JP2010046444A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検体内において反射された超音波エコーの受信信号に基づいて、被検体内の各サンプル点における物理的な音速を直接的に求めることができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】この超音波診断装置は、複数の駆動信号を複数の超音波トランスデューサに供給して超音波を送信すると共に、超音波エコーを受信した複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号を処理する送受信部と、送受信部によって処理された受信信号に対して受信フォーカス処理を施すことにより超音波の受信方向に沿った音線信号を生成する受信フォーカス処理手段と、受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号に対して直交検波処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、少なくとも複素ベースバンド信号の逐次位相差に基づいて被検体内における音速に関する情報を求める音速情報演算手段とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波を送受信することにより生体内の臓器等の撮像を行って、診断のために用いられる超音波画像を生成する超音波診断装置に関する。
医療分野においては、被検体の内部を観察して診断を行うために、様々な撮像技術が開発されている。特に、超音波を送受信することによって被検体の内部情報を取得する超音波撮像は、リアルタイムで画像観察を行うことができる上に、X線写真やRI(radio isotope)シンチレーションカメラ等の他の医用画像技術と異なり、放射線による被曝がない。そのため、超音波撮像は、安全性の高い撮像技術として、産科領域における胎児診断の他、婦人科系、循環器系、消化器系等を含む幅広い領域において利用されている。
超音波撮像の原理は、次のようなものである。超音波は、被検体内における構造物の境界のように、音響インピーダンスが異なる領域の境界において反射される。そこで、超音波ビームを人体等の被検体内に送信し、被検体内において生じた超音波エコーを受信し、超音波エコーが生じた反射位置や反射強度を求めることにより、被検体内に存在する構造物(例えば、内臓や病変組織等)の輪郭を抽出することができる。
一般に、超音波診断装置においては、超音波の送受信機能を有する複数の超音波トランスデューサを含む超音波プローブが用いられる。送信フォーカス処理によって複数の超音波を合波して形成される超音波ビームを用いて被検体を走査し、被検体内部において反射された超音波エコーを受信して受信フォーカス処理を行うことにより、超音波エコーの強度に基づいて、被検体内に存在する構造物に関する画像情報が得られ、表示部に超音波画像が表示される。
このように、従来の超音波診断装置において表示される超音波画像は、生体から反射された超音波エコーの受信信号の強度に応じて輝度変調を行うことによって得られる断層像である。ここでは、音響理論に基づいて、生体内の組織各部に固有の音響インピーダンスの差異を表す断層像が得られる。しかしながら、得られた断層像の臨床的意味は、経験的に評価されるものであり、必ずしも物理的な意味を持って臨床情報に反映されているとは言えない。
一方、直接的な物理情報として、組織各部の弾性率が臨床情報を与えることが一般に知られており、弾性率に相当する値の分布をエラストグラフィの画像として表示する機器も市販されている。例えば、腫瘍は他の組織と比べて一般的に硬くなり、従って、弾性率が大きくなる。エラストグラフィの臨床的価値は評価されているが、エラストグラフィの画像を取得するためには生体を外部から圧迫する必要があり、極めて高度の検査技術を必要としている。
ところで、音速は弾性率の関数として与えられるものであるから、生体内の組織各部の音速が示す臨床的価値は、弾性率と同等であると考えられる。従って、音速による断層像もエラストグラフィと同様に臨床的価値があるものと推察できる。音速の測定は、音が既知の長さを通過する時間を測定することによって行われるが、無侵襲で生体内の組織各部の音速を求める方法は知られていない。
関連する技術として、特許文献1には、生体音速の推定を行うことができる超音波診断装置が開示されている。この超音波診断装置においては、設定音速が1440m/secから1620m/secまでの10種のビームプロファイルが生成される。焦点深度P1(浅部領域)に対応する10種のビームプロファイルの中から、ビーム幅として例えば半値幅が最も狭い(短い)ビームプロファイルが選択され、その選択されたビームプロファイルに対応する設定音速が、当該被検体の当該部位の浅部領域に関する生体音速として推定される。つまり、ビーム幅が最も細く絞られるときの設定音速が、真の生体音速に最も近似している。同様に、焦点深度P2(深部領域)に対応する設定音速が相違する10種のビームプロファイルの中から、ビーム幅として例えば半値幅が最も狭いビームプロファイルが選択され、その選択されたビームプロファイルに対応する設定音速が、当該被検体の当該部位の深部領域に関する生体音速として推定される。
