JP2010052350A - 画像書換方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発色同時消色を可能にでき、しかも記録媒体にダメージを与えることはなく、記録媒体の全領域にわたって任意の画像パターンを良好に多数回書換形成できるようにする。
【解決手段】可逆性感熱記録媒体10をレーザアレイ露光手段20で露光して、可逆性感熱記録媒体10の発色すべき画素を発色条件に加熱し、同時に可逆性感熱記録媒体10の消色すべき画素を消色条件に加熱して、可逆性感熱記録媒体10上に画像形成を行う場合において、スポット半径w0を画素半径r0で割った値w0/r0が、w2/r0≦w0/r0≦w1/r0なる関係を満たすように設定されたレーザビーム21で、可逆性感熱記録媒体10を露光する。
【選択図】 図1
【解決手段】可逆性感熱記録媒体10をレーザアレイ露光手段20で露光して、可逆性感熱記録媒体10の発色すべき画素を発色条件に加熱し、同時に可逆性感熱記録媒体10の消色すべき画素を消色条件に加熱して、可逆性感熱記録媒体10上に画像形成を行う場合において、スポット半径w0を画素半径r0で割った値w0/r0が、w2/r0≦w0/r0≦w1/r0なる関係を満たすように設定されたレーザビーム21で、可逆性感熱記録媒体10を露光する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光エネルギーを熱エネルギーに変換して可逆性感熱記録媒体に付与し、さらにこの熱エネルギーを制御することにより発色及び消色を可能として、前記記録媒体に対して非接触で画像等のデータの記録,消去を行う画像書換技術に関する。
近年、無色ないし淡色のロイコ染料と、加熱・冷却よりこのロイコ染料を発色させ、再加熱して消色させる可逆性を有する顕色剤とを用いた可逆性感熱記録媒体が開発され、実用化されている。このような可逆性感熱記録媒体に対して画像を記録、消去する画像書換技術としては、従来、微小な発熱体をアレイ上に集積してなるサーマルヘッドを用いた技術が知られている。
従来のサーマルヘッドを用いた技術では、十分な熱伝導を得るためにサーマルヘッドを記録媒体に圧接する必要がある。このため、画像形成時にはサーマルヘッドが記録媒体と接触走行するため、サーマルヘッドの表面と記録媒体の表面との磨耗が避けられなかった。また、記録媒体は多数回利用されるため、使用時における記録媒体表面の汚れや異物がサーマルヘッド表面に付着・蓄積・固着し、これがサーマルヘッドの表面の劣化を加速させ、さらには劣化したサーマルヘッドの表面により記録媒体表面の劣化も加速する。このため、サーマルヘッドのメンテナンス、交換、さらには記録媒体表面のクリーニングが必要であった。
そこで、このような技術的課題を解決するための画像書換技術が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されている技術は、光吸収熱変換層を積層するか、もしくはロイコ染料と可逆性顕色剤を含有する記録層に光吸収熱変換材料を混合した可逆性感熱記録媒体に、1本または複数本のレーザビームをこの記録媒体上に合焦させ走査することで、光エネルギーを熱エネルギーに変換せしめ、記録媒体上に画像を非接触で形成しようとするものである。
一方、従来、光プリンタ、複写機等の電子写真装置では、アレイ状に配列された光源に集光レンズを組み合わせたLEDアレイ等が露光装置として使用されている。そして、このようなアレイ状の露光装置を用いて良好な画像を得るためのレーザビームのスポット径、露光エネルギー、感光体の感度等の最適化条件は、特許文献2に開示されている
特開2003−246144号公報
特開平07−061036号公報
特許文献1に開示されているように、可逆性感熱記録媒体上を1本または複数本のレーザビームがラスタ走査して画像形成する場合には、副走査方向に連続発色する画像形成が困難である。
すなわち、ラスタ走査は、1本のレーザビームが可逆性感熱記録媒体上を主走査すると同時に、主走査方向と直行方向の副走査方向に可逆性感熱記録媒体を移動させる。このため、主走査の時間間隔が長いと、前回のレーザビームにより発色条件まで加熱・溶融した記録媒体上の画素が、次のレーザビームの走査までに冷却されてしまう。次のレーザビームの走査では、レーザビームによる露光エネルギーの密度分布がガウス分布しているため、そのガウス分布の裾の部分が前回の発色画素にかかる。ここで、可逆性感熱記録媒体の消色可能温度帯域は、発色可能温度帯域よりも低い。このため、小さい露光エネルギー密度を示すレーザビームの外郭部分で、前回の発色画素を消色してしまう。したがって、主走査方向に長い画角の画像を形成する場合には、副走査方向に連続発色する画像の形成が困難である。また、レーザビームの露光エネルギー密度が過大な場合には、可逆性感熱記録媒体の熱伝導により、前回の発色画素が消色条件を満たしてしまう場合もある。
このような、発色した画素の一部が再露光で消色してしまう現象を防止するためには、特許文献2に開示されているように、アレイ状に配列されたレーザビームからなるレーザアレイを露光手段に用いることが考えられる。露光手段にレーザアレイを用いた場合には、可逆性感熱記録媒体の移動方向と直交する方向のすべての画素に対応するレーザビームが1ラインに配列されているので、その1ラインの画素すべてを同時に露光できる。したがって、次のラインをレーザビームで露光するまでの時間間隔は十分に短くできるので、前回のレーザビームにより発色条件まで加熱・溶融した可逆性感熱記録媒体の画素の温度は、次のレーザビームの走査まで発色条件に維持される。
しかしながら、露光手段にレーザアレイを用いた場合においても、可逆性感熱記録媒体をムラなく発色および消色して画像形成を行うにはいくつかの問題点がある。例えば、レーザビームの露光エネルギー密度分布はガウス分布している。このため、そのガウス分布の裾に相当する部分まで可逆性感熱記録媒体を発色させようとすると、レーザビームの中心部分では露光エネルギー密度が過剰になり、この中心部分では発色条件以上に温度上昇して、発色に必要な冷却速度が得られず逆に消色してしまう場合がある。また、ガウス分布の裾に相当する部分まで可逆性感熱記録媒体を消色させようとした場合には、レーザビームの中心部分では露光エネルギー密度が大きくなり過ぎて発色条件に達し、画素の中心部分が発色してしまう場合がある。さらに、過大な露光エネルギー密度では、熱分解、熱変形等の重大なダメージを可逆性感熱記録媒体に与え、記録媒体の書換え寿命を低減させてしまう蓋然性もある。このような画質の低下現象、性能の劣化現象は、レーザビームのスポット半径、露光エネルギー密度分布、可逆性感熱記録媒体の発色および消色特性との関係が適切に設定されていないために発生する。
ところで、露光手段にレーザアレイを用いた場合には、1ラインのすべての画素に対して同時に個別露光することが可能である。そこで、発色画素、消色画素に対して同時にそれぞれの条件で露光すると、発色同時消色、すなわち消去同時書込みができる可能性がある。これにより、ハロゲンランプや温風吹き出し装置等を用いて記録媒体を一様に加熱して消色していた従来の消色手段が不要になる。
レーザビームのスポット半径はすべて同一に固定されている。このため、露光条件を、発色画素、消色画素に対して同時に個別に制御するには、パルス幅変調制御やパワー変調制御等により、レーザビームの発光を制御して、記録媒体面上で露光エネルギー密度の制御を行えばよい。しかしながら、このように制約の多い発色および消色特性の2つを同時に満たす条件に関して開示している技術は現時点で全くなく、レーザアレイによる発色同時消色は実現されていないのが実情である。しかも、この発色および消色特性の2つを同時に満たす条件は、すべての形成すべき画像パターンに対応していなければならない。このため、発色同時消色の実現は極めて困難である。
前述したように、電子写真装置においては、各種のアレイ状露光装置の使用条件、設定条件が提案されている。しかしながら、これらは、感光体の感度等の電子写真材料やプロセスに対して最適化されているものであり、そのままの条件で、可逆性感熱記録方法における発色および消色特性に関して適用できるものではない。
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、レーザビームが可逆性感熱記録媒体の移動方向と直交する方向に配列されたレーザアレイからなる露光手段を用いて、発色同時消色を可能にし、かつ記録媒体にダメージを与えず、記録媒体の全領域にわたって任意の画像パターンを良好に多数回書換形成できる画像書換方法及び装置を提供しようとするものである。
本発明は、媒体の温度および温度変化速度の違いにより選択的に発色状態または消色状態をなす可逆性感熱記録媒体と、複数の独立駆動されるレーザビームが可逆性感熱記録媒体の移動方向と直交する方向に配列されたレーザアレイ露光手段とを用い、可逆性感熱記録媒体をレーザアレイで露光して、可逆性感熱記録媒体の発色すべき画素を発色条件に加熱し、同時に可逆性感熱記録媒体の消色すべき画素を消色条件に加熱して、可逆性感熱記録媒体上に画像形成を行う画像書換技術である。
すなわち、w0を、レーザアレイ露光手段から出射される1つのレーザビームの可逆性感熱記録媒体上における結像スポットが形成する露光エネルギー密度分布において、露光エネルギー密度の1/e2を示す結像スポットの中心からの距離であるレーザビームの可逆性感熱記録媒体上のスポット半径とし、r0を、レーザアレイ露光手段から出射される複数のレーザビームの可逆性感熱記録媒体上における隣接する結像スポットの中心間距離の1/2長さである画素半径とする。
また、χを変数、aをパラメータとした方程式および変数χの関係式をそれぞれ次式(1)及び(2)とする。
1-a4χ+4χ2+4χ4-a8χ5=0 …(1)
w0/r0=2/log(1/χ)1/2 …(2)
さらに、パラメータaを“1”としたときの方程式(1)の解χ1=0.5を用いて、スポット半径w1を画素半径r0で割った値w1/r0を[w1/r0=2/log(1/χ1)1/2]とし、可逆性感熱記録媒体の特性として、Mcを最小発色エネルギー密度とし、Mcmを最大発色エネルギー密度とし、Mdを最小消色エネルギー密度とし、Mdmを最大消色エネルギー密度としたとき、Mdm/Md、Mcm/Mcの2つの値から小さい方の値をパラメータaとしたときの方程式(1)の解χ2を用いて、スポット半径w2を画素半径r0で割った値w2/r 0を[w2/r 0=2/log(1/χ2)1/2]とする。
w0/r0=2/log(1/χ)1/2 …(2)
さらに、パラメータaを“1”としたときの方程式(1)の解χ1=0.5を用いて、スポット半径w1を画素半径r0で割った値w1/r0を[w1/r0=2/log(1/χ1)1/2]とし、可逆性感熱記録媒体の特性として、Mcを最小発色エネルギー密度とし、Mcmを最大発色エネルギー密度とし、Mdを最小消色エネルギー密度とし、Mdmを最大消色エネルギー密度としたとき、Mdm/Md、Mcm/Mcの2つの値から小さい方の値をパラメータaとしたときの方程式(1)の解χ2を用いて、スポット半径w2を画素半径r0で割った値w2/r 0を[w2/r 0=2/log(1/χ2)1/2]とする。
このとき、スポット半径w0を画素半径r0で割った値w0/r0が、w2/r0≦w0/r0≦w1/r0なる関係を満たすように設定されたレーザビームで、可逆性感熱記録媒体で露光するようにしたものである。
かかる手段を講じた本発明によれば、発色同時消色を可能にでき、しかも記録媒体にダメージを与えることはなく、記録媒体の全領域にわたって任意の画像パターンを良好に多数回書換形成できる画像書換方法及び装置を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
はじめに、画像書換装置の基本構成について説明する。画像書換装置の概略断面図を図1に示し、概略斜視図を図2に示す。画像書換装置は、光熱変換型の可逆性感熱記録媒体10(以下、記録媒体10と称する)に、露光手段としてのレーザアレイモジュール20を用いて、例えば幅100mmの画像を、380mm/sec程度の媒体搬送速度、0.125mm×0.125mmの画素で画像形成するものである。
はじめに、画像書換装置の基本構成について説明する。画像書換装置の概略断面図を図1に示し、概略斜視図を図2に示す。画像書換装置は、光熱変換型の可逆性感熱記録媒体10(以下、記録媒体10と称する)に、露光手段としてのレーザアレイモジュール20を用いて、例えば幅100mmの画像を、380mm/sec程度の媒体搬送速度、0.125mm×0.125mmの画素で画像形成するものである。
光吸収熱変換機能を有する記録媒体10は、周知の搬送ベルトや搬送ローラ等からなる媒体搬送装置90により、図示矢印Yで示す方向(以下、媒体搬送方向Yと称する)に一定速度で搬送される。画像書換装置は、媒体搬送方向Yに一定速度で搬送される記録媒体10の表面に対し、レーザアレイモジュール20から、媒体搬送方向Yと直交する方向Χ(以下、ライン露光方向Xと称する)でアレイ状に配列されたレーザビーム21を個別に駆動して露光する。これにより、記録媒体10の必要な部分が画像様に発色および消色する。すなわち前回の記録画像11は、今回形成される画像の背景部に相当する部分が消色され、今回形成される画像の部分が発色して、今回の記録画像12となる。
幅100mmの画像で画素の大きさを0.125mm×0.125mmと仮定すると、レーザアレイモジュール20は、ライン露光方向Χと同じアレイ集積方向Χに、画素のピッチと同じ0.125mmピッチでレーザビーム21の発光点を800個並べたレーザビームアレイを形成する。ただし、レーザアレイモジュール20の左右の端部のそれぞれ2個ずつのレーザビーム21は、端部の露光エネルギー密度分布を適正化するために使用する。すなわち、この部分は、画像形成の範囲外とする。
このようなレーザアレイモジュール20は、レーザアレイドライバ24と、半導体レーザアレイ23と、集光光学系22とによって構成される。半導体レーザアレイ23は、例えば800個のレーザビーム21に対応するために、1個あたり16個のレーザビームを出射することが可能な50個の半導体レーザチップからなる。半導体レーザチップは、レーザアレイドライバ24によってレーザビーム21毎に個別に駆動制御が可能であり、かつ、パルス幅に従ったON/OFF制御によるパルス幅変調制御及びパワー設定値に従ったパワーレベル制御によるパワー変調制御が可能である。
半導体レーザアレイ23から出射した光線は、レンズからなる集光光学系22によって、記録媒体10の面上に、所定のスポット半径を有する結像スポットを形成する。集光光学系22は固定されているため、記録媒体10の面上でのスポット半径は初期設定のまま固定される。したがって、前述したパルス幅変調制御とパワー変調制御のどちらか一方、あるいは両方の組み合わせにより、記録媒体10の面上で1つのレーザビーム21の露光エネルギー密度の制御を行うことができる。
なお、記録媒体10の面上で、1つのレーザビーム21の光強度が50〜200mW程度必要となる場合には、レーザアレイモジュール20全体の光出力は、40〜160mW程度となる。また、レーザアレイドライバ24によって半導体レーザアレイ23を時分割駆動することも可能である。例えば、半導体レーザチップの駆動時間を1/3とし、逆に1つのレーザビームの光強度を150〜210mW程度とすると、レーザアレイモジュール20全体の光出力は40〜56mWを保持し、単位記録面積あたりの必要エネルギーを確保している。
次に、本実施の形態で使用する記録媒体10について説明する。記録媒体10の概略断面図を図3に示す。図示するように、記録媒体10は、支持体13上に可逆性感熱記録層14を積層し、その上にさらに保護層15を積層した構造となっている。可逆性感熱記録層14は、少なくとも、ロイコ染料と可逆性顕色剤と光吸収熱変換材料とからなる。
なお、使用可能な記録媒体10としては、ロイコ染料と可逆性顕色剤とから可逆性感熱記録層14を支持体13上に積層し、さらにその上に光吸収熱変換材料からなる光熱変換層を積層したものであってもよい。また、ロイコ染料と可逆性顕色剤と光吸収熱変換材料とからなる可逆性感熱記録層14を支持体13上に積層し、さらにその上に光吸収熱変換材料からなる光熱変換層を保護層15として積層したものであってもよい。また、光吸収熱変換材料の吸収波長を持つ光の平均透過率が、光吸収熱変換材料を含んだ可逆性感熱記録層14において例えば30%以上ある場合には、可逆性感熱記録層14の直下に光吸収熱変換材料からなる光熱変換層を積層することも可能である。
以下、各層の材料について説明する。はじめに、ロイコ染料について説明する。使用可能なロイコ染料としては、例えば下記の特許文献3、4、5に開示されているものがある。なお、ロイコ染料は、これに限定されるものではない。
[特許文献3]特開2001-162941号公報
[特許文献4]特開2004-345273号公報
[特許文献5]特開平11-151856号公報
次に、可逆性顕色剤について説明する。可逆性顕色剤には、長鎖アルキル基を有するフェノール化合物が使用される。このような可逆性顕色剤についても、前記特許文献3、4、5に開示されている。ただし、本実氏の形態では、高速消色性を有する可逆性顕色剤に限定する必要があるため、特に特許文献3に開示されている可逆性顕色剤の使用が望ましい。また、特許文献3に開示されているように、他の可逆性顕色剤であってもロイコ染料と混合して生成された可逆性感熱記録材料に関して、加熱溶融、急冷して得られた発色状態の可逆性感熱記録材料が、示差走査熱量分析または示差熱分析によって、その昇温過程で発熱ピークを示さずに消色状態に転移する場合には使用可能である。この場合、少ない熱エネルギーの授受で瞬時に発色状態から消色状態に転移することができる。したがって、本実施の形態で使用可能な可逆性感熱記録材料に関しては、高速消色性を有することが要件であり、ロイコ染料及びそれに適する可逆性顕色剤に限定されるものではない。
[特許文献4]特開2004-345273号公報
[特許文献5]特開平11-151856号公報
