JP2010047784A - 巻取装置及びロール・ツー・ロール処理装置 - Google Patents

巻取装置及びロール・ツー・ロール処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長尺材を巻き取る際に不要な部分と必要な部分とを分けて巻き取ることができ、例えば多段のスパッタ工程を有し、且つ膜厚の薄い長尺樹脂ファイルムにスパッタリングするときの巻き取りに好適な巻取装置を提供する。
【解決手段】巻取装置30には、不要部分をその外周面に巻き付けながら巻き取る円柱状の内部巻取コア32と、必要部分をその外周面に巻き付けながら巻き取る円筒状の外部巻取ロール34とが備えられている。内部巻取コア32は、その横断面の中央部を貫通する回転軸40を中心に回転するものであり、回転軸40の長手方向一端部は、モータなどの動力源42に接続されている。この動力源42が正逆いずれかに駆動することにより、回転軸40と共に内部巻取コア32も正逆回転する。
【選択図】図2

Description

本発明は、長尺樹脂フィルムのような長尺材をロール状に巻き取る巻取装置、及びこの巻取装置が組み込まれたロール・ツー・ロール処理装置に関する。
長尺樹脂フィルムはフレキシブル性を有し、容易に加工できるので、その表面に金属膜や酸化物膜を形成した電子部品や光学部品、包装材料、セラミックのグリーンシートを形成するための基材などとして広く産業界で用いられている。例えば、液晶ディスプレイのドライバ回路には、フレキシブル性と微細配線に対応する特性を持つCOF(Chip on Film)が採用されている。また、携帯電話など小型電子機器ではフレキシブル配線基板が使用されている。
COF用の基板やフレキシブル配線基板は、長尺樹脂フィルムに金属膜が成膜された基板をいわゆるサブトラクティブ法等で加工することにより製造される。近年は、リジット基板に加えフレキシブル基板への用途が拡大していると共に、ファインピッチ化の進展も目覚しい。ファインピッチが進展するに伴って、長尺樹脂フィルムの表面に成膜された金属膜の均一性は非常に重要な問題となってきている。長尺樹脂フィルムに金属膜を成膜した基板を製造する技術としては、長尺のポリイミドフィルムをロール・ツー・ロール真空成膜装置内で搬送しながら、その表面にニッケル−クロム合金及び銅等の金属薄膜をスパッタリング等で成膜する工程を経て、銅薄膜上に銅を電気めっきする製法が知られている。
スパッタリング法などの乾式成膜法で成膜を行う場合、スパッタリングの初期には、ターゲット材の表面層に形成された酸化層がスパッタリングされる。このため、酸化物がスパッタリングされたり、異常スパッタリングによるパーティクルが発生したりして、長尺樹脂フィルムの表面に好ましくない異物が堆積するおそれがある。樹脂フィルムの表面に異物が堆積して凹凸が生じた場合、特に、成膜する樹脂フィルムの膜厚が薄くなってくるほど、この凹凸の存在は、連続的な成膜プロセスにおいて大きな問題となってくる。そこで、ターゲット材の交換初期や真空装置を開放してターゲットを大気に晒した場合(ターゲット材の表面層に酸化層が形成される可能性がある場合)、その後の最初の製造段階では、製造条件よりも出力を下げてスパッタリングを行い、ターゲット表面をクリーニングする(プレスパッタリングと称される)。このプレスパッタリングでは不要なスパッタ粒子が飛散するので、このような不要なスパッタ粒子によって防着板やシャッターに成膜させ、製品となる樹脂フィルムには成膜させない処理が施されている。これら防着板やシャッターに成膜させた後は、装置からシャッターや防着板を取り外して、製品となる成膜を開始する工程に移行する。
上記の防着板やシャッターと同様にスパッタリング粒子を遮断するものとして、カソード付近に配置されたマスクや、ターゲットに対向する樹脂フィルム表面の処理位置以外を覆うマスク板などが知られている。
しかし、上記した防着板やシャッターを使用する技術では、真空成膜装置にシャッターや防着板の機構を取り付けることになるので、その分、コストが高くなる。また、シャッターや防着板にはプレスパッタリングによってスパッタリング粒子が堆積して堆積物が形成されるので、シャッターや防着板を定期的に清掃したり取り替えたりする必要があり、真空成膜装置のメンテナンスの工数が増加する。なお、長尺樹脂フィルムの表面に酸化物膜を形成する場合も、ロール・ツー・ロール真空成膜装置によってスパッタリング成膜することが知られているが、このような装置でも、上記と同様の問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑み、長尺材を巻き取る際に不要な部分と必要な部分とを分けて巻き取ることができ、例えば多段のスパッタ工程を有し、且つ膜厚の薄い長尺樹脂ファイルムにスパッタリングするときの巻き取りに好適な巻取装置、及びこの巻取装置が組み込まれたロール・ツー・ロール処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の巻取装置は、長尺材をロール状に巻き取る巻取装置において、
(1)前記長尺材の一部をロール状に巻き取る第1巻取手段と、
(2)前記長尺材のうち前記一部とは異なる部分をロール状に巻き取る第2巻取手段とを備えたことを特徴とするものである。
ここで、
(3)前記第1巻取手段及び前記第2巻取手段のいずれか一方が長尺材を巻き取っているときは、他方は該長尺材を巻き取らないものであることが好ましい。