しかしながら、特許文献1によって推定される生体音速は、受信フォーカス処理のために都合が良いというだけのものであり、被検体内の各サンプル点における物理的な音速を表してはいない。
特開2007−7045号公報(第5−6頁、図3)
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、被検体内において反射された超音波エコーの受信信号に基づいて、被検体内の各サンプル点における物理的な音速を直接的に求めることができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る超音波診断装置は、複数の駆動信号を複数の超音波トランスデューサに供給して超音波を送信すると共に、超音波エコーを受信した複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号を処理する送受信部と、送受信部によって処理された受信信号に対して受信フォーカス処理を施すことにより超音波の受信方向に沿った音線信号を生成する受信フォーカス処理手段と、受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号に対して直交検波処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、少なくとも複素ベースバンド信号の逐次位相差に基づいて被検体内における音速に関する情報を求める音速情報演算手段とを具備する。
本発明によれば、少なくとも複素ベースバンド信号の逐次位相差に基づいて被検体内における音速に関する情報を求めることにより、被検体内の各サンプル点における物理的な音速を直接的に求めることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は、超音波探触子10と、走査制御部11と、送信遅延パターン記憶部12と、送信制御部13と、駆動信号発生部14と、受信信号処理部21と、受信遅延パターン記憶部22と、受信制御部23と、Bモード画像信号生成部30と、音速情報演算部41と、音速値補正部42と、音速マップ生成部43と、画像表示制御部51と、D/A変換器52と、表示部53と、操作卓61と、制御部62と、格納部63とを有している。ここで、駆動信号発生部14と受信信号処理部21とは、送受信部を構成している。
超音波探触子10は、1次元又は2次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ10aを備えており、被検体に当接させて用いられる。それらの超音波トランスデューサ10aは、印加される駆動信号に基づいて超音波ビームを送信すると共に、伝搬する超音波エコーを受信して受信信号を出力する。
各超音波トランスデューサは、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極を形成した振動子によって構成される。そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮により、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
走査制御部11は、超音波ビームの送信方向及び超音波エコーの受信方向を順次設定する。超音波ビームによる被検体の走査は、電子的に行われても良いし、メカニカルに行われても良い。送信遅延パターン記憶部12は、超音波ビームを形成する際に用いられる複数の送信遅延パターンを記憶している。送信制御部13は、走査制御部11において設定された送信方向に応じて、送信遅延パターン記憶部12に記憶されている複数の遅延パターンの中から1つのパターンを選択し、そのパターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ10aの駆動信号にそれぞれ与えられる遅延時間を設定する。あるいは、送信制御部13は、複数の超音波トランスデューサ10aから一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように遅延時間を設定しても良い。
駆動信号発生部14は、例えば、複数の超音波トランスデューサ10aに対応する複数のパルサによって構成されている。駆動信号発生部14は、送信制御部13によって選択された送信遅延パターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ10aから送信される超音波が超音波ビームを形成するように複数の駆動信号の遅延量を調節して超音波探触子10に供給しても良いし、複数の超音波トランスデューサ10aから一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように複数の駆動信号を超音波探触子10に供給しても良い。
受信信号処理部21は、複数の超音波トランスデューサ10aに対応して、複数の増幅器(プリアンプ)21aと、複数のA/D変換器21bとを含んでいる。超音波トランスデューサ10aから出力される受信信号は、増幅器21aにおいて増幅され、増幅器21aから出力されるアナログの受信信号は、A/D変換器21bによってディジタルの受信信号に変換される。A/D変換器21bは、ディジタルの受信信号を、受信制御部23に出力する。