次に、可逆性顕色剤について説明する。可逆性顕色剤には、長鎖アルキル基を有するフェノール化合物が使用される。このような可逆性顕色剤についても、前記特許文献3、4、5に開示されている。ただし、本実氏の形態では、高速消色性を有する可逆性顕色剤に限定する必要があるため、特に特許文献3に開示されている可逆性顕色剤の使用が望ましい。また、特許文献3に開示されているように、他の可逆性顕色剤であってもロイコ染料と混合して生成された可逆性感熱記録材料に関して、加熱溶融、急冷して得られた発色状態の可逆性感熱記録材料が、示差走査熱量分析または示差熱分析によって、その昇温過程で発熱ピークを示さずに消色状態に転移する場合には使用可能である。この場合、少ない熱エネルギーの授受で瞬時に発色状態から消色状態に転移することができる。したがって、本実施の形態で使用可能な可逆性感熱記録材料に関しては、高速消色性を有することが要件であり、ロイコ染料及びそれに適する可逆性顕色剤に限定されるものではない。
次に、光吸収熱変換材料について説明する。光吸収熱変換材料としては、光熱変換色素が用いられる。具体的な例としては、フタロシアニン化合物、金属錯体化合物、ポリメチン化合物、ナフトキノン系化合物等が挙げられ、可逆性感熱記録層14に分散状態または分子状態で含有することができる。好ましくは、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性、紫外線に対する耐光性の点でフタロシアニン化合物、金属錯体化合物が挙げられ、とくに特にフタロシアニン化合物が好ましい。さらに詳しくは、前記特許文献3、4、5に開示されているものが使用可能である。本実施の形態では、使用するレーザビーム21の波長808nm〜803nm付近に吸収ピークを持つ光吸収熱変換材料を選択する。
ところで、可逆性感熱記録層14には、性能向上のために各種のバインダー、添加剤等を使用することが可能であり、これらについては前記特許文献3、4、5に開示されている。例えば、可逆性感熱記録層の強度を向上し、可逆性感熱記録層の組成物の各素材が、加熱・冷却当によって偏在することなく均一に分散するための耐熱性樹脂等のバインダーが挙げられている。また、発色感度および消去温度を調整するための熱可融性物質等が挙げられている。
次に、支持体13について説明する。支持体13は、単に可逆性感熱記録層14を支持する機能だけではなく、発色時における加熱後の冷却工程において熱の吸収体としての機能を果たしている。このため、支持体13には所定の熱伝導率と比熱を有するポリエチレンテレフタレート、ポリプロポレン等の合成樹脂フィルムが使用される。具体的に使用できる材料に関しては、前記特許文献3、4、5に開示されている。
次に、保護層15について説明する。記録媒体10としては、可逆性感熱記録層14の上の最外層として保護層15が積層することが望ましい。本実施の形態では、記録媒体10は非接触で画像を書換えるので、基本的に加熱・冷却以外に記録媒体10にはダメージを与えない。しかしながら、記録媒体10のライフサイクル全体では、書換え後が記録媒体本来の役割を果たす使用段階となる。この使用段階では、擦過、打撃、折り曲げ、紫外線照射等のさまざまダメージを受ける。このため、ハードコート層である保護層15が必要になる。特に、光吸収熱変換材料としての光熱変換色素やロイコ染料は、紫外線吸収により大きなダメージを受ける可能性が高いので、各種の紫外線吸収剤を保護層15に混入する必要がある。使用可能な各種の紫外線吸収剤を含めた保護層の材料は、前記特許文献4、5に開示されている。
なお、一般に光吸収熱変換材料としては、近赤外領域の吸収波長を持つものを使用し、ロイコ染料の発色波長域は可視域であるので、最上部の保護層15が紫外線のみを吸収する場合には、光吸収熱変換材料もロイコ染料もその機能に悪影響を与えられることはない。
次に、レーザビーム21の露光エネルギー密度について説明する。はじめに、露光エネルギー密度のガウス分布について説明する。
前記特許文献2を参照することにより、記録媒体10上において円形をなすレーザビーム21の結像スポットは、スポット中心の強度(以下、中心強度と称する)をI0[w/m2]とすると、スポット中心からの距離(半径)r[m]に対して、次式 (1.1)で示すガウス分布の強度分布I(r)[w/m2]を持つ。
前記特許文献2を参照することにより、記録媒体10上において円形をなすレーザビーム21の結像スポットは、スポット中心の強度(以下、中心強度と称する)をI0[w/m2]とすると、スポット中心からの距離(半径)r[m]に対して、次式 (1.1)で示すガウス分布の強度分布I(r)[w/m2]を持つ。
I(r)=I0exp(-2r2/w0 2) …(1.1)
ここで、w0は1/e2スポット半径(以下、スポット半径と称する)であり、r=w0のとき次式(1.2)の関係を満たしている。
ここで、w0は1/e2スポット半径(以下、スポット半径と称する)であり、r=w0のとき次式(1.2)の関係を満たしている。
I(w0)=I0exp(-2)=I0/e2 …(1.2)
さらに、前記特許文献2を参照することにより、レーザビーム21の露光時間内に記録媒体10が移動する距離が、ビーム半径w0に対して十分短い場合には、レーザビーム21による結像スポットの露光エネルギー密度分布E(r)[J/m2]はガウス分布で近似できる。そこで、画素形成時間すなわち1画素あたりのレーザ露光時間t0[sec]を用いると、式(1.1)は、次式(1.1′)に変形できる。
さらに、前記特許文献2を参照することにより、レーザビーム21の露光時間内に記録媒体10が移動する距離が、ビーム半径w0に対して十分短い場合には、レーザビーム21による結像スポットの露光エネルギー密度分布E(r)[J/m2]はガウス分布で近似できる。そこで、画素形成時間すなわち1画素あたりのレーザ露光時間t0[sec]を用いると、式(1.1)は、次式(1.1′)に変形できる。
I(r)・t0=I0・t0exp(-2r2/w0 2) …(1.1′)
ところで、スポット中心の露光エネルギー密度(以下、中心露光エネルギー密度と称する)をE00[J/m2]とすると、レーザビーム21による結像スポットの露光エネルギー密度分布E(r)[J/m2]は、次式(1.3)で表わされる。
ところで、スポット中心の露光エネルギー密度(以下、中心露光エネルギー密度と称する)をE00[J/m2]とすると、レーザビーム21による結像スポットの露光エネルギー密度分布E(r)[J/m2]は、次式(1.3)で表わされる。
E00=I0・t0 …(1.3)
そこで、[E(r)=I(r)・t0]と置き換えると、前記式(1.1′)は、次式(1.4)となる。
そこで、[E(r)=I(r)・t0]と置き換えると、前記式(1.1′)は、次式(1.4)となる。
E(r)=E 00exp(-2r2/w0 2) …(1.4)
したがって、記録媒体10上におけるレーザビーム21の結像スポットは、スポット中心からの距離r[m]に対して式(1.4)で示すガウス分布の露光エネルギー密度E(r)[J/m2]を持つ。
したがって、記録媒体10上におけるレーザビーム21の結像スポットは、スポット中心からの距離r[m]に対して式(1.4)で示すガウス分布の露光エネルギー密度E(r)[J/m2]を持つ。
ここで、[r=w0]のとき、式(1.4)は、次式(1.4′)となる。
E(w0)=E 00exp(-2)=E 00/e2 …(1.4′)
したがって、式(1.4)で示すガウス分布の露光エネルギー密度E(r)[J/m2]は、距離w0においては、中心露光エネルギー密度E 00の1/e2となる。このような距離w0をスポット半径と称する。
したがって、式(1.4)で示すガウス分布の露光エネルギー密度E(r)[J/m2]は、距離w0においては、中心露光エネルギー密度E 00の1/e2となる。このような距離w0をスポット半径と称する。
次に、ガウス分布の無次元化について説明する。レーザビーム21の結像スポットの露光エネルギー密度と記録媒体10の発色および消色特性との関係を検討していくにあたり、露光エネルギー密度と発色および消色特性の関係は相対的であるので、それぞれの値を絶対値ではなく、基準値で割ることにより無次元化して扱う。これにより、露光エネルギー密度と発色および消色特性の絶対値が使用する条件、材料等が変化しても、一定の設定基準を提供できる。
先ず、アレイ状に配列されたレーザビーム21のピッチは、形成する画素(ドット)のピッチと同一である。この画素(ドット)ピッチの1/2を画素半径r0[m]とし、この画素半径r0に対するスポット半径の指標として、変数χ(スポット半径指標)を導入する。そうすると、次式(1.5)で示す関係が成立する。
w0/r0=2/(log(1/χ))1/2 …(1.5)
ここで、スポット中心からの距離rを画素半径r0で無次元化し、スポット中心からの無次元距離γ(以下、偏差距離と称する)を導入する。偏差距離γは、次式(1.6)で示される。
ここで、スポット中心からの距離rを画素半径r0で無次元化し、スポット中心からの無次元距離γ(以下、偏差距離と称する)を導入する。偏差距離γは、次式(1.6)で示される。
γ=r/r0 …(1.6)
式(1.5)と式(1.6)を式(1.4)に代入すると、次式(1.7)となる。
式(1.5)と式(1.6)を式(1.4)に代入すると、次式(1.7)となる。
E(r)=E00χ^(γ2/2) …(1.7)
ここで、記録媒体10の発色および消色特性のエネルギー密度を、以下のとおり定義する。すなわち、最小発色エネルギー密度をMc [J/m2]と定義し、最大発色エネルギー密度をMcm[J/m2]と定義し、最小消色エネルギー密度をMd [J/m2]と定義し、最大消色エネルギー密度をMdm[J/m2]と定義する。そして、これらのエネルギー密度Mc [J/m2],Mcm[J/m2],Md [J/m2],Mdm[J/m2]を、最小発色エネルギー密度Mcを用いて無次元化すると、以下のとおりとなる。すなわち、無次元化最小発色エネルギー密度ξc は[Mc/Mc=1]となり、無次元化最大発色エネルギー密度ξcmは[Mcm/Mc]となり、無次元化最小消色エネルギー密度ξdは[Md/Mc]となり、無次元化最大消色エネルギー密度ξdmは[Mdm/Mc]となる。
ここで、記録媒体10の発色および消色特性のエネルギー密度を、以下のとおり定義する。すなわち、最小発色エネルギー密度をMc [J/m2]と定義し、最大発色エネルギー密度をMcm[J/m2]と定義し、最小消色エネルギー密度をMd [J/m2]と定義し、最大消色エネルギー密度をMdm[J/m2]と定義する。そして、これらのエネルギー密度Mc [J/m2],Mcm[J/m2],Md [J/m2],Mdm[J/m2]を、最小発色エネルギー密度Mcを用いて無次元化すると、以下のとおりとなる。すなわち、無次元化最小発色エネルギー密度ξc は[Mc/Mc=1]となり、無次元化最大発色エネルギー密度ξcmは[Mcm/Mc]となり、無次元化最小消色エネルギー密度ξdは[Md/Mc]となり、無次元化最大消色エネルギー密度ξdmは[Mdm/Mc]となる。
さらに、最小発色エネルギー密度Mcを用いて、露光エネルギー密度に関して無次元化すると、以下のとおりとなる。すなわち、偏差距離γにおける無次元化露光エネルギー密度ε(γ)は[E(r)/Mc]となり、無次元化中心露光エネルギー密度ε00は[E00/Mc]となる。これらより、前記式(1.6)は、次式(1.8)となる。
ε(γ)=ε00χ^(γ2/2) …(1.8)
この式(1.8)は、無次元化されたガウス分布のエネルギー密度分布を表す。以下、特にことわりのないかぎり、無次元化最小発色エネルギー密度等を最小発色エネルギー密度等と称する。同様に、無次元化中心露光エネルギー密度を中心露光エネルギー密度と称する。
この式(1.8)は、無次元化されたガウス分布のエネルギー密度分布を表す。以下、特にことわりのないかぎり、無次元化最小発色エネルギー密度等を最小発色エネルギー密度等と称する。同様に、無次元化中心露光エネルギー密度を中心露光エネルギー密度と称する。
次に、レーザビーム21のビームエネルギー密度について説明する。
前記特許文献2を参照することにより、設定されたスポット半径w0から、レーザアレイモジュール20で使用するレーザビーム21のパワーP[w]を算出することができる。すなわち、1つのレーザビーム21のパワーP[w]は、次式(1.9)によって算出される。
前記特許文献2を参照することにより、設定されたスポット半径w0から、レーザアレイモジュール20で使用するレーザビーム21のパワーP[w]を算出することができる。すなわち、1つのレーザビーム21のパワーP[w]は、次式(1.9)によって算出される。
P=1/2・I0πw0 2 …(1.9)
式(1.9)は、次式(1.9′)のように変形できる。
式(1.9)は、次式(1.9′)のように変形できる。
P/(πr0 2)=1/2・I0(w0/r0)2 …(1.9′)
そこで、式(1.9′)の両辺に画素形成時間すなわち1画素あたりのレーザ露光時間t0[sec]をかけてエネルギー密度に変換する。そうすると、式(1.9′)は、次式(1.10)となる。
そこで、式(1.9′)の両辺に画素形成時間すなわち1画素あたりのレーザ露光時間t0[sec]をかけてエネルギー密度に変換する。そうすると、式(1.9′)は、次式(1.10)となる。
t0P/(πr0 2)=1/2・I0t0(w0/r0)2 …(1.10)
式(1.10)に式(1.3)を代入すると、次式(1.10′)となる。
式(1.10)に式(1.3)を代入すると、次式(1.10′)となる。
t0P/(πr0 2)=1/2・E00(w0/r0)2 …(1.10′)
ここで、画像形成に必要な光エネルギーの大小を比較するために、一つのレーザビーム21のビーム露光エネルギーを画素半径からなる円の面積(πr0 2)で割った値をUr[J/m2]とする。すなわち、[Ur=t0P/(πr0 2)]と定義し、これを式(1.10′)に代入すると、式(1.10′)は次式(1.11)となる。
ここで、画像形成に必要な光エネルギーの大小を比較するために、一つのレーザビーム21のビーム露光エネルギーを画素半径からなる円の面積(πr0 2)で割った値をUr[J/m2]とする。すなわち、[Ur=t0P/(πr0 2)]と定義し、これを式(1.10′)に代入すると、式(1.10′)は次式(1.11)となる。
Ur=1/2・E00(w0/r0)2 …(1.11)
さらに、式(1.9)を最小発色エネルギー密度Mc[J/m2]で割って無次元化した無次元化ビームエネルギー密度をρrとする。すなわち、[ρr=Ur/Mc]と定義し、これを式(1.11)に代入すると、式(1.11)は次式(1.12)となる。
さらに、式(1.9)を最小発色エネルギー密度Mc[J/m2]で割って無次元化した無次元化ビームエネルギー密度をρrとする。すなわち、[ρr=Ur/Mc]と定義し、これを式(1.11)に代入すると、式(1.11)は次式(1.12)となる。
ρr=ε00(w0/r0)2/2 …(1.12)
さらに、式(1.5)を用いると、式(1.12)は次式(1.13)となる。
さらに、式(1.5)を用いると、式(1.12)は次式(1.13)となる。
ρr=ε002/log(1/χ) …(1.13)
無次元化ビームエネルギー密度ρrは、画素面積の絶対値にかかわらないので、画像形成に必要な露光エネルギーの大小の比較に使用できる。以下、特にことわりのないかぎり、無次元化ビームエネルギー密度を、単にビームエネルギー密度と称する。
無次元化ビームエネルギー密度ρrは、画素面積の絶対値にかかわらないので、画像形成に必要な露光エネルギーの大小の比較に使用できる。以下、特にことわりのないかぎり、無次元化ビームエネルギー密度を、単にビームエネルギー密度と称する。
さて、本実施の形態では、空間周波数を次式(1.14)のとおり定義する。
空間周波数=(発消色サイクル)/(画素数) …(1.14)
また、2元空間周波数を、次式(1.15)で示されるX方向の空間周波数νxと、次式(1.16)で示されるY方向の空間周波数νyとを用いて、次式(1.17)のとおり定義する。なお、X方向は、ライン露光方向である。Y方向は、媒体搬送方向Yである。
また、2元空間周波数を、次式(1.15)で示されるX方向の空間周波数νxと、次式(1.16)で示されるY方向の空間周波数νyとを用いて、次式(1.17)のとおり定義する。なお、X方向は、ライン露光方向である。Y方向は、媒体搬送方向Yである。
νx=(X方向の発消色サイクル)/(X方向の画素数) …(1.15)
νy=(Y方向の発消色サイクル)/(Y方向の画素数) …(1.16)
ν=(νx 2+νy 2)1/2 …(1.17)
本実施の形態においては、後述する累積範囲30が4画素半径である。このため、隣接する累積範囲間のピッチは、[4画素半径×2]となるので、これを1画素の大きさ、すなわち[画素半径×2]で割ることにより、基準となる画素数が求められる。すなわち、[基準画素数=(4画素半径×2)/(画素半径×2)=4]となる。
νy=(Y方向の発消色サイクル)/(Y方向の画素数) …(1.16)
ν=(νx 2+νy 2)1/2 …(1.17)
本実施の形態においては、後述する累積範囲30が4画素半径である。このため、隣接する累積範囲間のピッチは、[4画素半径×2]となるので、これを1画素の大きさ、すなわち[画素半径×2]で割ることにより、基準となる画素数が求められる。すなわち、[基準画素数=(4画素半径×2)/(画素半径×2)=4]となる。
本実施の形態では、最小空間周波数をもつ全ての画素を発色もしくは消色とする画像パターンにおける累積露光エネルギー密度を示す。この場合の2元空間周波数は、次式(1.17′)で示される。
ν=((0/4)2 + (0/4)2)1/2=0 …(1.17′)
図4(a)、図4(b)、図4(c)に、発色画素もしくは消色画素が全面に一様に配置されている全面発色もしくは全面消色に対応する画像パターンを示す。この画像パターンは最小の空間周波数をもつものである。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に、発色画素もしくは消色画素が全面に一様に配置されている全面発色もしくは全面消色に対応する画像パターンを示す。この画像パターンは最小の空間周波数をもつものである。