さらに、
(4)第1巻取手段は、長尺材をその外周面に巻き取る円筒状又は円柱状の内部巻取コアであり、
(5)前記第2巻取手段は、前記内部巻取コアを取り囲むと共に前記内部巻取コアに同心に配置された、長尺材をその外周面に巻き取る円筒状の外部巻取ロールであり、
(6)該外部巻取ロールは、その外側から前記内部巻取コアに向かって長尺材を通過させるスリットがその外周壁に形成されたものであってもよい。
さらにまた、
(7)前記外部巻取ロールは、その外周壁の前記スリットを囲む部分のうち長尺材が接触する部分は曲面になっているものであってもよい。
さらにまた、
(8)前記外部巻取ロールの前記外周壁の前記スリットを囲む部分に配置された、前記内部巻取コアに向かう長尺材が接触して回転させるロールを備え、
(9)該ロールの外周面は前記外部巻取ロールの前記外周面よりも内側に位置するものであってもよい。
さらにまた、
(10)前記内部巻取コアを回転させる動力源と、
(11)前記内部巻取コアの回転力を前記外部巻取ロールに伝達する、切替自在な回転力伝達手段とを備えてもよい。
さらにまた、
(12)前記内部巻取コアに長尺材を巻き取るときは、前記外部巻取ロールを停止させておいてもよい。
さらにまた、
(13)前記外部巻取ロールに長尺材を巻き取るときは、前記内部巻取コアに長尺材を巻き取るときの該内部巻取コアの回転方向とは反対の方向に、前記外部巻取ロール及び前記内部巻取コアを同じ回転速度で回転させるものであってもよい。
さらにまた、
(14)前記外部巻取ロールの回転を防止する回転防止部材を備えてもよい。
さらにまた、
(15)前記外部巻取ロールは、着脱自在に装着されたものであってもよい。
さらにまた、
(16)前記長尺材のうち前記内部巻取コアに巻き取られた部分がずれることを防止する巻きずれ防止部材を備えてもよい。
さらにまた、
(17)前記外部巻取ロール及び前記内部巻取コアの位置を変える位置変更部材を備えてもよい。
また、上記目的を達成するための本発明のロール・ツー・ロール処理装置は、
(18)前記長尺材として長尺樹脂フィルムを使用し、
(19)上記したいずれかの巻取装置を備え、前記長尺樹脂フィルムの少なくとも表面に処理を施すことを特徴とするものである。
ここで、
(20)前記長尺樹脂フィルムを前記巻取装置に案内すると共にその搬送路を変更させるガイドロールを備えてもよい。
さらに、
(21)前記長尺樹脂フィルムの少なくとも表面に真空成膜を施す成膜機構を備えてもよい。
本発明によれば、長尺材を第1巻取手段と第2巻取手段とに別々に分けて巻き取ることができる。このため、長尺材のうち第1巻取手段が巻き取る一部と、第2巻取手段が巻き取る部分とが異なる材質等の場合、長尺材を材質等に応じて別々に巻き取ることができる。例えば、長尺材にプレスパッタリングし、続けてスパッタリングする場合、長尺材のうちプレスパッタリングされた部分(不要部分)を第1巻取手段に巻き取り、続いて、長尺材のうちスパッタリングした部分(製品部分)を第2巻取手段に巻き取ることにより、従来のシャッタや防着板が無くてもプレスパッタリングできることとなる。このように本発明の巻取装置を用いた場合、シャッタや防着板を清掃するなどのメンテナンス作業が不要となり、メンテナンス費用を低減できる。また、プレスパッタリングによって発生した粒子などが、長尺材のうちスパッタリングされる部分の表面に堆積して突起となり、この突起によって長尺材の裏面を傷付けることが防止される。本発明の巻取装置は、特に、多段のスパッタ工程があるロール・ツー・ロール真空成膜装置などのロール・ツー・ロール処理装置に好適に用いられる。
本発明は、2つのスパッタリングカソードを備えたロール・ツー・ロール真空成膜装置に実現された。
図1を参照して、本発明の一例を説明する。図1は、本発明のロール・ツー・ロール処理装置の一例を模式的に示す側面図であり、この一例としてロール・ツー・ロール真空成膜装置を挙げる。図1では、各種ロールが円状に描かれているが、実際は円筒状(又は円柱状)のものである。
ロール・ツー・ロール真空成膜装置10は、その構成部品のほとんどが収納され、所定の圧力を維持できる構造を有する筐体12を備えている。図1に示す筐体12は直方体状であるが、本発明の実施には、筐体12の形状は問わず、円筒状でも良く、10−4Paから1Paまでの範囲内に減圧された状態を維持できればよい。筐体12の内部は、真空ポンプ(図示せず)により、使用する液体の蒸気圧又は10−4Paから10−3Paまでの範囲内の圧力のいずれか高い圧力まで真空引きされた後にスパッタリングガス(アルゴン)を導入させ、約0.1Paから約1.0Paまでの範囲内の圧力にしてスパッタリングを行う。
筐体12の内部には、成膜される前の長尺の樹脂フィルムF(本発明にいう長尺材の一例である)がロール状に巻かれた巻出ロール14と、成膜された後の樹脂フィルムFを順次に巻き取る巻取装置30が配置されている。巻出ロール14から連続的に引き出された樹脂フィルムFは、この樹脂フィルムFに張力を付与すると共に所定の搬送方向に案内するための第1ガイドロール18及び第2ガイドロール20に案内されてキャンロール22に到達する。キャンロール22を通過した樹脂フィルムFは、この樹脂フィルムFに張力を付与すると共に所定の搬送方向に案内するための第3ガイドロール24及び第4ガイドロール26に案内されて弛まずに搬送されて巻取装置30に巻き取られる。