受信遅延パターン記憶部22と受信制御部23とは、受信フォーカス処理手段を構成しており、受信遅延パターン記憶部22は、複数の超音波トランスデューサ10aから出力される複数の受信信号に対してフォーカス処理を行う際に用いられる複数の受信遅延パターンを記憶している。受信制御部23は、走査制御部11において設定された受信方向に基づいて、受信遅延パターン記憶部22に記憶されている複数の受信遅延パターンの中から1つのパターンを選択し、その受信遅延パターンと、被検体内の音速とに基づいて、複数の受信信号に遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれた受信信号(音線信号)が生成される。
ここで、受信フォーカス処理における受信信号の遅延量は、被検体内の音速に基づいて定められる。一般には、生体内の音速cとして、1530m/s又は1540m/sが設定されているが、実際には、生体内の組織各部によって音速値が異なっている。そこで、被検体内の音速cを測定し、受信遅延パターンにおける遅延量D0(j)に(c/c)を乗ずることにより、正確な遅延量D1(j)=(c/c)・D0(j)を決定することができる(j=1、2、・・・、N)。なお、Nは、使用される超音波トランスデューサの数である。
Bモード画像信号生成部30は、受信制御部23によって形成された音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。Bモード画像信号生成部30は、包括線検波部31と、STC(sensitivity time control)部32と、DSC(digital scan converter:ディジタル・スキャン・コンバータ)33とを含んでいる。
包絡線検波部31は、受信制御部23によって形成された音線信号に対して包絡線検波処理を施すことにより、包絡線信号を生成する。STC部32は、包絡線検波部31によって生成された包絡線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じて、距離による減衰の補正を施す。DSC33は、STC部32によって補正された包絡線信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、Bモード画像信号を生成する。
音速情報演算部41は、受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号に対して直交検波処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、少なくとも複素ベースバンド信号の逐次位相差に基づいて被検体内における音速に関する情報を求める。
図2は、図1に示す音速情報演算部の基本的な構成を示すブロック図である。音速情報演算部41は、直交検波部411と、位相演算部412と、位相差演算部413と、音速偏移演算部414とを含んでいる。
まず、超音波が単一の周波数f(角周波数ω=2πf)を有する連続波である場合について説明する。超音波プローブから送信されて被検体内の深さrの位置において反射されて超音波プローブに戻る超音波e(r)が、次式(1)によって表されるものとする。
Figure 2010046444
ここで、a(r)は深さrにおける超音波の振幅強度を表し、jは虚数単位を表し、tは時間を表し、θは超音波の初期位相を表し、cは深さrにおける媒質中の音速を表している。
超音波の受信信号として実際に測定されるのは、式(1)における実数成分のみであるが、測定された受信信号に対して直交検波処理を施すことにより、複素ベースバンド信号を生成することができる。具体的には、直交検波部411が、受信フォーカス処理手段によって形成された受信信号(音線信号)に局部発振信号cosωtを掛けてローパスフィルタ処理を施すことにより、実数成分を表すI信号を生成し、音線信号に位相をπ/2だけ回転させた局部発振信号sinωtを掛けてローパスフィルタ処理を施すことにより、虚数成分を表すQ信号を生成する。ここで、I信号及びQ信号は、複素ベースバンド信号を構成している。
一方、式(1)に基づいて、以下のことが求められる。時刻tにおける音線信号が被検体内の深さrの位置からの超音波エコーに基づいているとして音速cを定め、これを超音波の基準音速とする。t=2r/cであるから、式(1)にexp(−jωt)を掛けることによって直交検波処理が施され、次式(2)が得られる。
Figure 2010046444
ここで、深さrにおける媒質中の音速cと基準音速cとの差をΔcとして、c=c+Δcを式(2)に代入すると、次式(3)が得られる。
Figure 2010046444
複素ベースバンド信号g(r)から位相情報φ(r)を取り出すと、位相情報φ(r)は、次式(4)によって表される。
Figure 2010046444
式(4)の両辺をrで微分することにより、次式(5)に示すように、逐次位相差として位相微分値φ'(r)が得られる。
Figure 2010046444
ディジタル化された信号処理においては、位相微分値φ'(r)の替わりに、逐次位相差として位相差分値Δφ(r)を求めるようにすれば良い。
式(5)から、次式(6)に示すように、媒質中の音速cと基準音速cとの差(音速偏移)Δcが求められる。
