JP2010025854A - マイクロ検査チップ - Google Patents

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康博 山東
Akihisa Nakajima
彰久 中島
Kusunoki Higashino
楠 東野
Yoichi Aoki
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Abstract

【課題】液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供すること。
【解決手段】液体を貯留する貯留部を備え、貯留部の壁面に、親水性を有する四角柱状や円柱状の突起あるいは薄板状の突起等の凹凸構造を形成して、表面張力により凹凸構造の間に第1の液体を貯留することで、液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、マイクロ検査チップに関し、特に、遺伝子増幅反応、抗原抗体反応などによる生体物質の検査・分析、その他の化学物質の検査・分析、有機合成等による目的化合物の化学合成などに用いられるマイクロ検査チップに関する。
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサーなど)を微細化して1チップ上に集積化した分析用チップ(以下、マイクロ検査チップと言う)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。特に、遺伝子検査に見られるように煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化に優れたマイクロ検査チップは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とするので、その恩恵は多大と言える。
上記のようなマイクロ検査チップでは、検査に用いられる検体や試薬等の複数の液体をマイクロ検査チップ内に分けて貯留する必要がある。そして、分けて貯留された複数の液体を必要に応じて正確に送液して混合することにより、反応を起こさせ、検出を行う。検体や試薬等の複数の液体を精度良く送液して混合できないと、反応およびその検出結果に多大の影響が生ずる。そして、複数の液体を混合するためには、複数の液体間の空気や不活性ガス等の気体を除去する必要がある。
複数の液体を分けて貯留する方法として、特許文献2には、液体を試薬袋に入れてチップ内に保管し、必要時にピンで試薬袋を開口し、液体を流出させて使用する方法が開示されている。
また、複数の液体間の気体を除去する方法として従来からよく用いられているものとして、Y字流路で合流のタイミングを合わせて気体を除去する方法がある。この場合、複数の液体の貯留部を並列に配置する必要があり、マイクロ検査チップが大きくなる方向である。また、送液用のポンプが沢山必要になる。さらに、Y字流路での混合の場合、合流後の流路内での送液は層流が主であるために、混合のための流路が長く必要であり、これもマイクロ検査チップが大きくなる方向である。
これに対し、複数の液体の貯留部を直列に配置した場合、送液用のポンプは1つで済むが、液体間の気体を除去することが難しい。
そこで、特許文献3の図4には、2つの導管の間に細管を複数設け、細管の流路抵抗差により液体の侵入を防止することで、細管を通して複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合する方法が開示されている。この方法によれば、複数の液体の塊に間の気体を除去して混合することが可能である。
特開2004−28589号公報 特表平4−501768号公報 特開2000−27813号公報
しかしながら、特許文献2で提案された方法では、微量の液体を試薬袋中に保管することは難しく、必要以上の液体が必要となり、検査チップの大型化やコストアップを招く。また、検体が微量しか得られず試薬袋への保管量に満たなければ、検査そのものが行えないことになる。さらに、複数の液体を別々の試薬袋に保管することで、検査チップの大型化を招く。
また、特許文献3で提案された方法では、混合した液体をさらに下流に送液するためには、構成上、送液方向を切り替えるためのバルブが必須であり、マイクロ検査チップの構成が複雑となり、高価なものとなる。また送液制御も複雑となり、検査システム自体の複雑化、高価格化を招く要因となる。
さらに、別の課題として、例えば酵素のような濡れ性のよい液体を貯留する場合、濡れ性がよいために、送液時に貯留部や流路に液体が残留し、定量性が保たれなくなるという課題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、流路の構成の工夫のみで、液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供することを目的としている。
