JP2010029597A - 薬液塗布用キットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬液塗布用キットの製造方法において、薬液塗布部を挿入した際に薬液が跳ねてシール部分に付着したり、薬液を吸収して膨張した際の薬液塗布部の形状及び大きさが不安定であるために生産安定性が低下したりすることのない製造方法を提供する。
【解決手段】薬液塗布部収容凹部内4に、1/4〜1/10の厚さとなるように厚さ方向にのみ圧縮されたスポンジ体からなる薬液塗布部2を挿入すると共に軸部収容凹部4aに軸部3を挿入するようにして収容容器4内に薬液塗布具を収容した後、前記薬液塗布部に薬液を供給し、次いで薬液塗布部収容凹部5及び軸部収容凹部を被覆するようにシート蓋体を被覆シールすることを特徴とする薬液塗布用キットの製造方法を提案する。
【選択図】図1
【解決手段】薬液塗布部収容凹部内4に、1/4〜1/10の厚さとなるように厚さ方向にのみ圧縮されたスポンジ体からなる薬液塗布部2を挿入すると共に軸部収容凹部4aに軸部3を挿入するようにして収容容器4内に薬液塗布具を収容した後、前記薬液塗布部に薬液を供給し、次いで薬液塗布部収容凹部5及び軸部収容凹部を被覆するようにシート蓋体を被覆シールすることを特徴とする薬液塗布用キットの製造方法を提案する。
【選択図】図1
Description
本発明は、消毒薬などの薬液を患部に塗布するのに用いる薬液塗布用キット、すなわち、開封すれば即座に薬液を患部に塗布することができるように薬液塗布具を容器内に収容してなる薬液塗布用キットの製造方法に関する。
患部に消毒薬などの薬液を塗布する場合、綿棒や綿球などに薬液を含浸させて塗布するのが一般的である。しかし、患部に薬液を塗布するたびに薬液を別途用意して含浸させることは面倒であるため、予め薬液を含浸させた綿球や綿棒などを容器に封入して薬液塗布用キットして提供することが提案されている。
例えば特許文献1には、薬液を含浸させた複数の綿球を、容器に複数形成された収容凹部にそれぞれ挿入し、各収容凹部の開口部をシール部材によって密封してなる構成の薬液塗布用キットが開示されている。
特許文献2には、軸体の端部に塗布液含浸部を設けた塗布液含浸綿棒と、前記塗布液含浸部を収容する凹部、および、この凹部から連続し塗布液含浸部に隣接する軸体を収容する溝部が形成されたカップ部材と、このカップ部材の開口面上に配置して凹部内を密閉する被覆フィルムとを備えた薬液塗布用キットが開示されている。
ところで、この種の薬液塗布用キットを製造するためには、薬液塗布部を収容する薬液塗布部収容凹部内に、薬液塗布部と共に薬液を収容する工程が必要である。しかし、生産効率を高めるために、この工程を一連の製造ライン中で実施しようとすると、薬液塗布部収容凹部内に薬液塗布部を挿入した際に薬液が跳ねてシール部分に付着してシール性が低下したり、薬液を吸収して膨張した際の薬液塗布部の形状及び大きさが不安定であるために生産安定性が低下したりするという課題を抱えていた。
そこで本発明の目的は、薬液塗布部収容凹部内に薬液塗布部と共に薬液を収容する工程を、一連の製造ラインの中で実施することができ、その際、薬液塗布部を挿入した際に薬液が跳ねてシール部分に付着したり、薬液を吸収して膨張した際の薬液塗布部の形状及び大きさが不安定であるために生産安定性が低下したりすることのない、新たな製造方法を提供することにある。
かかる目的のため、本発明は、スポンジ体からなる薬液塗布部及び軸部を有する薬液塗布具と、前記薬液塗布部を収容する薬液塗布部収容凹部及びこの薬液塗布部収容凹部と連通した、軸部を収容する軸部収容凹部を有する収容容器と、薬液塗布部収容凹部及び軸部収容凹部を被覆し得るシート蓋体と、を備えた薬液塗布用キットの製造方法であって、薬液塗布部収容凹部内に、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体からなる薬液塗布部を挿入すると共に、軸部収容凹部内に軸部を挿入するようにして収容容器内に薬液塗布具を挿入した後、前記薬液塗布部に薬液を供給し、次いで薬液塗布部収容凹部及び軸部収容凹部を被覆するようにシート蓋体を被覆シールすることを特徴とする薬液塗布用キットの製造方法を提案するものである。
薬液塗布用キットの製造において、薬液塗布部収容凹部内に薬液塗布部を挿入した後、この薬液塗布部に薬液を供給してスポンジ体に吸収させるようにして薬液を薬液塗布部収容凹部内に収容するようにすれば、薬液が跳ねてシール部分に付着してシール性が低下するのを防止することができ、一連の製造ラインで薬液塗布用キットを安定して製造することができる。
さらに、1/4〜1/10の厚さとなるように厚さ方向にのみ圧縮されたスポンジ体からなる薬液塗布部を用いることにより、薬液を吸収して膨張した際の薬液塗布部の形状及び大きさが一定となり、一連の製造ラインで薬液塗布用キットをより安定して製造することができる。
さらに、1/4〜1/10の厚さとなるように厚さ方向にのみ圧縮されたスポンジ体からなる薬液塗布部を用いることにより、薬液を吸収して膨張した際の薬液塗布部の形状及び大きさが一定となり、一連の製造ラインで薬液塗布用キットをより安定して製造することができる。
さらに、10%ポピドンヨード液の吸液速度が0.03〜0.5s/gのスポンジ体からなる薬液塗布部を使用することにより、薬液塗布部は薬液を瞬時に吸収することができるため、薬液を供給してからシート蓋体を被覆シールするまでの時間を短縮することができ、より効率よく薬液塗布用キットを製造することができるばかりか、薬液を薬液塗布部に供給した際に薬液が跳ねてシール部分に付着するのをより確実に防止することができ、一連の製造ラインで薬液塗布用キットをより一層安定して製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。但し、本発明が下記に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る薬液塗布用キット(以下「本薬液塗布用キット」という)は、図1に示すように、スポンジ体からなる薬液塗布部2、及び軸部3を有する薬液塗布具1と、前記薬液塗布部2を収容する薬液塗布部収容凹部5、及び軸部3を収容する軸部収容凹部4aを有する収容容器4と、薬液塗布部収容凹部5内に収容する薬液と、薬液塗布部収容凹部5及び軸部収容凹部4aを被覆し得るシート蓋体(図示せず)と、を備えたものである。
(薬液塗布具2)
薬液塗布部2は、OH基を有するセルロースを主成分とするスポンジ体から形成するのが好ましい。