図4(a)〜(c)は、記録媒体10の表面にレーザビーム21が結像したときのスポット円31の状態を表す。このとき、スポット円31の中心露光エネルギー密度ξ00はすべて一定であり、以下の2種類となる。
すなわち、すべての画素を発色とする全面発色画像パターンの場合は、スポット円31は発色画素に対応する発色スポットであり、このとき、中心露光エネルギー密度は発色中心露光エネルギー密度E0cとなる。この発色中心露光エネルギー密度E0cを最小発色エネルギー密度Mcで無次元化すると、無次元化発色中心露光エネルギー密度ε0cは[E0c/Mc]となる。
一方、すべての画素を消色とする全面消色画像パターンの場合は、スポット円31は消色画素に対応する消色スポットであり、このとき、中心露光エネルギー密度は消色中心露光エネルギー密度E0dとなる。この消色中心露光エネルギー密度E0dを最小発色エネルギー密度Mcで無次元化すると、無次元化消色中心露光エネルギー密度ε0dは[E0d/Mc]となる。
一般的には、記録媒体10上の任意の観測位置において、その観測位置を露光可能なすべてのレーザビーム21からの露光エネルギー密度の総和を、その観測位置で累積露光エネルギー密度と定義できる。しかし本実施の形態では、観測位置から一定の累積範囲を設定して、その範囲内のすべてのレーザビーム21からの露光エネルギー密度の総和を、その観測位置で累積露光エネルギー密度と定義する。
図4(a)〜(c)の表面を記録媒体10の表面とすると、図4(a)〜(c)には、複数のレーザビーム21によるスポット半径w0からなるスポット円31が示されている。このスポット半径w0は、スポット半径指標χによって変化する。また、スポット円31は、縦横方向にそれぞれ2画素半径[2r0]のピッチで配列されている。これは、媒体搬送方向Yに直交する方向Xでレーザビーム21が2画素半径[2r0]のピッチでアレイ状に配列しているのに対応している。
図4(a)〜(c)では、露光エネルギー密度の累積を算出する特定の観測位置である観測ノード32、33、34がそれぞれ設定され、この観測ノード32、33、34を中心にして、4画素半径[4r0]を示す累積範囲30が描かれている。この累積範囲30内に中心があるスポット円31に対応する複数のレーザビーム21の露光エネルギー密度分布の総和を、観測ノードにおける累積露光エネルギー密度と称する。
厳密には、4画素半径[4r0]以上の累積範囲でもレーザビーム21が観測ノードに影響を及ぼすが、[w0/r0≒2.4]を最大値としているので、このときの露光エネルギー密度は中心エネルギー密度の0.4%程度しかない。したがって、4画素半径[4r0]の累積範囲30外のレーザビーム21の露光エネルギーは、対象となる観測ノードの累積露光エネルギー密度の算出に対しては無視して差し支えない。
本実施の形態では、図4(a)の観測ノード32は、1つのスポット円31の中心に位置するので中心ノード32と称する。図4(b)の観測ノード33は、2つのスポット円31の中間に位置するので中間ノード33と称する。図4(c)の観測ノード34は、4つのスポット円31の中央に位置するので面心ノード34と称する。
次に、この図4(a)〜(c)に示す記録媒体10上の各観測ノード32,33,34の累積露光エネルギー密度を算出する。この演算には、式(1.8)が用いられる。
図4(a)において、中心ノード32における最小発色エネルギー密度Mcで無次元化した無次元化累積露光エネルギー密度をσ0とする。無次元化累積露光エネルギー密度σ0は、中心ノード32に対応するスポット円31と周囲8個スポット円31とを形成する合計9個のレーザビーム21の露光エネルギー密度の和をとる。したがって、無次元化累積露光エネルギー密度σ0は、次式(1.18)を用いて算出する。
σ0 =ε00(1+4χ2+4χ4) …(1.18)
図4(b)において、中間ノード33における最小発色エネルギー密度Mcで無次元化した無次元化累積露光エネルギー密度をσhとする。無次元化累積露光エネルギー密度σhは、周囲12個のスポット円を形成するレーザビーム21の露光エネルギー密度の和をとる。したがって、無次元化累積露光エネルギー密度σhは、次式(1.19)を用いて算出する。
図4(b)において、中間ノード33における最小発色エネルギー密度Mcで無次元化した無次元化累積露光エネルギー密度をσhとする。無次元化累積露光エネルギー密度σhは、周囲12個のスポット円を形成するレーザビーム21の露光エネルギー密度の和をとる。したがって、無次元化累積露光エネルギー密度σhは、次式(1.19)を用いて算出する。
σh =ε00χ1/2(2+ 4χ2+ 2χ4 +4χ6) …(1.19)
図4(c)において、面心ノード34における最小発色エネルギー密度Mcで無次元化した無次元化累積露光エネルギー密度をσfとする。無次元化累積露光エネルギー密度σfは、周囲12個のスポット円を形成するレーザビーム21の露光エネルギー密度の和をとる。したがって、無次元化累積露光エネルギー密度σfは、次式(1.20)を用いて算出する。
図4(c)において、面心ノード34における最小発色エネルギー密度Mcで無次元化した無次元化累積露光エネルギー密度をσfとする。無次元化累積露光エネルギー密度σfは、周囲12個のスポット円を形成するレーザビーム21の露光エネルギー密度の和をとる。したがって、無次元化累積露光エネルギー密度σfは、次式(1.20)を用いて算出する。
σf =ε00(4χ+ 8χ5) …(1.20)
式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)における無次元化中心露光エネルギー密度ε00は、露光エネルギー密度を算出する場合には、画像パターンに応じて無次元化発色中心露光エネルギー密度ε0cもしくは無次元化消色中心露光エネルギー密度ε0dが適用される。以下、特にことわりのないかぎり、無次元化累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、単に累積露光エネルギー密度と称する。
式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)における無次元化中心露光エネルギー密度ε00は、露光エネルギー密度を算出する場合には、画像パターンに応じて無次元化発色中心露光エネルギー密度ε0cもしくは無次元化消色中心露光エネルギー密度ε0dが適用される。以下、特にことわりのないかぎり、無次元化累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、単に累積露光エネルギー密度と称する。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示す露光パターンで露光エネルギー密度ε00=1に固定した場合において、式(1.18)、式(1.19)及び式(1.20)の各演算により算出される累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]の条件でプロットすると、図5のようになる。図5から明らかなように、[0<χ≦0.5]の条件では、中心ノード32における累積露光エネルギー密度σ0が最大値を取る。また、面心ノード34における累積露光エネルギー密度σfが最小値を取る。したがって、中心ノード32が最大の累積露光エネルギー密度であり、かつ面心ノード34が最小の累積露光エネルギー密度である条件が、2つの累積露光エネルギー密度σ0、σfにおいて、許容される最大の露光エネルギー密度比条件となる。
そこで、新たに露光累積エネルギー密度比としてパラメータaを導入すると、このパラメータaは、次式(1.21)で示される。
a =σ0/σf …(1.21)
この式(1.21)に、累積露光エネルギー密度σ0を示す式(1.18)、及び、累積露光エネルギー密度σfを示す式(1.20)を代入して、中心露光エネルギー密度ε00を消去すると、パラメータaは、次式(1.22)によって求められる。
この式(1.21)に、累積露光エネルギー密度σ0を示す式(1.18)、及び、累積露光エネルギー密度σfを示す式(1.20)を代入して、中心露光エネルギー密度ε00を消去すると、パラメータaは、次式(1.22)によって求められる。
a =(1+4χ2+4χ4)/(4χ+ 8χ5) …(1.22)
また、この式(1.22)は、次式(1.23)のように変形できる。
また、この式(1.22)は、次式(1.23)のように変形できる。
1-a4χ+4χ2+4χ4-a8χ5=0 …(1.23)
ところで、2つの累積露光エネルギー密度σ0、σfの最小エネルギー密度比は、記録媒体10の発色および消色特性にかかわらず[σ0=σf]と設定できる。したがって、パラメータaは、次式(1.24)で表わされる。
ところで、2つの累積露光エネルギー密度σ0、σfの最小エネルギー密度比は、記録媒体10の発色および消色特性にかかわらず[σ0=σf]と設定できる。したがって、パラメータaは、次式(1.24)で表わされる。
a =σ0/σf=1 … (1.24)
この条件により、式(1.23)は次式(1.25)となる。
この条件により、式(1.23)は次式(1.25)となる。
1-4χ+4χ2+ 4χ4 -8χ5 = 0 …(1.25)
この式(1.25)の解χ1は、[χ1=0.5]となる。この解[χ1=0.5]を、式(1.5)に代入すると、許容される最大のスポット半径w1が次式(1.26)で設定される。
この式(1.25)の解χ1は、[χ1=0.5]となる。この解[χ1=0.5]を、式(1.5)に代入すると、許容される最大のスポット半径w1が次式(1.26)で設定される。
w1/r 0=2/log(1/χ1)1/2 …(1.26)
この式(1.26)の値は、次式(1.27)のとおり具体的に求めることができる。
この式(1.26)の値は、次式(1.27)のとおり具体的に求めることができる。
w1/r0 =2/(log(2))1/2≒2.402 …(1.27)
一方、記録媒体10の発色および消色特性である最大及び最小の発色エネルギー密度Mc [J/m2]、Mcm[J/m2]、並びに、最大及び最小の消色エネルギー密度Md [J/m2]、Mdm[J/m2]から、最大のエネルギー密度比としては、次式(1.28),(1.28′)で示される2つの値ac、adがある。
一方、記録媒体10の発色および消色特性である最大及び最小の発色エネルギー密度Mc [J/m2]、Mcm[J/m2]、並びに、最大及び最小の消色エネルギー密度Md [J/m2]、Mdm[J/m2]から、最大のエネルギー密度比としては、次式(1.28),(1.28′)で示される2つの値ac、adがある。
ac=σ0/σf=ξcm/ξc = Mcm/Mc …(1.28)
ad=σ0/σf=ξdm/ξd = Mdm/Md …(1.28′)
パラメータaの意味するところは、記録媒体10の特性として、発色可能なエネルギー密度の幅、もしくは消色可能なエネルギー密度の幅を示す最大許容累積露光エネルギー密度比である。したがって、2つの値ac、adから小さい方の値を抽出すると、パラメータaは、次式(1.29)で示される。
ad=σ0/σf=ξdm/ξd = Mdm/Md …(1.28′)
パラメータaの意味するところは、記録媒体10の特性として、発色可能なエネルギー密度の幅、もしくは消色可能なエネルギー密度の幅を示す最大許容累積露光エネルギー密度比である。したがって、2つの値ac、adから小さい方の値を抽出すると、パラメータaは、次式(1.29)で示される。
a =min(ac,ad) …(1.29)
ここで、関数min(a1,a2)は2つの値a1、a2から小さい方の値を抽出する関数である。式(1.29)に、式(1.28)及び式(1.28′)を代入すると、(1.29)は、次式(1.30)となる。
ここで、関数min(a1,a2)は2つの値a1、a2から小さい方の値を抽出する関数である。式(1.29)に、式(1.28)及び式(1.28′)を代入すると、(1.29)は、次式(1.30)となる。
a =min(Mcm/Mc,Mdm/Md) …(1.30)
この条件での式(1.23)の解χをχ2とし、式(1.5)に代入すると、許容される最小のスポット半径w2が、次式(1.31)として設定される。
この条件での式(1.23)の解χをχ2とし、式(1.5)に代入すると、許容される最小のスポット半径w2が、次式(1.31)として設定される。
w2/r 0=2/log(1/χ2)1/2 …(1.31)
以上より、スポット半径指標χの設定範囲は、次式(1.32)となる。
以上より、スポット半径指標χの設定範囲は、次式(1.32)となる。
χ2≦χ≦χ1 …(1.32)
式(1.25)の解χ1は0.5であるから、式(1.32)は次式(1.32′)となる。
式(1.25)の解χ1は0.5であるから、式(1.32)は次式(1.32′)となる。
χ2≦χ≦0.5 …(1.32′)
したがって、レーザビーム21のスポット半径w0を、次式(1.33)、つまりは(1.33′)の関係を満たすように設定することで、記録媒体10の発色および消色特性と関連して良好な画像形成が可能な光熱変換型画像書換技術を得ることができる。
したがって、レーザビーム21のスポット半径w0を、次式(1.33)、つまりは(1.33′)の関係を満たすように設定することで、記録媒体10の発色および消色特性と関連して良好な画像形成が可能な光熱変換型画像書換技術を得ることができる。
w2/r0≦w0/r0≦w1/r0 …(1.33)
w2/r0≦w0/r0≦2.402 … (1.33′)
また、無次元化スポット半径w0/r0を使用することにより、必要される画像解の画素半径r0に関わらないスポット半径の設定基準が得られる。
w2/r0≦w0/r0≦2.402 … (1.33′)
また、無次元化スポット半径w0/r0を使用することにより、必要される画像解の画素半径r0に関わらないスポット半径の設定基準が得られる。
以上をまとめると、求める条件式は、式(1.23)と式(1.31)となる。
*全面消色画像パターンの例
条件式(1.31)を満たす例として、すべての画素を消色とする全面消色画像パターンに対応する、スポット半径の有効設定範囲について説明する。なお、数値条件として、[ξd =0.5]及び[σf =ξd]を設定する。
条件式(1.31)を満たす例として、すべての画素を消色とする全面消色画像パターンに対応する、スポット半径の有効設定範囲について説明する。なお、数値条件として、[ξd =0.5]及び[σf =ξd]を設定する。
先ず、式(1.22)からスポット半径指標χに対する露光累積エネルギー密度比としてのパラメータaを算出する。
次に、式(1.20)の中心露光エネルギー密度ξ00を消色中心露光エネルギー密度ξ0dとすると、面心ノード34における無次元化累積露光エネルギー密度σfは、次式(1.20a)となる。
σf =ε0d(4χ + 8χ5) …(1.20a)
この式(1.20a)に、条件[σf =ξd]を代入して、全面消色画像パターンを形成するのに必要なスポット半径指標χに対する最小中心露光エネルギー密度ε0dを算出すると、最小中心露光エネルギー密度ε0dは、次式(1.34)によって算出される。
この式(1.20a)に、条件[σf =ξd]を代入して、全面消色画像パターンを形成するのに必要なスポット半径指標χに対する最小中心露光エネルギー密度ε0dを算出すると、最小中心露光エネルギー密度ε0dは、次式(1.34)によって算出される。
ε0d=ξd/(4χ+8χ5) …(1.34)
さらに、算出された最小中心露光エネルギー密度ξ0d を用いて、式(1.18)から中心ノード32における無次元化累積露光エネルギー密度σ0を求めると、無次元化累積露光エネルギー密度σ0は、次式(1.35)によって算出される。
さらに、算出された最小中心露光エネルギー密度ξ0d を用いて、式(1.18)から中心ノード32における無次元化累積露光エネルギー密度σ0を求めると、無次元化累積露光エネルギー密度σ0は、次式(1.35)によって算出される。
σ0 =ε0d(1+4χ2+4χ4) …(1.35)
同様に、式(1.19)から、中間ノード33における無次元化累積露光エネルギー密度σhを求めると、無次元化累積露光エネルギー密度σhは、次式(1.36)によって算出される。
同様に、式(1.19)から、中間ノード33における無次元化累積露光エネルギー密度σhを求めると、無次元化累積露光エネルギー密度σhは、次式(1.36)によって算出される。
σh =ε0dχ1/2(2+4χ2+2χ4 +4χ6) …(1.36)
式(1.35)、式(1.36)及び式(1.20a)の各演算により算出される累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]の条件でプロットすると、図6に示すようになる。また、具体的な数値[ξdm=0.75]及び[a = ξdm/ξd = 0.75/0.5 = 1.5]を設定し、これを条件式(1.23)に代入して、周知の2分法やニュートン法を用いると、最小のスポット半径に対応する解[χ2 ≒0.1915]が求められる。これを図6に示す。
式(1.35)、式(1.36)及び式(1.20a)の各演算により算出される累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]の条件でプロットすると、図6に示すようになる。また、具体的な数値[ξdm=0.75]及び[a = ξdm/ξd = 0.75/0.5 = 1.5]を設定し、これを条件式(1.23)に代入して、周知の2分法やニュートン法を用いると、最小のスポット半径に対応する解[χ2 ≒0.1915]が求められる。これを図6に示す。