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
1.液体を貯留する貯留部を備えたマイクロ検査チップにおいて、
前記貯留部は、親水性を有する凹凸構造が壁面に形成され、
表面張力により前記凹凸構造の間に第1の液体を貯留することを特徴とするマイクロ検査チップ。
2.前記凹凸構造は、前記壁面に配列された複数の柱状の突起であることを特徴とする前記1に記載のマイクロ検査チップ。
3.前記柱状の突起は、多角形または円形の断面を有する柱状の突起であることを特徴とする前記2に記載のマイクロ検査チップ。
4.前記凹凸構造は、前記壁面に配列された複数の薄板状の突起であることを特徴とする前記1に記載のマイクロ検査チップ。
5.前記凹凸構造の先端は、シャープエッジであることを特徴とする前記1乃至4の何れか1項に記載のマイクロ検査チップ。
6.前記貯留部を構成する溝が表面に形成された流路基板と、
前記流路基板に貼り合わされることで前記貯留部の蓋として機能する天板とを備え、
前記凹凸構造は、前記溝の壁面に形成されていることを特徴とする前記1乃至5の何れか1項に記載のマイクロ検査チップ。
7.前記貯留部の上流側に連通し、前記貯留部に、間を気体で区切られた少なくとも1つの第2の液体を送液する上流流路を備え、
前記貯留部は、前記第1の液体と、前記第2の液体とを混合して混合液を得、前記混合液の反応結果を検出する反応検出部であることを特徴とする前記1乃至6の何れか1項に記載のマイクロ検査チップ。
本発明によれば、液体を貯留する貯留部を備え、前記貯留部の壁面に親水性を有する凹凸構造を形成して、表面張力により凹凸構造の間に第1の液体を貯留することで、液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供することができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
まず、本発明のマイクロ検査チップを用いた検査装置について、図1を用いて説明する。図1は、本発明のマイクロ検査チップを用いた検査装置の1例を示す模式図である。
図1において、検査装置1は、マイクロ検査チップ100、マイクロポンプユニット210、加熱冷却ユニット230、検出部250および駆動制御部270等で構成される。
マイクロ検査チップ100は、一般に分析チップ、マイクロリアクタチップなどとも称されるものと同等であり、例えば、樹脂、ガラス、シリコン、セラミックスなどを材料とし、その上に、微細加工技術により、幅および高さが数μm〜数百μmのレベルの微細な流路を形成したものである。マイクロ検査チップ100のサイズおよび形状は、通常、縦横が数十mm、厚さが数mm程度の板状である。
ここでは、マイクロ検査チップ100は、検体や試薬等の液体を送液あるいは貯留するための溝状の流路が表面に形成された流路基板101と、流路基板101の流路が形成された面に接着され、流路基板101の溝状の流路の蓋として機能する天板103とで構成されているとする。また、天板103には、マイクロポンプユニット210とマイクロ検査チップ100との連通口等が設けられる。
マイクロポンプユニット210は、マイクロ検査チップ100内の送液を行うためのポンプユニットで、マイクロポンプ211、チップ接続部213、駆動液タンク215および駆動液供給部217等で構成される。マイクロポンプユニット210は、1つあるいは複数のマイクロポンプ211を備えている。マイクロポンプ211は、マイクロ検査チップ100内に駆動液216を注入あるいは吸引することで、マイクロ検査チップ100内の送液を行う。チップ接続部213は、マイクロポンプ211とマイクロ検査チップ100とを接続する。
駆動液供給部217は、駆動液タンク215からマイクロポンプ211に駆動液216を供給する。駆動液タンク215は、駆動液216の補充のために駆動液供給部217から取り外して交換可能である。マイクロポンプ211上には1個または複数個のポンプが形成されており、複数個の場合は、各々独立にあるいは連動して駆動可能である。
マイクロ検査チップ100とマイクロポンプ211とはチップ接続部213で接続されて連通される。マイクロポンプ211が駆動されてマイクロポンプ211からチップ接続部213を介してマイクロ検査チップ100に注入あるいは吸引される駆動液216によって、マイクロ検査チップ100内の複数の収容部に収容されている検体や試薬等の液体が、マイクロ検査チップ100内で送液される。あるいは駆動液216に押された空気等の気体によって、マイクロ検査チップ100内の複数の収容部に収容されている検体や試薬等の液体が、マイクロ検査チップ100内で送液される。