樹脂フィルムFは、上述したように第1ガイドロール18、第2ガイドロール20、キャンロール22、第3ガイドロール24、第4ガイドロール26によって弛まないように張られているので、樹脂フィルムFの裏面(成膜されない面)Frはキャンロール20の外周面20aに接触している。また、筐体12の内部には、樹脂フィルムFの表面Ffに成膜するための第1スパッタリングカソード28と第2スパッタリングカソード29が、キャンロール20に対向して配置されている。樹脂フィルムFに成膜中は、スパッタリング等のプラズマ等で樹脂フィルムFが加熱されるが、キャンロール22によって冷却される。
なお、ロール・ツー・ロール真空成膜装置10は、後述するようにプレスパッタリングを樹脂フィルムFに行うため、シャッターや防着板が不要であり、プレスパッタリングによってシャッターや防着板に堆積物が生じ得ないので、これら堆積物が製品に付着することに起因する製品不具合のおそれがない。また、従来のシャッターや防着板を備えたロール・ツー・ロール真空成膜装置では、通常の操業条件の30%〜50%の電力を投入してプレスパッタリングを行う。このように電力を絞る理由は、スパッタリングターゲット表面の酸化物などのスパッタリング粒子が急に飛んだときは樹脂フィルムFの表面の凹凸が激しくなるからである。しかし、本発明のロール・ツー・ロール真空成膜装置10では、通常の操業条件の100%〜110%の電力を投入してプレスパッタリングすることが可能であり、従来のロール・ツー・ロール真空成膜装置よりも短時間でプレスパッタリングを実施することができる。この理由は、樹脂フィルムFのうちプレスパッタリングされた不要部分を、通常の製品と区分けして巻き取ることができるので、スパッタリング粒子の凹凸による製品への懸念が無いからである。
上記した樹脂フィルムFとしては、それ自体公知の樹脂フィルムを使用することができ、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重合体など、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等や、ポリ乳酸など生分解性樹脂、あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂であってもよい。また、ポリイミドやエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。長尺樹脂フィルムFの寸法は、その用途に応じて適宜定めることができ、厚さ100μm以下、フィルム長が100m以上であればよい。
図2から図4までを参照して、巻取装置30について説明する。図2(a)は、図1のロール・ツー・ロール真空成膜装置の側面側から見た巻取装置を示す概略図であり、(b)は、図1のロール・ツー・ロール真空成膜装置の側面側から見た巻取装置の内部の概略構成を示す一部断面図であり、外部巻取ロールは断面図を示す。図3(a)は、図1のロール・ツー・ロール真空成膜装置の正面側から見た巻取装置の一部を示す断面図(図2(a)のX―X断面図)であり、内部巻取コアに長尺樹脂フィルムFを巻き取っている状態を表しており、(b)は、(a)と同じ断面図であるが、外部巻取ロールに長尺樹脂フィルムFを巻き取っている状態を表している。図4は、樹脂フィルムを折り曲げないようにスリットにロールが配置された外部巻取ロールを示す断面図である。
巻取装置30は、長尺の樹脂フィルムFのうちプレスパッタリングされた不要部分(本発明にいう、長尺材の一部の一例である)と、この樹脂フィルムFのうち製品となる必要部分(本発明にいう、長尺材のうち一部とは異なる部分の一例である)とを分けて巻き取るためのものである。巻取装置30には、上記の不要部分をその外周面に巻き付けながら巻き取る円柱状の内部巻取コア32と、上記の必要部分をその外周面に巻き付けながら巻き取る円筒状の外部巻取ロール34とが備えられている。内部巻取コア32は、その横断面の中央部を貫通する回転軸40を中心に回転するものであり、回転軸40の長手方向一端部は、モータなどの動力源42に接続されている。この動力源42が正逆いずれかに駆動することにより、回転軸40と共に内部巻取コア32も正逆回転する。ここでは、図3の矢印A方向を正回転方向とし、矢印B方向を逆回転方向とする。
図2(b)に示すように、回転軸40のうち動力源42に接続されている長手方向一端部よりもやや中央部側の部分は、軸受44を介して筐体12に回転自在に固定されている。同様に、回転軸40のうち長手方向一端部とは反対側の長手方向他端部も軸受46を介して筐体12に回転自在に固定されている。回転軸40には、この回転軸40の回転(回転力)を外部巻取ロール34に伝達するか遮断するかの切替が自在に行える回転力伝達部材48を介して外部巻取ロール34も固定されている。回転力伝達部材48は、後述するようにクラッチ又はラチェットによって構成されている。