よって、スポット半径指標χの有効設定範囲Hは[0.1915≦χ≦0.5]となる。この有効設定範囲Hを、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、無次元化スポット半径w0/r0の有効設定範囲は次式(1.37)となる。こうして、具体的な無次元化スポット半径w0/r0の有効設定範囲が得られる。
1.556≦w0/r0≦2.402 …(1.37)
次に、上記の有効設定範囲[1.556≦w0/r0≦2.402]を用いた場合の、全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布に関し、スポット半径w0が最大値の場合について説明する。なお、スポット半径w0の最大条件は、[a=1]、[w0/r0=2.402]、[χ=0.5]である。
次に、上記の有効設定範囲[1.556≦w0/r0≦2.402]を用いた場合の、全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布に関し、スポット半径w0が最大値の場合について説明する。なお、スポット半径w0の最大条件は、[a=1]、[w0/r0=2.402]、[χ=0.5]である。
最大のスポット半径w0の条件である[χ=0.5]と[ξd=0.5]とを式(1.34)に代入すると、消色中心露光エネルギー密度の最小値[ε0d ≒0.2222]が算出される。この最小値ε0dを、式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)にそれぞれ代入すると、それぞれの観測ノード32,33,34での累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfが次のとおり算出される。
σ0 =0.5
σh ≒0.5009
σf =0.5
この最大スポット半径w0での全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図7に示す。図7のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布M1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布M2とを示している。線分A-A上では、ピークが中心ノードでの値、ボトムが中間ノードでの値を示している。線分B-B上では、ピークが中間ノードでの値、ボトムが面心ノードでの値を示している。
σh ≒0.5009
σf =0.5
この最大スポット半径w0での全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図7に示す。図7のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布M1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布M2とを示している。線分A-A上では、ピークが中心ノードでの値、ボトムが中間ノードでの値を示している。線分B-B上では、ピークが中間ノードでの値、ボトムが面心ノードでの値を示している。
なお、図7においては、累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfの値が、上記の算出値より最大1%程度上回っている。これは、確認としてより厳密な計算を行うため、複数のレーザビーム21の露光エネルギー密度分布を総和する累積範囲30を、約6画素半径[6r0]としたためでる。これは式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)の導出に使用した4画素半径[4r0]より広い範囲で総和する設定である。
図7に示すように、最大スポット半径での全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≒σd]となり、平坦な消色条件を保持している。
次に、スポット半径w0が最小値の場合について説明する。この場合、数値条件は、[a =1.5]、[w0/r0=1.556]、[χ =0.1915]である。
最小のスポット半径w0の条件である[χ=0.1915]と[ξd =0.5]とを式(1.34)に代入すると、消色中心露光エネルギー密度の最小値[ε0d ≒0.6511]が算出される。この最小値ε0dを式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)にそれぞれ代入すると、それぞれの観測ノードでの露光エネルギー密度σ0、σh、σfが次のとおり算出される。
σ0 =0.75
σh ≒0.6124
σf =0.5
この最小スポット半径w0での全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図8に示す。図8のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布N1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布N2とを示している。図8に示すように、消色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≦σd≦ξdm]となり、消色条件を保持している。
σh ≒0.6124
σf =0.5
この最小スポット半径w0での全面消色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図8に示す。図8のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布N1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布N2とを示している。図8に示すように、消色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≦σd≦ξdm]となり、消色条件を保持している。
図7に示した最大スポット半径の場合と、図8に示した最小スポット半径の場合とを比較すると、最大スポット半径の場合の方が、露光エネルギー密度分布は均一である。しかしながら、最小スポット半径の場合の方が、空間周波数がより高い画像パターンの形成に対して好適である。
*全面発色画像パターンの例
次に、条件式(1.31)を満たす他の例として、すべての画素を発色とする全面発色画像パターンに対応する、スポット半径の有効設定範囲について説明する。なお、数値条件として[ξc =1.0]、[ξf =ξc]を設定する。
次に、条件式(1.31)を満たす他の例として、すべての画素を発色とする全面発色画像パターンに対応する、スポット半径の有効設定範囲について説明する。なお、数値条件として[ξc =1.0]、[ξf =ξc]を設定する。
先ず、式(1.22)からスポット半径指標χに対する露光累積エネルギー密度比としてのパラメータaを算出する。したがって、パラメータaの値は、全面消色パターンの場合と同じになる。
次に、式(1.20)の中心露光エネルギー密度ξ00を発色中心露光エネルギー密度ξ0cとすると、面心ノード34における無次元化累積露光エネルギー密度σfは、次式(1.20b)となる。
σf =ε0c(4χ+8χ5) …(1.20b)
この式(1.20b)に、条件[σf =ξd]を代入して、全面発色画像パターンを形成するのに必要なスポット半径指標χに対する最小発色中心露光エネルギー密度ε0cを算出すると、最小発色中心露光エネルギー密度ε0cは、次式(1.38)によって算出される。
この式(1.20b)に、条件[σf =ξd]を代入して、全面発色画像パターンを形成するのに必要なスポット半径指標χに対する最小発色中心露光エネルギー密度ε0cを算出すると、最小発色中心露光エネルギー密度ε0cは、次式(1.38)によって算出される。
ε0c =ξc/(4χ + 8χ5) …(1.38)
さらに、算出された最小発色中心露光エネルギー密度ξ0d を用いて、式(1.18)から中心ノード32における無次元累積露光エネルギー密度σ0を求めると、無次元累積露光エネルギー密度σ0は、次式(1.39)によって算出される。
さらに、算出された最小発色中心露光エネルギー密度ξ0d を用いて、式(1.18)から中心ノード32における無次元累積露光エネルギー密度σ0を求めると、無次元累積露光エネルギー密度σ0は、次式(1.39)によって算出される。
σ0 =ε0c(1+4χ2+4χ4) …(1.39)
同様に、式(1.19)から、中間ノード33における無次元累積露光エネルギー密度σhを求めると、無次元累積露光エネルギー密度σhは、次式(1.40)によって算出される。
同様に、式(1.19)から、中間ノード33における無次元累積露光エネルギー密度σhを求めると、無次元累積露光エネルギー密度σhは、次式(1.40)によって算出される。
σh =ε0cχ1/2(2+ 4χ2+ 2χ4 +4χ6) …(1.40)
式(1.39)、式(1.40)及び式(1.20b)の各演算により算出される累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]の条件でプロットすると、図9のようになる。また、具体的な数値[ξcm =1.5]及び[a =ξcm/ξc =1.5/1.0 =1.5]を設定し、これを条件式(1.23)に代入して、周知の2分法やニュートン法を用いると、最小のスポット半径に対応する解[χ2≒0.1915]が求められる。これを図9に示す。
式(1.39)、式(1.40)及び式(1.20b)の各演算により算出される累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]の条件でプロットすると、図9のようになる。また、具体的な数値[ξcm =1.5]及び[a =ξcm/ξc =1.5/1.0 =1.5]を設定し、これを条件式(1.23)に代入して、周知の2分法やニュートン法を用いると、最小のスポット半径に対応する解[χ2≒0.1915]が求められる。これを図9に示す。
よって、スポット半径指標χの有効設定範囲Hは[0.1915≦χ≦0.5]となる。この有効設定範囲Hを、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、無次元化スポット半径w0/r0の有効設定範囲は次式(1. 41)となる。こうして、具体的な無次元化スポット半径w0/r0の有効設定範囲が得られる。
1.556≦w0/r0≦2.402 …(1.41)
これは、露光エネルギー密度のレベルを除けば、全面消色パターンの場合と全く同様の結果である。したがって、同一のスポット半径の設定で、全面消色、全面発色とも画像形成が可能である。これは、集光光学系22が固定、すなわち、個別のレーザビーム21のスポット半径がすべて同一で固定されている画像書換技術に対して、発色消色同時形成を可能にするスポット半径条件であることを意味している。
これは、露光エネルギー密度のレベルを除けば、全面消色パターンの場合と全く同様の結果である。したがって、同一のスポット半径の設定で、全面消色、全面発色とも画像形成が可能である。これは、集光光学系22が固定、すなわち、個別のレーザビーム21のスポット半径がすべて同一で固定されている画像書換技術に対して、発色消色同時形成を可能にするスポット半径条件であることを意味している。
次に、上記の有効設定範囲[1.556≦w0/r0≦2.402]を用いた場合の、全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布に関し、スポット半径w0が最大値の場合について説明する。なお、スポット半径w0の最大条件は、[a=1]、[w0/r0=2.402]、[χ=0.5]である。
最大のスポット半径w0の条件である[χ=0.5]と[ξc =1.0]とを式(1.38)に代入すると、発色中心露光エネルギー密度の最小値[ε0c ≒0.4444]が決定される。この最小値ε0cを式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)にそれぞれ代入すると、それぞれの観測ノード32,33,34での累積露光エネルギー密度σ0、σh、σfが次のとおり算出される。
σ0 =1.0
σh ≒1.002
σf =1.0
この最大スポット半径w0での全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図10に示す。図10のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布P1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布P2とを示している。図7と比較すれば明らかなように、累積露光エネルギー密度のレベルを除けば、全面消色画像パターンの場合と全く同様の結果である。すなわち、図10に示すように、最大スポット半径での全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≒σc]となり、平坦な消色条件を保持している。
σh ≒1.002
σf =1.0
この最大スポット半径w0での全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図10に示す。図10のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布P1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布P2とを示している。図7と比較すれば明らかなように、累積露光エネルギー密度のレベルを除けば、全面消色画像パターンの場合と全く同様の結果である。すなわち、図10に示すように、最大スポット半径での全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≒σc]となり、平坦な消色条件を保持している。
次に、スポット半径w0が最小値の場合について説明する。この場合、数値条件は、[a=1.5]、[w0/r0=1.556]、[χ=0.1915]である。
最小のスポット半径w0の条件である[χ=0.1915]と[ξc=1.0]とを式(1.34)に代入すると、発色中心露光エネルギー密度の最小値[ε0d≒1.302]が算出される。この最小値を式(1.18)、式(1.19)、式(1.20)にそれぞれ代入すると、それぞれの観測ノードでの露光エネルギー密度σ0、σh、σfが次のとおり算出される。
σ0 =1.5
σh ≒1.225
σf =1.0
この最小スポット半径での、全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図11に示す。図11のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布Q1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布Q2とを示している。図8と比較すれば明らかなように、累積露光エネルギー密度のレベルを除けば、全面消色画像パターンの場合と全く同様の結果である。すなわち、図11に示すように、消色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≦σc≦ξcm]となり、消色条件を保持している。
σh ≒1.225
σf =1.0
この最小スポット半径での、全面発色画像パターンに対する累積露光エネルギー密度分布を図11に示す。図11のグラフは、図4(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布Q1と、図4(a)に示す線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布Q2とを示している。図8と比較すれば明らかなように、累積露光エネルギー密度のレベルを除けば、全面消色画像パターンの場合と全く同様の結果である。すなわち、図11に示すように、消色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≦σc≦ξcm]となり、消色条件を保持している。
図10に示した最大スポット半径の場合と、図11に示した最小スポット半径の場合とを比較すると、最大スポット半径の場合の方が、露光エネルギー密度分布は均一である。しかしながら、最小スポット半径の場合の方が、空間周波数がより高い画像パターンの形成に対して好適である。
このように、本実施の形態による最適化されたスポット半径の設定では、同一のスポット半径で全面消色及び全面発色とも画像形成が可能である。これは、集光光学系22が固定、すなわち、個別のレーザビーム21のスポット半径がすべて同一で固定されているレーザアレイを用いた画像書換技術に対して好適であり、発色同時消色での画像形成が実現できることを意味している。このような発色同時消色での画像形成により、ハロゲンランプや温風吹き出し装置等の記録媒体一様加熱方式の消色手段が不要になる。その結果、画像書換装置を小型・単純化でき、コストダウンが容易となる。
また、レーザアレイによる露光において、画素ピッチの半分程度のスポット半径に設定すると、通常はスポット中心部と周辺部の露光エネルギー密度のムラのために、画像に濃度ムラが発生する。これに対し、本実施の形態では、画素半径の約1.5〜2.5倍程度のスポット半径により、スポット中心部と周辺部の露光エネルギー密度は発色および消色特性と完全に適合しているため、ムラのない高画質の画像形成が可能になる。
さらに、本実施の形態によるスポット半径の設定では、約1画素半径程度の幅をもつ。これは、形成する各種の画像パターンによる最適化可能範囲である。例えば、大面積の均一べた画像を印刷するのに適した画像書換技術としては、大きめのスポット半径を採用し、あるいは細かい画像から大面積の画像まで、用途の広い画像書換技術としては、小さめのスポット半径を採用するが、本実施の形態によれば、これらの印刷特性への細やかな適合化が可能である。