加熱冷却ユニット230は、冷却部231および加熱部233等で構成され、マイクロ検査チップ100内の反応の促進および抑制のために、検体、試薬およびその混合液等の加熱および冷却を行う。冷却部231はペルチエ素子等で構成される。加熱部233は、ヒータ等で構成される。もちろん、加熱部233もペルチエ素子で構成してもよい。
検出部250は、発光ダイオード(LED)やレーザ等の光源251と、フォトダイオード(PD)等の受光素子253等で構成され、マイクロ検査チップ100内の反応によって得られる生成液に含まれる標的物質を、マイクロ検査チップ100上の検出領域255の位置で光学的に検出する。ここでは、光源251と受光素子253とがマイクロ検査チップ100を挟んで対向する透過光型の検出部を例示しているが、これに限るものではなく、光源251と受光素子253とが並置された反射光型であってもよい。
駆動制御部270は、図示しないマイクロコンピュータやメモリ等で構成され、検査装置1内の各部の駆動、制御、検出等を行う。
ここでは、マイクロ検査チップ100内の送液用のポンプとして、駆動液216を注入あるいは吸引するマイクロポンプ211を用いる例を示したが、必要に応じて、空気等の気体を注入あるいは吸引する空気ポンプ等の他の方式のポンプに置き換えてもよい。
次に、本発明におけるマイクロ検査チップの全体構成の1例を、図2を用いて説明する。図2は、本発明におけるマイクロ検査チップの全体構成の1例を示す模式図である。上述したように、マイクロ検査チップ100は、検体や試薬等の液体を送液あるいは貯留するための溝状の流路が表面に形成された流路基板101と、流路基板101の流路が形成された面に接着され、流路基板101の溝状の流路の蓋として機能する天板103とで構成されているとする。
図2(a)は、マイクロ検査チップ100の流路900の構成の1例を示す模式図で、流路900を天板103の側、即ち図2(b)の矢印B方向から見た平面図である。流路900は、試薬収容部901、検体収容部903、混合反応部905、ポンプ連通口907、排気口909および上述した各部を接続する微細流路等で構成される。
試薬収容部901には、試薬注入口901aが設けられ、試薬注入後、試薬注入口901aは封止部材901bで封止される。同様に、検体収容部903には、検体注入口903aが設けられ、検体注入後、検体注入口903aは封止部材903bで封止される。
試薬収容部901に収容された試薬および検体収容部903に収容された検体は、図示しないマイクロポンプによってポンプ連通口907から注入される駆動液に押されて、順次混合反応部905に送液されて混合される。試薬と検体とが混合された混合液は反応し、反応によって得られる標的物質が混合反応部905で検出される。ここに、混合反応部905は、本発明における貯留部および反応検出部として機能する。
図2(b)は、図2(a)のA−A’断面図である。流路基板101には、幅が狭く深さの浅い微細流路と、幅が広く深さが深い試薬収容部901、検体収容部903および混合反応部905等の各流路とを形成する溝が形成され、天板103で蓋がされて各流路が形成されている。天板103にはポンプ連通口907が設けられ、チップ接続部213を介して図示しないマイクロポンプと接続される。
同様に、天板103には排気口909が設けられ、試薬および検体の送液時に、流路内の空気が排気口909から外部に排気される。さらに、天板103を介して混合反応部905に対向した位置に、検出部250が設けられる。図1では、検出部250は透過光型の例を示したが、ここでは、光源251と受光素子253とが天板103側に並置された反射光型を例示してある。
また、天板103には試薬注入口901aおよび検体注入口903aが設けられており、試薬および検体注入後は、試薬注入口901aおよび検体注入口903aは封止部材901bおよび封止部材903bで封止される。
本発明は、主として、上述した混合反応部905等の検体や試薬等の液体を貯留し、他の検体や試薬等の液体と混合、反応させ、あるいは反応結果を検出するための流路である貯留部に用いられる。
(第1の実施の形態)
次に、本発明におけるマイクロ検査チップの第1の実施の形態について、図3を用いて説明する。図3は、マイクロ検査チップ100の第1の実施の形態の構成を示す模式図で、図3(a)は流路基板101の表面に形成された貯留部111の構成を示す図3(b)の矢印B方向から見た平面図、図3(b)は図3(a)のC−C’断面図である。また、図3(c)は貯留部111の他の構成を示す図3(b)の矢印B方向から見た平面図である。ここに、矢印B方向は、図2(b)の矢印B方向と同じである。ここでは、貯留部111は図2の混合反応部905である。
