JP2010045231A - 回路配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 凹凸パターンを有する鋳型に、ポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥させてポリアミド酸層を形成した後、これを鋳型から剥離して凹凸面を有するポリアミド酸フィルムとする。このポリアミド酸フィルムに金属イオンを含浸させた後、金属イオンを還元して凹凸面の表面に金属析出層を形成させる。この金属析出層の上に、無電解めっきおよび/又は電気めっきを施して導体層を形成した後、ポリアミド酸フィルムが部分的に露出するまで導体層および金属析出層を削り、パターン化導体層を形成する。ポリアミド酸フィルムのポリアミド酸は熱処理によってイミド化してポリイミド樹脂層とする。
【選択図】図1
Description
I)凹凸形状を有する鋳型に、ポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥させて前記凹凸形状が転写された形状転写面を有するポリアミド酸層を形成する工程、
II)前記ポリアミド酸層に金属イオン含有溶液を接触させて金属イオンを前記ポリアミド酸層中に含浸させる工程、
III)前記金属イオンを還元し、前記形状転写面を含む前記ポリアミド酸層の表面に金属を析出させて金属析出層を形成する工程、
IV)前記金属析出層の上に、無電解めっきおよび/又は電気めっきを施すことにより導体層を形成する工程、
並びに
V)前記ポリアミド酸層のポリアミド酸を熱処理によってイミド化し、前記ポリイミド樹脂層を形成する工程、
を備えている。
a)前記ポリアミド酸層を鋳型から剥離する工程、及び
b)工程a)に続いて、前記ポリアミド酸層に金属イオン含有溶液を接触させて金属イオンを前記ポリアミド酸層中に含浸させる工程、
を有していてもよい。あるいは、前記工程II)が、
c)前記ポリアミド酸層に金属イオン含有溶液を接触させて金属イオンをポリアミド酸層中に含浸させる工程、及び
d)工程c)に続いて、前記ポリアミド酸層を鋳型から剥離する工程、
を有していてもよい。
工程I)の後に、更に、
工程VI)前記ポリアミド酸層において前記鋳型と接していた面とは反対側の面上に、ポリアミド酸溶液として非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体の溶液を塗布し、乾燥させて非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体層を形成する工程、
を備えていてもよい。この場合、工程VI)を、工程II)の後に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる回路配線基板の製造方法の主要な工程手順を示すフロー図であり、図2は、パターン化導体層が形成された回路配線基板の断面図であり、図3および図4は主要工程の説明図である。本発明方法で得られる回路配線基板100は、図2に示したように、ポリイミド樹脂層1の上に回路配線であるパターン化導体層3を有している。パターン化導体層3は、図1に示したステップS1からステップS8の手順に従い形成することができる。
まず、図3(a)に示したように、所定の凹凸パターンが形成されたモールド(鋳型)5上に、塗布具6を用いてポリアミド酸溶液7を塗布する(ステップS1)。
次に、モールド5に塗布されたポリアミド酸溶液7を乾燥させて、図3(b)に示したようにポリアミド酸層9を形成する(ステップS2)。前記のとおり、ポリアミド酸層9は単層であってもよいし、2層以上の複数層であっても差し支えない。ポリアミド酸溶液7を乾燥させる場合には、ポリアミド酸の脱水閉環の進行によるイミド化を完結させないように温度を制御する。乾燥方法としては、特に制限されず、例えば、60〜200℃の範囲内の温度条件で1〜60分の範囲内の時間をかけて乾燥を行うことがよいが、好ましくは、60〜150℃の範囲内の温度条件で乾燥を行うことがよい。ポリアミド酸の状態を残すことは、後の工程で金属イオンを含浸させるために必要である。乾燥後のポリアミド酸層9は、ポリアミド酸の構造の一部がイミド化していても差し支えないが、イミド化率は50%以下、より好ましくは20%以下としてポリアミド酸の構造を50%以上残すことが好ましい。なお、ポリアミド酸のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、透過法にてポリイミド酸層9の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1,000cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1,710cm−1のイミド基由来の吸光度から算出することができる。
次に、図3(c)に示したように、ポリアミド酸層9をモールド5から剥離してポリアミド酸フィルム9aを形成する(ステップS3)。このポリアミド酸フィルム9aの片面(モールド5と接触していた側)には、モールド5に形成されていた凹凸パターンのポジ型に対応する逆の凹凸形状が転写され、転写パターン9bが形成されている。