Figure 2010046444
図2に示す位相演算部412〜音速偏移演算部414は、式(6)に基づいて音速偏移Δcを求める。即ち、直交検波部411によって生成された複素ベースバンド信号(I信号とQ信号)が、位相演算部412に供給される。位相演算部412は、直交検波部411によって生成された複素ベースバンド信号から、位相情報φ(r)を取り出す。
位相差演算部413は、位相演算部412によって取り出された位相情報φ(r)から、逐次位相差として位相微分値φ'(r)又は位相差分値Δφ(r)を求める。音速偏移演算部414は、位相差演算部413によって求められた逐次位相差と、音線信号の周波数f(角周波数ω=2πf)と、超音波の基準音速cとに基づいて、媒質中の音速cと基準音速cとの差(音速偏移)Δcを求める。さらに、音速偏移演算部414は、音速偏移Δcに基づいて、被検体内の音速cを求めることができる。
次に、超音波がパルス波である場合について説明する。パルス送信の場合には、音線信号が、パルス繰返し周波数毎にスペクトル分布を有する帯域を持った信号となる。ここでは、超音波プローブから送信されて被検体内の深さrの位置において反射されて超音波プローブに戻る超音波e(r)が、次式(7)のように表されるものとする。
Figure 2010046444
ここで、bは、スペクトル分布ωを表す重み付け係数である。
直交検波処理における参照周波数をfとし、参照角周波数をω(ω=2πf)とすると、直交検波処理によって生成される複素ベースバンド信号g(r)は、次式(8)によって表される。
Figure 2010046444
複素ベースバンド信号g(r)から位相情報φ(r)を取り出すと、位相情報φ(r)は、次式(9)によって表される。
Figure 2010046444
ここで、複素ベースバンド信号g(r)の位相情報φ(r)は、受信信号(音線信号)の帯域における平均角周波数ω(ω=2πf)に依存する。
式(9)の両辺をrで微分することにより、次式(10)に示すように、逐次位相差として位相微分値φ'(r)が得られる。
Figure 2010046444
ディジタル化された信号処理においては、位相微分値φ'(r)の替わりに、逐次位相差として位相差分値Δφ(r)を求めるようにすれば良い。
式(10)から、次式(11)に示すように、媒質中の音速cと基準音速cとの差(音速偏移)Δcが求められる。
Figure 2010046444
従って、パルス送信の場合には、受信信号の帯域における平均角周波数ωと直交検波処理における参照角周波数ωとの差Δωが、媒質中の音速の推定値に影響を与える。一般的に、超音波の音響減衰は周波数が高いほど大きいので、受信信号の周波数帯域は反射位置が深いほど高域側が低下し、結果として、平均角周波数ωは反射位置の深さと共に低域側に移動する。これによって、角周波数の差Δωは、反射位置の深さに応じて変化することになる。媒質中の音速の推定値に対する角周波数の差Δωの影響を排除するための方法については、後で詳しく説明する。
図2に示す位相演算部412〜音速偏移演算部414は、式(11)に基づいて音速偏移Δcを求める。即ち、直交検波部411によって生成された複素ベースバンド信号(I信号とQ信号)が、位相演算部412に供給される。位相演算部412は、直交検波部411によって生成された複素ベースバンド信号から、位相情報φ(r)を取り出す。
位相差演算部413は、位相演算部412によって取り出された位相情報φ(r)から、逐次位相差として位相微分値φ'(r)又は位相差分値Δφ(r)を求める。音速偏移演算部414は、位相差演算部413によって求められた逐次位相差と、受信信号(音線信号)の帯域における平均周波数f(平均角周波数ω=2πf)と、直交検波処理における参照周波数f(参照角周波数ω=2πf)と、超音波の基準音速cとに基づいて、媒質中の音速cと基準音速cとの差(音速偏移)Δcを求める。さらに、音速偏移演算部414は、音速偏移Δcに基づいて、被検体内の音速cを求めることができる。
再び図1を参照すると、音速値補正部42は、Bモード画像信号生成部30によるBモード画像信号の生成と並行して、音速情報演算部41によって求められた被検体内の音速c(補正音速値)に基づいて設定音速値を補正するように送信制御部13及び受信制御部23を制御する。
受信制御部23は、補正音速値に基づいて受信信号の遅延量を補正することにより音線信号を生成し、Bモード画像信号生成部30は、その音線信号に基づいてBモード画像信号を生成する。これにより、受信フォーカス処理における精度が向上して、超音波画像の画質が改善される。さらに、送信フォーカス処理(送信ビームフォーミング)を行う場合には、送信制御部13が、補正音速値に基づいて駆動信号の遅延量を補正することができる。これにより、送信フォーカス処理における精度が向上して、超音波画像の画質がさらに改善される。
音速マップ作成部43は、音速値補正部42によって求められた被検体内の音速値に基づいて、超音波画像内における音速分布を表示するための音速マップを表す画像信号を生成する。画像表示制御部51は、Bモード画像信号生成部30によって生成されたBモード画像信号に基づく超音波画像と、音速マップ作成部43によって生成された画像信号に基づく音速マップとの内の少なくとも1つを選択することにより、表示用の画像信号を生成する。