親水基であるOH基を有するセルロースを主成分とするスポンジ体から薬液塗布部2を形成すれば、薬液、特に水溶液からなる薬液(例えばポピドンヨード液)となじみ易く、薬液を吸収し保持し得る量、すなわち抱液可能量を高めることができる。しかも、薬液を含んだウェット状態になると表面が柔らかくなり、柔らかい感触で塗布することができる。
薬液塗布部2は、OH基を有するセルロースを主成分とするスポンジ体から形成するのが好ましい。
親水基であるOH基を有するセルロースを主成分とするスポンジ体から薬液塗布部2を形成すれば、薬液、特に水溶液からなる薬液(例えばポピドンヨード液)となじみ易く、薬液を吸収し保持し得る量、すなわち抱液可能量を高めることができる。しかも、薬液を含んだウェット状態になると表面が柔らかくなり、柔らかい感触で塗布することができる。
この際、前記スポンジ体は、例えば強度を高めるために、母材繊維であるセルロースに補強繊維を含んでいてもよい。補強繊維としては、綿(コットン)や亜麻、ラミー、パルプ等を単独またはそれらを組合せて使用することができる。
例えば、セルロース100重量部に対して補強繊維、例えば綿繊維を20〜50重量部含有するものが好ましく、特に20〜40重量部含有するものが好ましい。補強繊維を20〜50重量部含有させることによって、引張強度や保形性が高めることができ、多くの薬液を含んでいてもスポンジの形状を保つことができ、患部に薬液を塗布し易くなる。
例えば、セルロース100重量部に対して補強繊維、例えば綿繊維を20〜50重量部含有するものが好ましく、特に20〜40重量部含有するものが好ましい。補強繊維を20〜50重量部含有させることによって、引張強度や保形性が高めることができ、多くの薬液を含んでいてもスポンジの形状を保つことができ、患部に薬液を塗布し易くなる。
薬液塗布部2のスポンジ体の空隙率は95〜99%であるのが好ましい。スポンジ体の空隙率が95〜99%であれば、薬液を吸収し保持する量、すなわち抱液可能量を高めることができ、しかも、吸収保持した薬液を容易に放出するから、薬液を容易に塗布することができる。
空隙率は、下記式(1)で算出される値である。
(1)・・空隙率=(真密度−見掛密度)×100/真密度
なお、見掛密度とは、スポンジ体の見掛体積(空隙含)に対する重量の割合であり、真密度とは、スポンジ体の見掛体積から空隙の容積を差し引いたスポンジ体構成材料の実質体積に対する重量の割合である。
空隙率は、下記式(1)で算出される値である。
(1)・・空隙率=(真密度−見掛密度)×100/真密度
なお、見掛密度とは、スポンジ体の見掛体積(空隙含)に対する重量の割合であり、真密度とは、スポンジ体の見掛体積から空隙の容積を差し引いたスポンジ体構成材料の実質体積に対する重量の割合である。
薬液塗布部2のスポンジ体の空隙は、外部に連通した空隙であるのが好ましい。後述するように、添加した芒硝結晶を溶出させることにより空隙を形成する場合には、空隙は外部に連通した空隙となる。
薬液塗布部2のスポンジ体の空隙の平均径は、0.1mm〜3.3mmであるのが好ましく、特に0.5mm〜2.0mm、中でも特に0.7mm〜0.9mmであるのが好ましい。
スポンジ体の空隙率の平均径が3.3mm以下、特に2.0mm以下であれば、薬液を吸収し保持する量、すなわち抱液可能量を高めることができる。
なお、空隙の平均径は、電子顕微鏡で観察して求めることもできるが、後述するように、添加した芒硝結晶を溶出させることにより空隙を形成する製造方法においては、芒硝結晶の粒径と空隙の平均径は略一致するから、芒硝結晶の平均径に読み替えることができる。
スポンジ体の空隙率の平均径が3.3mm以下、特に2.0mm以下であれば、薬液を吸収し保持する量、すなわち抱液可能量を高めることができる。
なお、空隙の平均径は、電子顕微鏡で観察して求めることもできるが、後述するように、添加した芒硝結晶を溶出させることにより空隙を形成する製造方法においては、芒硝結晶の粒径と空隙の平均径は略一致するから、芒硝結晶の平均径に読み替えることができる。
薬液塗布部2は、単位体積当たりの薬液(例えば10%ポピドンヨード液(比重1.036))の抱液可能量が、スポンジ体の体積と同量の薬液を吸収保持できるものが好ましい。具体的には0.95〜1.10g/cm3、特に0.98〜1.10g/cm3であるスポンジ体から形成することが好ましい。
単位体積当たりの抱液可能量が0.95〜1.10g/cm3であれば、患部に塗布するのに十分な量の薬液を比較的小さな体積のスポンジ体で吸収保持できるから、薬液塗布部2及び薬液塗布部収容凹部5を小さくすることができ、しかも薬液塗布部収容凹部5内に余分な薬液を収容する必要を無くすことができる。
単位体積当たりの抱液可能量が0.95〜1.10g/cm3であれば、患部に塗布するのに十分な量の薬液を比較的小さな体積のスポンジ体で吸収保持できるから、薬液塗布部2及び薬液塗布部収容凹部5を小さくすることができ、しかも薬液塗布部収容凹部5内に余分な薬液を収容する必要を無くすことができる。
単位体積当たりの抱液可能量は、式(2)で算出される値である。
(2)・・単位体積当たりの抱液可能量=吸液時の単位体積重量−乾燥時の単位体積重量
この際、吸液時の単位体積重量は、検体(スポンジ体の直方体)全体を10%ポピドンヨード液に浸し、5分間浸漬させた後、金属メッシュ上に置いて検体から液滴を取り除いた上で測定する単位体積重量である。
(2)・・単位体積当たりの抱液可能量=吸液時の単位体積重量−乾燥時の単位体積重量
この際、吸液時の単位体積重量は、検体(スポンジ体の直方体)全体を10%ポピドンヨード液に浸し、5分間浸漬させた後、金属メッシュ上に置いて検体から液滴を取り除いた上で測定する単位体積重量である。
薬液塗布部2は、薬液、特に10%ポピドンヨード液の吸液速度が0.03〜0.5s/g、特に0.04〜0.5s/gであるスポンジ体を使用するのが好ましい。
吸液速度が0.03〜0.5s/gであるスポンジ体であれば、収容容器4に薬液塗布具1を挿入した後、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に薬液を供給する場合に、薬液塗布部2が極めて短時間のうちに薬液を吸収するため、薬液塗布部2に薬液を供給してからシート蓋体をシールするまでの工程を一連の生産ライン上で実施することができ、本薬液塗布用キットの製造をオンラインで行うことができる。また、薬液塗布部2に薬液を注いだ際に瞬時に吸収できるから、薬液がシール部分に跳ねることがなく、シール性をより確実に確保することができる。