次に、図3(d)に示したように、ポリアミド酸フィルム9aに対して、金属イオンを含有する水溶液(以下、「金属イオン溶液」と記すことがある)を接触させて金属イオンをポリアミド酸フィルム9aに含浸させる(ステップS4)。ここで、「含浸」とは、ポリアミド酸フィルム9a中に金属イオンが固定化されることを意味する。この場合、金属イオンの多くはポリアミド酸のカルボキシル基と金属塩を形成すると考えられるが、そのほかに、ポリアミド酸フィルム9a中に金属イオンが付着等した状態も含まれる。この金属イオン含浸工程により、ポリアミド酸フィルム9aに金属イオンを含む層(以下、「金属イオン含有層」ともいう)が形成される(図示省略)。
次に、ポリアミド酸フィルム9aの表層(金属イオン含有層)に含まれる金属イオンを還元処理することにより、図4(a)に示したように、ポリアミド酸フィルム9aの転写パターン9bの表面に、金属析出層11を形成させる(ステップS5)。還元処理の方法は、特に湿式還元法を利用することが有利である。湿式還元法は、ポリアミド酸フィルム9aの金属イオン含有層を、還元剤を含有する溶液(還元剤溶液)中に浸漬することにより、金属イオンを還元する方法である。この湿式還元法は、金属イオン含有層の内部(例えば表層部より深い位置の深層部)に存在する金属イオンが、その場所で還元されて金属として析出してしまうことを抑制しながら、金属イオン含有層の表層部で優勢的に金属析出を行わせることができる効果的な方法である。また、湿式還元法では、金属析出のムラが少なく、短時間で均一な金属析出層11を形成することが可能である。
次に、図4(b)に示したように、金属析出層11をシード層として、その上に無電解めっきおよび/又は電気めっきを施し、導体層13を形成する(ステップS6)。
次に、導体層13を、その面方向に均一に減少させることによりパターン化導体層3を形成する(ステップS7)。例えば、図4(c)に示したように、ポリアミド酸フィルム9aの転写パターン9bの凸部が完全に露出するまで、研磨またはエッチングを行う。研磨またはエッチングによって、ポリアミド酸フィルム9aの凹凸パターンの凹部内に残存した金属(導体層)は、該凹凸パターンの凹部(溝)と同じ形状にパターン形成される。この残存した金属(導体層)がパターン化導体層3となる。
次に、ポリアミド酸フィルム9aを構成するポリアミド酸を熱処理によってイミド化する(ステップS8)。イミド化により、図2に示したように、ポリイミド樹脂層1が形成される。イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。回路配線としてのパターン化導体層3の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。なお、ステップS8のイミド化工程は、ステップS7のパターン形成工程の後に行うことが好ましいが、金属析出層形成工程の後であれば、パターン形成工程の前に行ってもよい。
次に、図5および図6を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る回路配線基板の製造方法について説明する。第1の実施の形態では、金属イオン含有層を形成するにあたって、ポリアミド酸層9をモールド5の上に形成した後に、ポリアミド酸層9をモールド5から剥離してポリアミド酸フィルム9aを形成し、形成したポリアミド酸フィルム9aに金属イオンを含浸させる方法を採用した。これに対し、本実施の形態では、ポリアミド酸層9をモールド5の上に形成した後に、モールド5に付着した状態のポリアミド酸層9に金属イオンを含浸させ、その後、ポリアミド酸層9をモールド5から剥離して金属イオン含有のポリアミド酸フィルム9aを形成する方法を採用した。以下の説明では、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明を行い、第1の実施の形態と同様の工程については説明を省略する。
次に、図7〜図10を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る回路配線基板の製造方法について説明する。上記第1および第2の実施の形態では、ライン&スペースの凹凸形状を有するモールド5を使用し、ライン&スペースの配線パターンを形成する例を挙げたが、本実施の形態では、ビア(もしくはスルーホール)の形成を例に挙げて説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態にかかる回路配線基板の製造方法の主要な工程手順を示すフロー図であり、図8は、ビア21が形成された回路配線基板101の構造を示す断面図である。図9は、本実施の形態の回路配線基板の製造方法に使用するモールド30の外観を示す斜視図であり、図10(a)〜(e)は主要工程の説明図である。
TPER:1,3-ビス(4-アミノフェノキシベンゼン)
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
MABA:2’-メトキシ-4,4’-ジアミノベンズアニリド
PMDA:無水ピロメリット酸