外部巻取ロール34の2つの側壁35は内部巻取コア32の側壁面よりも外側に位置しており、2つの側壁35の中央部にそれぞれ回転力伝達部材48が取り付けられている。動力源42を駆動させて回転軸40を矢印A方向に回転させる場合、回転力伝達部材48によって回転軸42の回転力(即ち、内部巻取コア32の回転力)が外部巻取ロール34に伝達されるように構成されており、この逆に、動力源42を駆動させて回転軸40を矢印B方向に回転させる場合、回転力伝達部材48によって回転軸42の回転力(即ち、内部巻取コア32の回転力)が外部巻取ロール34に伝達されない(遮断される)ように構成されている。なお、回転軸42を矢印B方向に回転させるとき外部巻取ロール34の回転を防止する回転防止部材(ブレーキ)を備えてもよい。また、外部巻取ロール34は、回転軸40に自在に着脱できるように構成してもよい。このように構成するためには、回転軸42に回転力伝達部材48を固定しておき、この回転力伝達部材48に外部巻取ロール34を着脱自在に取り付けられるように、例えば、外部巻取ロール34を回転力伝達部材48にネジ止めなどすれば良い。外部巻取ロール34を回転軸40に着脱自在にした場合、内部巻取コア32に巻き取られた長尺樹脂フィルムFの取出しが容易になる。
上記した個々の部材・部品について詳細を説明する。
外部巻取ロール34は内部巻取コア32よりも外径及び長さ共に大きいものであり、外部巻取ロール34の中に内部巻取コア32が収容されている。また、外部巻取ロール34は内部巻取コア32を取り囲むと共に内部巻取コア32に同心に配置されている。内部巻取コア32が不要部分を巻き取っているときは外部巻取ロール34は必要部分を巻き取らず、外部巻取ロール34が必要部分を巻き取っているときは内部巻取コア32は不要部分を巻き取らない。
内部巻取コア32の直径、外部巻取ロール34の外径、及びこれらの長さ(長尺樹脂フィルムの巾方向の長さ)は、長尺樹脂フィルムFの長さおよび巾に基づいて適宜に決める。なお、長尺樹脂フィルムFは、コア(内部巻取コア32と同じようなもの)に巻回されて広く市場に流通しており、そのコアの外径は8cmまたは17cmである。ロール・ツー・ロール真空成膜装置10で用いる内部巻取コア32は、この流通しているコアを用いる。内部巻取コア32の外径を8cmとしたときは、既存のロール・ツー・ロール真空成膜装置を改修することなく、この装置に巻取装置30を取り付けることができる。さらに外部巻取ロール34の外径を17cmとしたときは、内部巻取コア32と外部巻取ロール34は互いに干渉することはなく、巻取装置30の目的を達成することができる。なお、内部巻取コア32に、長尺樹脂フィルムFの先端部分を固定する止め金(図示せず、公知ロールに備えられている)を備えてもよい。
図2(a)や図3に示すように、外部巻取ロール34の外周壁36(外部巻取ロール34を構成するもの)には、その外側から内部巻取コア32に向かって長尺樹脂フィルムFを通過させるスリット36aが形成されている。スリット36aの長さ(外部巻取ロール34の長手方向の長さ)は長尺樹脂フィルムFの幅よりも長く、その幅(隙間)は、長尺樹脂フィルムFの厚さよりも十分に長い。また、外周壁36のスリット36aを囲む部分のうち長尺樹脂フィルムFが接触する部分36b(図3(b)に示すように長尺樹脂フィルムFが外部巻取ロール34に巻き取られているときに接触する部分)は曲面になっている。即ち、外部巻取ロール34のスリット36aの側面(外部巻取ロール34の長手方向に延びる面)のうち、図3(b)の矢印A方向(回転方向)の上流側の面(部分36bと同じ)は、長尺樹脂フィルムFが外部巻取ロール34に巻き始められるときに折り曲がらないように、この部分36bから外部巻取ロール34の表面に滑らかに続く曲面で構成されている。
上記の例では、長尺樹脂フィルムFが接触する部分36bを曲面にしたが、図4に示すように、この部分36bにロール36cを配置してもよい。即ち、外部巻取ロール34の外周壁36に形成されたスリット36aを囲む部分のうち、外部巻取ロール36が矢印A方向に回転するときの回転方向上流側には、内部巻取コア32に向かう長尺樹脂フィルムFが接触して回転させるロール36cが配置されている。また、ロール36cは、外部巻取ロール34の長手方向に延びる回転軸を中心にして自在に回転する。ロール36cの外周面は外部巻取ロール34の外周面よりも内側に位置させ、ロール36cを外部巻取ロール34の表面から突出させないようにすることが望ましい。ロール36cが外部巻取ロール34の表面から突出している場合、外部巻取ロール34が巻取った長尺樹脂フィルムFに傷を付けるおそれがある。なお、部分36bやロール36cの表面に弾力性を有する材料を配置し、長尺樹脂フィルムFが折れ曲がることなどを防ぐこともできる。
回転力伝達部材48は、上述したように、内部巻取コア32が接続されている動力源42の動力を外部巻取ロール34に伝達するためのものである。この回転力伝達部材48をクラッチで構成することができる。クラッチで構成する場合、図3(a)に示す矢印B方向に内部巻取コア32が回転するときはこの回転力を外部巻取ロール34に伝達しない(遮断する)ために、公知の乾式クラッチや電磁クラッチを用いることが望ましい。内部巻取コア32の回転を外部巻取ロール34へ遮断する必要がある理由は、内部巻取コア32のみを回転させて、外部巻取ロール34の回転を停止させるためであり、外部巻取ロール34のみを停止させることで、内部巻取コア32に長尺樹脂フィルムFを巻取ることができるからである。乾式クラッチのクラッチディスクの接続などの制御は、エアーシリンダーや油圧など公知の動力で行うことができる。回転力伝達部材48によって内部巻取コア32の回転を外部巻取ロール34へ伝達する場合、外部巻取ロール34と内部巻取コア32は回転軸40を中心にして(同心で)同じ回転数で回転する。