D/A変換器52は、画像表示制御部51から出力されるディジタルの画像信号を、アナログの画像信号に変換する。表示部53は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、アナログの画像信号に基づいて超音波画像を表示する。
制御部62は、操作卓61を用いたオペレータの操作に従って、走査制御部11、Bモード画像信号生成部30、音速情報演算部41等を制御する。本実施形態においては、走査制御部11、送信制御部13、受信制御部23、Bモード画像信号生成部30〜画像表示制御部51、及び、制御部62が、CPUとソフトウェア(プログラム)によって構成されるが、それらをディジタル回路やアナログ回路で構成しても良い。上記のソフトウェア(プログラム)は、格納部63に格納される。格納部63における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることができる。
次に、図1に示す音速情報演算部の各種の変形例について説明する。
図3は、図1に示す音速情報演算部の第1の変形例の構成を示すブロック図である。第1の変形例においては、図2に示す基本的な構成に対して、可変帯域制限部415が追加されている。
先に説明したように、パルス送信の場合には、媒質中の音速の推定において、受信信号の帯域における平均角周波数ωと直交検波処理における参照角周波数ωとの差Δωが影響し、また、この値は一定ではなく深さに依存する。そこで、この影響を除くために、可変帯域制限部(低域通過フィルタ)415を追加することにより、直交検波処理後に十分な高周波除去フィルタ処理を施して、角周波数の差Δωをほぼ零にしてしまうことが考えられる。
距離分解能を犠牲にすることが許容できるのであれば、全ての深さにおいて遮断周波数が十分に低い固定の低域通過フィルタを用いることが可能である。距離分解能を維持するためには、この低域通過フィルタの遮断周波数は、深さに応じて次第に低く設定することが好ましい。全ての深さにおいて、その深さの受信信号の帯域よりも僅かに狭い低域通過フィルタ処理を施すようにすれば、距離分解能を犠牲にすることなく、角周波数の差Δωをほぼ零にすることができる。
図4は、図1に示す音速情報演算部の第2の変形例の構成を示すブロック図である。第2の変形例においては、図2に示す基本的な構成に対して、帯域制限部416、検波周波数設定部417、及び、基準音速演算部418が追加されている。
前述したように、距離分解能を維持しつつ角周波数の差Δωの影響をなくすためには、低域通過フィルタの遮断周波数を深さに応じて下げて行く必要がある。しかしながら、一般的に、フィルタの遮断周波数を連続的に高精度に変化させることは、回路技術的な困難を伴う。そこで、帯域制限部416の遮断周波数は固定として、検波周波数設定部417を設けることにより、検波周波数(直交検波部411による直交検波処理において用いられる参照周波数f)を反射位置の深さに応じて低周波数側に変化させ、常に受信信号の平均周波数の近傍にすることが望ましい。
検波周波数が変化することによって、検波後に直流成分となる周波数が変化する。そのため、検波後の低域通過フィルタの遮断周波数は固定にすることができる。この方法は、通常のBモード断層画像を得る場合に、深度による感度低下を避けるために時として行われる方法であり、距離分解能の劣化も最低限にすることができる。
さらに、基準音速演算部418を設けることにより、媒質中における実際の深さrが既知であるか、あるいは音速が既知である部位からの反射信号があれば、これから基準音速cを求めることができる。例えば、超音波トランスデューサ10a(図1)上に設けられている音響レンズは、厚さを厳密に規定して作成することが可能であり、これに基づいて基準音速を求めることが可能である。厚さdの音響レンズの先端からの反射信号が得られる時刻がtであれば、音響レンズ中の音速cは、c=2d/tで表される。これを式(6)に適用すると、次式(12)が得られる。
Figure 2010046444
式(12)を変形すると、次式(13)が得られる。
Figure 2010046444
従って、次式(14)が得られる。
Figure 2010046444
図5は、図1に示す音速情報演算部の第3の変形例の構成を示すブロック図である。第3の変形例においては、図4に示す第2の変形例に対して、周波数解析部419が追加されている。
距離分解能の劣化を全く伴わずに確実に角周波数の差Δωの影響を無くすためには、受信信号(音線信号)の帯域における平均周波数fの値を知ることができれば良い。例えば、周波数解析部419が、音線信号を反射位置の深さ毎にフーリエ変換することによって反射位置の深さ毎の周波数スペクトラムを求め、反射位置の深さ毎の周波数スペクトラムにおける平均周波数を直接求める。
こうすれば、反射位置の深さ毎に、平均角周波数ωと参照角周波数ωとの差Δωを求めることが可能となるので、音速偏差演算部414は、複素ベースバンド信号の逐次位相差と、音線信号の平均周波数及び参照周波数と、超音波の基準音速とに基づいて、被検体内における音速を算出することができる。