DAPE44:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
密着性の評価は、サンプルにおける配線部のテープ剥離テストを行い、テープ側への配線部の付着の有無を確認した。
線熱膨張係数は、サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、サンプルを250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までの平均線熱膨張係数(CTE)を求めることにより評価した。
ガラス転移温度は、粘弾性アナライザ(レオメトリックサイエンスエフィー株式会社製RSA−II)を使って、10mm幅のサンプルを用いて、1Hzの振動を与えながら、室温から400℃まで10℃/分の速度で昇温した際の、損失正接(Tanδ)の極大から求めた。
金属析出層の厚みは、走査型透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いてサンプルの断面を観察することによって行った。
金属析出層の表面形状は、電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いてサンプルの表面を観察することによって行った。
シート抵抗は、5cm×8cmのサンプルを用意し、抵抗率計(三菱化学社製、MCP−T610)を使って、室温23℃、湿度50%において4探針法により測定を行った(JIS 7194準拠)。
裁断機によってサンプルを裁断して、10cm×10cmサイズのシートを作成し、このシートを机上に載置したときに最も机の面から浮き上がった部分の机の面からの高さを、ノギスを用いて測定した。その高さをサンプルの反り量とし、反り量が2mm未満の場合「反りが無い」と評価した。
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら29.2gのTPERを332gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液に窒素気流中で29.4gのBPDAを加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、15重量%のポリアミド酸溶液Aを得た。この溶液の粘度は38,974cps(=38.9Pa・s)であった。
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながら20.7gのMABAを343gのDMAcに溶解させた。次に、その溶液に窒素気流中で28.5gのPMDA及び10.3gのDAPE44を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、14.8重量%のポリアミド酸溶液Bを得た。この溶液の粘度は32,540cps(=32.5Pa・s)であった。
<凹凸パターンの転写>
合成例1で得られたポリアミド酸溶液AをPDMS(通称シリコーンゴム)製の凹凸パターン鋳型A(凹部の深さ;5μm、パターン形状;配線幅/配線間隔(L/S)=5μm/5μm、パターン面積;1平方cm)に塗布した後、130℃で10分間乾燥させ、鋳型付きのポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の上に裏打ちフィルム(パナック社製、ET−K50、50μm厚み)を室温でラミネートした後、裏打ちフィルムとともに鋳型からポリアミド酸層を剥離し、凹凸パターンが転写されたポリアミド酸フィルムを得た。得られたフィルムの厚み(凸部までの厚み)は約25μmであった。
凹凸パターンを形成したポリアミド酸フィルムを、裏打ちフィルムを備えた状態で、100mMの酢酸ニッケルを含有する600mMアンモニア水溶液に、25℃で1時間浸漬することにより、Niイオンをポリアミド酸フィルム中に含浸させた後、5mMのNaBH4水溶液に30℃で20分間浸漬させて還元処理し、凹凸パターンが転写された面に金属Ni皮膜を形成した。この金属Ni皮膜の膜厚は、TEM(透過型電子顕微鏡)観察によると、凹凸形状の部位によらず約100nmであり、凹凸形状の表層部では、直径1〜2μmの鱗片状のNi粒子がポリアミド酸層に埋包された状態で緻密に析出していることが確認された。この金属Ni皮膜のシート抵抗は12Ω/cm2であり、電気めっきのシード層として十分な導電性を有していた。
次に、金属Ni皮膜をシード層として電気銅めっきを行い、凹凸パターンを金属導体層にて被覆した。電気めっきは、めっき液として奥野製薬社製トップルチナSF(商品名)を用い、25℃、電流密度0.1〜1.0A/dm2、総電解量17.48A・min/dm2の条件で行った。この際、金属導体層(金属Ni皮膜+めっき層)の厚みは断面SEM(走査型電子顕微鏡)観察によると凸部で約4μm、凹部で約7μmであり、凹部が完全に金属導体層で充填されていることが確認された。
凹凸パターン上に形成した金属導体層の面方向から研磨スラリーを用いた機械研磨を行い、ポリアミド酸フィルムの凹凸パターンにおける凸部の金属導体層を完全に除去することにより、ポリアミド酸フィルムのパターン凹部に金属導体層の配線パターンを形成した。