図5を参照して、回転力伝達部材48をラチェット60で構成した例を説明する。図5(a)は、内部巻取コアが矢印A方向に回転するときの回転力伝達部材を示す説明図であり、(b)は、内部巻取コアが矢印B方向に回転するときの回転力伝達部材を示す説明図である。
ラチェット60は、内部ラック62と外部ラック64を備えている。内部ラック62は回転軸40の外周面に固定されており、外部ラック64は外部巻取ロール34の側壁35の中央部に嵌め込まれて固定されている。内部ラック62と外部ラック64は、例えばフリーホイールのようなラチェット機構を持っており、一方向だけ(本例では、図5に示す矢印A方向に内部ラック62が回転するときのみ)に内部ラック62の動力(回転軸40の回転力)を外部ラック64に伝達する。内部ラック62の爪62aは伸縮自在であり、コイルばね63などの弾性体を介して回転軸40に固定されている。回転軸40が矢印A方向に回転し、内部ラック62の爪62aが外部ラック64の爪64aに噛み合うように当接したときは、内部ラック62の動力(即ち、内部巻取コア32の回転力)が外部ラック64に伝達されて外部巻取ロール34が回転する。一方、回転軸40が矢印B方向に回転し、内部ラック62の爪62aが外部ラック64の爪64bに噛み合わないときは、内部ラック62の動力は外部ラック64には伝達されず、外部巻取ロール34は回転せずに内部巻取コア32のみが回転する。
回転軸40が矢印B方向に回転するときは、内部ラック62の爪62aが外部ラック64の爪64aの腹部分64bに接触するので、コイルばね63などの弾性体が縮み、外部ラック64を回転させることが無い。なお、内部ラック62の爪62aを伸縮させる構成に代えて、外部ラック64の爪64aを伸縮させるように構成しても良い。また、爪62aの伸縮に用いる弾性体はバネやゴム等のエラストマーを用いることができる。なお、内部ラック62及び外部ラック64の爪は、耐摩耗性や耐衝撃を備える金属や樹脂等公知の材料で形成することができる。
上記のようには回転力伝達部材48をラチェット60で構成した場合は、内部巻取コア32のみが正逆両方向(矢印A方向及び矢印B方向)に回転し、外部巻取ロール34は正方向(矢印A方向)にのみ回転するように簡易に構成できる。
巻取装置30の内部巻取コア32及び外部巻取ロール34の回転方向を制御する機器としてラチェット60を採用した場合は、内部巻取コア32に長尺樹脂フィルムFを巻取るときと、外部巻取ロール34に長尺樹脂フィルムFを巻き取るときの選択は、内部巻取コア32を正逆回転させるだけで済む。即ち、長尺樹脂フィルムFを内部巻取コア32に巻取るときは、内部巻取コア32を逆回転(矢印B方向に回転)させることにより内部巻取コア32のみが回転し、長尺樹脂フィルムFを外部巻取ロール34に巻き取るときは、内部巻取コア32を正回転(矢印A方向に回転)させることにより外部巻取ロール34も正回転する。
ここで、図2と図3を再び参照して、長尺樹脂フィルムFを内部巻取コア32に巻き取る場合と、外部巻取ロール34に巻き取る場合について説明する。
ロール・ツー・ロール真空成膜装置10(図1参照)において、第1スパッタリングカソード28と第2スパッタリングカソード29のターゲット表面をクリーニングするプレスパッタリングを行う場合、不要なスパッタ粒子が長尺樹脂フィルムFの表面Ffに付着・堆積する。このため、長尺樹脂フィルムFのうち表面Ffに不要なスパッタ粒子が付着・堆積した部分(不要部分)を内部巻取コア32に巻き取る。長尺樹脂フィルムFを内部巻取コア32で巻き取り始める際、樹脂フィルムFの先端を止め金に固定するか、または、この先端を内部巻取コア32に粘着テープで固定する。内部巻取コア32の外周面に樹脂フィルムFが数周ほど巻き取られることにより巻きしまるので、樹脂フィルムFがずれることはない。外部巻取ロール34に樹脂フィルムFを巻き取らせる場合も同様である。
上記のように樹脂フィルムFを内部巻取コア32に巻き取らせる場合、回転軸40が矢印B方向に回転するように駆動源42を駆動させる。これにより内部巻取コア32は矢印B方向(逆回転方向)に回転するが、外部巻取ロール34は停止したままである。内部巻取コア32の回転に伴って、長尺樹脂フィルムFはスリット36aを通過して内部巻取コア32に巻き取られる。スリット36aは、長尺樹脂フィルムFの搬送経路の障害とならない向きに向かせておく。
樹脂フィルムFの不要部分を内部巻取コア32に巻き取らせた後は、駆動源42の駆動を逆方向にして回転軸40が矢印A方向に回転するように駆動源42を駆動させる。これにより内部巻取コア32は矢印A方向(正回転方向)に回転すると共に外部巻取ロール34も矢印A方向に回転し、製品となる必要部分が外部巻取ロール34に巻き取られ始める。この場合、回転力伝達部材48をラチェット60(図5参照)で構成したときは、内部巻取コア32の回転速度と外部巻取ロール34の回転速度は同じになる。外部巻取ロール34の回転速度が内部巻取コア32の回転速度よりも速くなるように構成しても良いが、外部巻取ロール34の回転速度が内部巻取コア32の回転速度よりも遅くなるように構成した場合は、長尺樹脂フィルムFを外部巻取ロール34に巻き取ることができない。