吸液速度が0.03〜0.5s/gであるスポンジ体であれば、収容容器4に薬液塗布具1を挿入した後、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に薬液を供給する場合に、薬液塗布部2が極めて短時間のうちに薬液を吸収するため、薬液塗布部2に薬液を供給してからシート蓋体をシールするまでの工程を一連の生産ライン上で実施することができ、本薬液塗布用キットの製造をオンラインで行うことができる。また、薬液塗布部2に薬液を注いだ際に瞬時に吸収できるから、薬液がシール部分に跳ねることがなく、シール性をより確実に確保することができる。
薬液の吸液速度は、ステンレス製パッド内に10%ポピドンヨード液を注ぎ、次いで検体(スポンジ体の直方体)をステンレス製パッド内に置いて下部をポピドンヨード液に浸し、検体(スポンジ体)をステンレス製パッド内に置いてから検体の上面部まで吸液するまでの時間を測定し、次の式(4)より算出することができる。
(4)・・吸液速度=測定値(sec)/検体の吸液前の重量(g)
(4)・・吸液速度=測定値(sec)/検体の吸液前の重量(g)
薬液塗布部2は、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体、言い換えれば、薬液を吸収すると圧縮された分だけ厚さ方向に膨張して復元するスポンジ体を使用するのが好ましい。
圧縮前に比べて厚さが1/4以下となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体を使用することにより、吸液速度を上記の如く高めることができると共に、薬液を吸収した際に厚さ方向に復元膨張し、しかも吸収後の形状が安定するから、薬液塗布部収容凹部5の平面視形状を、薬液塗布部2の平面視形状に沿って若干大きく形成すればよく、しかも安定した状態に薬液塗布部2を収容することができる。なお、圧縮前に比べて厚さが1/10未満となるように厚さ方向にのみ圧縮することは、現在の成形技術上困難である。
かかる観点から、薬液塗布部2は、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10、中でも1/5〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体であるのがより一層好ましい。
圧縮前に比べて厚さが1/4以下となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体を使用することにより、吸液速度を上記の如く高めることができると共に、薬液を吸収した際に厚さ方向に復元膨張し、しかも吸収後の形状が安定するから、薬液塗布部収容凹部5の平面視形状を、薬液塗布部2の平面視形状に沿って若干大きく形成すればよく、しかも安定した状態に薬液塗布部2を収容することができる。なお、圧縮前に比べて厚さが1/10未満となるように厚さ方向にのみ圧縮することは、現在の成形技術上困難である。
かかる観点から、薬液塗布部2は、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10、中でも1/5〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体であるのがより一層好ましい。
(スポンジ体の製造方法)
上記のようなスポンジ体の製造方法は特に限定するものではない。好ましい一例としては、木材等からのチップを溶解して繊維素とし、これを水酸化ナトリウム等のアルカリで処理してから二硫化炭素等を添加してビスコースをつくる。このビスコースに硫酸ナトリウム(芒硝)からなる微小芒硝結晶を混合し、シート状あるいはブロック状に成型し、酸凝固及び煮沸させて微小芒硝結晶を溶出させて多孔質化させ、水洗、乾燥、さらには厚み方向に加圧して圧縮させることによって得ることができる。
上記のようなスポンジ体の製造方法は特に限定するものではない。好ましい一例としては、木材等からのチップを溶解して繊維素とし、これを水酸化ナトリウム等のアルカリで処理してから二硫化炭素等を添加してビスコースをつくる。このビスコースに硫酸ナトリウム(芒硝)からなる微小芒硝結晶を混合し、シート状あるいはブロック状に成型し、酸凝固及び煮沸させて微小芒硝結晶を溶出させて多孔質化させ、水洗、乾燥、さらには厚み方向に加圧して圧縮させることによって得ることができる。
より具体的な一例としては、木材パルプを水酸化ナトリウム溶液に浸漬し、圧搾後に粉砕してアルカリセルロース(クラム)とし、その後17℃で10時間老成後、二硫化炭素を加えセルロース ザンテートを得、このセルロース ザンテートに繊維長0.1〜5mmの未老成のクラムと水酸化ナトリウム、水を加えて溶解し、ビスコースを得る。
得られたビスコースと平均粒径0.1mm〜3.3mmの微小芒硝結晶とを混合機の中で16〜20℃に保ちながら混合する。この混合物を金型に押出機を介して加圧充填する。その際、押出機周辺の温度も16〜20℃になるように温度調節する。混合物が充填された金型を約90℃の芒硝浴の中で約8時間煮沸し、凝固させて前記微小芒硝結晶を溶出させて多孔質化させ、そして得られた成形体を水洗、乾燥、さらには厚み方向に加圧して圧縮させることによって得ることができる。
但し、かかる方法において、各温度や時間等は調整可能である。
得られたビスコースと平均粒径0.1mm〜3.3mmの微小芒硝結晶とを混合機の中で16〜20℃に保ちながら混合する。この混合物を金型に押出機を介して加圧充填する。その際、押出機周辺の温度も16〜20℃になるように温度調節する。混合物が充填された金型を約90℃の芒硝浴の中で約8時間煮沸し、凝固させて前記微小芒硝結晶を溶出させて多孔質化させ、そして得られた成形体を水洗、乾燥、さらには厚み方向に加圧して圧縮させることによって得ることができる。
但し、かかる方法において、各温度や時間等は調整可能である。
この際、芒硝結晶の平均粒径を変化させることにより、スポンジ体内の空隙の大きさを調整することができ、平均粒径の小さな芒硝結晶を使用することによってスポンジ体の空隙を小さくすることができる。よって、芒硝結晶の平均粒径は0.5mm〜2.0mmであるのが特に好ましく、中でも特に0.7mm〜0.9mmであるのがさらに好ましい。
厚み方向に圧縮成型して製造されたスポンジ体は、薬液を保持し得る量(抱液可能量)が多いばかりか、吸液速度が速く、しかも薬液を吸収すると所定の厚み(例えば9割前後)に正確に回復するため、薬液の供給量とスポンジ体の体積に応じて薬液塗布部収容凹部5の大きさを正確に設計することができる。
薬液塗布部2の形状は特に限定するものではないが、できるだけ少ない量の薬液を効率良く広範囲に塗布できるように、図1に示すように、扁平な板状体とするのが好ましい。
(軸部3)
