タルクを含有する塗料の塗工層は、単層であっても、複層であっても差し支えないが、全体の塗工量は2〜10g/m2が好ましい。塗工量がこの範囲であると、経済性にすぐれ、且つ水性フレキソのインキ発色性が優れたライナーが得られる。より好ましい塗工量としては、3〜7g/m2ある。
ライナー原紙表層に塗工する塗料の顔料で焼成カオリン、タルク以外の顔料としては、製紙分野で通常使用されている顔料、例えば、クレー、構造化カオリン、エンジニアードカオリン、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウム等の一種または二種以上を使用することができるが、デラミカオリンのように、カオリンの中でも扁平性の大きいカオリンは、すべる角度を下げる傾向にあるため、フレキソ印刷適性に影響及ぼさない範囲で使用されるのが好ましい。また、焼成カオリンおよび、タルクを除く顔料として、プラスチックピグメント等の有機顔料はインキ吸収性が劣るので好ましくない。
さらに、ライナー原紙表層に塗工する塗料に、保水剤を添加すると塗工適性が向上するので好ましい。添加する保水剤としては、製紙分野で一般にCMCと呼ばれているカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、合成保水剤と呼ばれている多価カルボン剤アクリル系共重合体やメタクリル酸とアクリル酸エステルの共重合体等が挙げられる。その中でもカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩は塗工面が
均一に塗工されやすく、特にエーテル化度0.60〜1.00、重合度600〜1200
の範囲のものが取り扱い性に良好な点で好ましい。
本発明の塗料中の接着剤としては、特に限定するものではなく、一般の塗被紙製造分野
で使用されている公知の接着剤が適宜使用される。例えば、スチレン−ブタジエン共重合
体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレンーメチルメタクリレートーブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等の水分散性接着剤、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂等の合成樹脂系接着剤、酸化澱粉、両性澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類が例示される。これら水分散性および/または水溶性接着剤から1種または2種以上を適宜選択して使用できる。接着剤の配合部数は顔料100質量部に対して、10〜50質量部の接着剤の使用が好ましい。さらに好ましくは15〜40質量部である。因みに、接着剤の含有量が10部未満であれば塗工層の強度が保てない。50部以上であれば塗工層中における顔料の比率が小さくなるため、フレキソ印刷におけるインキ発色性、あるいは印刷均一性もしくはその両方が劣る。
インキ発色性向上、印刷均一性の仕上がりに関しての効果を阻害しない範囲において、本発明使用される塗料中に染料等の添加剤を併用してもよい。
本発明の塗料をライナー原紙に塗工するに当たっては、塗被紙製造に一般に使用される塗工装置が使用でき、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーター、フィルムメタリングサイズプレスコーター等の塗工装置を使用して、オンマシン方式またはオフマシン方式でライナー原紙の表面に、単層または多層で塗工される。塗工時の顔料組成物の固形分濃度は、10〜75重量%の範囲で選ぶことができるが、塗工量が2〜10g/m2の範囲に留まるよう、また、塗工するコーターを考慮し、適宜調整することが好ましい。
本発明で塗工された塗工ライナーは、塗工面や印刷適性をさらに向上させるために、弾性ロールにコットンロールを用いたスーパーカレンダーや弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップ等のカレンダー装置により平滑化処理を行うことが出来る。ソフトニップカレンダーは合成樹脂ロール表面の耐熱温度がコットンロールに比べて高く設定することが可能なため、高温での処理が可能であり、同一の平滑性を目標とした場合、スーパーカレンダーに比べて処理線圧を低く設定できるので好ましい態様である。