金属配線パターンを形成したポリアミド酸フィルムを、希塩酸を用いて酸処理(1%HCl、30℃、10分間浸漬)することでポリアミド酸フィルム中の残留金属イオンを除去した。ポリアミド酸フィルムを50℃で10分間乾燥させた後、ポリアミド酸フィルムから裏打ちフィルムを除去した。真空中において300℃で10分間加熱することにより、ポリアミド酸のイミド化を行った。イミド化の完了はフーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)により確認した。また、金属配線間およびポリイミド樹脂フィルム裏面の樹脂部に金属の残留が無いことは、オージェ電子分光分析(SEM/AES)と走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析装置(SEM/EDX)を用いて確認を行った。また、断面SEM観察の結果、配線幅は5μm、配線厚みは4.5μm、配線間の樹脂層の厚み(幅)は約4μmであった。
<凹凸パターンの転写>
合成例2で得られたポリアミド酸溶液Bを、実施例1と同様にして、凹凸パターン鋳型Aに塗布した後、乾燥、剥離して凹凸パターンが転写されたポリアミド酸フィルムを得た。得られたフィルム厚み(凸部までの厚み)は約25μmであった。
凹凸パターンを形成したポリアミド酸フィルムに、実施例1と同様にして、Niイオンを含浸させた後、還元処理し、凹凸パターンが転写された面に金属Ni皮膜を形成した。この金属Ni皮膜の膜厚はTEM観察によると、凹凸形状の部位によらず約110nmであり、凹凸形状の表層部では、直径200nmの鱗片状のNi粒子がポリアミド酸層に埋包された状態で緻密に析出していることが確認された。この金属Ni皮膜のシート抵抗は25Ω/cm2であり、電気めっきのシード層として十分な導電性を有していた。
続いて、実施例1と同様にして、電気銅めっきを行い金属導体層を形成した。金属導体層の厚みは、断面SEM観察によると凸部で約4μm、凹部で約7μmであり、凹部が完全に金属導体層で充填されていることが確認された。
実施例1と同様に、凹凸パターン上に形成した金属導体層の機械研磨を行い、ポリアミド酸フィルムの凹凸パターンの凹部に金属導体層の配線パターンを形成した。
実施例1と同様に、金属配線パターンを形成したポリアミド酸フィルムを酸処理することで残留金属イオンを除去し、乾燥、裏打ちフィルムを除去後、真空中において加熱することによりイミド化を行った。イミド化の完了は、FT−IRにより確認し、また、金属配線間およびポリイミド樹脂フィルム裏面の樹脂部に金属の残留が無いことは、オージェ電子分光分析(SEM/AES)とSEM/EDXを用いて確認を行った。
また、断面SEM観察の結果、配線幅5μm、配線厚み4.5μm、配線間の樹脂層の厚み(幅)約4μmであった。
合成例1で得られたポリアミド酸溶液Aを、ステンレス基板上に塗布した後、130℃で10分間乾燥させ、約25μmの厚みのポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の表面に、Ni金属製の凹凸パターン鋳型(凹部の深さ5μm、配線幅/配線間隔(L/S)=5μm/5μm、面積1平方cm)を、凹凸面がポリアミド酸層に接するように配置し、真空中で150℃に加熱して、0.05kg/cm2で圧着し60分間保持した。ポリアミド酸層から凹凸パターン鋳型を剥離した後、ポリアミド酸層の凹凸パターン形状を観察したところ、凹凸パターンが十分に転写されておらず、ポリアミド酸層の凹部の深さが1μm程度であり、形状は矩形とならず歪みが生じた。
合成例1で得られたポリアミド酸溶液Aを、実施例1と同様にして、凹凸パターン鋳型に塗布した後、乾燥、剥離して凹凸パターンが転写されたポリアミド酸フィルムを得た。得られたフィルム厚み(凸部までの厚み)は約25μmであった。
続いて、実施例1と同様にして、電気銅めっきを行い金属導体層を形成した。金属導体層の厚みは、断面SEM観察によると凸部で約4μm、凹部で約7μmであったが、凹部に0.5μm程度のボイドの存在が確認された。
<凹凸パターンの転写>
合成例1で得られたポリアミド酸溶液Aを、実施例1と同様にして、凹凸パターン鋳型Aに塗布した後、乾燥して、凹凸パターン鋳型A上に、厚み(凸部までの厚み)が約6μmのポリアミド酸層を形成した。
凹凸パターン鋳型Aに付着した状態でポリアミド酸層に、実施例1と同様にして、Niイオンを含浸させた後、水洗、乾燥してNiイオン含有ポリアミド酸層を形成した。
Niイオン含有ポリアミド酸層の上に、合成例2で得られたポリアミド酸溶液Bを、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布した後、130℃で10分間乾燥させ、凹凸パターン鋳型Aから剥離して、凹凸パターンを形成した多層ポリアミド酸フィルムを得た。
凹凸パターンを形成した多層ポリアミド酸フィルムを、実施例1と同様にして還元処理し、凹凸パターンが転写された面に金属Ni皮膜を形成した。この金属Ni皮膜の膜厚はTEM観察によると凹凸形状の部位によらず約100nmであり、凹凸形状の表層部では、直径1〜2μmの鱗片状のNi粒子がポリアミド酸層に埋包された状態で緻密に析出していることが確認された。この金属Ni皮膜のシート抵抗は15Ω/cm2であり、電気めっきのシード層として十分な導電性を有していた。