薬液塗布具1の軸部3は、例えば棒状に形成すればよい。ただし、使い勝手を良好にするように適宜形状に変更可能である。
例えば、図1に示すような、凹凸周面部3bを設けることも可能である。この凹凸周面部3bの形状は適宜変更可能であり、例えば図1に示すように、適宜長さに渡って、円柱状の径大部を形成すると共に、この径大部の周面に、全周に渡る溝乃至突条部3cを複数軸方向に適宜間隔をおいて形成するようにしてもよい。また、適宜長さに渡って軸部に紐を螺旋状に巻き付けたような形状に形成して複数の溝乃至突条部3cを形成するようにしてもよい。
このように凹凸周面部3bの表面に溝乃至突条部3cを形成することにより、軸部3を指で掴み易くなるばかりか、この凹凸周面部3bを収容する凹凸周面部収容部4cの内周面に、当該溝乃至突条部3cと凹凸係合し得る溝乃至突条部を形成することにより、収容容器4内に薬液塗布具1を挿入する際の位置決めが容易になるばかりか、運搬時及び使用時に薬液塗布具1が移動したり脱落したりするのを防ぐことができる。また、不可抗力によって薬液塗布部2に圧力がかかって薬液が染み出した場合でも、薬液が軸部3側に侵入するのを防ぐことができる。かかる点では、凹凸周面部3bを薬液を吸収できる素材から形成するのが好ましい。
この凹凸周面部3bは、軸部3と同一材料で一体に形成することも、軸部3とは別材料で形成しておき、後で軸部3に固着させてなるものでもよい。
薬液塗布具1の軸部3は、例えば棒状に形成すればよい。ただし、使い勝手を良好にするように適宜形状に変更可能である。
例えば、図1に示すような、凹凸周面部3bを設けることも可能である。この凹凸周面部3bの形状は適宜変更可能であり、例えば図1に示すように、適宜長さに渡って、円柱状の径大部を形成すると共に、この径大部の周面に、全周に渡る溝乃至突条部3cを複数軸方向に適宜間隔をおいて形成するようにしてもよい。また、適宜長さに渡って軸部に紐を螺旋状に巻き付けたような形状に形成して複数の溝乃至突条部3cを形成するようにしてもよい。
このように凹凸周面部3bの表面に溝乃至突条部3cを形成することにより、軸部3を指で掴み易くなるばかりか、この凹凸周面部3bを収容する凹凸周面部収容部4cの内周面に、当該溝乃至突条部3cと凹凸係合し得る溝乃至突条部を形成することにより、収容容器4内に薬液塗布具1を挿入する際の位置決めが容易になるばかりか、運搬時及び使用時に薬液塗布具1が移動したり脱落したりするのを防ぐことができる。また、不可抗力によって薬液塗布部2に圧力がかかって薬液が染み出した場合でも、薬液が軸部3側に侵入するのを防ぐことができる。かかる点では、凹凸周面部3bを薬液を吸収できる素材から形成するのが好ましい。
この凹凸周面部3bは、軸部3と同一材料で一体に形成することも、軸部3とは別材料で形成しておき、後で軸部3に固着させてなるものでもよい。
薬液塗布部2に軸部3を固定する手段は任意である。例えば互いに係合するように係合部を設けるようにしてもよいし、圧力で圧着するようにしてもよいし、接着剤で接着するようにしてもよいし、また、インサート成形によって固定するようにしてよい。
より具体的には、図1に示すように、軸部3の先端部に幅広係合部3aを設け、この幅広係合部3aに接着剤を塗布する一方、薬液塗布部2の側面部に切れ込みを入れておき、この切れ込み内に軸部3の幅広係合部3aを挿入させて、軸部3と薬液塗布部2とを接着固定すればよい。この際、軸部3の先端部に幅広係合部3aを設けることにより、軸抜け防止に貢献することはもちろんであるが、薬液塗布部2の剛性を高めることができ、均一且つ広範囲に薬液を塗布し易くなる。
或いは、図3及び図4に示すように、インサート品としての薬液塗布部2を金型内に装填した後、溶融樹脂を注入して薬液塗布部2の端部を挟むようにして軸部3の軸端部に2枚の幅広係合部3a、3aを形成し、幅広係合部3a、3a間で薬液塗布部2の端部を挟んで固定するようにして薬液塗布部2と軸部3とを一体化させることができる。このようにすれば、接着剤を使用しないで一体化することができる。
より具体的には、図1に示すように、軸部3の先端部に幅広係合部3aを設け、この幅広係合部3aに接着剤を塗布する一方、薬液塗布部2の側面部に切れ込みを入れておき、この切れ込み内に軸部3の幅広係合部3aを挿入させて、軸部3と薬液塗布部2とを接着固定すればよい。この際、軸部3の先端部に幅広係合部3aを設けることにより、軸抜け防止に貢献することはもちろんであるが、薬液塗布部2の剛性を高めることができ、均一且つ広範囲に薬液を塗布し易くなる。
或いは、図3及び図4に示すように、インサート品としての薬液塗布部2を金型内に装填した後、溶融樹脂を注入して薬液塗布部2の端部を挟むようにして軸部3の軸端部に2枚の幅広係合部3a、3aを形成し、幅広係合部3a、3a間で薬液塗布部2の端部を挟んで固定するようにして薬液塗布部2と軸部3とを一体化させることができる。このようにすれば、接着剤を使用しないで一体化することができる。
(収容容器4)
収容容器4は、例えば薬液塗布部2を収容する薬液塗布部収容凹部5と、軸部3を収容する軸部収容凹部4aとを有し、これら薬液塗布部収容凹部5及び軸部3をとり囲むようにシール鍔部4eを備える構成に形成することができる。
収容容器4は、例えば薬液塗布部2を収容する薬液塗布部収容凹部5と、軸部3を収容する軸部収容凹部4aとを有し、これら薬液塗布部収容凹部5及び軸部3をとり囲むようにシール鍔部4eを備える構成に形成することができる。
収容容器4の材質は、特に限定するものではないが、保形性、耐薬品性、薬液の浸透及び揮発を抑えるバリア性などを備えた樹脂からなるシート乃至フィルムから形成されているものが好ましい。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどを好ましく用いることができる。
薬液塗布部収容凹部5は、薬液塗布部2を隙間なくすっぽりと収容することができるように、その平面視形状を、薬液塗布部2の平面視形状に沿って一回り大きく形成するのが好ましい。図1の例では、扁平板状の薬液塗布部2に沿って浅底の凹部として形成してある。
この際、一回り大きくとは、薬液塗布部2は薬液を吸収すると横方向に若干、すなわち全体の15〜25%程度横方向に膨張するため、薬液を供給する前の乾燥状態の平面視幅の15〜25%に加えて若干の余裕(0.5mm〜5mm)を加えて大きい平面視幅に形成するのが好ましい。
他方、薬液塗布部収容凹部5の深さは、薬液塗布部2が薬液を吸収して厚さ方向に復元膨張した際の厚さに若干の余裕(0.5mm〜5mm)を加えた長さの深さに形成するのが好ましい。