本発明で使用されるライナー原紙を構成するパルプとしては、例えば木材パルプである針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ等の未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の晒クラフトパルプ、サーモメカニカルパルプ、グランドウッドパルプ、リファイニンググランドウッドパルプ等の機械パルプ、麻、竹、ワラ、バガス等の非木材パルプおよび、原料が製本、印刷工場等により発生する印刷用塗工紙の裁落を収集した古紙(以後ケント古紙と呼ぶ)、雑誌古紙、チラシ古紙、新聞古紙、オフィス古紙、情報用紙古紙、段ボール古紙、紙器古紙等の古紙パルプ等、公知の種々のパルプを一種、又は二種以上を適宜混合して使用される。これらのパルプを使用する際には、フリーネスを200〜500mlに調整することが望ましい。
特に、表層には針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹晒クラフトパルプ、ケント古紙から選ばれる少なくとも1種が使用されることが好ましい。その理由は、塗工層に接する表層の白色度が高く、塗工層を設けた際にはより白色度が高くなり、美粧性に優れた塗工ライナーが得られるためである。表下層は、表層に接しており、原紙表面の白色度に影響を及ぼしやすいことから、晒クラフトパルプもしくは、古紙パルプを脱墨して得られるパルプを使用することが好ましい。また、中層、裏層を構成するパルプについては特に限定するものではないが、ライナーのグレードにより使用するパルプを適宜選択して用いることが望ましい。例えば、強度が求められる場合は、未晒クラフトパルプ、段ボール古紙を使用することが好ましい。
内添薬品も必要に応じてパルプスラリー中に添加でき、例えば、硫酸バンド、ロジン等のサイズ剤、ポリアミド、澱粉等の紙力増強剤、濾水歩留まり向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロヒドリン等の耐水化剤、染料等が使用される。例示したパルプ、内添薬品を使用し、多層に抄き合わせできる公知の長網フォーマ、円網フォーマを組み合わせた抄紙機により、二層以上に抄き合わされた原紙が使用される。抄き合わされる際の各層間に澱粉等の接着剤を噴霧、または塗布することにより、各層間の強度を強めることも可能である。
ライナー原紙表面の白色度については、40〜80%が好ましい。原紙の白色度が高ければ高いほど、塗工後の目視白さが向上し、フレキソ印刷の有り無しの部分のコントラストが大きくなるので印刷仕上がりが向上する。原紙の白色度を上げるには、使用するパルプを白くする必要があり、経済的な負担が増える。印刷仕上がりと経済性のバランスを考慮すると、原紙白色度は50〜70%の範囲がより好ましい。なお、塗工する原紙の表層には、塗料の染み込みを抑えるため、サイズ剤を添加することが望ましい。上記原紙に塗工された後の塗工ライナーの白色度としては、印刷仕上がりの観点から50〜85%であることが好ましい。
本発明の塗工ライナー上に印刷する際のフレキソインキとしては、特に制限はなく、アルコール型、コソルベント型、水性型、およびUV硬化型等があげられるが、これらのフレキソインキの中でも水性型が安全性、作業性及び経済性の面でも優れており、本発明の効果が最も顕著に表れる実施態様である。
また使用されるフレキソ印刷機は、印刷ユニットの並び方により、スタック型、ライン型、セントラルインプレッション型の3タイプに分けられるが、いずれのタイプも使用できる。
上記の本発明により得られた塗工ライナーは、少なくとも一方の最外面に備えた段ボール用ライナーとして用いることができ、本発明の段ボールシートが提供される。段ボールシートとしては、中芯の片面にのみライナーが貼合された片面段ボールシート、中芯の両面にライナーが貼合された両面段ボールシート、中芯/ライナーの積層体が複数段設けられた複数段の段ボールシートがあるが、本発明はいずれの段ボールシートにも適用可能である。
ライナーと共に段ボールを構成する波状部材の中芯としては特に制限はなく、一般の段ボールに使用されているものが使用できる。原料パルプとしては、セミケミカルパルプ、ケミグラウンドパルプ、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、合成繊維等が使用でき、中でも、資源保護の観点から、段ボール古紙パルプや雑誌古紙パルプ等の古紙パルプを多く用いることが好ましい。中芯は積層紙であっても良く、さらには層間に合成樹脂接着剤層を有する積層紙であっても良い。
本発明の段ボールシートは、従来公知の段ボールの製造方法をそのまま適用でき、例えば、中芯とライナーとを、接着性物質を介して貼合するコルゲーター処理を経て製造することができる。接着性物質としては、澱粉糊や合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル系共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体等)等が挙げられる。