続いて、実施例1と同様にして、電気銅めっきを行い金属導体層を形成した。金属導体層の厚みは、断面SEM観察によると凸部で約4μm、凹部で約7μmであり、凹部が完全に金属導体層で充填されていることが確認された。
実施例1と同様に、凹凸パターン上に形成した金属導体層の機械研磨を行い、多層ポリアミド酸フィルムの凹凸パターンの凹部に金属導体層の配線パターンを形成した。
実施例1と同様に、金属配線パターンを形成した多層ポリアミド酸フィルムを酸処理することで残留金属イオンを除去し、乾燥後、真空中において加熱することによりイミド化を行った。イミド化の完了は、FT−IRにより確認し、また、金属配線間およびポリイミド樹脂フィルム裏面の樹脂部に金属の残留が無いことは、オージェ電子分光分析(SEM/AES)とSEM/EDXを用いて確認を行った。
また、断面SEM観察の結果、配線幅5μm、配線厚み4.5μm、配線間の樹脂層の厚み(幅)は約4μmであった。
実施例1において、凹凸パターン鋳型Aの代わりに、図12に示したように凹凸パターン部40と柱状凸部50とを有するPDMS製の凹凸パターン鋳型B(凹部の深さ;5μm、パターン形状;配線幅/配線間隔(L/S)=5μm/5μm、パターン面積;5×7平方cm、ビアスルーホールパターン形状;デューティー比1:1の直径10μm×高さ25μmの円柱凸型)に代えた以外は、実施例1と同様にして、ビア付きの回路配線基板を作製した。ビアホール内における金属Ni皮膜は約110nmであり、凹凸形状の表層部では、直径200nmの鱗片状のNi粒子がポリアミド酸層に埋包された状態で緻密に析出していることが確認された。
Claims (7)
- ポリイミド樹脂層に導体層が形成された回路配線基板の製造方法であって、
I)凹凸形状を有する鋳型に、ポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥させて前記凹凸形状が転写された形状転写面を有するポリアミド酸層を形成する工程、
II)前記ポリアミド酸層に金属イオン含有溶液を接触させて金属イオンを前記ポリアミド酸層中に含浸させる工程、
III)前記金属イオンを還元し、前記形状転写面を含む前記ポリアミド酸層の表面に金属を析出させて金属析出層を形成する工程、
IV)前記金属析出層の上に、無電解めっきおよび/又は電気めっきを施すことにより導体層を形成する工程、
並びに
V)前記ポリアミド酸層のポリアミド酸を熱処理によってイミド化し、前記ポリイミド樹脂層を形成する工程、
を備えたことを特徴とする回路配線基板の製造方法。 - 前記工程II)が、
a)前記ポリアミド酸層を鋳型から剥離する工程、及び
b)工程a)に続いて、前記ポリアミド酸層に金属イオン含有溶液を接触させて金属イオンを前記ポリアミド酸層中に含浸させる工程、
を有することを特徴とする請求項1に記載の回路配線基板の製造方法。 - 前記工程II)が、
c)前記ポリアミド酸層に金属イオン含有溶液を接触させて金属イオンをポリアミド酸層中に含浸させる工程、及び
d)工程c)に続いて、前記ポリアミド酸層を鋳型から剥離する工程、
を有することを特徴とする請求項1に記載の回路配線基板の製造方法。 - 工程I)における前記ポリアミド酸溶液が、熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体溶液であり、
工程I)の後に、更に、
工程VI)前記ポリアミド酸層において前記鋳型と接していた面とは反対側の面上に、ポリアミド酸溶液として非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体の溶液を塗布し、乾燥させて非熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体層を形成する工程、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路配線基板の製造方法。 - 工程VI)を、工程II)の後に行うことを特徴とする請求項4に記載の回路配線基板の製造方法。
- 前記工程IV)または工程V)の後に、前記導体層を研磨またはエッチングすることにより、パターン化された導体層を形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回路配線基板の製造方法。
- 前記回路配線基板は、ポリイミド樹脂基材に設けられたビアホールと、該ビアホール内に形成された導体層とを備えており、前記工程I)では前記鋳型として柱状凸部を備えた鋳型を用いるとともに、前記工程III)では前記ビアホール内に前記金属析出層を形成し、前記工程IV)では前記ビアホール内に導体層を形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回路配線基板の製造方法。
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