この際、一回り大きくとは、薬液塗布部2は薬液を吸収すると横方向に若干、すなわち全体の15〜25%程度横方向に膨張するため、薬液を供給する前の乾燥状態の平面視幅の15〜25%に加えて若干の余裕(0.5mm〜5mm)を加えて大きい平面視幅に形成するのが好ましい。
他方、薬液塗布部収容凹部5の深さは、薬液塗布部2が薬液を吸収して厚さ方向に復元膨張した際の厚さに若干の余裕(0.5mm〜5mm)を加えた長さの深さに形成するのが好ましい。
軸部収容凹部4aは、薬液塗布部収容凹部5と連通し、且つ軸部3を完全に収容できるように形成すればよい。例えば軸部3の平面視形状に沿って細長い溝状の平面視形状に形成してもよいし、また、図1に示すように、薬液塗布部収容凹部5とは反対側寄り部位に幅広部4bを設けておき、軸部3を指で掴み易くするようにしてもよい。
また、軸部3に設けた凹凸周面部3bを収容するために凹凸周面部収容部4cを設けるのが好ましい。
この凹凸周面部収容部4cは、凹凸周面部3bの輪郭に沿って一回り大きく凹凸し、且つ凹凸周面部3bと係合して互いに前後方向に移動しないように形成するのが好ましい。例えば、適宜長さに渡って軸部に紐を螺旋状に巻き付けた形状の凹凸周面部3bと係合するように、周面方向の溝4dを並設してなるように形成すればよい。このように形成すれば、上述のように、収容容器内で薬液塗布具1が前後方向に移動するのを防ぐことができるばかりか、軸部収容凹部4aから幅広部4b側に側への万一の薬液流出を防止することもできる。
この凹凸周面部収容部4cは、凹凸周面部3bの輪郭に沿って一回り大きく凹凸し、且つ凹凸周面部3bと係合して互いに前後方向に移動しないように形成するのが好ましい。例えば、適宜長さに渡って軸部に紐を螺旋状に巻き付けた形状の凹凸周面部3bと係合するように、周面方向の溝4dを並設してなるように形成すればよい。このように形成すれば、上述のように、収容容器内で薬液塗布具1が前後方向に移動するのを防ぐことができるばかりか、軸部収容凹部4aから幅広部4b側に側への万一の薬液流出を防止することもできる。
シール鍔部4eは、シート蓋体を重ねてシールするための部分であり、適宜幅をもって形成するのが好ましい。
(薬液)
収容する薬液の種類は特に制限するものではない。例えばポピドンヨード液、アルコール、過酸化水素などの消毒用薬液、ローション、ベビーオイルなどの化粧液、その他液状の薬液、蒸留水などを挙げることができる。中でも、OH基を有するセルロースを主成分とするスポンジ体とのなじみ易さの観点から、水溶液からなる薬液(例えばポピドンヨード液)が特に好ましい。
収容する薬液の種類は特に制限するものではない。例えばポピドンヨード液、アルコール、過酸化水素などの消毒用薬液、ローション、ベビーオイルなどの化粧液、その他液状の薬液、蒸留水などを挙げることができる。中でも、OH基を有するセルロースを主成分とするスポンジ体とのなじみ易さの観点から、水溶液からなる薬液(例えばポピドンヨード液)が特に好ましい。
薬液は、薬液塗布部2と共に薬液塗布部収容凹部5内に収容するものであるが、本発明においては、薬液塗布部収容凹部5内に収容する量が重要となる。すなわち、薬液塗布部収容凹部5内に、薬液塗布部2と共に薬液塗布部2の抱液可能量と同量、具体的な数値で言えば、抱液可能量の90〜110質量%量の薬液を収容することが好ましい。
薬液塗布部2の抱液可能量と同量、すなわち抱液可能量の90〜110質量%量の薬液を収容することで、患部に必要十分な量の薬液を塗布することができるばかりか、余分な薬液が薬液塗布部収容凹部内に存在しないから、薬液が滴り落ちたり、使用後に余分な薬液が過剰に残ったり、製造時にシール部分に薬液が付着して密閉性を妨げるようなことを無くすことができる。
かかる観点から、薬液塗布部収容凹部5内に収容する薬液の量は、薬液塗布部2の抱液可能量の95〜105質量%量が好ましく、特に100〜103質量%量であるのがさらに好ましい。
薬液塗布部2の抱液可能量と同量、すなわち抱液可能量の90〜110質量%量の薬液を収容することで、患部に必要十分な量の薬液を塗布することができるばかりか、余分な薬液が薬液塗布部収容凹部内に存在しないから、薬液が滴り落ちたり、使用後に余分な薬液が過剰に残ったり、製造時にシール部分に薬液が付着して密閉性を妨げるようなことを無くすことができる。
かかる観点から、薬液塗布部収容凹部5内に収容する薬液の量は、薬液塗布部2の抱液可能量の95〜105質量%量が好ましく、特に100〜103質量%量であるのがさらに好ましい。
薬液塗布部収容凹部5内に収容する薬液の量は、患部の種類や大きさ、或いは薬液塗布部収容凹部5の大きさなどにより適宜変更するのが好ましいから、それに合わせて薬液塗布部2の大きさを調整するのが好ましい。
(シート蓋体)
シート蓋体は、その材質を特に限定するものではないが、防水性、耐薬品性を備えている必要がある。例えば、樹脂基材シートのシート面に金属薄膜層を積層してなる複合シートを好ましい一例として挙げることができ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂基材シートに、アルミ等の金属を蒸着乃至ラミネートして金属薄膜層を積層してなる複合シートなどを好ましく用いることができる。
シート蓋体は、その材質を特に限定するものではないが、防水性、耐薬品性を備えている必要がある。例えば、樹脂基材シートのシート面に金属薄膜層を積層してなる複合シートを好ましい一例として挙げることができ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂基材シートに、アルミ等の金属を蒸着乃至ラミネートして金属薄膜層を積層してなる複合シートなどを好ましく用いることができる。
(製造方法)
本薬液塗布用キットの製造方法については、特に制限するものではない。例えば、薬液塗布部収容凹部5内に薬液塗布部2を挿入すると共に、軸部収容凹部4a内に軸部3を挿入するようにして収容容器4内に薬液塗布具1を挿入した後、薬液を薬液塗布部2に注いで供給し、次いで薬液塗布部収容凹部5及び軸部収容凹部4aを被覆するようにシート蓋体を被覆シールするようにして薬液塗布用キットを製造するのが好ましい。
本薬液塗布用キットの製造方法については、特に制限するものではない。例えば、薬液塗布部収容凹部5内に薬液塗布部2を挿入すると共に、軸部収容凹部4a内に軸部3を挿入するようにして収容容器4内に薬液塗布具1を挿入した後、薬液を薬液塗布部2に注いで供給し、次いで薬液塗布部収容凹部5及び軸部収容凹部4aを被覆するようにシート蓋体を被覆シールするようにして薬液塗布用キットを製造するのが好ましい。