図3(a)および(b)において、貯留部111は、上流流路113および下流流路115と連通している。そして、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aには、四角柱状の突起112rが全面に配列されている。ここに、四角柱状の突起112rは、本発明における凹凸構造として機能する。
図3(c)においては、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aには、上述した四角柱状の突起112rに代えて、円柱状の突起112cが全面に配列されている。ここに、円柱状の突起112cも、本発明における凹凸構造として機能する。なお、図3(c)のC−C’断面は図3(b)と同じである。
上述した四角柱状の突起112rまたは円柱状の突起112c(以下、区別せずに、突起112と呼ぶ)自体、および突起112の根本の貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aは、親水性を有しており、図4(a)で後述するように、液体を突起112の配列内に保持する。
突起112の断面積、長さ、突起間の間隔等は、突起112の配列の隙間が、突起112の配列内に保持される液体の体積よりも大きい容積を持つこと、および、突起112の配列内に保持された液体が、その表面張力により突起112の配列内に留まり、配列外に流出しないような微細な寸法に設定される。詳細は後述する。表面張力の効果をより大きくするために、突起112の先端は、角が丸みを帯びておらず、所謂シャープエッジとなっていることが望ましい。
親水性を持たせるには、例えば流路基板101を親水性の材料で形成してもよいし、流路基板101に撥水性の材料を用いる必要がある場合には、突起112自体、および突起112の根本の貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aにBSA(ウシ血清アルブミン)を塗布する、プラズマ処理を施す、あるいは親水性の表面処理剤で処理する等の親水処理を行えばよい。
突起112を、貯留部111の天板103側の壁面に配列することも考えられるが、天板103側に設けると、流路基板101と天板103との貼り合わせ状態のバラツキによって、突起112の親水性にバラツキが生じる可能性があり、最悪の場合、液体を突起112の配列の間に保持できず、漏れ出すことも考えられる。流路基板101側に配列すれば、成型によって突起112の配列を形成できるので、安定した親水性が得られる。
続いて、第1の実施の形態における複数の液体の混合方法について、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施の形態における複数の液体の混合方法を説明する模式図である。ここでは、図2の検体と試薬を混合して下流へと送液する例について説明するが、3液以上であっても動作は同じである。
図4(a)において、貯留部111は、上流流路113および下流流路115と連通しており、貯留部111の流路基板101側の底面平面部101aには、突起112が全面に配列されている。そして、貯留部111の内部には予め第1の液体151が注入されており、表面張力により、第1の液体151(例えば試薬)が突起112の配列内に保持されている。第1の液体151の注入方法は、貯留部111に注入口を設けて外部から注入してもよいし、上流流路113から貯留部111に送液してもよい。
本構成であれば、第1の液体151は、後述するように、第2の液体155と混合されるまで貯留部111から下流に送液されることがないので、例えば酵素のような濡れ性がよい液体であっても、送液残りが発生して定量性が保たれなくなる心配がない。
ここで、図示しないマイクロポンプから注入される駆動液216に押されて、第2の液体155(例えば検体)が、上流流路113から貯留部111に送液される。貯留部111と第2の液体155との間には、流路に存在した空気や不活性ガス等の気体153が存在するが、気体153は突起112の配列以外の貯留部111内の空間を通り抜け、第1の液体151を追い越して、下流流路115へと流出する。
図4(b)において、第2の液体155が貯留部111に流入し始めると、第2の液体155は、突起112の配列内に保持されている第1の液体151と混合されて第1の混合液156が形成され始める。
図4(c)において、第2の液体155と突起112の配列内に保持されている第1の液体151とは混合されて第1の混合液156となる。ここまでが本発明における混合工程である。第1の混合液156は、気体153を介して図示しないマイクロポンプから注入される駆動液216に押されて下流流路115へと送液される。ここまでが本発明における下流送液工程である。