巻取装置30で長尺樹脂フィルムFを巻き取るに当たっては、長尺樹脂フィルムFが内部巻取コア32に巻取られる場合、又は外部巻取ロール34に巻取られる場合に応じて、長尺樹脂フィルムFの搬送経路が最適となるように第4ガイドロール26(図1参照)の位置を移動する構成にしても良い。例えば、第4ガイドロール26の軸受け(図示せず)をジャッキ等により上下に移動可能とすることにより、長尺樹脂フィルムFの搬送経路を可変にすることができる。また、内部巻取コア32に長尺樹脂フィルムFを巻き取る場合には、長尺樹脂フィルムFの搬送経路にスリット36aの向きを合わせる。即ち、長尺樹脂フィルムFが内部巻取コア32に巻き取れられる際は、内部巻取コア32、外部巻取ロール34のスリット36a及び第4ガイドロール26が最適な搬送経路となるように第4ガイドロール26を上下に移動させ、長尺樹脂フィルムFが図3(a)に示すように、周辺の部材などに接触せずにスリット36aを通過するようにする。長尺樹脂フィルムFが外部巻取ロール34に巻き取れられる際は、外部巻取ロール34と第4ガイドロール26が最適な搬送経路となるように第4ガイドロール26を上下に移動させる。なお、軸受44又は軸受46に、回転軸40の回転方向を検出するための検出センサを設け、この検出センサの検出結果に応じて第4ガイドロール26を上下に自動的に移動させるように構成してもよい。
外部巻取ロール34に長尺樹脂フィルムFの一定量を巻き取って成膜工程が終了したときは、外部巻取ロール34の側壁35を取り外し、内部巻取コア32の外周面と外部巻取ロール34の間に張られている樹脂フィルムFを切断し(図3に示す内部巻取コア32と外部巻取ロール34の間の樹脂フィルムFを切断し)、切断した端部を外部巻取ロール34の内周面に粘着テープで固定して外部巻取ロール34ごと樹脂フィルムFを次工程へ移行する。これにより、ロール・ツー・ロール真空成膜装置10を使用した成膜工程は終了する。
上記した例では、長尺樹脂フィルムFの搬送経路を最適に保つために第4ガイドロール26を上下動させたが、巻取装置30を移動させてもよい。この例を、図6を参照して説明する。図6は、巻取装置を移動させる構成のロール・ツー・ロール真空成膜装置を模式的に示す側面図である。
ロール・ツー・ロール真空成膜装置100では、回動軸102aを中心にして回動する(所定角度だけ回転する)回動アーム102(本発明にいう位置変更部材の一例である)を筐体12に取り付けておき、巻取装置30の軸受44、46を筐体12に固定せずに、回動アーム102に固定した。このように構成することにより、回動アーム102を適宜な角度だけ回動させて、長尺樹脂フィルムFの搬送経路を最適に保てるように巻取装置30を移動できる。回動アーム102の内部に、内部巻取コア32及び外部巻取ロール34を回転させる動力を伝達する歯車(図示せず)、シャフト(図示せず)、平ベルト(図示せず)、Vベルト(図示せず)、コグドベルト(図示せず)等を格納しておくことにより、筐体12の外部に配置された駆動源42(図2参照)の駆動力を内部巻取コア32に伝達でき、内部巻取コア32などを回転させることが可能となる。上記の歯車やシャフトなどは、駆動源42によって駆動されるように構成してもよいし、他の駆動源によって駆動されるように構成してもよい。
図7と図8を参照して、内部巻取コア32に巻き取られた樹脂フィルムFを巻きずれさせない巻ずれ防止機構について説明する。
図7は、巻ずれ防止機構の概略構成を示す側面図である。図8は、外部巻取ロールの側壁に取り付けられた巻ずれ防止機構を示す概略図である。これらの図では、図1から図3までに示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。なお、巻ずれ防止機構は無くてもよい。
巻ずれ防止機構80は、内部巻取コア32の外周面に巻き取られた樹脂フィルムFを外側から押え付ける巻ずれ防止板82を備えている。この巻ずれ防止板82は、コイルばね84を介して外部巻取ロール34の側壁35に取り付けられている。巻ずれ防止板82は、外部巻取ロール34に追従して回転する。従って、内部巻取コア32のみが回転しているときは、巻ずれ防止板82は回転せず、外部巻取ロール34が回転するときは、内部巻取コア32及び外部巻取ロール34と同じ回転数で同じ方向に巻ずれ防止板82が回転する。
巻ずれ防止板82が、内部巻取コア32の外周面に巻き取られた樹脂フィルムFの表面を押え付けない場合にはコイルばね84が伸び、この逆に、長尺樹脂フィルムFの表面を押え付ける場合にはコイルばね84が縮むように構成されている。コイルばね84を伸縮させるものとしては、ガス圧力、電磁石や圧電素子等の電気的手段を用いることができる。
ガス圧力を用いる場合には、図7に示すように、回転力伝達部材48に円板状のカバー86を取り付けると共に、外部巻取ロール34の側壁35の内面にシリンダ88を固定しておく。巻ずれ防止板82の長手方向一端部にシリンダ88の上端(一端)とコイルばね84の一端を接続する。コイルばね84の他端は、側壁35のうち内部巻取コア32に近い部分に固定する。また、筐体12の外部から回転軸40やカバー86を通してガス供給管90をシリンダ88に接続する。このガス供給管90を経由して外部からガスがシリンダ88に供給されている間はシリンダ88が伸びてコイルばね84が伸びた状態を維持できる。このようにコイルばね84が伸びている状態では、図7の実線で示すように巻ずれ防止板82は、内部巻取コア32の外周面に巻き取られた樹脂フィルムFの表面から離れている。この状態では、内部巻取コア32に長尺樹脂フィルムFを巻き取れることとなる。シリンダ88へのガスの供給を停止する(ガスを断つ)ことによりシリンダ88が縮んでコイルばね84も縮み、図7の二点鎖線で示すように巻ずれ防止板82は、内部巻取コア32の外周面に巻き取られた樹脂フィルムFの表面を押し付ける。電気的手段を用いる場合も同様である。なお、真空成膜装置10では、供給ガスをアルゴンなどにすることにより、シリンダ88からガスがリークしても筐体12内部の雰囲気を汚染することがほとんどない。また、巻ずれ防止機構80を駆動させるガスなどの動力を上記したクラッチの動力と共通にできる。また、巻ずれ防止板82に、長尺樹脂フィルムFを押え付けるための滑り止めの凹凸や爪を設けても良い。