段ボールシートの具体的な接着方法としては、(1)中芯又はライナーの表面に、押出ラミネートや合成樹脂エマルジョンの塗布等により接着剤層を形成してから、これらを重ね合わせ、加圧及び加熱して接着する方法、(2)中芯/ライナー間に合成樹脂フィルムを介在させ、これを加圧及び加熱して接着する方法、(3)中芯/ライナー間に合成樹脂のエマルジョンや溶液等の接着剤を介在させ、これを加圧及び加熱して接着する方法等が挙げられる。なお、(2)の方法においては、あらかじめ成形された合成樹脂フィルムを繰り出し、中芯/ライナー間に供給することもできるし、合成樹脂フィルムを溶融押出成形しながら、中芯/ライナー間に供給することもできる。
上記コルゲーター処理を1回実施することで、片面段ボールが製造され、複数回繰り返し実施することで、両面段ボールや複数段の段ボールが製造される。両面段ボールは、例えば、中芯とライナーとを加熱加圧ロールで貼合し片面段ボールとするシングルフェーサ(SF)と、SFで得られた片面段ボールの中芯側に更にライナーを重ね、加圧しながら熱盤上を走行させ貼合するダブルフェーサ(DF)とを有するコルゲーターを用いて製造することができる。加熱加圧条件は特に制限はないが、例えば、SFの加熱温度150〜200℃、線圧20〜40kN/m、加圧時間0.01〜0.20秒、DFの加熱温度150〜200℃、線圧0.1〜1.0kN/m、加圧時間2〜7秒等が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらの範囲に限定されるものでない。なお、例中の「部」、「%」は特に断わらない限り、質量部、質量%を示す。
実施例1
表層のパルプとして、NBKP15%、ケント古紙85%で米坪を30g/m、表下層、中層、裏下層、裏層のパルプとして、新聞古紙60%、雑誌古紙40%で米坪を35g/m2を使用して5層に抄き合わせ、米坪170g/m2のライナー原紙を得た。なお、表層には、紙力剤(商品名:ポリストロンP−1222、荒川化学工業社製)1.3%、硫酸バンド3%、サイズ剤(商品名:サイズパインSPN−815、荒川化学工業社製)2.5%を添加した。また、表下層、中層、裏層には、紙力剤(商品名:ポリストロンP−1222、前出)0.1%添加した。
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、BASF社製)70部に対して、タルク(商品名:NK−KCL、兼松ケミカル社製)25部、カオリン(商品名:コンツァー1500、イメリス社製)5部、接着剤(商品名:B−1535、旭化成社製)を28部、合成保水剤(商品名:SN−924、サンノプコ社製)0.4部(いずれも固形分換算)からなる塗工液を、濃度40%となるよう調製した。調製した塗料を上記の170g/m2のライナー原紙にバーコーターで乾燥重量が6g/m2(固形分)となるように塗工、乾燥後、2Nipのカレンダー処理をして塗工ライナーを得た。
実施例2
実施例1において、焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、前出)40部、タルク(商品名:NK−KCL、前出)60部、接着剤(商品名:B−1535、前出)25部とした以外は実施例1と同様な方法で塗工ライナーを得た。
実施例3
実施例1において、焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、前出)80部、タルク(商品名:NK−KCL、前出)5部、二酸化チタン(商品名:KA−100、東京ケミカル社製)15部とした以外は実施例1と同様な方法で塗工ライナーを得た。
比較例1
実施例1において、焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、前出)100部とした以外は、実施例1と同様にして塗工ライナーを得た。
比較例2
実施例1において、タルク(商品名:NK−KCL、前出)100部とした以外は、実施例1と同様にして塗工ライナーを得た。
比較例3
実施例1で使用したライナー原紙に表面サイズ剤(商品名:PM385、荒川化学工業社製)のみを0.2g/m2塗布した。
得られた塗工ライナーについて、下記の方法で評価を行い、得られた結果を表1に示した。なお、本発明における印刷ライナーの測定及び評価については特に記載のない限り、23℃、50%RHの環境下で行った。
(白色度)
白色度は分光白色度測色計(スガ試験機社製)を用い、JIS P 8148に準じて求めた。
(平滑度)
JAPAN TAPPI No.5−2:2000に準じ、王研式平滑度計(ASAHI−SEIKO社製)を使用した。