なお、第1の実施の形態では、突起112を四角柱状の突起112rまたは円柱状の突起112cとしたが、これに限るものではなく、例えば三角柱や六角柱等の多角形の断面を持つ柱状の突起であってもよい。
上述したように、本第1の実施の形態によれば、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aに、親水性を有する四角柱状または円柱状の突起を配列することで、第1の液体151を貯留部111内に予め保持できるので、送液による液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明におけるマイクロ検査チップの第2の実施の形態について、図5を用いて説明する。図5は、マイクロ検査チップ100の第2の実施の形態の構成を示す模式図で、図5(a)は流路基板101の表面に形成された貯留部111の構成を示す図5(b)の矢印B方向から見た平面図、図5(b)は図5(a)のD−D’断面図、図5(c)は図5(b)のE−E’断面図である。ここに、矢印B方向は、図2(b)の矢印B方向と同じである。ここでも、貯留部111は図2の混合反応部905である。
図5(a)、(b)および(c)において、貯留部111は、上流流路113および下流流路115と連通している。そして、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aと側面平面部111bとに跨って、複数の薄板状の突起112sが部分的に配列されている。ここに、薄板状の突起112sは、本発明における凹凸構造として機能する。
薄板状の突起112s自体、および、薄板状の突起112sの根本の貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aと側面平面部111bとは、親水性を有しており、図6(a)および(b)で後述するように、液体を薄板状の突起112sの配列内に保持する。
薄板状の突起112sの面積、高さ、突起間の間隔等は、薄板状の突起112sの配列の隙間が、薄板状の突起112sの配列内に保持される液体の体積よりも大きい容積を持つこと、および、薄板状の突起112sの配列内に保持された液体が、その表面張力により薄板状の突起112sの配列内に留まり、配列外に流出しないような微細な寸法に設定される。詳細は後述する。表面張力の効果をより大きくするために、薄板状の突起112sの端部は、角が丸みを帯びておらず、所謂シャープエッジとなっていることが望ましい。
親水性を持たせるには、例えば流路基板101を親水性の材料で形成してもよいし、流路基板101に撥水性の材料を用いる必要がある場合には、薄板状の突起112s自体、および薄板状の突起112sの貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aと側面平面部111bとにBSA(ウシ血清アルブミン)を塗布する、プラズマ処理を施す、あるいは親水性の表面処理剤で処理する等の親水処理を行えばよい。
薄板状の突起112sを、貯留部111の天板103側の壁面に配列することも考えられるが、天板103側に設けると、流路基板101と天板103との貼り合わせ状態のバラツキによって、薄板状の突起112sの親水性にバラツキが生じる可能性があり、最悪の場合、液体を薄板状の突起112sの配列の間に保持できず、漏れ出すことも考えられる。流路基板101側に配列すれば、成型によって薄板状の突起112sの配列を安定した形状に形成できるので、安定した親水性が得られる。
続いて、第2の実施の形態における第1の液体の保持方法について、図6を用いて説明する。図6は、第2の実施の形態における第1の液体151の保持方法を説明する模式図で、図6(a)は、図5(a)と同じく、図5(b)の矢印B方向から見た平面図、図6(b)は、図5(b)と同じく、図5(a)のD−D’断面図である。
図6(a)および(b)において、貯留部111は、上流流路113および下流流路115と連通しており、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aと側面平面部111bとに跨って、親水性を有する複数の薄板状の突起112sが部分的に配列されている。そして、貯留部111の内部には予め第1の液体151が注入されており、表面張力により、第1の液体151(例えば試薬)が薄板状の突起112sの配列内に保持されている。第1の液体151の注入方法は、貯留部111に注入口を設けて外部から注入してもよいし、上流流路113から貯留部111に送液してもよい。