薬液よりも先に薬液塗布具1を収容容器4内に収容し、その後、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に薬液を供給することにより、薬液を薬液塗布部2が吸収するから薬液を零すことなく供給することができる。
この際、薬液塗布部2に対して、当該薬液塗布部2の抱液可能量と同量の薬液、すなわち抱液可能量の90〜110質量%量の薬液を、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に供給することにより、シール鍔部4e等に薬液が飛び散るのを防ぐことができ、シート蓋体を密閉状態に被覆シールすることができる。
この際、薬液塗布部2に対して、当該薬液塗布部2の抱液可能量と同量の薬液、すなわち抱液可能量の90〜110質量%量の薬液を、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に供給することにより、シール鍔部4e等に薬液が飛び散るのを防ぐことができ、シート蓋体を密閉状態に被覆シールすることができる。
かかる製造方法においては、前述したように、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体、言い換えれば、薬液を吸収すると圧縮された分だけ厚さ方向に膨張して復元するスポンジ体からなる薬液塗布部2を使用するのが好ましい。
圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体を使用することにより、吸液速度を高めることができると共に、薬液を吸収した際に厚さ方向に復元膨張し、しかも吸収後の形状が安定しているから、薬液塗布部収容凹部5の平面視形状を、薬液塗布部2の平面視形状に沿って若干大きく形成すればよく、しかも安定した状態に薬液塗布部2を収容することができる。
かかる観点から、薬液塗布部2は、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10、中でも特に1/5〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体であるのがより一層好ましい。
圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体を使用することにより、吸液速度を高めることができると共に、薬液を吸収した際に厚さ方向に復元膨張し、しかも吸収後の形状が安定しているから、薬液塗布部収容凹部5の平面視形状を、薬液塗布部2の平面視形状に沿って若干大きく形成すればよく、しかも安定した状態に薬液塗布部2を収容することができる。
かかる観点から、薬液塗布部2は、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10、中でも特に1/5〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体であるのがより一層好ましい。
また、同じく前述したように、薬液、特に10%ポピドンヨード液の吸液速度が0.03〜0.5s/g、特に0.04〜0.5s/gであるスポンジ体からなる薬液塗布部2を使用するのが好ましい。
吸液速度が0.03〜0.5s/gであるスポンジ体であれば、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に薬液を注ぐと、薬液塗布部2が瞬時のうちに全体が濡れて薬液を吸収するため、薬液を薬液塗布部2に注いだ際に薬液が飛散することがないばかりか、薬液の供給からシート蓋体をシールするまでの時間が短くて済み、一連の工程を一つの生産ラインで実施することができ、本薬液塗布用キットの生産をオンラインで行うことができる。
吸液速度が0.03〜0.5s/gであるスポンジ体であれば、薬液塗布部収容凹部5内の薬液塗布部2に薬液を注ぐと、薬液塗布部2が瞬時のうちに全体が濡れて薬液を吸収するため、薬液を薬液塗布部2に注いだ際に薬液が飛散することがないばかりか、薬液の供給からシート蓋体をシールするまでの時間が短くて済み、一連の工程を一つの生産ラインで実施することができ、本薬液塗布用キットの生産をオンラインで行うことができる。
(使用方法)
本薬液塗布用キットは、シート蓋体を収容容器4から剥がした後、図2に示すように、収容容器4から薬液塗布具1を取り出して薬液塗布具1の薬液塗布部2を患部に当てて移動させれば、薬液塗布部2に含浸した薬液を患部に塗布することができ、過剰な薬液が薬液塗布部収容凹部5内に収容されていないため、薬液が滴り落ちたり、使用後に余分な薬液が過剰に残ったりすることがない。
その際、上記のようなスポンジ体からなる薬液塗布部2であれば、薬液を含浸させた状態でも柔軟性があるので、患部にソフトな塗り心地で薬液を塗布することができる。さらに、セルローススポンジ2を患部に載せただけで、押圧しなくても薬液が浸み出すから、薬液を患部に均一かつ十分に塗布することができる。
本薬液塗布用キットは、シート蓋体を収容容器4から剥がした後、図2に示すように、収容容器4から薬液塗布具1を取り出して薬液塗布具1の薬液塗布部2を患部に当てて移動させれば、薬液塗布部2に含浸した薬液を患部に塗布することができ、過剰な薬液が薬液塗布部収容凹部5内に収容されていないため、薬液が滴り落ちたり、使用後に余分な薬液が過剰に残ったりすることがない。
その際、上記のようなスポンジ体からなる薬液塗布部2であれば、薬液を含浸させた状態でも柔軟性があるので、患部にソフトな塗り心地で薬液を塗布することができる。さらに、セルローススポンジ2を患部に載せただけで、押圧しなくても薬液が浸み出すから、薬液を患部に均一かつ十分に塗布することができる。
(他の実施形態)
薬液塗布部収容凹部5及び軸部3を収容する軸部収容凹部4aのほかに、仕切りを設けると共に、ピンセット、ガーゼ、包帯、止血テープなどの医療器具を収容する医療器具収容凹部を設け、医療器具収容凹部内に医療器具を収容して、医療用キットとして形成することもできる。
薬液塗布部収容凹部5及び軸部3を収容する軸部収容凹部4aのほかに、仕切りを設けると共に、ピンセット、ガーゼ、包帯、止血テープなどの医療器具を収容する医療器具収容凹部を設け、医療器具収容凹部内に医療器具を収容して、医療用キットとして形成することもできる。
(用語の説明)
本発明において「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
本発明において「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下、各種試験及び実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