(滑り角度)
段ボール業界規格T0005:2000記載の傾斜法に準拠した。塗工ライナーを段ボールシートに加工し、塗工ライナー表面同士を重ね合わせた上に、2kgの重りをのせ、傾斜させたときに滑り始める角度を測定した。
(フレキソ印刷におけるインキの発色性、均一性)
K印刷プルーファー(RK Print−Coat Instruments社製)、100線/インチに彫刻したアニロックスプレートで、水性フレキソ藍インキ(商品名:アクワコンテGN39SA藍、東洋インキ社製)を使用して、得られた塗工ライナーに印刷した。印刷した面をカラー反射濃度計(Model404G、X−Rite社製)でシアンインキ濃度を計測した。
フレキソ印刷均一性については、下記の目視評価を行った。
◎:フレキソ印刷面の均一性が優れている。
○:フレキソ印刷面にやや濃淡ムラが見られる。
×:フレキソ印刷面に濃淡ムラが顕著に見られる。
(網点再現性)
印刷局式グラビア印刷試験機(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No24に準拠)で、インキは水性フレキソインキ(商品名:FK−99D−260くろPR−7、サカタインクス社製)を使用して印刷。50%の階調部を25倍に拡大し、網点の状態を下記の官能評価で行った。
○:網点の形状が明らかに認められるが、一部欠損がある。
△:網点の形状が認められるが、欠損部が全体の半分以上ある。
×:網点の形状が認められない。
(加工時汚れ評価)
得られたライナーをコルゲーターで中芯(商品名:S120、王子板紙社製)と裏ライナー(商品名:SF210、王子板紙社製)を使用して貼合し、Aフルート形態で段ボールシートを作成した。その後、製函工程を経て段ボールケースを作成した。貼合、製函工程における汚れは下記の基準で官能評価を行った。
◎:ライナー表面に異物付着による汚れが全く見られない。
○:ライナー表面に異物付着による汚れがわずかに見られるが、実用上問題ないレ
ベルである。
×:ライナー表面に異物付着による汚れが著しくみられ、実用上問題があるレベル
である。
(荷崩れ評価)
得られライナーを長さ46cm、幅32cm、深さ29cmの段ボールケースに加工した後、2個の段ボールケースに中身を入れずに、側面を重ねて台車上に置き、傾斜角8°、スロープ面の距離が2mの斜面上の上り下りを10往復した。上の段ボールケースが落下するか否かで評価を行った。
○:段ボールケースが落下しない。
×:段ボールケースが落下した。
Figure 2010053462
上記表1で明らかなように、実施例1、3は、フレキソ印刷のインキ濃度が高く、均一性に優れている。実施例2は焼成カオリン配合量がやや少ないため、フレキソインキ濃度はやや劣るものの、滑り角度は通常の運搬、保管時において荷崩れを起こさない範囲であり、且つ加工時の汚れが出難い。これに対して、比較例1は、フレキソインキ濃度、均一性に優れ、滑り角度は53度と非常に高く、荷崩れの恐れはないが、滑らないため、加工時において汚れが発生し、製品価値が低下してしまった。顔料配合に焼成カオリンが含まれていない比較例2は、インキ濃度が低く、印刷面の均一性も劣る。比較例3は、顔料塗工層がないためフレキソインキが染み込んでしまい、ムラとしては視認し難く、印刷均一性としては優れているが、インキ濃度が低く、フレキソ印刷品質が劣っており、また、網点再現性も劣る。
以上の通り、本発明によりフレキソ印刷インキ、特に水性フレキソインキに対して優れたインキ発色性と印刷面の仕上がりを持ち、段ボール箱加工後、商品入れて運搬、保管する際には荷崩れが発生し難い塗工ライナーおよびそれを用いた段ボールシートを提供することが可能となった。

Claims (5)

  1. 少なくとも2層以上の多層抄きで構成される原紙の片面に顔料と接着剤とを含有する塗工層を設けてなる塗工ライナーにおいて、該塗工層中の顔料として焼成カオリン及びタルクを含有し、且つ塗工ライナーの塗工面の滑り角度が18〜50度であることを特徴とする塗工ライナー。
  2. 前記塗工ライナーの表面の白色度が50〜85%である請求項1記載の塗工ライナー。
  3. 前記塗工層中の焼成カオリンの含有量が全顔料100質量部当たり30〜95質量部である請求項1または2記載の塗工ライナー。
  4. 前記塗工層中のタルクの含有量が顔料100重量部に対して5〜50重量部である請求項1〜3のいずれか1項記載の塗工ライナー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の塗工ライナーを用いた段ボールシート。
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