また、本実施の形態による最適化されたスポット半径の設定によれば、露光エネルギー密度は記録媒体10の発色および消色特性と完全に適合する。このため、レーザビーム21によるスポット周辺部での十分な露光エネルギー密度を維持しつつ、かつスポット中心部で過剰な露光エネルギー密度になることない。これにより、記録媒体の材料に熱分解、熱変形等の重大なダメージを与えることがないので、記録媒体の書換え寿命を、記録媒体の材料自身がもつ、材料本来の特性まで発揮することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
第1の実施の形態で示した全面消色および全面発色パターンでの有効なスポット半径の範囲は、空間周波数がより高い画像パターンの形成に対しては広すぎて不十分である。例えば、スポット半径の最大条件[w0/r0=2.402]を用いた場合には、[最小画像パターン面積≧3画素ピッチ×3画素ピッチ=6r0×6r0]程度になり、レーザビーム21の配列ピッチが2r0にもかかわらず、3倍も粗い画像しか形成できないことになる。
そこで第2の実施の形態では、正方格子での最大の空間周波数をもつ、チェッカーボード画像パターンを実現する有効スポット半径の範囲を示す。この場合の2元空間周波数は次式(2.0)で示される。
ν=((2/4)2 +(2/4)2)1/2 ≒ 0.7071 …(2.0)
図12(a)、図12(b)、図12(c)に、1つの発色画素31a、消色画素31bが上下左右で交互に配置されているチェッカーボード画像パターンに対応する、発消色露光パターンを示す。各観測ノードの設定は図4(a)、図4(b)、図4(c)と同様である。
図12(a)、図12(b)、図12(c)に、1つの発色画素31a、消色画素31bが上下左右で交互に配置されているチェッカーボード画像パターンに対応する、発消色露光パターンを示す。各観測ノードの設定は図4(a)、図4(b)、図4(c)と同様である。
式(1.8)を用いて、この図12(a)〜(c)に示す記録媒体10上の各観測ノードの累積露光エネルギー密度を算出する。このとき、スポット円31は、発色中心露光エネルギー密度ε0cをもつ発色スポット31aと、消色中心露光エネルギー密度ε0dをもつ消色スポット31bの2種類となっている。
図12(a)において、中心ノードが発色条件の場合、すなわち発色中心ノード32aの場合の累積露光エネルギー密度をσC0とすると、累積露光エネルギー密度σC0は、次式(2.1)で示される。
σC0 =ε0c(1+4χ4)+ε0d4χ2 …(2.1)
また、図12(a)において、発色中心ノード32aに隣接する消色中心ノード32bの累積露光エネルギー密度をσD0とすると、スポット円31の発色スポットと消色スポットを入れ替えて中心ノード32が消色条件の場合、すなわち発色中心ノード32aと消色中心ノード32bの位置を入れ替えて計算すればよいので、累積露光エネルギー密度σD0は、次式(2.2)で示される。
また、図12(a)において、発色中心ノード32aに隣接する消色中心ノード32bの累積露光エネルギー密度をσD0とすると、スポット円31の発色スポットと消色スポットを入れ替えて中心ノード32が消色条件の場合、すなわち発色中心ノード32aと消色中心ノード32bの位置を入れ替えて計算すればよいので、累積露光エネルギー密度σD0は、次式(2.2)で示される。
σD0 =ε0d(1+4χ4)+ε0c4χ4 …(2.2)
図12(b)において、中間ノード33における累積露光エネルギー密度をσCDhとすると、累積露光エネルギー密度σCDhは、次式(2.3)で示される。
図12(b)において、中間ノード33における累積露光エネルギー密度をσCDhとすると、累積露光エネルギー密度σCDhは、次式(2.3)で示される。
σCDh=χ1/2(ε0c(1+2χ2+χ4+2χ6)+ε0d(1+2χ2+χ4+2χ6)) …(2.3)
図12(c)において、面心ノード34における累積露光エネルギー密度をσCDfとすると、累積露光エネルギー密度σCDfは、次式(2.4)で示される。
図12(c)において、面心ノード34における累積露光エネルギー密度をσCDfとすると、累積露光エネルギー密度σCDfは、次式(2.4)で示される。
σCDf =ε0c(2χ+4χ5)+ε0d(2χ+4χ5) …(2.4)
したがって、式(2.2)、式(2.3)から消色中心露光エネルギー密度ξ0dを消去して、発色中心露光エネルギー密度ξ0cを求めると、次式(2.5)となる。
したがって、式(2.2)、式(2.3)から消色中心露光エネルギー密度ξ0dを消去して、発色中心露光エネルギー密度ξ0cを求めると、次式(2.5)となる。
ε0c =(σCDh(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2x2+x4+2x6)-σD0)/(1-4χ2+4χ4) …(2.5)
また、式(2.2)、式(2.3)から発色中心露光エネルギー密度ξ0cを消去して、消色中心露光エネルギー密度ξ0dを求めると、次式(2.6)となる。
また、式(2.2)、式(2.3)から発色中心露光エネルギー密度ξ0cを消去して、消色中心露光エネルギー密度ξ0dを求めると、次式(2.6)となる。
ε0d =-(4σCDh χ3/2/(1+2χ2+χ4+2χ6)-σD0)/(1-4χ2+4χ4) …(2.6)
式(2.5)、式(2.6)の結果を式(2.1)に代入すると、次式(2.7)となる。
式(2.5)、式(2.6)の結果を式(2.1)に代入すると、次式(2.7)となる。
σC0 =σCDh(χ-1/2+4χ3/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-σD0 …(2.7)
ここで、本実施の形態において、チェッカーボード画像パターンに露光エネルギー密度が満たすべき条件は、以下の4つである。
ここで、本実施の形態において、チェッカーボード画像パターンに露光エネルギー密度が満たすべき条件は、以下の4つである。
[条件1]消色中心ノード32における消色中心露光エネルギー密度ε0dがゼロ以上。
[条件2]消色中心ノード32における累積露光エネルギー密度σD0が最大消色エネルギー密度ξdm以下。
[条件3]発色中心ノード32における累積露光エネルギー密度σC0が最大発色エネルギー密度ξcm以下。
[条件4]中間ノード33における累積露光エネルギー密度σCDhが最小発色エネルギー密度ξc以上。
この条件より、[σD0=ξdm]及び[σCDh=ξc]とおいて、新たに許容累積露光エネルギー密度比であるパラメータbcを導入すると、パラメータbcは、次式(2.8)で示される。
bc =σCDh/σD0=ξc/ξdm=Mc/Mdm …(2.8)
パラメータbcの意味するところは、記録媒体10の特性として、消色可能な最大の露光エネルギー密度と発色可能な最小の露光エネルギー密度の幅、すなわち画像の良好なコントラストを得るための必要最小露光エネルギー密度比を示す。
パラメータbcの意味するところは、記録媒体10の特性として、消色可能な最大の露光エネルギー密度と発色可能な最小の露光エネルギー密度の幅、すなわち画像の良好なコントラストを得るための必要最小露光エネルギー密度比を示す。
また、新たに最大消色エネルギー密度Mdm基準の各無次元化中心露光エネルギー密度および無次元化累積露光エネルギー密度を、次式(2.9)、(2.10)、 (2.11)と定義する。
ε0cB =ε0c/ξdm … (2.9)
ε0dB =ε0d/ξdm … (2.10)
σC0B =σCO/ξdm … (2.11)
これらの式(2.9),(2.10)及び(2.11)を用いると、式(2.5)から次式(2.12)が求まる。
ε0dB =ε0d/ξdm … (2.10)
σC0B =σCO/ξdm … (2.11)
これらの式(2.9),(2.10)及び(2.11)を用いると、式(2.5)から次式(2.12)が求まる。
ε0cB =(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4) …(2.12)
また、式(2.6)から次式(2.13)が求まる。
また、式(2.6)から次式(2.13)が求まる。
ε0dB =-(4bcχ3/2/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4) …(2.13)
さらに、式(2.7)から次式(2.14)が求まる。
さらに、式(2.7)から次式(2.14)が求まる。
σC0B =bc(χ-1/2+4χ3/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1 …(2.14)
最大のスポット半径では、スポット円31の重なり合いが最大になり、このとき許される最小の消色中心露光エネルギー密度ε0dBはゼロである。したがって、式(2.12)において、ε0dB=0とすると、次式(2.15)が得られる。
最大のスポット半径では、スポット円31の重なり合いが最大になり、このとき許される最小の消色中心露光エネルギー密度ε0dBはゼロである。したがって、式(2.12)において、ε0dB=0とすると、次式(2.15)が得られる。
-(4bcχ3/2/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4)=0 …(2.15)
さらに、[0<χ≦0.5]においては[(1-4χ2+4χ4)>0]であるから、式(2.15)は、次式(2.16)となる。
さらに、[0<χ≦0.5]においては[(1-4χ2+4χ4)>0]であるから、式(2.15)は、次式(2.16)となる。
4bcχ3/2/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1=0 …(2.16)
式(2.16)の解をχ=χ3とする。
式(2.16)の解をχ=χ3とする。
ところで、スポット半径指標χの設定範囲は[0<χ≦0.5]であるから、χ3が[0<χ≦0.5]の条件を満たさない場合がある。この場合は、次式(2.17)のとおり定義する。
χ3=χ1=0.5 …(2.17)
この解χ3を式(1.5)に代入すると、許容される最大のスポット半径w3は、次式(2.18)のとおり設定される。
この解χ3を式(1.5)に代入すると、許容される最大のスポット半径w3は、次式(2.18)のとおり設定される。
w3/r 0= 2/log(1/χ3)1/2 …(2.18)
一方、最小のスポット半径では、スポット円31の重なり合いが最小になり、発色中心露光エネルギー密度ε0cBは最大値となる。このとき、発色中心ノード32における累積露光エネルギー密度σC0Bは最大発色エネルギー密度ξcm以下となる必要がある。したがって、新たに許容累積露光エネルギー密度比であるパラメータbcmを導入して、次式(2.19)のとおりとする。
一方、最小のスポット半径では、スポット円31の重なり合いが最小になり、発色中心露光エネルギー密度ε0cBは最大値となる。このとき、発色中心ノード32における累積露光エネルギー密度σC0Bは最大発色エネルギー密度ξcm以下となる必要がある。したがって、新たに許容累積露光エネルギー密度比であるパラメータbcmを導入して、次式(2.19)のとおりとする。
bcm=σC0B=ξcm/ξdm=Mcm/Mdm …(2.19)
式(2.14)において、パラメータbcmをσC0Bに代入した次式(2.20)の解をχ4とする。
式(2.14)において、パラメータbcmをσC0Bに代入した次式(2.20)の解をχ4とする。
0=bc(χ-1/2+4χ3/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1-bcm …(2.20)
この解χ4を式(1.5)に代入すると、許容される最小のスポット半径w4が次式(2.21)のとおり設定される。
この解χ4を式(1.5)に代入すると、許容される最小のスポット半径w4が次式(2.21)のとおり設定される。
w4/r 0= 2/log(1/χ4)1/2 …(2.21)
以上より、スポット半径指標χの設定範囲は、次式(2.22)で表わされる。
以上より、スポット半径指標χの設定範囲は、次式(2.22)で表わされる。
χ4≦χ≦χ3 …(2.22)
したがって、レーザビーム21のスポット半径w0を、次式(2.23)の関係を満たすように設定することで、記録媒体10の発色および消色特性と関連し、チェッカーボード画像パターンを良好に画像形成する良好な画像形成が可能な、光熱変換型画像書換方法を得ることができる。
したがって、レーザビーム21のスポット半径w0を、次式(2.23)の関係を満たすように設定することで、記録媒体10の発色および消色特性と関連し、チェッカーボード画像パターンを良好に画像形成する良好な画像形成が可能な、光熱変換型画像書換方法を得ることができる。
w4/r0≦w0/r0≦w3/r0 …(2.23)
式(2.23)を満たす例として、チェッカーボード画像パターンに対応するスポット半径の有効設定範囲について説明する。数値条件として、[ξd =0.5]、[ξdm =0.75]、[ξc =1.0]、[ξcm =1.5]、[σD0=ξdm=0.75]、[σCDh=ξc=1.0]を設定する。
式(2.23)を満たす例として、チェッカーボード画像パターンに対応するスポット半径の有効設定範囲について説明する。数値条件として、[ξd =0.5]、[ξdm =0.75]、[ξc =1.0]、[ξcm =1.5]、[σD0=ξdm=0.75]、[σCDh=ξc=1.0]を設定する。
式(2.5)、式(2.6)、式(2.7)に上記の数値条件を代入して、スポット半径指標χに対するε0c、ε0d、σC0を求める。また、これらの値から、式(2.4)より累積露光エネルギー密度σCDfを求める。
以上より、中心露光エネルギー密度ε0c、ε0d、累積露光エネルギー密度σC0、σCDfの値を、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]の条件でプロットすると、図13に示すようになる。
ここで、具体的な数値[b =σCDh/σD0=ξc/ξdm=1.0/0.75=4/3=1.333]を式(2.16)に代入すると、最大のスポット半径に対する解[χ3 ≒0.4015]が求められる。さらに、具体的な数値[Mcm/Mdm=ξcm/ξdm=1.5/0.75=2]を設定し、式(2.17)に代入すると、最小のスポット半径に対する解[χ4 ≒0.2467]が求められる。よって、スポット半径指標χの有効設定範囲は、次式(2.24)となる。
0.2467≦χ≦0.4015 …(2.24)
このスポット半径指標χの有効設定範囲を、図13に示す。スポット半径指標χの有効設定範囲を、式(1.5)によって、無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(2.25)となり、具体的な無次元化スポット半径w0/r0の有効設定範囲が得られる。
このスポット半径指標χの有効設定範囲を、図13に示す。スポット半径指標χの有効設定範囲を、式(1.5)によって、無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(2.25)となり、具体的な無次元化スポット半径w0/r0の有効設定範囲が得られる。
1.691≦w0/r0≦2.094 …(2.25)
式(2.25)の値を、全面消色の有効設定範囲式(1.37)及び全面発色の有効設定範囲式(1.41)と比較すると、有効設定範囲が狭くなっていることがわかる。
式(2.25)の値を、全面消色の有効設定範囲式(1.37)及び全面発色の有効設定範囲式(1.41)と比較すると、有効設定範囲が狭くなっていることがわかる。
本実施の形態による画素半径の約1.7から2.1倍程度のスポット半径により、正方格子での最大の空間周波数をもつ、チェッカーボード画像パターンでの画像形成が可能になる。この最大の空間周波数をもつ画像パターンの形成が可能であるということは、これ以下の空間周波数を画像パターンの形成に対しても、同一のスポット半径の有効設定範囲で対応可能であるということを意味している。各画像パターンに応じて最適化する必要があるのは、各結像スポットに対応する露光エネルギーのみであり、これに対しては周知のパルス幅変調制御やパワー変調制御で対応可能である。
(第3の実施の形態)
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
レーザアレイモジュール20では、最大ワット数が半導体レーザチップの最も重要な仕様の一つであり、できるだけ最大ワット数が小さい方がコスト面からみて有利である。そこで、画素形成時間すなわち1画素あたりのレーザ露光時間t0が決定されている場合において、画像形成に必要な最大エネルギーを最小にする最適スポット半径の条件を、第3の実施の形態として説明する。
はじめに、ビームエネルギー密度ρrの極小値を求める。画像形成に必要なビームエネルギーの密度ρrは、式(1.13)よって示される。ここで、ビームエネルギー密度ρrの極小値を求めるために、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]でビームエネルギー密度ρrをスポット半径指標χで微分すると、次式(3.1)となる。なお、式(3.1)において、[ε00 ’= dε00/dχ]である。
dρr/dχ=(ε00 ’log(1/χ)+ ε00 /χ)/log(1/χ)2 …(3.1)
ビームエネルギー密度ρrの極小値を求めるために、[dρr/dχ=0]とすると、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]では、式(3.1)は、次式(3.2)となる。
ビームエネルギー密度ρrの極小値を求めるために、[dρr/dχ=0]とすると、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]では、式(3.1)は、次式(3.2)となる。
0=ε00 ’log(1/χ)+ξ00 /χ …(3.2)
この式(3.2)が、ビームエネルギー密度ρrの極小値を求めるための式である。
この式(3.2)が、ビームエネルギー密度ρrの極小値を求めるための式である。