本構成であれば、第1の液体151は、後述するように、第2の液体155と混合されるまで貯留部111から下流に送液されることがないので、例えば酵素のような濡れ性がよい液体であっても、送液残りが発生して定量性が保たれなくなる心配がない。
図示したように、薄板状の突起112sは、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aの片端に寄せて形成されている。また、貯留部111の天板103との間にも隙間が設けられている。従って、突起112の配列内に保持されている第1の液体151と、上流流路113から送液されてくる例えば第2の液体155とを混合する際に、貯留部111と第2の液体155との間に存在する気体153は、薄板状の突起112sの配列以外の貯留部111内の空間を通り抜け、第1の液体151を追い越して、下流流路115へと流出することができる。
図6(c)は、第2の実施の形態と第1の実施の形態とを合わせた形の、第2の実施の形態の他の例で、図5(a)と同じく、図5(b)の矢印B方向から見た平面図である。
図6(c)において、ここでは、薄板状の突起112sの代わりに、図3(a)に示した四角柱状の突起112rが、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aの片端に寄せて形成されている。この場合の断面図は、図6(b)と同じである。もちろん、四角柱状の突起112rの代わりに図3(c)に示した円柱状の突起112cを用いてもよいし、その他の多角形の断面を有する柱状の突起であってもよい。逆に、第1の実施の形態において、四角柱状の突起112rあるいは円柱状の突起112cの代わりに、第2の実施の形態の薄板状の突起112sを、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111a全面に配列してもよい。
第2の実施の形態における複数の液体の混合方法については、図4に示した第1の実施の形態における複数の液体の混合方法と同じであるので、説明は省略する。
上述したように、第2の実施の形態によれば、貯留部111の流路基板101側の底面平面部111aと側面平面部111bとに跨って、親水性を有する複数の薄板状の突起112sを部分的に配列することで、第1の液体151を貯留部111内に予め保持できるので、送液による液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供することができる。
ここで、四角柱状の突起112r、円柱状の突起112cあるいは薄板状の突起112sにおける、液体151を内部に保持し、外部に流出させない寸法について説明する。
例として、薄板状の突起112sについて考えると、例えば図6(a)のように、薄板状の突起112sの配列に液体151が保持されている場合に、薄板状の突起112sの配列の間隔をd、液体151の表面張力をγ、液体を薄板状の突起112sの配列の外に押し出そうとする力(具体的には、マイクロ検査チップ1の落下や衝撃等により液体151が動かされる力)をPとすると、これらの関係は、
P=2×γ/d
で与えられる。
一例として、P=1kPaの力が加わったとして、液体151を水とすると、常温での水の表面張力は73×10−3N/mであるので、上式から、d=146μmとなる。つまり、薄板状の突起112sの配列の間隔dが146μm以下であれば、常温では液体151(この場合は水)は1kPaの力が加わっても、薄板状の突起112sの配列から外部に漏れ出すことはない、ということになる。
ここで、薄板状の突起112sの配列の深さを仮に1mmとすると、水頭圧は10Paであるので、上述したように1kPaの力まで耐えられるということは、水頭圧の100倍つまり100Gまで耐えられることを意味し、かなり大きな衝撃でも耐えられることになる。
ただし、表面張力は一般的には温度が上がると小さくなるので、実際には、実使用温度範囲を考慮して薄板状の突起112sの配列の間隔dを決定する必要がある。さらに、液体の種類、薄板状の突起112sの撥水条件等も考慮される必要がある。
また、薄板状の突起112sの深さについては、マイクロ検査チップを成形で作成する場合には、成形性の観点から間隔dの数倍以下が好ましい。
以上から、薄板状の突起112sの間隔dは、10μm乃至200μm、深さは間隔dの2乃至3倍程度が好ましい。例えば、間隔d=50μm、深さ=100μmである。
四角柱状の突起112rまたは円柱状の突起112cの配列の場合も、ほぼ同様の考え方が適用できると考えられ、薄板状の突起112sの間隔dに相当する四角柱状の突起112rまたは円柱状の突起112cの間隔は、10μm乃至200μmが好ましく、10μm乃至50μmがより好ましい。