上記したロール・ツー・ロール真空成膜装置10を用いて長尺樹脂フィルムFに薄膜を形成した例を説明する。
長尺樹脂フィルムFとしては、厚さ38μm、巾50cm、長さ2500mのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製 カプトン(登録商標))を用いた。巻取装置30の内部巻取コア32の直径を8cmとし、外部巻取ロール34の外径を17cmとし、それらの巾はそれぞれ80cmとした。また、スパッタリングカソード28にはクロム7質量%のニッケルクロム合金ターゲットを備え、スパッタリングカソード29には銅ターゲットを備えた。スパッタリングカソード28、29ともマグネトロンスパッタリングカソードとした。また、スパッタリングカソード28、29とキャンロール22との間に防着板などは配置していない。
ロール・ツー・ロール真空成膜装置10の筐体12の内部を到達圧力の10−4Paまで減圧した後、この内部にアルゴンガスを導入して0.1Paとなるようにした。ついて、スパッタリングカソード28、29に通常の成膜時の電力の110%を投入し、プレスパッタリングを実施した。プレスパッタリングを実施している間は、内部巻取コア32を図3の矢印B方向に回転させて、内部巻取コア32に長尺樹脂フィルムFを巻き取った。その後、スパッタリングカソード28、29に通常の成膜の電力を投入して、長尺樹脂フィルムFに通常の成膜処理を実施した。長尺樹脂フィルムFに通常の成膜処理を実施する際は、外部巻取ロール34を図2の矢印A方向に正回転させて、外部巻取ロール34に長尺樹脂フィルムFを巻取った。
プレスパッタリングされた長尺樹脂フィルムFのうち任意の1mを光学顕微鏡で観察したところ、その表面に突起が見られた。一方、通常の成膜を実施した長尺樹脂フィルムFのうち任意の1mには突起が見られなかった。また、プレスパッタリングされた長尺樹脂フィルムFが、通常の成膜を行った長尺樹脂フィルムFの裏面を傷付けることも無かった。
一方、本発明の巻取装置30を備えない、即ち、円筒状のみの巻取りロール(従来の巻取りロール)を用いたことのみ変更して上述の条件で、長尺樹脂フィルムFにプレスッパッタリングと通常の成膜を実施したところ、巻取った製品には、プレスパッタリングを実施した表面の突起に起因する変形が通常の成膜を行った部分にも見られた。
ロール・ツー・ロール真空成膜装置10には巻取装置30が備えられており、プレスパッタリングされた長尺樹脂フィルムF(不要部分)と通常の成膜がされた長尺樹脂フィルムF(必要部分、製品)とを分けて巻取ることができるので、好ましくない凹凸や異物が付着したり好ましくない変質を生じたりしたフィルムと、正常部分を製造段階で巻き分けることが可能である。このように巻き分ける効果の一つとしては、長尺樹脂フィルムFが巻回されていく過程で、突起を有する下地の長尺樹脂フィルムFがその上に巻回される長尺樹脂フィルムの裏面を傷付けることが無いことが挙げられる。
上記した実施例では、巻取装置30をロール・ツー・ロール真空成膜装置10に組み込んだ例を説明した。巻取装置30は、ロール・ツー・ロール真空成膜装置10の他、減圧雰囲気下で長尺樹脂フィルムFの表面をプラズマ処理などで改質するロール・ツー・ロール表面処理装置、装置内で長尺樹脂フィルムFを巻出し巻取りの搬送しながら乾燥を行うロール・ツー・ロール乾燥装置などのロール・ツー・ロール処理装置に用いることができる。
また、巻取装置30は、長尺樹脂フィルムFをロール・ツー・ロールで搬送して、その表面に磁気塗料やセラミックスラリー等を塗布するドクターブレード等をはじめとする各種コーターの巻取装置にも用いることができる。このため、本発明のロール・ツー・ロール処理装置には各種コーターを含んでも良い。
これらのロール・ツー・ロール処理装置では、例えば、上述のロール・ツー・ロール乾燥装置の場合、通常運転前に装置内の異物の除去を目的として、通常とは異なる加熱条件や雰囲気条件にすることがあり、また、各種コーターの場合、運転開始時にドクターブレードの塗布条件が不安定な場合など、通常の製品とは区別される成膜がされた長尺樹脂フィルムが存在することがある。このように通常の製品とは区別されるべき長尺樹脂フィルムは、品質管理上の不適合品となる。これら不適合品を本発明の巻取装置30の内部巻取コア32に巻取り、通常の製品を外部巻取ロール34に巻取ることにより、製造設備上で通常の製品を区別することが可能となり、品質管理上でも好ましい。