さて、正方格子での最大の空間周波数をもつ、チェッカーボード画像パターンでのスポット半径指標χの有効設定範囲は、式(2.22)及び式(2.23)より[χ4≦χ≦χ3]及び[w4/r0≦w0/r0≦w3/r0]であるので、この範囲から、画像形成に必要な最大エネルギーを最小にするポイントを求める。チェッカーボード画像パターンにおける最大の中心露光エネルギー密度は、発色中心露光エネルギー密度の式(2.12)の発色中心露光エネルギー密度ε0cBで示される。
また、新たに、最大消色エネルギー密度Mdm基準の無次元化ビームエネルギー密度ρrBを、次式(3.3)により設定する。
ρrB=ρr/ξdm …(3.3)
そうすると、チェッカーボード画像パターンに対する最大のビームエネルギー密度は、式(1.13)より次式(3.4)となり、さらに次式(3.5)となって、発色ビームエネルギー密度ρrBが決定される。
そうすると、チェッカーボード画像パターンに対する最大のビームエネルギー密度は、式(1.13)より次式(3.4)となり、さらに次式(3.5)となって、発色ビームエネルギー密度ρrBが決定される。
ρrB=ε0cB2/log(1/χ) …(3.4)
ρrB=2/log(1/χ)・(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4) …(3.5)
一方、無次元化の基準を最大発色エネルギー密度Mcに揃えると、式(3.5)は、次式(3.6)となる。この式(3.6)は、グラフを描くのに使用される。
ρrB=2/log(1/χ)・(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4) …(3.5)
一方、無次元化の基準を最大発色エネルギー密度Mcに揃えると、式(3.5)は、次式(3.6)となる。この式(3.6)は、グラフを描くのに使用される。
ρr=ξdm2/log(1/χ)・(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4) …(3.6)
また、式(2.5)を微分すると、次式…(3.7)となる。
また、式(2.5)を微分すると、次式…(3.7)となる。
dε0cB/dχ=(bc((-1/2・χ-3/2+14χ5/2)(1+2χ2+χ4+2χ6)
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5))/(1+2χ2+χ4+2χ6)2・(1-4χ2+4χ4)
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)・(-8χ+16χ3))/(1-4χ2+4χ4)2 …(3.7)
ここで、式(3.1)を用いると、式(3.7)は、式(3.7′)となる。
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5))/(1+2χ2+χ4+2χ6)2・(1-4χ2+4χ4)
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)・(-8χ+16χ3))/(1-4χ2+4χ4)2 …(3.7)
ここで、式(3.1)を用いると、式(3.7)は、式(3.7′)となる。
dρr/dχ=log(1/χ)・(bc((-1/2・χ-3/2+14χ5/2)(1+2χ2+χ4+2χ6)
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5))/(1+2χ2+χ4+2χ6)2・(1+4χ4-4χ2)
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)- 1)(-8χ+16χ3))/(1-4χ2+4χ4)2
+1/χ・(b(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1+4χ4-4χ2) …(3.7′)
この式(3.7′)により、極小値を求めるための式は、式(3.8)となる。
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5))/(1+2χ2+χ4+2χ6)2・(1+4χ4-4χ2)
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)- 1)(-8χ+16χ3))/(1-4χ2+4χ4)2
+1/χ・(b(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1+4χ4-4χ2) …(3.7′)
この式(3.7′)により、極小値を求めるための式は、式(3.8)となる。
0=log(1/χ)・(bc((-1/2・χ-3/2+14χ5/2)(1+2χ2+χ4+2χ6)
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5))/(1+2χ2+χ4+2χ6)2・(1+4χ4-4χ2)
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)- 1)(-8χ+16χ3))/(1-4χ2+4χ4)2
+1/χ・(bc (χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1+4χ4-4χ2) …(3.8)
式(3.8)は、スポット半径指標χの有効設定範囲[0<χ≦0.5]においては、次式(3.8′)となる。
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5))/(1+2χ2+χ4+2χ6)2・(1+4χ4-4χ2)
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)- 1)(-8χ+16χ3))/(1-4χ2+4χ4)2
+1/χ・(bc (χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1+4χ4-4χ2) …(3.8)
式(3.8)は、スポット半径指標χの有効設定範囲[0<χ≦0.5]においては、次式(3.8′)となる。
0=log(1/χ)・((bc((-1/2・χ-3/2+14χ5/2)
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5)/(1+2χ2+χ4+2χ6))
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)-(1+2χ2+χ4+2χ6))(-8χ+16χ3)/(1+4χ4-4χ2))
+1/χ・(bc(χ-1/2+4χ7/2)-(1+2χ2+χ4+2χ6)) …(3.8′)
次に、最適スポット半径の条件について説明する。
正方格子での最大の空間周波数をもつ、チェッカーボード画像パターンでのスポット半径指標χの有効設定として、画像形成に必要なエネルギーを最小にする、すなわち、最大のビームエネルギー密度ρr を最小にする条件の一つは、ビームエネルギー密度ρrの極小値であるから、式(3.8)の解χ5が求める最適値となる。
-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5)/(1+2χ2+χ4+2χ6))
-(bc(χ-1/2+4χ7/2)-(1+2χ2+χ4+2χ6))(-8χ+16χ3)/(1+4χ4-4χ2))
+1/χ・(bc(χ-1/2+4χ7/2)-(1+2χ2+χ4+2χ6)) …(3.8′)
次に、最適スポット半径の条件について説明する。
正方格子での最大の空間周波数をもつ、チェッカーボード画像パターンでのスポット半径指標χの有効設定として、画像形成に必要なエネルギーを最小にする、すなわち、最大のビームエネルギー密度ρr を最小にする条件の一つは、ビームエネルギー密度ρrの極小値であるから、式(3.8)の解χ5が求める最適値となる。
ところが、チェッカーボード画像パターンにおいては、前提条件として、式(2.16)の解χ=χ3と、式(2.20)の解χ=χ4とを用いた条件式(2.21)によってスポット半径指標χの範囲が限定されている。したがって式(3.8)のスポット半径指標χの有効設定範囲[0<χ≦0.5]における解χ5は、次式(3.9)を満たしている場合にのみ、最適値として採用される。
χ4≦χ5≦χ3 … (3.9)
そこで、条件式(3.9)が成立しない場合は、式(3.5)のχに解χ3、χ4を代入して、それぞれ次式(3.10)、(3.11)を演算する。
そこで、条件式(3.9)が成立しない場合は、式(3.5)のχに解χ3、χ4を代入して、それぞれ次式(3.10)、(3.11)を演算する。
ρrB3=2/log(1/χ3)・(bc(χ3 -1/2+4χ3 7/2)/(1+2χ3 2+χ3 4+2χ3 6)-1)/(1-4χ3 2+4χ3 4) …(3.10)
ρrB4=2/log(1/χ4) ・(bc(χ4 -1/2+4χ4 7/2)/(1+2χ4 2+χ4 4+2χ43 6)-1)/(1-4χ4 2+4χ4 4) …(3.11)
そして、ビームエネルギー密度ρr3 、ρr4 のうち、どちらか小さい値を示す解χ3もしくはχ4を、解χ5として採用し、条件式(3.9)が成立するように再設定する。
ρrB4=2/log(1/χ4) ・(bc(χ4 -1/2+4χ4 7/2)/(1+2χ4 2+χ4 4+2χ43 6)-1)/(1-4χ4 2+4χ4 4) …(3.11)
そして、ビームエネルギー密度ρr3 、ρr4 のうち、どちらか小さい値を示す解χ3もしくはχ4を、解χ5として採用し、条件式(3.9)が成立するように再設定する。
この解χ5を式(1.5)に代入すると、ビームエネルギー密度を最小にするスポット半径w5は、次式(3.12)として設定される。
w5/r 0= 2/log(1/χ5)1/2 …(3.12)
式(3.12)を満たす例として、チェッカーボード画像パターンに対応する、ビームエネルギー密度を最小にするスポット半径の例を示す。数値条件として[ξd =0.5]、[ξdm =0.75]、[ξc =1.0]、[ξcm =1.5]、[σD0=ξdm=0.75]、[σCDh=ξc=1.0 ]、[bc =σCDh/σD0=ξc/ξdm=1.0/0.75]を設定する。
式(3.12)を満たす例として、チェッカーボード画像パターンに対応する、ビームエネルギー密度を最小にするスポット半径の例を示す。数値条件として[ξd =0.5]、[ξdm =0.75]、[ξc =1.0]、[ξcm =1.5]、[σD0=ξdm=0.75]、[σCDh=ξc=1.0 ]、[bc =σCDh/σD0=ξc/ξdm=1.0/0.75]を設定する。
式(3.5)を用いて、スポット半径指標χに対するビームエネルギー密度を求める。そして、無次元化の基準をそろえるため式(3.6)を用いてビームエネルギー密度ρrBを変換したビームエネルギー密度ρrと、式(2.5)、式(2.6)用いて算出した中心露光エネルギー密度ε0c、ε0dとを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]でプロットすると、図14のようになる。
図14に示すように、発色中心露光エネルギー密度ε0cの最小値を示すスポット半径指標χは、発色ビームエネルギー密度ρrの最小値を示していない。これは、ビームエネルギー密度ρrは露光するスポット面積と比例関係にあるためである。
また、この条件で式(3.8′)を解くと、解[χ5≒0.2059]が得られる。この解χ5を用いて式(3.5)を解くと、ビームエネルギー密度[ρr5≒2.604]となる。ところが、この解χ5は、チェッカーボード画像パターンにおけるスポット半径指標χの有効設定範囲の条件式(2.24)を満たしていない。
そこで、式(3.5)のスポット半径指標χに解[χ3 ≒0.4015]、解[χ4 ≒0.2467]を代入すると、ビームエネルギー密度は[ρrB3≒3.450]及び[ρrB4≒2.632]となる。ここで、[ρrB4<ρrB3]であるから、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]でのビームエネルギー密度を最小にする条件は、[χ5=χ4 ≒0.2467]となる。よって、解χ5の最適設定値を、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(3.20)が得られる。
w5/r0≒1.691 …(3.20)
ただし、図14には、無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)から[ρr3≒2.587]、[ρr5=ρr4≒1.974]が算出され、プロットされている。したがって、[χ5=χ4 ≒0.2467]の設定で最大ビームエネルギー密度が最小になる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20でチェッカーボード画像パターンの画像形成が可能になる。
ただし、図14には、無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)から[ρr3≒2.587]、[ρr5=ρr4≒1.974]が算出され、プロットされている。したがって、[χ5=χ4 ≒0.2467]の設定で最大ビームエネルギー密度が最小になる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20でチェッカーボード画像パターンの画像形成が可能になる。
次に、上記の最適スポット半径[χ5=0.2467]及び[w0/r0=1.691]を用いた場合の、チェッカーボード画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布について説明する。最適のスポット半径の条件[χ5=0.2467]及び[w0/r0=1.691]を式(2.5)、式(2.6)に代入すると、発色中心露光エネルギー密度ε0c、消色中心露光エネルギー密度ε0dが、それぞれ[ε0c≒1.381]、[ε0d≒0.4077]として算出される。
この消色中心露光エネルギー密度ε0d、中心露光エネルギー密度ε0cの値を式(2.1)、式(2.2)、式(2.3)、式(2.4)に代入すると、それぞれの観測ノードでの累積露光エネルギー密度が算出される。すなわち、[σC0 ≒1.50]、[σD0 = 0.75]、[σCDh= 1.0]、[σCDf ≒0.8892]が算出される。この最適スポット半径でのチェッカーボード画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布を図15に示す。
図15のグラフは、図12(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布R1と線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布R2とを示していて、線分A-Aでは、ピークが発色中心ノードでの値、ボトムが消色中心ノードでの値を示している。線分B-Bでは、ピークが中間ノードでの値、ボトムが面心ノードでの値を示している。
図15に示すように、消色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≦σd≦ξdm]となり、消色条件を保持している。また、発色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≦σc≦ξcm]となり、発色条件を保持している。
以上、図15に示すように、最適スポット半径を用いると、チェッカーボード画像パターンに最適な累積露光エネルギー密度分布が実現できる。
かくして、最大の空間周波数をもつチェッカーボード画像パターンの最適スポット半径が求められたので、以下では、この最適スポット半径を各種画像パターンに対して適用した場合について説明する。なお、同一のスポット半径が適用されるが、各画像パターンに応じて各結像スポットに対応する露光エネルギー密度は最適化する必要がある。
図16(a)、図16(b)、図16(c)に、一つの発色画素の周囲すべてに消色画素が配置されている孤立発色画像パターンに対応する、発消色露光パターンを示す。この画像パターンにおいて各観測ノードの設定は、図4(a)、図4(b)、図4(c)と同様である。
チェッカーボード画像パターンの場合と同様に、式(1.8)を用いて、記録媒体10上の各観測ノードの累積露光エネルギー密度を算出することができる。このとき、スポット円31の中心露光エネルギー密度は、発色中心露光エネルギー密度ε0cをもつ発色スポット31aと、消色中心露光エネルギー密度ε0dをもつ消色スポット31bの2種類とする。
チェッカーボード画像パターンでの最適スポット半径[χ5=0.2467]、[w0/r0=1.691]を用いた場合の、孤立発色画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布について説明する。最適のスポット半径の条件から、発色中心露光エネルギー密度ε0c、消色中心露光エネルギー密度ε0dがそれぞれ[ε0c≒1.313]、[ε0d≒0.5596]と算出される。この消色中心露光エネルギー密度ε0d、及び、中心露光エネルギー密度ε0cの値を用いて、図16(a)、図16(b)、図16(c)に示すそれぞれの観測ノードでの累積露光エネルギー密度を算出すると、[σC0 ≒1.475]、[σ1D0 =0.75]、[σ2D0 =0.7069]、[σCDh= 1.0]、[σCDf ≒0.7422]となる。
図16(a)では、発色中心ノード32に隣接する消色中心ノードは、累積露光エネルギー密度の違いから以下の2種類に分類されている。すなわち、発色中心ノード32aと直交方向に隣接する消色中心ノード32b1であるσ1D0と、発色中心ノード32aと対角方向に隣接する消色中心ノード32b2であるσ2D0とに分類されている。