あるいは、反射位置の深さ毎に、直交検波処理における参照周波数fを音線信号の帯域における平均周波数fの近傍に設定することも可能となる。即ち、周波数解析部419の解析結果に応じて、検波周波数設定部417が、直交検波部411による直交検波処理において用いられる参照周波数を変化させる。これにより、被検体内における音速の推定に及ぼす角周波数の差Δωの影響を低減することができる。
本発明は、超音波を送受信することにより生体内の臓器等の撮像を行って、診断のために用いられる超音波画像を生成する超音波診断装置において利用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す音速情報演算部の基本的な構成を示すブロック図である。 図1に示す音速情報演算部の第1の変形例の構成を示すブロック図である。 図1に示す音速情報演算部の第2の変形例の構成を示すブロック図である。 図1に示す音速情報演算部の第3の変形例の構成を示すブロック図である。
符号の説明
10 超音波探触子
10a 超音波トランスデューサ
11 走査制御部
12 送信遅延パターン記憶部
13 送信制御部
14 駆動信号発生部
21 受信信号処理部
21a 増幅器
21b A/D変換器
22 受信遅延パターン記憶部
23 受信制御部
30 Bモード画像信号生成部
31 包絡線検波部
32 STC部
33 DSC
41 音速情報演算部
42 音速値補正部
43 音速マップ作成部
51 画像表示制御部
52 D/A変換器
53 表示部
61 操作卓
62 制御部
63 格納部
411 直交検波部
412 位相演算部
413 位相差演算部
414 音速偏移演算部
415 可変帯域制限部
416 帯域制限部
417 検波周波数設定部
418 基準音速演算部
419 周波数解析部

Claims (6)

  1. 複数の駆動信号を複数の超音波トランスデューサに供給して超音波を送信すると共に、超音波エコーを受信した前記複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号を処理する送受信部と、
    前記送受信部によって処理された受信信号に対して受信フォーカス処理を施すことにより超音波の受信方向に沿った音線信号を生成する受信フォーカス処理手段と、
    前記受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号に対して直交検波処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、少なくとも複素ベースバンド信号の逐次位相差に基づいて被検体内における音速に関する情報を求める音速情報演算手段と、
    を具備する超音波診断装置。
  2. 前記音速情報演算手段が、
    前記受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号に参照周波数を有する複素信号を掛けて複素ベースバンド信号を生成する直交検波部と、
    前記直交検波部によって生成された複素ベースバンド信号の逐次位相差を算出し、複素ベースバンド信号の逐次位相差と音線信号の周波数と超音波の基準音速とに基づいて被検体内における音速を算出する演算部と、
    を含む、請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記音速情報演算手段が、前記直交検波部による直交検波処理において用いられる参照周波数を反射位置の深さに応じて変化させる検波周波数設定部をさらに含む、請求項2記載の超音波診断装置。
  4. 前記音速情報演算手段が、前記受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号を反射位置の深さ毎にフーリエ変換することによって反射位置の深さ毎の周波数スペクトラムを求め、反射位置の深さ毎の周波数スペクトラムにおける平均周波数を求める周波数解析部をさらに含み、
    前記演算部が、複素ベースバンド信号の逐次位相差と音線信号の平均周波数及び参照周波数と超音波の基準音速とに基づいて被検体内における音速を算出する、
    請求項2記載の超音波診断装置。
  5. 前記音速情報演算手段が、
    前記受信フォーカス処理手段によって生成された音線信号を反射位置の深さ毎にフーリエ変換することによって反射位置の深さ毎の周波数スペクトラムを求め、反射位置の深さ毎の周波数スペクトラムにおける平均周波数を求める周波数解析部と、
    前記周波数解析部の解析結果に応じて、前記直交検波部による直交検波処理において用いられる参照周波数を変化させる検波周波数設定部と、
    をさらに含む、請求項2記載の超音波診断装置。
  6. 前記音速情報演算手段が、前記複数の超音波トランスデューサ上に設けられている音響レンズにおける音速を測定して超音波の基準音速を求める基準音速演算部をさらに含む、請求項2−5のいずれか1項記載の超音波診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012217611A (ja) * 2011-04-08 2012-11-12 Fujifilm Corp 超音波診断装置および超音波画像生成方法

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