四角柱状の突起112rまたは円柱状の突起112cの太さと高さについては特に制限はないが、薄板状の突起112sと同様に成形性の観点から太さ(四角柱の場合は、一辺の長さ、円柱の場合は直径)は10μm乃至1mm、高さは太さの2乃至3倍程度が好ましい。例えば、太さ=100μm、高さ=200μm、間隔=50μmである。
これらの条件に、上述した「四角柱状の突起112r、円柱状の突起112cあるいは薄板状の突起112sの配列の隙間が、四角柱状の突起112r、円柱状の突起112cあるいは薄板状の突起112sの配列内に保持される液体の体積よりも大きい容積を持つ」という条件を加味して各寸法を決定すればよい。
以上に述べたように、本発明によれば、液体を貯留する貯留部を備え、前記貯留部の壁面に親水性を有する凹凸構造を形成して、表面張力により凹凸構造の間に第1の液体を貯留することで、液体の残留がなく、複数の液体間の気体を除去して、複数の液体を混合することのできるマイクロ検査チップを提供することができる。
なお、本発明に係るマイクロ検査チップを構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
本発明のマイクロ検査チップを用いた検査装置の1例を示す模式図である。 本発明におけるマイクロ検査チップの全体構成の1例を示す模式図である。 マイクロ検査チップの第1の実施の形態の構成を示す模式図である。 第1の実施の形態における複数の液体の混合方法を説明する模式図である。 マイクロ検査チップの第2の実施の形態の構成を示す模式図である。 第2の実施の形態における第1の液体の保持方法を説明する模式図である。
符号の説明
1 検査装置
100 マイクロ検査チップ
101 流路基板
103 天板
111 貯留部
111a (貯留部111の流路基板101側の)底面平面部
111b (貯留部111の流路基板101側の)側面平面部
112 突起
112c 円柱状の突起
112r 四角柱状の突起
112s 薄板状の突起
113 上流流路
115 下流流路
151 第1の液体
153 気体
155 第2の液体
156 第1の混合液
210 マイクロポンプユニット
211 マイクロポンプ
213 チップ接続部
215 駆動液タンク
216 駆動液
217 駆動液供給部
230 加熱冷却ユニット
231 冷却部
233 加熱部
250 検出部
251 光源
253 受光素子
255 検出領域
270 駆動制御部
900 流路
901 試薬収容部
901a 試薬注入口
901b 封止部材
903 検体収容部
903a 検体注入口
903b 封止部材
905 混合反応部
907 ポンプ連通口
909 排気口

Claims (7)

  1. 液体を貯留する貯留部を備えたマイクロ検査チップにおいて、
    前記貯留部は、親水性を有する凹凸構造が壁面に形成され、
    表面張力により前記凹凸構造の間に第1の液体を貯留することを特徴とするマイクロ検査チップ。
  2. 前記凹凸構造は、前記壁面に配列された複数の柱状の突起であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ検査チップ。
  3. 前記柱状の突起は、多角形または円形の断面を有する柱状の突起であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ検査チップ。
  4. 前記凹凸構造は、前記壁面に配列された複数の薄板状の突起であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ検査チップ。
  5. 前記凹凸構造の先端は、シャープエッジであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロ検査チップ。
  6. 前記貯留部を構成する溝が表面に形成された流路基板と、
    前記流路基板に貼り合わされることで前記貯留部の蓋として機能する天板とを備え、
    前記凹凸構造は、前記溝の壁面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のマイクロ検査チップ。
  7. 前記貯留部の上流側に連通し、前記貯留部に、間を気体で区切られた少なくとも1つの第2の液体を送液する上流流路を備え、
    前記貯留部は、前記第1の液体と、前記第2の液体とを混合して混合液を得、前記混合液の反応結果を検出する反応検出部であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のマイクロ検査チップ。
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