この最適スポット半径での、孤立発色画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布を図17に示す。図17のグラフは、図16(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布S1と線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布S2とを示していて、線分A-Aでは、中心のピークが発色中心ノードでの値を示している。線分B-Bでは、各ピークが消色中心ノードでの値を示している。
図17に示すように、発色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≦σc≦ξcm]となり、発色条件を保持している。また、発色中心ノード付近以外での累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≦σd≦ξdm]となり、消色条件を保持している。このように、チェッカーボード画像パターンでの最適スポット半径を用いると、孤立発色画像パターンにおいても、十分条件を満たす累積露光エネルギー密度分布が実現できる。
図18(a)、図18(b)、図18(c)に、一つの消色画素の周囲すべてに発色画素が配置されている孤立消色画像パターンに対応する、発消色露光パターンを示す。この画像パターンにおいて各観測ノードの設定は、図4(a)、図4(b)、図4(c)と同様である。
チェッカーボード画像パターンの場合と同様に、式(1.8)を用いて、記録媒体10上の各観測ノードの累積露光エネルギー密度を算出することができる。このとき、スポット円31の中心露光エネルギー密度は、発色中心露光エネルギー密度ε0cをもつ発色スポット31aと、消色中心露光エネルギー密度ε0dをもつ消色スポット31bの2種類とする。
チェッカーボード画像パターンでの最適スポット半径[χ5=0.2467]、[w0/r0=1.691]を用いた場合の、孤立消色画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布について説明する。最適のスポット半径の条件から、発色中心露光エネルギー密度ε0c、消色中心露光エネルギー密度ε0dが、それぞれ[ε0c≒1.192]、[ε0d≒0.4421と算出される。この消色中心露光エネルギー密度ε0d、及び、中心露光エネルギー密度ε0cの値を用いて、図18(a)、図18(b)、図18(c)に示すそれぞれの観測ノードでの累積露光エネルギー密度を算出すると、[σD0 = 0.75]、[σ1C0≒1.454]、[σ2C0≒1.497]、[σCDh≒0.9607]、[σCDf= 1.0]となる。
図18(a)では、消色中心ノード32に隣接する発色中心ノードは、累積露光エネルギー密度の違いから以下の2種類に分類されている。すなわち、消色中心ノード32bと直交方向に隣接する発色中心ノード32a1であるσ1C0と、消色中心ノード32bと対角方向に隣接する発色中心ノード32a2であるσ2C0とに分類されている。
この最適スポット半径での、孤立消色画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布を図19に示す。図19のグラフは、図18(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布T1と、線分B-B上での累積露光エネルギー密度分布T2を示していて、線分A-Aでは、中心のボトムが消色中心ノードでの値を示している。線分B-Bでは、各ピークが発色中心ノードでの値を示している。
図19に示すように、消色中心ノード付近での累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≦σd≦ξdm]となり、消色条件を保持している。また、消色中心ノード付近以外での累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≦σc≦ξcm]となり、発色条件を保持している。このように、チェッカーボード画像パターンでの最適スポット半径を用いると、孤立消色画像パターンにおいても、十分条件を満たす累積露光エネルギー密度分布が実現できる。
図20(a)、図20(b)、図20(c)に、1画素ラインが交互に発色ライン35a(線分A-A)、消色ライン35b(線分B-B)と配置されている1画素ライン画像パターンに対応する、発消色露光パターンを示す。この画像パターンにおいて各観測ノードの設定は図4(a)、図4(b)、図4(c)と同様である。
チェッカーボード画像パターンの場合と同様に、式(1.8)を用いて、記録媒体10上の各観測ノードの累積露光エネルギー密度を算出することができる。このとき、スポット円31の中心露光エネルギー密度は、発色中心露光エネルギー密度ε0cをもつ発色スポット31aと、消色中心露光エネルギー密度ε0dをもつ消色スポット31bの2種類とする。
チェッカーボード画像パターンでの最適スポット半径[χ5=0.2467]、[w0/r0=1.691]を用いた場合の、1画素ライン画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布について説明する。最適のスポット半径の条件から、発色中心露光エネルギー密度ε0c、消色中心露光エネルギー密度ε0dがそれぞれ[ε0c≒1.275]、[ε0d≒0.5134]と算出される。この消色中心露光エネルギー密度ε0d、中心露光エネルギー密度ε0cの値を用いて、図20(a)、図20(b)、図20(c)に示すそれぞれの観測ノードでの累積露光エネルギー密度を算出すると、[σC0 = 1.5]、[σD0 = 0.75]、[σCDh= 1.0]、[σCCh≒1.333(発色ライン上の中間ノード)]、[σCDf=0.8889]となる。
図20(b)では、中間ノードは、累積露光エネルギー密度の違いから以下の2種類に分類されている。すなわち、発色中心ノード32aと消色中心ノード32bの中間に位置する中間ノード33であるσCDhと、発色中心ノード32aと次の発色中心ノード32aの中間に位置する(発色ライン上)の中間ノード33aであるσCChとに分類されている。
この最適スポット半径での、1画素ラインチェッカーボード画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布を図21に示す。図21のグラフは、図20(a)に示す線分A-A上での累積露光エネルギー密度分布U1と線分C-C上での累積露光エネルギー密度分布U2を示している。線分C-Cは、発色ライン35a(線分A-A)、消色ライン35b(線分B-B)を横切る直交ライン35cである。線分C-C(直交ライン35c)では、ピークが発色中心ノードでの値、ボトムが消色中心ノードでの値を示している。線分A-A(発色ライン35a)では、ピークが発色中心ノードでの値、ボトムが発色ライン上の中間ノードでの値を示している。
図21に示すように、発色中心ノードを連ねた発色ライン付近での累積露光エネルギー密度σcの分布は[ξc≦σc≦ξcm]となり、発色条件を保持している。また、消色中心ノードノードを連ねた消色ライン付近以外での累積露光エネルギー密度σdの分布は[ξd≦σd≦ξdm]となり、消色条件を保持している。このように、1画素ライン画像パターンでの最適スポット半径を用いると、孤立消色画像パターンにおいても、十分条件を満たす累積露光エネルギー密度分布が実現できる。
本実施の形態による設定を用いると、画像形成に必要な最大のビームエネルギー密度を最小にすることができる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20でチェッカーボード画像パターンの画像形成が可能になる。したがって、高い光エネルギー利用効率が維持でき、レーザアレイモジュール20の低コスト化、最大消費電量の減少に寄与する。
また、本実施の形態による、画像形成に必要な最大のビームエネルギー密度を最小にする設定を用いると、各種画像パターンに対して、各結像スポットに対応する露光エネルギーのみを最適化することで、同一のスポット半径で対応可能である。これにより、多様な画像を高画質で形成できる画像書換技術が提供できる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
レーザアレイモジュール20における各々のレーザビーム21が形成するスポット半径のばらつき、あるいは、レーザパワーのばらつき、あるいは記録媒体10の温度変動等による発色消色特性の不安定性を考慮すると、均一で安定した画像形成を実現するためには、式(3.8)の解である、チェッカーボード画像パターンでのビームエネルギー密度ρrの極小値を使用するスポット半径の採用が望ましい。しかしながら、式(3.8)のスポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]における解χ5は、条件式(3.9)を満たしている場合にのみ最適値として採用されるので、すべての条件で解χ5を使用することはできない。
ところで、式(3.8)で使用するパラメータbcは、式(2.8)から、次式(4.1)として求められる。
bc =σCDh/σD0 …(4.1)
したがって、中間ノードの累積露光エネルギー密度σCDhと、消色中心ノードの累積露光エネルギー密度σD0とを調整し、使用する条件に対して解χ5を、条件式(3.9)を満たようにすることは可能である。
したがって、中間ノードの累積露光エネルギー密度σCDhと、消色中心ノードの累積露光エネルギー密度σD0とを調整し、使用する条件に対して解χ5を、条件式(3.9)を満たようにすることは可能である。
パラメータbcの調整範囲は、次式(4.2)及び(4.3)によって示される。
ξdm<σCDh≦ξc …(4.2)
ξdm≦σD0 <ξc …(4.3)
これを変形すると、次式(4.2′)及び(4.3′)となる。
ξdm≦σD0 <ξc …(4.3)
これを変形すると、次式(4.2′)及び(4.3′)となる。
Md/Mdm<σCDh≦Mc/Mc …(4.2′)
Md/Mdm≦σD0 <Mc/Mc …(4.3′)
したがって、最終的には、次式(4.4)及び(4.5)が得られる。
Md/Mdm≦σD0 <Mc/Mc …(4.3′)
したがって、最終的には、次式(4.4)及び(4.5)が得られる。
Md/Mdm<σCDh≦1 …(4.4)
Md/Mdm≦σD0 <1 …(4.5)
式(4.4)での調整は、[σCDh≦1]として、チェッカーボード画像パターンでの発色画素(ドット)の半径をやや小さくする方法である。式(4.5)での調整は、[Md/Mdm≦σD0]として、チェッカーボード画像パターンでの消色画素(ドット)の濃度をやや上げる、あるいは消色画素の半径をやや小さくする方法である。また、σCDhとσD0の両方の値を調整することも可能である。
Md/Mdm≦σD0 <1 …(4.5)
式(4.4)での調整は、[σCDh≦1]として、チェッカーボード画像パターンでの発色画素(ドット)の半径をやや小さくする方法である。式(4.5)での調整は、[Md/Mdm≦σD0]として、チェッカーボード画像パターンでの消色画素(ドット)の濃度をやや上げる、あるいは消色画素の半径をやや小さくする方法である。また、σCDhとσD0の両方の値を調整することも可能である。
このような画質の微調整は、最大の空間周波数をもつチェッカーボード画像パターンに対してのみ大きく作用するが、チェッカーボード画像パターン以外の比較的小さな空間周波数をもつ画像パターンに対しては、画質変化の度合いは小さい。
次に、チェッカーボード画像パターンを例に、発色画素(ドット)の直径をやや小さくする例を示す。チェッカーボード画像パターンにおける数値条件として、[ξd =0.5]、[ξdm =0.75]、[ξc =1.0]、[ξcm =1.5]を設定する。そして、第3の実施の形態における設定[σD0=ξdm=0.75]、[σCDh=ξc=1.0]、[bc =σCDh/σD0≒1.333]を初期値とし、これを調整する。
例えば、累積露光エネルギー密度σD0に対してσD0-hを、累積露光エネルギー密度σCDhに対してσCDh-hを、パラメータbcに対してbc-hをそれぞれ調整値として、次式(4.6)、(4.7)、(4.8)のように設定する。
σD0-h=0.75 …(4.6)
σCDh-h =0.9591<1 …(4.7)
bc-h=σCDh-h /σD0-h≒1.279 …(4.8)
このとき、中間ノードの累積露光エネルギー密度σCDh-h は[0.9591<1]であり、最小発色エネルギー密度[ξc=1]を下回っている。このため、画素半径r0の位置にある中間ノードでは十分な発色濃度が得られず、結果として、発色画素の直径がやや小さくなる。
σCDh-h =0.9591<1 …(4.7)
bc-h=σCDh-h /σD0-h≒1.279 …(4.8)
このとき、中間ノードの累積露光エネルギー密度σCDh-h は[0.9591<1]であり、最小発色エネルギー密度[ξc=1]を下回っている。このため、画素半径r0の位置にある中間ノードでは十分な発色濃度が得られず、結果として、発色画素の直径がやや小さくなる。
そこで、パラメータbc-hを式(3.5)のbcに代入して、スポット半径指標χに対するビームエネルギー密度を求める。無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)を用いてρrBを変換して得たビームエネルギー密度ρrと、式(2.5)、式(2.6)用いて得た中心露光エネルギー密度ε0c、ε0dとを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]でプロットすると、図22のようになる。
また、調整された条件を用いて式(3.8)を解くと、その解χ5-hは[χ5-h≒0.2164]となり、このとき、式(3.5)から対応するビームエネルギー密度ρr5-hは[ρr5-h≒2.435]となる。
一方、調整された条件を式(2.16)、式(2.20)に適用すると、チェッカーボード画像パターンにおけるスポット半径指標χの有効設定範囲の条件式も変更され、[χ3 ≒0.4209]、[χ4 ≒0.2164]となり、新たなスポット半径指標χの有効設定範囲として次式(4.9)が得られる。
0.2164≦χ≦0.4209 …(4.9)
解χ5-hは、新たなスポット半径指標χの有効設定範囲[0.2164≦χ5-h≦0.4209]を満たしている。よって、解χ5の最適設定値を、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(4.10)が得られる。
解χ5-hは、新たなスポット半径指標χの有効設定範囲[0.2164≦χ5-h≦0.4209]を満たしている。よって、解χ5の最適設定値を、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(4.10)が得られる。
w5-h/r0≒1.617 …(4.10)
ただし、図22には、無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)から次式(4.11)の値が算出され、プロットされている。
ただし、図22には、無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)から次式(4.11)の値が算出され、プロットされている。
ρr5-h≒1.826 …(4.11)
したがって、調整された設定で最大ビームエネルギー密度が極小かつ最小になる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20で、均一かつ安定な画像形成が可能になる。
したがって、調整された設定で最大ビームエネルギー密度が極小かつ最小になる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20で、均一かつ安定な画像形成が可能になる。
次に、チェッカーボード画像パターンでの消色画素(ドット)の濃度をやや上げる、あるいは消色画素の直径をやや小さくする方法の例を示す。チェッカーボード画像パターンにおける数値条件として、[ξd =0.5]、[ξdm =0.75]、[ξc =1.0]、[ξcm =1.5]を設定する。そして、第3の実施の形態における設定[σD0=ξdm=0.75]、[σCDh=ξc=1.0]、[bc =σCDh/σD0≒1.333]を初期値とし、これを調整する。
例えば、累積露光エネルギー密度σD0に対してσD0+dを、累積露光エネルギー密度σCDhに対してσCDh+dを、パラメータbcに対してbc+dをそれぞれ調整値として、次式(4.12)、(4.13)、(4.14)のように設定する。
σD0+d=0.8094 …(4.12)
σCDh+d=1.0 …(4.13)
bc+d=σCDh+d/σD0+d≒1.236 …(4.14)
このとき、消色中心ノードの累積露光エネルギー密度σD0+dは[0.75<0.8094]であり、最大消色エネルギー密度[ξdm =0.75]を上回っている。このため、消色中心ノードでは十分な消色濃度以上のエネルギー密度で露光されてしまう。結果として、消色画素の中心濃度が初期値の場合よりやや上昇する。
σCDh+d=1.0 …(4.13)
bc+d=σCDh+d/σD0+d≒1.236 …(4.14)
このとき、消色中心ノードの累積露光エネルギー密度σD0+dは[0.75<0.8094]であり、最大消色エネルギー密度[ξdm =0.75]を上回っている。このため、消色中心ノードでは十分な消色濃度以上のエネルギー密度で露光されてしまう。結果として、消色画素の中心濃度が初期値の場合よりやや上昇する。
そこで、パラメータbc+dを式(3.5)のbcに代入して、スポット半径指標χに対するビームエネルギー密度を求める。無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)を用いてρrBを変換して得たビームエネルギー密度ρrと、式(2.5)、式(2.6)を用いて得た中心露光エネルギー密度ε0c、ε0dとを、スポット半径指標χの範囲[0<χ≦0.5]でプロットすると、図23のようになる。