本発明のロール・ツー・ロール処理装置の一例を模式的に示す側面図である。 (a)は、図1のロール・ツー・ロール真空成膜装置の側面側から見た巻取装置を示す概略図であり、(b)は、図1のロール・ツー・ロール真空成膜装置の側面側から見た巻取装置の内部の概略構成を示す一部断面図であり、外部巻取ロールは断面図を示す。 (a)は、図1のロール・ツー・ロール真空成膜装置の正面側から見た巻取装置の一部を示す断面図(図2(a)のX―X断面図)であり、内部巻取コアに長尺樹脂フィルムFを巻き取っている状態を表しており、(b)は、(a)と同じ断面図であるが、外部巻取ロールに長尺樹脂フィルムFを巻き取っている状態を表している。 樹脂フィルムを折り曲げないようにスリットにロールが配置された外部巻取ロールを示す断面図である。 (a)は、内部巻取コアが矢印A方向に回転するときの回転力伝達部材を示す説明図であり、(b)は、内部巻取コアが矢印B方向に回転するときの回転力伝達部材を示す説明図である。 巻取装置を移動させる構成のロール・ツー・ロール真空成膜装置を模式的に示す側面図である。 巻ずれ防止機構の概略構成を示す側面図である。 外部巻取ロールの側壁に取り付けられた巻ずれ防止機構を示す概略図である。
符号の説明
10 ロール・ツー・ロール真空成膜装置
30 巻取装置
32 内部巻取コア
34 外部巻取ロール
36a スリット
40 回転軸
42 動力源
48 回転力伝達部材
F 長尺樹脂フィルム

Claims (15)

  1. 長尺材をロール状に巻き取る巻取装置において、
    前記長尺材の一部をロール状に巻き取る第1巻取手段と、
    前記長尺材のうち前記一部とは異なる部分をロール状に巻き取る第2巻取手段とを備えたことを特徴とする巻取装置。
  2. 前記第1巻取手段及び前記第2巻取手段のいずれか一方が長尺材を巻き取っているときは、他方は該長尺材を巻き取らないものであることを特徴とする請求項1に記載の巻取装置。
  3. 第1巻取手段は、
    長尺材をその外周面に巻き取る円筒状又は円柱状の内部巻取コアであり、
    前記第2巻取手段は、
    前記内部巻取コアを取り囲むと共に前記内部巻取コアに同心に配置された、長尺材をその外周面に巻き取る円筒状の外部巻取ロールであり、
    該外部巻取ロールは、
    その外側から前記内部巻取コアに向かって長尺材を通過させるスリットがその外周壁に形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取装置。
  4. 前記外部巻取ロールは、
    その外周壁の前記スリットを囲む部分のうち長尺材が接触する部分は曲面になっているものであることを特徴とする請求項3に記載の巻取装置。
  5. 前記外部巻取ロールの前記外周壁の前記スリットを囲む部分に配置された、前記内部巻取コアに向かう長尺材が接触して回転させるロールを備え、
    該ロールの外周面は前記外部巻取ロールの前記外周面よりも内側に位置するものであることを特徴とする請求項3に記載の巻取装置。
  6. 前記内部巻取コアを回転させる動力源と、
    前記内部巻取コアの回転力を前記外部巻取ロールに伝達する、切替自在な回転力伝達手段とを備えたことを特徴とする請求項3、4、又は5に記載の巻取装置。
  7. 前記内部巻取コアに長尺材を巻き取るときは、前記外部巻取ロールを停止させておくことを特徴とする請求項3から6までのうちのいずれか一項に記載の巻取装置。
  8. 前記外部巻取ロールに長尺材を巻き取るときは、前記内部巻取コアに長尺材を巻き取るときの該内部巻取コアの回転方向とは反対の方向に、前記外部巻取ロール及び前記内部巻取コアを同じ回転速度で回転させるものであることを特徴とする請求項3から7までのうちのいずれか一項に記載の巻取装置。
  9. 前記外部巻取ロールの回転を防止する回転防止部材を備えたことを特徴とする請求項3から8までのうちのいずれか一項に記載の巻取装置。
  10. 前記外部巻取ロールは、着脱自在に装着されたものであることを特徴とする請求項3から9までのうちのいずれか一項に記載の巻取装置。
  11. 前記長尺材のうち前記内部巻取コアに巻き取られた部分がずれることを防止する巻きずれ防止部材を備えたことを特徴とする請求項3から10までのうちのいずれか一項に記載の巻取装置。
  12. 前記外部巻取ロール及び前記内部巻取コアの位置を変える位置変更部材を備えたことを特徴とする請求項3から11までのうちのいずれか一項に記載の巻取装置。
  13. 前記長尺材は長尺樹脂フィルムであり、
    請求項1から12までのうちのいずれかの巻取装置を備え、前記長尺樹脂フィルムの少なくとも表面に処理を施すことを特徴とするロール・ツー・ロール処理装置。
  14. 前記長尺樹脂フィルムを前記巻取装置に案内すると共にその搬送路を変更させるガイドロールを備えたことを特徴とする請求項13に記載のロール・ツー・ロール処理装置。
  15. 前記長尺樹脂フィルムの少なくとも表面に真空成膜を施す成膜機構を備えたことを特徴とする請求項13又は14に記載のロール・ツー・ロール処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3666924A1 (en) * 2018-12-12 2020-06-17 Anhui JIMAT New Material Technology Co., Ltd. A double-sided vacuum coating device for continuously coating a film back and forth

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