<薬液塗布部の材料選択試験>
薬液塗布部の材料を選択するために、異なる材料からなる下記検体について下記試験を行い、各検体の物性を比較し、薬液塗布部の材料について検討した。
た。
薬液塗布部の材料を選択するために、異なる材料からなる下記検体について下記試験を行い、各検体の物性を比較し、薬液塗布部の材料について検討した。
た。
(検体)
検体A:OH基を有するセルロースを主成分とし、セルロース100重量部に対して補強繊維としての綿繊維を30重量部含有する圧縮スポンジ体(圧縮率1/5、空隙率98%、空隙の平均径0.8mm、タテ50.1mm×ヨコ50.6mm×高さ0.8mm、体積2,114mm3)
検体B:市販の綿球(20番、タテ24.0mm×ヨコ21.7mm×高さ19.7mm)
検体C:市販の綿棒(5インチ綿棒 小)
検体A:OH基を有するセルロースを主成分とし、セルロース100重量部に対して補強繊維としての綿繊維を30重量部含有する圧縮スポンジ体(圧縮率1/5、空隙率98%、空隙の平均径0.8mm、タテ50.1mm×ヨコ50.6mm×高さ0.8mm、体積2,114mm3)
検体B:市販の綿球(20番、タテ24.0mm×ヨコ21.7mm×高さ19.7mm)
検体C:市販の綿棒(5インチ綿棒 小)
スポンジ体Aは、木材パルプを水酸化ナトリウム溶液に浸漬し、圧搾後に粉砕してアルカリセルロース(クラム)とし、その後17℃で10時間老成後、二硫化炭素を加えセルロース ザンテートを得、このセルロース ザンテートに繊維長0.1〜5mmの未老成のクラムと水酸化ナトリウム、水を加えて溶解し、ビスコースを得、得られたビスコースと平均粒径0.8mmの芒硝結晶を混合機の中で16〜20℃に保ちながら混合し、途中で水を添加し混合物を馴染ませた。この混合物を金型に押出機を介して加圧充填した。その際、押出機周辺の温度も16〜20℃になるように温度調節した。混合物が充填された金型を約90℃の芒硝浴の中で約8時間煮沸し凝固させ、そして得られた成形体を水洗、乾燥、さらには厚み方向に、厚さが1/5となるように加圧して圧縮させることによって得た圧縮スポンジ体を所定の大きさにカットしたものを用いた。
(抱液可能量の測定)
ステンレス製パッド内に検体全体が十分に浸かる量の10%ポピドンヨード液を注ぎ、検体全体をポピドンヨード液内に浸して5分間浸漬させた後、金属メッシュ上に置いて検体から液滴を取り除いた上で、吸液時の単位体積重量を測定した。
予め、乾燥状態の検体の重量を測定しておき、下記式(2)より、単位体積当たりの抱液可能量を算出した。
(2)・・単位体積当たりの抱液可能量=吸液時の単位体積重量−乾燥時の単位体積重量
ステンレス製パッド内に検体全体が十分に浸かる量の10%ポピドンヨード液を注ぎ、検体全体をポピドンヨード液内に浸して5分間浸漬させた後、金属メッシュ上に置いて検体から液滴を取り除いた上で、吸液時の単位体積重量を測定した。
予め、乾燥状態の検体の重量を測定しておき、下記式(2)より、単位体積当たりの抱液可能量を算出した。
(2)・・単位体積当たりの抱液可能量=吸液時の単位体積重量−乾燥時の単位体積重量
(放液率の測定)
上記の如く、吸液時の単位体積重量を測定し後、検体に200gの加重を掛けて10分放置した後に検体の重量(:放液後の単位体積重量)を測定し、式(3)より放液率を算出した。
(3)・・放液率=(吸液時の単位体積重量−放液後の単位体積重量)×100/(吸液時の単位体積重量−乾燥時の単位体積重量)
上記の如く、吸液時の単位体積重量を測定し後、検体に200gの加重を掛けて10分放置した後に検体の重量(:放液後の単位体積重量)を測定し、式(3)より放液率を算出した。
(3)・・放液率=(吸液時の単位体積重量−放液後の単位体積重量)×100/(吸液時の単位体積重量−乾燥時の単位体積重量)
(吸液速度)
ステンレス製パッド内に10%ポピドンヨード液を注ぎ、次いで検体(スポンジ体の直方体)をステンレス製パッド内に置いて下部をポピドンヨード液に浸し、検体(スポンジ体)をステンレス製パッド内に置いてから検体の上面部まで吸液するまでの時間を測定し、次の式(4)より算出した。
(4)・・吸液速度=測定値(sec)/検体の吸液前の重量(g)
ステンレス製パッド内に10%ポピドンヨード液を注ぎ、次いで検体(スポンジ体の直方体)をステンレス製パッド内に置いて下部をポピドンヨード液に浸し、検体(スポンジ体)をステンレス製パッド内に置いてから検体の上面部まで吸液するまでの時間を測定し、次の式(4)より算出した。
(4)・・吸液速度=測定値(sec)/検体の吸液前の重量(g)
(圧縮率)
検体を含水後、液垂れしない程度に軽く水を絞った状態として、圧縮率を測定した。
圧縮率の測定は、圧縮弾性試験機を用いて測定サンプルに50g/cm2の荷重をかけた時の厚み(T0:初期荷重厚み、mm)を測定した後、200g/cm2の荷重をかけた時の厚み(T1:初期荷重厚み、mm)を測定し、次の式(5)から圧縮率(%)を算出した。
(5)・・圧縮率=(T0−T1)×100/T0
表1には、n=3の平均値を示した。
なお、消毒作業を実施する場合、200g/cm2以下の荷重で消毒箇所に薬液塗布具を押し当てられていると考えられるため、200g/cm2の荷重で圧縮率(%)を測定した。
検体を含水後、液垂れしない程度に軽く水を絞った状態として、圧縮率を測定した。
圧縮率の測定は、圧縮弾性試験機を用いて測定サンプルに50g/cm2の荷重をかけた時の厚み(T0:初期荷重厚み、mm)を測定した後、200g/cm2の荷重をかけた時の厚み(T1:初期荷重厚み、mm)を測定し、次の式(5)から圧縮率(%)を算出した。
(5)・・圧縮率=(T0−T1)×100/T0
表1には、n=3の平均値を示した。
なお、消毒作業を実施する場合、200g/cm2以下の荷重で消毒箇所に薬液塗布具を押し当てられていると考えられるため、200g/cm2の荷重で圧縮率(%)を測定した。
検体Aの抱液可能量及び吸液速度は検体Bに比べて極めて大きく、検体Aは多量の薬液を吸収し保持できることが分かった。
また、検体Aの放液率及び圧縮率は検体Cに比べて極めて大きく、検体Aは吸収保持した薬液の多くを放出させることができ、しかも圧縮率が検体C(綿棒)に比べて高いことから、柔らかくて肌に優しいことが分かった。
また、検体Aの放液率及び圧縮率は検体Cに比べて極めて大きく、検体Aは吸収保持した薬液の多くを放出させることができ、しかも圧縮率が検体C(綿棒)に比べて高いことから、柔らかくて肌に優しいことが分かった。
(薬液塗布試験)