また、調整された条件を用いて式(3.8)を解くと、その解χ5+dは[χ5+d≒0.2269]となり、このとき、式(3.5)から対応するビームエネルギー密度ρr5+dは[ρr5+d≒2.297]となる。
一方、調整された条件を式(2.16)、式(2.20)に適用すると、チェッカーボード画像パターンにおけるχの有効設定範囲の条件式も変更され、[χ3 ≒0.4388]、[χ4 ≒0.2269]となり、新たなスポット半径指標χの有効設定範囲として次式(4.15)が得られる。
0.2269≦χ≦0.4388 …(4.15)
解χ5+dは、新たなスポット半径指標χの有効設定範囲[0.2269≦χ5+d≦0.4388]を満たしている。よって、解χ5の最適設定値を、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(4.16)が得られる。
解χ5+dは、新たなスポット半径指標χの有効設定範囲[0.2269≦χ5+d≦0.4388]を満たしている。よって、解χ5の最適設定値を、式(1.5)によって無次元化スポット半径w0/r0に変換すると、次式(4.16)が得られる。
w5+d/r0≒1.642 …(4.16)
ただし、図23は、無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)から次式(4.17)の値が算出され、プロットされている。
ただし、図23は、無次元化の基準をそろえるため、式(3.6)から次式(4.17)の値が算出され、プロットされている。
ρr5+d≒1.859 …(4.17)
したがって、調整された設定で最大ビームエネルギー密度が極小かつ最小になる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20で、均一かつ安定な画像形成が可能になる。
したがって、調整された設定で最大ビームエネルギー密度が極小かつ最小になる。すなわち、最小パワーのレーザアレイモジュール20で、均一かつ安定な画像形成が可能になる。
次に、上記の2つの修正された極小スポット半径[χ5-h=0.2164]、[χ5+d=0.2269]を、チェッカーボード画像パターンにおける累積露光エネルギー密度分布を示す図24で比較する。図24のグラフは、図12(a)に示す線分A-Aでの2つのスポット半径に対する累積露光エネルギー密度分布を示している。
実線で示される累積露光エネルギー密度σ-hは、発色画素の直径縮小調整の例で、以下の値がプロットされている。
χ5-h=0.2164 : 発色画素の直径縮小調整
σD0-h=0.75:消色中心ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
σCDh-h=0.9591:調整された中間ノードでの累積露光エネルギー密度
σC0=1.5:発色中心ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
2r-h≒1.869r0:縮小された発色画素の直径
破線で示される累積露光エネルギー密度σ+dは、消色画素の濃度上昇調整の例で、以下の値がプロットされている。
σD0-h=0.75:消色中心ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
σCDh-h=0.9591:調整された中間ノードでの累積露光エネルギー密度
σC0=1.5:発色中心ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
2r-h≒1.869r0:縮小された発色画素の直径
破線で示される累積露光エネルギー密度σ+dは、消色画素の濃度上昇調整の例で、以下の値がプロットされている。
χ5+d≒0.2269:消色画素の濃度上昇調整
σD0+d=0.8094:調整された消色中心ノードでの累積露光エネルギー密度
σCDh+d=1.0:中間ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
σC0=1.5:発色中心ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
2r+d=2r0:発色画素の直径は初期値と同じ
図24に示すように、発色画素の直径縮小調整では、発色画素の直径が小さくなっている。すなわち、[2r-h<2r+d=2r0]なる関係を有している。
σD0+d=0.8094:調整された消色中心ノードでの累積露光エネルギー密度
σCDh+d=1.0:中間ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
σC0=1.5:発色中心ノードでの累積露光エネルギー密度は初期値と同じ
2r+d=2r0:発色画素の直径は初期値と同じ
図24に示すように、発色画素の直径縮小調整では、発色画素の直径が小さくなっている。すなわち、[2r-h<2r+d=2r0]なる関係を有している。
また、消色画素の濃度上昇調整では消色中心ノードの累積露光エネルギー密度が最大消色エネルギー密度を超えている。すなわち、[ξdm =σD0-h<σD0+d]なる関係を有している。このことは、消色画素の中心濃度が初期値より上昇することを意味している。
また、発色中心ノードでの累積露光エネルギー密度の分布は、どちらの調整方法でも[σC0=ξcm]となり、最大発色エネルギー密度を上回らない。したがって、記録媒体10に対して、熱分解、熱変形等の重大なダメージを与えることはない。
本実施の形態で示すパラメータbcの調整により、ビームエネルギー密度の極小値を使用するスポット半径が採用できるようになる。その結果、レーザアレイモジュール20における各々のレーザビーム21が形成するスポット半径のばらつき、あるいは、レーザパワーのばらつきを吸収する均一な画像形成を実現できる。
また、ビームエネルギー密度が極小値を示すので、記録媒体10の温度変動等の環境変動による発色消色特性の不安定性を吸収する安定な画像形成を実現できる。特に、記録媒体10の長期間の繰返し使用による発色消色特性の変化は避けられないので、本実施の形態で示すパラメータbcの調整による、最大ビームエネルギー密度が極小かつ最小の採用は、長期間安定な画像形成を保障するものである。この結果、記録媒体10の長寿命化が達成される。
(第5実施形態)
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
本実施の形態においても、画像書換装置の構成及び記録媒体10の構成は第1の実施の形態と同一なので図1〜図3を用いるものとし、その説明は省略する。
前記実施の形態では、チェッカーボード画像パターンでのビームエネルギー密度ρrの極小値あるいは最小値を使用するスポット半径の採用により、各種画像パターン対応できることを示してきた。チェッカーボード画像パターン基準のスポット半径(例えば式(3.20))を用いる設定においても、実際の画像形成において、比較的広い面積、例えば、5画素(ドット)×5画素(ドット)以上の面積を発色させる場合には、全面発色画像パターンを形成する際に使用した、発色中心露光エネルギー密度の式(1.38)が使用できる。この式の無次元化を解除すると、次式(5.1)となる。
E0c=Mc/(4χ+8χ5) …(5.1)
全面発色画像パターンにおける中心露光エネルギー密度を求める式(5.1)の設定は、各種の発色画像パターンのなかで、最小の中心露光エネルギー密度をもたらす。そこで新たに、中心露光エネルギー密度の最小値をE 0cmin[J/m2]とおくと、次式(5.2)を得ることができる。
全面発色画像パターンにおける中心露光エネルギー密度を求める式(5.1)の設定は、各種の発色画像パターンのなかで、最小の中心露光エネルギー密度をもたらす。そこで新たに、中心露光エネルギー密度の最小値をE 0cmin[J/m2]とおくと、次式(5.2)を得ることができる。
E0cmin=Mc/(4χ+8χ5) …(5.2)
このように、全面発色画像パターンの設定が適用できる場合には、本実施の形態による中心露光エネルギー密度の最小値を使用することにより、レーザアレイモジュール20における総露光エネルギーを削減できる。これにより、レーザアレイモジュール20の総消費電力の低減を実現することができる。
このように、全面発色画像パターンの設定が適用できる場合には、本実施の形態による中心露光エネルギー密度の最小値を使用することにより、レーザアレイモジュール20における総露光エネルギーを削減できる。これにより、レーザアレイモジュール20の総消費電力の低減を実現することができる。
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
10…光熱変換型可逆性感熱記録媒体(記録媒体)、11…前回の記録画像、12…今回の記録画像、13…支持体、14…可逆性感熱記録層、15…保護層、20…レーザアレイモジュール、21…レーザビーム、22…集光光学系、23…半導体レーザアレイ、24…レーザアレイドライバ、30…累積範囲、31…スポット円、31a…発色スポット、31b…消色スポット、32…中心ノード、32a…発色中心ノード、32a1…直交方向に隣接する発色中心ノード、32a2…対角方向に隣接する発色中心ノード、32b…消色中心ノード、32b1…直交方向に隣接する消色中心ノード、32b2…対角方向に隣接する消色中心ノード、33…中間ノード、34…面心ノード、35a…発色ライン、35b…消色ライン、90…媒体搬送装置。
Claims (6)
- 媒体の温度および温度変化速度の違いにより選択的に発色状態または消色状態をなす可逆性感熱記録媒体と、複数の独立駆動されるレーザビームが前記可逆性感熱記録媒体の移動方向と直交する方向に配列されたレーザアレイ露光手段とを用い、前記可逆性感熱記録媒体を前記レーザアレイで露光して、前記可逆性感熱記録媒体の発色すべき画素を発色条件に加熱し、同時に前記可逆性感熱記録媒体の消色すべき画素を消色条件に加熱して、前記可逆性感熱記録媒体上に画像形成を行う画像書換方法において、
w0を、前記レーザアレイ露光手段から出射される1つのレーザビームの前記可逆性感熱記録媒体上における結像スポットが形成する露光エネルギー密度分布において、露光エネルギー密度の1/e2を示す前記結像スポットの中心からの距離である前記レーザビームの前記可逆性感熱記録媒体上のスポット半径とし、
r0を、前記レーザアレイ露光手段から出射される複数のレーザビームの可逆性感熱記録媒体上における隣接する結像スポットの中心間距離の1/2長さである画素半径とし、
χを変数、aをパラメータとした方程式および変数χの関係式をそれぞれ次式(1)及び(2)とし、
1-a4χ+4χ2+4χ4-a8χ5=0 …(1)
w0/r0=2/log(1/χ)1/2 …(2)
さらに、パラメータaを“1”としたときの前記方程式(1)の解χ1=0.5を用いて、スポット半径w1を前記画素半径r0で割った値w1/r0を[w1/r0=2/log(1/χ1)1/2]とし、
前記可逆性感熱記録媒体の特性として、Mcを最小発色エネルギー密度とし、Mcmを最大発色エネルギー密度とし、Mdを最小消色エネルギー密度とし、Mdmを最大消色エネルギー密度としたとき、Mdm/Md、Mcm/Mcの2つの値から小さい方の値をパラメータaとしたときの方程式(1)の解χ2を用いて、スポット半径w2を画素半径r0で割った値w2/r 0を[w2/r 0=2/log(1/χ2)1/2]としたとき、
前記スポット半径w0を画素半径r0で割った値w0/r0が、
w2/r0≦w0/r0≦w1/r0
なる関係を満たすように設定された前記レーザビームで、前記可逆性感熱記録媒体で露光することを特徴とする画像書換方法。 - 前記関係式(2)で定義される前記変数χとbcおよびbcmとをそれぞれパラメータとした方程式を次式(3)及び(4)とし、
4bcχ3/2/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1=0 …(3)
bcχ-1/2(1+4χ2+4χ4)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1-bcm=0 …(4)
さらに、変数χの範囲[0<χ≦0.5]における前記方程式(3)の解χ3を用い、ただし、範囲[0<χ≦0.5]において前記方程式(3)の解χ3がない場合には前記解χ1を解χ3として用いて、スポット半径w3を画素半径r0で割った値w3/r 0を[w3/r 0=2/log(1/χ3)1/2]とし、
前記パラメータbcを、(最小発色エネルギー密度Mc)/(最大消色エネルギー密度Mdm)としたときの方程式(4)の解χ4を用いて、スポット半径w4を画素半径r0で割った値w4/r0を[w4/r 0=2/log(1/χ4)1/2]としたとき、
前記スポット半径w0を画素半径r0で割った値w0/r0が、
w4/r0≦w0/r0≦w3/r0
なる関係を満たすように設定された前記レーザビームで、前記可逆性感熱記録媒体で露光することを特徴とする請求項1記載の画像書換方法。 - 前記関係式(2)で定義される前記変数χと前記bcとをパラメータとした方程式を次式(5)及び(6)とし、
0=log(1/χ)・((bc((-1/2*χ-3/2+14χ5/2)-(χ-1/2+4χ7/2)(4χ+4χ3+12χ5)/(1+2χ2+χ4+2χ6))-(bc(χ-1/2+4χ7/2)-(1+2χ2+χ4+2χ6))(-8χ+16χ3)/(1+4χ4-4χ2))+1/χ・(bc(χ-1/2+4χ7/2)-(1+2χ2+χ4+2χ6)) …(5)
ρrB=2/log(1/χ) ・(bc(χ-1/2+4χ7/2)/(1+2χ2+χ4+2χ6)-1)/(1-4χ2+4χ4) …(6)
さらに、前記解χ3および前記解χ4を用いた変数χの範囲[χ4≦χ≦χ3]における前記方程式(5)の解をχ5とし、ただし、範囲[χ4≦χ≦χ3]において前記方程式(5)の解χ5がない場合には、前記解χ3 を前記方程式(6)の変数χに代入した値をρrB3とし、前記解χ4を前記方程式(6)の変数χに代入した値をρrB4としたときに、前記ρrB3と前記ρrB4とでどちらか小さい値を示す解χ3または解χ4を前記χ5としたとき、
スポット半径w5を画素半径r0で割った値w5/r0が、
[w5/r0=2/log(1/χ5)1/2]
なる関係を満たすように設定された前記レーザビームで、前記可逆性感熱記録媒体で露光することを特徴とする請求項2記載の画像書換方法。 - σCDhを、隣接する2つの結像スポットの中間に位置する中間ノードにおける累積露光エネルギー密度とし、
σD0を、発色する1つの結像スポットに隣接する消色する1つの結像スポットの中心ノードにおける累積露光エネルギー密度とし、
前記パラメータbcを、(累積露光エネルギー密度σCDh)/(累積露光エネルギー密度σD0)として、
前記最小消色エネルギー密度Mdおよび前記最大消色エネルギー密度Mdmによる条件、
[Md/Mdm<σCDh≦1]、及び、[Md/Mdm≦σD0 <1]
の範囲で前記パラメータbcの値を調整し、この調整された前記パラメータbcを用いたとき、
前記方程式(3)および前記方程式(4)の解χ3および解χ4を用いた変数χの範囲[χ4≦χ≦χ3]が、前記方程式(5)の解χ5が満たしていることを特徴とする請求項3記載の画像書換方法。 - 発色する画素に対する、前記レーザアレイ露光手段から出射される1つのレーザビームの露光エネルギー分布の中心の露光エネルギー密度の最小値E 0cminが、前記関係式(2)で定義される前記変数χと、前記最小発色エネルギー密度Mc とを用いて、
[E0cmin=Mc/(4χ+8χ5)]
であることを特徴とする請求項2記載の画像書換方法。 - 媒体の温度および温度変化速度の違いにより選択的に発色状態または消色状態をなす可逆性感熱記録媒体を、複数の独立駆動されるレーザビームが前記可逆性感熱記録媒体の移動方向と直交する方向に配列されたレーザアレイ露光手段で露光し、前記可逆性感熱記録媒体の発色すべき画素を発色条件に加熱し、同時に前記可逆性感熱記録媒体の消色すべき画素を消色条件に加熱して画像形成を行う画像書換装置において、
前記レーザアレイ露光手段は、
w0を、前記レーザアレイ露光手段から出射される1つのレーザビームの前記可逆性感熱記録媒体上における結像スポットが形成する露光エネルギー密度分布において、露光エネルギー密度の1/e2を示す前記結像スポットの中心からの距離である前記レーザビームの前記可逆性感熱記録媒体上のスポット半径とし、
r0を、前記レーザアレイ露光手段から出射される複数のレーザビームの可逆性感熱記録媒体上における隣接する結像スポットの中心間距離の1/2長さである画素半径とし、
χを変数、aをパラメータとした方程式および変数χの関係式をそれぞれ次式(1)及び(2)とし、
1-a4χ+4χ2+4χ4-a8χ5=0 …(1)
w0/r0=2/log(1/χ)1/2 …(2)
さらに、パラメータaを“1”としたときの前記方程式(1)の解χ1=0.5を用いて、スポット半径w1を前記画素半径r0で割った値w1/r0を[w1/r0=2/log(1/χ1)1/2]とし、
前記可逆性感熱記録媒体の特性として、Mcを最小発色エネルギー密度とし、Mcmを最大発色エネルギー密度とし、Mdを最小消色エネルギー密度とし、Mdmを最大消色エネルギー密度としたとき、Mdm/Md、Mcm/Mcの2つの値から小さい方の値をパラメータaとしたときの方程式(1)の解χ2を用いて、スポット半径w2を画素半径r0で割った値w2/r 0を[w2/r 0=2/log(1/χ2)1/2]としたとき、
前記スポット半径w0を画素半径r0で割った値w0/r0が、
w2/r0≦w0/r0≦w1/r0
なる関係を満たすように設定された前記レーザビームで、前記可逆性感熱記録媒体で露光することを特徴とする画像書換装置。
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-
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