ステンレス製パッド内に各検体を置き、10%ポピドンヨード液2000mLを、に注いで薬液を吸収させた後、すぐに肌の上に載せて移動させて、塗布状態を比較検討した。その結果、検体Aは、薬液を瞬時に吸収し、注いだ薬液を全て吸収したが、検体Bは、薬液を全ては吸収できなかった。
また、検体Aは、薬液を吸収した状態で肌の上に載せて移動させただけで薬液を均等に塗布することができ、薬液が垂れるようなことがなかったが、他の検体は、最初に多くの薬液が浸み出して薬液が垂れてしまい、均等に塗布することはできなかった。
ステンレス製パッド内に各検体を置き、10%ポピドンヨード液2000mLを、に注いで薬液を吸収させた後、すぐに肌の上に載せて移動させて、塗布状態を比較検討した。その結果、検体Aは、薬液を瞬時に吸収し、注いだ薬液を全て吸収したが、検体Bは、薬液を全ては吸収できなかった。
また、検体Aは、薬液を吸収した状態で肌の上に載せて移動させただけで薬液を均等に塗布することができ、薬液が垂れるようなことがなかったが、他の検体は、最初に多くの薬液が浸み出して薬液が垂れてしまい、均等に塗布することはできなかった。
(実施例)
検体Aのスポンジ体を使用し、図3及び図4に示すように、厚さ2mm、半径15.5mmの扁平な円板状の薬液塗布部2を形成した。
他法、ポリプロピレンから直径4mm、長さ135mmの丸棒を形成し、その軸端部に、幅広の舌片部(10mm×10mm)3aを適宜間隔を置いて上下に設けると共に、前記丸棒の軸端部寄り部分には、適宜幅(例えば30mm)に渡り凹凸褶曲面部からなる凹凸周面部3bを設けて軸部3を形成した。
そして、インサート品としての薬液塗布部2を金型内に装填した後、樹脂を注入して薬液塗布部2の端部を挟むようにして軸部3の幅広係合部3aを形成して、薬液塗布部2と軸部3とを一体化させて、薬液塗布具1を形成した。
検体Aのスポンジ体を使用し、図3及び図4に示すように、厚さ2mm、半径15.5mmの扁平な円板状の薬液塗布部2を形成した。
他法、ポリプロピレンから直径4mm、長さ135mmの丸棒を形成し、その軸端部に、幅広の舌片部(10mm×10mm)3aを適宜間隔を置いて上下に設けると共に、前記丸棒の軸端部寄り部分には、適宜幅(例えば30mm)に渡り凹凸褶曲面部からなる凹凸周面部3bを設けて軸部3を形成した。
そして、インサート品としての薬液塗布部2を金型内に装填した後、樹脂を注入して薬液塗布部2の端部を挟むようにして軸部3の幅広係合部3aを形成して、薬液塗布部2と軸部3とを一体化させて、薬液塗布具1を形成した。
薬液塗布部収容凹部5に薬液塗布部2を挿入すると共に軸部収容凹部4aに軸部3を挿入するようにして収容容器4内に薬液塗布具1を収容した後、前記薬液塗布部2内の薬液塗布部2に対して上方から、薬液塗布部2の抱液可能量の80〜130(80、90,100、103、105、110、120、130)質量%量の薬液を注ぎ、次いで薬液塗布部収容凹部5及び軸部収容凹部4aを被覆するようにシート蓋体を被覆シールして薬液塗布用キットを製造した。
この結果、薬液塗布部収容凹部5内に収納する薬液の量、すなわち薬液塗布部2に注ぐ薬液の量は、患部に必要十分な量の薬液を塗布することができる点、薬液塗布部収容凹部5から薬液塗布部2を取り出した際に薬液が滴り落ちる点、使用後に余分な薬液が残る点、製造時にシール部分に薬液が付着する点などから、薬液塗布部2の抱液可能量の90〜110質量%量とするのが好ましく、特に95〜105質量%量、中でも特に100〜103質量%量であるのが好ましいことが分かった。
1 薬液塗布具
2 薬液塗布部
3 軸部
3a 幅広係合部
3b 凹凸周面部
3c 溝乃至突条部
4 収容容器
4a 軸部収容凹部
4b 幅広部
4c 凹凸周面部収容部
4d 溝
4e シール鍔部
5 薬液塗布部収容凹部
2 薬液塗布部
3 軸部
3a 幅広係合部
3b 凹凸周面部
3c 溝乃至突条部
4 収容容器
4a 軸部収容凹部
4b 幅広部
4c 凹凸周面部収容部
4d 溝
4e シール鍔部
5 薬液塗布部収容凹部
Claims (4)
- スポンジ体からなる薬液塗布部及び軸部を有する薬液塗布具と、前記薬液塗布部を収容する薬液塗布部収容凹部及びこの薬液塗布部収容凹部と連通した、軸部を収容する軸部収容凹部を有する収容容器と、薬液塗布部収容凹部及び軸部収容凹部を被覆し得るシート蓋体と、を備えた薬液塗布用キットの製造方法であって、
薬液塗布部収容凹部内に、圧縮前に比べて厚さが1/4〜1/10となるように厚さ方向にのみ圧縮成形されたスポンジ体からなる薬液塗布部を挿入すると共に、軸部収容凹部内に軸部を挿入するようにして収容容器内に薬液塗布具を挿入した後、前記薬液塗布部に薬液を供給し、次いで薬液塗布部収容凹部及び軸部収容凹部を被覆するようにシート蓋体を被覆シールすることを特徴とする薬液塗布用キットの製造方法。 - 薬液塗布部には、10%ポピドンヨード液の吸液速度が0.03〜0.5s/gのスポンジ体を使用することを特徴とする請求項1に記載の薬液塗布用キットの製造方法。
- 薬液塗布部に対して、当該薬液塗布部の抱液可能量と同量の薬液を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬液塗布用キットの製造方法。
- 薬液塗布部の抱液可能量の90〜110質量%量の薬液を薬液塗布部に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬液塗布用キットの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2008197734A JP2010029597A (ja) | 2008-07-31 | 2008-07-31 | 薬液塗布用キットの製造方法 |
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JP2008197734A JP2010029597A (ja) | 2008-07-31 | 2008-07-31 | 薬液塗布用キットの製造方法 |
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JP2007077320A (ja) * | 2005-09-15 | 2007-03-29 | Toray Fine Chemicals Co Ltd | セルローススポンジおよびセルローススポンジ製品もしくは商品の製造方法 |
JP2008522645A (ja) * | 2004-11-17 | 2008-07-03 | オオツカアメリカファーマシューティカル、インコーポレイテッド | 流体塗布装置および流体塗布方法 |
-
2008
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